JP2007073989A - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ふためっき層の欠損を招くことがなく、しかもヒートサイクルなどの条件下での層間樹脂絶縁層の剥離を好適に抑制し、耐クラック性に優れる多層プリント配線板を提供すること。
【解決手段】 基板上に、層間樹脂絶縁層を介して導体回路が形成されてなり、該基板にはスルーホールが設けられ、そのスルーホールには充填材が充填された構造を有する多層プリント配線板において、前記スルーホールの直上には、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、この導体層およびこれと同層に位置する導体回路には、側面を含む全表面に粗化層が形成され、この粗化層の表面には、導体間の凹部を充填し、その表面が平坦な層間樹脂絶縁層が形成されており、前記導体層およびこれと同層に位置する導体回路は、無電解めっきと、その上に形成された電解めっきとからなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】 基板上に、層間樹脂絶縁層を介して導体回路が形成されてなり、該基板にはスルーホールが設けられ、そのスルーホールには充填材が充填された構造を有する多層プリント配線板において、前記スルーホールの直上には、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、この導体層およびこれと同層に位置する導体回路には、側面を含む全表面に粗化層が形成され、この粗化層の表面には、導体間の凹部を充填し、その表面が平坦な層間樹脂絶縁層が形成されており、前記導体層およびこれと同層に位置する導体回路は、無電解めっきと、その上に形成された電解めっきとからなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、多層プリント配線板およびその製造方法に関し、特に、配線やスルーホールの高密度化を容易に実現でき、しかも、耐ヒートサイクル特性に優れる多層プリント配線板について提案する。
一般に、両面多層プリント配線板におけるコア基板には、表面と裏面を電気的に接続するためのスルーホールが形成される。ところが、このスルーホールがデッドスペースとなり、配線の高密度化が著しく阻害される。
また、コア基板に形成したスルーホールとバイアホールとの接続は、スルーホールのランドに、バイアホールを接続するためのパッドを設けることにより行われる。ところが、このパッドが邪魔になってスルーホールのピッチを小さくすることができず、スルーホールの高密度化が著しく阻害される。
そこで、出願人は先に、配線やスルーホールの形成密度向上のために、基板上に、層間樹脂絶縁層を介して導体回路が形成されてなり、該基板にはスルーホールが設けられ、そのスルーホールには充填材が充填された構造を有する多層プリント配線板において、前記スルーホールの直上には、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、この導体層上に、バイアホールが接続されてなる多層プリント配線板を提案した。
この提案にかかる多層プリント配線板では、まず、コア基板にスルーホールを形成して酸化還元処理などにより粗面化した後、このスルーホール内に充填材を充填して平坦化し、次いで、めっき(ふためっき)を施してエッチングすることにより、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層(以下、単に「ふためっき層」という)と導体回路を形成し、さらに、これらの導体表面に酸化還元処理などによる粗化層を形成して導体間の凹部に充填材を充填し、この充填材表面を研磨してフラット化した後、インタープレート(荏原ユージライトのCu−Ni−Pからなる合金粗化めっき)などによる粗化めっきを施してから、その上に層間樹脂絶縁層を形成していた(図1参照)。
しかしながら、この方法では、充填材を埋め込んだ後に行う平坦化のための研磨処理で、ふためっき層が欠損するという問題があった。
また、この方法で製造した多層プリント配線板では、導体回路表面の粗化層がインタープレートによる合金めっき粗化層からなり、導体回路側面の粗化層が黒化還元処理層からなる場合、これらの粗化層を介して導体に接合された層間樹脂絶縁層は、その粗化層の形態が異なるために、ヒートサイクル試験などによってクラックが発生するという問題があった。
また、この方法で製造した多層プリント配線板では、導体回路表面の粗化層がインタープレートによる合金めっき粗化層からなり、導体回路側面の粗化層が黒化還元処理層からなる場合、これらの粗化層を介して導体に接合された層間樹脂絶縁層は、その粗化層の形態が異なるために、ヒートサイクル試験などによってクラックが発生するという問題があった。
本発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その主たる目的は、ふためっき層の欠損を招くことなく、配線やスルーホールの高密度化を実現し得る多層プリント配線板の製造方法を提案することにある。
また、本発明の他の目的は、ヒートサイクルなどの条件下での耐クラック性に優れる多層プリント配線板を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、ヒートサイクルなどの条件下での耐クラック性に優れる多層プリント配線板を提供することにある。
発明者らは、上記目的の実現に向け鋭意研究した結果、以下に示す内容を要旨構成とする本発明を完成するに至った。
本発明は、
基板上に、層間樹脂絶縁層を介して導体回路が形成されてなり、該基板にはスルーホールが設けられ、そのスルーホールには充填材が充填された構造を有する多層プリント配線板において、
