次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本実施形態によるパチンコ機1の正面図である。パチンコ機1の正面には遊技球であるパチンコ球を流下させる遊技盤2が設けられている。この遊技盤2の表面には、流下するパチンコ球の流下方向を変化させる多数の釘が植設されている。なお、同図においては一部の釘のみが記載されている。遊技盤2の下方には上皿3が設けられており、上皿3の下方右側には、レール4を介して遊技盤2へパチンコ球を打ち込む際に操作される発射ハンドル5が設けられている。また、遊技盤2の上方には枠上部飾りランプ6が設けられている。
遊技盤2の盤面中央には、特別図柄を識別情報として3列に変動表示する液晶表示装置からなる特別図柄表示装置10が設けられている。この特別図柄表示装置10の上方には、普通図柄を構成する緑色LED(発光ダイオード)および赤色LEDが左右に並設された普通図柄表示装置11が設けられている。普通図柄表示装置11の左右には4つのLEDからなる普通図柄始動記憶個数表示部13が設けられている。また、特別図柄表示装置10の下側には4つのLEDからなる特別図柄始動記憶個数表示部12が設けられており、特別図柄表示装置10の左右には普通図柄始動通過口を構成する通過ゲート14が設けられている。また、特別図柄表示装置10の下方には特別図柄始動入賞口を構成する普通電動役物15が設けられており、普通電動役物15の右斜め上方には始動口右釘8R、左斜め上方には始動口左釘8L、下方には大入賞口16、左右には一般入賞口17が設けられている。右釘8Rおよび左釘8Lは、普通電動役物15の球受入口へパチンコ球が入球するのに影響を与える。
また、上皿3の上方には、球貸しボタン7a、返却ボタン7b、選択ボタン7c、および決定ボタン7dが設けられている。球貸しボタン7aは、パチンコ球の貸し出しを受けるときに操作される。返却ボタン7bは、パチンコ球の貸し出しを受けた後にカードを返却させるときに操作される。選択ボタン7cは、特別図柄表示装置10に表示される情報項目を選択するときに操作される。決定ボタン7dは、特別図柄表示装置10に表示される情報項目を決定するときに操作される。
図2は、本実施形態によるパチンコ機1の遊技動作を処理制御する電子回路の主な構成を示すブロック図である。この電子回路は、主制御基板30に設けられた主制御回路、副制御基板40に設けられた副制御回路、枠制御基板60に設けられた払出・発射制御回路などから構成されている。主制御基板30は、遊技盤2におけるパチンコ遊技の進行に関する電気的制御を行う遊技制御基板であり、副制御基板40は、主制御基板30からの制御信号および遊技情報に基づいて、各種演出装置による遊技演出の電気的制御を行う演出制御基板である。枠制御基板60は、主制御基板30からの制御信号および遊技情報に基づいて、賞球および貸球の払い出しやパチンコ球の発射を制御する払出制御基板である。
主制御基板30には、メインCPU31や初期リセット回路32が実装されている。また、主制御基板30には、メインCPU31がパチンコ機1の遊技動作を処理制御するためのプログラムが記憶格納されたメインROM(リードオンリメモリ)33や、処理制御時にデータが一時的に記憶されるメインRAM(ランダムアクセスメモリ)34も実装されている。初期リセット回路32は、主制御基板30の主制御回路の起動時にメインROM33に記憶されているプログラムに従った遊技処理を開始させるリセット信号を発生する。メインCPU31には、後述する各種スイッチやソレノイド等の周辺装置との間で信号を授受するI/Oポート(入出力ポート)35、副制御基板40の副制御回路や枠制御基板60の払出・発射制御回路に制御信号や遊技情報を含んだコマンドを出力するコマンド出力ポート36が接続されている。I/Oポート35およびコマンド出力ポート36からは、メインCPU31から送出される制御信号や遊技情報が周辺装置や各基板40,60へシリアルに送信される。
また、主制御基板30には、上述した通過ゲート14の内側に設けられ、パチンコ球が通過ゲート14を通過するのを検出する通過ゲートスイッチ14sや、普通電動役物15に入賞したパチンコ球を検出する始動入賞口スイッチ15sが接続されている。また、大入賞口16に入賞したパチンコ球を検出するカウントスイッチ16s1、大入賞口16内部のVゾーンを通過したパチンコ球を検出するV・カウントスイッチ16s2、一般入賞口17へ入賞したパチンコ球を検出する一般入賞口スイッチ17sが接続されている。また、主制御基板30には、アクチュエータとして、普通電動役物15の球受入口を拡張する始動入賞口ソレノイド15v、大入賞口16の扉を開閉する大入賞口ソレノイド16v、および大入賞口16内部のVゾーンにパチンコ球が入賞した後にパチンコ球をVゾーン以外へ誘導するシーソーソレノイド18vなどが接続されている。また、主制御基板30には、バックアップクリアスイッチ基板が接続されている。バックアップクリアスイッチ基板には、バックアップクリアスイッチ19が実装されている。バックアップクリアスイッチ19は、主制御基板30の主制御回路を構成するメインRAM34、および枠制御基板60の払出発射制御回路を構成する図示しないRAMのバックアップ内容のクリアを指令するバックアップクリア信号を出力する。
上記各スイッチ14s,16s1,16s2,17s、および各アクチュエータ15v,16v,18vは、盤面中継基板80を介して主制御基板30に接続されている。各スイッチ14s,15s,16s1,16s2,17sがパチンコ球を検出すると、その検出信号は主制御基板30のメインCPU31に入力され、入力される検出信号に応じて、メインCPU31は上記各アクチュエータ15v,16v,18vをそれぞれ駆動制御する。
副制御基板40は、特別図柄表示装置(LCD)10に接続されており、LCD10における画像表示を行う画像表示制御を行う。また、副制御基板40は、ランプ・LED48、およびスピーカ49に接続されており、遊技状態に応じてランプ・LED48の発光を制御する電飾制御、およびスピーカ49から効果音を放音させる音制御を行う。ランプ・LED48は、枠上部飾りランプ6,普通図柄表示装置11,特別図柄始動記憶個数表示部12,普通図柄始動記憶個数表示部13等を表している。この副制御基板40には、サブCPU41、プログラムROM42、およびワークRAM43が実装されている。サブCPU41は、主制御基板30から受信したコマンドの解釈や、画像制御回路44、ランプ制御回路45、および音声制御回路46への制御指令を行う。プログラムROM42には、サブCPU41がLCD10や、ランプ・LED48、スピーカ49の各動作を処理制御するための制御プログラムが記憶格納されている。ワークRAM43は、サブCPU41が上記制御プログラムに従って処理制御を行う際の一時的な記憶手段となる。
