JP4533122B2 - プローブ担体、ブローブ担体製造用プローブ媒体およびプローブ担体の製造方法 - Google Patents

プローブ担体、ブローブ担体製造用プローブ媒体およびプローブ担体の製造方法 Download PDF

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本発明は、核酸などの標的物質と特異的に結合することを利用し、標的物質の検出、分離などに適用されるプローブ担体やこれを製造するためのプローブ媒体およびプローブの製造方法に関し、より詳しくは、長期保管後においても検出能を維持できるプローブ担体やこれを製造するためのプローブ媒体およびプローブの製造方法に関する。
一本鎖DNAまたはRNAが、これと相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAまたはRNAと、適当な条件下においてハイブリダイズして二本鎖を形成することを利用した核酸プローブが知られている。核酸プローブにおいては、標的物質である被検体の特定の塩基配列と、これと相補的な塩基配列を有するプローブとハイブリダイゼーションさせることにより、被検体を検出、若しくは分離し、また、塩基配列の決定、細菌などの同定を、迅速、かつ正確に行なうことができる。この核酸プローブでは、被検体の標的塩基配列とハイブリダイズする相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドや、ポリヌクレオチドなどをプローブとして用い、これらのプローブを担体に多数並べて固定したプローブ担体(プローブアレイ)が使用されている。
このようなプローブ担体は、DNAなどのハイブリダイゼーションは通常水媒体中で行われるため、通常は水媒体存在下で使用される。このため、水溶性のオリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドなどのプローブを水媒体中への溶出を抑制して担体に固定する必要がある。かかるプローブを担体に固定する方法として、一本鎖核酸プローブの場合には固相支持体においてプローブを逐次合成して固定する方法(オン・チップ法)、予め用意されたプローブをピンもしくは、スタンプなどにより基材上に付与することにより固定する方法などがある。具体的には、基体の選択された領域からアクチベーターによって保護基を除去し、除去可能な保護基を有するモノマーを前記領域に結合させることを繰返すことにより、基体上で種々の塩基配列を有するポリマーを合成する方法(例えば、特許文献1参照)や、基材及び該基材上に担持されたカルボジイミド基を有する高分子化合物よりなる固定用の材料と、カルボジイミド基との反応性を有する生物学的に活性なDNAなどを接触させることにより固定する方法(例えば、特許文献2参照)などが報告されている。また、末端部にチオール基を有するDNA断片と、該チオール基と反応して共有結合を形成し得る反応性置換基を有する鎖状分子が一方の末端で表面に固定された固相担体とを液相にて接触させることにより、該DNA断片と鎖状分子との間で共有結合を形成させることによるDNA断片の固相担体表面への固定方法(例えば、特許文献3参照)や、DNA断片と親水性ポリマーとを水性媒体に溶解あるいは分散してなる水溶液を、固相担体表面に点着することによって、DNA断片と固相担体表面との結合を安定化させること(例えば、特許文献4参照)などが報告されている。
一方、標的物質がハイブリダイズするプローブ以外のプローブ担体に非特異的に吸着することによる検出誤差を少なくするため、標的物質の非特異的吸着を抑制するプローブ担体の表面処理が行われている。このようなプローブ担体の表面処理としては、試料核酸の膜への固定後、この膜をスキムミルクとN−スクシンイミジル−3−(2−ピリジルチオ)プロピオネートとを反応させた溶液で処理する方法(例えば、特許文献5参照)や、試料核酸のニトロセルロース膜への固定後、PVA又は/及びPVPを含有する溶液に浸して処理する方法(例えば、特許文献6参照)などが報告されている。
このようなプローブ担体において、蛍光標識した標的物質(ターゲット)とプローブとをハイブリダイズさせてその蛍光強度を測定した場合、担体にプローブを固定化後、経過時間に伴い蛍光強度が低下していく現象が観察される。プローブ担体をバッファー中に保管した場合には、この蛍光強度の経時的劣化現象は緩和されるものの、数ヶ月経過後の蛍光強度はほぼ半減し、乾燥状態で保管した場合には、更に顕著に現れる。このようなプローブ担体の劣化は、プローブの種類にもよるが、一種類の要因ではなく、種々の要因が複合的に絡んで生じると考えられ、プローブ担体の作製後長期間保存すると、プローブ自体のハイブリダイゼーション機能が低下するなどにより、プローブ担体としての検出能が損なわれてしまう。核酸の寿命を延長するための保存方法に関しては、例えば、核酸の安定化及び/または単離の方法であって、核酸を含む生物学的サンプルをカチオン性化合物に接触させる方法(例えば、特許文献7)が知られている。しかしながら、プローブの寿命について言及した文献はほとんどなく、cDNAが固定されてなるcDNAチップで数週間、オリゴDNAが固定されてなるオリゴDNA担体ではさらに長期間であること(例えば、特許文献4参照)が報告されているにすぎない。医療現場で使用される遺伝子診断用オリゴDNAをプローブとしてガラス基材に固定したDNAチップなどにおいては、さらなる長寿命化が要請されている。
米国特許第51438545号明細書 特開平8−23975号公報 特開2001−178442号公報 特開2000−295990号公報 特公平06−034756号公報 特許第2794728号公報 特開2000-342259号公報
本発明の課題は、DNAなどの検出、分離に利用するプローブ担体において、標的物質との特異的に結合するプローブのハイブリダイゼーション機能などの経時に伴う劣化を抑制し、長期間保存した後でも特定の標的物質を確実に検出し、分離し、あるいは塩基配列の決定などを行なうことができる長寿命化を図ったプローブ担体や、その製造に用いるプローブ媒体や、プローブ担体の製造方法を提供することにある。