前記スルーホールの直上には、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、この導体層およびこれと同層に位置する導体回路には、側面を含む全表面に粗化層が形成され、この粗化層の表面には、導体間の凹部を充填し、その表面が平坦な層間樹脂絶縁層が形成されており、前記導体層およびこれと同層に位置する導体回路は、無電解めっきと、その上に形成された電解めっきとからなることを特徴とする多層プリント配線板である。
本発明は、
基板上に、層間樹脂絶縁層を介して導体回路が形成されてなり、該基板にはスルーホールが設けられ、そのスルーホールには充填材が充填された構造を有する多層プリント配線板において、
前記スルーホールの直上には、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、この導体層およびこれと同層に位置する導体回路には、側面を含む全表面に粗化層が形成され、この粗化層の表面には、導体間の凹部を充填し、その表面が平坦な層間樹脂絶縁層が形成されており、前記導体層およびこれと同層に位置する導体回路は、無電解めっきと、その上に形成された電解めっきとからなることを特徴とする多層プリント配線板である。
なお、前記層間樹脂絶縁層には、前記スルーホール直上に位置する部分に開口を設けて、導体回路およびバイアホールを形成することが好ましい。
さらに、前記充填材としては、金属粒子、熱硬化性または熱可塑性の樹脂および硬化剤からなるものを用いることが好ましい。
さらに、前記充填材としては、金属粒子、熱硬化性または熱可塑性の樹脂および硬化剤からなるものを用いることが好ましい。
以上説明したように本発明によれば、ふためっき層の欠損を招くことなく、配線やスルーホールの高密度化を実現した多層プリント配線板を製造することができる。しかも、本発明によれば、比較的軟質な電解めっきが層間樹脂絶縁層に接することにより、当該層間樹脂絶縁層の膨張・収縮に追従しやすくなるので、ヒートサイクルなどの条件下でも、層間樹脂絶縁層の剥離を好適に抑制するとともに、耐クラック性に優れる多層プリント配線板を提供できる。
本発明は、導体間の凹部に充填材を充填することなく、凹凸を有する基板の表面に直に層間樹脂絶縁層を塗布などの方法によって形成した点に特徴がある。また本発明では、凹凸を有する基板の表面に未硬化の層間樹脂絶縁剤の層を形成した後、金属板や金属ロールなどで加熱プレスして、得られる層間樹脂絶縁層の表面を平坦化している点に特徴がある。
より好ましくは、凹凸を有する基板の表面に、エポキシ樹脂を主成分とする感光性の層間絶縁樹脂を塗布してからPETフィルムなどの透光性フィルムをラミネートし、温度40〜60℃、圧力3.5〜6.5kgf/cm2 、プレス時間30〜90秒間の条件にてプレスして、その表面を平坦化している。
これにより、基板表面を平坦化するための研磨工程が省略でき、ふためっき層が欠損するという問題が解消できる。しかも、研磨によるゴミや異物の混入を防止することができる。
また、本発明では、層間樹脂絶縁層表面の凹凸が原因となって、露光現像によるバイアホール形成用開口の形成不良を招いたり、ICチップなどの実装不良などの実装不良を招くこともない。さらには、層間樹脂絶縁層に透光性フィルムを貼付して露光硬化を行っているので、酸素による硬化反応の阻害が防止される結果、その後に現像処理しても膜減りを防止でき、また粗化処理して浅い粗化層を形成してもピール強度の低下を招くことはない。
また、本発明では、層間樹脂絶縁層表面の凹凸が原因となって、露光現像によるバイアホール形成用開口の形成不良を招いたり、ICチップなどの実装不良などの実装不良を招くこともない。さらには、層間樹脂絶縁層に透光性フィルムを貼付して露光硬化を行っているので、酸素による硬化反応の阻害が防止される結果、その後に現像処理しても膜減りを防止でき、また粗化処理して浅い粗化層を形成してもピール強度の低下を招くことはない。
また本発明は、導体回路と層間樹脂絶縁層との界面が全て同一の粗化層で構成されている点に他の特徴がある。
これにより、導体回路と層間樹脂絶縁層との界面において、導体の表面と側面の粗化形態の違いが原因となるクラックが防止できる。
これにより、導体回路と層間樹脂絶縁層との界面において、導体の表面と側面の粗化形態の違いが原因となるクラックが防止できる。
このように、本発明では、導体間の凹部に充填材を充填することなく、しかも導体表面の粗化を一工程で行っているので、製造工程が大幅に短縮される。これにより、多層プリント配線板の製造コストが低減できる。
ここで、基板の層間樹脂絶縁剤の層表面をプレスにより平坦化する理由は以下のとおりである。即ち、基板の凹凸面に未硬化の層間樹脂絶縁剤の層をロールコータなどで直に塗布すると、形成される層間樹脂絶縁層にもまた表面凹凸が生じるからである。例えば、図2に示すように、導体回路の面積が広い領域に形成される層間樹脂絶縁層は、その厚みが相対的に厚く、導体回路の面積が狭い領域(導体回路パターン領域)に形成される層間樹脂絶縁層は、パターン間に層間樹脂絶縁剤が入り込むので、その厚みが薄くなる。つまり、層間樹脂絶縁層は、その厚みが内層導体回路の表面凹凸により変化し、その表面に凹凸が発生するのである。
また、この平坦化処理におけるプレス条件を、温度:40〜60℃、圧力:3.5〜6.5kgf/cm2、時間:30〜90秒とする理由は以下のとおりである。即ち、そのプレス条件を、40℃未満、圧力3.5Kgf/cm2未満、プレス時間30秒未満にすると、充分な平坦性が得られない。一方、プレス温度が60℃を超えると、露光,現像前に層間樹脂絶縁剤の硬化が進んでしまうおそれがあり、プレス圧力が6.5Kgf/cm2を超えると、層間絶縁樹脂が基板から流れ出してしまうおそれがあり、プレス時間が90秒を超えると、従来の露光時間やポストベーク時間を考慮した場合、生産性が落ちると予想されるからである。
