JP2007079491A - ベルト駆動制御装置および画像形成装置 - Google Patents

ベルト駆動制御装置および画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 複数のローラに張架された無端状のベルトの移動速度の制御を安定して精度よく行うことができるベルト駆動制御装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】
搬送ベルトの移動速度の変動を、エンコーダ13により検出される角変位検出ローラの角変位に基づいて検出して、検出された搬送ベルトの移動速度変動に対応した信号から従動ローラの回転周期変動成分の周波数波形を検出し、この検出した周波数波形に基づいて前記信号を補正して、この補正結果に基づいてベルト駆動モータ15をフィードバック制御して搬送ベルトを駆動制御する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状のベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御装置および画像形成装置に関する。
電子写真方式のカラープリンタ、カラー複写機等の画像形成装置において、近年、画像出力の高速化を図るために、異なる色のトナー像をそれぞれ形成するための複数の画像形成部を直列に配置して、記録媒体としての記録紙を無端状の搬送ベルトで搬送しながら各画像形成部で形成した各色のトナー像を重畳転写して、この記録紙上にフルカラーのトナー像を転写する、タンデム方式の画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような画像形成装置(例えば、カラー複写機)は、例えば、図11に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成するための4つの画像形成部100、101、102、103が順に一列に配置されており、画像形成部100には、感光体ドラム104、帯電ローラ105、現像器106、転写ローラ107等をそれぞれ備えている。なお、画像形成部101、102、103にも同様に、感光体ドラム、帯電ローラ、現像器、転写ローラ等をそれぞれ備えている。
また、各画像形成部100、101、102、103の転写部位を通過するようにして無端状の搬送ベルト108が設けられており、この搬送ベルト108は、駆動モータ(不図示)が連結された駆動モータ109、搬送ベルト108の移動速度の変動を検出するためのエンコーダ(不図示)を取り付けた従動ローラとしての角変位検出ローラ110、搬送ベルト108にテンションを与えるテンションローラ111および複数の従動ローラ112,113,114との間に張架されている。
画像形成動作時には、先ず、画像形成部100において、帯電ローラ105で均一に帯電された感光体ドラム104の表面に、露光装置115により原稿(不図示)のイエロー成分色の画像信号に応じた露光を行って静電潜像を形成する。そして、現像器106によりこの静電潜像にイエロートナーを付着させて、イエロートナー像として可視像化する。そして、給紙カセット116、117や手差しトレイ118から記録紙Sを搬送し、移動する搬送ベルト108上に静電吸着される記録紙Sを、所定のタイミングで感光体ドラム104と転写ローラ107間の転写部位に搬送して、記録紙S上にイエロートナー像を形成する。
以下同様にして、各画像形成部101、102、103でそれぞれ形成されたマゼンタトナー像、シアントナー像、ブラックトナー像を、移動する搬送ベルト108上に静電吸着された記録紙S上のイエロートナー像に重畳転写してフルカラーのトナー像を形成し、定着装置119でフルカラーのトナー像を記録紙S上に加熱・加圧して定着した後に、排紙トレイ120に排紙される。
ところで、駆動ローラ109の回転駆動によって移動する搬送ベルト108の移動方向の速度変動の要因として、駆動ローラ109の振れや、この駆動ローラ109の駆動源である駆動モータ(不図示)から駆動ローラ109までの駆動伝達系の誤差、例えば、歯車列の偏心や歯車の累積ピッチ誤差などによる伝達誤差がある。更には、従動ローラ112,113,114の偏心も挙げられる。このような要因による搬送ベルト108の移動方向の速度変動は、角変位検出ローラ110に取り付けたエンコーダ(不図示)によって検出することができる。
即ち、搬送ベルト108の移動速度が変動すると、従動回転する角変位検出ローラ110の回転速度もそれに応じて変動する。これにより、角変位検出ローラ110に取り付けたエンコーダで角変位検出ローラ110の回転速度の変動を検出することにより、搬送ベルト108の移動速度の変動を検出することができる。
エンコーダ(不図示)を取り付けた角変位検出ローラ110の配置は、搬送ベルト108の移動速度を一定にしたい領域、即ち、記録紙Sを表面に静電吸着して各画像形成部100、101、102、103の各転写部位を移動する記録紙搬送面近傍の従動ローラ112の位置が望ましい。
しかしながら、図11に示したような画像形成装置では、画像形成部100の上流側に位置する従動ローラ112が揺動可能な構成となっているで、この従動ローラ112にエンコーダを固定することが難しい。この従動ローラ112を揺動可能な構成とするのは、搬送ベルト108が各画像形成部100、101、102、103の各転写部位に接するフルカラーのトナー像を形成する状態と、搬送ベルト108が画像形成部103の転写部位に接するモノクロのトナー像を形成する状態を実現するためである。
この2つの状態を持つことで、モノクロ画像の作成時にカラー色の各画像形成部100、101、102の各感光体ドラム104を回転駆動する必要がなく、省エネ効果、長寿命化、高速化を図ることができる。このような理由から、エンコーダ(不図示)を取り付けた角変位検出ローラ110は、図11のように前記従動ローラ112近傍でその上流側に配置されている。
