以下、図面を参照しながら、この発明の実施例に係る用紙処理装置について説明をする。
図1は、本発明に係る実施例としての用紙処理装置を応用したバインド装置100の構成例を示す概念図である。
図1に示すバインド装置100は用紙処理装置の一例を構成し、複数の各々の用紙の所定位置に穿孔された孔に綴じ部品(消耗品)43を綴じて冊子を作成するものである。例えば、バインド装置100は、コピー機や印刷装置から出力される記録紙(以下単に用紙3という)にパンチ処理をし、その後、所定の綴じ部品43で綴じ処理をして排出する装置である。もちろん、所定の用紙3に孔を穿孔してそのまま排紙する機能を備えた装置に適用してもよい。バインド装置100は装置本体部(筐体)101を有している。バインド装置100は複写機や印刷機(画像形成装置)等と並べて使用されることが好ましく、装置本体部101は、複写機や印刷機等と同程度の高さを有している。
装置本体部101内には用紙搬送部10が備えられる。用紙搬送部10は、第1の搬送路11及び第2の搬送路12を有している。搬送路11は、給紙口13及び排出口14を有しており、給紙口13から引き込んだ用紙3を所定の位置となる排出口14へ向けて搬送するスルーパス機能を有している。
ここにスルーパス機能とは、上流側の複写機や印刷機等と下流側の他の用紙処理装置の間に位置する搬送路11が、複写機や印刷機等から他の用紙処理装置へ用紙3を直接受け渡す機能をいう。このスルーパス機能が選択された場合は、搬送ローラの加速処理やバインド処理等を省略するようになされる。用紙3は、通常、片面コピーの場合に、フェースダウンの状態で送られてくる。給紙口13には給紙センサ111が取り付けられ、用紙3の先端を検知して給紙検知信号を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12は、当該搬送路11から搬送経路が切り換え可能なスイッチバック機能を有している。ここにスイッチバック機能とは、搬送路11の所定の位置で用紙3の搬送を減速及び停止し、その後、搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路を切り換え、かつ、当該用紙3を逆方向に送出する機能をいう。搬送路11には、フラップ15が設けられ、搬送経路を搬送路11から搬送路12に切換えるようになされる。
また、搬送路11と搬送路12との切換え点には、3連の搬送ローラ17c,19a’,19aが設けられる。搬送ローラ17c及び19aは時計方向回りに回転し、搬送ローラ19a’は半時計方向回りに回転する。例えば、搬送ローラ19a’が駆動ローラで搬送ローラ17c及び19aが従動ローラとなっている。搬送ローラ17c及び19a’により取り込まれた用紙3は、減速及び停止するが、フラップ15で上方から下方に規制されると、搬送ローラ19a’及び19aにより給紙されて搬送路12に搬送される。3連の搬送ローラ17c,19a’,19aの手前には用紙検知センサ114が配設され、用紙の前端及び後端を検知して用紙検知信号を制御部50へ出力するようになされる。
搬送路12の下流側には、パンチ処理部20が配置されている。この例で、上述の搬送路11と搬送路12との間は、所定の角度を有するように設計されている。例えば、搬送路11の搬送面とパンチ処理部20の用紙被穿孔面の間には、第1の俯角θ1が設定されている。ここに用紙被穿孔面とは、用紙3に孔を穿孔する面をいう。パンチ処理部20は、搬送路11の搬送面を基準にして俯角θ1を有する位置に用紙被穿孔面を設定するように配置される。
パンチ処理部20では、搬送路11からスイッチバックし、搬送路12によって搬送される用紙3の一端に二以上の綴じ用の孔を穿孔するようになされる。パンチ処理部20は、例えば、往復動作可能なパンチ刃21を駆動するモータ22を有している。用紙3はモータ22によって駆動されるパンチ刃21によって、1枚ずつ穿孔される。
パンチ処理部20内には、孔あけ位置の基準となる開閉可能なフェンス24が設けられ、用紙3を突き当てるように使用される。更に、パンチ処理部20には、サイドジョーガー23が設けられ、用紙3の姿勢を修正するようになされる。例えば、用紙3の先端が開閉可能なフェンス24に均等に当接するようになされる。フェンス24は用紙端部の揃え時の位置基準となる。サイドジョーガー23の手前には用紙検知センサ118が配設され、用紙の前端及び後端を検知して用紙検知信号を制御部50へ出力するようになされる。
パンチ処理部20は、用紙3をフェンス24に当接させて停止させ、その後、当該用紙3の先端を穿孔する。なお、パンチ処理本体の下方には、パンチカス収納部26が設けられ、パンチ刃21によって切り落とされたパンチカスを収納するようになされる。パンチ処理部20の下流側には、排紙ローラ25が設けられ、用紙穿孔後の用紙3’を次段のユニットに搬送するようになされる。
パンチ処理部20の下流側には、バインダ紙揃えユニット30が配置され、パンチ処理部20から排紙される複数枚の用紙3’の孔の位置を揃えて一時保留(蓄積)するようになされる。バインダ紙揃えユニット30は、搬送部11の搬送面を基準にして第2の俯角θ2を有する位置に用紙保留面を設定するように配置される。ここに用紙保留面とは、孔が穿孔された用紙3’を保留(積層)する面をいう。この例では、俯角θ1と俯角θ2との関係がθ1<θ2に設定される。この設定は本体装置101の幅を縮小化するため、及び、この条件下で用紙3を直線的に搬送するためである。
バインダ紙揃えユニット30は、紙進入時に用紙3’を所定の位置に案内し、紙進入完了後は、用紙3’の後端を押え込むようになされる。また、バインダ紙揃えユニット30は、紙進入時、用紙3’の先端と横端を基準位置に揃えるための多櫂状の回転部材(以下パドルローラ32という)の適正な位置に用紙3’の先端を案内するようになされる。
バインダ紙揃えユニット30の下流側には、バインド処理部40が配置され、当該ユニット30によって揃えられた複数枚の用紙束3”を綴じ部品43で綴じて冊子90を作成するようになされる。冊子90とは、綴じ部品43が挿入され綴じられた用紙束をいう。
この例で、バインド処理部40は、用紙3’のパンチ孔に綴じ部品43の両先端部を挿入する移動機構41を有している。移動機構41は綴じ手段の一例を構成し、複数枚用紙に綴じ部品43を綴じるものである。例えば、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向と、上述した搬送部11の搬送方向と直交する位置との間を往復回転するように移動する。バインド処理部40は、バインダ(綴じ部品)カセット42を有している。バインダカセット42には、複数個の綴じ部品43がセットされる。綴じ部品43は、例えば、射出金型成形され、用紙束の厚みに応じた複数種類が準備される。
移動機構41は、例えば、搬送路11の搬送方向と直交する位置でバインダカセット42から1個の綴じ部品43を引き抜いて保持し、この状態で、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置に回転する。この位置で、バインド処理部40は、バインダ紙揃えユニット30から、パンチ孔が位置決めされた用紙束3”を受入れ、そのパンチ孔に綴じ部品43を挿入して綴じ処理を実行する(自動製本機能)。
バインド処理部40の下流側には、排出ユニット60が配置され、バインド処理部40により作成された冊子90を排出処理するようになされる。排出ユニット60は、例えば、第1のベルトユニット61、第2のベルトユニット62及びスタッカ63を有して構成される。