DNA断片と、ポリビニルアルコールのような保水作用のある親水性ポリマーとを溶解あるいは分散させた水性液を固相担体表面に点着させた場合、ポリマーによりプローブの乾燥を抑制することによりプローブの寿命を延長できるものの、このプローブ担体を使用して検出を行なう場合、親水性ポリマーが水に瞬時に溶解するわけでなく溶解しきらずに残ったポリマーが標的物質との結合を阻害してしまう。このため、検出を行なう際にDNAに付着しているポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーを除去するため、超音波洗浄などを行なわなければならない。本発明はプローブ担体におけるプローブの長寿命化について、水への溶解度が高い水溶性モノマーや、水溶性オリゴマーを用いてプローブを被覆し、また、これらとブローブとを水性液中に共存させることにより、長期間保存した後であっても、プローブのハイブリダイゼーション機能が損なわれず、しかも保管後、被検体の検出等を行なう際、被覆を除去するなど特別な処理を行なわずに、被検体の検出等を直ちに行なうことができるプローブ担体に関する。
すなわち、本発明は、標的物質と特異的に結合するプローブと、該プローブを担持した担体とを有するプローブ担体において、プローブが不揮発性水溶性モノマーとして、メチルグルコシドを含む被覆材で被覆されたことを特徴とするプローブ担体に関する。
また、本発明は、標的物質と特異的に結合するプローブ、該プローブ保護用の不揮発性水溶性モノマーとしてメチルグルコシド、及び水性媒体を含む1液からなることを特徴とするプローブ担体製造用プローブ媒体や、標的物質と特異的に結合するプローブ、及び水性媒体を含むプローブ液と、プローブの保護用の不揮発性水溶性モノマーとしてメチルグルコシド、及び水溶性媒体を含む被覆液との2液からなることを特徴とするプローブ担体製造用プローブ媒体に関する。
また、本発明は、本発明のプローブ担体製造用プローブ媒体を担体上に供給することを特徴とするプローブ担体の製造方法に関する。
本発明のプローブ担体は、プローブの乾燥を抑制し作製後長期間に亘って保管した後であっても、特別な処理を行わずに直ちに検出を行なうことができ、標的物質との特異的に結合する機能を安定して保持することができ、長寿命化を図ることができる。
本発明のプローブ担体は、標的物質と特異的に結合するプローブと、該プローブを担持した担体とを有するプローブ担体において、プローブが不揮発性の水溶性モノマーとしてメチルグルコシドを含む被覆材で被覆されたものであれば、特に制限されるものではない。
本発明のプローブ担体に用いられるプローブとしては、標的物質と特異的に結合するものであれば、標的物質とハイブリダイゼーションする相補的塩基配列を備えたものや糖鎖などいずれのものであってもよい。かかるプローブとしては、二本鎖、単鎖、環状及び直線状、分岐等のような形態や、塩基配列の塩基数などを問わず、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)やリボヌクレオチド核酸(RNA)や、プラスミド、ウイルス及び細菌のDNA及びRNA、動物や植物の細胞や他の真核生物のゲノム及び非ゲノムDNA及びRNA、mRNA、tRNA、hn−RNA、rRNA、cDNA、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド、ペプチド核酸などの核酸類、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、レクチン、複合タンパク質などのタンパク質等の塩基配列を有するものや、糖鎖などを挙げることができる。これらのうち、特にDNAまたは核酸断片を好ましいものとして挙げることができ、一本鎖のものが好ましい。これらのプローブは標的物質の被検体から得たものであっても、また別途合成されたものであってもよい。また、このような塩基配列を有するプローブを合成する場合、特定の担体への固着を強固にするためプローブにアミノ基、カルボキシル基、ホルミル基、メルカプト基などの官能基を導入することができる。塩基配列を有するプローブに官能基を導入するのは、例えばチオールモディファイア(Thiol−Modifier:グレンリサーチ(GlenResearch)社製)などを用いることができる。これらプローブはその用途に応じて、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のプローブ担体に用いられるプローブを担持する担体としては、上記DNAなどのプローブが水溶液へ溶出するのを抑制することができ、標的物質の検出等に支障を来たさないものであれば、その材質、形状などいずれのものであってもよい。担体の材質としては、石英、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク、クレー、アルミニウム、水酸化アルミニウム、鉄、マイカなどの無機材質を具体的に挙げることができるが、酸化チタン、亜鉛華、酸化鉄などの酸化物などであってもよい。また、標的物質の検出や材料としての汎用性を考慮すると、これらの無機材質のうちアルカリ成分などが含まれない無アルカリガラスや、石英などの材質が好ましい。このような無機物を材質とする担体においては、表面をプローブを固着可能なアミノ基などを有するシランカップリング剤で処理して用いることができる。シランカップリング剤は、プローブと結合し得るアミノ基などの官能基と、担体と結合し得る、例えば担体がガラスの場合、ガラスとシロキサン結合を形成し得るアルコキシシリル基などとを有するものが好ましく、このようなシランカップリング剤としては、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシランなどのアルコキシシラン化合物を挙げることができる。このようなシランカップリング剤を用いて担体を処理する場合は、浸漬法(ディッピング法)などによることができ、基板状担体の場合は表面にシランカップリング剤をコーティングする方法などを挙げることができる。基板状担体の表面にシランカップリング剤をコーティングする方法としては、浸漬法、スピンコート法、スプレーコート法などを挙げることができ、このうち、特にシランカップリング剤を簡便且つ均一にコーティングすることができる浸漬法が好ましく、コーティング膜を適宜加熱し、乾燥することができる。