このような本発明において、スルーホール内壁の導体表面には、粗化層、より好ましくは酸化還元処理による粗化層が形成されていることが好ましい。この理由は、充填材とスルーホールとがその粗化層を介して密着し隙間が発生しないからである。もし、充填材とスルーホールとの間に空隙が存在すると、その直上に電解めっきで形成される導体層が、平坦なものとならなかったり、空隙中の空気が熱膨張してクラックや剥離を引き起こしたりし、また一方で、空隙に水が溜まってマイグレーションやクラックの原因となったりする。この点、粗化層が形成されているとこのような不良発生を防止することができる。
例えば、酸化還元処理による粗化層は、酸化浴として、NaOH(20g/l)、NaCl02(50g/l)、Na3PO4(15.0g/l)の水溶液、還元浴として、NaOH(2.7g/l)、NaBH4
(1.0g/l)の水溶液を用いて形成される。
(1.0g/l)の水溶液を用いて形成される。
また、本発明において、スルーホール内充填材の露出面を覆う導体層(ふためっき層)とこの導体層と同層に位置する他の導体回路の表面には、Cu−Ni−Pからなる合金めっき粗化層(例えば、荏原ユージライトのインタープレート)や、酸化−還元処理による粗化層、あるいはメック社製「メックエッチボンド」なるエッチング液で処理形成された粗化層が形成されている。この理由は、この粗化層により層間樹脂絶縁層やバイアホールとの密着性を改善することができるからである。特に本発明では、前記導体の側面にも同一の粗化層が形成されている。これにより、導体の表面と側面の粗化層の相違に起因した層間樹脂絶縁層との密着不足によりこれらの界面を起点として層間樹脂絶縁層に向けて垂直に発生するクラックを抑制することができる。
これらの粗化層のうち、Cu−Ni−Pからなる合金めっき粗化層は、針状合金層であり、例えば、硫酸銅1〜40g/l、硫酸ニッケル0.1〜6.0g/l、クエン酸10〜20g/l、次亜リン酸塩10〜100g/l、ホウ酸10〜40g/l、アセチレン含有ポリオキシエチレン系界面活性剤0.01〜10g/lの水溶液からなる液組成のめっき浴を用いて形成される。
この粗化層は、イオン化傾向が銅より大きくかつチタン以下である金属または貴金属の層で被覆されていてもよい。これらの金属または貴金属の層は、粗化層を被覆し、層間樹脂絶縁層を粗化する際に起こる局部電極反応による導体回路の溶解を防止できるからである。その層の厚さは 0.1〜2μmがよい。
このような金属としては、チタン、アルミニウム、亜鉛、鉄、インジウム、タリウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、ビスマスから選ばれるいずれか少なくとも1種がある。貴金属としては、金、銀、白金、パラジウムがある。これらのうち、特にスズがよい。スズは、無電解置換めっきにより薄い層を形成でき、粗化層に追従できるため有利である。このスズの場合、ホウフッ化スズ−チオ尿素、塩化スズ−チオ尿素液を使用する。そして、Cu−Snの置換反応により 0.1〜2μm程度のSn層が形成される。貴金属の場合は、スパッタや蒸着などの方法が採用できる。
このような金属としては、チタン、アルミニウム、亜鉛、鉄、インジウム、タリウム、コバルト、ニッケル、スズ、鉛、ビスマスから選ばれるいずれか少なくとも1種がある。貴金属としては、金、銀、白金、パラジウムがある。これらのうち、特にスズがよい。スズは、無電解置換めっきにより薄い層を形成でき、粗化層に追従できるため有利である。このスズの場合、ホウフッ化スズ−チオ尿素、塩化スズ−チオ尿素液を使用する。そして、Cu−Snの置換反応により 0.1〜2μm程度のSn層が形成される。貴金属の場合は、スパッタや蒸着などの方法が採用できる。
本発明において、充填材は、金属粒子、熱硬化性または熱可塑性の樹脂および硬化剤からなることが好ましく、必要に応じて溶剤を添加してもよい。
金属粒子としては、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、すず/鉛、パラジウム、プラチナなどが使用できる。なお、この金属粒子の粒子径は、0.1〜50μmがよい。この理由は、0.1μm未満であると、銅表面が酸化して樹脂に対する濡れ性が悪くなり、一方50μmを超えると、印刷性が悪くなるからである。また、この金属粒子の配合量は、全体量に対して30〜90wt%がよい。この理由は、30wt%より少ないと、フタめっきの密着性が悪くなり、一方90wt%を超えると、印刷性が悪化するからである。
使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、FEP、PFA、PPS、PEN、PES、ナイロン、アラミド、PEEK、PEKK、PETなどが使用できる。硬化剤としては、イミダゾール系、フェノール系、アミン系などの硬化剤が使用できる。
溶剤としては、NMP(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、水、1−又は2−又は3−のシクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、ビスフェノールA型エポキシなどが使用できる。
金属粒子としては、銅、金、銀、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロム、すず/鉛、パラジウム、プラチナなどが使用できる。なお、この金属粒子の粒子径は、0.1〜50μmがよい。この理由は、0.1μm未満であると、銅表面が酸化して樹脂に対する濡れ性が悪くなり、一方50μmを超えると、印刷性が悪くなるからである。また、この金属粒子の配合量は、全体量に対して30〜90wt%がよい。この理由は、30wt%より少ないと、フタめっきの密着性が悪くなり、一方90wt%を超えると、印刷性が悪化するからである。