ベルトユニット61は、バインダ紙揃えユニット30から落下してくる冊子90を受止めて送出方向を切換えるようになされる。例えば、バインダ紙揃えユニット30の用紙搬送方向を見通せる位置から所定の排出方向へベルトユニット本体を振り向けるようになされる。
ベルトユニット62は、ベルトユニット61によって送出方向が切換えられた冊子90を受け取ってリレー搬送するようになされる。スタッカ63は、ベルトユニット61及び62によって搬送されてくる冊子90をため込むようになされる。
続いて、本発明に係る用紙処理方法について説明する。図2(a)乃至(d)は、バインド装置100の機能例を示す工程図である。
図2(a)に示す用紙3は、当該バインド装置100の上流側から給紙されたものである。パンチ孔が開孔されていないものである。用紙3は、図1に示した搬送路11の所定の位置に向けて搬送され、搬送路11の所定の位置で減速及び停止される。その後、搬送路11から搬送路12に用紙3の搬送経路が切り換えられ、かつ、当該用紙3は逆方向に送出されてパンチ処理部20に搬送される。
パンチ処理部20では、図2(b)に示すように用紙3の一端に所定の数の綴じ用の孔が穿孔される。綴じ用の孔が穿孔された用紙3’は、バインド紙揃えユニット30へ搬送される。バインド紙揃えユニット30では、予め設定された用紙枚数に到達すると、例えば、図2(c)に示す用紙束3”のようにその綴じ用の孔の位置が揃えられ、バインド処理部40と協調して綴じ部品43をその孔へ挿入するようになされる。これにより、綴じ部品43で挿入された図2(d)に示す冊子90を得ることができる。
図3は、綴じ部品取得時のバインド処理部40及び紙揃えユニット30の構成例を示す概略図である。図3に示すバインド処理部40は、バインダカセット42及び移動機構41を備える。バインダカセット42は、綴じ部品43(図示しない)が積層されて格納されている。移動機構41は、開口部41cを有し、この開口部41cからバインダカセット42に積層された綴じ部品43を1回に付き1個ずつ取得する。取得後、移動機構41は、図4に示すように、移動機構回転軸41dを軸にして反時計回りへ回動し、紙揃えユニット30の側へ移動する。紙揃えユニット30は、穿孔された複数枚の用紙が蓄積されている。
図4は、綴じ処理時のバインド処理部40及び紙揃えユニット30の構成例を示す概略図である。図4に示す移動機構41は、開口部41cを有し、図3で示した状態から移動機構回転軸41dを軸にして反時計回りに回動した状態であり、図18に示す綴じ部品掴み部41bに保持された綴じ部品43(図示しない)を紙揃えユニット30から提供される図2で示した用紙束3”に挿入する。挿入後、移動機構41は、綴じ部品43を解除し、移動機構回転軸41dを軸にして時計回りへ回動し、図3で示した状態であるバインダカセット42の直下の位置まで移動する。用紙束3”は綴じ部品で綴じられ、冊子90となり次の用紙処理工程へ進む。
図5は、バインダ紙揃えユニット30の構成例を示す斜視図である。図5に示すバインダ紙揃えユニット30は、用紙搬送部10によって搬送される用紙3’を揃えて一時保留するものである。
バインダ紙揃えユニット30は押え手段の一例を構成し、用紙ガイド(案内)押え機構31を有している。用紙ガイド押え機構31は、穿孔された複数枚の用紙3’を所定の位置に案内し揃えて押える。例えば、用紙ガイド押え機構31は、紙進入時に用紙3’を所定の位置にガイドし、紙進入完了後、例えば、バインド処理時は、用紙3’の後端側を押え込むようになされる。
用紙ガイド押え機構31は、例えば、用紙保留部32及び左右の回動可能ガイド部34a,34b(図示しない)を有して構成される。用紙保留部32は、用紙3’を蓄積して一時保留するものである。
回動可能ガイド部34aは、用紙進入時、一方の側で用紙保留部32に用紙3’をガイドしたり、紙進入完了後、用紙3’を押え込むように動作する。回動可能ガイド部34aは、例えば、ソレノイド301、連接棒302、ガイドフレーム303a、押え部材304a及びリンク機構305aを有して構成される。
回動可能ガイド部34bは、用紙進入時、他方の側で用紙保留部32に用紙3’をガイドしたり、紙進入完了後、用紙3’を押え込むように動作する。回動可能ガイド部34bは、例えば、ガイドフレーム303b、押え部材304b及びリンク機構305bを有して構成される。
用紙保留部32の左右には、1対のリンク機構305a,305bが配置される。リンク機構305a,305b間は、連接棒302で可動自在に係合されている。例えば、一方のリンク機構305aにはソレノイド301が取り付けられている。ソレノイド301は、用紙保留部本体に取り付けられる。
この例で、ソレノイド301の往復運動を左右のリンク機構に305a,305bに伝達するようになされる。リンク機構305aにはガイドフレーム303aが取り付けられ、リンク機構305bにはガイドフレーム303bが取り付けられる。各々のガイドフレーム303a,303bは、用紙3’の紙面の上方向に突出するR曲面(R)形状を有しており、用紙保留部32に用紙3’をガイドするようになされる。上述のソレノイド301は、左右のリンク機構部305a,305bを介してガイドフレーム303a,303bを駆動して押え部材304a,304bを作動するようになされる。
ガイドフレーム303aの先端には押え部材304aが回動可能に取り付けられ、紙進入完了後、用紙3’を押え込むように動作する。押え部材304aは、例えば、樹脂による射出金型成形品で、底部位が平坦な形状を有している。大きさは、幅20mm乃至30mmで、長さ60mm乃至80mm程度である。厚みは8mm乃至10mm程度である。
押え部材304aは、例えば、用紙進入時、回動可能ガイド部34aで形成された走行ガイド形状の延長ガイドとなるように構成され、当該押え部材304aによる押え込み機能の開放状態では、常に、回動可能ガイド部34aによる走行ガイド形状に協調する形態の走行ガイド形状となるように付勢部材で付勢されている。押え部材304aは、紙進入完了後、用紙3’に倣って当接され、当該用紙3’を平面で押える構造を有している。ガイドフレーム303b及び押え部材304bも同様に構成されている。クランプ移動機構80が開閉可動自在に用紙束3”を保持固定する保持固定部には、綴じ部品ガイド部材99a,99bが配置されている。
図6は、バインダ紙揃えユニット30におけるクランプ移動機構80の構成例を示す斜視図である。図7(a)はクシ型の押え部材84a,84b及び綴じ部品ガイド部材99a,99bの構成例を示す上面図である。図7(b)は、その整列ピンの挿入前を示すX1−X1矢視断面図、図7(c)は、整列ピンの挿入後を示すX1−X1矢視断面図である。
図6に示すクランプ移動機構80は、図4で示した移動機構41が保持した綴じ部品43を挿入するために、用紙束3”の孔側の端部を固定して用紙搬送方向に沿って用紙ガイド押え機構31から下流側へわずかに移動する。
クランプ移動機構80は、本体基板81、クランプ部材82a,82b、シャッター83、クシ型の押え部材84a,84b、整列ピン85a,85b、モータ86、カム87、ギヤユニット88及び綴じ部品ガイド部材99a,99bを有して構成される。クランプ移動機構80は、ガイド挟み手段の一例を構成し、用紙ガイド押え機構31により押えられた用紙束3”の表面と裏面から用紙3”のパンチ孔の一部分を覆う位置に当てるための綴じ部品ガイド部材99a,99bを有して用紙束3”を挟む。図1に示した移動機構41は、用紙束3”を挟んだクランプ移動機構80の綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部を接触させながら用紙束3”に綴じ部品43を綴じる。
