JP2004170293A - 感光性樹脂により流路を形成されたラボオンアチップおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ラボオンアチップ上の流路の形成を容易にし、ラボオンアチップの大量生産を可能とする。
【解決手段】(a)に示すように、感光性樹脂層12が第1の基板11に被覆する。被覆した感光性樹脂層12は、(b)に示すように、露光・現像することにより、微細な複数の流路13を形成する。第1の基板11および感光性樹脂層12の露出する部分には、絶縁層14が被覆される。第2の基板21は、(c)(d)に示すように、貫通穴22および電極25を有する。次に、第2の基板21は、(e)に示すように、感光性樹脂層12に接合される。これにより、電極25は、流路13に臨み、流路13に電圧を印加することができる。接合された基板は、縦方向に切断されることにより、1つの流路13を有する電気泳動チップ10となる。
【選択図】 図3
【解決手段】(a)に示すように、感光性樹脂層12が第1の基板11に被覆する。被覆した感光性樹脂層12は、(b)に示すように、露光・現像することにより、微細な複数の流路13を形成する。第1の基板11および感光性樹脂層12の露出する部分には、絶縁層14が被覆される。第2の基板21は、(c)(d)に示すように、貫通穴22および電極25を有する。次に、第2の基板21は、(e)に示すように、感光性樹脂層12に接合される。これにより、電極25は、流路13に臨み、流路13に電圧を印加することができる。接合された基板は、縦方向に切断されることにより、1つの流路13を有する電気泳動チップ10となる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気泳動チップ等のラボオンアチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気泳動、化学反応、細胞培養および分離検出などのラボプロセスが集積化されたラボオンアチップの開発がなされている。ラブオンアチップには、試料を移動させるための流路を形成する必要がある。この流路は従来、ガラスに溝を設けること(例えば特許文献1)、やポリマーを型取りすること(例えば特許文献2)により形成されている。
しかし、このように流路を形成すれば、1つの流路を形成するのに時間を要し、ラボオンアチップを大量生産することは困難である。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−310613号公報
【特許文献2】
特開2001−157855号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、ラボオンアチップの製造において、流路形成を容易にすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るラボオンアチップは、第1の基板と、その基板の上面に定着させられ所定の厚さを有する感光性樹脂層とを備え、感光性樹脂層の第1の基板の上面に接続する側壁面と、第1の基板の上面とによって流路が形成されることを特徴とする。すなわち、感光性樹脂層は、基板上に精密かつ容易に定着させることができるので、微細な流路が容易に作成することができ、安価なラボオンアチップが製造可能となる。
【0006】
感光性樹脂層の側壁面には絶縁層が被覆されることが望ましい。これにより、感光性樹脂層のバッファ等による膨潤、溶解、腐食が防止できる。
流路に面するようにして感光性樹脂層の上方に第2の基板が設けられ、第1および第2の基板のうち少なくとも一方の基板は、所定の波長の光を透過することが好ましい。これにより、流路におけるサンプルの挙動を検出することができる。
【0007】
好ましくは、流路に電極が設けられる。これにより、ラボオンアチップは電気泳動チップとして、使用することができる。
【0008】
本発明に係るラボオンアチップの製造方法は、第1の基板の上面に感光性樹脂層を被覆する第1の工程と、感光性樹脂層を露光した後現像することによって、感光性樹脂層に第1の基板の上面に接続する側壁面が具備され、上面と側壁面により流路を形成する第2の工程とを備えることを特徴とする。これにより、流路を有するラボオンアチップを安価かつ大量に製造することができる。なお、側壁面に絶縁層を被覆する第3の工程が備えられていることが好ましい。
【0009】
第2の工程の後に、さらに感光性樹脂層の被覆、および露光・現像を少なくとも1回は繰り返すことにより、感光性樹脂層を上方に積層し側壁面を上方に延設することが望ましい。これにより、流路の高さは所望の高さに調整することができる。
流路に面するようにして感光性樹脂層の上方に第2の基板を設ける場合、第1および第2の基板のうち少なくとも一方の基板は、所定の波長の光を透過することが好ましい。
【0010】
第2の基板の流路の一部に対応する位置に貫通穴は設けられ、その貫通穴より流路に電極が設けられるように構成しても良い。また、第1の工程の前に、第1の基板の面上において流路の一部に対応する位置に電極部を形成しても良い。これにより、電気泳動チップを安価かつ大量に製造することができる。
【0011】
また、好ましくは、第2の工程において、流路が複数設けられ、さらに好ましくは、流路が形成された第1の基板を切断することによって、複数のラボオンアチップ得る。これにより、ラボオンアチップを一度に大量に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