使用される樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂、FEP、PFA、PPS、PEN、PES、ナイロン、アラミド、PEEK、PEKK、PETなどが使用できる。硬化剤としては、イミダゾール系、フェノール系、アミン系などの硬化剤が使用できる。
溶剤としては、NMP(ノルマルメチルピロリドン)、DMDG(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、グリセリン、水、1−又は2−又は3−のシクロヘキサノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、ビスフェノールA型エポキシなどが使用できる。
また、この充填材として、無機超微粒子を含有したものを用いることが望ましい。この理由は、金属粒子の沈降を防止できるからである。この無機超微粒子としては、シリカ、アルミナ、炭化珪素、ムライトを用いることが望ましく、なかでもシリカが最適である。
この無機超微粒子の平均粒径は、1〜1000nm、より好ましくは2〜100nmとすることが望ましい。この理由は、粒子径が微細であるため、スルーホールの充填性を損なうことなく、また水素結合と推定される結合を網目状に形成でき、粒子状物質をトラップできる範囲だからである。
この無機超微粒子の配合量は、樹脂組成物の全固形分に対して 0.1〜5重量%とすることが望ましい。この理由は、充填性を損なうことなく、金属粒子の沈降を防止できる範囲だからである。
なお、この充填材は、非導電性(比抵抗1.48Ω・cm以上)であることが望ましい。非導電性の方が硬化収縮が小さく、導体層(ふためっき層)やバイアホールとの剥離が起こりにくいからである。
この無機超微粒子の平均粒径は、1〜1000nm、より好ましくは2〜100nmとすることが望ましい。この理由は、粒子径が微細であるため、スルーホールの充填性を損なうことなく、また水素結合と推定される結合を網目状に形成でき、粒子状物質をトラップできる範囲だからである。
この無機超微粒子の配合量は、樹脂組成物の全固形分に対して 0.1〜5重量%とすることが望ましい。この理由は、充填性を損なうことなく、金属粒子の沈降を防止できる範囲だからである。
なお、この充填材は、非導電性(比抵抗1.48Ω・cm以上)であることが望ましい。非導電性の方が硬化収縮が小さく、導体層(ふためっき層)やバイアホールとの剥離が起こりにくいからである。
本発明において、層間樹脂絶縁層としては、熱硬化性樹脂(熱硬化基の一部または全部を感光化したものを含む)、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂(熱硬化基の一部または全部を感光化したものを含む)と熱可塑性樹脂の複合体を用いることができる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル(PPE)などが使用できる。特に、エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを用いることができる。なお、この熱硬化性樹脂は、熱硬化官能基の一部を感光基で置換して感光性を付与しておくことが好ましい。この理由は、感光性を付与した熱硬化性樹脂を樹脂成分として含む樹脂絶縁剤を用いれば、露光,現像処理により、その層間樹脂絶縁層にバイアホール用の開口部を容易に形成できるからである。熱硬化基の一部または全部を感光化する場合は、熱硬化基の一部または全部をメタクリル酸やアクリル酸などと反応させてアクリル化させる。なかでもエポキシ樹脂のアクリレートが最適である。
熱可塑性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフォン(PPES)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシ共重合体(PFA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン系樹脂などが使用できる。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体としては、エポキシ樹脂−PES、エポキシ樹脂−PSF、エポキシ樹脂−PPS、エポキシ樹脂−PPESなどが使用できる。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル(PPE)などが使用できる。特に、エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを用いることができる。なお、この熱硬化性樹脂は、熱硬化官能基の一部を感光基で置換して感光性を付与しておくことが好ましい。この理由は、感光性を付与した熱硬化性樹脂を樹脂成分として含む樹脂絶縁剤を用いれば、露光,現像処理により、その層間樹脂絶縁層にバイアホール用の開口部を容易に形成できるからである。熱硬化基の一部または全部を感光化する場合は、熱硬化基の一部または全部をメタクリル酸やアクリル酸などと反応させてアクリル化させる。なかでもエポキシ樹脂のアクリレートが最適である。
熱可塑性樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、熱可塑型ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリフェニレンスルフォン(PPES)、4フッ化エチレン6フッ化プロピレン共重合体(FEP)、4フッ化エチレンパーフロロアルコキシ共重合体(PFA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオレフィン系樹脂などが使用できる。
熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体としては、エポキシ樹脂−PES、エポキシ樹脂−PSF、エポキシ樹脂−PPS、エポキシ樹脂−PPESなどが使用できる。
