JP2007075950A - マイクロ流体デバイスおよびその製法 - Google Patents

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Yasushi Goto
裕史 後藤
Takayuki Hirano
貴之 平野
Masahito Amanaka
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Abstract

【課題】 流体と接する微細流路内壁を有機膜で被膜するとともに、前記有機膜の耐熱上問題のない接合法によって前記微細流路を封止したマイクロ流体デバイスとその製法を提供する。
【解決手段】 第一の基板1に微細流路の溝4aを形成する工程と、前記第一の基板1および前記第一の基板1と接合される第二の基板2の少なくとも互いの接合面に夫々有機膜5,7を被覆する工程と、前記第一の基板1と第二の基板2の有機膜被覆面のうち、少なくとも夫々の接合面にプラズマ処理または紫外線処理6を行い、前記有機膜5a,7aの表面を−OH基で終端させる工程と、フッ酸を用いて前記第一の基板1と第二の基板2とを前記接合面で接合する工程とを含むことを特徴とするマイクロ流体デバイス10の製法、および前記製法によって製作されたマイクロ流体デバイス10。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体の微細加工技術によって微細な流路を形成したマイクロ流体デバイスやマイクロプラント、あるいは医療用検査デバイスや環境検査デバイス等の、微小容積の液体もしくは気体等の流体を扱うマイクロ流体デバイスにおいて、前記流路の内壁をコーティングした有機膜の親水性や疎水性を制御し、更に官能基で有機膜表面を修飾することによって、内部を流れる微小流体との相互作用を制御して精密化学分析や化学反応を可能にするマイクロ流体デバイスとその製法に関する。
半導体の微細加工技術や精密機械加工技術を利用して、シリコンやガラスをはじめとするセラミックスや樹脂、金属基板上に微細な流路を形成したマイクロ流体デバイスやμ−TAS(Total Analysis System)が開発されている。
マイクロ流体デバイス内で扱う微小流体はレイノルズ数が小さいために層流になりやすく、安定した液界面が形成される。層流が形成されると流体間の反応は原則的に自己拡散のみによって起こり、反応の制御が容易であるとともに、拡散速度に対して流路サイズが比較的小さいため拡散が迅速に起こり、効率的な反応が行われる。また、層流を利用すれば流体の分離も容易である。
このような層流を形成するためには、流路幅がおよそ500μm以下でなければならないといわれる。また、流体の容積に対して流路壁の面積が大きいため、この壁面の影響を効率的に利用することもできる。例えば、外部からの反応温度の制御が容易で、精密な温度制御や急激な温度変化も可能になる。また、この壁面を触媒として利用すれば反応効率が飛躍的に高まる。
総じて、エネルギーの利用率が効率的で、反応生成物の収率が非常に高い。更に、流路の数を増やすことによって、あるいはマイクロ流体デバイスの個数を増やすことによって、少量生産から多量生産化への移行が容易になり安全性も高い。更に、実験レベルでは試薬の量や廃液の量が少なくてすむことから、実験の低コスト化、環境への負荷軽減といった利点もある。
同様に、医療分野や環境・化学分析分野でも微小体積で資料を扱うメリットが大きいため、マイクロ流体デバイスの応用展開がなされている。例えば、医療診断では必要な検体が少量で済むため、患者への負担が少なく、いわゆる低侵襲医療が実現できる。環境・化学分析でも、少量の試料から高感度の分析や計測が可能となる。このような特徴から、近年マイクロ流体デバイスに期待が高まり、あらゆる分野で研究開発が盛んになっている。
一方、内部を流れる微小流体のモニタリングや分析の手法も開発されてきた。電気的な検知や紫外光や可視光による分析が研究されており、高感度検出が可能なマイクロ流体デバイスが提案されている。
このようなマイクロ流体デバイスでは、目的とする化学反応や処理に適した流路を設計することと流路の表面処理が重要である。ここでいう表面処理とは、マイクロ流体デバイスの場合においては、親水性と撥水性とを制御して流路による圧損を制御し、マイクロ流体の流れを調節するものや、流路内壁への試料成分の吸着制御や、官能基で修飾して活性表面を形成するなどして流路内壁との相互反応を制御するものや、化学反応を促進させるような触媒表面を形成するものなどがある。