ところで、図11に示した画像形成装置では、搬送ベルト108の移動方向の速度変動を制御する制御対象面は、従動ローラ112から各画像形成部100、101、102、103の各転写部位を通して従動ローラ113、駆動ローラ109の間である。図11のように、搬送ベルト108の移動方向の変位を検出するためのエンコーダ(不図示)を取り付けた角変位検出ローラ110が駆動ローラ109と従動ローラ112との間にある構成において、従動ローラ112の偏心により搬送ベルト108の移動速度が変動した場合には、角変位検出ローラ110に取り付けたエンコーダ(不図示)によって速度変動を検出することができるが、搬送ベルト108の前記制御対象面には、従動ローラ112の偏心による影響は表れない。
そのため、この場合には、角変位検出ローラ110に取り付けたエンコーダ(不図示)から得られた信号に基づいて駆動ローラ109の駆動モータ(不図示)の駆動を制御して搬送ベルト108を駆動制御すると、搬送ベルト108の前記制御対象面に従動ローラ112の偏心による回転変動を与えてしまうことになる。
このように、従動ローラ112の偏心に起因する搬送ベルト108の移動速度の変動は、角変位検出ローラ110に取り付けたエンコーダ(不図示)で検出することができるが、従動ローラ112の偏心に起因する搬送ベルト108の移動速度の変動が搬送ベルト108の前記制御対象面に表れない理由について、図12を参照して説明する。図12は、図11に示した画像形成装置の複数のローラ間に張架された搬送ベルトを簡易化して示した概略図である。
図12に示すように、無端状の搬送ベルト108は、駆動モータ(不図示)が連結された駆動ローラ109と、搬送ベルト108にテンションを与えるテンションローラ111と、搬送ベルト108の移動速度の変動を検出するためのエンコーダ121を取り付けた従動ローラとしての角変位検出ローラ110と、搬送ベルト108の移動にともなって従動回転する従動ローラ112との間に張架されている。テンションローラ111と従動ローラ112は、揺動自在に支持されている。なお、図12において、搬送ベルト108の前記した制御対象面に相当する部分は、テンションローラ112と駆動ローラ109との間のベルト搬送面108aである。
そして、従動ローラ112に偏心がある場合、この従動ローラ112は、搬送ベルト108の移動にともなって揺動中心122を中心にして実線で示した位置(実線の従動ローラ112の位置)と一点鎖線で示した外側の位置(一点鎖線の従動ローラ112′の位置)を半周期ごとに通過するように揺動する。この際、搬送ベルト108は従動ローラ112の外周面に接しているので、実線の従動ローラ112の位置から一点鎖線の従動ローラ112′の位置に揺動したときには、角変位検出ローラ110と従動ローラ112(従動ローラ112′)との間において、搬送ベルト108の搬送経路は搬送経路108bから搬送経路108cへと少し長くなるように変化する。
更に、前記のように実線の従動ローラ112の位置から一点鎖線の従動ローラ112′の位置に揺動すると、テンションローラ111は、搬送ベルト108の張力によって揺動中心123を中心にして実線で示した位置(実線のテンションローラ111の位置)と一点鎖線で示した内側の位置(一点鎖線のテンションローラ111′の位置)を半周期ごとに通過するように揺動する。この際、搬送ベルト108はテンションローラ111の外周面に接しているので、実線のテンションローラ111の位置から一点鎖線のテンションローラ111′の位置に揺動したときには、テンションローラ111(テンションローラ111′)と角変位検出ローラ110との間において、搬送ベルト108の搬送経路は搬送経路108dから搬送経路108eへと少し短くなるように変化する。
このように、偏心を有する従動ローラ112が搬送ベルト108の移動にともなって従動回転すると、駆動ローラ109からテンションローラ111を介して角変位検出ローラ110に至る搬送ベルト108の搬送経路が変化する。これにより、搬送ベルト108の角変位検出ローラ110の外周面での移動速度が変化する。
また、駆動ローラ109と搬送ベルト108との間にスリップがない場合には、前記のように従動ローラ112に偏心が有っても駆動ローラ09の回転速度と、搬送ベルト108の従動ローラ112と駆動ローラ109間のベルト搬送面(制御対象面)108aでの移動速度は一定の関係にある。
このように、従動ローラ112に偏心が有る場合でも搬送ベルト108の制御対象面(ベルト搬送面108a)では、搬送ベルト108の移動速度は駆動ローラ109の回転速度に対応して一定であるが、前記したようにテンションローラ111から角変位検出ローラ110を介して従動ローラ1124間に位置する搬送ベルト108のベルト面では、搬送ベルト108の移動速度は駆動ローラ109の回転速度に対応してなく変動している。
そこで、従動ローラ112に偏心がある場合でも、搬送ベルト108の制御対象面に対して、従動ローラ112の偏心による回転変動の影響を抑制する手段を備えた画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
前記特許文献2の画像形成装置では、搬送ベルトの移動速度変動として検出された速度変動成分のうち、搬送ベルトの前記制御対象面の移動速度変動には含まれていない周波数成分(従動ローラの偏心に起因する周波数成分)をフィルタ処理にて減衰させ、その処理結果に基づいて駆動ローラを駆動する駆動モータの駆動制御数値を算出して、搬送ベルトの移動速度が一定となるように制御している。
特開2005−77681号公報(図11) 特開2005−37628号公報(図5)
ところで、前記特許文献2のような方法で搬送ベルトの移動速度の制御を行う場合、搬送ベルトの移動速度変動として検出された速度変動成分のうち、搬送ベルトの前記制御対象面の移動速度変動には含まれていない周波数成分(従動ローラの偏心に起因する周波数成分)と制御したい周波数成分は、1〜数Hz(ヘルツ)前後の近接した周波数帯に集中している。
しかしながら、従動ローラの偏心に起因する周波数成分のみを除去するフィルタ処理を設計することは難しく、前記特許文献2では、低域通過IIRローパスフィルタを用いて、除去したい周波数成分を含む高周波成分を減衰させるようにしているが、制御したい周波数成分も減衰させて制御機能を低下させてしまう虞があった。