本発明では、層間樹脂絶縁層としてガラスクロス含浸樹脂複合体を用いることができる。このガラスクロス含浸樹脂複合体としては、ガラスクロス含浸エポキシ、ガラスクロス含浸ビスマレイミドトリアジン、ガラスクロス含浸PTFE、ガラスクロス含浸PPE、ガラスクロス含浸ポリイミドなどがある。
また本発明において、層間樹脂絶縁層としては、無電解めっき用接着剤を用いることができる。
この無電解めっき用接着剤としては、硬化処理された酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。この理由は、酸や酸化剤で処理することにより、耐熱性樹脂粒子が溶解除去されて、表面に蛸つぼ状のアンカーからなる粗化面を形成できるからである。
この無電解めっき用接着剤としては、硬化処理された酸あるいは酸化剤に可溶性の耐熱性樹脂粒子が、硬化処理によって酸あるいは酸化剤に難溶性となる未硬化の耐熱性樹脂中に分散されてなるものが最適である。この理由は、酸や酸化剤で処理することにより、耐熱性樹脂粒子が溶解除去されて、表面に蛸つぼ状のアンカーからなる粗化面を形成できるからである。
上記無電解めっき用接着剤において、特に硬化処理された前記耐熱性樹脂粒子としては、(1)平均粒径が10μm以下の耐熱性樹脂粉末、(2)平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末を凝集させた凝集粒子、(3)平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末との混合物、(4)平均粒径が2〜10μmの耐熱性樹脂粉末の表面に平均粒径が2μm以下の耐熱性樹脂粉末または無機粉末のいずれか少なくとも1種を付着させてなる疑似粒子、(5)平均粒径が0.1〜0.8μmの耐熱性樹脂粉末と平均粒径が0.8μmを超え2μm未満の耐熱性樹脂粉末との混合物、(6)平均粒径が0.1〜1.0μmの耐熱性樹脂粉末、から選ばれるいずれか少なくとも1種を用いることが望ましい。これらは、より複雑なアンカーを形成できるからである。
この無電解めっき用接着剤で使用される耐熱性樹脂は、前述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。
この無電解めっき用接着剤で使用される耐熱性樹脂は、前述の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。
本発明において、基板上に形成されたふためっき層と層間樹脂絶縁層上に形成された導体回路とは、バイアホールにて接続されることが望ましい。この場合、バイアホールは、めっき膜や導電ペーストで充填されたものがよい。
以下、本発明の多層プリント配線板を製造する方法について一例を挙げて具体的に説明する。なお、以下に述べる方法は、セミアディティブ法による多層プリント配線板の製造方法に関するものであるが、本発明における多層プリント配線板の製造方法では、フルアディティブ法やマルチラミネーション法、ピンラミネーション法を採用することができる。
(1)スルーホールの形成
(i)まず、基板にドリルで貫通孔を明け、貫通孔の壁面および基板表面に無電解めっきを施してスルーホールを形成する。
基板としては、ガラスエポキシ基板やポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、フッ素樹脂基板などの樹脂基板、あるいはこれらの樹脂基板の銅張積層板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。特に、誘電率を考慮する場合は、両面銅張フッ素樹脂基板を用いることが好ましい。この基板は、片面が粗化された銅箔をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂基板に熱圧着したものである。
無電解めっきとしては銅めっきがよい。フッ素樹脂基板のようにめっきのつきまわりが悪い基板の場合は、有機金属ナトリウムからなる前処理剤(商品名:潤工社製:テトラエッチ)による処理、プラズマ処理などの表面改質を行う。
(i)まず、基板にドリルで貫通孔を明け、貫通孔の壁面および基板表面に無電解めっきを施してスルーホールを形成する。
基板としては、ガラスエポキシ基板やポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板、フッ素樹脂基板などの樹脂基板、あるいはこれらの樹脂基板の銅張積層板、セラミック基板、金属基板などを用いることができる。特に、誘電率を考慮する場合は、両面銅張フッ素樹脂基板を用いることが好ましい。この基板は、片面が粗化された銅箔をポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂基板に熱圧着したものである。
無電解めっきとしては銅めっきがよい。フッ素樹脂基板のようにめっきのつきまわりが悪い基板の場合は、有機金属ナトリウムからなる前処理剤(商品名:潤工社製:テトラエッチ)による処理、プラズマ処理などの表面改質を行う。
(ii)次に、厚付けのために電解めっきを行う。この電解めっきとしては銅めっきがよい。
(iii)そしてさらに、スルーホール内壁および電解めっき膜表面を粗化処理して粗化層を設ける。この粗化層には、酸化還元処理によるものを用いる。
(iii)そしてさらに、スルーホール内壁および電解めっき膜表面を粗化処理して粗化層を設ける。この粗化層には、酸化還元処理によるものを用いる。
(2)充填材の充填
(i)前記(1)で形成したスルーホール内に、前述した成分組成の充填材を充填する。具体的には、充填材は、スルーホール部分に開口を設けたマスクを載置した基板上に、印刷法にて塗布することによりスルーホールに充填され、充填後、乾燥、硬化される。
