JP2007075881A - 自動車部品の製造法及び溶接ブランク材 - Google Patents

自動車部品の製造法及び溶接ブランク材 Download PDF

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Abstract

【課題】 製造コストが安価なスポット溶接を用い、高生産性、さらには成形性確保のために切り欠き部導入等の特別の成形対策や制約を必要とせずに接合ブランク材の成形性を確保でき、これにより、安定して自動車部品用のテーラードブランク材を低コストで製造する。
【解決手段】 複数の板材の重ね合わせ部にスポット溶接を行って溶接ブランク材とした後にこの溶接ブランク材にプレス加工を行うことにより、伸びフランジ部又は縮みフランジ部の一方又は双方を有するテーラードブランクからなる自動車部品を製造する方法である。スポット溶接は、重ね合わせ部のうち伸びフランジ部又は縮みフランジ部の一方又は双方となる領域を除いた領域に行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は、自動車部品の製造法及び溶接ブランク材に関する。
これまで、自動車車体の製造に際して、例えば自動車車体のボディサイドを構成するサイドフレームインナ等のパネル材は、一枚のブランク材(素材)を所定の形状にプレス成形することにより得られる一枚板ブランク材により構成されてきた。近年、製造コストの削減や衝突安全性のいっそうの向上を目的とした高強度化を図るため、このサイドフレームインナ等のパネル材を、板厚や材質等が異なる複数枚のブランク材(素材)の縁部を重ね合わせて溶接された溶接ブランク材を所定の製品形状にプレス成形する(TWB成形)ことにより得られるテーラードブランク材(「差厚鋼板」又は「差厚ブランク材」ともいう)により構成するための研究や実車への適用が、盛んに行われている。図1には、サイドフレームインナ1の全体形状の一例を示す。
このテーラードブランク材に関して、ブランク材同士の重ね合わせ部を、レーザ溶接やシーム溶接等によって連続的に溶接する発明や、スポット溶接等によって断続的に溶接する発明が知られている。
連続的に溶接して溶接ブランク材を製造する発明として、特許文献1にはプレス成形に先立って複数のブランク材をレーザ溶接により突き合わせ溶接する発明が開示され、また特許文献2にはレーザ溶接の際に要求される高精度の突き合わせ条件を緩和するために突き合わせ要求精度が比較的緩いスポット溶接を併用する発明が開示されている。
これらの発明によって製造されるテーラードブランク材は、長い連続溶接部が形成されて接合部長(周長)を長く確保できるため、高い接合強度を得られる。このため、溶接後に、成形時の応力バランスによって成形の可否が決定される深絞り加工といった難加工を行われる場合にも、接合部付近に破断等の成形不良が発生し難い。このため、これまで、難加工を行われて製造されるテーラードブランク材の素材であるブランク材の重ね合わせ部は、主にレーザ溶接等によって溶接されてきた。
しかし、これらの発明を行うには専用のレーザ接合設備が不可欠であるとともに、製造工程にレーザ接合設備が配置されていない場合には高価なレーザ接合設備を新たに導入しなければならず、製造コストが上昇する。また、良好な溶接品質を安定して確保するには、特許文献2にも開示されるようにブランク材の突き合わせ条件(端面の形状等)を極めて高精度に管理する必要もある。このため、ブランク材の重ね合わせ部をレーザ溶接等によって溶接することは、テーラードブランク材の自動車用部品への適用の拡大を、製造コスト及び溶接品質の両面で阻害する原因の一つになっている。
一方、ブランク材同士の重ね合わせ部をスポット溶接等によって断続的に溶接する発明によると、製造コストの上昇を抑制することは確かに可能であるものの、接合部長が短いために接合部の強度を十分に確保できず、その後にプレス加工を行うと接合部付近にき裂が発生するという問題がある。
そこで、特許文献3には、スポット溶接しようとする2枚のブランク材のうちプレス加工によりき裂が発生し易いと考えられるものに、ひずみ許容量が大きいほうのブランク材、すなわち成形性が良好なブランク材を配置して、スポット溶接を行うことによりプレス加工の際のき裂を回避する発明が、開示されている。
