JP2007077041A - テレフタル酸ジエステルの製造方法 - Google Patents

テレフタル酸ジエステルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】テレフタル酸と1価のアルコールとからテレフタル酸ジエステルを製造するに際し、エステル化反応器容積の無駄をなくし、反応器容積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性を向上させる。
【解決手段】反応開始時点におけるテレフタル酸の量に対してテレフタル酸ジエステルを生成する化学量論量以上の1価のアルコールを使用してエステル化反応を開始させ、このエステル化反応中の反応系に追加のテレフタル酸を連続的又は間欠的に供給してエステル化反応を進行させる。
【選択図】なし

Description

この発明は、テレフタル酸ジエステルの製造方法に関する。
一般に、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペートなどのジカルボン酸ジエステルの製造においては、エステル化触媒を用いた環境下で、常圧又は減圧下において、化学量論量より過剰のアルコールを用いてジカルボン酸とエステル化反応を起こさせることが行われている。このとき、エステル化反応で生成した水を、連続的に反応系外に除去しながら反応を進める。得られたジカルボン酸ジエステルを含む反応混合物は、使用目的に応じて、アルカリ洗浄、水洗、不純物の吸着、蒸留等の後処理を経て、可塑剤、溶剤等として使用している。
例えば、ジオクチルフタレートは、通常、無水フタル酸と2−エチルヘキサノールとを反応させて製造される。無水フタル酸は、融点が130℃程度であり、また、原料アルコールの2−エチルヘキサノールに可溶であるため、製造反応中のエステル化反応混合物は均一状態となる。
しかし、この方法をテレフタル酸ジエステルの製造に適用した場合、テレフタル酸は原料の1価アルコールやエステル化反応生成物であるテレフタル酸ジエステルに難溶性であるため、反応混合物は固液の懸濁状態となる。化学反応において、固体のまま反応する例は少なく、通常は溶解した固体が生成物に変換されることにより、溶解が促進され反応が進行する。すなわち、テレフタル酸ジエステルの製造において反応器内に残存している固体のテレフタル酸は反応器容積を無駄に使用していることを意味する。このような固体のテレフタル酸量を少なくして反応器容積を有効に使うことで、反応器あたりの生産性を向上させたり、反応器サイズを小さくしたりすることができる。反応器中に存在する固体のテレフタル酸量を少なくする方法として、例えば特許文献1にあるようにテレフタル酸に対して1価のアルコールを大過剰使用してエステル化反応を行う方法が挙げられる。
特公昭49−35611号公報
しかしながら、大過剰のアルコールを使用する方法では、テレフタル酸の仕込み量が少ないので、1回のエステル化反応で得られるテレフタル酸ジエステルの量も減少するため、テレフタル酸ジエステルの生産性の向上には繋がらなかった。また、製造後に過剰のアルコールを分離する負荷も大きくなってしまった。
さらに、通常のエステル化反応では、反応器に供給する酸成分の量を少なくすると、酸成分の濃度が低下することにより、反応速度が遅くなり、生産性が低下すると考えられていた。
そこでこの発明は、テレフタル酸と1価のアルコールとからテレフタル酸ジエステルを製造するに際し、エステル化反応器容積の無駄をなくし、反応器容積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性を向上させることができる方法を提供することを目的とする。
この発明は、反応開始時点におけるテレフタル酸の量に対してテレフタル酸ジエステルを生成する化学量論量以上の1価のアルコールを使用してエステル化反応を開始させ、このエステル化反応中の反応系に追加のテレフタル酸を連続的又は間欠的に供給してエステル化反応を進行させることにより、上記の課題を解決したのである。
すなわち、テレフタル酸と1価のアルコールとのエステル化反応では、1価のアルコールを過剰にし、酸成分であるテレフタル酸の反応中の濃度を低減させても、反応速度の低下が小さく、テレフタル酸ジエステルの生産性は低下しなかった。
また、エステル化反応中の反応系に追加のテレフタル酸を連続的又は間欠的に供給することにより、供給したテレフタル酸が混合液中に溶けやすくすることで、溶解していない固体のテレフタル酸によって反応系の反応器の容積が無駄に占められることを少なくして、反応器容積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性を向上させることができた。