本体基板81は、前面部位と側面部位を有して構成される。本体基板81は、鉄板を折り曲げ加工して前面部位と左右側面部位が形成されている。左側面部位は、右側面部位よりも大きく領域が採られる。この例で、左側面部位の内側には、モータ86の取り付け領域が設けられ、左側面部位の上方はクランプ部材82aの取り付け領域が設けられ、右側面部位の上方はクランプ部材82bの取り付け領域が各々設けられている。本体基板81には、クランプ部材82a,82b、シャッター83、クシ型の押え部材84a,84b、整列ピン85a,85b、モータ86、カム87a,87b、ギヤユニット88及び綴じ部品ガイド部材99a,99bが各々配置されている。
本体基板81の両側端上部には、クランプ部材82a,82bが可動自在に取り付けられ、用紙束3”を保持固定したり、それを自由開放したりするように動作する。右端側のクランプ部材82aは、例えば、挟み状部材801と、先端剣先状を有した規制孔付き部材802とを有して構成される。
挟み状部材801は、1対の可動部材801a,801bを有して構成されている。一方の可動部材801aの一端には第1の連接棒803が可動自在に取り付けられている。他方の可動部材801bの一端には第2の連接棒804が可動自在に取り付けられている。(1対の)可動部材801a,801bの他端は、規制孔付き部材802の他端と共に支点軸部材805に可動自在に係合されている。
規制孔付き部材802は、第1及び第2の連接棒803,804の移動を規制するクランプ開閉規制用の細長い開口部806を有している。開口部806には、第1及び第2の連接棒803,804の端部を露出するように組み立てられる。
第1の連接棒803には、図7(a)に示すように綴じ部品ガイド部材99aを挟んでクシ型の上部押え部材84aがネジで取り付けられ、第2の連接棒804には、綴じ部品ガイド部材99bを挟んでクシ型の下部押え部材84bが取り付けられる。綴じ部品ガイド部材99a,99bは、綴じ部品ガイド面99a’,99b’を有し、綴じ部品ガイド面99a’,99b’がクシ型の押え部材84a,84bのクシ型の方を向くように連接棒803及び804に取り付けられる。
整列ピン85a、85bは、用紙ガイド押え機構31の所定の位置に揃えられた用紙束3”に対して垂直方向に可動自在に取り付けられ、用紙束3”のパンチ孔を整列する。
綴じ部品ガイド部材99a,99bは、綴じ部品43と同じプラスチック素材である。これは、綴じ部品43の両先端部を綴じ部品ガイド面99a’,99b’に接触させながら用紙のパンチ孔に綴じるので、綴じ部品43の両先端部と綴じ部品ガイド面99a’,99b’に生じる摩擦などを少なくするためである。綴じ部品ガイド部材99a,99bの最長部位は、クシ型の押え部材84a,84bの最長部位とほぼ同じ長さである。これにより、整列ピン85a,85bが挿入されるパンチ孔を除き、全てのパンチ孔に綴じ部品43の両先端部を案内することができる。
綴じ部品ガイド部材99a,99bが用紙束3”の表面と裏面から用紙束3”のパンチ孔の一部分を覆う位置は、綴じ部品ガイド部材99a,99bの所定の位置に設けられた凹部に整列ピン85a,85bを当接することにより設定される。整列ピン85a,85bにより位置固定される綴じ部品ガイド部材99a,99bがパンチ孔を覆う範囲は、整列ピン85a,85bに綴じ部品ガイド部材99a,99bが当接する部位の凹み加減(切り欠け具合)により決定される。例えば、図7(a)に示すように、凹部が、綴じ部品ガイド部材99a,99bの左右に設けられ、綴じ部品ガイド部材99a,99bが、用紙束3”の表面と裏面から用紙束3”のパンチ孔の一部分を覆う位置は、綴じ部品ガイド部材99a,99bにおいて各々の2つの凹部を結ぶ先端部が用紙束3”のパンチ孔の略半分を覆う位置に設定される。図7(b)及び(c)に示すように、整列ピン85a、85bの円弧の半円部分が収まるように綴じ部品ガイド部材99a,99bの凹部を形成すれば、パンチ孔の略半分が綴じ部品ガイド部材99a,99bで覆われる。これにより、綴じ部品43の両先端部は、綴じ部品ガイド面99a’,99b’に接触しながらパンチ孔に挿入される。この綴じ部品ガイド部材99a,99bの使用例は、図25及び図26で詳細に説明する。
また、この2つの凹部を有した綴じ部品ガイド部材99a,99bがパンチ孔の一部分を覆う範囲は、厚さが最大となる用紙束3”に最大径の綴じ部品43を綴じることを条件として決定される。この最も綴じ処理が困難な条件で、綴じ部品43を綴じ部品ガイド部材99a,99bに接触させながらパンチ孔に綴じることが可能であれば、用紙束3”の厚さ及び径の大きさに係らず、綴じ部品43をパンチ孔に綴じることができるようになる。
クシ型の上部押え部材84aは、U字形状に切り落とした、くし歯部位を有している。このくし歯部位の配置ピッチは、用紙束3”のパンチ孔の配置ピッチに等しくなされている。
クシ状部は長い歯部位807と、短い歯部位808とが混在して形成されている。長い歯部位807は、用紙束3”の紙端部よりも前方に飛び出すように配置され、短い歯部位808は、用紙束3”の紙端部よりも手前に控えるように配置される。これはシャッター83に選択的に開口された部位に長い歯部位807を勘合することで、上部押え部材84a及び下部押え部材84bの保持固定精度及びシャッターの閉鎖機能を向上させるためである。
左端側のクランプ部材82bは、右端側と同様に形成されるので、その説明を省略する。左端側のクランプ部材82bと、右端側のクランプ部材82aとは、その後端で上述した支点軸部材805により可動自在に係合されると共に、前端では、挟み状部材801に取り付けられた連接棒803,804が規制孔付き部材802に可動自在に係合されることでクランプ機構を構成するようになされる。また、クランプ部材82a,82bは、本体基板81に対し、用紙束3”を保持した状態で用紙搬送方向に沿って移動する構造を有している。これにより、クランプ移動機構80を構成するようになされる。
モータ86は、左側面部位の内側に設けられたモータ取り付け領域に取り付けられる。モータ86はギヤユニット88に係合され、モータ回転数を所定の歯車比により変換し、モータ回転力をカム87a及び87bに伝達するようになされる。ギヤユニット88には、一方のカム87bが取り付けられている。カム87bはカム連動部材809を介して他方のカム87aに取り付けられている。上述した可動部材801a又は801bにはカム作用部位が備えられている。各々のクランプ部材82a及び82bにおいて、可動部材801a又は801bのカム作用部位にカム87a,87bが押圧することで、各々のクランプ部材82a及び82bの挟み部材801を同期して開閉するようになされる。
なお、本体基板81の前面にはシャッター83が可動自在に取り付けられ、用紙保留部32に蓄積された用紙束3”の排紙を制限するように動作する。シャッター83は用紙束3”の搬送方向と直交する方向で上下駆動するようになされる。シャッター83の両脇にはスライド部材811,812が設けられ、シャッター83は、スライド部材811,812に沿って摺動するようになされる。この例で、クランプ部材82a,82bが用紙束3”を自由開放状態としたときに、シャッター83を閉鎖することにより、用紙束3”の自然落下をストップすることができる。