この他、担体の材質としては、ニトロセルロース、ナイロン、ラテックスなどの有機材質など高分子化合物を利用することもできる。
かかる担体の形状は特に限定されるものではなく、プローブの種類や担体の材質などにより適宜選択することができ、メンブランフィルターや、微粒子状などであってもよいが、検出を容易に高精度で行なうことができ、プローブを容易に担持することができる基板状が好ましく、その表面が平滑であることが好ましい。基板状の担体の場合は、プローブの担持を確実にするため、プローブの担持面は洗浄面であることが好ましい。担体の表面を洗浄面とするには、水による洗浄、薬液による洗浄、プラズマによる洗浄、UVオゾンによる洗浄などいずれの方法によってもよく、このうち薬液による洗浄が簡単に確実に洗浄面とすることができるため好ましい。薬液による洗浄方法としては、担体の材質によって薬剤を適宜選択し、例えば、ガラスを材質とする担体の場合は、50℃程度に加温した1mol/l濃度の水酸化ナトリウム水溶液中でワイピングするか、あるいはシャワーリングしながらブラッシングした後、余分な水酸化ナトリウムを除去し、窒素ガスなどをブローして乾燥する方法などを挙げることができる。
かかる担体の大きさは標的物質、その検出量、適用するプローブなどにより適宜選択することができる。大きさとしては、例えば1インチ×3インチなどとすることができる。
本発明のプローブ担体に用いられるプローブは、不揮発性の水溶性モノマーとして、メチルグルコシドを含む被覆材で被覆されたものである。かかるプローブの被覆材としては、不揮発性の水溶性モノマーとして、メチルグルコシドを含むものであればいずれのものであってもよい。上記プローブに用いるプローブの被覆材としてメチルグルコシドに加えて、不揮発性の水溶性モノマーを使用してもよく、不揮発性の水溶性モノマーとして、保湿性を有し、プローブの乾燥を抑制しその劣化を抑制できるものであればいずれのものであってもよいが、プローブの使用時に、被覆材を剥離する工程を設けずに、被覆材が水性媒体に容易に溶解し、プローブ表面から除去されるものが好ましい。また、その効果を持続させるため、プローブ担体の保存あるいは流通の状態に於いて流動性がなく、気化しないすなわち不揮発性である必要がある。かかる水溶性モノマーとしては、テトロース、ペントース、ヘキソース、ヘプトースなど糖骨格の炭素数が4〜7の単糖などが挙げられ、また鎖状、環状いずれのものであってもよい。さらにその水酸基が、例えば、メトキシ基(-OCH3)、エトキシ基(-O-CH2-CH3)、ヒドロキシメトキシ基(-O-CH2-OH)などの保護基で保護されていてもよい。特に、酸化などの影響を避けること、これら糖由来のアルデヒドがプローブあるいは担体と反応をすることを予防するため、アノマー位をグリコシド化することが好ましく、その他の保護基を導入したものであってもよい。さらには、より安定なケトースとすることもできる。また、塩基または酸性基を有する、例えばグルコサミンや、シアル酸などまたはそれらの塩は、少なからず緩衝能を有するため好ましい。これらのうちで、特にヘキソースや、そのグリコシドを好ましいものとして挙げることができる。しかし、プローブもしくは標的物質が糖鎖の場合には、これら糖あるいはその類縁体のうち適用可能なものを適宜選択して使用することができる。
また、上記不揮発性の水溶性モノマーとして、サイクリトール類、例えば、骨格の炭素数が4〜8などのサイクリトール類を挙げることができ、その水酸基が、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などのアルコキシ基や、前記アルコキシ基の水素原子がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルコキシ基で置換されていてもよく、具体的にはmyo−イノシトールなどを挙げることができる。しかしこれらサイクリトール類は糖と似た構造を有していることから、プローブあるいは標的物質として糖鎖を用いる場合には、適用可能なものを適宜選択して使用することができる。
更に、本発明の被覆材にメチルグルコシドに加えて含まれていてもよい不揮発性の水溶性オリゴマーとしては、重合数2〜10の多糖であることが好ましく、多糖の単位としての単糖は、鎖状、環状を問わず、炭素数もいずれであってもよいが、上述の単糖などを具体的に挙げることができる。また、その水酸基が、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などのアルコキシ基や、前記アルコキシ基の水素原子がヒドロキシ基で置換されたヒドロキシアルコキシ基などで置換されていてもよい。水溶性オリゴマーとしては具体的には、スクロースなどを例示することができる。しかしプローブあるいは標的物質に糖鎖を用いる場合、適用可能なものを適宜選択して使用することができる。
また、上記水溶性オリゴマーとしては、式(1)、(2)または(3)
-[CH2-CH(CONH2)-]n- (1)
-[CH2-CH2-O]n- (2)
-[CH2-CH(OH)-]n- (3)
で表されるオリゴマーを具体的に例示することができる。式(1)〜(3)中、nは10〜200のいずれかの整数を示す。
上記被覆材は、これら不揮発性水溶性モノマーやオリゴマーの1種または2種以上を含有する他、これらの機能を害さない範囲で、例えば、安定剤などなど他の水溶性物質を含んでいてもよい。
上記本発明のプローブ担体の製造は、プローブを予め担体に固定し、その後プローブに被覆材を被覆する方法や、プローブとその被覆材の不揮発性の水溶性モノマー、不揮発性の水溶性オリゴマーなどを含む液を調製し、この液をスポッティングなどにより担体上に供給し、プローブの担体への固定と被覆材による被覆を同時に行なう方法などによることができる。