(i)前記(1)で形成したスルーホール内に、前述した成分組成の充填材を充填する。具体的には、充填材は、スルーホール部分に開口を設けたマスクを載置した基板上に、印刷法にて塗布することによりスルーホールに充填され、充填後、乾燥、硬化される。
この充填材には、金属粒子と樹脂の密着力を上げるために、シランカップリング剤などの金属表面改質剤を添加してもよい。また、その他の添加剤として、アクリル系消泡剤やシリコン系消泡剤などの消泡剤、シリカやアルミナ、タルクなどの無機充填材を添加してもよい。また、金属粒子の表面には、シランカップリング剤を付着させてもよい。
このような充填材は、例えば、以下の条件にて印刷される。即ち、テトロン製メッシュ版の印刷マスク版と45℃の角スキージを用い、Cuペースト粘度:120Pa・s、スキージ速度:13mm/min、スキージ押込み量:1mmの条件で印刷する。
(ii)スルーホールからはみ出した充填材および基板の電解めっき膜表面の粗化層を研磨により除去して、基板表面を平坦化する。研磨は、ベルトサンダーやバフ研磨がよい。
(3)導体層の形成
(i)前記(2) で平坦化した基板の表面に触媒核を付与した後、無電解めっき、電解めっきを施し、さらにエッチングレジストを形成し、レジスト非形成部分をエッチングすることにより、導体回路部分およびふためっき層部分を形成する。そのエッチング液としては、硫酸−過酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液がよい。
(i)前記(2) で平坦化した基板の表面に触媒核を付与した後、無電解めっき、電解めっきを施し、さらにエッチングレジストを形成し、レジスト非形成部分をエッチングすることにより、導体回路部分およびふためっき層部分を形成する。そのエッチング液としては、硫酸−過酸化水素の水溶液、過硫酸アンモニウムや過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなどの過硫酸塩水溶液、塩化第二鉄や塩化第二銅の水溶液がよい。
(ii)そして、エッチングレジストを剥離して、独立した導体回路およびふためっき層とした後、その導体回路およびふためっき層の表面に、インタープレートによる針状合金めっきにて粗化層を形成する。導体回路およびふためっき層の表面に粗化層を形成すると、その導体は、層間樹脂絶縁層との密着性に優れるので、導体回路およびふためっき層の側面あるいは表面と樹脂絶縁層との界面を起点とするクラックが発生しない。また一方で、ふためっき層は、電気的に接続されるバイアホールとの密着性が改善される。
なお、導体層の形成方法として、以下の工程を採用することができる。
即ち、前記(1),(2)の工程を終えた基板にめっきレジストを形成し、次いで、レジスト非形成部分に電解めっきを施して導体回路およびふためっき層部分を形成し、これらの導体上に、ホウフッ化スズ、ホウフッ化鉛、ホウフッ化水素酸、ペプトンからなる電解半田めっき液を用いて半田めっき膜を形成した後、めっきレジストを除去し、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜および銅箔をエッチング除去して独立パターンを形成し、さらに、半田めっき膜をホウフッ酸水溶液で溶解除去して導体層を形成する。
即ち、前記(1),(2)の工程を終えた基板にめっきレジストを形成し、次いで、レジスト非形成部分に電解めっきを施して導体回路およびふためっき層部分を形成し、これらの導体上に、ホウフッ化スズ、ホウフッ化鉛、ホウフッ化水素酸、ペプトンからなる電解半田めっき液を用いて半田めっき膜を形成した後、めっきレジストを除去し、そのめっきレジスト下の無電解めっき膜および銅箔をエッチング除去して独立パターンを形成し、さらに、半田めっき膜をホウフッ酸水溶液で溶解除去して導体層を形成する。
(4)層間樹脂絶縁層の形成
(i)このようにして作製した配線基板上に、層間樹脂絶縁剤の層を形成する。層間樹脂絶縁剤としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。また、本発明では、層間樹脂絶縁材として前述した無電解めっき用接着剤を用いることができる。
層間樹脂絶縁層は、これらの樹脂の未硬化液を塗布したり、フィルム状の樹脂を熱圧着してラミネートすることにより形成される。
(i)このようにして作製した配線基板上に、層間樹脂絶縁剤の層を形成する。層間樹脂絶縁剤としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、あるいは熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂の複合体を使用できる。また、本発明では、層間樹脂絶縁材として前述した無電解めっき用接着剤を用いることができる。
層間樹脂絶縁層は、これらの樹脂の未硬化液を塗布したり、フィルム状の樹脂を熱圧着してラミネートすることにより形成される。
(ii)次に、未硬化の層間樹脂絶縁剤(無電解めっき用接着剤)を塗布した場合には、その層間樹脂絶縁剤の層を乾燥する。
この(i),(ii)の終了時点では、基板の導体回路上に設けた層間樹脂絶縁剤の層は、導体回路間に樹脂を充填していないので、導体回路パターン領域上の層間樹脂絶縁剤の層の厚さは薄く、導体回路の面積が広い領域上の層間樹脂絶縁剤の層の厚さは厚く、凹凸が発生している状態である(図4(d)参照)。
この(i),(ii)の終了時点では、基板の導体回路上に設けた層間樹脂絶縁剤の層は、導体回路間に樹脂を充填していないので、導体回路パターン領域上の層間樹脂絶縁剤の層の厚さは薄く、導体回路の面積が広い領域上の層間樹脂絶縁剤の層の厚さは厚く、凹凸が発生している状態である(図4(d)参照)。
