JP2007081075A - 窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 COD(光学損傷)レベルの高い窒化物半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】 窒化物半導体レーザ素子10の端面に、レーザ光の光を吸収することによる発熱を防ぎ、CODレベルを向上させるための窓層27を形成する。このとき窒化物半導体レーザ素子10の窓層27との界面のP(リン)濃度は1×1016原子数・cm-3以下であるものとする。
【選択図】 図5

Description

本発明は、端面に窓層が形成された窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法に関する。
窒化物半導体レーザ素子は、高密度光記録媒体を対象とした情報の読み出しや書き込みを行うための短波長光源技術として注目されている。さらに、短波長光源からの発光の可視領域への波長変換が可能なことから、照明やバックライトなどの可視光の光源としても期待されている。したがって、用途を拡大すべく、安定した動作が可能であり、出力の高い半導体レーザ素子の開発が盛んに行われている。
また、半導体レーザ素子において出力を高くした場合、レーザ光を出射する光出射端面での光密度が高くなることによって、半導体結晶が溶融したり欠陥が増殖したりするCOD(Catastrophic Optical Damage;光学損傷)が起こり問題となっている。このCODは、半導体レーザ装置の光出射端面が吸着した酸素原子等の深い準位にレーザ光が吸収されて発熱を起こすために発生する。したがって、半導体レーザ装置の光出射端面に酸素等の深い準位がなく、しかもレーザ光のエネルギーよりもバンドギャップエネルギーが大きい半導体層を光出射端面上に形成すれば、その半導体層はレーザ光に対して透明になり、光出射端面での光吸収による発熱は起こらなくなるのでCODを抑制し、CODが起こる出力であるCODレベルを上げることができる。
このように光出射端面にレーザ光のエネルギーよりもバンドギャップエネルギーが大きい半導体層が設けられた半導体レーザ素子は端面窓型半導体レーザ素子と呼ばれており、半導体高出力レーザでは必要な構造でIII−V族系化合物化合物半導体レーザ素子では、例えば特許文献1、2などが提案されている。
さらに、窒化物半導体レーザ素子においても、特許文献3において光出射端面にAlGaInNを側面成長させる方法が提案されている。また、特許文献4においてはリンを用いて端面処理を行った後、窒化物半導体を光出射端面に成長する方法が提案されている。
特公昭55−27474号公報(第1頁−第2頁、第1図) 特開昭52―74292号公報(第2頁、第1図) 特開平7−249830号公報(第2頁、図1) 特開2000−82863号公報(第5頁−第7頁、第1図)
しかしながら、特許文献3で提案された、出射側端面にAlGaInNを側面成長させる方法は、出射側端面を形成する成長が側面成長であるため、平行性および平面度を高くして、反射損失を少なくするのが難しいという問題を有している。
また、特許文献4で提案された、リンを用いて端面処理を行った後、窒化物半導体を端面に成長する方法では、発明者らの実験によると、後述するようにCODレベルを上げることができなかった。
本発明は、上記の問題点に鑑み、反射損失が少なく、かつCODレベルの高い、窓構造を有する窒化物半導体レーザ素子およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、窒化物半導体基板と、この窒化物半導体基板上に活性層を含む窒化物半導体薄膜を成長した窒化物半導体成長層と、前記窒化物半導体基板および前記窒化物半導体成長層の端面に形成された窓層とを備える窒化物半導体レーザ素子において、前記窒化物半導体成長層の、前記窓層との界面のP濃度が1×1016原子数・cm-3以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記端面が劈開により形成されていることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の発光波長が前記発光層の発光波長よりも5nm以上短いことを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の発光波長が前記発光層の発光波長よりも10nm以上短いことを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層は窒化物系III−V族半導体からなることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体がInGaNであることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体がノンドープであることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体中のAr濃度が1×1021原子数・cm-3未満であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体中のHe濃度が1×1021原子数・cm-3未満であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体にMg,Zn,Beのいずれかが含まれていることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の水素濃度が半導体層の2倍以上であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層上に誘電体膜が形成されていることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記誘電体膜がAlN、AlGaN、アルミナ、TiOx、SiOx、SiN、TaOx、NbOx、HfOxのいずれかであることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記誘電体膜が多層膜であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記誘電体膜の405nmの光が感じる反射率が3%以上15%以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体が結晶構造を有していることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体が単結晶であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子において、前記窒化物半導体基板がGaNまたはAlGaNであることを特徴とする。
