JP2003185661A - 核酸固着用薄膜及び核酸解析方法 - Google Patents

核酸固着用薄膜及び核酸解析方法

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JP2003185661A
JP2003185661A JP2002239853A JP2002239853A JP2003185661A JP 2003185661 A JP2003185661 A JP 2003185661A JP 2002239853 A JP2002239853 A JP 2002239853A JP 2002239853 A JP2002239853 A JP 2002239853A JP 2003185661 A JP2003185661 A JP 2003185661A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 膜表面に効率的かつ再現性よくDNA等の核
酸を安定に固定化することができると共に、透明でかつ
膜表面が水素終端した水素化アモルファスカーボン膜又
は水素化アモルファスカーボンナイトライド膜からなる
核酸固着用薄膜を提供する。 【解決手段】 膜表面が−C−H(X=1,2,3)
による水素結合によって終端され、かつ膜中の水素濃度
が20乃至50原子%である水素化アモルファスカーボ
ン膜が基材表面にコーティングされている。又は、膜表
面が−N−H 又は−N−HR(RはCH)又は−C
−H(X=1,2,3)による水素結合によって終端
され、かつ膜中の水素濃度が20乃至50原子%である
水素化アモルファスカーボンナイトライド膜が基材表面
にコーティングされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素化アモルファス
カーボン膜又は水素化アモルファスカーボンナイトライ
ド膜を使用した核酸固着用薄膜及び核酸解析方法に関
し、更に詳述すれば、DNA(デオキシリボ核酸)等の
核酸の塩基配列の決定、遺伝子病に関する診断、ゲノム
遺伝子の発現モニタリング等の核酸の解析に使用するこ
とができるハイブリダイゼーション用のDNAマイクロ
アレイに利用できる核酸固着用薄膜及び核酸解析方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ハイブリダイゼーションによる遺伝子の
解析は、例えば塩基配列決定、感染症及び遺伝子病の診
断、ゲノム遺伝子の発現によるモニタリング等において
広く用いられている。DNAマイクロアレイを用いた遺
伝子発現パターンのモニタリング法(M.Schena et al.,
Science, 260, 467(1995))は、大量の遺伝子の発現を
迅速に解析できる手法として注目されている。これらの
遺伝子の解析においては、DNA、RNA又はこれらの
混合物等の核酸をプレート上に固定化したDNAマイク
ロアレイ又はDNAチップと呼ばれるものが用いられ
る。
【0003】DNAを固定化するプレートとしては、ナ
イロン膜、ポリプロピレン膜、ニトロセルロース膜、ガ
ラスプレート、シリコンプレート等が用いられるが、ハ
イブリダイゼーションの検出をRI(ラジオアイソトー
プ)を使用せずに蛍光物質を用いて行うことを考える
と、蛍光物質を含まないガラスプレート又はシリコンプ
レート等が適していると考えられる。現在では安価でか
つ取り扱いが簡便なスライドガラスが多く普及してい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
プレートの表面はDNA(核酸)を固定化するのに適切
な官能基を有せず、DNAを基材の表面に何らかの化学
物質でコーティングする必要があった。ガラスプレート
のコーティングの方法には、poly-L-lysineコート、sil
ilated(シリレン化)、silanated(シラン化)等があ
る。例えば、ガラス表面をアミノ基として固相置換する
場合、アミノシランを用いてコーティングする方法(Z.
Guo et al., Nucl. Acids Res., 22.5456(1994))、pol
y-L-lysineを用いてコーティングする方法(M.Schena e
t al., Science, 270, 467(1995))が知られている。こ
れらの方法により、ガラス表面をアミノ基等の官能基に
固相置換した表面にDNAを固定化したプレートを用い
てDNAを解析する場合、DNAの固定量が十分ではな
く、その後のハイブリダイゼーション後の蛍光シグナル
強度が低いか、又は固着量のばらつきに起因すると考え
られる再現性等に問題点があった。
【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、膜表面に効率的かつ再現性よくDNA等の