前者の方法においては、プローブ及び水性媒体を含むプローブ液と、プローブの保護用のメチルグルコシド及び水性媒体を含む被覆液との2液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体を調製する方法を挙げることができる。プローブ液は、プローブやその固定方法によっても異なるが、上記プローブを、水性媒体に0.05〜50000μmol/l、より好ましくは5〜500μmol/lの濃度となるように溶解、分散して調製することができる。水性媒体としては、水を含むものであり、エチレングリコール、チオジグリコール、グリセリン、イソプロピルアルコールアセチレンアルコールなどの有機溶媒を含むものであってもよい。また、被覆液は、メチルグルコシドに加えて上記の不揮発性の水溶性モノマー不揮発性の水溶性オリゴマーから選ばれる1種以上を、水性媒体に所定の濃度となるように溶解、分散して調製することができる。使用する水性媒体としては、水の他、アルコールなどとの混合溶媒を挙げることができる。被覆液の水溶性モノマーや水溶性オリゴマーの濃度は、メチルグルコシドの場合は、0.001〜1重量%とすることができ、好ましくは0.01〜0.2重量%である。このような被覆液には、メチルグルコシドの作用を阻害しない範囲で安定剤などを添加することができる。
このように調製したプローブ液を担体に供給し、プローブの官能基を担体の塩基性基などと結合させプローブを担体に固定する。プローブ液の担体への供給方法としては、プローブの種類や担体の材質などにより公知の方法を選択して使用することができる。担体が粒子状、フィルター状などの場合は、浸漬などの方法を使用することができ、担体が基板状などの場合は、塗布、浸漬などの方法により担体表面に均一に塗布する方法や、上述の方法など、オン・チップ法、インクジェット法、ピン法など公知の方法により担体上にスポッティングする方法を使用することができる。インクジェット法としては、加熱してプローブ液を吐出させる機構を備えるバブルジェットヘッド、圧電素子を用いてプローブ液を吐出させるピエゾジェットヘッドを用いることができる。このとき使用するプローブ液としては、ヘッドから吐出させたときにプローブに実質的に影響を与えず、正確に一定量を吐出させることができ、例えば、担体上にスポッティングしたとき、スポットの形状が円形となり、吐出された範囲が拡大することがない溶媒または分散媒を使用することが好ましい。このようなスポッティングにより形成されるスポットとしては、一つの担体上に、例えば同じプローブを含む複数のスポットを有するように構成してもよく、2種以上のプローブを用いる場合は、異種のプローブを各々種別毎に含む複数のスポットを有するように構成してもよい。スポットにおけるプローブの種類、数量、配置は必要に応じて適宜変更することができる。
また、プローブと担体とを固定するには、基体の選択された領域からアクチベーターによって保護基を除去し、除去可能な保護基を有するモノマーを前記領域に結合させることを繰返すことにより、基体上で種々の配列を有するポリマーを合成する方法によることができる。また、基材及び該基材上に担持されたカルボジイミド基を有する高分子化合物よりなる固定用の材料と、カルボジイミド基と反応性を有する生物学的に活性な物質を接触させることにより固定する方法や、末端部にチオール基を有するDNA断片と、該チオール基と反応して共有結合を形成し得る反応性置換基を有する鎖状分子が一方の末端で表面に固定された固相担体とを液相にて接触させることにより、該DNA断片と鎖状分子との間で共有結合を形成させることによるDNA断片を固相担体表面に固定する方法などを挙げることができる。このようなプローブと担体との固定方法としては、プローブ液を担体へ供給後、放置、あるいは必要に応じて加熱し、プローブと担体の塩基性基などの官能基との結合を促進させる方法などによることができる。プローブと担体の結合に要する時間は、プローブや担体の種類により異なり、例えば、メルカプト基を導入した一本鎖DNAプローブのマレイミド基を導入したガラス製担体への結合の場合、プローブ液のスポッティング後1分以内などとすることができる。
プローブが担体に固定された後、担体に過剰に供給され、担体に固定されていないプローブを除去することが好ましい。過剰のプローブの除去は、プローブが担体に完全に固定された後、例えば、10分〜30分経過後、担体を水に浸漬するなどにより行なうことが好ましく、上記メルカプト基を導入した一本鎖DNAプローブの場合、プローブ液のスポッティング後10分以上放置した後に行なうことが好ましい。
このようにして担体上に固定されたプローブに被覆材を被覆する方法としては、上記調製した被覆液にプローブが固定された担体を浸漬する浸漬法、担体が基板状の場合はスピンコート法、ディップ法、ロールコート法、スプレーコート法、その他蒸着などの方法を挙げることができるが、一度に多くの処理が可能な浸漬法が好ましい。
また、2液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体を用いてプローブ担体を製造するには、プローブを含む液と、メチルグルコシドを含む被覆液とをそれぞれ別途の容器に収納し、プローブを担体に固定する際、担体上で混合してもよい。担体上でこれらの液を混合する際、必要に応じて水などの媒体を適宜添加、混合することもできる。