この発明にかかる製造方法により、反応器容積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性を向上させることができる。
以下、この発明について詳細に説明する。
この発明は、テレフタル酸と1価のアルコールとをエステル化反応させて、テレフタル酸ジエステルを製造する方法において、反応開始時点におけるテレフタル酸の量に対してテレフタル酸ジエステルを生成する化学量論量以上の1価のアルコールを使用してエステル化反応を開始させ、このエステル化反応中の反応系に追加のテレフタル酸を連続的又は間欠的に供給してエステル化反応を進行させることを特徴とする方法である。
この発明で原料として用いるテレフタル酸は、通常、繊維、樹脂等の原料として用いられる市販の粉末状テレフタル酸を用いてよい。
この発明で原料として用いる1価のアルコールとしては、特に制限されるものではなく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール、2−メチルブタノール、イソペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、n−ヘプタノール、2−メチルヘキサノール、n−オクタノール、2−メチルヘプタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、イソノニルアルコール、n−デカノール、イソデカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノール、ステアリルアルコール等の脂肪族アルコール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール類等の脂環族アルコール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、トリルメタノール等の芳香族アルコールを挙げられる。また、これらのアルコールの混合物を用いてもよい。
上記の中でも、炭素数4以上である脂肪族1価アルコールが好ましい。一方で、炭素数18以下の脂肪族1価アルコールが好ましく、炭素数12以下であるとより好ましい。特に好ましくはn−ブタノール、イソブチルアルコール、n−ペンタノール、2−メチルブタノール、イソペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、n−ヘプタノール、2−メチルヘキサノール、n−オクタノール、2−メチルヘプタノール、2−エチルヘキサノール、n−ノナノール、イソノニルアルコール、n−デカノール、イソデカノール、n−ウンデカノール、n−ドデカノールである。
この発明で用いられるテレフタル酸と1価のアルコールのエステル化反応器への反応開始時点における仕込み比は、テレフタル酸の量に対してテレフタル酸ジエステルを生成する化学量論量以上の1価のアルコールがあることが必要である。好ましくは、テレフタル酸1モルに対して1価のアルコール2.5モル以上であり、特に好ましくは4モル以上である。一方で、1価のアルコールが多くなりすぎて、テレフタル酸の仕込み量が1価のアルコールに溶けうる飽和溶解量未満となると、今度は過剰の1価のアルコールが反応器容積を無駄に占めることになる。このため、少なくともテレフタル酸が1価のアルコール中に飽和していることが好ましく、好ましい1価のアルコールの仕込み量の上限は使用したテレフタル酸を丁度溶かしきる量となる。すなわち、使用する1価のアルコールに対して飽和溶解量以上のテレフタル酸を使用するのが好ましい。
この発明において、追加のテレフタル酸をエステル化反応中の反応系に供給する方法としては、固体である粉末のまま供給するか、この粉末を圧縮したり縮合剤を用いたりして粒状にして供給するか、または、1価のアルコールとの混合物としてスラリー状にして供給する方法が使用できる。ただし、前記の粉体のまま供給する方法は、粉体に随伴する酸素の除去や反応液への均一な分散が困難なこと、流動性の乏しいことなどのために実施しがたい。また、粒状に成型するためには成型工程が必要となったり、粒状のテレフタル酸を用いると反応中のテレフタル酸が1価のアルコールに接触しにくく、反応所要時間が不利になったりする欠点を持っている。従って、テレフタル酸の供給方法としては、前記の1価のアルコールとのスラリーとして供給する方法が好ましい。