核酸を安定に固定化することができると共に、透明でか
つ膜表面が水素終端した水素化アモルファスカーボン膜
又は水素化アモルファスカーボンナイトライド膜からな
る核酸固着用薄膜及び核酸解析方法を提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る核酸固着用
薄膜は、膜表面が−C−H(X=1,2,3)による
水素結合によって終端され、かつ膜中の水素濃度が20
乃至50原子%である水素化アモルファスカーボン膜が
基材表面にコーティングされていることを特徴とする。
【0007】本発明に係る他の核酸固着用薄膜は、膜表
面が−N−H又は−N−HR(RはCH)又は−C
−H(X=1,2,3)による水素結合によって終端
され、かつ膜中の水素濃度が20乃至50原子%である
水素化アモルファスカーボンナイトライド膜が基材表面
にコーティングされていることを特徴とする。
【0008】この核酸固着用薄膜において、例えば、前
記コーティング処理基材がガラスプレート又はシリコン
プレートである。
【0009】また、前記水素化アモルファスカーボン膜
又は前記水素化アモルファスカーボンナイトライド膜
は、その表面終端水素に対し、官能基を含有する化学物
質又はガスによってこの官能基に表面置換したものとす
ることができる。
【0010】更に、前記水素化アモルファスカーボン膜
又は前記水素化アモルファスカーボンナイトライド膜の
表面終端水素に対し、官能基を一方の末端に有するカッ
プリング剤の他方の末端が化学結合しているものとする
ことができる。
【0011】前記官能基は、例えば、アミノ基、水酸
基、カルボキシル基、クロライド基、エポキシ基、アル
デヒド基、イソシアネート基、及びチオシアネート基か
らなる群から選択された1種である。
【0012】本発明に係る核酸解析方法は、請求項1乃
至8のいずれか1項に記載の核酸固着用薄膜に核酸を固
定化して、試料中の核酸を解析することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明者等は、上記目的を達成す
べく鋭意研究を重ねた結果、例えばガラスプレート上に
透明でかつ水素終端した水素化アモルファスカーボン膜
が、アミノ基及びカルボキシル基等の官能基を高密度に
表面置換できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0014】更に、膜中に水素を20乃至50原子%導
入することによって、500nm乃至5000nm(=
5μm)にわたって、膜厚100nmにおいても90%
以上の透過率を示す透明水素化アモルファスカーボン膜
を得ることができ、ハイブリダイゼーション後の光学的
処理のバックグラウンドを低減することができる。
【0015】更に、本発明者等は、前述のカーボンクラ
スターにNを導入し、表面にアミノ基(−NH)又は
第2級アミンである−NHR(Rはアルキル基でC
)で水素終端させた水素化アモルファスカーボンナ
イトライド膜を作製し、高密度にアミノ基又は第2級ア
ミンが膜表面を終端しているガラスプレートを作製し
た。この膜は同様に水素を20乃至50原子%導入する
ことで、500nm乃至5000nmにわたって、膜厚
100nmにおいても90%以上の透過率を示す。
【0016】これによって一般にガラス基板表面におい
て、DNA固着のためのpoly-L-lysineコート等の官能
基置換のための化学処理を行うことなく、高密度のアミ
ノ基、第2級アミンを表面に直接導入することができ
る。
【0017】更に、本発明によれば、前記水素化アモル
ファスカーボン膜をコーティングしたガラスプレートの
コーティング表面を官能基置換し、DNA等の核酸を固
定化したガラスプレート等の基板を得ることができる。
また、前記水素化アモルファスカーボンナイトライド膜
をコーティングしたガラスプレートの表面では、アミノ
基又は第2級アミンで終端され、同様にDNA等の核酸
を固定化したガラスプレート基板である。勿論、シリコ
ン基板でもかまわない。また、本発明によれば、固定化
された核酸を用いて試料中の核酸を解析する方法におい
て、前記ガラスプレートを使用して核酸を解析すること
ができる。
【0018】本発明によると、膜表面に高密度の官能基
の置換が可能であることから、膜をコーティングしたガ
ラス表面に対し、DNA等の核酸の固定化を高密度に行
うことができ、蛍光強度の安定性、再現性が優れたDN
Aマイクロアレイ又はDNAチップを得ることができ
る。
【0019】以下、本発明について更に詳細に説明す
る。本発明の水素化アモルファスカーボン膜は、化学気
相蒸着法(CVD)によって形成可能である。CH
スをプラズマによって解離させ、成膜前駆体であるCH
(X=1、2、3)によって水素化アモルファスカー