また上記目的を達成するために本発明は、窒化物半導体基板上に活性層を含む窒化物半導体薄膜を成長した窒化物半導体成長層を成長させる工程と、前記窒化物半導体成長層を備える前記窒化物半導体基板に端面を形成する工程と、前記端面を真空雰囲気にさらす工程と、前記真空雰囲気にさらした端面に窓層を形成する工程とを有することを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窒化物半導体成長層を備える前記窒化物半導体基板に端面を形成する工程において、劈開によって前記端面を形成することを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を真空雰囲気にさらす工程において真空度が10Pa未満であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を真空雰囲気にさらす工程において前記窒化物半導体基板を昇温することを特徴とすることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を真空雰囲気にさらす工程での前記窒化物半導体基板の昇温温度が100℃以上750℃以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を真空雰囲気にさらす工程後、端面を窒素にさらす工程を有することを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を窒素にさらす工程において窒素源の混合ガス中の窒素濃度が1%以上であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を真空雰囲気にさらす工程後、前記端面を水素にさらす工程を有することを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記端面を真空雰囲気にさらす工程後、前記端面を窒素と水素に同時にさらす工程を有することを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窓層を形成する工程において、前記窒化物半導体基板の温度が100℃以上750℃以下であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窓層を形成する工程が分子線エピタキシー法であることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窓層を分子線エピタキシー法で形成する工程において原料として窒素を用いることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窓層を分子線エピタキシー法で形成する工程において使用する窒素の純度が99.99%よりも高いことを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窓層を分子線エピタキシー法で形成する工程においてガスセルとして高周波プラズマセル又は電子サイクロトロン共鳴プラズマセルを用い、窒素を窒素ラジカルにしていることを特徴とする。
また本発明は、上記構成の窒化物半導体レーザ素子の製造方法において、前記窓層を形成する工程において、窓層を形成したあと、前記窒化物半導体基板を水素にさらすことを特徴とする。
本発明によると、窒化物半導体レーザ素子の光出射端面に窓層が設けられており、かつ窒化物半導体成長層の、前記窓層との界面のP濃度が1×1016原子数・cm-3以下であるため、CODレベルの高い窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
また、本発明によると、窒化物半導体レーザ素子の端面が劈開によって設けられているため、端面の平行性および平面度が高く、反射損失を少ない窒化物半導体レーザ素子を容易に得ることができる。
また、本発明によると、活性層の発光波長を窓層の発光波長よりも5nm以上長いものとすることにより、または、窓層を窒化物系III−V族化合物半導体からなるものとすることにより、CODレベルの高い窒化物半導体レーザ素子を得ることができる。
また、本発明によると、窓層を形成した後、水素にさらして窓層の水素量を増加させることにより、窒化物半導体レーザ素子のスロープ効率を向上させることができる。
まず、本明細書において用語の意味を予め明らかにしておく。「窒化物半導体基板」は、AlxGayInzN(0≦x≦1;0≦y≦1;0≦z≦1;x+y+z=1)から成る基板を意味する。ただし、窒化物半導体基板の窒素元素のうちで、その約10%以下がAs、P、またはSbの元素で置換されても構わない(但し、基板の六方晶系が維持されている。)。又、窒化物半導体基板中に、Si、O、Cl、S、C、Ge、Zn、Cd、Mg、BまたはBeがドーピングされても構わない。更に、n型窒化物半導体としては、これらのドーピング材料のうちでも、Si、O、およびClが特に好ましい。窒化物半導体基板の主面方位としては、C面{0001}、A面{11−20}、R面{1−102}、M面{1−100}、または{1−101}面が好ましく用いられ得る。また、これらの結晶面方位から2°以内のオフ角度を有する基板主面であれば、その表面モホロジーが良好であり得る。
又、窒化物半導体基板上に窒化物半導体成長層として積層される窒化物半導体薄膜は、III族元素としてGa、Al、InおよびBのうち少なくとも1種類を含んでいても構わない。又、V族元素としてNまたはNとAsおよびSbのうち少なくとも1種類とを含
んでいても構わない。