ガラスや石英等の清浄な基板表面はSi−OH結合であり、本来親水性を示す。そのため、従来はこのような無機成分や有機成分を溶解した溶液を、マイクロ流体デバイスに塗布し、成分焼成することによって親水性を付与する方法が用いられていた。更に、場合によっては、官能基による表面修飾を施すために、焼成後に試薬によって表面反応させていた。
ところが、上記従来の方法では膜強度や付着強度が低く耐久性に劣っており、凹凸のある流路に均一に付着させることが困難であった。更に、このような微小流路に表面処理を施した基板は一般に熱に弱いので、封止には加熱を伴わない接合技術が最も好ましい。水素化アモルファスカーボン膜の耐熱温度は150〜200℃程度で、これを超えるような熱が加えられると有機膜が酸化して透明性が保てず、更には剥離も発生して機能しなくなる。
また、封止の際に、微細流路の形状を損なうことはできないので、接着剤のように前記微細流路を埋設してしまう材料は使用できない。また、撥水表面のままでは接着剤の接着強度も得られない。
そこで、本発明者らは、このようなマイクロ流体デバイスを改善した従来例として、図5にその分解斜視図で示した接合基板を提案した(特許文献1参照)。この従来例によれば、一方の面に微細流路33が刻まれた流路基板31と、この面に重ねて接合し、前記微細流路33の蓋となる蓋基板32とからなる微細流路を有する接合基板であって、前記流路基板31と蓋基板32とを、その接合面に自己接着性を有する樹脂薄膜34を介在させて加圧接合した接合基板である。
ところが、上記従来例は、このような接合基板の物理的洗浄、内部の修理等の目的のため、流路基板と蓋基板とを分解できるようになっており、繰り返し使用できる効果があるが、前記樹脂薄膜の自己接着性が次第に劣化して来て微細流路から液漏れを生じる恐れがある。
このようなマイクロ流体デバイスに対し、更に本発明者らは、気相で反応させた水素化アモルファスカーボン膜を基板に均一に被膜することを目的としたマイクロ反応器用チップおよびマイクロ反応器を既に提案している(特願2004−079999)。
即ち、(−C−O)結合または(−C=O)結合を含む官能基を表面に有し、かつ前記
表面の酸素濃度が30原子%以上である水素化アモルファスカーボン膜が、基材表面に被
覆されたマイクロ反応器用チップである。また、前記チップをマイクロ反応器の溶液流路
壁面の前面または一部に適用したマイクロ反応器である。
特開2005−111567号公報
しかしながら、上記従来のマイクロ反応器によれば、有機膜である前記水素化アモルファスカーボン膜は、微細流路内壁だけでなく基板の表面全体に成膜されたものである。また、流体が接する微細流路内壁は全て表面処理を施す必要があるので、第一の基板に形成した微細流路だけでなく、前記流路壁面をなす蓋を構成する第二の基板についても被膜を形成したものである。
一方、微小流体を扱える構造にマイクロ流体デバイスを仕上げるためには、流入出口を除いて当然ながら流路を封止する必要があるので、前記微小流体が漏洩しないように前記第一の基板と第二の基板とを接合する技術が求められる。
一般に、マイクロ流体デバイスの接合方法で、石英やガラス、シリコンを基材とする基板の接合に用いられる接合方法には接着や溶着、陽極接合等の技術があるが、水素化アモルファスカーボンをはじめとする有機膜が被膜されたまま、このような接合方法を適用することは、前述した前記有機膜の耐熱性から困難であった。
従って、本発明の目的は係る上記問題点に鑑み、流体と接する微細流路内壁を有機膜で被膜するとともに、前記有機膜の耐熱上問題のない接合法によって前記微細流路を封止したマイクロ流体デバイスとその製法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るマイクロ流体デバイスが採用した手段は、微細流路の溝を形成した第一の基板と、この第一の基板に重ねて接合されて前記溝の蓋となって微細流路を形成する第二の基板とからなるマイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも前記第一の基板の溝内壁と、前記第二の基板の微細流路を形成する前記蓋部分と、両基板の各接合面とに有機膜が被覆され、かつ前記両基板の互いの有機膜被覆面が−OH基で終端されている部分で接合されたことを特徴とするものである。