ボン膜を成膜する。成膜条件によっては、膜の構造を構
成するクラスターを数nmに制御することが可能で、こ
の膜中の水素含有量は20乃至50原子%となる。これ
によって、可視光から赤外光にわたって極めて高い透過
率を示す。この膜を構成するクラスターは、−C−H
(X=1、2、3)によって終端されており、表面にお
いてもカーボンクラスターの終端は同様に−C−H
(X=1、2、3)によって終端されている。つま
り、水素被覆率の高い表面を有している。
【0020】また、膜の光透過率は、膜厚100nmに
おいて、波長域500nm乃至5000nm(5μm)
において90%以上の透過率を有し、可視光から赤外に
わたって優れた透明性を示す。ハイブリダイゼーション
後の光学測定においても低バックグランドを実現するこ
とが可能である。
【0021】この水素化アモルファスカーボン膜を、例
えば、ガラス基板にコーティング成膜することにより、
これをDNA等の核酸の固着基板に使用することができ
る。水素終端されたアモルファスカーボン膜の表面に対
し、塩素を含む雰囲気下で紫外線照射を行い、クロライ
ド基に置換する。次に、アンモニアを含む雰囲気下で再
度紫外線照射を行い、アミノ基を導入することができ
る。また、アンモニアプラズマを使ってアモルファスカ
ーボン膜表面の水素をアミノ基に直接置換することも可
能である。
【0022】アミノ基以外の官能基の固相置換には、例
えば、カルボキシル基の固相置換には、このアミノ基を
使って、シュウ酸等2価カルボン酸を使っての1つのカ
ルボキシル基をアミド結合させることで可能である(特
開2001−139532)。
【0023】また、このように水素化アモルファスカー
ボン膜の表面を溶液又はガス等によって反応させ、直接
置換する方法以外にも、一方の末端に官能基を有するカ
ップリング剤で処理して、その官能基を利用してもよ
い。市販されているカップリング剤の官能基としては、
アミノ基、イソシアネート基、クロライド基、エポキシ
基等があり、固着させるDNA等の核酸によって適宜選
択することが可能である。
【0024】上述のようにして製造した本発明の水素化
アモルファスカーボン膜を、例えばガラスプレートにコ
ーティングし、コーティングしたガラスプレートのコー
ティング面を所望の官能基に固相置換し、このコーティ
ング表面に核酸を固定化することで、核酸固定化ガラス
プレートを作製することができる。本発明の核酸は、D
NAであってもよく、RNAであってもよい。これらの
核酸の分子量等は特に限定されず、合成したオリゴヌク
レチオドであっても、また天然の核酸であっても、更に
PCR産物等を使用してもよい。
【0025】核酸の解析をハイブリダイゼーションによ
って行う場合、核酸又は本発明の水素化アモルファスカ
ーボン膜でコーティングされたガラスプレート表面に固
定化する核酸(オリゴヌクレチオドを含む)のいずれか
が標識されていることが望ましい。標識化の方法は特に
限定されるものではなく、例えばRI及び蛍光色素を用
いる方法等を使用することができる。ハイブリダイゼー
ションの結果は、各種標識法に即した方法によって測定
することができる。但し、後に述べる遺伝子発現モニタ
リング法においては、核酸を検出波長が異なる複数の蛍
光色素で標識することにより、試料核酸間の発現の強弱
を並行して検出できるため、蛍光法による標識を用いる
ことが望ましい。
【0026】これらの核酸を本発明の水素化アモルファ
スカーボン膜をコーティングしたガラスプレート表面に
固定化する方法を以下に述べる。水素化アモルファスカ
ーボン膜の表面は、例えば前述のように塩素雰囲気での
紫外線照射によってクロライド基に置換し、アンモニア
雰囲気での紫外線照射によってアミノ基に既に置換され
ている。
【0027】核酸のガラスプレートへの固定化は適量の
核酸溶液を本発明の水素化アモルファスカーボン膜をコ
ーティングしたガラスプレート上に滴下し、乾燥、紫外
線照射又は両者を併合することにより行うことができ
る。核酸をガラスプレートに安定に固定化するという点
では、紫外線を照射することが望ましい。その後の解析
に使用することを考慮すると、ガラスプレート上に固定
されていない核酸等を取り除くため、各種の酸、熱湯、
又はアルコール等を用いて後処理することが望ましい。
【0028】このようにして作製された核酸を固定化し
たガラスプレートは、DNA(又はRNA)マイクロア
レイ又はDNA(又はRNA)チップといわれ、各種の
遺伝子解析を行う際に利用されている。勿論、核酸を固
定化したガラスプレートをDNAマイクロアレイという
ことがあるが、DNAに限定されるものでなく、RNA
を固定化したガラスプレートも含まれる。DNAマイク
ロアレイの作製方法としては、上述の方法の他に、プレ
ート上に直接オリゴヌクレチオドを合成する方法(A.