「窓層」とは、劈開面に形成された半導体層のことを言い、GaN、AlN、AlGaN、InGaN、AlGaInN、ZnO、ZnS、ZnSSe等により構成される。又、「MBE装置」とは、Al、Ga、Inといった固体材料と、N2に代表される気体材料を個別に制御して試料に供給でき、試料温度を200℃以上に加熱出来、成膜室の真空度を成膜中およびクリーニング処理中にも真空度を10-3Pa以下に制御することのできる装置を言う。
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、第1の実施形態にかかる窒化物半導体成長層が形成された窒化物半導体ウェハーの斜視図である。
図1に示すように、窒化物半導体ウェハー20は、n型GaNを材料とする窒化物半導体基板21の表面に、窒化物半導体成長層30が形成されている。窒化物半導体成長層30は、厚さ0.5μmのn型GaN層31と、厚さ2μmのn型Al0.05Ga0.95Nクラッド層32と、厚さ0.1μmのn型GaNガイド層33と、活性層34(詳細は後述する)と、厚さ20nmのp型Al0.2Ga0.8Nキャリアブロック層35と、厚さ0.5μmのp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層36と、厚さ0.1μmのp型GaNコンタクト層37とが順に積層されて構成される。なお、本発明においては、窒化物半導体基板21の材料としては、n型GaNを用いたが、これに限定されるものではなく、p型のGaN、半絶縁性のGaN、Al1-xGaxN(0≦x≦1)、または上述のAlxGayInzN(0≦x≦1;0≦y≦1;0≦z≦1;x+y+z=1)などを用いても構わない。
活性層34は、厚さ20nmの下部GaN障壁層と厚さ50nmの上部GaN障壁層の間にアンドープのIn0.15Ga0.85N井戸層(厚さ:4nm)とアンドープのGaN障壁層(厚さ:8nm)とが、井戸層、障壁層、井戸層、障壁層、井戸層の順で形成されたMQW(Multiple Quantum Well;多重量子井戸)構造(井戸数3)で構成されている。井戸層および障壁層は、InxGa1-xN(0≦x<1)、AlxGa1-xN(0≦x<1)、InGaAlN、GaN1-xAsx(0<x<1)、GaN1-xx(0<x<1)、またはこれらの化合物などの窒化物半導体で形成できるが、障壁層は井戸層よりもバンドギャップエネルギーが大きくなるような組成とする。素子の発振閾値を引き下げる目的から、活性層34を井戸数が2〜4のMQW構造とすることが好ましいが、SQW(Single Quantum Well;単一量子井戸)構造とすることを排除するものではない。この場合、本明細書でいうところの井戸層に挟まれる障壁層は存在しない。
次に、窒化物半導体成長層30の製造方法を説明する。以下の説明ではMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition;有機金属化学気相蒸着法)を用いた場合を示しているが、エピタキシャル成長できる成長法であれば、MOCVD法に限定されるものではなく、MBE法(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシ法)、HVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy;ハイドライドVPE法)等、他の気相成長法を用いても構わない。
窒化物半導体基板21をMOCVD装置の成長炉内の所定のサセプタ上に設置し、キャリアガスとして、H2を5l/min流しながら、サセプタ温度を1050℃まで昇温する。昇温が終われば、原料としてアンモニア(NH3)3l/min、トリメチルガリウム((CH33Ga:TMG)を100μmol/min、SiH4を10nmol/minとして成長炉内に供給し、n型GaN層31を1μm成長させる。その後、TMGを50μmol/minに減少し、Alの原料としてトリメチルアルミニウム((CH33Al:TMA)を40μmol/minとして成長炉内に供給して、n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層32を0.7μm成長させる。n型Al0.05Ga0.95Nクラッド層32の成長が終了すると、TMAの供給を停止し、TMGを100μmol/minに増加し、n型GaNガイド層33を0.05μm成長させる。
その後、TMG、SiH4の供給を停止して、キャリアガスをH2からN2に代え、サセプタ温度を700℃まで降温し、TMGを15μmol/minとして成長炉内に供給し、GaNから成る20nm厚の下部GaN障壁層を成長させる。次に、インジウムの原料としてトリメチルインジウム((CH33In:TMI)を50μmol/min供給し、In0.15Ga0.85Nから成る4nm厚の井戸層を成長させる。次に、TMIの供給を停止し、TMGを15μm/min供給しGaNから成る8nm厚の障壁層を成長させる。以下、同様にして4nm厚の井戸層と8nm厚の障壁層を、井戸層/障壁層/井戸層の順で成長させる。引き続き、TMGを15μmol/minで成長炉内に供給し、50nmの上部GaN障壁層を成長させる。このようにして、活性層34は、下部GaN障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/障壁層/井戸層/上部GaN障壁層の順序でMQW構造として形成される。
MQW構造の活性層34が形成したのち、サセプタ温度を1050℃まで昇温し、キャリアガスをN2からH2に代え、TMAの供給量を120μmol/min、TMGの供給量を100μmol/minに増加し、p型ドーパントであるMgの原料としてビスエチルシクロペンタジエニルマグネシウム((C25542Mg:EtCp2Mg)を10nmol/minで成長炉内に供給し、Al0.2Ga0.8Nキャリアブロック層35を20nm成長させる。引き続き、TMAの供給を50μmol/minに減少し、p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層36を0.5μm成長させ、次に、TMGの供給を100μmol/minに増加し、TMAの供給を停止し、p型GaNコンタクト層37を0.1μm成長させて、窒化物半導体成長層30の成長を終了する。その後、TMGおよびEtCp2Mgの供給を停止して降温する。このようにして、窒化物半導体基板21の表面に窒化物半導体成長層30の形成された窒化物半導体ウェハー20が得られる。