この発明によれば、確かにき裂の発生を回避することが期待されるものの、本来車体性能の向上の観点から設計・決定されるべきブランク材の選択や組み合わせを、き裂の発生防止といういわば製造上の都合によって制限することになりかねず、現実の実施では適用部位に大きく制約を受ける。
さらに、特許文献4には、溶接ブランク材をサイドパネルにプレス成形する際に発生する伸びフランジ変形に起因した破断を回避するために、溶接ブランク材の所定の位置に切欠き部を設ける発明が開示されている。図2は、サイドフレームインナ1における伸びフランジ部2及び縮みフランジ部3の発生位置を例示する説明図である。
特許文献4にはブランク材の接合方法は明記されてはいないが、添付された図面等に基づくとレーザ溶接等の連続溶接を用いると判断される。このため、この発明によっても、特許文献1、2により開示された発明と同様に、製造コストが嵩む。また、この発明を実施するには、溶接ブランク材の所定の位置に切欠き部を設けるための専用の金型も必要になり、この面からも製造コストの上昇は否めない。
特開昭59−220229号公報 特開平8−243770号公報 特開平4−224082号公報 特開2000−312970号公報
このように、特許文献1〜4により開示された発明に基づいても、ブランク材の選択や組み合わせを制限することなく、専用設備を用いる必要があるといった生産上の制約もなく、安価に、さらには例えば深絞り加工といった難加工を行われても接合部付近にき裂等の成形不良を生じることなく、自動車部品用の溶接ブランク材を製造することは、できなかった。
このため、自動車部品へのテーラードブランク材の適用をさらに推進することによって自動車車体のコストの低減や衝突安全性の一層の向上を図ることは、難しかった。
上述したように、レーザ溶接により自動車部品用のテーラードブランク材を製造するには製造コストの低減や、高精度な突き合わせ条件の緩和等の製造性向上等が求められ、スポット溶接によりテーラードブランク材を製造するには難成形加工に耐えることができるブランク材接合条件及び成形条件が求められる。そこで、本発明者らはスポット溶接によりテーラードブランク材を製造するためのブランク材接合条件及び成形条件に着目して鋭意検討を行った結果、
(i)素材であるブランク材にプレス加工を行ってサイドフレームインナを製造すると、サイドフレームインナに局所的に、例えば文献「プレス成形難易ハンドブック 第2版」(中川威雄監修、薄鋼板成形技術会編、1997、423〜424頁)により解説されている伸びフランジ変形及び縮みフランジ変形を生じ、伸びフランジ変形及び縮みフランジ変形は、いずれも、プレス成形性に大きく影響すること、
(ii)具体的には、一枚のブランク材からなるサイドフレームインナの伸びフランジ部の伸び歪みが0.05超である部分や、縮みフランジ部の圧縮歪みが0.10超である部分には、割れやき裂等の成形不良が発生すること、
(iii)ブランク材の重ね合わせ部のうち、一枚のブランク材からなるサイドフレームインナにおける、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域に相当する範囲には、プレス加工前にはスポット溶接を行わないことにより、拘束点となる接合位置を設けずにプレス成形を行うことによって、プレス成形時には、それぞれのブランク材を互いにずれあいながら自由に変形させることができ、これにより、伸びフランジ変形度、及び縮みフランジ変形度を極限まで低下させてプレス成形時の成形不良の発生を解消できること、及び
(iv)プレス成形前にはスポット溶接を行わない、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域には、プレス成形を行った後にスポット溶接を行うことによって、接合部付近に割れやき裂等の成形不良を生じることなく、所望の特性を備えるテーラードブランク材からなるサイドフレームインナを製造できること
を知見した。本発明は、これらの新規な知見に基づくものである。
本発明は、複数の板材の重ね合わせ部にスポット溶接を行って溶接ブランク材とした後にこの溶接ブランク材にプレス加工を行うことにより、伸びフランジ部及び/又は縮みフランジ部を有するテーラードブランクからなる自動車部品を製造する方法であって、スポット溶接が、一枚のブランク材からなるとともにこの自動車部品と同一の形状を有する自動車部品における、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域を除いた残余の領域に相当する範囲に、行われることを特徴とする自動車部品の製造方法である。