(iii)次に、凹凸状態にある層間樹脂絶縁剤の層を、金属板や金属ロールを用いて加熱しながら押圧(加熱プレス)し、その表面を平坦化する(図4(e)参照)。ここで用いる金属板や金属ロールは、ステンレス製のものがよい。その理由は耐腐食性に優れるからである。加熱プレスは、層間樹脂絶縁剤の層を設けた基板を金属板または金属ロールにて挟持し、加熱雰囲気でプレスすることにより行う。この加熱プレスにより、層間絶縁剤の樹脂が流動して層間樹脂絶縁剤の層表面が平坦になる。
この加熱プレスにおける加熱温度、圧力、時間は、層間樹脂絶縁剤に用いる樹脂により異なる。例えば、エポキシ樹脂のアクリレートとポリエーテルスルフォンの複合体を樹脂マトリックスとし、エポキシ樹脂粒子を耐熱性樹脂粒子とした無電解めっき用接着剤を層間樹脂絶縁剤に用いる場合は、加熱温度を60〜70℃、圧力を15〜25kgf/cm2 、時間を15〜25分とすることが望ましい。
この加熱プレスにおける加熱温度、圧力、時間は、層間樹脂絶縁剤に用いる樹脂により異なる。例えば、エポキシ樹脂のアクリレートとポリエーテルスルフォンの複合体を樹脂マトリックスとし、エポキシ樹脂粒子を耐熱性樹脂粒子とした無電解めっき用接着剤を層間樹脂絶縁剤に用いる場合は、加熱温度を60〜70℃、圧力を15〜25kgf/cm2 、時間を15〜25分とすることが望ましい。
なお、金属ロールを用いる場合は、搬送しながら加熱プレスすることができ、量産性の観点から有利である。特に、ゴムのような弾性体のロールと金属ロールを組み合わせて用いることが有利である。例えば、最初にゴムロールにより加熱プレスし、次いで、金属ロールにて加熱プレスする。この場合、層間樹脂絶縁剤の層を設けた基板は最初のゴムロールにより予備加熱され、予備加熱されたその基板は金属ロールにより平坦化される。
本発明では、層間樹脂絶縁剤が感光性の場合は、必要に応じて加熱プレス前に透光性フィルムを層間樹脂絶縁剤の層上に貼り付けることができる。
この透光性フィルムは、光重合反応の際に酸素が反応を阻害して、現像時の膜減りやピール強度の低下を招くのを防止するために使用される。このため、浅いアンカー深さでも、ピール強度の低下は見られない。
この透光性フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのフィルムがよい。
この透光性フィルムは、光重合反応の際に酸素が反応を阻害して、現像時の膜減りやピール強度の低下を招くのを防止するために使用される。このため、浅いアンカー深さでも、ピール強度の低下は見られない。
この透光性フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムが望ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレン(PE)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのフィルムがよい。
なお、これらのフィルムは、貼着側の面に粘着剤を塗布しておくことが望ましい。その理由は、層間樹脂絶縁剤の層との密着性を確保できるからである。この粘着剤は、特に限定はされないが、「伊保内
賢、小松 公栄、北崎 寧昭 編著、工業調査会発行 粘着剤活用ノート」に記載されたものを使用できる。例えば、天然ゴム系、スチレンーブタジエン系、ポリイソブチレン系、イソプレン系、アクリル系、アクリルエマルジョン系、シリコーン系、天然ゴム−ブタジエンラテックス系の粘着剤が挙げられる。
具体的には、次のような組成の粘着剤を挙げることができる。
・天然ゴム系
天然ゴム 100重量部
粘着付与剤樹脂 150〜120重量部
亜鉛華 25〜50重量部
炭酸カルシウム 35〜60重量部
カーボンブラック 〜15重量部
老化防止剤 〜1.5重量部
イオウ 0.5〜2.25重量部
・スチレン−ブタジエン系
ゴムラテックス 100重量部
高融点粘着付与剤 89重量部
石鹸生成樹脂酸 5.6重量部
抵酸化剤 4.8重量部
アンモニア水 0.7重量部
水 151重量部
・ポリイソブチレン系
ポリイソブチレン 100重量部
ポリブテン 10重量部
ホワイトオイル 20重量部
・イソプレン系
クラレ製、商品名:クラプレンIR−10
・アクリル系
アクリル酸2−エチルヘキシン 78重量部
アクリル酸メチル 20重量部
無水マレイン酸 2重量部
ヘキサメチレンジアミン 0.5重量部
・アクリルエマルジョン系
2−エチルヘキシルアクリレート 70重量部
酢酸ビニル 30重量部
アクリル酸 2重量部
・シリコーン系
シリコーンゴム 100重量部
シリコーンレジン 80〜120重量部
縮合触媒 0.01〜0.5重量部
溶剤 100〜150重量部
賢、小松 公栄、北崎 寧昭 編著、工業調査会発行 粘着剤活用ノート」に記載されたものを使用できる。例えば、天然ゴム系、スチレンーブタジエン系、ポリイソブチレン系、イソプレン系、アクリル系、アクリルエマルジョン系、シリコーン系、天然ゴム−ブタジエンラテックス系の粘着剤が挙げられる。
具体的には、次のような組成の粘着剤を挙げることができる。
・天然ゴム系
天然ゴム 100重量部
粘着付与剤樹脂 150〜120重量部
亜鉛華 25〜50重量部
炭酸カルシウム 35〜60重量部
カーボンブラック 〜15重量部
老化防止剤 〜1.5重量部
イオウ 0.5〜2.25重量部
・スチレン−ブタジエン系
ゴムラテックス 100重量部
高融点粘着付与剤 89重量部
石鹸生成樹脂酸 5.6重量部
抵酸化剤 4.8重量部
アンモニア水 0.7重量部
水 151重量部
・ポリイソブチレン系
ポリイソブチレン 100重量部
ポリブテン 10重量部
ホワイトオイル 20重量部
・イソプレン系
クラレ製、商品名:クラプレンIR−10
・アクリル系
アクリル酸2−エチルヘキシン 78重量部
アクリル酸メチル 20重量部
無水マレイン酸 2重量部
ヘキサメチレンジアミン 0.5重量部
・アクリルエマルジョン系
2−エチルヘキシルアクリレート 70重量部