また、本体基板81の前面部位の内側には整列ピン85a,85bが可動自在に取り付けられ、綴じ処理前に、用紙束3”のパンチ孔に、整列ピン85a,85bを勘合してその位置を揃えるようになされる。整列ピン85a,85bの各々の先端は、円錐形状を有している。例えば、上部押え部材84aと下部押え部材84bとの間には、図7(b)に示すように整列ピン85a,85bを勘合する前に、用紙束3”が挟み込まれて保持される。その後、整列ピン85で用紙束3”の孔の位置を揃えるために、シャッター83を綴じた状態で、クランプ部材82a,82bが開放される。その後、図7(c)に示すように整列ピン85aが用紙束3”の孔に勘合される。これらの部材が取り付けられた本体基板81は、バインダ紙揃えユニット本体部に取り付けられる。
続いて、バインダ紙揃えユニットの制御系の構成例について説明する。図8は、バインダ紙揃えユニット30の制御系の構成例を示すブロック図である。
図8に示す制御部50にはソレノイド駆動部35、モータ駆動部36、搬出ローラ駆動部122及びモータ駆動部180乃至183が接続されている。
ソレノイド駆動部35は、押え部材移動用ソレノイド301を駆動して、紙進入時、左右の押え部材304a,304bによる押え込み機能を開放し、当該押え部材304a,304bが用紙3’を用紙保留部32へガイドするための走行ガイドとして機能するように回動可能ガイド部34a,34b(図示しない)を制御する。この制御によって、回動可能ガイド部34a,34bは、用紙進入時、両側の押え部材304a,304bを開放して、用紙保留部32へガイドするための走行ガイドとなる。
また、ソレノイド駆動部35は、押え部材移動用ソレノイド301を駆動して、紙進入完了後、例えば、バインド処理時に、押え部材304a,304bによる走行ガイド機能を閉鎖し、当該押え部材304a,304bが用紙保留部32に保留された用紙3’の後端側を押えるための平面当接部品として機能するように回動可能ガイド部34a,34bを制御する。この制御によって、回動可能ガイド部34a,34bは、用紙進入完了後、走行ガイドを閉鎖して、用紙保留部32に蓄積されている用紙3’の後端側の両側部で押え込むようになされる。
制御部50は、少なくとも、ソレノイド駆動部35の出力を制御して回動可能ガイド部34a,34bを時分割に駆動する。例えば、制御部50は、パンチ処理後の用紙3’を排紙する際に排紙ローラ駆動部122に排紙制御信号S22を出力する。排出ローラ駆動部122は、排紙制御信号S22に基づいて排出ローラ回転用モータ25を駆動し、パンチ処理後の用紙3’を下方に排紙するようになされる。
制御部50は、排出ローラ回転用モータ25を駆動する間又はその駆動毎に、ソレノイド駆動部35にソレノイド制御信号S35を出力する。ソレノイド駆動部35は、ソレノイド制御信号S35に基づいて、ソレノイド301を駆動し、押え部材304a,304bによる押え込み機能を開放するようになされる。また、ソレノイド駆動部35は、紙進入時、ソレノイド制御信号S35に基づいて、ソレノイド301を駆動し、押え部材304a,304bによる押え込み機能を実行するようになる。これにより、用紙ガイド押え機構31を制御できるようになる。
モータ駆動部36は制御部50に接続され、パドルローラユニット37を制御するようになされる。パドルローラユニット37にはパドルローラ回転用モータ708が備えられる。例えば、モータ駆動部36は、制御部50からモータ制御信号S36を入力してパドルローラ回転用モータ708を駆動し、パドルローラユニット37を制御するようになされる。
モータ駆動部180乃至182は制御部50に接続され、クランプ移動機構80を制御するようになされる。クランプ移動機構80にはクランプ部材移動用モータ86、ガイド部材移動用モータ89、クランプ移動機構用モータ308が備えられる。例えば、モータ駆動部180は、制御部50から移動制御信号S80を入力してクランプ移動機構用モータ308を駆動し、図13乃至図15に示すように、クランプ移動機構80を用紙搬送方向へ移動制御するようになされる。
モータ駆動部181は、制御部50から移動制御信号S81を入力してクランプ駆動用のモータ86を駆動し、図6に示したクランプ部材82a,82bを駆動制御するようになされる。モータ駆動部182は、制御部50から移動制御信号S82を入力してピン部材移動用のモータ89を駆動するようになされる。モータ駆動部183は制御部50に接続され、制御部50から移動制御信号S83を入力してサイドジョーガー用モータ74a,74bを駆動するようになされる。
なお、制御部50は、用紙検知センサ119による用紙検知に基づいて制御を実行するようにすると好ましい。用紙検知センサ119は、バインダ紙揃えユニット30に蓄積される用紙3’の枚数をカウントして用紙検知信号Scを制御部50に出力する。制御部50は、入力した用紙検知信号Scに基づいてクランプ移動機構80及びバインド処理部40を制御するようになされる。
図9はクランプ移動機構80における用紙束整列時の動作例(その1)を示す正面図である。この例では、シャッター83が閉鎖され、用紙3’が用紙保留部32に蓄積され、用紙束3”を保持している場合を前提とする。
図9に示すクランプ移動機構80は、整列ピン85bが規定枚数の用紙束3”に挿入されていないスタンバイ状態であり、用紙束3”をクランプ部材82a(図示しない)、82bで保持している状態である。例えば、クランプ部材82aと、クランプ部材82bとがその後端では、支点軸部材805を基準にして、前端では、挟み状部材801に取り付けられた連接棒803,804が規制孔付き部材802により制限を受けながらクランプ動作を実行する。
更に、連接棒803,804は、挟み状部材801によるクランプ動作方向に対して垂直方向へ微小可動自在ある。これは、連接棒803,804に取り付けられた各々の綴じ部品ガイド部材99a,99bが、自重で最下位部に位置している状態から、整列ピン85a,85bにより所定の位置に押し上げられることにより、位置合せが実施されるからである。
この例では、連接棒803に綴じ部品ガイド部材99aを挟んで取り付けられたクシ型の上部押え部材84aと、連接棒804に綴じ部品ガイド部材99bを挟んで取り付けられたクシ型の下部押え部材84bとが用紙束3”を保持する。更に、連接棒803に取り付けられた綴じ部品ガイド部材99aと、連接棒804に取り付けられた綴じ部品ガイド部材99bは、用紙束3”のパンチ孔に綴じ部品43を案内する。現段階において、綴じ部品ガイド部材99a,99bは、用紙束3”のパンチ孔に位置合せが実施されていない。
このとき、カム87a(図示しない)、87bは、第1の位置(ホームポジション)で所定の姿勢を取る。例えば、カム87a,87bの突起部が直上を向いている状態である。なお。図中のモータ89は、整列ピン駆動用のモータである。モータ89と整列ピン85a(図示しない)、85bとは図示しないリンク機構により係合されている。リンク機構は、モータ89の回転運動を往復運動に変換するように機能する。
図10はクランプ移動機構80における用紙束整列時の動作例(その2)を示す正面図である。この例では、図9で示したように、シャッター83が閉鎖され、用紙3’が用紙保留部32に蓄積され、規定枚数の用紙束3”をクランプ部材82a(図示しない),82bで保持している場合を前提とする。
図10に示すクランプ移動機構80は、用紙束3”のパンチ孔の位置を揃えるために、シャッター83を綴じた状態で、クランプ部材82a(図示しない)、82bが開放され、整列ピン85a(図示しない)、85bを用紙束3”の所定のパンチ孔に挿入した状態である。例えば、モータ86は、ギヤユニット88を通じてモータ回転数を所定の歯車比により変換し、モータ回転力をカム87a(図示しない)及び87bに伝達する。この結果、カム87a及び87bは、第1の位置から時計方向に90°回転した状態となる。