そこで、本発明は、ベルトの移動速度変動を抑制して安定した移動を実現できるベルト駆動制御装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状のベルトを、前記駆動ローラの回転駆動によって移動させるときに、前記ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置において、前記ベルトの移動速度の変動を検出する変動検出手段と、前記変動検出手段で検出された前記ベルトの移動速度変動に対応した信号から所定の周波数波形を検出する波形検出手段と、検出した前記所定の周波数波形に基づいて前記信号を補正し、この補正結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
また、請求項2に記載の発明は、前記ベルトが、少なくとも、前記駆動手段からの駆動力により回転駆動する前記駆動ローラと、前記ベルトにテンションを付与するテンションローラと、周期的な回転周期変動を引き起こす前記従動ローラと、前記ベルトの移動速度の変動を検出する前記変動検出手段を設けた検出ローラとの間に張架されており、
前記変動検出手段は、前記テンションローラと前記従動ローラとの間に位置し、前記制御手段は、前記ベルトの前記駆動ローラと前記従動ローラとの間の制御対象面に対して、前記従動ローラの周期的な回転周期変動による影響を与えないように前記駆動手段を制御することを特徴としている。
また、請求項3に記載の発明は、前記波形検出手段が、検出した前記所定の周波数波形の振幅および位相を算出する算出手段を有することを特徴としている。
また、請求項4に記載の発明は、前記波形検出手段が、検出した前記所定の周波数波形を波形整形する波形整形手段を有することを特徴としている。
また、請求項5に記載の発明は、前記所定の周波数波形が、前記ベルトの移動に伴って従動回転する前記従動ローラの回転に起因した回転周期変動に対応していることを特徴としている。
また、請求項6に記載の発明は、前記所定の周波数波形が、前記変動検出手段で検出される、前記従動ローラの回転に起因した複数の回転周期変動のうち、最大の振幅を有する周波数波形であることを特徴としている。
また、請求項7に記載の発明は、前記所定の周波数波形が、前記変動検出手段で検出される、前記従動ローラの回転に起因した複数の回転周期変動のうち、極大振幅の平均値を有する周波数波形であることを特徴としている。
また、請求項8に記載の発明は、前記変動検出手段が、前記複数のローラのうちのいずれかのローラの回転角変位を検出するエンコーダであることを特徴としている。
また、請求項9に記載の発明は、前記変動検出手段が、前記ベルト上に一定間隔で設けたパターンを検出する非接触センサであることを特徴としている。
また、請求項10に記載の発明は、前記駆動ローラおよび前記従動ローラを含む前記複数のローラのそれぞれの径が異なることを特徴としている。
また、請求項11に記載の発明は、複数の像担持体と、前記各像担持体上に形成された静電潜像にトナー像を付着させて顕像化する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状の搬送ベルトと、を備え、移動する前記搬送ベルト上に記録媒体を吸着させ、前記各像担持体と転写手段との転写部位に前記記録媒体を搬送して、前記トナー像を前記記録媒体上に転写させる画像形成装置において、前記搬送ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置として、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置を用いることを特徴としている。
また、請求項12に記載の発明は、像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像にトナー像を付着させて顕像化する現像手段と、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状の中間転写ベルトと、を備え、前記中間転写ベルト上に前記像担持体のトナー像を一次転写した後に、前記中間転写ベルト上に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置において、前記中間転写ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置として、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置を用いることを特徴としている。
また、請求項13に記載の発明は、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状の像担持ベルトと、前記像担持ベルト上に形成された静電潜像にトナー像を付着させて顕像化する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置において、前記像担持ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置として、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置を用いることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、従動ローラなどの偏心に伴う回転周期変動成分を除去して、駆動手段の駆動を精度よくフィードバック制御することができるので、ベルトの移動速度変動を抑制して安定した移動を実現することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、ベルトの駆動ローラと従動ローラとの間の制御対象面に対して、従動ローラの周期的な回転周期変動による影響を与えないようにすることができる。
また、請求項3に記載の発明によれば、検出した所定の周波数波形の振幅および位相を算出することができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、検出した所定の周波数波形を波形整形することにより、余分な周波数成分を除去することが可能となる。
また、請求項5に記載の発明によれば、周期的なベルト搬送経路変動を引き起こす従動ローラの回転周期変動を検出することができる。
また、請求項6に記載の発明によれば、ベルト搬送経路変動を引き起こす従動ローラの回転周期変動のうちの最大の振幅を有する周波数波形を検出することができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、ベルト搬送経路変動を引き起こす従動ローラの回転周期変動のうちの極大振幅の平均値を有する周波数波形を検出することができる。