ラボオンアチップとは、試料の前処理、反応、分離、検出など一連の化学分析操作を行うための数ミリメートルから数センチメートル角のマイクロチップをいう。以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1、2は本発明の第1の実施形態に係るラボオンアチップを示す。本実施形態において、ラボオンアチップは電気泳動チップである。電気泳動チップ10は図1に示すように上から見ると矩形を呈し、図2に示すように、第1の基板層19に、第2の基板層29が接合されて構成されている。第1の基板層19は、第1の基板11と、その基板11の上面11bに定着させられる所定の厚さHを有する感光性樹脂層12とを備える。感光性樹脂層12は、上面11bに接続され幅方向に延びる2つの側壁面12bと、上面11bに接続され長手方向に延びる2つの側壁面12cを有する。4つの側壁面12b、12cは、それぞれ略矩形であり、上面11bに対して略垂直である。4つの側壁面12b、12cと第1の基板11の上面11bは流路13を形成する。上面11bの流路13を形成する部分、側壁面12b、12cおよび感光性樹脂層12の上面12dは、絶縁層14が薄く被覆される。
【0014】
流路13の断面は、下面を第1の基板11の絶縁層14が被覆された上面11b、側面を感光性樹脂層12の絶縁層14が被覆された側壁面12bまたは12cとする略矩形である。絶縁層14は薄く均一に被膜されており、流路の高さH’は、感光性樹脂層12の高さHと略同一である。流路13の側面の大きさは、例えば、側壁面12b、12cの高さH’は10〜20μmであり、側壁面12bの幅Wは40μm程度であり、側壁面12cの長さLは数mm〜数cm程度である。
【0015】
第2の基板層29は、第2の基板21と、第2の基板21に形成された電極25を有する。第2の基板21は、感光性樹脂層12の上方に設けられる。すなわち、絶縁層14が被覆された感光性樹脂層12の上面12dに接合され、流路13の上面に面している。第2の基板21には、流路13の2つの端部13aに対応する位置にサンプルやバッファを流路に注入するための貫通穴22が設けられ、貫通穴22には流路13に通電させるための電極25が設けられる。貫通穴22は、略円形で、その直径は流路13の幅Wより大きく、例えば、数mm程度である。
【0016】
ここで、第1および第2の基板11、21は、両基板とも所定の波長の光を透過させる材質のものであり、例えば樹脂やガラス等が用いられる。ただし、場合によっては、一方のみが所定の波長の光を透過させる材質のものであっても良い。
【0017】
電気泳動チップ10の一使用例を説明する。電気泳動チップ10の流路13には、分析対象であるサンプル(例えばDNAおよびたんぱく質)と、サンプルを移動させるためのバッファが貫通穴22より注入される。サンプルおよびバッファの注入後、流路13の端部13aに設けられた電極25を通じて、流路13に一定の電圧が印加される。電圧が印加されることにより、サンプルは泳動し分離する。分離したサンプルには、第1または第2の基板11,21を通じて所定の波長の光が照射される。サンプルに照射された光は、第1または第2の基板11,21を透過し、電気泳動チップ10外において、吸収強度等が測定され、サンプルが同定される。
【0018】
図3、4は電気泳動チップ10の製造方法を示す。図3,4(a)に示すように、まず、第1の基板11の上面に感光性樹脂層12が被覆される。ここで、被覆される感光性樹脂層12は、形状は特に限定されないが、ペースト状のものであっても良く、例えばネガフォトレジストであるSU−8等のエポキシ系樹脂が使用される。また、シート状やフィルム状に形成されているものでも良く、例えばRY−3040(商品名. 日立化成工業社製)、H−9300(商品名. 日立化成工業社製)等のドライフィルムレジストが使用される。さらにはソルダーレジストインキ等も使用される。
【0019】
次に、図3、4(b)に示すように、被覆した感光性樹脂層12を露光した後現像することによって、第1の基板11の上面と感光性樹脂層12により複数の流路13が形成される。感光性樹脂層12は、露光・現像することにより、基板11の上面11bに正確にパターニングできるので、非常に微細な構造の流路13を形成することができ、例えば上述したように高さHや幅Wが数10μm程度で、断面が略矩形である流路13でも精緻かつ容易に形成できる。
【0020】
ここで、例えば、被覆される感光性樹脂がネガ型であった場合、第1の基板11を被覆した感光性樹脂層12は、流路13を型取ったフォトマスクが被せられ、光が照射され、光が照射された樹脂層12は第1の基板11に定着させられる。そして、光が照射されない樹脂層12、すなわち基板11に定着していない樹脂層12は現像液を用いて除去され、複数の流路13が形成される。感光性樹脂がポジ型等、他のタイプである場合であっても、樹脂層12はそのタイプに応じた方法により第1の基板11に定着させられる。以上のように形成された複数の流路13は、略同一の大きさで、平行に並列する。
【0021】
次に、第1の基板層19の上方に露出する部分、すなわち感光性樹脂層12の上面12dと側壁面12b、12cおよび流路を形成する第1の基板11の上面11bには、絶縁層14がスパッタリング、液コーティング、CVD法等により被覆される。これは流路13に注入されるサンプルやバッファにより感光性樹脂層12が膨潤、溶解、腐食などを起こさないようにするためである。絶縁層14の素材としては、ガラス(SiO2)などの絶縁透明材料が用いられる。
そして、さらに複数の流路13は、親水性を上げるため、親水化の処理が施される。親水化の処理は、例えば、酸素プラズマにより酸化することにより行われる。
【0022】
一方、第2の基板21は、図3,4の(c)に示すように、流路13の全ての端部13aに対応する位置に貫通穴22が設けられる。すなわち、第2の基板21の上面21aの上辺21cとこれに平行な中心線Xの間には、複数の貫通穴22が等間隔に並列する。また、第2の基板21の上面21aの下辺21dと中心線Xの間にも、上方に設けられた貫通穴22に対応する位置に、貫通穴22が等間隔に並列する。
【0023】