この本発明に係る自動車部品の製造方法では、プレス加工を行った後に、複数の板材の重ね合わせ部であってかつ、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部となる領域に相当する範囲に、スポット溶接を行うことが望ましい。
別の観点からは、本発明は、重ね合わされた複数の板材と、これらの板材の重ね合わせ部に設けられるスポット溶接部とを備え、プレス加工を行われることにより形成される伸びフランジ部及び/又は縮みフランジ部を有するテーラードブランクからなる自動車部品の素材として用いられる溶接ブランク材であって、スポット溶接部が、一枚のブランク材からなるとともに自動車部品と同一の形状を有する自動車部品における、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域を除いた残余の領域に相当する範囲に、設けられることを特徴とする溶接ブランク材である。
本発明において「伸びフランジ部」とは、変形の状況を概念的に示す説明図である図3(a)に示すように、素板であるブランクをパンチ、ダイス等の金型で成形すると同時に周方向に伸びることによって形成される部位を意味する。また、同様の説明図である図3
(b)に示すように、「縮みフランジ部」とは、素板であるブランクをパンチ、ダイス等の金型で成形すると同時に周方向に縮むことによって形成される部位を意味する、いずれも、スポット溶接等を車体組み立て工程で行う際のフランジ部を形成する。
また、本発明に係る溶接ブランク材は自動車部品用であるため、その素材となるブランク材には、深絞り用軟鋼板(極低炭素IF鋼)から780MPa級高張力鋼板(DP鋼等)材を適用可能である。ブランク材の板厚は0.5mm以上2.0mm以下までが主である。
図4は、スポット溶接の要領を模式的に示す説明図である。同図に示すように、本発明におけるスポット溶接は、電極4、5によって二枚のブランク材6、7それぞれの縁部6a,7aを重ね合わせた状態で挟持し、加圧付与条件及び通電条件を制御することにより、電気抵抗による発熱を利用してブランク材6、7を接合するものであり、自動車車体の組み立て工程において慣用される一般的な溶接方法を意味する。
本発明により、製造コストが安価なスポット溶接を用い、高生産性、さらには成形性確保のために切り欠き部導入等の特別の成形対策や制約を必要とせずに接合ブランク材の成形性を確保でき、これにより、安定して自動車部品用のテーラードブランク材を低コストで製造できる。
以下、本発明に係る自動車部品の製造法及び溶接ブランク材の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以降の説明では、自動車部品が自動車車体のボディサイドを構成するサイドフレームインナである場合を例にとる。
一枚板ブランク材にプレス加工を行ってサイドフレームインナを成形する場合には、上述した図2にも示すように、ドア開口部8をなすコーナに相当する部位2に伸びフランジ部が存在し、この部位2がサイドフレームインナ1の成形性を大きく支配する。素材であるブランク材が一枚板ブランク材である場合にもサイドフレームインナ1のプレス成形は非常に難しいが、ブランク材が溶接線を有する溶接ブランク材である場合には、さらに破断の危険性が高まり、極めて難加工となる。
一般的に、自動車部品は、プレス加工後にトリム、曲げフランジ成形等の工程による成形を経て製造される。この曲げ工程において、フランジが非直線である場合には、フランジは、伸びフランジ変形(フランジアップともいう)又は縮みフランジ変形(フランジダウンともいう)を示す。
図2に例示する伸びフランジ部2又は縮みフランジ部3に、ブランク材同士を溶接するための溶接部が存在すると、溶接部の近傍における局所的な応力集中が発生し、溶接部の近傍に破断又は肉余りしわの不連続な重なりが発生する。
これに対し、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部2、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部3である領域に溶接部を設けずにプレス加工を行うと、伸びフランジ部2又は縮みフランジ部3はいずれも独立しているために板間でずれるだけでプレス加工における変形応力に対して一体となって形状創製をなさなくなるため、伸びフランジ部2又は縮みフランジ部3のいずれにおいても破断やしわ等の成形不良を生じなくなる。すなわち、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部2、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部3に溶接部を設けないことにより、溶接部の近傍における局所的な応力集中が生じなくなる。