画像制御回路44は、サブCPU41からの制御指令に応じてLCD10に表示するための画像データを生成する。メインCPU31は、普通電動役物15へパチンコ球が入賞して始動入賞が発生すると大当り判定を行う。副制御回路は、この大当り判定の結果に対応する態様でLCD10に特別図柄を順次停止表示させ、左図柄と右図柄とが同一図柄で揃って停止表示されるリーチ状態になると、LCD10に特別図柄および演出画を用いてリーチ演出を行う。ランプ制御回路45は、サブCPU41からの駆動信号により、パチンコ機1の遊技状態に応じてランプ・LED48の発光を制御する。音声制御回路46は、サブCPU41からの駆動信号により、スピーカ49を制御する。
プログラムROM42は複数の演出態様をパターン化して記憶した演出記憶手段を構成しており、主制御基板30におけるメインCPU31,メインROM33,およびメインRAM34、並びに副制御基板40におけるサブCPU41,プログラムROM42,およびワークRAM43は、この演出記憶手段に記憶された演出態様の中から、実行させる演出に応じた演出態様を決定する演出決定手段を構成している。また、LCD10および画像制御回路44、ランプ・LED48およびランプ制御回路45、並びにスピーカ49および音声制御回路46は、演出決定手段によって決定された演出態様に対応した演出を実行する演出手段を構成している。
また、サブCPU41には釘傾斜検出センサ9が接続されている。釘傾斜検出センサ9は、右釘8Rおよび左釘8Lの遊技盤2の表面に対する傾斜角度を検出し、検出したデータをサブCPU41へ送信する。本実施形態では、釘傾斜検出センサ9にジャイロセンサが用いられている。ジャイロセンサは、複数個のセラミックジャイロが直交配置され、右釘8Rおよび左釘8Lの各方向における回転運動を捉え、時々刻々変化する回転速度から右釘8Rおよび左釘8Lの傾斜角度を計算する。上述した演出決定手段は、この釘傾斜検出センサ9により検出された釘の傾斜状態に基づいて、演出手段が実行する演出の演出態様を決定する。
枠制御基板60には、払出・発射制御回路および電源回路61が実装されており、賞球および貸球を払い出す払出装置63、および発射ハンドル5の操作に応じて駆動される発射装置64が接続されている。払出・発射制御回路は、各種入賞に応じて主制御基板30から出力される払出コマンドに応じて払出装置63を駆動制御して賞球を払い出させると共に、遊技者による発射ハンドル5の操作に応じて発射装置64を駆動制御し、パチンコ球を遊技盤2へ発射させる。また、電源回路61は、各基板30,40,60に構成された回路等に電源を供給する。
また、枠制御基板60には、パチンコ球の球貸しを要求するカードユニット65が接続されており、このカードユニット65には、前述した球貸しボタン7aおよび返却ボタン7bを備えた球貸し操作パネル66が接続されている。カードユニット65は、球貸しボタン7aおよび返却ボタン7bの操作に応じて枠制御基板60の払出・発射制御回路との間で通信を行う。払出・発射制御回路は、パチンコ球の球貸し要求に応じてカードユニット65から出力される信号に応じて払出装置63を駆動制御して貸球を払い出させる。
図3(a)は、図1に示す遊技盤2における普通電動役物15および右釘8R,左釘8Lの部分の一部拡大正面図である。右釘8R,左釘8Lは、その頭部が金槌等によって殴打されることにより、同図に例示する、3時,6時,9時,12時といった時計の針が示す各時間方向に傾きが付けられ、遊技盤2におけるパチンコ球の流下方向に傾向が与えられる。同図(b)は、3時,9時方向に傾斜角度θ[deg]で傾きが付けられた右釘8R,左釘8Lの植設部分の横断面図であり、同図(c)は、12時方向に傾斜角度θ[deg]で傾きが付けられた右釘8R,左釘8Lの植設部分の縦断面図である。なお、図3において図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。
遊技盤2は木材や樹脂等からなり、同図(b),(c)に示すように、右釘8Rおよび左釘8Lが貫通している遊技盤2の部分は、右釘8Rおよび左釘8Lが傾けられるのを阻害せず、また、付けられた傾きを保持するような弾性を有する弾性部材20からなる。右釘8Rおよび左釘8Lは遊技盤2を貫通し、釘傾斜検出センサ9は遊技盤2の裏面に突き抜けた釘部分にそれぞれ設けられている。
図5は、主制御基板30に設けられたメインROM33に格納されている、後述する特別図柄記憶チェック処理(図12参照)で用いられる変動パターンテーブルを示している。
この変動パターンテーブルには、大当り判定処理(図12,S64参照)の判定結果「ハズレ」および「大当たり」に応じて、0〜99の乱数値を区分する数値範囲と、特別図柄の変動パターンの種類を示す変動パターンコマンド番号(“h0”〜“h4”)と、各変動パターンに応じた変動時間(“t0”〜“t4”)と、各変動パターンの演出内容とがそれぞれ対応づけられて記憶されている。
大当り判定処理で「ハズレ」と判定された場合、0〜99の乱数値の中から1つの乱数値が抽出され、抽出された乱数値が属する数値範囲に割り当てられた“h0”〜“h2”の中から変動パターンコマンド番号が決定される。そして、決定された変動パターンコマンド番号に応じた変動時間(“t0”〜“t2”)の間、抽選された変動パターンコマンド番号に応じた、通常変動,ノーマルリーチ,またはスーパーリーチのいずれかの演出内容で、LCD10において特別図柄の変動表示が行われる。また、大当り判定処理で「大当り」と判定された場合、0〜99の乱数値の中から1つの乱数値が抽出され、抽出された乱数値が属する数値範囲に割り当てられた“h3”または“h4”の中から変動パターンコマンド番号が決定される。そして、決定された変動パターンコマンド番号に応じた変動時間(“t3”または“t4”)の間、抽選された変動パターンコマンド番号に応じた、ノーマルリーチまたはスーパーリーチのいずれかの演出内容で、LCD10において特別図柄の変動表示が行われる。
図6(a)〜(c)は、副制御基板40に設けられたプログラムROM42に格納されている、後述するサブ制御メイン処理の釘傾斜検出(図16,S112参照)で用いられる釘情報決定テーブルを示している。
同図(a)は、特別図柄始動入賞口を構成する普通電動役物15の右釘8Rについての釘情報決定テーブル、同図(b)は、普通電動役物15の左釘8Lについての釘情報決定テーブル、同図(c)は、右釘8Rおよび左釘8Lの双方から決定される全釘情報の釘情報決定テーブルである。