また、本発明のプローブ担体を製造する後者の方法として、プローブ、プローブの保護用のメチルグルコシド、及び水性媒体を含む1液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体を調製する方法を挙げることができる。1液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体は、水性媒体に直接プローブと、メチルグルコシドを添加して調製することもできるが、メチルグルコシドを溶解・分散した液と、プローブを溶解・分散した液をそれぞれ調製し、両者を混合して調製することができる。かかるメチルグルコシドの溶解・分散液を調製するには、媒体として水や、エタノール、その他ジメチルスルホキシド(DMSO)などの有機媒体を用いることができるが、溶解性を考慮した場合には、水、エタノールを使用することが好ましい。メチルグルコシドの溶解・分散液を調製するには、メチルグルコシドを水に添加し混合した後、適宜必要に応じて媒体を添加することができる。メチルグルコシドを水に添加したとき、加温することにより不溶解物を早く溶解させることができる。メチルグルコシドの溶解・分散液は、プローブと混合したときのプローブ安定性を考慮して、pH6.0〜pH9.0、好ましくはpH7.0〜pH8.0に調整し、メチルグルコシドの溶解・分散液中に不溶解物が存在しないように濾過することが好ましい。かかるメチルグルコシドの溶解・分散液におけるメチルグルコシドの濃度は、例えば0.5〜5重量%などとすることができる。
また、上記プローブの溶解・分散液を調製するには、媒体としては水を含むものが好ましく、水の他、エチレングリコール、チオジグリコール、グリセリン、イソプロピルアルコール、アセチレンアルコールなどの有機溶媒を用いることができる。プローブの種類などに応じて、これらの溶媒を選択して混合した混合溶媒としてもよく、例えば、水67〜94.5重量%、チオジグリコール0.1〜3重量%、イソプロピルアルコール5〜30重量%を含有する媒体を挙げることができ、より好適な媒体としては、水77.5〜89重量%、チオジグリコール1〜2.5重量%、イソプロピルアルコール10〜20重量%を含有する媒体である。プローブの溶解・分散液におけるプローブの濃度として、例えば、プローブに一本鎖核酸プローブを用いた場合、メチルグルコシドの溶解・分散液とを混合してプローブ担体製造用プローブ媒体としたときのプローブ媒体中に含まれるプローブの濃度が、プローブの安定性を考慮して、例えば2mer〜500merのプローブ、好ましくは2mer〜80merのプローブが、0.05〜500μmol/lとなるように調整することが好ましく、より好ましくは0.5〜50μmol/lに調整する。
かかるプローブの溶解・分散液には他の物質を含有していてもよく、かかる物質としては、プローブ安定剤、緩衝剤などを挙げることができ、特に、プローブを担体上に効率よく固定するためにプローブ固定物質を好ましいものとして挙げることができる。プローブ固定物質としては、プライマー、カップリング剤、シーラント、表面処理剤、表面改質剤、カップリング剤と二価性試薬などの架橋剤の結合物質などが挙げられる。これらのプローブ固定物質は、プローブ官能基と結合し得る官能基と、担体と結合し得る官能基を有するものが好ましい。プローブ官能基と結合し得る官能基としてはエポキシ(CHOCH2)基、アミノ(NH2)基、メルカプト(SH)基、マレイミド基、クロロプロピル(C36Cl)基、イソシアネート(NCO)基などを挙げることができる。例えば、プローブ官能基がアミノ(NH2)基、カルボキシル(COOH)基、メルカプト(SH)基などの場合、プローブ固定物質が有する官能基としてそれぞれエポキシ基、アミノ基、マレイミド基などの組み合わせが好ましい。また、かかるプローブ固定物質における担体がガラスの場合、担体と結合し得る官能基としては、アルコキシシリル(SiOR)基、シラノール(SiOH)基、アルコキシ(OR)基などを挙げることができ、これらのうち、担体に容易に固定されるアルコキシシリル基、シラノール基が好ましく、シラノール基はアルコキシシリル基の加水分解により形成されるものであってもよい。これらのプローブ固定物質はプローブ媒体に供給され、また、プローブ媒体が担体に供給されたとき、プローブや、担体と結合反応を生じるものであってもよく、かかる結合は官能基間での化学反応による共有結合であることが好ましい。プローブ担体製造用プローブ媒体中に含まれるプローブ固定物質の量としては、プローブの担体への固定性を考慮すると、例えば0.05〜50000μmol/l、より好ましくは10〜500μmol/lの濃度となるように調整することが好ましい。
このように調製されたプローブの溶解・分散液と、メチルグルコシドの溶解・分散液を混合しプローブ担体製造用プローブ媒体を調製することができる。プローブの溶解・分散液と、メチルグルコシドの溶解・分散液との混合によるプローブ担体製造用プローブ媒体の調製においては、特に制約を受けるものではないが、プローブの溶解・分散液に、メチルグルコシドの溶解・分散液を混合するのは、他の溶質、溶媒を添加した最後に添加・混合するのが好ましい。プローブ担体製造用プローブ媒体においてメチルグルコシドの濃度が、例えば0.01〜0.2重量%となるように、メチルグルコシドの溶解・分散液を秤量して添加することができる。
上記のように調製された1液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体は、長期保存して、例えば壜などに保存後、そのまま標的物質の検出等に用いることもできるが、担体上に均一に供給し、またはスポッティングなどの方法により点着して供給し、プローブ担体製造用プローブ媒体に含有されるプローブを担体に固定すると同時にプローブ上に被覆材の被膜を形成することができる。1液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体の担体への供給方法、プローブの担体への固定方法は、上述の2液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体におけるプローブ液の担体への供給方法、プローブの担体への固定方法と同様の方法によることができる。使用する担体も上述の担体を用いることができ、担体として、例えば、ガラス、石英材質など、好ましくはアルカリ成分が含まれない無アルカリ材質などのスライドガラス基板であって平滑表面を有するものなどを好適に使用することができる。また、担体表面の洗浄も上記と同様の方法により行なうことができる。