また、請求項8に記載の発明によれば、エンコーダで検出されるローラの角速度変位に基づいてベルトの移動速度変動を検出することができる。
また、請求項9に記載の発明によれば、非接触センサで検出されるベルト上のパターン情報に基づいてベルトの移動速度変動を検出することができる。
また、請求項10に記載の発明によれば、ベルト搬送経路変動を引き起こす従動ローラの回転周期変動のみを分離して精度よく算出することができる。
また、請求項11に記載の発明に係る画像形成装置によれば、記録媒体を搬送する搬送ベルトの移動速度変動を抑制して安定した移動を実現することができるので、各像担持体上のトナー像を色ずれなく記録媒体に転写することができる。
また、請求項12に記載の発明に係る画像形成装置によれば、中間転写ベルトの移動速度変動を抑制して安定した移動を実現することができるので、中間転写ベルトにトナー像を色ずれなく転写することができる。
また、請求項13に記載の発明に係る画像形成装置によれば、トナー像が形成担持される像担持ベルトの移動速度変動を抑制して安定した移動を実現することができるので、像担持ベルト上に形成担持されたトナー像を位置ずれなく記録媒体に転写することができる。
以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略構成図である。
図1に示すように、この画像形成装置(例えば、電子写真方式のカラー複写機)1は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のトナー像をそれぞれ形成するための4つの画像形成部2Y、2C、2M、2Kが、記録媒体としての記録紙Sの移動方向(図では、右側から左側)に沿って一列に順に配置されている。各画像形成部2Y、2C、2M、2Kは、それぞれ、像担持体としての感光体ドラム3a、3b、3c、3d、帯電ローラ4a、4b、4c、4d、現像器5a、5b、5c、5d、転写ローラ6a、6b、6c、6d等を備えている。
また、この画像形成装置1は、各画像形成部2Y、2C、2M、2Kの感光体ドラム3a、3b、3c、3dにそれぞれ露光を行う露光装置(不図示)と、各画像形成部2Y、2C、2M、2Kの転写部位に記録紙Sを表面に静電吸着して搬送する無端状の搬送ベルト7と、定着装置8等とを備えている。搬送ベルト7は、駆動ローラ9とテンションローラ10と角変位検出ローラ(検出ローラ)11と従動ローラ12との間に張架されている。駆動ローラ9を画像形成部2Kの下流側に、従動ローラ12を画像形成部2Yの上流側にそれぞれ配置して、搬送ベルト7の記録紙Sを搬送する記録紙搬送面(制御対象面)7aが、各画像形成部2Y、2C、2M、2Kの転写部位(感光体ドラム3a〜3dと転写ローラ6a〜6d間)を移動するように構成している。
なお、角変位検出ローラ11は、搬送ベルト7の移動に伴って回転する従動ローラであり、角変位検出ローラ11の回転軸には、搬送ベルト7の移動速度の変動に伴う角変位検出用ローラ11の回転速度の変位(以下、「角変位」という)を検出するためのエンコーダ13が取り付けられている。
そして、画像形成動作時には、先ず、画像形成部2Yにおいて、帯電ローラ4aで均一に帯電された感光体ドラム3aの表面に、露光装置(不図示)により原稿(不図示)のイエロー成分色の画像信号に応じた露光を行って静電潜像を形成する。そして、現像器5aによりこの静電潜像にイエロートナーを付着させて、イエロートナー像として可視像化する。そして、搬送ローラ14により記録紙Sが搬送ベルト7上の記録紙搬送面7aに搬送され、駆動ローラ9の回転駆動によって移動する搬送ベルト7上に静電吸着された記録紙Sを、所定のタイミングで感光体ドラム3aと転写ローラ6a間の転写部位に搬送して、記録紙S上にイエロートナー像を形成する。
以下同様にして、各画像形成部1C、1M、1Kでそれぞれ形成されたシアントナー像、マゼンタトナー像、ブラックトナー像を、移動する搬送ベルト7上に静電吸着された記録紙S上のイエロートナー像に重畳転写してフルカラーのトナー像を形成し、定着装置8の定着ローラ8aと加圧ローラ8b間の定着ニップ部でフルカラーのトナー像を記録紙S上に加熱・加圧して定着した後に、外に排出する。なお、各感光体ドラム3a、3b、3c、3dの表面に付着している転写残トナーは、クリーニングブレード(不図示)によって除去される。
搬送ベルト7を張架している駆動ローラ9、テンションローラ10、角変位検出ローラ11、従動ローラ12の各外径寸法は、それぞれ異なるように形成されている。この理由は、後述するベルト駆動制御装置20(図2参照)での演算処理において、前記エンコーダ13で検出される搬送ベルト7の各種の移動速度変動情報の中で、従動ローラ12の偏心に起因する回転変動周期で発生している速度変動成分を他のローラ(駆動ローラ9、テンションローラ10、角変位検出ローラ11)の偏心に起因した周期変動成分と分離して抽出するのに有利であるためである。
前記した他のローラの偏心に起因した周期変動の例としては、駆動ローラ9では、この駆動ローラ9の偏心による搬送ベルト7の移動速度変動が挙げられる。また、テンションローラ10では、このテンションローラ10の偏心によってテンションが変動することで搬送ベルト7の移動速度変動が挙げられる。更に、角変位検出ローラ11では、この角変位検出ローラ11の偏心による搬送ベルト7の移動速度変動の誤検出が挙げられる。
駆動ローラ9には、歯車列などの伝達機構(不図示)を介してベルト駆動モータ15が連結されており、このベルト駆動モータ15の駆動によって駆動ローラ9が回転駆動される。ベルト駆動モータ15として、本実施形態ではパルスモータ(ステッピングモータ)を用いたが、これ以外にも、例えばDCサーボモータ等を用いることもできる。また、駆動ローラ9は、表面に所定の厚さでゴム材が被覆されている。これは、駆動ローラ9が回転駆動したときに、駆動ローラ9の表面に接する搬送ベルト7をスリップすることなく移動させるようにするためである。
