JP2007078773A - 走査型レーザ顕微鏡及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 試料17の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して試料17に照射する画像用走査光学系100と、試料の特定部位に刺激を与えるための第2のレーザ光を照射する刺激用走査光学系200とを備え、刺激用走査光学系200が、画像用走査光学系100による第1のレーザ光の帰線期間に、第2のレーザ光を試料17の特定部位に照射する。
【選択図】 図1
Description
従来、上記FRAP実験に適した走査型レーザ顕微鏡として、試料画像を取得するための第1のレーザ光を試料に照射するための画像用走査光学系と、フォトブリーチのため(試料の特定部位に対して刺激を与えるため)の第2のレーザ光を試料に照射するための刺激用走査光学系とを備える走査型レーザ顕微鏡が知られている。
この走査型レーザ顕微鏡では、第2のレーザを試料に照射しながら、つまり、フォトブリーチをしながら、第1のレーザを走査して試料に照射することによって、フォトブリーチ開始前、終了後及び蛍光復帰における試料画像を取得する。これにより、フォトブリーチ開始前から蛍光復帰における試料の状態を連続的に観察することが可能となる。
本発明は、試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射する画像用走査光学系と、前記画像用走査光学系による第1のレーザ光の帰線期間に、刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する刺激用光学系とを備え、前記画像用走査光学系による前記第1のレーザ光の走査を前記刺激用光学系による前記第2のレーザ光の照射よりも優先させる走査型レーザ顕微鏡を提供する。
更に、第2のレーザ光の照射よりも第1のレーザ光の照射を優先させるので、例えば、1回の帰線期間内に第2のレーザ光の照射を終了できなかった場合であっても、第1のレーザ光の走査を停止させることなく連続して行わせることができる。これにより、時間的定量性が維持された画像を取得することが可能となり、精度の高い実験結果を得ることができる。
更に、上記共通領域走査期間において、第1のレーザ光の走査を第2のレーザ光の照射よりも優先させるので、例えば、1回の帰線期間内に第2のレーザ光の照射を終了できなかった場合であっても、第1のレーザ光の走査を停止させることなく連続して行わせることができる。これにより、時間的定量性が維持された画像を取得することが可能となり、精度の高い実験結果を得ることができる。
更に、特定部位が設定されていない走査ラインに第1のレーザ光が照射されている期間においては、第1のレーザ光の走査状態が帰線期間であるか否かにかかわらず、第2のレーザ光を特定部位に照射させることで、第2のレーザ光の照射効率を高めることができる。
これにより、全ての走査ラインにおいて第1のレーザ光の帰線期間に第2のレーザ光を照射するという照射態様に比べて第2のレーザ光の照射効率を高めることができ、また、上記共通領域走査期間において第1のレーザ光の帰線期間に第2のレーザ光を照射させるという照射態様に比べて、各光学系が相互に及ぼす影響を排除することができる。
更に、第2のレーザ光の照射よりも第1のレーザ光の照射を優先させるので、1回の帰線期間内に第2のレーザ光の照射を終了できなかった場合であっても、第1のレーザ光の走査を停止させることなく連続して行わせることができる。これにより、時間的定量性が維持された画像を取得することが可能となり、精度の高い実験結果を得ることができる。
更に、上記共通領域走査期間において、第1のレーザ光の走査を第2のレーザ光の照射よりも優先させるので、例えば、1回の帰線期間内に第2のレーザ光の照射を終了できなかった場合であっても、第1のレーザ光の走査を停止させることなく連続して行わせることができる。これにより、時間的定量性が維持された画像を取得することが可能となり、精度の高い実験結果を得ることができる。
更に、特定部位が設定されていない走査ラインに第1のレーザ光が照射されている期間においては、第1のレーザ光の走査状態が帰線期間であるか否かにかかわらず、第2のレーザ光を特定部位に照射させることで、第2のレーザ光の照射効率を高めることができる。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、画像取得用の第1のレーザ光を試料17の焦点面上に2次元的に走査させて照射する画像用走査光学系100と、試料17に刺激を与えるための第2のレーザ光を試料17の特定部位に照射する刺激用走査光学系200とを備えている。