このように、本実施の形態では、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部に溶接部を設けないため、(i)破断発生の危険性は極端に低減し、優れた成形性が得られるとともに、特定金型での切欠き形状付与等の対策を施さなくても、容易に所望の形状を有するテーラードブランク材を製造することができるとともに、(ii)溶接部の局所的な応力集中が発生しないため成形するのに必要な成形荷重も小さくなり、長い接合長も不必要となり、フランジ部以外の材料を引き込むポイントへの接合においても接合長を短くすることができ、スポット等の点溶接においても難成形への対応が十分となる。
このため、本実施の形態では、複数のブランク材の重ね合わせ部のうち、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部の一方又は双方となる領域を除いた領域にスポット溶接を行って溶接ブランク材とし、この溶接ブランク材にプレス加工を行う。
つまり、この溶接ブランク材は、重ね合わされた複数の板材と、板材の重ね合わせ部に設けられるスポット溶接部とを備え、プレス加工により形成される伸びフランジ部及び/又は縮みフランジ部を有するテーラードブランクからなるサイドフレームインナの素材としての溶接ブランク材である。そして、スポット溶接部が、一枚のブランク材からなるとともにこのサイドフレームインナと同一の形状を有するサイドフレームインナにおける、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域を除いた残余の領域に相当する範囲に、設けられている。
そして、上述したプレス加工を行った後に、複数の板材の重ね合わせ部であって伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部となる領域に相当する領域に対して、スポット溶接を行う。これにより、設計上要求される強度を確保することができる。
このようにして、本実施の形態により、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部の一方又は双方を有するテーラードブランクからなるサイドフレームインナが製造される。
本実施の形態では、プレス加工前にはスポット溶接を行わない伸びフランジ部の伸び歪みは0.05超であり、縮みフランジ部の圧縮歪みは0.10超である。伸びフランジ部の伸び歪みが0.05超であると、伸びフランジ部にスポット溶接を行っても割れを生じないために本発明の意義が薄れるとともに、一方、縮みフランジ部の圧縮歪みが0.10以下であるとスポット溶接を行っても割れ及び過度のしわを生じないために本発明の意義が薄れるからである。これら条件を満足しない場合には割れ等の成形不良を発生する。
実量産でのスポット溶接条件の変動によるナゲット径のバラツキを考慮すると、伸びフランジ部の伸び歪みが0.04超の範囲には、スポット溶接を行わないことが望ましい。
本実施の形態によれば、レーザ溶接等に比較して製造コストが安価なスポット溶接を用い、高生産性、さらには成形性確保のために切り欠き部導入等の特別の成形対策や制約を必要とせずに溶接ブランク材の成形性を確保でき、これにより、安定してサイドフレームインナ用のテーラードブランク材を低コストで製造できる。
さらに、本発明について実施例を参照しながら具体的に説明する。
難成形部品であるサイドフレームインナにおけるドア開口部のフランジ部を模擬した形状モデルを作成し、動的陽解法有限要素解析を用いて、伸びフランジ変形の発生状況を解析した。
図5は、解析に用いたモデルを模式的に示す説明図である。この解析では、図5に示すように、1.0t(又は0.8t)−590MPaの鋼板9と、0.65t−270MPaの鋼板10とを供試材として用い、レーザ等の連続溶接をモデル化する条件には溶接部を形成する材料位置(接合位置)にはこの部位を構成する有限要素法モデル中の節点の拘束条件を定義し、またスポット等の点溶接をモデル化する条件にはスポット溶接の接合位置にビーム要素を用いて両供試材を接合する条件を定義した。なお、本解析では、フランジ部には接合位置は設けていない。