同図(a)および同図(b)に示す釘情報決定テーブルでは、右釘8Rおよび左釘8Lの時計表示による傾斜方向と、傾斜角度(度)とから、釘判定値が決定される。
方向(時)の欄における範囲を示す左側の数値は、その数値を超えることを意味し、右側の数値はその数値以下であることを意味する。例えば、最上段の「11〜1」は、11時を超え、1時以下の方向を表し、その下段の「1〜3」は、1時を超え、3時以下の方向を表している。また、傾斜(度)の欄においても、範囲を示す左側の数値はその数値を超えることを意味し、右側の数値はその数値以下であることを意味する。例えば、最上段の「0〜2」は、0度を超え、2度以下の方向を表し、その下段の「2〜4」は、2度を超え、4度以下の角度を表している。釘判定値の欄の数値は、対応する傾斜方向および傾斜角度(度)をした右釘8Rおよび左釘8Lの、遊技者にとっての有利度を表している。有利度は−10〜10の21段階にランク付けされており、値が大きいほど、遊技者にとって有利な傾斜状態に設定され、普通電動役物15にパチンコ球が入球し易い傾斜状態になっていることを示す。
例えば、右釘8Rが3時方向に1度傾いている場合、右釘8Rの釘判定値は、同図(a)の釘情報決定テーブルにおいて、方向(時)の欄の「1〜3」、傾斜(度)の欄の「0〜2」に対応する釘判定値の欄の数値を参照することにより、「2」と決定される。また、左釘8Lが9時方向に4度傾いている場合、左釘8Lの釘判定値は、同図(b)の釘情報決定テーブルにおいて、方向(時)の欄の「7〜9」、傾斜(度)の欄の「2〜4」に対応する釘判定値の欄の数値を参照することにより、「3」と決定される。従って、右釘8Rが3時方向に1度、左釘8Lが9時方向に4度傾いている場合、右釘8Rおよび左釘8Lの双方の釘状態によって定まる全釘情報は、右釘8Rの釘判定値「2」と左釘8Lの釘判定値「3」とを加算し、同図(c)の釘情報決定テーブルにおいて、この加算して得られた釘判定値「5」が属する区分「4〜8」に対応する釘情報値「rank3」となる。釘情報値は、遊技者にとっての有利度が最も低い「rank1」から、遊技者にとっての有利度が最も高い「rank5」までの5段階にランク付けされている。
図7は、副制御基板40に設けられたプログラムROM42に格納されている、後述するコマンド解析制御処理(図19参照)で用いられる表示パターンテーブルを示している。
この表示パターンテーブルには、主制御基板30から受信した受信変動パターンコマンド(“h0”〜“h”)に応じ、「rank1」〜「rank5」の各釘情報値毎に、0〜99の乱数値を区分する数値範囲と、この各数値範囲に割り当てられた演出表示パターンおよび表示内容がそれぞれ対応づけられて記憶されている。演出表示パターンおよび表示内容は、予告演出およびリーチ演出の表示パターンの種類に応じて定められている。受信変動パターンコマンドが受信された場合、0〜99の乱数値の中から1つの乱数値が抽出され、その時の釘情報値に応じて、抽出された乱数値が属する数値範囲に割り当てられた演出表示パターンおよび表示内容が決定される。
例えば、受信変動パターンコマンド“h0”が受信された場合、0〜99の乱数値の中から1つの乱数値91が抽出され、その時の釘情報値がrank1であると、抽出された乱数値91が属する数値範囲90〜99に割り当てられた演出表示パターンとしてhz01、表示内容として演出01の通常変動ハズレ演出が決定される。
演出表示パターンhz00および表示内容演出00は、全ての釘情報値において決定され、これが決定されると、予告演出およびリーチ演出の無い表示パターンで、通常変動ハズレ演出が行われる。また、演出表示パターンhz01および表示内容演出01は、rank1の釘情報値において決定され、これが決定されると、予告演出01およびリーチ演出01の表示パターンで、通常変動ハズレ演出が行われる。また、演出表示パターンhz02および表示内容演出02は、rank2の釘情報値において決定され、これが決定されると、予告演出02およびリーチ演出02の表示パターンで、通常変動ハズレ演出が行われる。また、演出表示パターンhz03および表示内容演出03は、rank3の釘情報値において決定され、これが決定されると、予告演出03およびリーチ演出03の表示パターンで、通常変動ハズレ演出が行われる。また、演出表示パターンhz04および表示内容演出04は、rank4の釘情報値において決定され、これが決定されると、予告演出04およびリーチ演出04の表示パターンで、通常変動ハズレ演出が行われる。また、演出表示パターンhz05および表示内容演出05は、rank5の釘情報値において決定され、これが決定されると、予告演出05およびリーチ演出05の表示パターンで、通常変動ハズレ演出が行われる。なお、本実施形態では、釘情報値のrank1〜5のそれぞれに固有の演出表示パターン(受信コマンドh0ではhz01〜hz05)を対応付けているが、複数の釘情報値のrankにまたがって固有の演出表示パターンを対応させてもよい。例えば、rank1のみならずrank2でも固有の演出表示パターンhz01を対応付けさせてもよい。
従って、遊技者は、行われる演出の態様から、現在設定されている釘情報値、つまり、右釘8Rおよび左釘8Lの釘状態が遊技者にとってどの程度有利に設定されているかを、知ることが出来る。
受信変動パターンコマンド“h1”,“h2”,“h3”,“h4”が受信された場合も、同様に、0〜99の乱数値の中から1つの乱数値が抽出され、その時の釘情報値に応じて、抽出された乱数値が属する数値範囲に割り当てられた演出表示パターンおよび表示内容で、ノーマルリーチハズレ演出,スーパーリーチハズレ演出,ノーマルリーチ大当たり演出,スーパーリーチ大当たり演出が行われる。
次に、本実施形態によるパチンコ機1の遊技動作の処理について説明する。
図8は、本実施形態によるパチンコ機1の主制御基板30の主制御回路で行われるメイン遊技処理の概略を示すフローチャートである。
パチンコ機1の電源が投入されると、まず始めに、メインCPU31の動作の初期設定処理が行われる(図8,ステップ(以下Sと記す)1参照)。この初期設定処理では、メインRAM34のアクセス許可、バックアップ復帰処理、作業領域の初期化等の処理が実行される。引き続いて、後述する特別図柄制御処理(S2)および普通図柄制御処理(S3)が実行される。S3の処理が行われた後、処理はS2に戻る。このように、メイン遊技処理においては、S1の初期設定処理が終了した後、S2およびS3の処理が繰り返し実行される。