C. Pease et al., Proc. Natl. Acad. Aci. USA, 91, 5
022(1994))又は合成したオリゴヌクレチオド(Z.Guo e
t al., Nucl. Acids Res., 22.5456(1994))、又はPC
R産物等(M.Schena et al., Science, 270, 467(199
5))をガラスプレート上に固定化する方法等がある。
【0029】本発明の方法により作製されたDNAマイ
クロアレイは、DNA固着量が多く、また安定であるこ
とから、ハイブリダイゼーション法により遺伝子を解析
しようとする場合、高感度でかつ再現性よく使用でき
る。
【0030】特定の遺伝子を検出する方法としては、P
CR(Polymerase Chain Reaction)法及びサザンノー
ザンハイブリダイゼーション法等が広く使用されている
が、これらの方法を使用した測定法は、未だ操作が煩雑
で、熟練を要する。このため、より簡便で高速な測定方
法の開発が望まれており、DNAチップ法及びキャピラ
リー電気泳動法等が開発されている。DNAチップ法
は、ガラス基板上に多種類のDNAを固定化したチップ
を使用する。測定対象遺伝子を蛍光物質及び酵素等で標
識しておき、DNAチップ上で相補的な遺伝子と結合を
生じさせた後、標識体による増幅作用を利用して検出す
る。これに対し、試料遺伝子と相補的な配列をもつ遺伝
子を標識しておく方法もあり、DNAプローブ法とよば
れている。このときは試料遺伝子はフィルタ等に固定化
しておく。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の範
囲から外れる比較例と比較してその効果について説明す
る。
【0032】[実施例1]水素化アモルファスカーボン
膜の成膜にはプラズマCVD装置を用いた。使用したガ
スはHe、CH、Hである。使用したプラズマCV
D装置は狭ギャップ平行平板タイプのもので、RF(1
3.56MHzの高周波)が印加されるカソード電極と
その対向に平行してグランド電極が設置されている。両
電極の表面にはアルミナ(Al)が溶射コーティ
ングされている。両電極間は2mmに設定されている。
カソード電極の面積は20mm×120mmである。グ
ランド電極は対向のカソード電極に対して平行に設置さ
れており、またグランド電極は平行方向に移動できるよ
うになっており、グランド電極にスライドガラスを載置
し、両電極間で発生するプラズマ領域(=およそカソー
ド面積:20mm×120mm)中をグランド電極上の
スライドガラスが平行移動することで、スライドガラス
上に均一に水素化アモルファスカーボンを成膜すること
ができる。
【0033】使用したスライドガラスのサイズは25.
4mm×76.2mm×1.0mm(t)である。成膜
の前の洗浄処理は、エタノール及び超純水による超音波
洗浄である。洗浄後、スライドガラスをCVD装置内の
グランド電極上に載置した。
【0034】また、実施例1ではグランド電極を浮遊状
態とし(グランドではない)、これに400kHzの電
力を印加し、スライドガラス上へのイオンボンバード処
理ができるようにした。
【0035】グランド電極の移動速度は1.5mm/秒
とした場合、スライドガラス上に成膜される水素化アモ
ルファスカーボン膜の膜厚は30nmであった。
【0036】上記条件において、グランドの移動速度を
変えることで任意の膜厚を得ることができる。図1は上
記条件において成膜した膜厚300nmの水素化アモル
ファスカーボン膜の波長500nm乃至2500nmに
おける光透過率を示すグラフ図である。同波長域におい
て、90%以上の光透過率を有することが分かり、優れ
た透明性を示している。比較のためにスパッタ法によっ
て成膜したDLC(ダイヤモンドライクカーボン)膜
(膜厚100nm)の透過率を図1中に示す。本発明の
水素化アモルファスカーボン膜と比較して、DLC膜は
膜厚は1/3であるが、500nmの透過率は20%程
度であり、膜は茶褐色である。
【0037】次に、波長2500nm乃至5000nm
の赤外域でのFTIRによる透過率測定結果について、
図2を参照して説明する。本発明の水素化アモルファス
カーボン膜は、2500nm乃至5000nmの赤外域
においても85%以上の高い透過率を示す。なお、33
00nm乃至3500nmあたりにみられる吸収ピーク
はsp軌道のCH、sp軌道のCH及びsp
軌道のCHに起因するピークである。
【0038】図3は、図1及び図2に示した水素化アモ
ルファスカーボン膜のラマン分光スペクトルである。ラ
マンスペクトルは波長514.5nmのArレーザー
をラマン散乱励起源として得られる。図3から分かるよ
うに、ラマンスペクトル上には高分子的な構造をもつ軟
質膜に特有の蛍光によるバックグランドが大きく現れて
いる。この結果から、水素化アモルファスカーボン膜を
構成するカーボンクラスターのサイズは数nmであるこ
とが分かる。
【0039】また、水素化アモルファスカーボン膜の膜
中の水素濃度を弾性反跳粒子検出法(ERDA)によっ
て測定した結果を図4に示す。図4から分かるように、
水素化アモルファスカーボン膜における水素濃度は30
乃至40原子%である。比較のために、スパッタによる
