JP2007075339A - カラーマトリックスによる色覚特性評価システム、プログラム及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】背景上に、例えば16個のセルが互いに離間した状態で配置され、15個のセルが基準色で表示され、残りの1個のセルを基準色と判別できたか否かを検査したい、基準色とは色度の異なる参照色で表示されたカラーマトリックス画面をディスプレイ表示し、被験者に1個だけ色が異なるセルを見つけてもらう。被験者が見つけたセルをマウスの押下により知らせると、それが参照色のセルの場合には判別できたと判定し、一方、基準色のセルの場合には判別できなかったと判定する。
【選択図】 図5
Description
しかしながら、上記の手法では、被験者から数字等が読取れるか否かの回答をもらうため、定性的な評価はできたが、読取り難さがどの程度なのかを定量的に評価することはできなかった。
この検査手法は、図11に示すように、色度の異なる2個のセルを並べてディスプレイ上に表示して、被験者に判別できるか否かの回答をもらうものであり、その判別結果に基づいて色度図上に色弁別の判別可能領域と不能領域とを表示することで、被験者の色覚的特性を定量的に評価することを目指した。
従って、本発明者らは、被験者は「色が違うと回答すれば、色覚特性は正常であると評価される」ことを意識した上で頭で判断することになり、誤回答が不可避的に含まれてしまっていたのではないかと考え、検査精度を一層高めるために、従来の頭で判断するデザインではなく、見つけるデザインを模索した。
通常視力検査では、「C」の字を(θ=0°,90°,180°,270°)だけ回転させて表示し、被験者に切れている部分を上下左右から選択させることで見えているか否かを判定していたことを思い出し、先ず、この「C」の字と背景を、図12に示すように2つの色で表示することで色の判別に利用することを思いつき、実験したが、結果は思わしくなかった。
鋭意検討の結果、その原因が色自体は見えなくとも色の境界が何らかの形で見えてしまうからではないかとの推論に至り、それを基に、境界が見えても、それを以って色を判別できないように、判別できるか否かを検査したい2つの色を物理的に切り離すデザインを思いつき、本発明を完成させた。
図1は色覚特性評価システムの物理的構成を示すブロック図である。
このシステムは、図1に示すようにシステム全体を制御するCPU1と、システムを動作させるためのデータを一次的に格納するRAM3と、システムの起動時に外部記憶装置に記憶されているプログラムを読出し格納するROM5、外部記憶装置の代表的な例であるハードディスク7と、入力手段としてのマウス(ポインティングデバイスの一種)9及びキーボード11と、出力手段としてのディスプレイ13(sRGBディスプレイ)と、測色機15(例えば、ミノルタ株式会社製のディスプレイカラーアナライザ CA−210)とを備えている。色覚特性評価プログラム(アプリケーションプログラム)は、WWWサーバからのダウンロードやCD−ROM等の記憶媒体を利用してハードディスク7に格納される。
なお、この実施の形態ではCPU1等はPCによって構成され、それに測色機15がケーブル接続されているが、専用機により構成されていてもよいことは言うまでもない。
特徴的な手段は、カラーマトリックス画面作成手段と非表示画面作成手段と測色画面作成手段とを含む画面作成手段17と、作成された画像をディスプレイ13に出力して表示する画面表示制御手段18と、マウス9の押下によりセルを検出するセル検出手段19と、検出されたセルに基づいて判定をする判定手段21と、参照色を決定するために利用する探索手段23と、色度からrgb階調値への変換に用いる変換式を作成する変換式作成手段25とであり、各手段はCPU1が色覚特性評価プログラムおよびOSに従って必要な処理を実行することによって実現される。
また、特徴的な記憶部としては、カラーマトリックス画面作成用の色情報を含む描画情報を格納する描画ファイル27とu’v’色度図を格納する色度図ファイル29と、u’v’色度値からXYZ色度値への変換式(公知のもの)とXYZ色度値からrgb階調値への変換式を格納する変換式ファイル31とを備える。
A.前処理
(ディスプレイの補正手順)