本発明の請求項2に係るマイクロ流体デバイスが採用した手段は、請求項1項記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記有機膜が水素化アモルファスカーボン膜であることを特徴とするものである。
本発明の請求項3に係るマイクロ流体デバイスが採用した手段は、請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイスにおいて、前記基板の少なくとも一方の基板に、金属またはカーボン電極が前記微細流路を通過する流体と接触する流体接触部を有するように形成されるとともに、前記電極の少なくとも流体接触部の一部は前記有機膜が除去されていることを特徴とするものである。
本発明の請求項4に係るマイクロ流体デバイスの製法が採用した手段は、第一の基板に微細流路の溝を形成する工程と、前記第一の基板および前記第一の基板と接合される第二の基板の少なくとも互いの接合面に夫々有機膜を被覆する工程と、前記第一の基板と第二の基板の有機膜被覆面のうち、少なくとも夫々の接合面にプラズマ処理または紫外線処理を行い、前記有機膜の表面を−OH基で終端させる工程と、フッ酸を用いて前記第一の基板と第二の基板とを前記接合面で接合する工程とを含むことを特徴とするものである。
本発明の請求項5に係るマイクロ流体デバイスの製法が採用した手段は、請求項4に記載のマイクロ流体デバイスの製法において、炭化水素化合物を含む気体を前記両基板の表面に流した後、高周波電界を印加して前記炭化水素を含むプラズマを発生させ、前記両基板の表面に前記有機膜として水素化アモルファスカーボン膜を被覆することを特徴とするものである。
本発明の請求項6に係るマイクロ流体デバイスの製法が採用した手段は、請求項4または5に記載のマイクロ流体デバイスの製法において、前記溝内壁と前記第二の基板の微細流路を形成する蓋部分とを被覆した有機膜の表面を、カップリング剤によって所定の官能基に置換することを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係るマイクロ流体デバイスは、このマイクロ流体デバイスを形成する少なくとも第一の基板の溝内壁と、第二の基板の微細流路を形成する前記蓋部分と、両基板の各接合面とに有機膜が被覆され、かつ前記両基板の互いの有機膜被覆面が−OH基で終端されているため、フッ酸による水素結合によって有機膜の耐熱性に影響することなく、前記両基板を常温で接合することが可能となった。
また、本発明の請求項2に係るマイクロ流体デバイスによれば、前記有機膜が水素化アモルファスカーボン膜であるので、紫外線照射によって水素化アモルファスカーボン膜の最表面の−CHxが雰囲気と反応して−OH基で終端し、フッ酸による水素結合によって流体の封止が可能な接合強度を保持することが可能となった。
更に、本発明の請求項3に係るマイクロ流体デバイスによれば、このマイクロ流体デバイスを形成する基板の少なくとも一方の基板に、金属またはカーボン電極が前記微細流路を通過する流体と接触する流体接触部を有するように形成されるとともに、前記電極の少なくとも流体接触部の一部は前記有機膜が除去されているので、光学分析並びに化学電極を用いた分析用途にも優れたマイクロ流体デバイスを提供できる。
一方、本発明の請求項4に係るマイクロ流体デバイスの製法によれば、有機膜の耐熱上問題のない接合法により、微細流路が封止されたマイクロ流体デバイスを作成することができる。
また、本発明の請求項5に係るマイクロ流体デバイスの製法によれば、微細流路内壁面に水素化アモルファスカーボン膜を形成することが可能となった。
更に、本発明の請求項6に係るマイクロ流体デバイスの製法によれば、微細流路内の有機膜表面をカップリング剤によって所定の官能基に置換することによって、微細流路内を所望の官能基で表面修飾することが可能となった。
先ず、本発明の実施の形態1に係るマイクロ流体デバイスとその製法手順について、模式的断面で示した説明図である図1を用いて以下に説明する。
先ず、図1(a)に示すように、第一の基板である石英基板1にフォトレジスト3を塗布し、フォトリソグラフィによって流路パターン3aを形成する。そして、フッ化アンモニウムとフッ酸を7:1の容量比で混合した混合液によって、前記石英基板1をエッチングして、幅100μm、深さ20μmの微細流路用の溝4aを形成する(図1(b))。