DLC膜の水素濃度を測定した結果も図4に示すが、こ
のスパッタによるDLC膜の水素濃度は10乃至20原
子%であった。
【0040】次に、水素化アモルファスカーボン膜表面
の水接触角を測定した。この水素化アモルファスカーボ
ン膜の接触角は85乃至100°であり、比較のために
測定したスパッタによるDLC膜の接触角は45乃至6
0°であった。従って、水素化アモルファスカーボン膜
の表面は水素終端による強い疎水表面であることが分か
る。
【0041】以上の光透過率、ラマンスペクトル、ER
DA、水接触角測定の分析結果により、水素化アモルフ
ァスカーボン膜は、膜構造におけるカーボンクラスタが
数nmであり、またクラスタの終端(表面も含めて)が
−C−H(X=1,2,3)であることが分かる。
【0042】上述のようにスライドガラスに膜厚30n
mの該水素化アモルファスカーボン膜を成膜コーティン
グした後、塩素雰囲気において紫外線照射を行い、表面
水素をクロライド基に置換し、その後アンモニア雰囲気
において紫外線照射を行い、表面をアミノ基に置換し
た。アミノ基の導入は、前述したようにアンモニアプラ
ズマを使っても可能であり、プラズマ条件を変化させる
ことでアミノ基の密度を変えることができる。そのとき
の表面は10°乃至90°にわたって水接触角を制御で
きる。今回は紫外線照射を使用した。紫外線照射による
アミノ基導入後の接触角は40°であった。更に、ガラ
スプレートを2価カルボン酸の溶液に1時間浸漬し、次
に500rpmの遠心乾燥によってスライドガラス表面
の溶液を取り除いた。このスライドガラスを真空オーブ
ンで50℃に、30分加熱して乾燥した。これによっ
て、1つのカルボキシル基をアミノ基表面とアミド結合
させ、最表面をカルボキシル基に置換した。
【0043】標識化試料DNAとしては、プラスミドp
GEM5Zf(+)(プロメガ社)を用いた。プラスミ
ドの標識化はLabellT(宝酒造(株)製)を用い
て、蛍光標識(フルオレセイン)により行った。試料D
NAの固定化で標識したプラスミドDNAを0.5mg
/ミリリットルの濃度になるように3×SSC(Sambro
ok et al., Molecular Cloning, 2nd Edition(Cold Spr
ing Harbor Laboratory Press, 1989))に溶解した。
【0044】このようにして作成したガラスプレート
に、試料DNAをスポットした。対象として、ガラスプ
レートにポリアスパラギン酸をコーティングし、ガラス
表面をカルボキシル基に置換したもの(特開2000−
63154公報)を使用して同様に試料DNAをスポッ
トした。スポットを風乾した後、湿潤容器内で45℃に
1分保温した。ガラスプレートを90℃に加熱した超純
水上で試料DNAをスポットした面を5秒蒸気にあてた
後(リハドレーション処理)、再度ガラス面をかえして
5秒間の瞬間乾燥を行い、UVクロスリンカー(フナコ
シ社)によって60mJの紫外線(254nm)を照射
した。
【0045】次に、無水コハク酸5.5gを315ミリ
リットルの1−メチル−2−ピロリドン溶液に溶解さ
せ、これにSodium Borate(ホウ酸61.8g、pH調
整用NaOH(pH8.0にあわせる)、超純水800
ミリリットル)を注いだ。この溶液に上述のスライドガ
ラスを20分間浸漬した。その後、90℃の超純水で1
分間リンスした後、更に95%エタノールで2分間浸漬
し、ガラスプレートを800rpmで遠心乾燥した(ブ
ロッキング処理)。
【0046】固定化されたDNAの量の測定は、プラス
ミドを標識した蛍光量を定量測定することによって行っ
た。蛍光量の検出にはフルオロイメージャー(FluoroIm
ager)(モレキュラーダイナミックス社)を用いた。その
結果、対象としたポリアスパラギン酸をコーティングし
たガラスプレートを使用した場合の蛍光強度を1とする
と、水素化アモルファスカーボン膜をスライドガラス基
板にコーティングし、カルボキシル基に置換させる化学
処理を行ったガラスプレートを使用した場合、9である
ことが分かり、10倍近い量のDNAが固着しているこ
とが分かった。
【0047】[実施例2]実施例1と同様の方法によっ
て、スライドガラスに膜厚30nmの水素化アモルファ
スカーボン膜を成膜コーティングした後、アンモニアプ
ラズマ照射を施して、前記水素化アモルファスカーボン
膜の表面水素をアミノ基に置換した。このアンモニアプ
ラズマ照射には平行平板型プラズマリアクタを用い、ア
ンモニア(NH)ガス流量が100cc/分、圧力が
39Pa、高周波実効投入電力が0.14W/cm
条件で、室温においてプラズマを発生させることによっ
て、水素化アモルファスカーボン膜表面にアンモニアプ
ラズマを所定時間にわたり照射した。
【0048】図5は上記のように水素化アモルファスカ
ーボン膜表面にアンモニアプラズマ照射した結果を示
す。図5(a)はアンモニアプラズマ照射された水素化
アモルファスカーボン膜表面における水接触角の測定結
果とアンモニアプラズマ照射時間との関係を示すグラフ
であり、図5(b)はXPS(X線光電子分光)分析の
光電子脱出角が15°の場合における結果から計算した
アンモニアプラズマ照射後の水素化アモルファスカーボ