上記のテレフタル酸と1価のアルコールとのスラリーにおける混合比は、スラリーとしてエステル化反応を行う反応系に供給可能であれば特に制限はない。ただし、テレフタル酸粒子濃度が低すぎるとテレフタル酸粒子が沈降しやすくなり定量的に供給することが困難となるため、テレフタル酸粒子濃度は6体積%以上であると好ましく、10体積%以上であるとより好ましい。一方で、テレフタル酸粒子濃度が高すぎるとスラリーの流動性は悪くなるので、テレフタル酸粒子濃度は65体積%以下であることが好ましく、60体積%以下であるとより好ましい。
また、テレフタル酸の供給方法としては、連続的または間欠的に行ういずれの方法でも可能であり、供給速度に特に制限はないが、反応を行うエステル化反応器内のテレフタル酸量が、前記エステル化反応器内に存在する1価のアルコールの量に対するテレフタル酸の飽和溶解量以上に維持されるような速度で供給することが好ましい。1価のアルコールが必要以上にあると前記エステル化反応器の容積を無駄に占めることになるからである。
この発明におけるエステル化反応は、エステル化反応触媒を使用せずとも可能であるが、反応効率の点からエステル化触媒を使用するのが望ましい。このエステル化触媒としては、エステル化能を有するものであれば特に制限はなく、公知のエステル化触媒を使用することができる。具体的には、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のアレーンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、スズテトラエチレート、ブチルスズマレート、ジメチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のスズ化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、四塩化チタン等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物が挙げられる。これらの中でも、スズ、チタン、亜鉛等の有機金属化合物が好ましく、特に好ましくは、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート等のテトラアルキルチタネートである。
また、これらのエステル化触媒の使用量は、テレフタル酸と1価のアルコールとの反応混合物100重量部に対し、0.01重量部以上であると好ましく、一方で、5重量部以下であると好ましく、1重量部以下であるとより好ましい。
この発明で用いるエステル化反応装置としては、通常、エステル化反応に用いられる公知の反応装置が使用できる。具体的には、撹拌機、コンデンサー、及び凝縮液のうち1価のアルコールを還流できるようにした凝縮液溜めを備えた反応器等が挙げられる。
この発明にかかる製造方法における、追加のテレフタル酸の供給方法としては、固体である粉末のまま供給する方法、1価のアルコールとのスラリーとして供給する方法が用いられ得るが、いずれの場合においても、エステル化反応を起こしているエステル化反応混合物の量及び体積が経時的に増加することになる。
このようなエステル化反応混合物の量の増加を放置した場合、所定の量のテレフタル酸と1価のアルコールとを、反応開始時に一括してエステル化反応器に供給して通常の方法によりエステル化反応を行う場合に比べて、テレフタル酸ジエステルの生産性は確かに向上するものの、体積あたりの生産性を向上させる効果自体は小さくなる。従って、この発明にかかる製造方法では、上記反応系であるエステル化反応器内の反応混合物の量が一定になるように、エステル化反応器へのテレフタル酸の追加と、エステル化反応器からエステル化反応混合物または反応原料を抜き出すこととを並行して行い、エステル化反応混合物の量の増加を抑えると、さらにテレフタル酸ジエステルの生産性を向上させるより好ましい方法となる。
ただし、エステル化反応器からエステル化反応混合物を抜き出そうとしても、エステル化反応混合物が固液の懸濁液であるため抜き出しがたい。また、エステル化反応混合物は反応途中であるため、未反応のテレフタル酸や中間体のテレフタル酸モノエステルを相当量含有する混合物となる。さらに、この混合物からテレフタル酸ジエステルを取り出すには、未反応酸性分の除去等負荷が大きくなるため経済性の観点から好ましい方法とは言えない。従って、エステル化反応混合物を丸ごと抜き出すのではなく、反応原料のみを抜き出して、エステル化反応混合物の体積を一定に維持する方法が好ましい。ここで、反応原料のうち、テレフタル酸は供給して量を増やすべきものなので、抜き出すべき反応原料は1価のアルコールとなる。