上述のようにして窒化物半導体ウェハー20を作製した後、窒化物半導体レーザ素子10の作製を行う。以下に、図面を参照し、窒化物半導体レーザ素子の作製方法を説明する。図2は第1の実施形態にかかるリッジストライプおよび電極を形成した窒化物半導体ウェハーの部分斜視図、図3は第1の実施形態にかかるレーザバーの斜視図、図4はレーザバーが配置されたMBE装置の概略構成図、図5は第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図である。
まず、通常のフォトリソグラフィ技術とドライエッチング技術を用いて、幅略2μmのリッジストライプ構造を形成するように、p型GaNコンタクト層37とp型Al0.1Ga0.9Nクラッド層36をエッチングして除去する。このリッジストライプ22は図2および図5に示すようにストライプ状に共振器方向に延びている。なお、本実施形態において、ドライエッチングに用いる反応性ガスとしてSiCl4を用いるものとするが、これに限定されるものではなく、BCl3などの塩素を含有する他のガスを用いても構わない。
リッジストライプ22形成後、リッジストライプ22上部を除く窒化物半導体成長層30の表面に、電流狭窄のためにとしてSiO2からなる絶縁層24を形成する。次に、Pd、Mo、金Auを順次蒸着した後、p型GaNコンタクト層37との間でオーミック接触が得られるように高温で電極の合金化を行い、図2に示すようにp型電極25を形成する。
次に、窒化物半導体ウェハー20の窒化物半導体成長層30が形成されていない面の一部を研削や研磨により除去し、窒化物半導体基板21の厚みが100μm程度になるまで薄くする。そして、この研削や研磨が行われた窒化物半導体基板1の裏面に、HfおよびAlから成るn型電極26を形成し、窒化物半導体基板1との間でオーミック接触が得られるように高温で電極の合金化を行う。
このようにしてリッジストライプおよび電極が形成された窒化物半導体ウェハー20(図2)を、スクライブ装置を用い、リッジストライプ22が延在する方向と垂直な方向に沿って劈開することで、リッジストライプ22が延在する方向と平行な方向である共振器方向の長さである共振器長が600μmであるレーザバー41(図3)に分割する。なお、本実施例では共振器長を600μmとしているが、本発明は共振器長により制限されるものではない。実際、共振器長を1mm、1.5mm、2mmとしたものでも同様の効果を得ている。
このようにして得られたレーザバー41を、図4に示すようにMBE(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシー)装置60にセッティングした。MBE装置60には、H2やN2といった気体導入用のガスセル(H2セル62、N2セル63)とAl、Ga、Inといった固体用の固体材料用セル(Alセル61、Gaセル64、Inセル65)が複数設けられている。ガスセルとしてはRF(Radio Frequency;高周波)プラズマセルや熱クラッキングセルを用いており、固体材料用セルとしてはコニカルセルやSUMOセルを用いているが、バルブドクラッカセルを用いても良い。ガスセルはバルブにより材料の供給を制御しており、流量はバリアブルバルブにより流量を制御しているが、マスフローコントローラ等により制御を行っても良い。それぞれの固体材料セルは、Al、Ga、InをMBE装置60内に供給するものであり、シャッタ61a、64a、65aによって供給を開始および停止することができる。図4にはシャッタ64a、65aが開いている状態を示している。
真空にしたMBE装置60内でレーザバー41を常温から300℃まで加熱後、原子状水素ガンより導入された水素にさらした。なお、MBE装置60内は、300℃に加熱した際の真空度は10-6Paであり、水素にさらした際の真空度は、10-4Paであった。次にN2セル63によって窒素ガスを窒素源としてプラズマ化した窒素を導入した後、水素の供給を停止した。
その後、窒素にさらしながらレーザバー41を400℃に加熱した。次にGaセル64およびInセル65のシャッタ64a,65aを開けることによりGaおよびInをレーザバー41の劈開によって形成された端面に供給し、アンドープInGaNからなる窓層27を1.5μm形成した。なお、窓層27として、アンドープの窒化物系III−V族半導体や、窒化物系III−V族半導体、例えばInGaNにMg、Zn、Beドープしたものを用いてもよい。又、今回は金属GaおよびInを原料として用いたが、TMIやTMGをガスセルを通してMBE装置60内に導入し、窓層形成用III族材料に用いても良い。
その後、Gaセル64およびInセル65のシャッタ64a,65aを閉じることにより、GaおよびInの供給を停止し、Alセル61のシャッタ61aを開けAlを端面に供給することにより、窓層27の表面に、窓層27の保護用にAlNからなる誘電体膜28を50nm形成した。このときN2セル63に使用した窒素ガスの純度は7N(99.99999%)であった。なお、誘電体膜28として、AlN以外に、AlGaN、アルミナ(Al23)、TiOx、SiOx、SiNx、TaOx、NbOx、HfOxのような誘電体からなる膜を用いることができる。又、AlN,AlGaN、アルミナ、TiOx、SiOx、SiNx、TaOx、NbOx、HfOxからなる群より選ばれた2種類の誘電体を多層膜にしたものを用いてもよい。さらに、半導体を不動態化し、405nmの光が感じる反射率が3%以上15%以下にすることができるものを用いてもよい。
その後、レーザバー41をMBE装置60より取り出し、窓層27が設けられていない方の端面に反射率95パーセントのHR(High Reflection)コーティング膜29を形成した。本実施形態では、HRコーティング膜29の材料にはSiO2、TiO2の多層膜を用いるものとするが、これ以外の材料を用いても構わない。例えば、SiN、ZrO2、Ta25、MgF2等の誘電体を単層または、複数層用いても構わない。その後、レーザバー41を個々の窒化物半導体レーザ素子10に分割した。