次に、フォトレジスト3を剥離液によって除去する(図1(c))。そして、前記石英基板1の溝4aを形成した面の表面全体に渡ってメタンガスを拡散させ、このメタンガスをプラズマによって解離させて、成膜前駆体であるCHx(x=1,2,3)によって水素化アモルファスカーボン膜5を、基板1の溝4a側全面に膜厚300nmで成膜した(図1(d))。
本発明に係る水素化アモルファスカーボン膜5の成膜方法は、メタンガスのような炭化水素化合物を含む気体を基板の表面に流した後、大気圧近傍の圧力下において、マイクロ流体デバイスの外部に設けた電極から高周波電界を印加してグロー放電プラズマを発生させ、炭素および水素元素を含む原料ガスを分解させるものである。
この水素化アモルファスカーボン膜5の構造は、この膜5を構成するクラスターが数nm程度の大きさであり、膜5中の水素濃度は20〜50原子%となる。これによって、可視光から赤外光にわたって極めて高い光透過率を示す。
この膜5を構成するクラスターは、−C−Hx(x=1,2,3)によって終端されており、膜5表面においてもカーボンクラスターの終端は、同様に、−C−Hx(x=1,2,3)によって終端されている。つまり水素被覆率の高い表面を有しており、この被膜5によって疎水表面が得られる。また、気相反応なので、成膜は成膜前駆体の拡散による過程で起こり、優れた段差被膜特性により、微細流路を構成する溝4a内壁に膜厚の均一な膜が形成される。
次に、UVトランスイルミネータによって、前記水素化アモルファスカーボン膜5表面のC−H結合よりも高いエネルギーの紫外線6(波長254nm)を、石英基板1上に被膜された水素化アモルファスカーボン膜5の全面に照射してC−H結合を切断し、大気中の酸素等の雰囲気や水と反応させてカルボキシル基(−COOH)に置換した膜面5aを形成した(図1(e))。この方法でアルデヒド基(−CHO)も形成される。
このとき、光学用ステンシルマスクを使用すれば、表面被膜5の任意の場所のC−H結合をカルボキシル基に置換することができる。このようなカルボキシル基への置換によって、紫外線照射前は90〜105度程度の水の接触角を有する撥水面であったものが、紫外線照射後には水の接触角10度の親水性表面5aへと変換されるのである。
また、微細流路の壁面に被覆された水素化アモルファスカーボン膜5表面の官能基による修飾は、所定のカップリング剤を利用することもできる。即ち、シランカップリング剤等のカップリング剤を、接合後のマイクロ流体デバイスの微細流路に供給して官能基を付与するのである。このような官能基としては、例えばアミノ基、水酸基、アルデヒド基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシアネート基、チオシアネート基、および活性エステルからなる群から選択される。
一方、予め流路終端位置に貫通孔2aを機械加工によって形成された第二の基板である石英基板2の片面に全面に渡って、第一の基板と同様にプラズマによる気相反応によって水素化アモルファスカーボン膜7を形成した(図1(f))。図1(f)〜(h)では、模式図のため貫通孔2aは基板のほぼ中央に1個のみ図示しているが、実際の基板では流路終端の個数に合わせ基板の両端に4個の貫通孔が形成されている(後述の図3参照)。
そして、同様にUVトランスイルミネータによって、前記水素化アモルファスカーボン膜7表面のC−H結合よりも高いエネルギーの紫外線6(波長254nm)を、石英基板2に被膜された前記水素化アモルファスカーボン膜7の全面に照射してC−H結合を切断し、大気中の酸素や水と反応させてカルボキシル基(−COOH)に置換した親水性膜面7aを形成した(図1(g))。
これにより、基板1と基板2との夫々の接合面は、−OH基で終端させた水素化アモルファスカーボン膜7で被覆されている。尚、上記実施の形態1では、水素化アモルファスカーボン膜の全面にUV照射しているが、少なくとも基板の接合面が照射されるように部分的にUV照射しても良い。
その後、1重量%の希フッ酸を前記基板2の親水性膜面7aに満たし、前記第一の石英基板1に形成した流路溝4aと、この第二の石英基板2に形成された貫通孔2aとが合致して流路を接続するように、前記親水性表面水素化アモルファスカーボン膜表面5a,7a同士を重ね合わせ、300kPaの圧力で加圧しながら常温で24時間乾燥させて接合し微細流路4を形成した(図1(h))。
前記水素化アモルファスカーボン膜5aおよび7aのカルボキシル基はC=Oの二重結合とC−OH結合からなり、−OH基同士の水素結合によって第一の基板1と第二の基板2とを接合している。以上のような製法によって、本発明の実施の形態1に係るマイクロ流体デバイス10が得られるのである。