このとき、各々のクランプ部材82a(図示しない)及び82bにおいて、可動部材801a及び801bのカム作用部位にカム87a及び87bの突起部が押圧されることで、各々のクランプ部材82a及び82bの挟み部材801を同期して開放するようになされる。
挟み部材801では、支点軸部材805を可動基準にして可動部材801aと可動部材801bとが開くように動作する。可動部材801a,801bは、規制孔付き部材802の細長い開口部806によって、移動が制限され、挟み状部材801のクランプ開放幅が規制される。駆動力は、可動部材801aに可動自在に取り付けられた連接棒803と、可動部材801bに可動自在に取り付けられた連接棒804とに伝達される。
この結果、連接棒803に取り付けられたクシ型の上部押え部材84aと、連接棒804に取り付けられたクシ型の下部押え部材84bとが用紙束3”を自由開放する。これらのクランプ部材82a,82bが用紙束3”を自由開放状態としたときに、シャッター83が閉鎖されていることにより、用紙束3”の自然落下をストップすることができる。
そして、モータ89が駆動され、図示しないリンク機構により、モータ89の正回転運動がピン上昇運動に変換されて、整列ピン85bを用紙束3”のパンチ孔に挿入するようになされる。これにより、用紙束3”のパンチ孔の位置を揃えることができる。
更に、連接棒803,804に取り付けられた各々の綴じ部品ガイド部材99a,99bは、自重で最下位部に位置している状態から、整列ピン85a,85bにより所定の位置に押し上げられ位置合せが実施される。
図11はクランプ移動機構80における用紙束整列時の動作例(その3)を示す正面図である。この例では、図10で示したように、シャッター83が閉鎖され、用紙束3’が用紙保留部32に蓄積され、規定枚数の用紙束3”をクランプ部材82a(図示しない),82bで自由解放し、整列ピン85bを用紙束3”のパンチ孔に勘合している場合を前提とする。
図11に示すクランプ移動機構80は、用紙束3”の所定のパンチ孔に整列ピン85bを挿入し、再びクランプ・ロックにした状態である。
図11に示したクランプ移動機構80によれば、カム87a(図示しない)及び87bが、第2の位置(クランプ開放)から第1の位置(ホームポジション)に戻って所定の姿勢を取る。例えば、モータ86は、逆回転し、ギヤユニット88を通じてモータ回転数を所定の歯車比により変換し、モータ回転力をカム87a及び87bに伝達する。この結果、カム87a及び87bは、第2の位置から反時計方向に90°回転した状態となる。
このとき、各々のクランプ部材82a及び82bにおいて、可動部材801a又は801bのカム作用部位にカム87a及び87bの突起部が非押圧状態となされることで、可動部材801aと801bを繋ぐ図示しないバネにより、各々のクランプ部材82a及び82bの挟み部材801を同期して閉鎖するようになされる。
挟み状部材801では、支点軸部材805を可動基準にして可動部材801aと可動部材801bとが閉じるように動作する。駆動力は、可動部材801aに可動自在に取り付けられた連接棒803と、可動部材801bに可動自在に取り付けられた連接棒804とに伝達される。この結果、連接棒803に取り付けられたクシ型の上部押え部材84aと、連接棒804に取り付けられたクシ型の下部押え部材84bとが用紙束3”を保持固定する。
更に、連接棒803,804に取り付けられた各々の綴じ部品ガイド部材99a,99bは、自重で最下位部に位置している状態から、整列ピン85a,85bにより所定の位置に押し上げられて位置合せが完了する。
図12はクランプ移動機構80における用紙束整列時の動作例(その4)を示す正面図である。この例では、図11で示したように、シャッター83が閉鎖され、用紙束3’が用紙保留部32に蓄積され、規定枚数の用紙束3”に整列ピン85bを用紙束3”のパンチ孔に挿入し、クランプ部材82a(図示しない),82bで保持固定している場合を前提とする。
図12に示すクランプ移動機構80は、用紙束3”の所定のパンチ孔から整列ピン85bを撤退し、クランプ・ロックを維持している状態である。
図12に示したクランプ移動機構80によれば、第1の位置(ホームポジション)の姿勢を取ったままである。モータ89が駆動され、図示しないリンク機構により、モータ89の逆回転運動が整列ピン85a,85bの降下運動に変換されて、用紙束3”のパンチ孔から整列ピン85a,85bを引き抜くようになされる。これにより、綴じ処理前に、用紙束3”のパンチ孔の位置を揃え、かつ、綴じ部品ガイド部材99a,99bの位置を合せた状態で用紙束3”を保持固定することができる。
シャッター83は、この間、用紙保留部32に蓄積された用紙束3”の排紙を制限するように動作するが、その後、用紙束3”の搬送方向と直交する方向に摺動するように開かれる。
図13(a)及び(b)は、クランプ移動機構80の下降移動調整例(基準枚数時)を示す概念図である。
図13(a)に示すクランプ移動機構80にはクランプ位置決め用の開口部813が備えられる。開口部813は、瓶断面形状を有している。この開口部813で瓶の首部に相当する部分に可動部材804が落ち込むことで、クランプ位置決められるようになっている。
クランプ移動機構80には開口部813の他に、補正用開口部814が備えられる。補正用開口部814は、薄い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置から基準枚数時の用紙搬送中心位置に補正したり、厚い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置から基準枚数時の用紙搬送中心位置に補正するものである。補正用開口部814内のポスト815は、クランプ部材82a,82bのリンク部材を係合する可動軸である。
クランプ部材82a,82bは、基準枚数の用紙束3”を保持し、図6に示した本体基板81に対し、用紙束3”を保持した状態で用紙搬送方向に沿って下流側に移動する。この場合は、用紙搬送中心位置と、綴じ部品43の綴じ中心位置とが一致するように設計されている。ここに用紙搬送方向中心位置とは、用紙束3”の厚み方向でその厚みを1/2に分割する位置をいう。また、綴じ中心位置とは、綴じ部品43の背骨の位置をいう。従って、用紙束3”が基準枚数となる場合は、下降移動調整が省略される。
この例では、バインド処理部40が提供する、図13(b)に示すような半綴じ状態の綴じ部品43の中央に向けて、クランク移動機構80が用紙束3”をクランプした状態を維持して、クランプ部材82a,82bが降下する。クランプ部材82a,82bは、支点軸部材805のホームポジションを基準にして、図中に示す離隔距離L1だけ綴じユニット側へ降下(移動)する。
このクランプ部材82a,82bの降下中、用紙搬送中心位置と綴じ中心位置とが一致するようにクランク移動機構80が動作する。その後、半綴じ状態の綴じ部品43の中央に用紙束3”のパンチ孔が到達すると、バインド処理部40によって、綴じ部品43を綴じ処理するようになされる。これにより、用紙束3”のパンチ孔を綴じ部品43で綴じ処理できるようになる。
図14(a)及び(b)は、クランプ移動機構80の下降移動調整例(薄い枚数時)を示す概念図である。
図14(a)に示すクランプ部材82a,82bは、基準枚数よりも薄い枚数の用紙束3”を保持し、図6に示した本体基板81に対し、用紙束3”を保持した状態で用紙搬送方向に沿って下流側に移動する場合である。この場合は、基準枚数時の用紙搬送中心位置よりも、左側(用紙保留部32の底部側)に薄い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置がずれている。この状態のままであると、綴じ部品43の綴じ中心位置とが一致しない。