このように1液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体または2液からなるプローブ担体製造用プローブ媒体を用いて、担体に固定されたプローブを被覆して形成された保護用メチルグルコシドを含む被膜から媒体が蒸発等することにより、メチルグルコシドの皮膜状となってプローブが被覆材により被覆される。保管期間中プローブの乾燥を抑制し、乾燥によりプローブの機能が損なわれることがなく、しかも、親水性ポリマーなどによりプローブを被覆したものとは異なり、保存後検出に先立って被覆の除去などの操作を行なわずに、被覆材により被覆された状態のプロ−ブ担体をそのまま標的物質の検出等に使用することができる。
また、本発明のプローブ担体は、標的物質の検出等を行なう前に、検出精度(S/N比)の向上を図ることを目的として、標的物質が担体への非特異的な結合を抑制するため、必要に応じて担体のブロッキング処理を行なうことができる。担体のブロッキング処理により、標的物質がプローブ以外の部分に付着することによるノイズを除去し、検出精度(S/N比)の向上を図ることができる。ブロッキング処理は、担体を、例えば、1〜2%ウシ血清アルブミン水溶液中に、2時間程度浸すことにより行なうことができる。このブロッキング処理は、担体の材質、表面の状態、使用する特定のプローブなど種々の条件により、処理時間等変更して行なうことができ、スポット状に配置されたプローブに、標的物質がスポッティングにより供給される場合や、特定のプローブなどを用いる場合などブロッキング処理は省略することができる。
このようなプローブ担体により検出を行なうことができる標的物質としては、特に限定されるものではなく、二本鎖、単鎖、環状及び直線状、分岐等のような形態や、塩基配列の塩基数などを問わず、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)やリボヌクレオチド核酸(RNA)や、プラスミド、ウイルス及び細菌のDNA及びRNA、動物や植物の細胞や他の真核生物のゲノム及び非ゲノムDNA及びRNA、mRNA、tRNA、hn−RNA、rRNA、cDNA、単量のヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチドなどの核酸、酵素、ホルモン、フェロモン、抗体、抗原、ハプテン、ペプチド、レクチン、複合タンパク質などであってもよいタンパク質等における塩基配列を挙げることができ、これらのうち、特にDNAにおける塩基配列が標的として好ましい。また、塩基配列に限定されず糖鎖などであってもよい。
本発明のプローブ担体を用いた検出方法を以下に説明する。
本発明のプローブ担体を用いて既知の特定の塩基配列を有する標的物質の一本鎖核酸の有無または含有量の検出を行なう場合、標的物質の一本鎖核酸の特定の塩基配列に対して相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸をプローブとして用い、このプローブを含む複数のスポットを担体上に配置したプローブ担体を用意する。プローブ担体の各スポットに、標的物質の一本鎖核酸を水などの溶媒に溶解、分散させたサンプルを所定量供給し、標的物質の一本鎖核酸とプローブとをハイブリダイゼーションをする条件下に置く。ハイブリダイゼーションの条件としては、例えば、室温〜70℃の温度範囲で、そして2〜20時間の範囲で実施することが好ましい。ハイブリダイゼーション終了後、界面活性剤と緩衝液との混合溶液を用いて洗浄を行ない、未反応の核酸断片を含むサンプルを除去することが好ましい。洗浄に使用する界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を挙げることができ、緩衝液としては、クエン酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝液、グッド緩衝液等を挙げることができ、このうちクエン酸緩衝液が好ましい。また、ハイブリダイゼーション完了後、各スポットにおけるハイブリッドの有無やその量を、例えば蛍光、電波、磁力等を適用した既知の方法で測定し、サンプル中における標的物質の有無や、その含有量を検出することができる。
また、本発明のプローブ担体を用いて標的物質の一本鎖核酸の塩基配列の特定を行なう場合、標的物質の一本鎖核酸における塩基配列の複数の候補を設定し、候補として設定した塩基配列群に対して各々相補的な塩基配列を有する一本鎖核酸を塩基配列プローブとして用い、このプローブを含む複数のスポットを担体上に配置したプローブ担体を用意する。プローブの各スポットに、標的物質の一本鎖核酸を溶媒に溶解、分散させたサンプルを所定量供給し、標的物質の一本鎖核酸とプローブとがハイブリダイズする条件下に置く。標的物質としてDNAチップを適用した場合、標識した核酸断片の使用量が非常に少ないため、プローブの担体に固定するDNA断片の鎖長や標識した標的物質の核酸断片の種類により、ハイブリダーゼーションの最適条件を設定する必要がある。遺伝子発現の解析には、低発現の遺伝子も十分に検出できるように、長時間のハイブリダイゼーションを行なうことが好ましい。1塩基ミスマッチ(1塩基変異)の検出には、短時間のハイブリダイゼーションを行なうことが好ましい。また、互いに異なる蛍光物質によって標識した標的物質の核酸断片を2種類用意し、これらを同時にハイブリダイゼーションに用いることにより、同一のDNAチップ上で発現量の比較や定量ができる。ハイブリダイゼーション終了後の洗浄、測定、検出などは上記と同様に行ない、標的物質である一本鎖核酸の塩基配列の特定を行なうことができる。
このような塩基配列の検出用として、本発明のプローブ担体はDNAチップに好適に適用することができる。DNAチップはガラス基板上に多種類のDNA断片や合成オリゴヌクレオチドなどを担持した物であり、多種の遺伝子の発現、特定の遺伝子がゲノムに存在するか、また、変異などの検出を一度で行なうことができる。