搬送ベルト7は表面に静電吸着した記録紙Sを各画像形成部2Y、2C、2M、2Kの転写部位に搬送して、各色のトナー像を色ずれなく重畳転写させるために、搬送ベルト7を一定速度で移動させる必要がある。しかしながら、駆動ローラ9、テンションローラ10、角変位検出ローラ11、従動ローラ12のそれぞれの偏心による回転変動や、ベルト駆動モータ15と駆動ローラ9間に連結された伝達機構(不図示)の駆動力伝達誤差等によって、搬送ベルト7の移動速度に変動が発生する。
そこで、本実施形態では、前記した各画像形成部2Y、2C、2M、2Kの転写部位へ記録紙Sを搬送する際に、前記エンコーダ13からの信号に基づいてベルト駆動モータ15の駆動をフィードバック制御して、搬送ベルト7の移動速度の変動を補正するベルト駆動制御装置を備えている。図2は、本実施形態に係るベルト駆動制御装置の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、このベルト駆動制御装置20は、マイクロコンピュータ21、指令発生装置22、バス23、モータ駆動インターフェイス部24、モータ駆動装置25、エンコーダ検出インターフェイス部26、および前記エンコーダ13等を備えている。
マイクロコンピュータ21は、マイクロプロセッサ27、ROM28、RAM29等を備えており、これらはバス23を介して接続されている。指令発生装置22は、ベルト駆動モータ(パルスモータ)15への駆動パルス信号の標準駆動周波数を指令する指令信号を、バス23を介してモータ駆動インターフェイス部24に出力する。モータ駆動インターフェイス部24は、指令発生装置22から出力された前記指令信号に基づいて、駆動周波数を有する制御信号を生成し、この制御信号をモータ駆動装置25に出力する。
エンコーダ検出インターフェイス部26は、エンコーダ13から出力される角変位信号(パルス信号)を処理してデジタル数値に変換する。また、エンコーダ検出インターフェイス部26は、エンコーダ13から出力される角変位信号(パルス信号)を計測するカウンタ(不図示)を備えており、このカウンタでカウントした数値に、予め設定したパルス数対角変位の変換定数をかけて、ベルト駆動モータ15のモータ軸(不図示)の角変位に対応するデジタル数値に変換する。このデジタル数値の信号は、バス23を介してマイクロコンピュータ21に送られる。
モータ駆動装置25は、パワー半導体素子等で構成されている。このモータ駆動装置25は、モータ駆動インターフェイス部24から出力される前記制御信号に基づいて動作し、ベルト駆動モータ15にパルス状の駆動電圧を印加する。
これにより、駆動ローラ9を回転駆動するベルト駆動モータ15は、指令発生装置22から出力される所定のパルス状の標準駆動周波数で駆動制御され、更に、ベルト駆動モータ15の駆動によって回転する駆動ローラ9の角変位が目標角変位に従うように追値制御して、駆動ローラ9を所定の角速度で等角速度回転させる。この際、搬送ベルト7の移動に伴って従動回転する角変位検出ローラ11の角変位はエンコーダ13により検出され、その検出信号である角変位信号(パルス信号)はエンコーダ検出インターフェイス部26を介してマイクロコンピュータ21に取り込まれて、前記制御が繰り返される。
次に、前記したマイクロコンピュータ21による制御の詳細を、図3を参照して説明する。図3は、マイクロコンピュータの制御系の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、先ず、エンコーダ13により検出された角変位検出ローラ11の角変位に対応した角変位信号a1、およびROM28に格納されている目標角変位信号a2が第1演算部30に入力され、この第1演算部30によりその差分信号a3が算出される。図4は、この差分信号の一例を示す波形図である。
そして、前記差分信号a3は第2演算部31に入力され、この第2演算部31により前記差分信号a3から、従動ローラ12の偏心に伴う回転周期変動成分を抽出する。以下、第2演算部31での従動ローラ12の偏心に伴う回転周期変動成分の抽出方法の一例について説明する。
第2演算部31は、入力される差分信号を保持する信号保持部としての前記RAM29(図2参照)と、前記差分信号から従動ローラ12の偏心に伴う回転周期変動成分以外の周波数成分を除去するように波形整形する波形整形部32と、波形整形部32で波形整形された信号から従動ローラ12の回転周期変動の振幅と位相を算出する算出部33と、を備えている。
第2演算部31の信号保持部としてのRAM29に、例えば、図5(a)に示すような差分信号が保持された場合、この差分信号には、駆動ローラ9、テンションローラ10、角変位検出ローラ11、従動ローラ12のそれぞれの偏心による回転変動や、ベルト駆動モータ15と駆動ローラ9間に連結された伝達機構(不図示)の駆動力伝達誤差、さらにはエンコーダ13の検出ノイズ等などの合成波が表れる。
そこで、波形整形部32では、従動ローラ12だけの回転周期変動を精度よく検出するために、従動ローラ12の回転周期以外の周波数成分を除去して波形整形する。このような波形整形方法として、周知のローパスフィルタが考えられるが、例えば、従動ローラ12の回転周期変動の周波数成分と駆動ローラ9の回転周期変動の周波数成分とが非常に近い周波数の場合には、従動ローラ12の回転周期変動の周波数成分だけを良好にフィルタ処理で除去するのは難しい。また、フィルタ処理により従動ローラ12の回転周期変動の周波数成分が変化すると補正誤差が生じる。
そこで、本実施形態では、前記波形整形方法として、従動ローラ12の回転周期で同期加算を行う方法を用いた。この同期加算は、信号を狙いの周期ごとに平均することで、狙いの周期とランダムなノイズを分離する周知の手法である。同期加算する周期回数は任意に選択可能であるが、本実施形態では、従動ローラ12の回転周期変動以外で、最も回転周期変動の振幅が大きい駆動ローラ9の回転周期で発生している変動成分が同期加算により相殺されるため、従動ローラ12の回転周期変動を精度よく抽出することができる。
例えば、従動ローラ12の外径が40mm、駆動ローラ9の外径が50mmの場合には、その最小公倍数が200mmであることから、図5(a)に示した差分信号において、従動ローラ12の回転周期時間の信号を用いて同期加算を行うことにより、図5(b)に示すような信号を得た。なお、同期加算する周期回数は駆動ローラ9のみに限らず、他のローラ(テンションローラ10、角変位検出ローラ11)も含めた最小公倍数としてもよい。