そこで、補正用開口部814が薄い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置から基準枚数時の用紙搬送中心位置に補正するように機能する。補正用開口部814は、その瓶断面形状を利用して用紙束先端を右側から左側へシフトするように機能する。この補正用開口部814の機能によって、図14(b)に示すような半綴じ状態の綴じ部品43の中央に向けて、薄い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置から基準枚数時の用紙搬送中心位置に姿勢を変えながら、クランプ部材82a,82bが降下する。このクランプ部材82a,82bが降下完了した時点で、薄い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置と綴じ中心位置とが一致するようにクランク移動機構80が動作する。その後、図13(b)と同様にして、綴じ部品43を綴じ処理するようになされる。これにより、基準枚数よりも薄い枚数の用紙束3”である場合でも、用紙束3”を綴じ処理できるようになる。
図15(a)及び(b)は、クランプ移動機構80の下降移動調整例(厚い枚数時)を示す概念図である。
図15(a)に示すクランプ部材82a,82bは、基準枚数よりも厚い枚数の用紙束3”を保持し、図6に示した本体基板81に対し、用紙束3”を保持した状態で用紙搬送方向に沿って下流側に移動する場合である。この場合は、基準枚数時の用紙搬送中心位置よりも、右側(用紙保留部32の上部側)に厚い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置がずれている。この状態のままであると、綴じ部品43の綴じ中心位置とが一致しない。
そこで、補正用開口部814は、厚い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置から基準枚数時の用紙搬送中心位置に補正するように機能する。補正用開口部は、その瓶断面形状を利用して、用紙束先端を左側から右側へシフトするように機能する。この補正用開口部814の機能によって、図15(b)に示すような半綴じ状態の綴じ部品43の中央に向けて、厚い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置から基準枚数時の用紙搬送中心位置に姿勢を変えながら、クランプ部材82a,82bが降下する。このクランプ部材82a,82bが降下完了した時点で、厚い枚数時の用紙束3”の用紙搬送中心位置と綴じ中心位置とが一致するようにクランク移動機構80が動作する。その後、図14(b)と同様にして、綴じ部品43を綴じ処理するようになされる。これにより、基準枚数よりも厚い枚数の用紙束3”である場合でも、用紙束3”を綴じ処理できるようになる。
続いて、綴じ部品43を保持固定する移動機構41を説明する。
図16(a)は、バインド処理部40における移動機構41の構成例を示す斜視図である。図16(b)は、綴じ部品掴み部41bの上端部の構成例を示す斜視図である。図16(a)に示す移動機構41は、開口部41c及び綴じ部品掴み部41bを有している。綴じ部品掴み部41bは、所定の大きさの綴じ部品43を開いた状態で保持し、綴じ部品43の径の大きさに合わせて上下に調整可能な構成となっている。綴じ部品掴み部41bは上下移動して、図3で示したバインダカセット42に積層されている綴じ部品43(図示しない)を取得する。例えば、移動機構41が、綴じ部品43を取得する前の状態である待機状態の時、綴じ部品掴み部41bは、移動機構41の内部に位置し、待機状態が解除された時、つまり、図3で示した紙揃えユニット30に蓄積された複数枚の用紙が規定枚数に達して綴じ部品43を挿入する場合に、移動機構41の内部に位置していた綴じ部品掴み部41bは、開口部41cから移動機構41の外部に上方向移動して綴じ部品43を取得する。
図17は、バインド処理部40の制御系の構成例を示すブロック図である。図17に示す制御部50は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ等を備えて構成される。制御部50には、モータ駆動部44a,44b,44c及び44dが接続されている。制御部50は用紙検知センサ119の出力に基づいてモータ駆動部44a,44b,44c及び44dを制御する。
例えば、制御部50は用紙検知センサ119から1枚の用紙3’を検知した旨の用紙検知信号Scが入力されると、綴じ部品43の取得及び綴じ制御に移行する。
モータ駆動部44aは制御部50に接続され、モータ制御信号S40に基づいて移動機構回転用モータ45aを駆動し、移動機構41を図3及び図4に示した移動機構回転軸41dを軸にして図中のA方向に回転する。モータ駆動部44bは制御部50に接続され、モータ制御信号S41に基づいて掴み部上下用のモータ45bを駆動し、図16(b)に示した綴じ部品掴み部41bを上下に駆動する。
モータ駆動部44cは制御部50に接続され、モータ制御信号S42に基づいて掴み爪開閉用モータ45cを駆動し、図16(b)に示した綴じ部品掴み爪41hを開閉駆動する。モータ駆動部44dは制御部50に接続され、モータ制御信号S43に基づいて綴じ爪開閉用のモータ45dを駆動し、図21(a)に示す綴じ爪41kを開閉駆動する。
図18(a)及び(b)は、移動機構41の構成例を示す切断面の概念図である。図18(a)に示す移動機構41は、綴じ部品掴み部41bが最下部に位置する状態を示し、図18(b)に示す移動機構41は、綴じ部品掴み部41bが最上部にある状態を示している。綴じ部品掴み部41bの上下移動を行うため、移動機構41は、綴じ部品掴み部41b、開口部41c、掴み部リンク結合部41e、掴み部リンク41f、掴み部用カム41g及び掴み部結合孔41iを有する。綴じ部品掴み部41bは、上端部に綴じ部品掴み爪41hを複数有し、綴じ部品掴み爪41hは、図3に示したバインダカセット42に積層されている綴じ部品43を取得する時に、綴じ部品43を掴むものとして使用される。
綴じ部品掴み部41bは側面に突起状の掴み部リンク結合部41eを有する。掴み部リンク結合部41eが掴み部リンク41fの長孔状の掴み部結合孔41iに挿入されて、綴じ部品掴み部41bと掴み部リンク41fは結合された状態となっている。掴み部リンク41fは掴み部用カム41gに連結され、掴み部用カム41gが回転することで掴み部リンク回転軸41jを軸に回転可能な構成となっている。
掴み部用カム41gが回転して掴み部リンク41fが回転することにより、掴み部結合孔41iの位置及び姿勢が変化し、その結果、掴み部リンク結合部41eを介して綴じ部品掴み部41bが、矢印Dに示すように上下に移動する。
この綴じ部品掴み部41bの上下移動の制御は、図17に示した制御部50から出力されるモータ制御信号S41をモータ駆動部44bが入力し、入力したモータ駆動部44bは、掴み部上下用モータ45bを駆動して、掴み部用カム41gを回転させることにより行われる。