上述のようにして作製された窒化物半導体レーザ素子10をレーザパッケージ内に密閉封止実装した窒化物半導体レーザ装置を作製し、駆動電流を増加させてCOD破壊に至る出力を測定するCOD試験を行った。図6に、3個の窒化物半導体レーザ装置についてCOD試験を行った際の駆動電流と光出力との関係を示すグラフを示す。図6からわかるように、第1の実施形態の窒化物半導体レーザ素子ではCODレベルは約500mWであり、良好な値であった。
また、活性層34と窓層27の発光波長を調べたところ、活性層34の発光波長は406nm、窓層27の発光波長は370nmであり窓層と活性層の発光波長の差(活性層34の発光波長から窓層27の発光波長を引いた値)は36nmであった。ここで、窓層27および活性層34の発光波長は窒化物半導体レーザ素子をリッジストライプ22が延在する方向と平行な方向の断面より、それぞれカソードルミネセンス法によって測定した。
また、第1の実施形態では、レーザ光の出射する端面が劈開によって形成されているため、出射側端面を形成する成長が側面成長である場合と比べて、共振器を形成する端面の平行性および平面度を高くして、反射損失を少なくすることが容易にできる。また、p型電極25およびn型電極26の形成後に窒化物半導体ウェハー20を劈開し、窓層27を形成しているため、活性層34よりも熱伝導率の高い窓層27が、窒化物半導体成長層30のみならず、熱伝導率の高い金属により形成されているp型電極25およびn型電極26に接しているため、熱はけが良くなり、CODレベルの向上に寄与している。
次に、第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の特性を確認するための比較例と比較結果を以下に示す。
(比較例1)
第1の実施形態において、窒化物半導体ウェハー20を劈開してレーザバー41に分割後、窓層27および誘電体膜28を形成する前に、レーザバー41をフォスフィン(PH3)ガス雰囲気中で、圧力13.3kPa(100Torr)、レーザバー41温度650℃、20分間の条件下でリン処理した後、再びレーザバー41を加熱してリンを昇華させてリンを取り除いた、窒化物半導体レーザ素子を作製した。
第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子とリン処理した窒化物半導体レーザ素子についてCOD試験を行った後、窒化物半導体成長層30の窓層27との界面のP濃度をSIMS(Secondary Ionization Mass Spectrometer;二次イオン質量分析計)により測定を行った結果を図7に示す。図7は、横軸をP濃度、縦軸をCODレベルとしたグラフである。図7からわかるように、リン処理した試料では窒化物半導体成長層30の窓層27との界面のPの濃度は1×1017原子数・cm-3以上であり、CODレベルも100mW程度である。それに対し第1の実施形態にかかる試料ではCODレベルは500mWと良好な値であり、Pの濃度は1×1016原子数・cm-3以下である。この結果から、窒化物半導体成長層30の窓層27との界面のP濃度が1×1016原子数・cm-3以下であればCODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子が得られることがわかる。
(比較例2)
第1の実施形態において窓層27の材料を変えた窒化物半導体レーザ素子を作成した。窓層27の材料として、InxGa1-xN(InGaN、0<x<1)、AlxGa1-xN(AlGaN、0<x<1)、AlGaInN、ZnOおよびZnSxSe1-x(ZnSSe、0<x<1)を用いた。これらの窒化物半導体レーザ素子10について、活性層34と窓層27の発光波長の差とCODレベルとの関係を調べた。この場合も窓層27および活性層34の発光波長は窒化物半導体レーザ素子をリッジストライプ22が延在する方向と平行な方向の断面より、それぞれカソードルミネセンス法によって測定した。図8は、その結果を示すグラフであり、横軸を発光波長差、縦軸をCODレベルとしている。図8から、窓層27の材料として窒化物系III−V族化合物半導体を用いた場合、特にInGaNを用いた場合、高いCODレベルを得ることができることがわかる。また、窒化物系化合物半導体を用いた場合において、活性層34と窓層27の発光波長の差が5nm以上ではCODレベルは400mW以上と優れており、発光波長の差が10nm以上ではCODレベルは約500mWであり、より優れていることがわかる。
(比較例3)
第1の実施形態において、MBE装置60におけるレーザバー41の常温から300℃への加熱を、MBE装置60内の真空度が10Paで処理を行った窒化物半導体レーザ素子を作製した。この窒化物半導体レーザ素子は、CODレベルが121mWであり、真空度が10-6Paの第1の実施形態と比べて極端に低下した。また、MBE装置60内の真空度が10-3Paで処理を行った窒化物半導体レーザ素子は、CODレベルが300mWであった。これらの結果から、CODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子を得るには、MBE装置60の真空度が10Pa未満、望ましくは10-3Pa未満であることが必要であることがわかる。
(比較例4)
第1の実施形態において、MBE装置60における真空雰囲気下でのレーザバー41の常温からの加熱温度を変えた試料を作成した。加熱温度が100℃未満の場合、発光するものの発振しない窒化物半導体レーザ素子が発生し、加熱温度が300℃である第1の実施形態の場合と比べて歩留りが悪くなった。また、加熱温度が750℃より高い場合、p型電極25、n型電極26が正常に形成できない電極異常が多発し、窒化物半導体レーザ素子を得ることができなかった。この結果から、安定して窒化物半導体レーザ素子を作製するには、MBE装置60における真空雰囲気下でのレーザバー41の常温からの加熱温度が100℃以上750℃以下であることが必要であることがわかる。
(比較例5)