このようにして波形整形された従動ローラ12の回転周期変動成分は、角変位検出ローラ11の回転軸に取り付けたエンコーダ13で検出されるが、従動ローラ12の回転周期変動成分は搬送ベルト7の記録紙搬送面7aには発生していない変動成分である。このため、ベルト駆動モータ15へのフィードバック制御数値(補正周波数値)を演算する第4演算部35にこの従動ローラ12の回転周期変動成分が反映されないようにする必要がある。そこで、第2演算部31は、第3演算部34で打ち消すように、抽出された前記従動ローラ12の回転周期変動成分に応じた信号a4を第3演算部34に出力する。
なお、前記した第2演算部31の波形整形結果において、従動ローラ12の回転周期変動成分以外に変動成分が残存している場合は、以下に説明する周波数解析を行うとよい。
即ち、前記した図5(b)の信号においても、前記従動ローラ12の回転周期変動成分以外の周期変動が少し残っており、この周期変動が目標とする補正精度に対して大きい場合に以下の周波数解析を行う。ここでの周波数解析は、図5(b)の信号から従動ローラ12の回転周期変動の振幅と位相を算出することであり、図5(b)ような信号から狙いの周波数振幅と位相を算出するには、一般にFFT(高速フーリエ変換)や直交検波などの手法を用いることができる。
図5(b)に示した信号をFFTした場合、例えば、図6(a)に示すような周波数振幅特性の波形が算出される。なお、図6(a)において、横軸は図5(b)に示した信号の周波数成分、縦軸は各周波数の振幅を表している。そして、図6(a)において、前記従動ローラ12の回転変動周波数f1からその振幅の値を算出する。また、同様に周波数位相成分の波形から位相を算出する。
また、前記直交検波とは、通信分野の復調回路に用いられている公知の信号解析技術であり、この直交検波を用いて、従動ローラ12の回転周期変動の振幅と位相を検出する場合、例えば、図7に示すような構成の回路ブロック図となる。
図7において、入力信号Aは、従動ローラ12の回転周期変動に応じた信号であり、発信器40は検出したい周波数成分、この場合は従動ローラ12の回転周期に対応した角速度で、任意のタイミングで発振して、第1乗算器41と90度位相シフト器42に出力する。第1乗算器41は、入力信号Aと発信器40から出力された発振周波数とを乗算し、第2乗算器43は、入力信号Aと90度位相シフト器42から出力された信号とを乗算する。なお、第1、第2乗算器41,42によって、入力信号Aを従動ローラ12の回転周期の同相成分(I成分)の信号と直交成分(Q成分)の信号に分離しており、第1乗算器41からの出力がI成分の信号、第2乗算器43からの出力がQ成分の信号である。
そして、第1ローパスフィルタ(LPF)44は、第1乗算器41で乗算された信号について低周波帯域の信号のみを通過させる。なお、ここでは、発信器40の発振周期の1周期分の信号を平均化するローパスフィルタを用いた。第2ローパスフィルタ(LPF)45も同様に、第2乗算器43で乗算された信号について低周波帯域の信号のみを通過させる。
そして、振幅演算部46は、2つの入力信号(I成分の信号とQ成分の信号)に対応する振幅a(t)を算出する。また、位相演算部47は、2つの入力信号(I成分の信号とQ成分の信号)に対応する位相b(t)を算出する。算出されたこの振幅a(t)位相b(t)とが、従動ローラ12の回転周期変動の振幅と任意のタイミングを基準にした位相角である。
また、直交検波の他に、従動ローラ12の回転周期変動の振幅と位相を検出する手法として、例えば、従動ローラ12の回転周期変動の変動値のゼロクロス、またはピーク値から既定周期の変動成分の振幅と位相を検出する方法があるが、検出信号がノイズの影響を大きく受けるため実用的でない。更に、前記FFTやDFT(Discrete Fourier Transform)といったフーリエ変換を用いた解析があるが、このような振幅と位相の検出機能を搭載するには高価な演算処理装置が必要となり、高コストとなる。よって、コストや検出精度の観点から、前記した直交検波が好適である。
なお、直交検波においては、予め従動ローラ12の回転周期に対応した角速度の正確な数値が必要となる。従動ローラ12の径はその製造時における公差範囲でばらつきが生じるため、組み付けられた個々の従動ローラ12の回転周期に対応した角速度を求めて、直交検波処理のパラメータである角速度を設定したほうが精度は高い。また、FFTやDFTの処理においても、解析結果の離散データがちょうど従動ローラ12の回転周波数の値となるように、解析時のデータ数やデータ間隔を調整するほうがより解析精度が高まる。
特に、従動ローラ12の半径が幅方向に大きな分布を持つ場合は、より大きな直交検波やFFTの解析誤差が懸念される。例えば、従動ローラ12の幅方向の中央部の径が大きく両端側に行くに従って径が小さくなるタイコ形状の場合、搬送ベルト7の片寄りやこの従動ローラ12上に進入する記録紙のスキューを補正する働きをする。この場合、搬送ベルト7の張架状態によって、従動ローラ12と搬送ベルト7の支配的な接触位置が変化することで、従動ローラ12の回転周期は変動する。例えば、従動ローラ12が前記タイコ形状の場合、幅方向での径の差が100μm以上あるため、従動ローラ12の径が100μm変化した量に相当する回転周期の変化が表れる。
このような従動ローラ12の回転周期を検出する方法として、例えば、従動ローラ12の1回転を検出する簡易な検出機構(不図示)を設けることで、従動ローラ12の回転周期を認識することができる。あるいは、直交検波の角速度やFFTの解析周波数を複数設定して、設定したそれぞれの周波数において算出された振幅値を比較し、振幅が最大のときを実際の従動ローラ12の回転周波数として、振幅、位相データとしてもよい。
また、従動ローラ12の製造ばらつきによる振れ周波数の検出には、例えば、図8に示すようなローラ振れ検出器によって検出する手法を用いることができる。このローラ振れ検出器は、振れ検出用モータ50の駆動によって組み付け前の単体の従動ローラ12を回転駆動させる。そして、レーザ発光器51から発光されたレーザ光を従動ローラ12の外周近傍を通してレーザ受光器52で受光する。そして、計算処理器53は、レーザ受光器52から受光したレーザ光に応じた信号を入力して周波数解析を行うことにより、例えば、図6(b)に示すような周波数振幅特性の波形を得ることができる。この波形の最大振幅の周波数f2が、この従動ローラ12の振れ周波数となる。