また、メインCPU31は、上記のメイン遊技処理を実行している間、初期リセット回路32から所定の周期(例えば2ミリ秒)毎に発生されるクロックパルスに応じて、図9に示すフローチャートのシステムタイマ割込処理を実行する。
このシステムタイマ割込処理では、最初に、メインCPU31は、大当り判定用乱数カウンタ、大当り図柄決定用乱数カウンタ等の各カウント値を“1”増加させる乱数更新処理を実行する(図9,S11参照)。大当り判定用乱数カウンタは、後述する大当り判定処理(図12,S64参照)において大当り遊技を行うか否かを決定する際にメインCPU31によって参照されるカウンタである。
次に、メインCPU31は、入力信号処理を行う(S12)。この入力信号処理では、メインCPU31は、上述した各スイッチ14s〜17sから出力される検出信号に基づいて、通過ゲート14をパチンコ球が通過したか否かを検出する処理、および普通電動役物15や大入賞口16、一般入賞口17などにパチンコ球が入賞したか否かを検出する処理を行う。メインCPU31は、これらの処理においてパチンコ球が入賞したことを検出すると、賞球を払い出す払出コマンドをメインRAM34の所定領域に記憶する。この払出コマンドは、払出処理(S16参照)で枠制御基板60の払出・発射制御回路へ送信される。続いて、メインCPU31は、主制御基板30の主制御回路と副制御基板40の副制御回路との同期をとるための待ち時間タイマ(t)や、大入賞口開放時間タイマ等、各種のタイマの更新処理を実行する(S13)。次に、各種の変数に基づいてソレノイド15v,16v,18vを駆動制御するための信号を出力する処理を実行する(S14)。
S14の処理が終了した後、メインCPU31は、コマンド出力処理を実行する(S15)。この処理では、メインCPU31は、メインRAM34の送信データ記憶領域に記憶されている各種のコマンドを中継基盤37を介して副制御基板40の副制御回路へ送信する。これらのコマンドとしては、具体的には、デモ表示コマンド、特別図柄表示装置10に表示される特別図柄の種類を示す特別図柄指定コマンド、特別図柄の変動表示パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれる。次に、メインCPU31は、払出装置63に賞球の払い出しを行わせるための払出コマンドを中継基板7を介して枠制御基板60の払出・発射制御回路へ送信する払出処理を実行する(S16)。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了し、割込発生前のアドレスへ復帰し、メイン処理を実行する。
次に、図10を参照して、図8,S2でメインCPU31によって行われる特別図柄制御処理について説明する。なお、同図において、S42からS50の側方に描いた数値は、それらの処理に対応する制御状態フラグの内容を示し、その制御状態フラグの数値に対応する処理が実行され、特別図柄ゲームが進行することとなる。
この特別図柄制御処理では、最初に、メインCPU31は、制御状態フラグをロードして読み出す(図10,S41参照)。なお、後述するS42からS50において、メインCPU31は、後述するように、制御状態フラグの値に基づいて、各種の処理を実行するか否かを判断することとなる。この制御状態フラグは、特別図柄ゲームの遊技の状態を示すものであり、S42からS50における処理のいずれかを実行可能にするものである。また、それに加えて、メインCPU31は、各処理に対して設定された待ち時間タイマ(t)等に応じて決定される所定のタイミングで各処理を実行する。なお、この所定のタイミングに至る前においては、各処理を実行することなく終了することとなり、他のサブルーチンを実行することとなる。もちろん、所定の周期でシステムタイマ割込処理も実行する。
S42においては、特別図柄記憶チェック処理を実行する。詳しくは図12を用いて後述するが、この処理では、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄記憶チェックを示す値(00)である場合に、普通電動役物15に入賞したパチンコ球の保留個数のチェックを行い、保留個数がある場合に、大当り判定、停止表示させる特別図柄、および特別図柄の変動パターン等の決定を行う。そして、メインCPU31は、特別図柄変動時間管理を示す値(01)を制御状態フラグにセットし、今回の処理で決定された変動パターンに対応する変動時間を待ち時間タイマ(t)にセットする。そして、待ち時間タイマ(t)にセットされた変動時間が経過すると、S43に処理を移す。
S43においては、特別図柄変動時間管理処理を実行する。詳しくは図13を用いて後述するが、この処理では、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄変動時間管理を示す値(01)であり、変動時間が経過した場合に、特別図柄表示時間管理を示す値(02)を制御状態フラグにセットし、変動確定後待ち時間(例えば1秒)を待ち時間タイマ(t)にセットする。そして、待ち時間タイマ(t)にセットした変動確定後待ち時間が経過すると、S44に処理を移す。
S44においては、特別図柄表示時間管理処理を実行する。詳しくは図14を用いて後述するが、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄表示時間管理を示す値(02)であり、変動確定後待ち時間が経過した場合に、大当りか否かを判断する。メインCPU31は、大当りである場合に、大当り開始インターバル管理を示す値(03)を制御状態フラグにセットし、大当り開始インターバルに対応する時間(例えば10秒)を待ち時間タイマ(t)にセットする。そして、待ち時間タイマ(t)にセットした大当り開始インターバルに対応する時間が経過すると、S45に処理を移す。また、メインCPU31は、大当りではない場合には、特別図柄ゲーム終了を示す値(08)をセットして、S50に処理を移す。
S45においては、大当り開始インターバル管理処理を実行する。この処理において、メインCPU31は、制御状態フラグが大当り開始インターバル管理を示す値(03)であり、その大当り開始インターバルに対応する時間が経過した場合に、大入賞口16を開放させるために、メインROM33から読み出されたデータに基づいて、メインRAM34に位置付けられた変数を更新する。そして、メインCPU31は、大入賞口開放中を示す値(04)を制御状態フラグにセットしてS47の処理を実行するように設定するとともに、開放上限時間(例えば30秒)を大入賞口開放時間タイマにセットし、大入賞口開放回数カウンタに初期値である“1”をセットする。そして、メインCPU31は、ラウンド数を示すデータおよび大入賞口16が開放中である旨を示す大入賞口開放中コマンドを、メインRAM34の所定領域にセットする。これによって、大入賞口開放中コマンドは、主制御基板30のメインCPU31から副制御基板40のサブCPU41に送信される。これによって、副制御基板40の副制御回路においても、ラウンド数や大入賞口16の状態が認識される。この処理が終了した場合には、S47に処理を移す。