通常、エステル化反応では、生成する水を反応蒸留により反応系外へ除去する方法が採られる。この場合、水とともに原料の1つである1価のアルコールも反応系外へ除去される。すなわち、反応蒸留法でエステル化反応を行う場合には、常に反応原料である1価のアルコールの一部が反応系外に排出されており、通常、反応系外へ出た1価のアルコールは水と分離したのちエステル化反応系へ還流される。この発明にかかる製造方法においては、前記反応蒸留による水の除去方法を利用することにより、上記エステル化反応器内の上記エステル化反応混合物の体積を一定に維持することが容易に達成できる。すなわち、固体またはスラリーとして供給される追加のテレフタル酸の体積分に相当する1価のアルコールが上記反応系外に排出されるように、上記反応系に戻す1価のアルコールの還流量を調整するだけでよい。
この発明にかかる製造方法のエステル化反応は通常、1価のアルコールの還流下で行われる。その反応圧力は一般には、100mmHg以上であり、常圧以下である。実際の圧力は、用いるアルコールの蒸気圧により設定され、具体的には、上記エステル化反応混合物が沸騰状態を維持する圧力に調整される。さらには、副生する水を系外へ除去することが可能な圧力に調整することが好ましい。
また、この発明における反応温度は、使用する原料の1価のアルコールの種類により設定されるが、通常、60℃以上であり、好ましくは100℃以上である。反応温度が60℃未満であると反応の進行が遅く反応終了までに長時間を要してしまうためである。一方で、250℃以下であるのが通常である。反応温度が250℃を超えると原料のアルコールが脱水したオレフィンや脱水縮合したエーテル化合物等の反応副生成物の増加をもたらし好ましくない。
さらに、この発明における好ましい反応時間は、反応温度、触媒使用量により変化するため一義的に決めることはできないが、通常、1時間以上であり、好ましくは3時間以上である。1時間未満であると未反応の原料であるテレフタル酸や反応中間体であるテレフタル酸のモノエステルの含有量が多くなるため、これら酸成分の分離工程の負荷が大きくなってしまう。一方で、48時間以下であるのが通常であり、24時間以下であると好ましい。48時間を超えると、副生成物の増加をもたらし、テレフタル酸ジエステルの品質を損なうためである。
この発明におけるテレフタル酸ジエステルの製造のためのエステル化反応は、上記の反応条件において、生成する水をアルコールとの共沸で反応系から除外し、テレフタル酸に対する反応率を100%近くまで向上させ、過剰の1価のアルコールを分離したのち、アルカリ洗浄、水洗、不純物の吸着、蒸留等の公知の方法で後処理することによりテレフタル酸ジエステルを得ることができる。
また、上記のエステル化触媒を用いた場合の触媒分離については公知の方法が使用できる。具体的には、鉱酸やスルホン酸を触媒として用いた場合には、アルカリ洗浄や固体塩基での処理が、有機金属化合物を触媒として用いた場合には、有機金属触媒を加水分解した後、アルカリ洗浄やろ過分離により分離する方法が挙げられる。さらに、生成物であるテレフタル酸ジエステルを蒸留することにより触媒を分離する方法も可能である。
この発明にかかるテレフタル酸ジエステルの製造方法は、回分法、連続法のいずれにも適用できる。
この発明にかかるテレフタル酸ジエステルの製造方法により、反応体積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性を向上させることができる。
以下、参考例と、そこから導かれる実施例を挙げてこの発明をより具体的に示す。まず、追加でテレフタル酸を供給することなく、テレフタル酸ジエステルを製造する過程を、反応開始時点で仕込んだテレフタル酸と、1価のアルコールである2−エチルヘキサノールと、触媒であるテトラ−イソプロピルチタネートとの混合量を変更しつつ行った例を参考例として示す。
(参考例1)