そして、この振れ周波数を、ベルト駆動制御装置20(図2参照)のマイクロコンピュータ21内のROM28に予め記憶しておくことで、図6(a)に示したような従動ローラ12の回転周波数を算出することができる。このようなローラ振れ検出器による振れ周波数の検出手法は、従動ローラ12の製造ばらつきによらず、また、検出ノイズが少ないことから、従動ローラ12の正確な振れ周波数が検出可能である。
このように第2演算部31では、上記した手法によって従動ローラ12の回転周期変動の振幅と位相が算出され、第2演算部31から図9(a)に示すような信号(図3の信号a4)が第3演算部34に出力される。そして、第3演算部34は、第2演算部31からの信号a4と第1演算部30からの信号a3の差分を算出することにより、図9(b)に示すような信号(図3の信号a5)が得られる。
これにより、従動ローラ12の回転周期変動成分が除去される。第3演算部34で得られた従動ローラ12の回転周期変動成分が除去された信号a5は、第4演算部35で所定の比例要素および周波数変換係数が掛けられ、補正周波数信号a6が算出される。なお、前記第4演算部35は、本実施形態ではP(比例)制御を行う構成であったが、これに限らず、PI(比例・積分)制御等の他の制御でもよい。
そして、第5演算部36は、前記指令発生装置22からのパルス状の標準駆動周波数信号a7に、第4演算部35から出力される補正周波数信号a6を加算して得られる信号a8を、モータ駆動インターフェイス部24を介してモータ駆動装置25(図2参照)に出力する。そして、モータ駆動装置25は、第5演算部36で算出された信号(標準駆動周波数信号に補正周波数信号を加算した信号)a8に基づいたパルス状の駆動電圧をベルト駆動モータ15に印加して、ベルト駆動モータ15を駆動し、駆動ローラ9を回転駆動させる。
このように、本実施形態では、前記したベルト駆動制御装置20による制御により従動ローラ12などの偏心に伴う回転周期変動成分を除去して、ベルト駆動モータ15の駆動を精度よくフィードバック制御することができるので、搬送ベルト7の移動速度変動を抑制して安定した移動を実現することができる。これにより、搬送ベルト7によって搬送される記録紙Sに、各画像形成部2Y、2C、2M、2Kで形成された各色のトナー像を色ずれなく重ねて良好に転写することができる。
なお、前記した実施形態では、本発明に係るベルト駆動制御装置を、表面に記録紙を吸着して複数の画像形成部の転写部位に搬送する、複数のローラ間に張架された搬送ベルトの駆動制御に適用した例であったが、これに限定されることなく、例えば、複数の画像形成部で形成された異なる色のトナー像を、複数のローラ間に張架された無端状の中間転写ベルトに一次転写した後に、記録紙に一括して二次転写する周知の画像形成装置の前記中間転写ベルトの駆動制御や、静電潜像およびトナー像が形成担持される像担持体が、複数のローラ間に張架された無端状の感光体ベルトとした周知の画像形成装置の前記感光体ベルトの駆動制御などにおいても、同様に適用することが可能である。
また、本発明に係るベルト駆動制御装置は、前記したような画像形成装置の搬送ベルト、転写ベルト、感光体ベルトの駆動制御以外にも、複数のローラ間に張架されて移動自在な画像形成装置以外で用いられる無端状のベルトの駆動制御においても、同様に適用することが可能である。
なお、前記した本実施形態に係るベルト駆動制御装置20では、搬送ベルト9の移動速度変動の検出を、搬送ベルト7の移動に伴って従動回転する角変位検出ローラ11に取り付けたエンコーダ13からの信号に基づいて行う構成であったが、これに限らず、例えば、図10に示すような検出方法で搬送ベルト7の移動速度変動を検出することもできる。
図10は、搬送ベルトの移動速度変動を検出する他の構成を示す概略図である。この図に示すように、駆動ローラ9、テンションローラ10、従動ローラ11、12間に張架された無端状の搬送ベルト7の一方側の端部の全周に、等間隔でスリットパターン60を設ける。このスリットパターン60は、例えば、印刷されたテープをベルト端部に貼り付けたり、ベルト端部に直接印刷して形成することができる。そして、ベルト駆動モータ(不図示)の駆動によって駆動ローラ9を回転駆動して搬送ベルト7を移動させ、このときのスリットパターン60を周知の非接触式の検出センサ61で検出する。検出センサ61から出力される信号に基づいて、搬送ベルト7の移動速度変動を検出することができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の要部を示す概略図。 本発明の実施形態に係る画像形成装置に備えたベルト駆動制御装置の構成を示す図。 本発明の実施形態に係るベルト駆動制御装置の制御系の構成を示す図。 目標角変位信号とエンコーダで検出された角変位信号との差分信号の一例を示す図。 (a)は、目標角変位信号とエンコーダで検出された角変位信号との差分信号の一例を示す図、(b)は、この差分信号から従動ローラの回転変動以外の周波数成分を除去した信号の一例を示す図。 (a)は、図5(b)の信号をFFT(高速フーリエ変換)したときの周波数振幅特性の一例を示す図、(b)は、ローラ振れ検出器によって検出された従動ローラの周波数振幅特性の一例を示す図。 直交検波にって従動ローラの回転周期変動の振幅と位相を検出するための直交検波の構成を示すブロック図。 従動ローラの周波数振幅特性を検出を行うローラ振れ検出器の構成を示す図。 (a)は、従動ローラの回転周期変動の振幅と位相の算出結果の一例を示す図、(b)は、従動ローラの回転周期変動成分が除去された信号の一例を示す図。 搬送ベルトに設けたパターンにより搬送ベルトの移動速度変動を検出する構成を示す概略図。 従来の画像形成装置の構成を示す概略図。 複数のローラ間に張架された搬送ベルトを示す概略図。
符号の説明
1 画像形成装置
2Y、2C、2M、2K 画像形成部
3a、3b、3c、3d 感光体ドラム
7 搬送ベルト(ベルト)
9 駆動ローラ
11 角変位検出ローラ(検出ローラ)
12 従動ローラ
13 エンコーダ(変動検出手段)
15 ベルト駆動モータ(駆動手段)
20 ベルト駆動制御装置
21 マイクロコンピュータ
25 モータ駆動装置