第1の実施形態において、MBE装置60内でレーザバー41を窒素にさらさずに窓層27を形成し、窒化物半導体レーザ素子10を作製した。その結果、レーザバー41の端面から窒素抜けが起こり、窓層27の平坦性が極端に落ちた。一方、窒素源としてNH3、NH2、NH、ヒドラジン(H2NNH2)を用いた試料を作成したところ、いずれもCODレベルは400mWと良好であった。これらの結果から、MBE装置60内でレーザバー41を、窒素ガス、NH3、NH2、NH、ヒドラジンを窒素源とする窒素にさらした場合、CODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子が得られることがわかる。
(比較例6)
第1の実施形態において、MBE装置60に替えて、EB(Electron Beam;電子ビーム)蒸着機により窓層27を形成した窒化物半導体レーザ素子10を作製したところ、CODレベルは200mWと悪かった。SIMSにより深さ方向分析をしたところ、窓層27中に酸素が1018〜1020原子数cm-3残留していることがわかった。よって、CODレベルが低い値であった理由は、この残留酸素により窓層27中の欠陥が増殖し、窒化物半導体成長層30と窓層27の界面が荒れるためであると考えられる。
また、Arを用いたECR(Electron Cyclotron Resonance;電子サイクロトロン共鳴)スパッタ装置により窓層27を形成した窒化物半導体レーザ素子10では、初期状態でのCODレベルは、500mWと良好な値であった。ところが、80℃、CW(Continuous−Wave;連続発振)100mWの条件で200時間エージングを行った後ではCODレベルが200mWまで下がってしまった。図9は、その結果を示すグラフであり、横軸をエージング時間、縦軸をCODレベルとしている。図9には、100時間のエージング後のCODレベルも記載している。SIMSにより深さ方向分析をしたところ、窓層27中にArが1021原子数cm-3残留していることがわかった。よって、CODレベルが、初期状態では良好であったが、エージング後に低下した理由は、この残留Arにより窓層27中の欠陥が増殖し、窒化物半導体成長層30と窓層27の界面が荒れるためであると考えられる。
また、Heを用いたECRスパッタ装置により窓層27を形成した窒化物半導体レーザ素子10では、初期状態でのCODレベルは500mWと良好な値であったが、上記と同様の条件で200時間エージングを行った後では200mWまで下がってしまった。図9にはこれらの結果を、100時間のエージング後のCODレベルも含めて記載している。SIMSにより深さ方向分析をしたところ、窓層27中にHeが1021原子数cm-3残留していることがわかった。よって、CODレベルが、初期状態では良好であったが、エージング後に低下した理由は、この残留Heにより窓層27中の欠陥が増殖し、窒化物半導体成長層30と窓層27の界面が荒れるためであると考えられる。
第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子についても上記と同様の条件で100時間および200時間エージングを行い、その結果を図9に記載している。図9より、第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子は、エージング後においても高いCODレベルを維持していることがわかる。
この一連の結果より、窓層27の形成にMBE装置60を用いることにより、ECRスパッタ装置を用いた場合と比べて窓層27中の残留不純物を下げることができ、初期状態のみならずエージング後においてもCODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子が得られることがわかる。また、初期状態のみならずエージング後においてもCODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子を得るには、窓層27中のArおよびHe濃度は1021原子数cm-3未満であることが必要であることがわかる。
(比較例7)
第1の実施形態において、MBE装置60内でレーザバー41を窒素にさらす工程において、窒素源を窒素ガスに替えて、窒素ガスとArガスの混合比を変化させて窒素の濃度を変えた混合ガスを用いて窒化物半導体レーザ素子を作製した。混合ガス中の窒素濃度が1%以上では、CODレベルが約500mWと、ほぼ第1の実施形態と同様の結果が得られたが、1%未満ではCODレベルが300mWまで低下した。この結果から、窒素源として、窒素濃度が1%以上の混合ガスを用いた場合、CODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子10が得られることがわかる。
(比較例8)
第1の実施形態において窒素源として純度が99.99%の窒素ガスを用いて窓層27および誘電体膜28を形成した窒化物半導体レーザ素子を作製したところ、CODレベルは200mWと、第1の実施形態のように7Nの窒素ガスを用いた場合と比べて悪かった。この結果から、CODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子を得るには、窒素源として純度が99.99%よりも高い窒素ガスを用いることが必要であることがわかる。
(比較例9)
第1の実施形態において、ガスセルをRFプラズマセル61に替えてECRプラズマセルを用いてラジカル化した窒素を導入して窒化物半導体レーザ素子を作製した。CODレベルは450mWと、RFプラズマセルを用いた場合の500mWと比べても大きく低下していなかった。同様に、RFプラズマセルに替えて熱クラッキングセルによって窒素を導入して試料を作成したところ、CODレベルは350mWとRFプラズマセルを用いたものの方が良かった。この結果から、窒素を導入するのにRFプラズマセルまたはECRプラズマセルを用いればCODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子が得られることがわかる。
(比較例10)
第1の実施形態において、MBE装置60内でレーザバー41を水素にさらさずに窒化物半導体レーザ素子を作製したところ、この窒化物半導体レーザ素子のCODレベルは500mWとほぼ同程度であった。しかし、発光するものの発振しない窒化物半導体レーザ素子が発生し、水素にさらした場合と比べて歩留りが若干低下した。この結果から、安定して動作する窒化物半導体レーザ素子を作製するには、レーザバー41を水素にさらすことが必要であることがわかる。
(比較例11)