画像用走査光学系100は、第1の光源1、ダイクロイックミラー2、第1の走査光学ユニット3、リレーレンズ4及びミラー5を備えて構成される。上記画像用走査光学系100のダイクロイックミラー2の分岐光路上には、検出光学系300が配置されている。この検出光学系300は、測光フィルタ6、レンズ7、共焦点ピンホール8及び光電変換素子9を備えて構成される。
第1の走査光学ユニット3は、第1の走査波形発生回路19からの走査信号に基づいて制御される。第1の走査波形発生回路19は、第1のクロック発生回路20から供給される第1のクロックに基づいて上記走査信号を生成する。第1のクロック発生回路20は、CPU26からの各種指令に基づき第1のクロックの生成を行い、この第1のクロックを第1のデータイネーブル信号発生回路21に供給する。
第1のデータイネーブル信号発生回路21は、第1のクロック発生回路20からの第1のクロック及び第1の走査波形発生回路からの走査波形に基づいて第1のデータイネーブル信号を生成するとともに、生成した第1のデータイネーブル信号を第2のクロック発生回路23、A/D変換器25、及び第1の光源1に供給する。
第2のデータイネーブル信号発生回路24は、第2のクロック発生回路23からの第2のクロック及び第2の走査波形発生回路22からの走査波形に基づいて、第2のデータイネーブル信号を生成し、生成した第2のデータイネーブル信号を第2の光源10に供給する。
CPU(中央演算処理装置)26は、第1のクロック発生回路20及び第2のクロック発生回路23に対して走査開始命令、走査停止命令等を適切なタイミングで出力することにより、第1の走査光学ユニット3や第2の走査光学ユニット11を初めとする、当該顕微鏡が備える各部を間接的に制御するとともに、A/D変換器25から供給されるディジタル信号に基づいて画像データを作成し、これをフレームメモリ29に格納することで、実験結果等を表示装置30に表示させる。
CPU26は、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置27、HD(Hard Disk)ROM(Read Only Memory)などの補助記憶装置28などに接続されている。
補助記憶装置28には、例えば、各種制御アプリケーションプログラムが格納されており、CPU26が補助記憶装置28から制御アプリケーションプログラムを主記憶装置27に読み出し、実行することにより、後述するようなFRAP等の各種実験を実現させる。なお、CPU26、主記憶装置27、及び補助記憶装置28として、一般的なパーソナルコンピュータを利用するようにしても良い。また、CPU26には、キーボードやマウスなどの入力装置が更に接続されていても良い。
まず、図1に示すように、第1の走査光学ユニット3は、光源1からのレーザ光を試料面上で水平方向に走査するための水平方向スキャナ3a、同様に試料面上で垂直方向に走査するための垂直方向スキャナ3bを備えている。
ここで、水平方向スキャナ3aを軸回りに揺動させるための水平方向波形は、水平方向スキャナ3aを中心位置Oから輝度データサンプリング開始時における揺動角度Gまで移動させるX帰線期間Aと、輝度データをサンプリングする輝度データサンプリング期間Bと、水平方向スキャナ3aを輝度データサンプリング終了時における揺動角度Hから中心位置Oへ戻すX帰線期間Cとにより構成されている。この水平方向波形において、X帰線期間AとX帰線期間Cとが第1のレーザ光のX帰線期間に相当する。
水平方向データイネーブル信号発生回路211は、図3に示すように、X帰線期間AにおいてOFF、X輝度データサンプリング期間BにおいてON、X帰線期間CにおいてOFFとなるような水平方向データイネーブル信号を生成する。
同様に、垂直データイネーブル信号発生回路212は、図3に示すように、Y帰線期間DにおいてOFF、Y輝度データサンプリング期間EにおいてON、Y帰線期間FにおいてOFFとなるような垂直方向データイネーブル信号を生成する。
ここで、水平方向スキャナ11aを軸回りに揺動させるための水平方向波形は、水平方向スキャナ11aを中心位置Oから刺激光照射開始時における揺動角度G´まで軸回転させるX帰線期間A´と、刺激光を照射させる刺激光照射期間B´と、水平方向スキャナ11aを刺激光照射終了時における揺動角度H´から中心位置Oへ戻すX帰線期間C´とにより構成されている。この水平方向波形において、X帰線期間A´とX帰線期間C´とが第2のレーザ光のX帰線期間に相当する。
水平方向データイネーブル信号発生回路241は、図7に示すように、X帰線期間A´においてOFF、刺激光照射期間E´においてON、X帰線期間C´においてOFFとなるような水平方向データイネーブル信号を生成する。
同様に、垂直データイネーブル信号発生回路242は、図7に示すように、Y帰線期間D´においてOFF、刺激光照射期間E´においてON、Y帰線期間F´においてOFFとなるような垂直方向データイネーブル信号を生成する。