S46においては、大入賞口再開放前待ち時間管理処理を実行する。この処理において、メインCPU31は、制御状態フラグが大入賞口再開放待ち時間管理を示す値(06)であり、ラウンド間インターバルに対応する時間が経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタを“1”増加するように記憶更新する。そして、メインCPU31は、大入賞口開放中を示す値(04)を制御状態フラグにセットしてS47の処理を実行するように設定するとともに、開放上限時間(例えば30秒)を大入賞口開放時間タイマにセットする。この処理が終了した場合には、S47に処理を移す。
S47においては、大入賞口開放中処理を実行する。この処理において、メインCPU31は、制御状態フラグが大入賞口開放中を示す値(04)である場合に、大入賞口16に入賞したパチンコ球の数を計数する大入賞口入賞カウンタが“10”以上であるという条件、または、大入賞口16の開放上限時間を経過した(大入賞口開放時間タイマが“0”である)という条件のいずれかを満たすか否かを判別する。メインCPU31は、いずれかの条件を満たした場合に、大入賞口16を閉鎖させるために、メインRAM34に位置付けられた変数を更新する。そして、メインCPU31は、大入賞口内残留球監視を示す値(05)を制御状態フラグにセットして、大入賞口内残留球監視時間(例えば1秒)を待ち時間タイマ(t)にセットする。つまり、大入賞口内残留球監視時間が経過した後、S48の処理を実行するように設定する。なお、メインCPU31は、上記のいずれの条件も満たさない場合には、上述した処理を実行しない。S47の処理が終了した場合には、S48に処理を移す。
S48においては、大入賞口内残留球監視処理を実行する。この処理において、メインCPU31は、制御状態フラグが大入賞口内残留球監視を示す値(05)であり、大入賞口内残留球監視時間が経過した場合に、大入賞口16における特定領域(Vゾーン)をパチンコ球が通過しなかったという条件、または、大入賞口開放回数カウンタが大入賞口開放回数最大値以上である(最終ラウンドである)という条件のいずれかを満たすか否かを判断する。メインCPU31は、いずれかの条件を満たした場合に、大当り終了インターバルを示す値(07)を制御状態フラグにセットし、大当り終了インターバルに対応する時間を待ち時間タイマにセットする。つまり、大当り終了インターバルに対応する時間が経過した後、S49の処理を実行するように設定する。一方、メインCPU31は、いずれの条件も満たさない場合に、大入賞口再開放待ち時間管理を示す値(06)を制御状態フラグにセットするとともに、ラウンド間インターバルに対応する時間を待ち時間タイマにセットする。この場合、ラウンド間インターバルに対応する時間が経過した後、S46の処理を実行するように設定する。
S49においては、大当り終了インターバル処理を実行する。この処理において、メインCPU31は、制御状態フラグが大当り終了インターバルを示す値(07)であり、大当り終了インターバルに対応する時間が経過した場合に、特別図柄ゲーム終了を示す値(08)を制御状態フラグにセットしてS50の処理を実行するように設定する。そして、メインCPU31は、大当り図柄が確変図柄である場合には、遊技状態を確率変動状態に移行させる制御を行う。この処理が終了した場合には、S50に処理を移す。
S50においては、特別図柄ゲーム終了処理を実行する。この処理において、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄ゲーム終了を示す値(08)である場合に、特別図柄始動記憶個数表示部12に示される普通電役入賞カウンタの値(保留個数)を“1”減少するように記憶更新する。また、メインCPU31は、保留個数が“1”減少する旨の始動記憶数指定コマンドを示すデータを、メインRAM34の所定の記憶領域にセットする。セットされた始動記憶数指定コマンドは、主制御基板30のメインCPU31から副制御基板40のサブCPU41に送信される。これによって、副制御基板40の副制御回路においても、保留個数が“1”減少した旨が認識される。そして、メインCPU31は、次回の変動表示を行うために、特別図柄記憶領域の更新を行い、制御状態フラグに特別図柄記憶チェックを示す値(00)をセットして、S42の処理を実行するように設定する。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
上述したように制御状態フラグをセットすることにより、図柄始動記憶個数表示部12において特別図柄ゲームが実行されることとなる。具体的には、メインCPU31は、図11に示すように、大当り判定の結果がハズレで大当り遊技状態にならないときには、制御状態フラグを“00”、“01”、“02”、“08”と順にセットすることにより、図10に示すS42、S43、S44、S50の処理を所定のタイミングで実行することとなる。また、メインCPU31は、大当り判定の結果が大当りで大当り遊技状態になるときには、制御状態フラグを“00”、“01”、“02”、“03”と順にセットすることにより、図10に示すS42、S43、S44、S45の処理を所定のタイミングで実行し、大当り遊技状態への制御を実行することとなる。更には、メインCPU31は、大当り遊技状態への制御が実行された場合には、制御状態フラグを“04”、“05”、“06”と順にセットすることにより、図10に示すS47、S48、S46の処理を所定のタイミングで実行し、大当り遊技を実行することとなる。なお、大当り遊技が実行されている場合において、大当り遊技状態の終了条件が成立した場合には、制御状態フラグを“04”、“05”、“07”、“08”と順にセットすることにより、図10に示すS47からS50の処理を所定のタイミングで実行し、大当り遊技状態を終了することとなる。なお、この大当り遊技状態の終了条件は、所定の時間が経過するまでに大入賞口16の特定領域へのパチンコ球の通過がなかったこと(いわゆる「パンク」)、または、大当りラウンド最大継続数(上限ラウンド数、例えば、本実施形態においては15ラウンド)が終了したことである。