通常は、XYZ色度値からrgb階調値への変換は既存のsRGB規格の変換式を用いて行われる。しかしながら、その変換式を用いると発色しようとした色(Y=0.15、PWとその直交方向の色:黒四角形)と測色機15で測色した色(白四角形)の各プロットがズレてしまい、図3(1)に示すように、無彩色(W)の近傍ではDW上の点と混じってしまう。従って、色覚異常の種類を判別できなくなる。このような発色のズレはディスプレイの固有の特性だけでなく、経時劣化や検査環境(湿度等)によるものである。
上記ズレの発生を防止するために、実際に検査するときに使用するディスプレイや周囲環境を考慮した独自の変換式を以下の通りに作成する。
(1)測色データの取得
ディスプレイ13を以下の階調で発色させ、測色機15でX,Y,Zを測色して1024色のデータを取得する。
(2)バックグラウンドの除去
上記で取得された測色データからバックグランドを除去する。
バックグラウンドが除去されたデータに対して、以下の表の単回帰分析を行い、係数を求める。
回帰分析1で求めた6個の係数Rx,Rz,‥‥,Bzを用いて、更に以下の表の単回帰分析を行う。
上記(2)で定義されるRY(r),GY(g),BY(b)の逆関数を、それぞれRY -1(r),GY -1(g),BY -1(b)とする。これらはRY(r),GY(g),BY(b)を補間して数値的に構成する。
(6)変換式
回帰分析2で得られた係数と切片を用いて、発色したい色度X,Y,Zの色から階調値r,g,bを求める変換式は、以下の通りとなる。
図3(2)は上記の独自の変換式を用いて発色した場合の結果を示す。この図から分かるように、変換式の有効性は高い。
作成された変換式は、変換式ファイル31に格納する。
画面では、背景上に、(n×n)個の同形状のセルが互いに等間隔で離間した状態で配置され、(n2−m)個のセルが基準色で表示され、残りのm個のセルを前記基準色と判別できたか否かを検査したい参照色で表示されるレイアウトになっている。
このディスプレイ13上に表示される設定画面上でのマウス9やキーボード11を使用した操作により任意に設定できる仕様になっており、設定内容は、描画ファイル27に格納される。従って、検査の目的に応じてレイアウトを任意に設定できる。
図5に示すカラーマトリックス画面のレイアウトは、セルの数(4×4=16個)、視野角(2°)、スリット(1°)、ターゲット数(即ち、参照色の表示数、1個)、Yノイズ(Y=Y(1±6Lr)、0<r(一様乱数)<1、L:u’v’色度図上の参照色と基準色の座標距離)に設定されている。なお「6」は適当に設定された値である。この値を大きくすると、参照色と基準色の違いが大きい場合には明るさの変化も大きくなるので、被験者はセルを視認し易くなる。
なお、見易さを考慮して背景は黒色(r=g=b=0)で表示されているが、これもユーザー設定可能に構成してもよい。
この実施の形態では、u’v’色度図上の無彩色(W)が基準色に設定され、PW(θ=0°,90°,180°,270°)と、DW(θ=0°,90°,180°,270°)の8方向の半直線が設定されている。また、後述するように二分探索法により境界座標を決定しているので、rgb階調値を考慮して検査限界幅(w)を0.005、検査限界下限(l)を0.01にそれぞれ設定されている。
上記の内容は、ディスプレイ13上に表示される設定画面上でのマウス9やキーボード11を使用した操作により任意に設定できる仕様になっている。
この多階調値に対応して、上記で検査限界幅(w)と検査限界下限(l)が設定されている。なお、検査限界幅(w)と検査限界下限(l)に関しては後で出てくる二分探索の説明のところで更に説明する。
(カラーマトリックス画面の順次作成手順)
探索手段23が色度図ファイル29を読出して、図7に示すように、u’v’色度図上のCRT表示可能領域の境界線と半直線の交点(P0,θ=0°)と基準色(W)の間の線分上のいずれかの色(P1)を参照色に決定し、そのデータとカラーマトリックス画面作成手段17が描画ファイル27から読出した描画情報と変換式ファイル31から読み出した変換式を用いて、図5に示すカラーマトリックス画面を作成し、画面表示制御手段17によりディプレイ13に表示する。