更に、このデータイネーブル信号演算回路243は、図1に示した第2のクロック発生回路23から第2のクロックが入力される期間のみ作動するように構成されている。ここで、第2のクロック発生回路23は、CPU26からの走査開始命令、走査停止命令に基づいて第2のクロックを発生するとともに、第1のデータイネーブル信号がオフの期間のみ、第2のクロックを発生させる。換言すると、第2のクロック発生回路23は、図6(B)に示すように、CPU26により走査開始命令が出力されてから操作停止命令が出力されるまでの期間であって、且つ、第1のデータイネーブル信号がオフの期間にのみ、第2のクロックを発生させる。
これにより、上述したデータイネーブル信号演算回路243から出力される第2のデータイネーブル信号は、この第2のクロックが入力されている期間であって、且つ、第2のレーザ光が試料17上の断面16内に設定された特定部位に照射される期間のみON状態となる。
まず、CPU26からの走査開始命令が第1のクロック発生回路20に供給され、第1のクロック発生回路20により一定間隔の第1のクロック信号が発せられる。この第1のクロック信号は、第1の走査波形発生回路19及び第1のデータイネーブル信号発生回路21に供給される。第1の走査波形発生回路19では、第1のクロック信号が発せられている期間において、図3に示した水平方向波形、垂直方向波形が生成される。これら生成された水平方向波形及び垂直方向波形は、第1のクロック発生回路20から入力される第1のクロック信号に同期して第1の走査光学ユニット3へ供給され、内蔵される水平方向スキャナ3a、垂直方向スキャナ3bが駆動される。
生成された第1のデータイネーブル信号は光源1及びA/D変換器25に供給され、第1のデータイネーブル信号がON状態のときに、第1のレーザ光の照射が行われるとともに、A/D変換器25が作動する。これにより、図2に示した第1のレーザ光の走査領域に第1のレーザ光が照射されている期間において、A/D変換器25による信号変換が行われ、このディジタル信号がCPU26に供給されることにより、蛍光観察の結果が表示装置30のディスプレイに表示されることとなる。
生成された第2のデータイネーブル信号は第2の光源10に供給され、第2のデータイネーブル信号がON状態のときに、第2のレーザ光の照射が行われる。
これにより、第1のレーザ光の帰線期間において、試料17の断面16上に設定された特定部位に対して、第2のレーザ光が照射されることによりフォトブリーチが実行されることとなる。そして、試料17の断面16上に設定された特定部位に対する第2のレーザ光の走査の終了時において、CPU26により走査停止命令が第2のクロック発生回路23に供給され、第2のクロック発生回路23は駆動を停止する。これにより、第2の走査光学系100の動作が停止されてフォトブリーチが終了する。
更に、画像用走査光学系100は、一定の速度で第1のレーザ光を走査できるので、時間的定量性が維持された画像を取得することが可能となる。これにより、精度の高い実験結果を得ることができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡について説明する。
図8は、本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の概略構成を示すブロック図である。
本実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡は、図9に示すように、図1に示した第1の実施形態に係る走査型レーザ顕微鏡の構成に、更に、データイネーブル信号変換回路31を追加した構成をとる。このデータイネーブル信号変換回路31は、第1のデータイネーブル信号発生回路21と、第2のクロック発生回路23との間に設けられている。
データイネーブル信号変換回路31には、刺激用走査光学系200による第2のレーザ光の走査領域(特定部位)の開始ライン番号及び同領域の終了ライン番号が予め登録されている。例えば、図10に示すように、画像用走査光学系100による第1のレーザ光の走査領域の走査ライン数が「516」であり、その走査領域内において、走査ライン番号「208」から「308」に渡り、刺激用走査光学系200による第2のレーザ光の走査領域が設定されている場合、データイネーブル信号変換回路31には、第2のレーザ光の走査領域の開始ライン番号として「208」が、終了ライン番号として「308」が登録されている。
まず、上述の第1の実施形態と同様に、CPU26から第1のクロック発生回路21に対して走査開始指令が供給されると、第1のクロック信号が第1のクロック発生回路20から第1のデータイネーブル信号発生回路21などに供給される。これにより、第1のデータイネーブル信号発生回路21では、第1のデータイネーブル信号が生成されて、データイネーブル信号変換回路31に供給される。