攪拌機、コンデンサー、凝縮液溜めを備えた200ml反応器に、テレフタル酸(和光純薬工業(株)製:一級)40.00g(0.241モルに相当する。)、1価のアルコールとして2−エチルヘキサノール(和光純薬工業(株)製:特級)78.39g(0.602モル、テレフタル酸1モルに対し2.5モル、化学量論量の125%に相当する。)、触媒としてテトラ−イソプロピルチタネート0.060ml(0.0578g、0.203ミリモルに相当する。)を仕込み、窒素置換した。置換後、撹拌しつつ、220℃に加熱した油浴に浸しエステル化反応を行った。このエステル化反応混合物を経時的にサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーで分析した。2時間後における、使用したテレフタル酸に対するテレフタル酸ジエステルであるジオクチルテレフタレートの収率は28.7%であった。また、単位時間、単位触媒あたりのジオクチルテレフタレートの生成量は0.261kg/g―触媒/Hrであった。
(参考例2)
参考例1において、テレフタル酸を32.40g(0.195モルに相当する。)に、2−エチルヘキサノールを101.59g(0.780モル、テレフタル酸1モルに対し4.0モル、化学量論量の200%に相当する。)、テトラ−イソプロピルチタネートを0.075ml(0.0722g、0.254ミリモルに相当する。)に変えて同様にエステル化反応を行った。2時間後のジオクチルテレフタレートの収率は43.3%であった。また、単位時間、単位触媒あたりのジオクチルテレフタレートの生成量は0.254kg/g−触媒/Hrであった。
(参考例3)
参考例1において、テレフタル酸を22.57g(0.136モルに相当する。)に、2−エチルヘキサノールを106.61g(0.819モル、テレフタル酸1モルに対し6.0モル、化学量論量の300%に相当する。)、テトラ−イソプロピルチタネートを0.075ml(0.0722g、0.254ミリモルに相当する。)に変えて同様にエステル化反応を行った。2時間後のジオクチルテレフタレートの収率は63.2%であった。また、単位時間、単位触媒あたりのジオクチルテレフタレートの生成量は0.261kg/g−触媒/Hrであった。
(参考例4)
参考例1において、テレフタル酸を14.20g(0.0854モルに相当する。)に、2−エチルヘキサノールを111.80g(0.858モル、テレフタル酸1モルに対し10モル、化学量論量の500%に相当する。)、テトラ−イソプロピルチタネートを0.075ml(0.0722g、0.254ミリモルに相当する。)に変えて同様にエステル化反応を行った。2時間後のジオクチルテレフタレートの収率は90.4%であった。また、単位時間、単位触媒あたりのジオクチルテレフタレートの生成量は0.253kg/g−触媒/Hrであった。
(結果)
いずれの参考例においても、単位触媒重量あたりのジオクチルテレフタレートの生成量はほぼ一定であり、テレフタル酸や2−エチルヘキサノールの量に依存しないことがわかった。
(比較例1)
参考例1において、テレフタル酸の代わりに無水フタル酸(和光純薬工業(株)製:特級)41.37g(0.279モルに相当する。)を使用し、2−エチルヘキサノールを90.95g(0.698モル、無水フタル酸1モルに対して2.5モル、化学量論量の125%に相当する。)、テトラ−イソプロピルチタネートを0.070ml(0.0674g、0.237ミリモルに相当する。)として、エステル化反応を行い、測定を行った。100分後のジオクチルフタレートの収率は95.7%であった。また、反応開始後20分間における単位時間、単位触媒あたりのジオクチルフタレートの生成量は1.34kg/g−触媒/Hrであった。
(比較例2)
比較例1において、無水フタル酸を23.53g(0.159モルに相当する。)に、2−エチルヘキサノールを103.54g(0.795モル、無水フタル酸1モルに対し5.0モル、化学量論量の250%に相当する。)、テトラ−イソプロピルチタネートを0.070ml(0.0674g、0.237ミリモルに相当する。)に変えて同様に反応を行った。100分後のジオクチルフタレートの収率は90.4%であった。また、反応開始後20分間における単位時間、単位触媒あたりのジオクチルフタレートの生成量は0.725kg/g−触媒/Hrであった。
(比較例3)
比較例1において、無水フタル酸を12.65g(0.0854モルに相当する。)に、2−エチルヘキサノールを111.10g(0.853モル、無水フタル酸1モルに対し10モル、化学量論量の500%に相当する。)、テトラ−イソプロピルチタネートを0.070ml(0.0674g、0.237ミリモルに相当する。)に変えて同様に反応を行った。100分後のジオクチルフタレートの収率は97.1%であった。また、反応開始後20分間における単位時間、単位触媒あたりのジオクチルフタレートの生成量は0.391kg/g−触媒/Hrであった。
(結果)
テレフタル酸ではなく無水フタル酸を使用すると、単位触媒あたりの生成量は一定しなかった。