図12は、上述した特別図柄制御処理のS42において行われる特別図柄記憶チェック処理の詳細を示すフローチャートである。
この特別図柄記憶チェック処理では、まず、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄記憶チェックを示す値(00)であるか否かを判別する(図12,S61参照)。この判別が“No”である場合、特別図柄記憶チェック処理は終了する。一方、S61の判別が“Yes”である場合、続いてメインCPU31は、メインRAM34の普通電役入賞カウンタの値を読み出して、普通電動役物15に入賞したパチンコ球の保留個数が“0”であるか否かを判別する(S62)。この判別が“Yes”である場合、特別図柄記憶チェック処理は終了する。一方、S62の判別が“No”である場合、メインCPU31は、制御状態フラグに特別図柄変動時間管理を示す値(01)をセットし(S63)、続いて、大当り判定処理を行う(S64)。大当り判定処理では、大当り判定用乱数カウンタの値を読み出して大当り遊技を実行するか否かを決定する大当り抽籤を行い、この抽籤に当籤したか否かの判定を行う。
続いて、メインCPU31は特別図柄決定処理を行う(S65)。特別図柄決定処理では、メインCPU31は、大当り図柄決定用乱数カウンタの値を読み出し、大当り抽籤の結果に基づいて図柄確定停止表示処理(図13,S74参照)で停止表示させる特別図柄を決定する。続いて、メインCPU31は、変動パターン決定処理を行う(S66)。変動パターン決定処理では、変動パターンテーブル(図5参照)を参照して、S64の大当り抽籤の結果「ハズレ」または「大当たり」に基づいて、0〜99の乱数範囲の中から1個の乱数値を抽出し、コマンド番号(“h0”〜“h4”)および変動時間(“t0”〜“t4”)を抽選して、演出内容を決定する。この処理で抽選されたコマンド番号の変動パターンコマンドは、前述したシステムタイマ割込処理におけるコマンド出力処理(図9,S15参照)において、主制御基板30から副制御基板40へ送信される。続いて、この変動パターン決定処理で決定した変動時間を待ち時間タイマ(t)にセットする(S67)。S67の処理が終了すると、メインCPU31は、今回の変動に用いられたメインRAM34の記憶領域をクリアして(S68)、特別図柄記憶チェック処理を終了する。
図13は、上述した特別図柄制御処理のS43において行われる特別図柄変動時間管理処理の詳細を示すフローチャートである。
この特別図柄変動時間管理処理では、まず、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄変動時間管理を示す値(01)であるか否かを判別する(図13,S71参照)。この判別が“No”である場合、そのまま特別図柄変動時間管理処理を終了する。一方、S71の判別が“Yes”である場合、メインCPU31は、図柄変動表示処理を行う(S72)。この図柄変動表示処理では、図12,S67の処理で変動時間がセットされた待ち時間タイマ(t)の値に対応して、特別図柄表示装置10に表示する特別図柄の変動表示を行う。
続いて、メインCPU31は、図12,S67でセットした待ち時間タイマ(t)の値が“0”になったか否か、すなわち、特別図柄の変動表示が開始されてから、変動パターン決定処理(図12,S66)で決定した変動時間が経過したか否かを判別する(S73)。待ち時間タイマ(t)の値が“0”でなくてこの判別が“No”である場合、特別図柄変動時間管理処理は終了する。一方、待ち時間タイマ(t)の値が“0”であってS73の判別が“Yes”である場合、メインCPU31は、図柄確定停止表示処理を行い、特別図柄表示装置10に変動表示されている特別図柄を、特別図柄決定処理(図12,S65参照)で決定された態様で停止表示させる(S74)。続いて、メインCPU31は、制御状態フラグに特別図柄表示時間管理を示す値(02)をセットする(S75)。続いて、変動確定後待ち時間を待ち時間タイマ(t)にセットして(S76)、特別図柄変動時間管理処理を終了する。
図14は、上述した特別図柄制御処理のS44において行われる特別図柄表示時間管理処理の詳細を示すフローチャートである。
この特別図柄表示時間管理処理では、まず、メインCPU31は、制御状態フラグが特別図柄表示時間管理を示す値(02)であるか否かを判別する(図14,S91参照)。この判別が“No”である場合、そのまま特別図柄表示時間管理処理を終了する。一方、S91の判別が“Yes”である場合、メインCPU31は、図13,S76でセットした待ち時間タイマ(t)の値が“0”であるか否かを判別する(S92)。この判別が“No”である場合、そのまま特別図柄表示時間管理処理を終了する。一方、S92の判別が“Yes”である場合、メインCPU31は、大当り判定処理(図12,S64)において大当り抽籤に当籤したと判定されたか否かを判別する(S93)。この判別が“Yes”である場合、メインCPU31は、制御状態フラグに大当り開始インターバル管理を示す値(03)をセットし(S94)、続いて、大当り開始インターバルに対応する時間を待ち時間タイマ(t)にセットする(S95)。一方、S93の判別が“No”である場合、メインCPU31は、制御状態フラグに特別図柄ゲーム終了を示す値(08)をセットする(S96)。S95またはS96の処理が行われると、特別図柄表示時間管理処理は終了する。
図15は、図8のS3に示す普通図柄制御処理において行われる普通図柄制御処理を示すフローチャートである。
この普通図柄制御処理でも、S102からS106の側方に描いた数値は、それらの処理に対応する制御状態フラグの内容を示し、その制御状態フラグの数値に対応する処理が実行されて普通図柄ゲームが進行することとなる。
この普通図柄制御処理では、最初に、メインCPU31は、普通図柄制御状態フラグをロードして読み出す(図15,S101参照)。次に、メインCPU31は、ロードした制御状態フラグが普通図柄記憶チェックを示す値(10)である場合、普通図柄表示装置11における普通図柄の変動パターンを決定すると共に普通図柄待ち時間タイマをセットして、制御状態フラグに普通図柄変動時間管理を示す値(11)をセットする普通図柄記憶チェック処理(S102)を行う。次に、普通図柄の変動時間の管理を行い、制御状態フラグに普通図柄表示時間管理を示す値(12)をセットすると共に、確定後待ち時間タイマをセットする普通図柄変動時間管理処理(S103)を行う。次に、当たりフラグがオンでない場合には、制御状態フラグに普通図柄ゲーム終了を示す値(14)をセットし、当たりフラグがオンである場合には、普通電動役物15の開放回数と開放時間をセットすると共に、制御状態フラグに普通電役開放を示す値(13)をセットする普通図柄表示時間管理処理(S104)を行う。次に、普通電動役物15の開放時間が経過するまで普通電動役物15のソレノイドを駆動する処理を開放回数だけ実行した後、制御状態フラグに普通図柄ゲーム終了を示す値(14)をセットする普通電役開放処理(S105)を行う。次に、普通図柄始動記憶個数をセットすると共に、制御状態フラグに普通図柄記憶チェックを示す値(10)をセットする普通図柄ゲーム終了処理(S106)を行い、普通図柄制御処理を終了する。