図6は、解析結果を示す説明図である。同図に示すように、レーザ等の連続溶接により2枚の供試材9、10を接合した場合、フランジ部は絞り成形とともに製品形状側(パンチ側=紙面左側方向)に引っ張られるためにフランジの端部側に顕著な伸びフランジ変形を生じ、これにより、供試材10の溶接部11近傍において破断の原因となる過大な塑性ひずみが発生する。
一方、スポット溶接により2枚の供試材9、10を接合した場合、フランジには成形中においても過度な変形応力が作用せず、供試材10の溶接部11の近傍においても破断の原因となる過度な変形集中が発生しない。
また、図7は、上述した解析条件と同様の条件で実際にサイドフレームインナを模擬したモデル金型で製造した場合の開口部の変形状況を示す説明図である。同図に示すように、レーザ溶接を行った供試材では供試材10の溶接部11の近傍に割れを生じるが、スポット溶接を行った供試材では割れを生じなかった。
本実施例より、連続溶接によりフランジ部が一体となった場合には伸びフランジ変形を示すのに対して、スポット溶接により接合等の拘束点を設けない場合には供試材それぞれが変形応力による形状変化を発生することなく自由に移動し、成形時の割れを発生させる過度な伸びフランジ変形を示さないことがわかる。このため、溶接ブランク材の成形性を向上するためには、ブランク材の接合条件を制御すればよいことがわかる。
なお、本実施例では伸びフランジ変形について検証したが、縮みフランジ変形の場合もほぼ同様に、フランジ部に接合点を設けないことにより圧縮変形によって発生する座屈しわが抑制される。
図8は、実施例1で行った解析に用いたのと同様のT字型の金型12の製作図である。
本実施例では、図8に示す金型12を製作し、図9に示すように、250トン油圧プレス機13を用いてプレス加工を行った。
このプレス加工に用いた材料は、実施例1と同様に、1.0t−590MPa級の鋼板14と、0.65t−270MPa級の鋼板15とである。これらの鋼板14、15を図10に示すように重ね合わせて定置型スポット溶接機(図示しない)により破線丸印部9点をスポット溶接することにより、溶接ブランク材16を製造した。スポット溶接により形成されるナゲット径は、加圧力及び通電条件を調整することにより、4.5mmを目標値とした。また、成形性への打点位置及び打点条件の影響を把握するため、溶接位置及び打点数を適宜変更した溶接ブランク材を別途作成した。
そして、プレス加工では、フランジ面を抑えるしわ押さえ力30トンでプレス加工を行い、成形深さ15mm及び成形深さ30mmでのテーラードブランク材(成形パネル)の状況を観察し、成形品質を判定した。
判定結果を表1にまとめて示す。表1には、溶接条件と、15mm又は30mmでの成形品質と、30mm深さ成形品の外観写真とを合わせて示す。
フランジ部にスポット打点を形成した場合には、成形深さ30mmの状態では溶接部において破断が生じ、成形深さが浅く容易な15mmの状態においても溶接部近傍において破断が生じる寸前の状態である。
また、パンチ底への打点が3点と少ない条件のものは、成形深さが浅い15mmのものでは成形が可能であるが、成形深さが30mmのものではスポット部近傍の母材にて破断が生じた。
これに対し、フランジ部への打点がなく、パンチ底に5点のスポット打点を形成したものは、いずれも30mmにおいても破断を生じることなくプレス加工を行うことができ、良好な結果が得られた。
表1に示す結果から、フランジ部にはスポット打点を形成せず、材料を引き込むパンチ底の打点数は成形深さに応じて、例えば成形深さが深いものは打点を多くする等といった、製品形状に合わせてスポット打点数を適宜決定することが、伸びフランジ成形を含んだ難成形材の成形には望ましいことがわかる。
次に、伸びフランジ部及び縮みフランジ部へのスポット溶接の有無に応じて、成形性と変形により生じる発生ひずみとの関係を、直径200mmの円盤ブランクと直径100mmの円筒ポンチとによる深絞り加工によって調査した。
伸びフランジでは、ブランク中心部に直径10mmの打ち抜き穴を作成することにより、円筒ポンチが接触するポンチ底は伸びフランジ変形を発生する部位となる。また、縮みフランジでは、ダイ及びホルダにより抑えられるフランジ部が、縮みフランジ変形を発生する部位となる。これら変形の状況を図11に模式的に示す。