次に、図3,4の(d)に示すように、電極25が形成されるために、第2の基板21の上面21aの上辺21cおよび下辺21dから、上面21a上の全ての貫通穴22の周辺部の表面を覆うように金25’が蒸着される。このとき、貫通穴22を形成する第2の基板21の厚み部の表面21bにも金25’が蒸着される。また、下辺から蒸着される金25’は、上辺から蒸着される金25’には接しないように蒸着され、中心線Xの周りには金25’は蒸着されない。なお、金の代わりに伝導性のある他の金属を用いることもできる。
【0024】
次に、図3、4の(e)に示すように、第1の基板層19の上面すなわち絶縁層14が被覆された感光性樹脂層12の上面12dに第2の基板層29が接合され、第2の基板21は流路13に面する。また、金25’によって形成された電極25は、第2の基板層29が第1の基板層19上に接合されることにより、流路13に臨むので、流路13内に電気を通すことが可能となる。
【0025】
次に、図3(f)に示すように、接合された第1および第2の基板層19、29は、流路13と略平行方向に切断され、1つの流路13を有する電気泳動チップ10が得られる。
【0026】
以上のように本発明の第1の実施形態では、感光性樹脂層を基板上に定着させ流路を形成することにより、ラボオンアチップを製造している。ここで、感光性樹脂層は、基板上に精密かつ容易に定着させることができるので、微細な流路が容易に作成することができ、安価なラボオンアチップが大量生産可能となる。
【0027】
なお、本実施形態において、感光性樹脂層12を1回の露光・現像により、形成しているが、流路13の高さH’がさらに必要な場合には、露光・現像をさらに繰り返すようにしても良い。すなわち、1回の露光現像の後に、さらに感光性樹脂層の被覆、および露光・現像を少なくとも1回は繰り返すことにより、感光性樹脂層を上方に積層し、側壁面を上方に延設する。換言すると、流路13の高さH’は積層された感光性樹脂層の厚さが増えた分だけ高くなる。
なお、この場合使用される感光性樹脂は、粘度が高いエポキシ系樹脂であるSU−8等が好適であり、また、RY−3040(商品名. 日立化成工業社製)、H−9300(商品名. 日立化成工業社製)等のドライフィルムレジスト等も好適である。例えば、粘度が低い感光性樹脂が用いられると、先に形成された流路内に感光性樹脂が流入してしまうからである。
【0028】
図5、6は本発明の第2の実施形態における電気泳動チップ40を示す。本実施形態において、第1の実施形態と相違する点は、電極45が第1の基板41上に形成され、第2の基板50には貫通穴が設けられない点および絶縁層が被膜されない点である。以下相違点のみ説明する。
電気泳動チップ40は、第1の基板層49に、第2の基板50が接合されて構成される。第1の基板層49は、第1の基板41と、その基板41の上面41bに設けられた2つの略同一の大きさの略矩形の電極45と、所定の厚みを有する感光性樹脂層42とを有する。2つの電極45は同一直線上に設けられ、電極45の一方は、上面41bの上辺41cから、これに平行な中心線X’と上辺41cの間まで延設される。電極45の他方は、上面41bの下辺41dから、中心線X’と下辺41dの間まで延設される。
【0029】
感光性樹脂層42は、2つの電極45および第1の基板41の上面41bに定着されており、4つの側壁面42b、42cを有する。幅方向に延びる2つの側壁面42bは、それぞれの電極45の上面45aの略中央部に略垂直に接続され、その幅方向の長さは電極45の幅と略同一である。また、長手方向に延びる2つの側壁面42cは、上面41bおよび2つの電極45の上面45aに略垂直に接続する。さらに、側壁面42bは側壁面42cに略垂直に接続されている。そして、側壁面42b、42cを側面とし、第1の基板の上面41bおよび2つの電極45の上面45aを下面とする流路43が、2つの電極45が設けられた直線上に形成される。
【0030】
第2の基板50は、第1の基板層49上すなわち、感光性樹脂層42上に接合することにより、流路43に面する。ただし、電極45の上面45aが形成している流路43の端部46の上面には、第2の基板50は面しておらず、サンプル等を注入するための開口部となる。
【0031】
図7に第2の実施形態における電気泳動チップの製造方法を示す。
まず、第1の基板41上に金属膜(例えば銅)がラミネートされ、さらにその上にDFR(ドライフィルムレジスト)48がラミネートされる。次にDFR48は露光・現像され、(a)に示すようにパターニングされる。DFR48がパターニングされた第1の基板41は、エッチング液によりエッチングされ、さらに残ったDFR48がレジスト剥離液により剥離されることにより、(b)に示すように金属膜により電極45が形成される。すなわち、上辺41cから複数の略矩形の電極45が延設され、それに対応するように下辺41dからも複数の略矩形の電極45が延設される。電極45は耐久性、耐腐食性を向上させる必要があるときは、金メッキ処理を施す。
【0032】
次に、(c)に示すように、第1の実施形態と同様に、感光性樹脂層42を被覆した後、露光・現像することによって、第1の基板の上面41bに感光性樹脂層42が定着させられる。これにより、電極45および上面41bと感光性樹脂層42により流路43が形成される。このとき、電極45は一部が感光性樹脂層42により覆われ、一部は流路43の端部46において外表面に露出する。なお、形成された流路43は、親水化処理が施される。
【0033】
次に、(d)に示すように、第2の基板50が、流路43に面するように、第1の基板層49上すなわち、感光性樹脂層42の上面に接合される。ただし、流路43の端部46面上には第2の基板50は面していない。接合された第1の基板層49と、第2の基板50は切断され、(e)に示すように電気泳動チップ40が得られる。
【0034】