ン膜表面におけるカーボン(C)と窒素(N)の原子組
成比と水接触角の測定結果との関係を示すグラフであ
る。図5(a)から分かるように、アンモニアプラズマ
照射時間が長いほど、水素化アモルファスカーボン膜表
面における水接触角は小さくなり、より親水性を示すよ
うになった。また、図5(b)から明らかなように、ア
ンモニアプラズマ照射された水素化アモルファスカーボ
ン膜表面において、カーボン(C)に対する窒素(N)
の原子数比が高くなるほど水接触角が小さくなり、より
親水性を示すようになった。XPS分析結果を詳細に検
討した結果、このアンモニアプラズマ照射された水素化
アモルファスカーボン膜表面に存在する窒素(N)はア
ミノ基に由来するものと同定された。これらの結果か
ら、水素化アモルファスカーボン膜にアンモニアプラズ
マを照射することによって、この膜表面にはアミノ基が
導入され、膜表面における水接触角が小さくなることが
分かった。即ち、水素化アモルファスカーボン膜へのア
ンモニアプラズマ照射時間が長くなるほど、この膜表面
に存在するアミノ基の数は増大し、この膜表面における
水接触角は小さくなる。
【0049】次に、実施例1と同様の方法によって、ス
ライドガラスに膜厚30nmの水素化アモルファスカー
ボン膜が成膜コーティングされたガラスプレートを用意
し、このガラスプレート上の水素化アモルファスカーボ
ン膜に上記のアンモニアプラズマ照射を60秒間にわた
り施すことによって、この膜表面にアミノ基を導入し
た。このようにしてアミノ基が導入された水素化アモル
ファスカーボン膜の膜表面における水接触角は60°で
あった。このようにして作成したガラスプレートを、実
施例1と同様に、2価カルボン酸の溶液に1時間浸漬し
た後、500rpmの遠心乾燥によってガラスプレート
表面の溶液を取り除いた。次に、ガラスプレートを真空
オーブンを用いて50℃で30分間にわたり乾燥させ
た。これによって、1つのカルボキシル基をアミノ基表
面とアミド結合させ、最表面をカルボキシル基に置換し
た。
【0050】このガラスプレートにおいて、実施例1と
同様に、DNAスポット処理、リハイドレーション処
理、UVクロスリンキング処理、ブロッキング処理を順
々に行った。固定化されたDNAの量の測定は、実施例
1同様プラスミドを標識した蛍光量を定量測定すること
によって行った。蛍光量の検出にはフルオロイメージャ
ーを用いた。その結果、実施例1において対象としたガ
ラスプレート、即ちポリアスパラギン酸をコーティング
したガラスプレートを使用した場合の蛍光強度を1とす
ると、水素化アモルファスカーボン膜をスライドガラス
に成膜コーティングし、アンモニアプラズマ照射により
アミノ基を導入してからカルボキシル基に置換させる化
学処理を行ったガラスプレートを使用した場合、蛍光強
度比が6であることが分かり、6倍近い量のDNAが固
着していることが分かった。
【0051】[実施例3]実施例1と同様の方法によっ
て、スライドガラスに膜厚30nmの水素化アモルファ
スカーボン膜を成膜コーティングした後、大気中におい
て、この水素化アモルファスカーボン膜の表面に波長が
254nmの紫外線を照射した。紫外線照射には、UV
トランスイルミネーターを用いた。
【0052】図6は紫外線照射された水素化アモルファ
スカーボン膜表面における水接触角の測定結果と紫外線
照射時間との関係を示すグラフであり、図7は紫外線照
射後の水素化アモルファスカーボン膜表面の反射FTI
R(Fourier Transform Infrared Spectroscopy:フー
リエ変換赤外分光)による分析結果を示す図である。図
6のグラフから分かるように、紫外線照射時間が長いほ
ど、水素化アモルファスカーボン膜表面における水接触
角は小さくなり、より親水性を示すようになった。ま
た、図7に示すように、紫外線照射された水素化アモル
ファスカーボン膜表面の反射FTIRによる分析結果に
は、波数1710cm−1付近に現れC=O結合に帰属
するピークと、波数2966cm−1付近に現れC−H
結合に帰属するピークとが明瞭に認められる。なお、他
のピークは下地スライドガラスに起因する吸光によるも
のである。これらの結果から、紫外線照射を施された水
素化アモルファスカーボン膜の表面においては、図2に
示したような−CH及び−CHにより水素終端され
ていた膜表面が、アルデヒド基(O=C−H)で置換さ
れていることがわかった。このようなアルデヒド基は、
水素化アモルファスカーボン膜の表面に存在するC−H
結合が紫外線照射により切断され、この結合が切れて活
性化されたサイトと大気中に存在する酸素又は水とが反
応することによって導入されたものと考えられる。この
ため、水素化アモルファスカーボン膜の表面に紫外線を
照射することによって、膜表面にはアルデヒド基が導入
されて水接触角が小さくなり、親水性を示すようにな
る。また、この膜表面への紫外線照射時間が長いほど、
膜表面に存在するアルデヒド基の密度が増大し、より親
水性を示すようになる。
【0053】次に、実施例1と同様の方法によって、ス
ライドガラスに膜厚30nmの該水素化アモルファスカ
ーボン膜が成膜コーティングされたガラスプレートを用
意し、このガラスプレート上の水素化アモルファスカー