次に、本発明の実施の形態2に係るマイクロ流体デバイスとその製法手順について、模式的断面で示した説明図である図2、および図2(i)の第二の基板をA−A矢視方向から見た平面図である図3を用いて以下に説明する。尚、本発明の実施の形態2が上記実施の形態1と相違するところは、金属電極が微細流路を通過する流体と接触するように第二の基板に形成される所に相違があり、その他は同構成であるから、上記実施の形態1と同一のものに同一符号を付して、その相違する点について以下説明する。
即ち、本発明の実施の形態2に係る説明図2において、図2(a)〜(e)までの手順は、本発明の実施の形態1に係る説明図1(a)〜(e)までの手順と全く同一であるので説明を省略する。
次に、図2(f)において、第二の石英基板2上に銀電極11のパターンを微細流路を通過する流体と接触する流体接触部を有するように形成し、前記電極11の少なくとも流体接触部の一部分のみフォトレジスト12でマスクしておく。その後、この基板2上に形成された銀電極11およびフォトレジスト12上面から水素化アモルファスカーボン膜13で被覆する(図2(g))。
前記フォトレジスト12でマスクされた部分のみ溶剤処理し、微細流路と接する電極11の少なくとも一部分のみ水素化アモルファスカーボン膜13を除去して、流体接触部11aを形成する(図2(h))。そして、紫外線6を照射し、本発明の実施の形態1と同様に、前記水素化アモルファスカーボン膜13面を親水性膜面13aに置換処理する(図2(i))。
ここで、前記銀電極11の第二基板上への配置は、図3に示すように、この電極11の一部が、二点鎖線で想定して示された微細流路を構成する蓋部分4bを通過する流体と接触するように、前記蓋部分4bの流体通過方向のほぼ中央部に形成されることが肝要である。
また同時に、流体と接する少なくとも前記電極11の一部分は、上述したように水素化アモルファスカーボン膜13を除去して流体接触部11aを形成し、前記流体と電気的に直接接触し得る状態にしておくことが肝要である。尚、符号2bは、後述するマイクロ分析装置として組み立てるためのボルト穴である。
本発明の実施の形態2においては、第二の基板2の微細流路を構成する蓋部分4bに電極11を形成したが、第一の基板1の微細流路を構成する溝4aに形成しても良い。更に、前記電極11は銀以外の金属、例えば、白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、およびこれらの化合物電極等を用いることもできるし、単結晶ダイヤモンド、多結晶ダイヤモンドあるいはダイヤモンドライクカーボン等のカーボン類であっても良い。
上記の通り作製した第一の基板と第二の基板とを、実施の形態1と同様にフッ酸接合して、微細流路4を形成する(図2(j))。以上のような製法によって、本発明の実施の形態2に係るマイクロ流体デバイス20が得られるのである。
尚、以上のように製作されたマイクロ流体デバイスは、その模式的斜視図で示した説明図である図4のマイクロ分析装置として組み立てられる。即ち、前記マイクロ流体デバイス10あるいは20は、基板に形成された貫通孔2aに一致する位置に開孔部21aを有する押さえ板21とパッキン23とを介してフレーム22とで挟み込まれる。
同時に、押さえ板21の前記開孔部21aにチューブ24を差し込み、押さえ板21やフレーム22に開孔されたボルト穴21b,22bに、図示しないボルトを一点鎖線で示したように挿入しナットで締結する。そして、前記押さえ板21とフレーム22との加圧力でチューブ24の接続を行った。これらのチューブ24から流体をマイクロ流体デバイス10や20の微細流路4に供給することによって、前記流体の種々の特性を検査・分析することができる。
即ち、このようなマイクロ分析装置によって、マイクロ流体デバイスとして本発明の実施の形態1に係るデバイス10を用いた場合は、例えば、光源から可視光や紫外光を、基板に形成された前記水素化アモルファスカーボン膜を通して微細流路内の物質に照射し、光検出器によって検出された検出光を光学的に測定して組成分析することができる。
一方、本発明の実施の形態2に係るデバイス20を用いた場合は、例えば、形成された前記電極を利用して、電気化学的な手法で微細流路内に流れる物質の定性的、定量的な高精度分析ができるのである。