図16は、本実施形態によるパチンコ機1の副制御基板40の副制御回路で行われるメイン処理の概略を示すフローチャートである。
パチンコ機1の電源が投入されると、まず始めに、サブCPU41の動作の初期化処理が行われる(図16,S111参照)。この初期化処理では、ワークRAM43のアクセス許可、バックアップ復帰処理、作業領域の初期化等の処理が実行される。引き続いて、サブCPU41は、後述する釘傾斜検出処理を行い(S112)、右釘8Rおよび左釘8Lの遊技盤2表面に対する傾斜角度を検出する。続いて、サブCPU41は、乱数更新処理を行う(S113)。この乱数更新処理では、後述するコマンド解析制御処理において演出表示パターンを決定する際(図19,S145参照)に用いられる乱数などの更新が行われる。続いて、後述するコマンド解析制御処理を行い(S114)、表示制御処理を行う(S115)。表示制御処理では、特別図柄表示装置10に表示する特別図柄等の表示制御を行う。続いて、サブCPU41は、音制御処理(S116)およびランプ制御処理(S117)を行う。音制御処理およびランプ制御処理では、ワークRAM43に記憶された演出データに基づいて、ランプ制御回路45および音声制御回路46を駆動し、ランプ・LED18の発光およびスピーカ19からの出音を制御する。S117の処理が行われた後、処理はS113に戻る。このように、副制御回路で行われるメイン処理においては、S111の初期化処理およびS112の釘傾斜検出処理が終了した後、S113〜S117の処理が繰り返し実行される。
図17は、図16に示すメイン処理が実行されている間、副制御基板40の副制御回路で定期的に行われるコマンド受信割込処理の概略を示すフローチャートである。
コマンド受信割込処理では、まず、サブCPU41は、レジスタに格納されているデータをワークRAM43の作業領域に一旦退避させる(図17,S121参照)。続いて、サブCPU41は、主制御基板30から特別図柄コマンドや変動パターンコマンドなどの各種コマンドを受信している場合、この受信したコマンドをワークRAM43の受信バッファ領域へ格納する(S122)。続いて、サブCPU41は、S121でワークRAM43の作業領域に退避させたデータをレジスタに復帰させ(S123)、コマンド受信割込処理を終了する。
図18は、上述したサブ制御メイン処理のS112において行われる釘傾斜検出処理の詳細を示すフローチャートである。
この釘傾斜検出処理では、まず、釘傾斜検出センサ9で検出された右釘8Rの傾斜方向および傾斜角度データを取得し(図18,S131参照)、次に、釘傾斜検出センサ9で検出された左釘8Lの傾斜方向および傾斜角度データを取得する(S132)。引き続いて、S131およびS132で取得した右釘8Rおよび左釘8Lの傾斜データを演算し、釘判定値を算出する(S133)。つまり、S131で取得した右釘8Rの傾斜方向および傾斜角度に基づき、図6(a)に示す釘情報決定テーブルを参照して、右釘8Rの釘判定値を決定する。また、S132で取得した左釘8Lの傾斜方向および傾斜角度に基づき、図6(b)に示す釘情報決定テーブルを参照して、左釘8Lの釘判定値を決定する。そして、決定した右釘8Rおよび左釘8Lの各釘判定値を加算し、加算して得られた釘判定値に基づき、図6(c)に示す釘情報決定テーブルを参照して、rank1〜rank5のいずれかの釘情報値を決定する。次に、決定した釘情報値をワークRAM43の所定領域にセットして(S134)、釘傾斜検出処理を終了する。
なお、上記の釘傾斜検出処理は、図16,S111に示すサブ制御メイン処理における初期化処理の後ではなく、図示しないサブ制御タイマ割込処理のスイッチ入力処理において行うようにしてもよい。
図19は、図16,S114に示すサブ制御メイン処理におけるコマンド解析制御処理の詳細を示すフローチャートである。
コマンド解析制御処理では、まず、サブCPU41は、ワークRAM43の受信バッファ領域を参照して、主制御基板30から図柄コマンドを受信したか否かを判別する(図19,S141参照)。この判別が“Yes”である場合、続いて特別図柄決定処理を行う(S142)。特別図柄決定処理では、サブCPU41は、特別図柄表示装置10に停止表示させる特別図柄を決定する。S141の判別が“No”である場合、または、S142の処理が終了すると、続いてサブCPU41は、ワークRAM43の受信バッファ領域を参照して、主制御基板30から変動パターンコマンドを受信したか否かを判別する(S143)。この判別が“Yes”である場合、サブCPU41は、図18,S134の処理でワークRAM43にセットした釘情報値を読み出して取得する(S144)。そして、S143で受信した“h0”〜“h4”のいずれかの変動パターンコマンドと、S144で取得した“rank1”〜“rank5”のいずれかの釘情報値とに基づき、表示パターンテーブル(図7参照)を参照して、“hz00”〜“hz45”のいずれかの演出表示パターンを抽籤によって決定する(S145)。続いて、決定した演出表示パターンをワークRAM43の作業領域にセットし(S146)、決定した演出表示パターンに対応する各図柄停止タイマをワークRAM43の作業領域にセットして(S147)、各図柄停止タイマに初期値をセットする。その後、サブCPU41は、特別図柄が変動表示中であることを示す値(01)を変動中フラグにセットして(S148)、コマンド解析制御処理を終了する。
また、上記のS143の判別が“No”である場合、サブCPU41は、ワークRAM43の受信バッファ領域を参照して、主制御基板30から図柄確定コマンドを受信したか否かを判別する(S149)。図柄確定コマンドは、特別図柄表示装置10に変動表示される特別図柄の変動表示の開始から変動時間が経過し、さらにその後の確定後待ち時間が経過したことを通知するコマンドであり、メインCPU31とサブCPU41との間で処理の同期をとるために主制御基板30から送信されるものである。図柄確定コマンドを受信したときには、特別図柄表示装置10における特別図柄の変動表示は終了している。従って、S149の判別が“Yes”である場合には、サブCPU41は、次回の特別図柄の変動表示に備えるために、S146でワークRAM43にセットした演出表示パターンをクリアし(S150)、特別図柄が変動表示中でないことを示す値(00)を変動中フラグにセットして(S151)、コマンド解析制御処理を終了する。