以上のように第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に大量に生産することが可能なラボオンアチップを得ることができる。また、本実施形態においては、第1の実施形態に比べ電極を容易に形成することができる。
【0035】
図8は本発明に係る第3の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を示す。本実施形態は、第2の実施形態におけるラボオンアチップの側壁面42bおよび上面42dに絶縁層44が被覆された構成である。以下その被覆方法を説明する。
【0036】
(a)に示すように、第2の実施形態と同様に感光性樹脂層42が定着され流路43が形成された後、第1の基板層49の上方に露出する部分、すなわち第1の基板41の上面41bの外部に露出する部分、電極45の外部に露出する部分、側壁面42b、42c(図5参照)、および感光性樹脂層42の上面42dに絶縁層44が被覆される。(b)に示すように絶縁層44が被覆された側壁面42b、42cおよび感光性樹脂層の上面42dにはさらに、第2の樹脂層47が定着させられる。ここで、第2の樹脂層が例えば感光性樹脂層である場合、第2の樹脂層は露光・現像することにより定着させられる。
【0037】
次に(c)に示すように、CF4ガス等を用いた反応性イオンエッチング等のドライエッチングにより、電極45の一部および第1の基板の上面41bに被覆された絶縁層44が除去される。つまり、第1の基板の上面41bの一部および電極45の一部の上方には、第2の樹脂層47が被覆されていないので、その第2の樹脂層47が被覆されていない第1の基板の上面41bおよび電極45の一部に被覆された絶縁層44のみが選択的に除去される。次に、(d)に示すように酸素ガス等を用いた反応性イオンエッチング等により第2の樹脂層47のみが除去され、(e)に示すように第1の基板層49の上面に第2の基板50が定着させられ電気泳動チップ40が得られる。以上のように本製造方法によれば、感光性樹脂層42の上面42dおよび側壁面42b、42c(図5参照)のみに絶縁層44を選択的に被覆することができる。すなわち、流路43を形成する感光性樹脂層42には、絶縁層44が被覆されているので、流路に注入されるバッファ等による感光性樹脂層42の腐食等が防止できる。
【0038】
図9は、本発明の第4の実施形態における電気泳動チップ60およびその製造方法を示す。本実施形態において第2の実施形態と相違するのは、電極65がチップ切断前には一体的に形成されている点である。以下相違点のみ説明する。
【0039】
まず、(a)、(b)に示すように第1の基板61の上面61aに、金属膜65aがラミネートされた後、耐エッチング性インクが電極板65’を形成する部分65”に被覆される。そして、第1の基板61が、エッチングされることにより、(b)に示すように、上面61aの上辺61cまたは下辺61dから流路63の端部に対応する部分までに延設される電極板65’が一体的に形成される。
【0040】
次に、(c)に示すように第2の実施形態と同様に、感光性樹脂層62を被覆した後、露光・現像することによって、第1の基板の上面61aに感光性樹脂62が定着させられる。これにより、流路63が形成され、それぞれの流路63の端部63aには電極板65’が露出している。そして、(d)に示すように、第2の基板71が第2の実施形態と同様に感光性樹脂層62の上面に接合される。次に、第1および第2の基板61、71は(e)に示すように、切断されることにより、電気泳動チップ60が形成される。このとき、電極板65’も各々別個独立した電極65となる。
【0041】
以上のように第4の実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様に大量に生産することが可能なラボオンアチップを得ることができる。
【0042】
なお、第4の実施形態においても、第2の実施形態と同様に感光性樹脂層62の上面62dおよび側壁面62b、62cに絶縁層が被膜される構成にしても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、感光性樹脂層を基板上に定着させることにより、精密かつ容易に、流路を形成することができるので、安価でかつ大量生産可能なラボオンアチップを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のラボオンアチップの平面図を示す。
【図2】図1のI−I線に沿う断面図を示す。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を平面図で示す。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を断面図で示す。
【図5】本発明の第2の実施形態のラボオンアチップの平面図を示す。
【図6】図5のII−II線に沿う断面図を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を平面図で示す。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を断面図で示す。
【図9】本発明の第4の実施形態の製造工程におけるラボオンアチップの平面図を示す。
【符号の説明】
10、40、60 電気泳動チップ
11、41、61 第1の基板
12、42、62 感光性樹脂層
12b、12c、42b、42c 側壁面
13、43、63 流路
14、44 絶縁層
21、50、71 第2の基板
22 貫通穴
25、45、65 電極
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電気泳動チップ等のラボオンアチップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気泳動、化学反応、細胞培養および分離検出などのラボプロセスが集積化されたラボオンアチップの開発がなされている。ラブオンアチップには、試料を移動させるための流路を形成する必要がある。この流路は従来、ガラスに溝を設けること(例えば特許文献1)、やポリマーを型取りすること(例えば特許文献2)により形成されている。