以上のように、本発明に係るマイクロ流体デバイスによれば、このマイクロ流体デバイスを形成する第一の基板の少なくとも溝内壁と、第二の基板の少なくとも微細流路を形成する前記蓋部分とに有機膜を被覆され、前記両基板の少なくとも互いの有機膜被覆面が−OH基で終端されているため、フッ酸による水素結合によって有機膜の耐熱性に影響することなく、前記両基板を常温で接合することが可能となった。
また、前記有機膜が水素化アモルファスカーボン膜であるので、紫外線照射によって水素化アモルファスカーボン膜の最表面の−CHxが雰囲気と反応して−OH基で終端し、フッ酸による水素結合によって流体の封止が可能な接合強度を保持することが可能となった。
上記結合法と素材の組み合わせは、水素化アモルファスカーボン膜の特性を変化させることがないので、例えば前記膜の光透過率へ影響することなく、光学的な手法で分析するマイクロ流体デバイスを提供することができる。
また一方、電極に対しては従来フッ酸接合が不可能であったが、水素化アモルファスカーボン電極で被覆して微細流路表面を親水化することによって、電極を形成した状態で封止したマイクロ流体デバイスを提供することが可能となり、化学電極を用いた分析用途にも優れたマイクロ流体デバイスを提供できる。
本発明の実施の形態1に係るマイクロ流体デバイスとその製法手順について、模式的断面で示した説明図である。 本発明の実施の形態2に係るマイクロ流体デバイスとその製法手順について、模式的断面で示した説明図である。 図2(i)の第二の基板をA−A矢視方向から見た平面図である。 本発明に係るマイクロ流体デバイスを用いて組み立てたマイクロ分析装置を模式的斜視図で示した説明図である。 従来例に係る接合基板を示した分解斜視図である。
符号の説明
1…第一の(石英)基板,
2…第二の(石英)基板,2a…貫通孔,2b,21b,22b…ボルト穴
3,12…フォトレジスト,3a…流路パターン,
4…微細流路,4a…溝,4b…蓋部分,
5,7,13…水素化アモルファスカーボン膜,
5a,7a,13a…親水性水素化アモルファスカーボン膜,
6…紫外線, 10,20…マイクロ流体デバイス,
11…(銀)電極,11a…流体接触部,
21…押さえ板,21a…開孔部,
22…フレーム, 23…パッキン, 24…チューブ

Claims (6)

  1. 微細流路の溝を形成した第一の基板と、この第一の基板に重ねて接合されて前記溝の蓋となって微細流路を形成する第二の基板とからなるマイクロ流体デバイスにおいて、少なくとも前記第一の基板の溝内壁と、前記第二の基板の微細流路を形成する前記蓋部分と、両基板の各接合面とに有機膜が被覆され、かつ前記両基板の互いの有機膜被覆面が−OH基で終端されている部分で接合されたことを特徴とするマイクロ流体デバイス。
  2. 前記有機膜が水素化アモルファスカーボン膜であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流体デバイス。
  3. 前記基板の少なくとも一方の基板に、金属またはカーボン電極が前記微細流路を通過する流体と接触する流体接触部を有するように形成されるとともに、前記電極の少なくとも流体接触部の一部は前記有機膜が除去されていることを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロ流体デバイス。
  4. 第一の基板に微細流路の溝を形成する工程と、前記第一の基板および前記第一の基板と接合される第二の基板の少なくとも互いの接合面に夫々有機膜を被覆する工程と、前記第一の基板と第二の基板の有機膜被覆面のうち、少なくとも夫々の接合面にプラズマ処理または紫外線処理を行い、前記有機膜の表面を−OH基で終端させる工程と、フッ酸を用いて前記第一の基板と第二の基板とを前記接合面で接合する工程とを含むことを特徴とするマイクロ流体デバイスの製法。
  5. 炭化水素化合物を含む気体を前記両基板の表面に流した後、高周波電界を印加して前記炭化水素を含むプラズマを発生させ、前記両基板の表面に前記有機膜として水素化アモルファスカーボン膜を被覆することを特徴とする請求項4に記載のマイクロ流体デバイスの製法。
  6. 前記溝内壁と前記第二の基板の微細流路を形成する蓋部分とを被覆した有機膜の表面を、カップリング剤によって所定の官能基に置換することを特徴とする請求項4または5に記載のマイクロ流体デバイスの製法。
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