図11の左図に示すように、伸びフランジ部対象試験は、ブランク円盤中心から半径方向に15mmの位置に、スポット打点を周方向に4つ作成してプレス加工を行って、割れ発生時の伸びひずみを調査した。一方、縮みフランジ部対象試験は、円盤ブランク端から10mmの位置にスポット打点を周方向に4つ作成してプレス加工を行って、割れ及び過度のしわが発生する際の圧縮ひずみを調査した。結果を表2にまとめて示す。
伸びフランジ部にスポット打点を形成しても割れを生じず、成形可能な伸びひずみは0.05であり、一方縮みフランジ部にスポット打点を形成しても割れ及び過度のしわを生じず、成形可能な圧縮ひずみは0.10である。しかしながら、これら条件を満足しない場合には、割れ等の成形不良を発生する。
つまり、本例は、伸びフランジ部及び縮みフランジ部にはプレス加工前にはスポット打点を設けず、それぞれの供試材が容易に擦れあいながらプレス成形されることによって、この部位での成形不良を生じることなく、容易かつ確実に所望の形状にプレス成形できるために難成形条件にも十分に対応できることを示すものである。
特に、伸びひずみ0.05超の伸びフランジ変形部位、及び圧縮ひずみ0.10超の縮みフランジ変形部位にスポット溶接部を設けると、プレス加工時に割れ等の成形不具合を発生する可能性が高まるため、これらの伸びフランジ変形部位、及び縮みフランジ変形部位にはスポット溶接部を設けないことが望ましい。
サイドフレームインナの一例を示す説明図である。 サイドフレームインナにおける伸びフランジ部及び縮みフランジ部の発生位置を例示する説明図である。 図3(a)は伸びフランジ部の説明図であり、図3(b)は縮みフランジ部の説明図である。 スポット溶接の要領を模式的に示す説明図である。 実施例1における解析に用いたモデルを模式的に示す説明図である。 実施例1における解析結果を示す説明図である。 実施例1の解析条件と同様の条件で実際にサイドフレームインナを製造した場合の開口部の変形状況を示す説明図である。 実施例1で行った解析に用いたのと同様のT字型の金型の製作図である。 実施例2におけるプレス加工の状況を模式的に示す説明図である。 実施例2で用いた溶接ブランク材を示す説明図である。 伸びフランジ変形および縮みフランジ変形それぞれの変形の状況を模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 サイドフレームインナ
2 伸びフランジ部
3 縮みフランジ部
4、5 電極
6、7 ブランク材
6a、7a 縁部
8 ドア開口部
9、10 鋼板(供試材)
11 溶接部
12 金型
13 油圧プレス機
14、15 鋼板
16 溶接ブランク材

Claims (3)

  1. 複数の板材の重ね合わせ部にスポット溶接を行って溶接ブランク材とした後に該溶接ブランク材にプレス加工を行うことにより、伸びフランジ部及び/又は縮みフランジ部を有するテーラードブランクからなる自動車部品を製造する方法であって、
    前記スポット溶接は、一枚のブランク材からなるとともに前記自動車部品と同一の形状を有する自動車部品における、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域を除いた残余の領域に相当する範囲に、行われること
    を特徴とする自動車部品の製造方法。
  2. 前記プレス加工を行った後に、前記重ね合わせ部であってかつ、前記伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部となる領域に相当する範囲に、スポット溶接を行う請求項1記載の自動車部品の製造方法。
  3. 重ね合わされた複数の板材と、該板材の重ね合わせ部に設けられるスポット溶接部とを備え、プレス加工を行われることにより形成される伸びフランジ部及び/又は縮みフランジ部を有するテーラードブランクからなる自動車部品の素材である溶接ブランク材であって、
    前記スポット溶接部は、一枚のブランク材からなるとともに前記自動車部品と同一の形状を有する自動車部品における、伸び歪みが0.05超である伸びフランジ部、及び/又は、圧縮歪みが0.10超である縮みフランジ部である領域を除いた残余の領域に相当する範囲に、設けられること
    を特徴とする溶接ブランク材。
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