しかし、このように流路を形成すれば、1つの流路を形成するのに時間を要し、ラボオンアチップを大量生産することは困難である。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−310613号公報
【特許文献2】
特開2001−157855号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑みて成されたものであり、ラボオンアチップの製造において、流路形成を容易にすることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るラボオンアチップは、第1の基板と、その基板の上面に定着させられ所定の厚さを有する感光性樹脂層とを備え、感光性樹脂層の第1の基板の上面に接続する側壁面と、第1の基板の上面とによって流路が形成されることを特徴とする。すなわち、感光性樹脂層は、基板上に精密かつ容易に定着させることができるので、微細な流路が容易に作成することができ、安価なラボオンアチップが製造可能となる。
【0006】
感光性樹脂層の側壁面には絶縁層が被覆されることが望ましい。これにより、感光性樹脂層のバッファ等による膨潤、溶解、腐食が防止できる。
流路に面するようにして感光性樹脂層の上方に第2の基板が設けられ、第1および第2の基板のうち少なくとも一方の基板は、所定の波長の光を透過することが好ましい。これにより、流路におけるサンプルの挙動を検出することができる。
【0007】
好ましくは、流路に電極が設けられる。これにより、ラボオンアチップは電気泳動チップとして、使用することができる。
【0008】
本発明に係るラボオンアチップの製造方法は、第1の基板の上面に感光性樹脂層を被覆する第1の工程と、感光性樹脂層を露光した後現像することによって、感光性樹脂層に第1の基板の上面に接続する側壁面が具備され、上面と側壁面により流路を形成する第2の工程とを備えることを特徴とする。これにより、流路を有するラボオンアチップを安価かつ大量に製造することができる。なお、側壁面に絶縁層を被覆する第3の工程が備えられていることが好ましい。
【0009】
第2の工程の後に、さらに感光性樹脂層の被覆、および露光・現像を少なくとも1回は繰り返すことにより、感光性樹脂層を上方に積層し側壁面を上方に延設することが望ましい。これにより、流路の高さは所望の高さに調整することができる。
流路に面するようにして感光性樹脂層の上方に第2の基板を設ける場合、第1および第2の基板のうち少なくとも一方の基板は、所定の波長の光を透過することが好ましい。
【0010】
第2の基板の流路の一部に対応する位置に貫通穴は設けられ、その貫通穴より流路に電極が設けられるように構成しても良い。また、第1の工程の前に、第1の基板の面上において流路の一部に対応する位置に電極部を形成しても良い。これにより、電気泳動チップを安価かつ大量に製造することができる。
【0011】
また、好ましくは、第2の工程において、流路が複数設けられ、さらに好ましくは、流路が形成された第1の基板を切断することによって、複数のラボオンアチップ得る。これにより、ラボオンアチップを一度に大量に製造することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
ラボオンアチップとは、試料の前処理、反応、分離、検出など一連の化学分析操作を行うための数ミリメートルから数センチメートル角のマイクロチップをいう。以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1、2は本発明の第1の実施形態に係るラボオンアチップを示す。本実施形態において、ラボオンアチップは電気泳動チップである。電気泳動チップ10は図1に示すように上から見ると矩形を呈し、図2に示すように、第1の基板層19に、第2の基板層29が接合されて構成されている。第1の基板層19は、第1の基板11と、その基板11の上面11bに定着させられる所定の厚さHを有する感光性樹脂層12とを備える。感光性樹脂層12は、上面11bに接続され幅方向に延びる2つの側壁面12bと、上面11bに接続され長手方向に延びる2つの側壁面12cを有する。4つの側壁面12b、12cは、それぞれ略矩形であり、上面11bに対して略垂直である。4つの側壁面12b、12cと第1の基板11の上面11bは流路13を形成する。上面11bの流路13を形成する部分、側壁面12b、12cおよび感光性樹脂層12の上面12dは、絶縁層14が薄く被覆される。
【0014】
流路13の断面は、下面を第1の基板11の絶縁層14が被覆された上面11b、側面を感光性樹脂層12の絶縁層14が被覆された側壁面12bまたは12cとする略矩形である。絶縁層14は薄く均一に被膜されており、流路の高さH’は、感光性樹脂層12の高さHと略同一である。流路13の側面の大きさは、例えば、側壁面12b、12cの高さH’は10〜20μmであり、側壁面12bの幅Wは40μm程度であり、側壁面12cの長さLは数mm〜数cm程度である。
【0015】
第2の基板層29は、第2の基板21と、第2の基板21に形成された電極25を有する。第2の基板21は、感光性樹脂層12の上方に設けられる。すなわち、絶縁層14が被覆された感光性樹脂層12の上面12dに接合され、流路13の上面に面している。第2の基板21には、流路13の2つの端部13aに対応する位置にサンプルやバッファを流路に注入するための貫通穴22が設けられ、貫通穴22には流路13に通電させるための電極25が設けられる。貫通穴22は、略円形で、その直径は流路13の幅Wより大きく、例えば、数mm程度である。
【0016】