第1の実施形態において、窓層27を形成する工程におけるレーザバー41の加熱温度のみを変えて窒化物半導体レーザ素子を作製した。加熱温度が100℃未満ではCODレベルが300mWと低かった。電子線回折法によってこの窒化物半導体レーザ素子の窓層27部分の構造を解析したところ、アモルファス状であった。一方、加熱温度が400℃の第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子では、結晶構造を有していた(回折パターンが現れた)。更に、加熱温度を450℃としたところ、熱飽和し、CODしなかった。TEM解析を行ったところ、窒化物半導体成長層30に接した部分の窓層27は単結晶になっていた。結晶化させることにより光学吸収が減少することと、熱伝導率が上がることによりCODレベルが上がっていると考えられる。また、加熱温度が750℃よりも高い場合、電極異常が多発し、サンプルを得ることができなかった。この結果から、CODレベルが良好な窒化物半導体レーザ素子を得るには、窓層27を形成する工程におけるレーザバー41の加熱温度は少なくとも100℃以上750℃未満とする必要があることがわかる。また、窓層27が結晶構造を有することが必要であることがわかる。
《第2の実施形態》
本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、窓層をMgドープInGaNとし、窓層成長後、レーザバーを水素にさらしたほかは第1の実施形態と同じであり、構成は第1の実施形態と実質上同一である。
第2の実施形態において、窓層27はMgドープInGaNからなるものとし、窓層27の成長後、レーザバーを圧力10-3Pa、温度300℃の条件で20分間水素にさらした。このようにして作製した窒化物半導体レーザ素子10は、CODレベルが500Wと第1の実施形態と同様であり、さらにスロープ効率(図6に示す直線の傾き)が第1の実施形態よりも向上した。
これは、窓層27にドープされたMgが水素により終端され、窓層27の抵抗が高くなり、無効電流が減ったためであると考えられる。この窒化物半導体レーザ素子10についてSIMSにより本実施例の試料の水素濃度を調べたところ、窓層27の水素原子濃度は窒化物半導体成長層30中の水素濃度の2倍以上であった。また、窓層27をMgドープInGaNとし、窓層27の成長後、レーザバー41を水素にさらさずに作製した窒化物半導体レーザ素子10の水素濃度と比べても高かった。
このことから、窓層27の成長後にレーザバー41を水素にさらすことにより、窓層27の水素濃度を増大させ、窒化物半導体レーザ素子のスロープ効率を向上させることができることがわかる。このとき、窓層27の水素原子濃度は窒化物半導体成長層30中の水素濃度の2倍以上であることが好ましい。
第1の実施形態にかかる窒化物半導体ウェハーの斜視図 第1の実施形態にかかるリッジストライプおよび電極を形成した窒化物半導体ウェハーの部分斜視図 第1の実施形態にかかるレーザバーの斜視図 レーザバーが配置されたMBE装置の概略構成図 第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の斜視図 第1の実施形態にかかる窒化物半導体レーザ素子の駆動電流と光出力との関係を示すグラフ 窒化物半導体成長層の窓層との界面のP濃度とCODレベルとの関係を示すグラフ 活性層と窓層の発光波長の差とCODレベルとの関係を示すグラフ 窓層の形成条件を変えた場合のエージング時間とCODレベルとの関係を示すグラフ
符号の説明

10 窒化物半導体レーザ素子
20 窒化物半導体ウェハー
21 窒化物半導体基板
27 窓層
28 誘電体膜
30 窒化物半導体成長層
31 n型GaN層
32 n型Al0.1Ga0.9Nクラッド層
33 n型GaNガイド層
34 活性層
35 p型GaNガイド層
36 p型Al0.1Ga0.9Nクラッド層
41 レーザバー
60 MBE(分子線エピタキシー)装置
61 Alセル
62 H2セル(熱クラッキングセル)
63 N2セル(RF(高周波)プラズマセル)
64 Gaセル
65 Inセル

Claims (33)

  1. 窒化物半導体基板と、この窒化物半導体基板上に活性層を含む窒化物半導体薄膜を成長した窒化物半導体成長層と、前記窒化物半導体基板および前記窒化物半導体成長層の端面に形成された窓層とを備える窒化物半導体レーザ素子において、
    前記窒化物半導体成長層の、前記窓層との界面のP濃度が1×1016原子数・cm-3以下であることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記端面が劈開により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記窓層の発光波長が前記発光層の発光波長よりも5nm以上短いことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記窓層の発光波長が前記発光層の発光波長よりも10nm以上短いことを特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記窓層は窒化物系III−V族半導体からなることを特徴とする請求項3または4に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体がInGaNであることを特徴とする請求項5に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体がノンドープであることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  8. 前記窓層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体中のAr濃度が1×1021原子数・cm-3未満であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  9. 前記窓層を構成する窒化物系III−V族化合物半導体中のHe濃度が1×1021原子数・cm-3未満であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  10. 