本発明のプローブ担体は、この他、例えばDNA結合タンパク質が認識する特異的な塩基配列のスクリーニングやDNAに結合する性質を有する化学物質のスクリーニングに適用することができる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
[実施例2、参考例1、3〜5、比較例1]
(1)プローブの調製および蛍光標識したターゲット(標的物質)の調製
プローブの調製
DNA自動合成機(チオールモディファイア(Thiol−Modifier)(グレンリサーチ(GlenResearch)社製)を用い、末端にメルカプト(SH)基を導入した配列番号1の一本鎖DNAを調製した。通常の脱保護を行ない、DNAを回収し、高速液体クロマトグラフィーにて精製し、プローブとした。
配列番号:1
5'HS-(CH2)6-O-PO2-O-ACTGGCCGTCGTTTTACA3'
2)標的物質(ターゲット)の調製
DNA自動合成機を用いて、配列番号1の一本鎖DNAと相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを合成し、5'末端にCy3を結合させて蛍光物質で標識化し、ターゲットとした。この蛍光物質で標識したターゲットを1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)に最終濃度5nMとなるように溶解し、サンプル液を調製した。
(2)プローブの担体への固定
1)担体の洗浄
担体として、1インチ×3インチ角の合成石英ガラス基板を用い、この支持体について純水ブラシ洗浄、純水リンス、アルカリ性洗剤超音波洗浄、純水リンス、純水超音波洗浄、純水リンス、窒素ブロー乾燥を順次行ない、清浄面を有する石英ガラス基板を用意した。
2)表面処理
アミノシランカップリング剤(商品名:KBM−603:信越化学工業(株)社製)を1wt%になるように水に溶解し、30分間撹拌してメトキシ基を加水分解させた水溶液に、上記洗浄を行った石英ガラス基板を30分間浸漬した後、純水で洗浄し、120℃のオーブン中で1時間加熱し、アミノ基を導入した石英ガラス基板を得た。次いで、N−マレイミドカプロイロキシスクシンイミド(Dojin社製)(以下、EMCSと略す。)2.7mgを秤量し、ジメチルスルホキシド(DMSO)/エタノールの1:1溶液に最終濃度が0.3mg/mlとなるように溶解し、EMCS溶液を調製した。このEMCS溶液にアミノ基を導入した石英ガラス基板を室温で2時間浸漬した後、DMSO/エタノール混合溶液、エタノールで順次洗浄し、窒素雰囲気下で乾燥させ、アミノ基を導入した石英ガラス基板にマレイミド基を導入し、表面処理石英ガラス基板を得た。
3)プローブ固定
上記(1)で調製した一本鎖DNA(配列番号:1)をグリセリン7.5wt%、尿素7.5wt%、チオジグリコール7.5wt%、アセチレンアルコール(商品名:アセチレノールE100:川研ファインケミカル(株)社製)1.0wt%を含む水溶液に、0.6ODになるよう溶解しプローブ溶液を調製した。なお、オリゴヌクレオチドを1mlに溶解し、1cmの光路長のセルにおいて260nmの吸光度が1となる量が1ODである。このプローブ溶液を、平板への印刷が可能なように改造を施したバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)のインクタンクに充填し、このインクタンクをプリンターヘッドに装着した。次いでこのプリンターに上記表面処理を行ったガラス基板を装着し、プローブ溶液をガラス基板上にスポッティングした。ここでプリンターヘッドの液体吐出面とガラス基板の液体付着面との距離は1.2〜1.5mmであった。スポッティング後、基板を30分間、恒温恒湿チャンバー内に静置して、基板表面のマレイミド基と一本鎖DNA末端のメルカプト基とを反応させた。次いで、1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)で洗浄し、純水で軽く洗浄した後、窒素ブロー乾燥してプローブ担体を得た。
(3)担体への被覆材の成形
水溶性モノマー、水溶性オリゴマーとして、表1記載の物質を使用した。
表1記載の物質5種類各0.5gを純水に溶解させ50mlとし、各溶液をスピンコート法(回転数:4000rpm、回転時間:5秒)により上記プローブを固定した担体へコーティングした。
比較例として、被覆材を設けない他は、実施例と同様に行った。
Figure 0004533122
(4)保管
上記(3)で得られたプローブ担体を室温環境(温度25±2℃、湿度50±10%RH)下、梱包しない状態で1ヶ月保管した。
(5)ハイブリダイゼーションおよび蛍光強度測定
保管前後においてハイブリダイゼーションを行ない、蛍光強度を測定した。
プローブを固定した担体に被覆材を被覆した直後、ハイブリダイゼーションを行なう前に、プローブ担体に付与した水溶性モノマー、水溶性オリゴマーの被覆を溶解・除去するために、プローブ担体を1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)に1時間浸漬した後、純水で洗浄した。また、この操作を行わないものも用意した。上記(1)で調製した標的物質のサンプル液にプローブ担体を45℃で2時間浸漬し、ハイブリダイゼーションを行った。その後、プローブ担体を1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)を用いてハイブリダイズしなかったサンプルのDNAを除去し、純水を用いて塩分の除去を行ない、窒素ブローにて乾燥させた。蛍光スキャナー(商品名:GenePix4000B:Axon Instruments , Inc.製)を用いて、波長532nmにおけるプローブ担体のスポットの蛍光強度を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004533122
以上の結果から、ハイブリダイゼーション前に行った被覆材の除去は不要であることがわかった。