ボン膜に上記の紫外線照射を180分間にわたり施すこ
とによって、この膜表面にアルデヒド基を導入した。こ
のようにしてアルデヒド基が導入された水素化アモルフ
ァスカーボン膜の膜表面における水接触角は60°であ
った。このガラスプレートにおいて、実施例1と同様
に、DNAスポット処理、リハイドレーション処理、U
Vクロスリンキング処理、ブロッキング処理を順々に行
った。固定化されたDNAの量の測定は、実施例1同様
プラスミドを標識した蛍光量を定量測定することによっ
て行った。蛍光量の検出にはフルオロイメージャーを用
いた。その結果、実施例1において対象としたガラスプ
レート、即ちポリアスパラギン酸をコーティングしたガ
ラスプレートを使用した場合の蛍光強度を1とすると、
水素化アモルファスカーボン膜をスライドガラスに成膜
コーティングし、紫外線照射によりアルデヒド基を導入
たガラスプレートを使用した場合、蛍光強度比が10で
あることが分かり、10倍近い量のDNAが固着してい
ることが分かった。
【0054】[実施例4]実施例1におけるプラズマC
VD装置を用いて、水素化アモルファスカーボンナイト
ライド膜の成膜を行った。プラズマCVDで使用したガ
スはHe、CH、H、NHであり、カソード電極
には13.56MHzのRF(高周波)を印加した。N
の導入はNHのほかに、モノメチルアミン(CH
)等のCNH系でも可能である。また、実施例1と
同様に、グランド電極を浮遊状態とし(グランドではな
い)、これに400kHzの電力を印加し、スライドガ
ラス上へのイオンボンバード処理ができるようにした。
【0055】グランド電極の移動速度は1.5mm/秒
とした場合、スライドガラス上に成膜される水素化アモ
ルファスカーボンナイトライド膜の膜厚は30nmであ
った。
【0056】上記条件において、グランド電極の移動速
度を調整し、膜厚300nmの水素化アモルファスカー
ボンナイトライド膜を成膜した。この水素化アモルファ
スカーボンナイトライド膜において、実施例1と同様
に、波長500nm乃至5000nmにおける光透過率
を測定した結果、同波長域において、85%以上の透過
率を有することが分かり、優れた透明性を示した。更
に、FTIRによる赤外吸収スペクトルを測定した結
果、3300cm−1付近にアミノ基の伸縮振動に起因
する吸収と2800乃至3000cm−1付近にメチル
基の伸縮振動に起因するピークが得られた。このFTI
Rスペクトルの結果からアミノ基及び第2級アミンによ
って表面が水素終端されていることが分かった。
【0057】ラマンスペクトルは図2と同様に、高分子
的な構造をもつ軟質膜に特有の蛍光によるバックグラン
ドが大きく現れる結果となり、カーボンクラスタのサイ
ズは数nm程度と予想される。
【0058】また、水素化アモルファスカーボンナイト
ライド膜の膜中の水素濃度を弾性反跳粒子検出法(ER
DA)によって測定したところ、30乃至40原子%で
あることが分かった。
【0059】以上の光透過率(FTIR含む)、ラマン
スペクトル、ERDAの分析の結果、水素化アモルファ
スカーボンナイトライド膜は、膜構造におけるカーボン
クラスタが数nmであり、またクラスタの終端(表面も
含めて)が−N−H又は−N−HR(Rはアルキル基
でCH)又は−C−H(X=1,2,3)であるこ
とが分かった。今回の実験ではCH/NH比を変え
ることで表面のN−H (親水基)/C−H(疎水
基)比を変えることができる。これによって、表面の接
触角を10°乃至90°にわたって任意に変えることが
できる。
【0060】実施例1で示したようなクロライド基、ア
ミノ基といった多段処理によって表面にアミノ基を導入
せずに、直接的にアミノ基を導入した。実施例1と同様
に、スライドガラスにおいて、2価カルボン酸の溶液に
1時間浸漬し、次に500rpmの遠心乾燥によってス
ライドガラス表面の溶液を取り除いた。スライドガラス
を真空オーブンで50℃、30分乾燥させた。これによ
って、1つのカルボキシル基をアミノ基表面とアミド結
合させ、最表面をカルボキシル基に置換した。
【0061】このスライドガラスにおいて、実施例1と
同様に、DNAスポット処理、リハイドレーション処
理、UVクロスリンキング処理、ブロッキング処理を順
々に行った。固定化されたDNAの量の測定は、実施例
1と同様に、プラスミドを標識した蛍光量を定量測定す
ることによって行った。蛍光量の検出にはフルオロイメ
ージャー(FluoroImager)(モレキュラーダイナミック
ス社)を用いた。その結果、実施例1において対象とし
たガラスプレート、即ちポリアスパラギン酸をコーティ
ングしたガラスプレートを使用した場合の蛍光強度を1
とすると、水素化アモルファスカーボン膜をスライドガ
ラス基板にコーティングし、カルボキシル基に置換させ
る化学処理を行ったガラスプレートを使用した場合、1
0であることが分かり、10倍近い量のDNAが固着し
ていることが分かった。
【0062】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、膜
表面に効率的かつ再現性よくDNA等の核酸を安定に固
定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】横軸に波長をとり、縦軸に光透過率をとって、