前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体にMg,Zn,Beのいずれかが含まれていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  11. 前記窓層の水素濃度が半導体層の2倍以上であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  12. 前記窓層上に誘電体膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  13. 前記誘電体膜がAlN、AlGaN、アルミナ、TiOx、SiOx、SiN、TaOx、NbOx、HfOxのいずれかであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  14. 前記誘電体膜が多層膜であることを特徴とする請求項12または13に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  15. 前記誘電体膜の405nmの光が感じる反射率が3%以上15%以下であることを特徴とする請求項12または13に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  16. 前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体が結晶構造を有していることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  17. 前記窓層の窒化物系III−V族化合物半導体が単結晶であることを特徴とする請求項16に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  18. 前記窒化物半導体基板がGaNまたはAlGaNであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  19. 窒化物半導体基板上に活性層を含む窒化物半導体薄膜を成長した窒化物半導体成長層を成長させる工程と、前記窒化物半導体成長層を備える前記窒化物半導体基板に端面を形成する工程と、前記端面を真空雰囲気にさらす工程と、前記真空雰囲気にさらした端面に窓層を形成する工程とを有することを特徴とする窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  20. 前記窒化物半導体成長層を備える前記窒化物半導体基板に端面を形成する工程において、劈開によって前記端面を形成することを特徴とする請求項19に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  21. 前記端面を真空雰囲気にさらす工程において真空度が10Pa未満であることを特徴とする請求項19または20に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  22. 前記端面を真空雰囲気にさらす工程において前記窒化物半導体基板を昇温することを特徴とすることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  23. 前記端面を真空雰囲気にさらす工程での前記窒化物半導体基板の昇温温度が100℃以上750℃以下であることを特徴とする請求項22に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  24. 前記端面を真空雰囲気にさらす工程後、端面を窒素にさらす工程を有することを特徴とする請求項19〜23のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  25. 前記端面を窒素にさらす工程において窒素源の混合ガス中の窒素濃度が1%以上であることを特徴とする請求項24に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  26. 前記端面を真空雰囲気にさらす工程後、前記端面を水素にさらす工程を有することを特徴とする請求項21〜25のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  27. 前記端面を真空雰囲気にさらす工程後、前記端面を窒素と水素に同時にさらす工程を有することを特徴とする請求項21〜23のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  28. 前記窓層を形成する工程において、前記窒化物半導体基板の温度が100℃以上750℃以下であることを特徴とする請求項21〜27のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  29. 前記窓層を形成する工程が分子線エピタキシー法であることを特徴とする請求項28に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  30. 前記窓層を分子線エピタキシー法で形成する工程において原料として窒素を用いることを特徴とする請求項29に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  31. 前記窓層を分子線エピタキシー法で形成する工程において使用する窒素の純度が99.99%よりも高いことを特徴とする請求項30に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  32. 前記窓層を分子線エピタキシー法で形成する工程においてガスセルとして高周波プラズマセル又は電子サイクロトロン共鳴プラズマセルを用い、窒素を窒素ラジカルにしていることを特徴とする請求項30または31に記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
  33. 前記窓層を形成する工程において、窓層を形成したあと、前記窒化物半導体基板を水素にさらすことを特徴とする請求項19〜32のいずれかに記載の窒化物半導体レーザ素子の製造方法。
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