その後は探索手段23が、図7に示すように、二分探索法により順次参照色を決定していく。判定手段21からの通知結果が「判定できなかった」の場合には、探索手段23が、次に表示する参照色をP1とP0の間の点P2Rに決定し、一方、判定手段21からの通知結果が「判定できた」の場合には、探索手段23が、次に表示する参照色をP1とWの間の点P2Lに決定し、その後は同様にしてカラーマトリックス画面作成手段17がカラーマトリックス画面を作成し、ディスプレイ13に表示する。上記では1つの半直線上の参照色について説明しているが、いずれの半直線上でも同じである。
この実施の形態では、複数の半直線を用いて検査しており、先ず半直線がランダムに選択され、更にその半直線上から参照色が二分探索法により決定されている。
探索は次に標示すべき参照色が検査限界幅(w)か、検査限界下限(l)のいずれかに入った時点で終了し、検査自体も終了する。
画面表示制御手段18は、カラーマトリックス画面と非表示画面とを交互に切替えながら表示する。図8に示すように、基本周期は、カラーマトリックス画面:4秒、非表示画面:1秒である。但し、カラーマトリックス画面の表示時間中に検出手段がマウスの押下を検出すると、その時点でカラーマトリックス画面から非表示画面に切替えるが、非表示画面をカラーマトリックス画面の基本的な表示時間の残りの時間プラス非表示画面の基本的な時間(1秒)だけ表示する。
このようにカラーマトリックス画面を基本周期を守って表示することで被験者の頭に混乱を起こさせないようにしている。
図9のフローチャートに従って説明する。
被験者にカラーマトリックス画面(初期画面)を見せて(ステップS1)、1個だけ異なる色(参照色)で表示されたセルを見つけてもらう。この画面のセル領域はマウスの押下を検出する検出領域が重ねて形成されている。被験者が見つけたセルをマウスの押下により選択するとセル検出手段19がセルを検出し(ステップS2)、直ちに画面を非表示画面に切り替える(ステップS4)。一方、セルが検出されないときには、制限時間一杯、ここでは4秒間表示した後に(ステップS3)、画面を非表示画面に切り替える(ステップS4)。その後に判定を行う。判定は、セルを検出した場合にはそのセルが参照色の場合には「判別できた」と判定し、そのセルが基準色の場合は「判別できなかった」と判定する(ステップS5)。また、カラーマトリックス画面の表示時間中にセルが検出されなかった場合には「判別できなかった」と判定する(ステップS5)。
セル検出手段19がセルを検出し(ステップS2),その結果を判定手段21に渡す。判定手段21は選択されたセルが基準色か否かを判定する(ステップS5)。判定手法は、カラーマトリックス画面の順次作成手順で説明した通りである。そして、その判定結果に基づいて次のカラーマトリックス画面を作成して表示する。
検査は次に表示すべき参照色が検査限界幅と検査限界下限に入った時点で終了し、その直前の参照色を境界座標に決定する。
なお、いずれの被験者の検査時間も4分弱と短かった。
このように、本発明のシステムは、短時間で検査することができるため、被験者にストレスを与えずに済む。また、本発明のシステムは、マウスを備えたコンピュータシステムにより構成されているので、被験者の回答データをマウスの押下と言った簡単な操作により蓄積でき、しかもその回答を基にその被験者の色覚特性をグラフ等の視認容易な形態で簡単に表示出力することができる。
例えば、色度図は被験者の色覚特性を評価することを考慮してu’v’色度図を用いているが、理論上はその色度図の使用に限らずに種々の色度図を使用できる。
また、上記実施の形態では、基準色として無彩色が選択されているが、必ずしも無彩色に限定されず、その他の色を選択してもよいことはいうまでもない。
5 ROM 7 ハードディスク
9 マウス 11 キーボード
13 ディスプレイ 15 測色機
17 画面作成手段 18 画面表示制御手段
19 セル検出手段 21 判定手段
23 探索手段 25 変換式作成手段
27 描画ファイル 29 色度図ファイル
31 変換式ファイル
Claims (13)
- 背景上に、3個以上の複数個のセルが互いに離間した状態で配置され、1個以上のセルが基準色で表示され、残りのセルが前記基準色と判別できたか否かを検査したい、基準色とは色度の異なる参照色で表示されたカラーマトリックス画面を作成するカラーマトリックス画面作成手段と、