次に、使用する綴じ部品43の構成について説明する。図19(a)乃至(d)は、綴じ部品43の構成例を示す説明図である。図19(a)に示す綴じ部品43は、綴じ部品43の一部を示す平面図である。綴じ部品43は、背骨部43a、第1のリング部43d、第2のリング部43c、第3のリング部43e、ピン43f、第1の結合部43g及び第2の結合部43hを有する。綴じ部品43は、定形紙の寸法に合わせた長さの背骨部43aに、一定間隔でリング部43bが配列された樹脂射出成形品である。図19(b)は、図19(a)の矢印Bから見た状態を示した図である。図19(a)及び(b)に示すように、リング部43bは、背骨部43aに結合されるリング部43cとその左右に折り曲げ自在に連結されているリング部43d及びリング部43eとに三分割された構成となっており、結合部43gと結合部43hをリング部43bが環状となる方向へ折り曲げることにより結合され、リング部43bは環状となる。図19(c)は、図19(a)のC−C断面図である。図19(c)に示す綴じ部品43の背骨部43a断面の形状は凸型であり、この形状は、逆L字型形状の綴じ部品掴み爪41hで綴じ部品43を掴むためである。図19(d)は、複数の綴じ部品43を積層させた状態を図19(a)の矢印Bから見た状態である。また、図19(a)から(c)に示したように、所定のリング部43bのリング部43cは突起状のピン43fを有している。ピン43fが備えられているリング部43cの逆側には、ピン43fに対応した図示しない挿入孔が備えられている。これにより、リング部43d、リング部43c及びリング部43eの各両端部が一直線上に揃った状態で、ピン43fを挿入孔に挿入させて複数の綴じ部品43を積層することができる。
図20(a)乃至(c)は、綴じ部品43の構成例(開閉)を示す説明図であり、リング部43bの開閉動作を、図19(a)の矢印B方向から見た状態である。
図20(a)乃至(c)に示すように、リング部43bは、リング部43dとリング部43cの連結部及びリング部43cとリング部43eの連結部にて折り曲げ自在な構成となっており、リング部43dの先端部に備えられる結合部43gとリング部43eの先端部に備えられる結合部43hとが結合可能な構成となっている。これにより、リング部43d、リング部43c及びリング部43eの各両端部が一直線上に揃った状態から、リング部43d及びリング部43eを環状方向に折り曲げて結合部43gと結合部43hを結合させることで、完全なリングを形成することが可能な構成となっている。また結合部43gと結合部43hは、結合及び取り外しを何度も行うことができ、これにより綴じ部品43は再利用することが可能となっている。
また、図19及び図20で説明した綴じ部品43は、図2で示した用紙3’及び用紙束3”の厚みに応じてリング部43bの大きさ等が異なるものが複数種類用いられる。また、図19及び図20で説明した綴じ部品43は、リング部43bが、リング部43d、リング部43c及びリング部43eの3つの箇所に分割された構成としたが、リング部43bがn(nは自然数)箇所に分割された構成としても良い。
図21(a)及び(b)は、大径綴じ部品の綴じ処理における移動機構41の構成例を示す切断面の概念図及び一部品図である。図21(a)に示す移動機構41は、大径用の綴じ部品43を綴じた状態である。移動機構41は、開口部41c、綴じ爪41k、綴じ爪リンクA41l、綴じ爪リンクB41m、綴じ爪リンクC41n、バネ41o、綴じ爪用カム41p、綴じ部品調節用カム41u及び綴じ部品調節部46lを有し、綴じ爪41kの開閉を行う。綴じ爪41kは、綴じ部品掴み部41bにより保持された綴じ部品43の両先端部を両側から内側に押して用紙のパンチ孔に綴じ部品43の両先端部を挿入する。
綴じ爪41kは、綴じ爪リンクA41lに結合され左右に平行移動する。綴じ爪リンクA41lは、綴じ爪リンクA回転軸41r及びリンク結合部A46jを有しており、リンク結合部A46jを介して綴じ爪リンクB41mに結合される。綴じ爪リンクB41mは、綴じ爪リンクB結合孔41s及びリンク結合部B46kを有する。
図21(b)に示す綴じ爪リンクB41mは、図21(a)に示した綴じ爪リンクB41mを取り出し、拡大したものである。綴じ爪リンクB結合孔41sは、小径用結合孔R1、中径用結合孔R2及び大径用結合孔R3の切換モードを有し、3段階の切換可能となっている。小径用ピッチH1は、小径用結合孔R1とリンク結合部Aとの距離である。大径用ピッチH2は、大径用結合孔R3とリンク結合部Aとの距離である。小径用ピッチH1と大径用ピッチH2を比較すると、大径用ピッチH2の方が長くなっている。
綴じ爪リンクB41mは、リンク結合部B46kによって綴じ爪リンクC41nに結合される。綴じ爪リンクC41nは、綴じ爪リンクC回転軸41tを有し、綴じ爪用カム41pにより動力が伝えられ、綴じ爪リンクC回転軸41tを軸として、綴じ部品43を綴じる場合は、反時計回りに回動する。また、綴じ爪リンクB41mはバネ41oが備えられ、左上方向の力が絶えず掛かっている。これは、綴じ爪リンクB結合孔41sの位置を変更するのに、綴じ爪リンクB41mなどのグラツキなどを防ぎ、綴じ処理の精度を高める為である。
綴じ部品調節用カム41uは、図6で示した綴じ部品調節用モータ45fに駆動され、綴じ部品調節部46lを左右に平行移動させる。綴じ部品調節部46lに結合されている綴じ爪リンクB41mは、リンク結合部A46jを軸にして左右へ移動されることにより、綴じ爪リンクB結合孔41sの位置は、綴じ部品43のサイズによって変更される。
図21(a)に示す移動機構41は、例えば、綴じ爪開閉用モータ45d(図示しない)を使用して綴じ爪用カム41pを矢印F方向に回転させる。綴じ爪用カム41pが回転することにより、綴じ爪リンクC41nに動力が伝わり、綴じ爪リンクC41nは、綴じ爪リンクC回転軸41tを軸にして、押し下げられる。押し下げられた綴じ爪リンクC41nは、リンク結合部B46kによって結合されている綴じ爪リンクB41mを押し下げる。綴じ爪リンクC41nによって押し下げられた綴じ爪リンクB41mは、リンク結合部A46jによって結合された綴じ爪リンクA41lを押し下げる。綴じ爪リンクB41mによって押し下げられた綴じ爪リンクA41lは、綴じ部41qが綴じ部品43の円弧部に接している綴じ爪41kを綴じるE方向へ平行移動し、綴じ部品43を綴じる。
図22は、小径綴じ部品の綴じ処理における移動機構41の構成例を示す切断面の概念図である。図22に示す移動機構41は、小径用の綴じ部品43を綴じた状態である。綴じ部品43が小径用である為、図21(b)で示した小径用結合孔R1にリンク結合部B46kが設定されている。これにより、左右の綴じ爪41kで小径の綴じ部品43を綴じる場合に、大径の綴じ部品43よりも大きなストロークをとることができる。
図23(a)乃至(d)は、綴じ部品取得における移動機構41の動作例を示す説明図である。図23(a)乃至(d)に示す移動機構41は、図18で示した移動機構41と同じ構成例である。バインダカセット42は、綴じ部品43を取り出す動作過程が分かるように、下部5分の1程度だけ残して中の様子が見えるように示している。図23(a)に示す移動機構41は、綴じ部品掴み部41bが最下部に位置(以下待機状態という)し、図17で示した用紙検知信号Scを制御部50が受信する前の状態である。図23(b)に示す移動機構41は、用紙検知信号Scを制御部50が受信した後、綴じ部品掴み部41bを最上部まで移動させ、綴じ部品43を綴じ部品掴み爪41hにより掴んだ状態である。図23(c)に示す移動機構41は、綴じ部品43を綴じ部品掴み爪41hにより掴んでバインダカセット42から取り出した状態である。図23(d)に示す移動機構41は、綴じ部品43を綴じ部品掴み爪41hにより掴んでバインダカセット42から取り出した後、図21及び図22で示した方法で、綴じ爪41kのストロークを綴じ部品43の径の大きさに合わせて調整し、綴じ部品43を半綴じ状態(以下第1フォーミングという)にしたものである。