ここで、第1および第2の基板11、21は、両基板とも所定の波長の光を透過させる材質のものであり、例えば樹脂やガラス等が用いられる。ただし、場合によっては、一方のみが所定の波長の光を透過させる材質のものであっても良い。
【0017】
電気泳動チップ10の一使用例を説明する。電気泳動チップ10の流路13には、分析対象であるサンプル(例えばDNAおよびたんぱく質)と、サンプルを移動させるためのバッファが貫通穴22より注入される。サンプルおよびバッファの注入後、流路13の端部13aに設けられた電極25を通じて、流路13に一定の電圧が印加される。電圧が印加されることにより、サンプルは泳動し分離する。分離したサンプルには、第1または第2の基板11,21を通じて所定の波長の光が照射される。サンプルに照射された光は、第1または第2の基板11,21を透過し、電気泳動チップ10外において、吸収強度等が測定され、サンプルが同定される。
【0018】
図3、4は電気泳動チップ10の製造方法を示す。図3,4(a)に示すように、まず、第1の基板11の上面に感光性樹脂層12が被覆される。ここで、被覆される感光性樹脂層12は、形状は特に限定されないが、ペースト状のものであっても良く、例えばネガフォトレジストであるSU−8等のエポキシ系樹脂が使用される。また、シート状やフィルム状に形成されているものでも良く、例えばRY−3040(商品名. 日立化成工業社製)、H−9300(商品名. 日立化成工業社製)等のドライフィルムレジストが使用される。さらにはソルダーレジストインキ等も使用される。
【0019】
次に、図3、4(b)に示すように、被覆した感光性樹脂層12を露光した後現像することによって、第1の基板11の上面と感光性樹脂層12により複数の流路13が形成される。感光性樹脂層12は、露光・現像することにより、基板11の上面11bに正確にパターニングできるので、非常に微細な構造の流路13を形成することができ、例えば上述したように高さHや幅Wが数10μm程度で、断面が略矩形である流路13でも精緻かつ容易に形成できる。
【0020】
ここで、例えば、被覆される感光性樹脂がネガ型であった場合、第1の基板11を被覆した感光性樹脂層12は、流路13を型取ったフォトマスクが被せられ、光が照射され、光が照射された樹脂層12は第1の基板11に定着させられる。そして、光が照射されない樹脂層12、すなわち基板11に定着していない樹脂層12は現像液を用いて除去され、複数の流路13が形成される。感光性樹脂がポジ型等、他のタイプである場合であっても、樹脂層12はそのタイプに応じた方法により第1の基板11に定着させられる。以上のように形成された複数の流路13は、略同一の大きさで、平行に並列する。
【0021】
次に、第1の基板層19の上方に露出する部分、すなわち感光性樹脂層12の上面12dと側壁面12b、12cおよび流路を形成する第1の基板11の上面11bには、絶縁層14がスパッタリング、液コーティング、CVD法等により被覆される。これは流路13に注入されるサンプルやバッファにより感光性樹脂層12が膨潤、溶解、腐食などを起こさないようにするためである。絶縁層14の素材としては、ガラス(SiO2)などの絶縁透明材料が用いられる。
そして、さらに複数の流路13は、親水性を上げるため、親水化の処理が施される。親水化の処理は、例えば、酸素プラズマにより酸化することにより行われる。
【0022】
一方、第2の基板21は、図3,4の(c)に示すように、流路13の全ての端部13aに対応する位置に貫通穴22が設けられる。すなわち、第2の基板21の上面21aの上辺21cとこれに平行な中心線Xの間には、複数の貫通穴22が等間隔に並列する。また、第2の基板21の上面21aの下辺21dと中心線Xの間にも、上方に設けられた貫通穴22に対応する位置に、貫通穴22が等間隔に並列する。
【0023】
次に、図3,4の(d)に示すように、電極25が形成されるために、第2の基板21の上面21aの上辺21cおよび下辺21dから、上面21a上の全ての貫通穴22の周辺部の表面を覆うように金25’が蒸着される。このとき、貫通穴22を形成する第2の基板21の厚み部の表面21bにも金25’が蒸着される。また、下辺から蒸着される金25’は、上辺から蒸着される金25’には接しないように蒸着され、中心線Xの周りには金25’は蒸着されない。なお、金の代わりに伝導性のある他の金属を用いることもできる。
【0024】
次に、図3、4の(e)に示すように、第1の基板層19の上面すなわち絶縁層14が被覆された感光性樹脂層12の上面12dに第2の基板層29が接合され、第2の基板21は流路13に面する。また、金25’によって形成された電極25は、第2の基板層29が第1の基板層19上に接合されることにより、流路13に臨むので、流路13内に電気を通すことが可能となる。
【0025】
次に、図3(f)に示すように、接合された第1および第2の基板層19、29は、流路13と略平行方向に切断され、1つの流路13を有する電気泳動チップ10が得られる。
【0026】
以上のように本発明の第1の実施形態では、感光性樹脂層を基板上に定着させ流路を形成することにより、ラボオンアチップを製造している。ここで、感光性樹脂層は、基板上に精密かつ容易に定着させることができるので、微細な流路が容易に作成することができ、安価なラボオンアチップが大量生産可能となる。
【0027】
なお、本実施形態において、感光性樹脂層12を1回の露光・現像により、形成しているが、流路13の高さH’がさらに必要な場合には、露光・現像をさらに繰り返すようにしても良い。すなわち、1回の露光現像の後に、さらに感光性樹脂層の被覆、および露光・現像を少なくとも1回は繰り返すことにより、感光性樹脂層を上方に積層し、側壁面を上方に延設する。換言すると、流路13の高さH’は積層された感光性樹脂層の厚さが増えた分だけ高くなる。