30 第1演算部(波形検出手段)
32 波形整形部(波形整形手段)
33 算出部(算出手段)
35 第4演算部(制御手段)
36 第5演算部(制御手段)

Claims (13)

  1. 駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状のベルトを、前記駆動ローラの回転駆動によって移動させるときに、前記ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置において、
    前記ベルトの移動速度の変動を検出する変動検出手段と、
    前記変動検出手段で検出された前記ベルトの移動速度変動に対応した信号から所定の周波数波形を検出する波形検出手段と、
    検出した前記所定の周波数波形に基づいて前記信号を補正し、この補正結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段と、を備えた、
    ことを特徴とするベルト駆動制御装置。
  2. 前記ベルトは、少なくとも、前記駆動手段からの駆動力により回転駆動する前記駆動ローラと、前記ベルトにテンションを付与するテンションローラと、周期的な回転周期変動を引き起こす前記従動ローラと、前記ベルトの移動速度の変動を検出する前記変動検出手段との間に張架されており、
    前記変動検出手段は、前記テンションローラと前記従動ローラとの間に位置し、前記制御手段は、前記ベルトの前記駆動ローラと前記従動ローラとの間の制御対象面に対して、前記従動ローラの周期的な回転周期変動による影響を与えないように前記駆動手段を制御する、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト駆動制御装置。
  3. 前記波形検出手段は、検出した前記所定の周波数波形の振幅および位相を算出する算出手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のベルト駆動制御装置。
  4. 前記波形検出手段は、検出した前記所定の周波数波形を波形整形する波形整形手段を有する、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置。
  5. 前記所定の周波数波形は、前記ベルトの移動に伴って従動回転する前記従動ローラの回転に起因した回転周期変動に対応している、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置。
  6. 前記所定の周波数波形は、前記変動検出手段で検出される、前記従動ローラの回転に起因した複数の回転周期変動のうち、最大の振幅を有する周波数波形である、
    ことを特徴とする請求項5に記載のベルト駆動制御装置。
  7. 前記所定の周波数波形は、前記変動検出手段で検出される、前記従動ローラの回転に起因した複数の回転周期変動のうち、極大振幅の平均値を有する周波数波形である、
    ことを特徴とする請求項5に記載のベルト駆動制御装置。
  8. 前記変動検出手段は、前記複数のローラのうちのいずれかのローラの回転角変位を検出するエンコーダである、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト駆動制御装置。
  9. 前記変動検出手段は、前記ベルト上に一定間隔で設けたパターンを検出する非接触センサである、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト駆動制御装置。
  10. 前記駆動ローラおよび前記従動ローラを含む前記複数のローラのそれぞれの径が異なる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のベルト駆動制御装置。
  11. 複数の像担持体と、前記各像担持体上に形成された静電潜像にトナー像を付着させて顕像化する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状の搬送ベルトと、を備え、移動する前記搬送ベルト上に記録媒体を吸着させ、前記各像担持体と転写手段との転写部位に前記記録媒体を搬送して、前記トナー像を前記記録媒体上に転写させる画像形成装置において、
    前記搬送ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置として、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置を用いる、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  12. 像担持体と、前記像担持体上に形成された静電潜像にトナー像を付着させて顕像化する現像手段と、駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状の中間転写ベルトと、を備え、前記中間転写ベルト上に前記像担持体のトナー像を一次転写した後に、前記中間転写ベルト上に転写されたトナー像を記録媒体に二次転写する画像形成装置において、
    前記中間転写ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置として、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置を用いる、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  13. 駆動手段からの駆動力により回転駆動する駆動ローラと少なくとも1つの従動ローラとを含む複数のローラ間に張架された無端状の像担持ベルトと、前記像担持ベルト上に形成された静電潜像にトナー像を付着させて顕像化する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備えた画像形成装置において、
    前記像担持ベルトの移動速度の変動を補正するように前記駆動手段を制御するベルト駆動制御装置として、請求項1乃至10のいずれか一項に記載のベルト駆動制御装置を用いる、
    ことを特徴とする画像形成装置。
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