前記被験者の操作による表示画面上の任意のセルの選択を検出するセル検出手段と、
選択されたセルの表示色が参照色の場合には判別できたと判定し、基準色の場合には判別できなかったと判定する判定手段と、
判定結果を基に色度図上の色弁別可能領域と不能領域との境界座標を探索する探索手段と、
を備え、ディスプレイ上で発色表示されたカラーマトリックス画面を被験者に見せて色覚特性を評価することを特徴とする、カラーマトリックスによる色覚特性評価システム。 - 請求項1に記載した色覚特性評価システムにおいて、カラーマトリックス画面作成手段では、同一形状のセルが(n×n=n2)個互いに等距離だけ離間した状態で配置された画面を作成することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1または2に記載した色覚特性評価システムにおいて、カラーマトリックス画面作成手段では、個々のセルの明るさを均一には設定しないことを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1から3のいずれかに記載した色覚特性評価システムにおいて、判定手段では一定時間内にセルの選択を検出しなかった場合には判別できなかったと判定することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1から4のいずれかに記載した色覚特性評価システムにおいて、画面表示制御手段はカラーマトリックス画面を一定時間表示した後に別の色度の参照色のカラーマトリックス画面を切り替え表示することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項5に記載した色覚特性評価システムにおいて、カラーマトリックス画面作成手段では、色度図上の基準色から3種類の混同色中心(P,D,T)のいずれかに向かう半直線を任意の角度(0≦θ<360)で回転させた半直線上の任意の点を参照色に設定することでその半直線の方向の色覚特性を評価することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項6に記載した色覚特性評価システムにおいて、カラーマトリックス画面作成手段では、θが異なる半直線を複数設定し、それぞれの半直線上の点を参照色に設定することで色度図上における複数の方向の色覚特性を評価することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項6または7に記載した色覚特性評価システムにおいて、探索手段は、判定手段による判定結果を基に乱数を用いた二分探索法により次に表示する参照色を決定することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1から8のいずれかに記載した色覚特性評価システムにおいて、画像表示制御手段はカラーマトリックス画面どうしの表示の間にセルが非表示の非表示画面を介挿表示することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1から9のいずれに記載した色覚特性評価システムにおいて、ディスプレイを赤(R=0〜255)、緑(G=0〜255)、青(B=0〜255)、無彩色(W=0〜255)の1024色で順次発色させるための測色画面作成手段と、その色度データを測色する測色機と、前記測色機で取得された色度データを用いて目的の色度で発色させるための色度値からRGB階調値への変換式を作成する変換式作成手段とを備え、カラーマトリックス画面作成手段では前記変換式に基づいて色度図上の色度をRBG階調値に変換することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1から10のいずれかに記載した色覚特性評価システムにおいて、カラーマトリックス画面作成手段は擬似多階調法に基づいて色情報を作成することを特徴とする色覚特性評価システム。
- 請求項1から11のいずれかに記載した色覚特性評価システムの各手段をコンピュータにより機能させることを特徴とするプログラム。
- 請求項1から12のいずれかに記載された色覚特性評価システムにより実施される色覚特性評価方法。
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