なお、この場合使用される感光性樹脂は、粘度が高いエポキシ系樹脂であるSU−8等が好適であり、また、RY−3040(商品名. 日立化成工業社製)、H−9300(商品名. 日立化成工業社製)等のドライフィルムレジスト等も好適である。例えば、粘度が低い感光性樹脂が用いられると、先に形成された流路内に感光性樹脂が流入してしまうからである。
【0028】
図5、6は本発明の第2の実施形態における電気泳動チップ40を示す。本実施形態において、第1の実施形態と相違する点は、電極45が第1の基板41上に形成され、第2の基板50には貫通穴が設けられない点および絶縁層が被膜されない点である。以下相違点のみ説明する。
電気泳動チップ40は、第1の基板層49に、第2の基板50が接合されて構成される。第1の基板層49は、第1の基板41と、その基板41の上面41bに設けられた2つの略同一の大きさの略矩形の電極45と、所定の厚みを有する感光性樹脂層42とを有する。2つの電極45は同一直線上に設けられ、電極45の一方は、上面41bの上辺41cから、これに平行な中心線X’と上辺41cの間まで延設される。電極45の他方は、上面41bの下辺41dから、中心線X’と下辺41dの間まで延設される。
【0029】
感光性樹脂層42は、2つの電極45および第1の基板41の上面41bに定着されており、4つの側壁面42b、42cを有する。幅方向に延びる2つの側壁面42bは、それぞれの電極45の上面45aの略中央部に略垂直に接続され、その幅方向の長さは電極45の幅と略同一である。また、長手方向に延びる2つの側壁面42cは、上面41bおよび2つの電極45の上面45aに略垂直に接続する。さらに、側壁面42bは側壁面42cに略垂直に接続されている。そして、側壁面42b、42cを側面とし、第1の基板の上面41bおよび2つの電極45の上面45aを下面とする流路43が、2つの電極45が設けられた直線上に形成される。
【0030】
第2の基板50は、第1の基板層49上すなわち、感光性樹脂層42上に接合することにより、流路43に面する。ただし、電極45の上面45aが形成している流路43の端部46の上面には、第2の基板50は面しておらず、サンプル等を注入するための開口部となる。
【0031】
図7に第2の実施形態における電気泳動チップの製造方法を示す。
まず、第1の基板41上に金属膜(例えば銅)がラミネートされ、さらにその上にDFR(ドライフィルムレジスト)48がラミネートされる。次にDFR48は露光・現像され、(a)に示すようにパターニングされる。DFR48がパターニングされた第1の基板41は、エッチング液によりエッチングされ、さらに残ったDFR48がレジスト剥離液により剥離されることにより、(b)に示すように金属膜により電極45が形成される。すなわち、上辺41cから複数の略矩形の電極45が延設され、それに対応するように下辺41dからも複数の略矩形の電極45が延設される。電極45は耐久性、耐腐食性を向上させる必要があるときは、金メッキ処理を施す。
【0032】
次に、(c)に示すように、第1の実施形態と同様に、感光性樹脂層42を被覆した後、露光・現像することによって、第1の基板の上面41bに感光性樹脂層42が定着させられる。これにより、電極45および上面41bと感光性樹脂層42により流路43が形成される。このとき、電極45は一部が感光性樹脂層42により覆われ、一部は流路43の端部46において外表面に露出する。なお、形成された流路43は、親水化処理が施される。
【0033】
次に、(d)に示すように、第2の基板50が、流路43に面するように、第1の基板層49上すなわち、感光性樹脂層42の上面に接合される。ただし、流路43の端部46面上には第2の基板50は面していない。接合された第1の基板層49と、第2の基板50は切断され、(e)に示すように電気泳動チップ40が得られる。
【0034】
以上のように第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に大量に生産することが可能なラボオンアチップを得ることができる。また、本実施形態においては、第1の実施形態に比べ電極を容易に形成することができる。
【0035】
図8は本発明に係る第3の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を示す。本実施形態は、第2の実施形態におけるラボオンアチップの側壁面42bおよび上面42dに絶縁層44が被覆された構成である。以下その被覆方法を説明する。
【0036】
(a)に示すように、第2の実施形態と同様に感光性樹脂層42が定着され流路43が形成された後、第1の基板層49の上方に露出する部分、すなわち第1の基板41の上面41bの外部に露出する部分、電極45の外部に露出する部分、側壁面42b、42c(図5参照)、および感光性樹脂層42の上面42dに絶縁層44が被覆される。(b)に示すように絶縁層44が被覆された側壁面42b、42cおよび感光性樹脂層の上面42dにはさらに、第2の樹脂層47が定着させられる。ここで、第2の樹脂層が例えば感光性樹脂層である場合、第2の樹脂層は露光・現像することにより定着させられる。
【0037】
次に(c)に示すように、CF4ガス等を用いた反応性イオンエッチング等のドライエッチングにより、電極45の一部および第1の基板の上面41bに被覆された絶縁層44が除去される。つまり、第1の基板の上面41bの一部および電極45の一部の上方には、第2の樹脂層47が被覆されていないので、その第2の樹脂層47が被覆されていない第1の基板の上面41bおよび電極45の一部に被覆された絶縁層44のみが選択的に除去される。次に、(d)に示すように酸素ガス等を用いた反応性イオンエッチング等により第2の樹脂層47のみが除去され、(e)に示すように第1の基板層49の上面に第2の基板50が定着させられ電気泳動チップ40が得られる。以上のように本製造方法によれば、感光性樹脂層42の上面42dおよび側壁面42b、42c(図5参照)のみに絶縁層44を選択的に被覆することができる。すなわち、流路43を形成する感光性樹脂層42には、絶縁層44が被覆されているので、流路に注入されるバッファ等による感光性樹脂層42の腐食等が防止できる。