水素化アモルファスカーボン膜の波長500nm乃至2
500nmにおける光透過率の結果を示すグラフ図であ
る。
【図2】横軸に波長をとり、縦軸に光透過率をとって、
水素化アモルファスカーボン膜の波長2500nm乃至
5000nmにおける光透過率の結果を示すグラフ図で
ある。
【図3】横軸に波数をとり、縦軸に強度をとって、波数
600乃至2200cm−1におけるラマンスペクトル
結果を示すグラフ図である。
【図4】横軸に膜の深さをとり、縦軸に水素濃度をとっ
て、ERDAによる膜中水素濃度を示すグラフ図であ
る。
【図5】図5(a)はプラズマ照射時間と水接触角との
関係を示すグラフであり、図5(b)は膜表面における
C/N組成比と水接触角との関係を示すグラフである。
【図6】紫外線照射時間と水接触角との関係を示すグラ
フである。
【図7】横軸に波数をとり、縦軸に吸光度をとって、波
数800乃至4000cm−1における反射FTIR結
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 15/09 C12N 15/00 A (72)発明者 甘中 将人 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 石橋 清隆 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA11 CA04 CA05 CA06 CA09 GA18 GA19 HA14 4B029 AA07 AA21 AA23 BB20 CC03 CC11 FA12 FA15 4B063 QA01 QA18 QA19 QQ43 QR08 QR32 QR38 QR42 QR55 QR62 QR63 QR84 QS12 QS25 QS34 QS39 QX01 QX07

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜表面が−C−H(X=1,2,3)
    による水素結合によって終端され、かつ膜中の水素濃度
    が20乃至50原子%である水素化アモルファスカーボ
    ン膜が基材表面にコーティングされていることを特徴と
    する核酸固着用薄膜。
  2. 【請求項2】 膜表面が−N−H又は−N−HR(R
    はCH)又は−C−H(X=1,2,3)による水
    素結合によって終端され、かつ膜中の水素濃度が20乃
    至50原子%である水素化アモルファスカーボンナイト
    ライド膜が基材表面にコーティングされていることを特
    徴とする核酸固着用薄膜。
  3. 【請求項3】 前記コーティング処理基材がガラスプレ
    ート又はシリコンプレートであることを特徴とする請求
    項1又は2に記載の核酸固着用薄膜。
  4. 【請求項4】 前記水素化アモルファスカーボン膜は、
    その表面終端水素に対し、官能基を含有する化学物質又
    はガスによってこの官能基に表面置換したことを特徴と
    する請求項1に記載の核酸固着用薄膜。
  5. 【請求項5】 前記水素化アモルファスカーボンナイト
    ライド膜は、その表面終端水素に対し、官能基を含有す
    る化学物質又はガスによってこの官能基に表面置換した
    ことを特徴とする請求項2に記載の核酸固着用薄膜。
  6. 【請求項6】 前記水素化アモルファスカーボン膜の表
    面終端水素に対し、官能基を一方の末端に有するカップ
    リング剤の他方の末端が化学結合していることを特徴と
    する請求項1に記載の核酸固着用薄膜。
  7. 【請求項7】 前記水素化アモルファスカーボンナイト
    ライド膜の表面終端水素に対し、官能基を一方の末端に
    有するカップリング剤の他方の末端が化学結合している
    ことを特徴とする請求項2に記載の核酸固着用薄膜。
  8. 【請求項8】 前記官能基は、アミノ基、水酸基、カル
    ボキシル基、クロライド基、エポキシ基、アルデヒド
    基、イソシアネート基、及びチオシアネート基からなる
    群から選択された1種であることを特徴とする請求項6
    又は7に記載の核酸固着用薄膜。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    核酸固着用薄膜に核酸を固定化して、試料中の核酸を解
    析することを特徴とする核酸解析方法。
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JP2008232877A (ja) * 2007-03-22 2008-10-02 Toyota Central R&D Labs Inc 生体分子の固定用材料、生体分子が固定化された固相体及びその製造方法
JP2009150658A (ja) * 2007-12-18 2009-07-09 Tdk Corp 電気化学センサ及び電気化学センサシステム
CN109142293A (zh) * 2018-07-27 2019-01-04 福州大学 一种基于氮化碳解吸附作用的荧光传感器及其制备和应用

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