図23(d)に示す綴じ爪41kは、綴じ部品43が大径の場合、綴じ爪41kの両先端の間隔を広くして綴じ部品43を待機し、綴じ部品43が小径の場合、綴じ爪41kの両先端の間隔を狭くして綴じ部品43を待機する。綴じ部品掴み部41bは、待機した綴じ爪41kの両先端に綴じ部品43の円弧部を接触させ、かつ、綴じ爪41kの両先端が綴じ部品43の両先端近傍になる位置に、綴じ部品43を固定する。綴じ爪41kは、図24(a)に示す用紙3”のパンチ孔に綴じ部品掴み部41bにより固定された綴じ部品43の両先端部を挿入する。
図24(a)乃至(d)は、綴じ処理における移動機構41の動作例を示す説明図である。図24(a)乃至(d)に示す移動機構41は、図18で示した移動機構41と同じ構成例である。バインダカセット42は、綴じ部品43を取り出す動作過程が分かるように、下部5分の1程度だけ残して中の様子が見えるように示している。図24(a)に示す移動機構41は、第1フォーミングから図4で示した移動機構回転軸41dを軸にして反時計回りに回転し、紙揃えユニット30へ移動した状態である。用紙束3”は、図5で示した紙揃えユニット30から用紙束3”のみを抜き出したものである。図24(b)に示す移動機構41は、紙揃えユニット30が用紙束3”を移動機構41の開口部41cに挿入した状態である。図24(c)に示す移動機構41は、紙揃えユニット30によって移動機構41の開口部41cに挿入された用紙束3”に綴じ部品43を挿入して冊子90となった状態である。図24(d)に示す移動機構41は、紙揃えユニット30が綴じ部品43で綴じられた冊子90を矢印方向に移動した状態である。冊子90は後続の工程に送られる。移動機構41は、図23(a)に示した待機状態へ移動する。
図25(a)乃至(d)は、綴じ部品ガイド部材99a,99bの使用例(綴じ部品43大径)を示す説明図であり、図12で説明したように、用紙束3”のパンチ孔98の位置が揃えられ、かつ、綴じ部品ガイド部材99a,99bの位置がパンチ孔98の略半分を覆う位置に合わされた状態で、クシ型の押え部材84a,84bにより用紙束3”が保持固定されていることが前提である。
図25(a)に示す綴じ部品43は、綴じ部品43をパンチ孔98へ挿入開始状態である。図25(b)に示す綴じ部品43は、綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部を接触させ、パンチ孔98へ綴じ部品43の両先端部を挿入する状態である。図25(c)に示す綴じ部品43は、綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部を接触させた状態から、パンチ孔98へ綴じ部品43の両先端部を挿入した状態である。図25(d)に示す綴じ部品43は、パンチ孔98へ綴じ部品43の両先端部を挿入した状態から、綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部から円弧部を接触させながらパンチ孔98へ綴じ部品43を綴じた状態である。
これにより、綴じ部品43の両先端部とパンチ孔98との間隔を略一定に保ちながら、パンチ孔98に綴じ部品43の両先端部を挿入することができる。
図26(a)乃至(d)は、綴じ部品ガイド部材99a,99bの使用例(綴じ部品43小径)を示す説明図である。この例では、図12で説明したように、用紙束3”のパンチ孔98の位置が揃えられ、かつ、綴じ部品ガイド部材99a,99bの位置がパンチ孔98の略半分を覆う位置に合わされた状態で、クシ型の押え部材84a,84bにより用紙束3”が保持固定されていることが前提である。
図26(a)に示す綴じ部品43は、綴じ部品43をパンチ孔98へ挿入開始状態である。図26(b)に示す綴じ部品43は、綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部を接触させ、パンチ孔98へ綴じ部品43の両先端部を挿入する状態である。図26(c)に示す綴じ部品43は、綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部を接触させた状態から、パンチ孔98へ綴じ部品43の両先端部を挿入した状態である。図26(d)に示す綴じ部品43は、パンチ孔98へ綴じ部品43の両先端部を挿入した状態から、綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部から円弧部を接触させながらパンチ孔98へ綴じ部品43を綴じた状態である。
これにより、綴じ部品43の両先端部とパンチ孔98との間隔を略一定に保ちながら、パンチ孔98に綴じ部品43の両先端部を挿入することができる。従って、異なる径の綴じ部品43の場合に、綴じ部品43とパンチ孔98との間隔を略一定に保つことができる。
図27(a)乃至(d)は、大径及び小径の綴じ部品43とパンチ孔98とのクリアランス比較例を示す説明図である。
図27(a)に示す綴じ部品43は大径用であり、用紙束3”は薄い状態である。w1は、パンチ孔98と綴じ部品43外径とのクリアランスを示しており、w2は、パンチ孔98と綴じ部品43内径とのクリアランスを示している。
図27(b)に示す綴じ部品43は大径用であり、用紙束3”は大径時に最も厚い状態である。w3は、パンチ孔98と綴じ部品43外径とのクリアランスを示しており、w4は、パンチ孔98と綴じ部品43内径とのクリアランスを示している。綴じ部品43は大径用であり、かつ、用紙束3”は最も厚い状態が、外径及び内径のクリアランスを維持するのに最も困難な条件である。従って、綴じ部品ガイド部材99a,99bがパンチ孔98を覆う範囲を決定する場合には、綴じ部品43は大径用かつ、用紙束3”は最も厚い状態の時に、十分なクリアランスを維持できるように、パンチ孔98に当てる綴じ部品ガイド部材99a,99bの位置を設定する。
このクリアランスを維持するのに最も困難な条件で綴じ部品ガイド部材99a,99bの位置を設定することにより、他の全ての綴じ部品43における径の大きさ及び用紙束3”の厚さに係らず十分なクリアランスの維持が可能となる。
図27(c)に示す綴じ部品43は小径用であり、用紙束3”は薄い状態である。w5は、パンチ孔98と綴じ部品43外径とのクリアランスを示しており、w6は、パンチ孔98と綴じ部品43内径とのクリアランスを示している。図27(d)に示す綴じ部品43は小径用であり、用紙束3”は小径時に最も厚い状態である。w7は、パンチ孔98と綴じ部品43外径とのクリアランスを示しており、w8は、パンチ孔98と綴じ部品43内径とのクリアランスを示している。
このように、本発明に係る実施例としての用紙処理装置を応用したバインド装置100によれば、用紙束3”の表面と裏面からパンチ孔98の一部分を覆う位置に綴じ部品ガイド部材99a,99bを当てて用紙束3”を挟むクランプ移動機構80と、クランプ移動機構80により用紙束3”を挟んだ綴じ部品ガイド部材99a,99bに綴じ部品43の両先端部を接触させながら用紙束3”に綴じ部品43を綴じる移動機構41とを備える。
この構成によって、綴じ部品43の両先端部とパンチ孔98との間隔を略一定に保ちながら、パンチ孔98に綴じ部品43の両先端部を挿入することができる。従って、異なる径の綴じ部品43の場合に、綴じ部品43とパンチ孔98との間隔を略一定に保つことができる。これにより、当該装置部品の製造及び組み合わせによる集積公差に左右されることなく、単純な部品構成で精度の高い綴じ処理を実現できる。