データイネーブル信号変換回路31は、図11に示すような第1のデータイネーブル信号の立ち下がり或いは立ち上がりをカウントすることにより、図10に示すような第1のレーザ光の走査領域において、現在、どの走査ライン番号を第1のレーザ光が走査中であるのかを監視し、この監視結果に基づいて、第1のデータイネーブル信号発生回路21から供給される第1のデータイネーブル信号を変換して、第2のクロック発生回路23に供給する。
これにより、第2のクロック発生回路23により生成される第2のクロックは、図11(C)に示すように、第1のデータイネーブル信号がOFFのときにおいて発生することとなる。
更に、画像用走査光学系100は、一定の速度で第1のレーザ光を走査できるので、時間的定量性が維持された画像を取得することが可能となる。これにより、精度の高い実験結果を得ることができる。
更に、第1のレーザ光が第2のレーザ光の走査領域を照射している期間において、第2のレーザ光の照射を停止するような構成としても良い。
第2に、刺激用走査光学系200は、試料17上の1点に第2のレーザ光を照射させる機能のみを有するものでも良い。
第3に、上記特定部位は、複数箇所設定されていても良い。
第4に、刺激用走査光学系200は1台に限られず、2台以上設けられていても良い。
3 第1の走査光学ユニット
10 第2の光源
11 第2の走査光学ユニット
17 試料
19 第1の走査波形発生回路
20 第1のクロック発生回路
21 第1のデータイネーブル信号発生回路
22 第2の走査波形発生回路
23 第2のクロック発生回路
24 第2のデータイネーブル信号発生回路
100 画像用走査光学系
200 刺激用走査光学系
Claims (6)
- 試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射する画像用走査光学系と、
前記画像用走査光学系による前記第1のレーザ光の帰線期間に、刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する刺激用光学系と
を備え、
前記画像用走査光学系による前記第1のレーザ光の走査を前記刺激用光学系による前記第2のレーザ光の照射よりも優先させる走査型レーザ顕微鏡。 - 試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射する画像用走査光学系と、
刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する刺激用光学系と
を備え、
前記特定部位が設定されている走査ラインに前記第1のレーザ光を照射する共通領域走査期間において、前記第2のレーザ光の照射を前記第1のレーザ光の帰線期間に実施し、且つ、前記第1のレーザ光の照射を前記第2のレーザ光の照射よりも優先させる走査型レーザ顕微鏡。 - 試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射する画像用走査光学系と、
刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する刺激用光学系と
を備え、
前記画像用走査光学系が前記特定部位に前記第1のレーザ光を照射する期間において、前記刺激用光学系が前記第2のレーザ光の照射を停止する走査型レーザ顕微鏡。 - 試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射させるとともに、前記第1のレーザ光の帰線期間に、刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する走査型レーザ顕微鏡の制御方法であって、
前記第1のレーザ光の走査を前記第2のレーザ光の照射よりも優先させる走査型レーザ顕微鏡の制御方法。 - 試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射させるとともに、刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する走査型レーザ顕微鏡の制御方法であって、
前記特定部位が設定されている走査ラインに前記第1のレーザ光を照射する共通領域走査期間において、前記第2のレーザ光の照射を前記第1のレーザ光の帰線期間に実施し、且つ、前記第1のレーザ光の照射を第2のレーザ光の照射よりも優先させる走査型レーザ顕微鏡の制御方法。 - 試料の画像を得るための第1のレーザ光を2次元的に走査して前記試料に照射させるとともに、刺激用の第2のレーザ光を前記試料の特定部位に照射する走査型レーザ顕微鏡の制御方法であって、
前記特定部位に第1のレーザ光を照射する期間において、前記第2のレーザ光の照射を停止する走査型レーザ顕微鏡の制御方法。
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