一方、S149の判別が“No”で、図柄コマンド,変動パターンコマンドおよび図柄確定コマンド以外の他のコマンドを主制御基板30から受信している場合、サブCPU41は、受信したコマンドに対応する処理を実行して(S152)、コマンド解析制御処理を終了する。
このような本実施形態によるパチンコ機1では、遊技盤2の表面に打ち込まれた右釘8Rおよび左釘8Lの傾斜状態は釘傾斜検出センサ9により検出され、検出された右釘8Rおよび左釘8Lの傾斜状態に基づいて、特別図柄表示装置10,ランプ・LED48およびスピーカ49といった演出手段に実行させる演出の演出表示パターンがサブCPU41によって決定される。このため、釘傾斜検出センサ9によって直接検出された右釘8Rおよび左釘8Lの傾斜状態に基づいて、“hz00”〜“hz45”のいずれかの演出表示パターンに応じたいずれかの演出“00”〜“45”が行われ、保留球数により間接的に判断された釘調整の状態に基づいて演出が行われる従来の遊技機に比べ、遊技者は、行われる演出からより正確に釘調整の状態を把握することができる。よって、遊技台が遊技者にとって有利なものであるか否かを、演出を参照してより的確に判断することが可能となる。
また、本実施形態によるパチンコ機1では、釘傾斜検出センサ9が図3に示すように遊技盤2の裏面に設けられているため、遊技盤2の表面を流下する遊技球が釘傾斜検出センサ9に衝突することはなく、釘傾斜検出センサ9を右釘8Rおよび左釘8Lに常時装着した状態を保てる。このため、釘調整の度に釘傾斜検出センサ9を右釘8Rおよび左釘8Lに取り付けて計測する手間を省くことができる。
また、本実施形態によるパチンコ機1では、右釘8Rおよび左釘8Lが貫通している遊技盤2の部分が弾性部材20からなるため、釘調整の際における右釘8Rおよび左釘8Lの傾きは、遊技盤2の剛性によって妨げられることはなく、弾性部材20によって自在に調整される。このため、正確な釘調整が行える。しかも、遊技盤2を突き抜けた右釘8Rおよび左釘8Lの傾きは弾性部材20を介して釘傾斜検出センサ9に伝わりやすいため、釘傾斜検出センサ9での角度検出精度の向上が図れる。
なお、上記実施形態では、釘傾斜検出センサ9を図3に示すように遊技盤2の裏面に取り付けた場合について説明したが、図4に示すように、釘傾斜検出センサ9を遊技盤に取り付けるようにしても良い。
図4(a),(b)は、釘傾斜検出センサ9の遊技盤への取り付け構造の変形例を示す縦断面図である。
同図(a)に示す釘傾斜検出センサ9の遊技盤への取り付け構造では、遊技盤が、右釘8Rおよび左釘8Lに弾かれながら表面をパチンコ球が流下する表側の遊技盤21aと、この表側の遊技盤21aから突き抜けた右釘8Rおよび左釘8Lを支持する木材や樹脂等からなる裏側の遊技盤21bとを備えている。右釘8Rおよび左釘8Lが貫通している表側の遊技盤21aの部分には、上述した弾性部材20が設けられている。釘傾斜検出センサ9は、表側の遊技盤21aと裏側の遊技盤21bとの間にある右釘8Rおよび左釘8Lの釘部分に、同図に示すように設けられている。
このような構造によれば、釘傾斜検出センサ9が表側の遊技盤21aと裏側の遊技盤21bとの間に設けられているため、遊技盤21aの表面を流下するパチンコ球が釘傾斜検出センサ9に衝突することがないうえ、裏側の遊技盤21bで右釘8Rおよび左釘8Lをしっかり固定させる事ができる。
また、同図(a)に示した表側の遊技盤21aは、右釘8Rおよび左釘8Lが貫通している部分の弾性部材20と同じ材質で、同図(b)に示すように表側の遊技盤22の全体を構成するようにしてもよい。また、図示はしないが、弾性部材を設けることなく、表側の遊技盤の全体を木材で構成するようにしてもよい。
また、本実施形態によるパチンコ機1では、図6に示す釘情報決定テーブルに示されるように、右釘8Rおよび左釘8Lの釘判定値は、傾斜方向および傾斜角度に応じて予め定められた固定値であったが、遊技店(ホール)側で自由に設定できるようにしても良い。具体的には、サブCPU41に外部からの操作入力を受け付ける操作ボタン、タッチセンサなどの操作手段を接続し、その操作結果により遊技店側で設定された釘判定値の変換データをワークRAM43に記憶させる。そしてワークRAM43に記憶された釘判定値の変更データに基づいて、上述した釘傾斜検出処理を行う。この釘判定値の設定の際、例えば、特別図柄表示装置10を構成するLCDの所定の表示領域に、図20に示す釘判定値変更画面を表示させる。この画面には、同図に示すように、釘判定値の変更の「対象の釘」、「釘方向」、「釘角度」、および「釘判定値」の選択設定項目を設ける。これら項目は指先で触れることにより、詳細なプルダウンメニューが現れ、所望のメニュー項目に触れることで、例えば、図示するように、「始動口の左釘8L」の傾斜方向「12時」、傾斜方向「3°」の傾斜状態に対する釘判定値を1に設定することが出来る。この際、設定された右釘8Rまたは左釘8Lの傾斜状態を、同図に示す「イメージ画像」のように可視表示すると、好ましい。従って、遊技店は、その店における遊技媒体の換金率などに応じて、右釘8Rおよび左釘8Lの釘判定値を所望の値に設定することが可能になる。
例えば、右釘8Rおよび左釘8Lの傾斜状態が同じでも、2000発のパチンコ球を8000円で換金する換金率の高い遊技店ではあまり始動口に入賞しなくても優良台となりうるので釘判定値を高く設定し、2000発のパチンコ球を4000円で換金する換金率の低い遊技店では始動口にたくさん入賞しなければ優良台とならないので釘判定値を低く設定する。この結果、優良台の設定を遊技店によって自由に行えるようになる。
また、上記実施形態においては、釘傾斜検出センサ9をジャイロセンサ(角速度センサ)とした場合について説明したが、釘傾斜検出センサ9として加速度センサを用いるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、普通電動役物15の上部左右の右釘8Rおよび左釘8Lに対して釘傾斜検出センサ9を装着した場合について説明したが、他の入賞口に関係する釘や、遊技盤2の表面に植設された全ての釘に対して釘傾斜検出センサ9を装着するようにしてもよい。