(実施例1)
次に、テレフタル酸を加えていく逐次添加方法が、テレフタル酸ジエステルの生産性向上に有効であることを示す。
撹拌機、コンデンサー、凝縮液溜めを備えた200ml反応器に、テレフタル酸0.38モルと、1価のアルコールとして2−エチルヘキサノール3.8モル(反応開始時点におけるテレフタル酸1モルに対し10モル、化学量論量の500%に相当する。)と、触媒としてテトラ−イソプロピルチタネート0.070ml(0.0674g、0.237ミリモルに相当する)とを仕込んだ。このときの混合物体積は636mlであった。
この反応器内を攪拌しながら、220℃に加熱した油浴に浸して反応を開始し、エステル化反応が開始したこの反応器中に、テレフタル酸0.62モルと2−エチルヘキサノール0.62モルとからなるスラリー(テレフタル酸粒子体積濃度が41.3%)を、毎分1mlの速度で供給し、かつ、2−エチルヘキサノールを毎分1mlの速度で反応系から排出されるように還流量を調整した。
上記参考例1と同様にサンプリングし、高速液体クロマトグラフィーで分析したところ、単位触媒あたりのテレフタル酸ジエステルの生成速度は、テレフタル酸と1価のアルコールの比率によっては変化せず、その平均値は0.257kg/g−触媒/Hrであった。
ここで、本実施例の反応開始時点における混合物体積は、636mlであり、毎分スラリーの供給で1ml増え、2−エチルヘキサノールの排出で1ml減ることを合わせて、体積変化は±0mlであるので、反応中の混合物の混合比は変化しても、体積の合計は636mlで固定される。従って、反応混合物体積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性は、0.404kg/g−触媒/L−混合物体積/Hrと算出された。
(比較例4)
実施例1と同様の反応器に、テレフタル酸1.0モル(実施例1で使用するテレフタル酸の合計量に相当する。)、2−エチルヘキサノール4.0モル(化学量論量の200%に相当する)およびテトラ−イソプロピルチタネート0.070ml(実施例1と同じ。)を仕込み、撹拌しながら220℃に加熱した油浴に浸し反応を開始した。反応中はテレフタル酸を供給せず、反応系から出た2−エチルヘキサノールは全量反応系へ還流させた。反応仕込み時の反応混合物体積は735mlであった。
実施例1と同様の方法で分析した単位触媒あたりのテレフタル酸ジエステルの生成速度の平均値は、0.257kg/g−触媒/Hrであった。反応系から出た2−エチルヘキサノールを全量還流しているので、反応混合物体積は735mlで一定であるので、反応混合物体積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性は、0.350kg/g−触媒/L/Hrと算出された。
(結果)
テレフタル酸に対して化学量論量以上である1価のアルコールを使用して反応を開始し、エステル化反応中に、追加のテレフタル酸を連続的に供給すると、同量のテレフタル酸を予め仕込んでおく比較例4の場合に比べて、反応混合物の体積あたりのテレフタル酸ジエステルの生産性が向上(ここでは1.15倍。)することがわかった。

Claims (5)

  1. テレフタル酸と1価のアルコールとをエステル化反応させて、テレフタル酸ジエステルを製造する方法において、
    反応開始時点におけるテレフタル酸の量に対してテレフタル酸ジエステルを生成する化学量論量以上の1価のアルコールを使用してエステル化反応を開始させ、このエステル化反応中の反応系に追加のテレフタル酸を連続的又は間欠的に供給してエステル化反応を進行させることを特徴とするテレフタル酸ジエステルの製造方法。
  2. 上記のテレフタル酸を連続的又は間欠的に供給する際に、テレフタル酸を1価のアルコールとのスラリーとして上記反応系に供給する請求項1に記載のテレフタル酸ジエステルの製造方法。
  3. 上記のエステル化反応で生成する水を、反応蒸留により上記反応系から除去する請求項1または2に記載のテレフタル酸ジエステルの製造方法。
  4. 上記の1価のアルコールが、炭素数4以上、12以下である脂肪族アルコールの少なくとも1種類である請求項1乃至3のいずれかに記載のテレフタル酸ジエステルの製造方法。
  5. 上記のエステル化反応をエステル化触媒の存在下で行う請求項1乃至4のいずれかに記載のテレフタル酸ジエステルの製造方法。
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