保管後は、ハイブリダイゼーション前に行った被覆材の除去は行なわず、プローブ担体におけるハイブリダイゼーションを同様に行ない、蛍光強度を測定した。結果を表3に示す。保管後、ハイブリダイゼーション機能の低下が抑制され、寿命を延長することができることがわかった。
Figure 0004533122
[実施例6]
(1)プローブの調製
DNA自動合成機(チオールモディファイア(Thiol−Modifier)(グレンリサーチ(GlenResearch)社製)を用い、5'末端の水酸基にリン酸基とヘキサメチレンを介してアミノ基を結合した18量体のオリゴマー(配列番号2)の一本鎖DNAを合成し、塩基配列プローブとした。
配列番号:2
5'H2N-(CH2)6-O-PO2-O-ACTGGCCGTCGTTTTACA3'
(2)α−D−メチルグルコシド溶液の調製
水溶性モノマーあるいは水溶性オリゴマーとして、α−D−メチルグルコシドを選択し、1.0gを純水に溶解させ50mlとなるように溶解した。
(3)プローブ媒体の調製
上記(1)で調製した配列番号2の一本鎖DNAプローブを最終濃度が約40μmol/lとなるようにTE溶液(10mM Tris−HCl(pH8)/1mM エチレンジアミン4酢酸(EDTA)水溶液)に溶解し、一本鎖DNAプローブ溶液を調製した。ついで、プローブ固定物質としてエポキシ基を有するシラン化合物(γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を含むシランカップリング剤(商品名:KBM−403;信越化学工業(株)社製)の500μmol/l水溶液を室温下で30分間攪拌することによりプローブ固定物質溶液を得た。得られたプローブ固定物質溶液100μlを上記一本鎖DNAプローブ溶液100μlに滴下した後、5分間攪拌した。この溶液を10分間放置した後、純水を700μl、(2)で調整したα−D−メチルグルコシド溶液を100μl滴下し、5分間攪拌した後、30分間放置しプローブ媒体を調製した。
比較例として、α−D−メチルグルコシド溶液の代わりにイソプロパノールを用いた他は同様にプローブ媒体を調製した。
(4)プローブの担体への固定
1)担体の洗浄
担体として、1インチ×3インチ角の合成石英ガラス基板を用い、この担体について純水ブラシ洗浄、純水リンス、アルカリ性洗剤超音波洗浄、純水リンス、純水超音波洗浄、純水リンス、窒素ブロー乾燥を順次行ない、清浄面を有する石英ガラス基板を用意した。
2)プローブ固定
上記(3)で調製したプローブ媒体を、平板への印刷が可能なように改造を施したバブルジェット(登録商標)プリンター(商品名:BJF850;キヤノン(株)社製)のインクタンクに充填し、このインクタンクをプリンターヘッドに装着した。次いでこのプリンターに上記表面処理を行ったガラス基板を装着し、プローブ媒体をガラス基板上にスポッティングした。ここでプリンターヘッドの液体吐出面とガラス基板の液体付着面との距離は1.0〜1.2mmであった。スポッティング後、ガラス基板をデシケーター内に静置し、プローブ担体を作製した。
(5)保管
上記(4)で作製したプローブ担体をデシケーター中で、温度25℃、湿度20%以下に調整し、1ヶ月保管した。
(6)ハイブリダイゼーションおよび蛍光強度測定
DNA自動合成機を用いて、上記(1)の配列番号2の一本鎖DNAと相補的な塩基配列を有する一本鎖DNAを合成し、5’末端にローダミンを結合させて標識化し、ターゲットとした。この蛍光物質で標識したターゲットを1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)に最終濃度1μMとなるように溶解し、サンプル液を調製した。
このサンプル液に、上記(5)で保管したプローブ担体を45℃で2時間浸漬し、ハイブリダイゼーションを行った。その後、プローブ担体を1M−NaCl/50mMリン酸緩衝溶液(pH7.0)で洗浄し、ハイブリダイズしなかったサンプルのDNAを除去し、次いで純水を用いて余分な塩分を除去した後、窒素ブローにて乾燥した。レーザーパワーを100%、PMTを400Vに設定した蛍光スキャナー(商品名:GenePix4000B:Axon Instruments , Inc.製)を用いて、波長532nmにおけるプローブのスポットの蛍光強度を測定した。
(7)結果
上記(6)の蛍光強度は、α−D−メチルグルコシド含有のプローブ媒体を使用した場合、8235であり、α−D−メチルグルコシドを含まないイソプロパノール含有のプローブ媒体を使用した場合、4019であった。結果から、プローブ媒体にα−D−メチルグルコシドを含有させたことにより、保管後、ハイブリダイゼーション機能の低下が抑制され、寿命を延長することができることがわかった。

Claims (7)

  1. 標的物質と特異的に結合するプローブと、該プローブを担持した担体とを有するプローブ担体において、プローブが不揮発性水溶性モノマーとして、メチルグルコシドを含む被覆材で被覆されたことを特徴とするプローブ担体。
  2. プローブがDNAまたは核酸断片であることを特徴とする請求項1記載のプローブ担体。
  3. DNAチップであることを特徴とする請求項1記載のプローブ担体。
  4. 標的物質と特異的に結合するプローブ、該プローブの保護用の不揮発性水溶性モノマーとしてメチルグルコシド、及び水性媒体を含む1液からなることを特徴とするプローブ担体製造用プローブ媒体。
  5. 標的物質と特異的に結合するプローブ及び水性媒体を含むプローブ液と、プローブの保護用の不揮発性水溶性モノマーとしてメチルグルコシド、及び水性媒体を含む被覆液との2液からなることを特徴とするプローブ担体製造用プローブ媒体。
  6. プローブが、DNAまたは核酸断片であることを特徴とする請求項4又は5に記載のプローブ担体製造用プローブ媒体。
  7. 請求項4から6のいずれかに記載のプローブ担体製造用プローブ媒体を担体上に供給することを特徴とするプローブ担体の製造方法。
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