【0038】
図9は、本発明の第4の実施形態における電気泳動チップ60およびその製造方法を示す。本実施形態において第2の実施形態と相違するのは、電極65がチップ切断前には一体的に形成されている点である。以下相違点のみ説明する。
【0039】
まず、(a)、(b)に示すように第1の基板61の上面61aに、金属膜65aがラミネートされた後、耐エッチング性インクが電極板65’を形成する部分65”に被覆される。そして、第1の基板61が、エッチングされることにより、(b)に示すように、上面61aの上辺61cまたは下辺61dから流路63の端部に対応する部分までに延設される電極板65’が一体的に形成される。
【0040】
次に、(c)に示すように第2の実施形態と同様に、感光性樹脂層62を被覆した後、露光・現像することによって、第1の基板の上面61aに感光性樹脂62が定着させられる。これにより、流路63が形成され、それぞれの流路63の端部63aには電極板65’が露出している。そして、(d)に示すように、第2の基板71が第2の実施形態と同様に感光性樹脂層62の上面に接合される。次に、第1および第2の基板61、71は(e)に示すように、切断されることにより、電気泳動チップ60が形成される。このとき、電極板65’も各々別個独立した電極65となる。
【0041】
以上のように第4の実施形態においても、第1および第2の実施形態と同様に大量に生産することが可能なラボオンアチップを得ることができる。
【0042】
なお、第4の実施形態においても、第2の実施形態と同様に感光性樹脂層62の上面62dおよび側壁面62b、62cに絶縁層が被膜される構成にしても良い。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、感光性樹脂層を基板上に定着させることにより、精密かつ容易に、流路を形成することができるので、安価でかつ大量生産可能なラボオンアチップを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態のラボオンアチップの平面図を示す。
【図2】図1のI−I線に沿う断面図を示す。
【図3】本発明の第1の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を平面図で示す。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を断面図で示す。
【図5】本発明の第2の実施形態のラボオンアチップの平面図を示す。
【図6】図5のII−II線に沿う断面図を示す。
【図7】本発明の第2の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を平面図で示す。
【図8】本発明の第3の実施形態におけるラボオンアチップの製造方法を断面図で示す。
【図9】本発明の第4の実施形態の製造工程におけるラボオンアチップの平面図を示す。
【符号の説明】
10、40、60 電気泳動チップ
11、41、61 第1の基板
12、42、62 感光性樹脂層
12b、12c、42b、42c 側壁面
13、43、63 流路
14、44 絶縁層
21、50、71 第2の基板
22 貫通穴
25、45、65 電極
Claims (12)
- 第1の基板と、その基板の上面に定着させられ所定の厚さを有する感光性樹脂層とを備え、前記感光性樹脂層の前記上面に接続する側壁面と前記上面とによって流路が形成されることを特徴とするラボオンアチップ。
- 前記側壁面に絶縁層が被覆されることを特徴とする請求項1に記載のラボオンアチップ。
- 前記流路に面するようにして前記感光性樹脂層の上方に第2の基板を設け、前記第1および第2の基板のうち少なくとも一方の基板が、所定の波長の光を透過することを特徴とする請求項1に記載のラボオンアチップ。
- 前記流路に電極が設けられることを特徴とする請求項1に記載のラボオンアチップ。
- 第1の基板の上面に感光性樹脂層を被覆する第1の工程と、前記感光性樹脂層を露光した後現像することによって、前記感光性樹脂層に前記上面に接続する側壁面が具備され、前記上面と前記側壁面により流路を形成する第2の工程とを備えることを特徴とするラボオンアチップの製造方法。
- 前記側壁面に絶縁層を被覆する第3の工程を備えることを特徴とする請求項5に記載のラボオンアチップの製造方法。
- 前記第2の工程の後に、さらに感光性樹脂層の被覆、および露光・現像を少なくとも1回は繰り返すことにより、前記感光性樹脂層を上方に積層し前記側壁面を上方に延設することを特徴とする請求項5に記載のラボオンアチップの製造方法。
- 前記流路に面するようにして前記感光性樹脂層の上方に第2の基板を設ける第4の工程を備え、前記第1および第2の基板のうち少なくとも一方の基板が、所定の波長の光を透過することを特徴とする請求項5に記載のラボオンアチップの製造方法。
- 前記第2の基板の前記流路の一部に対応する位置に貫通穴が設けられ、その貫通穴より前記流路に電極が設けられることを特徴とする請求項8に記載のラボオンアチップの製造方法。
- 前記第1の工程の前に、前記第1の基板の面上において前記流路の一部に対応する位置に電極板を形成することを特徴とする請求項5に記載のラボオンアチップの製造方法。
- 前記第2の工程において、前記流路が複数設けられることを特徴とする請求項5に記載のラボオンアチップの製造方法。
- 前記流路が形成された第1の基板を切断することによって、複数のラボオンアチップ得ることを特徴とする請求項10に記載のラボオンアチップの製造方法。
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