酢酸ビニル 30重量部
アクリル酸 2重量部
・シリコーン系
シリコーンゴム 100重量部
シリコーンレジン 80〜120重量部
縮合触媒 0.01〜0.5重量部
溶剤 100〜150重量部
本発明では、透光性フィルムを、凹凸状態にある層間樹脂絶縁剤の層に貼着してこれを加熱プレス(図4(e)参照)してもよく、凹凸状態にある層間樹脂絶縁剤の層を加熱プレスして平坦化した後に透光性フィルムを貼着してもよい。平坦化する前に透光性フィルムを貼着した方が、樹脂が金属板に付着しないため、有利である。
(iv)そして、層間樹脂絶縁剤の層を硬化して層間樹脂絶縁層とするとともに、上層の導体回路とスルーホールとの電気的接続を確保するために、この層間樹脂絶縁層にバイアホール形成用の開口を設ける。
このバイアホール形成用の開口は、層間樹脂絶縁剤が感光性樹脂からなる場合は、露光、現像処理にて行い、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなる場合は、レーザ光にて行う。このとき、使用されるレーザ光としては、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザなどがある。レーザ光にて孔明けした場合は、デスミア処理を行ってもよい。このデスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができ、また酸素プラズマなどで処理してもよい。
このバイアホール形成用の開口は、層間樹脂絶縁剤が感光性樹脂からなる場合は、露光、現像処理にて行い、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂からなる場合は、レーザ光にて行う。このとき、使用されるレーザ光としては、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザなどがある。レーザ光にて孔明けした場合は、デスミア処理を行ってもよい。このデスミア処理は、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液からなる酸化剤を使用して行うことができ、また酸素プラズマなどで処理してもよい。
(v)バイアホール形成用開口を設けた層間樹脂絶縁層の表面を、必要に応じて粗化する。
上述した無電解めっき用接着剤を層間樹脂絶縁層として使用した場合は、表面を酸や酸化剤で処理して接着剤層の表面に存在する耐熱性樹脂粒子のみを選択的に溶解または分解により除去して粗化する。また、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を使用した場合でも、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液から選ばれる酸化剤による表面粗化処理が有効である。なお、酸化剤では粗化されないフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)などの樹脂の場合は、プラズマ処理やテトラエッチなどにより表面を粗化することができる。このとき、粗化面の深さは、1〜5μm程度がよい。
ここで、上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)の水溶液を用いることが望ましい。
上述した無電解めっき用接着剤を層間樹脂絶縁層として使用した場合は、表面を酸や酸化剤で処理して接着剤層の表面に存在する耐熱性樹脂粒子のみを選択的に溶解または分解により除去して粗化する。また、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂を使用した場合でも、クロム酸、過マンガン酸塩などの水溶液から選ばれる酸化剤による表面粗化処理が有効である。なお、酸化剤では粗化されないフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)などの樹脂の場合は、プラズマ処理やテトラエッチなどにより表面を粗化することができる。このとき、粗化面の深さは、1〜5μm程度がよい。
ここで、上記酸としては、リン酸、塩酸、硫酸、あるいは蟻酸や酢酸などの有機酸があるが、特に有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
一方、上記酸化剤としては、クロム酸、過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウムなど)の水溶液を用いることが望ましい。
(5)導体回路の形成
(i)層間樹脂絶縁層の表面を粗化した配線基板に、無電解めっき用の触媒核を付与する。
一般に触媒核は、パラジウム−スズコロイドであり、この溶液に基板を浸漬、乾燥、加熱処理して樹脂表面に触媒核を固定する。また、金属核をCVD、スパッタ、プラズマにより樹脂表面に打ち込んで触媒核とすることができる。この場合、樹脂表面に金属核が埋め込まれることになり、この金属核を中心にめっきが析出して導体回路が形成されるため、粗化しにくい樹脂やフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)のように樹脂と導体回路との密着が悪い樹脂でも、密着性を確保できる。この金属核としては、パラジウム、銀、金、白金、チタン、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種以上がよい。なお、金属核の量は、20μg/cm2以下がよい。この量を超えると金属核を除去しなければならないからである。
(i)層間樹脂絶縁層の表面を粗化した配線基板に、無電解めっき用の触媒核を付与する。
一般に触媒核は、パラジウム−スズコロイドであり、この溶液に基板を浸漬、乾燥、加熱処理して樹脂表面に触媒核を固定する。また、金属核をCVD、スパッタ、プラズマにより樹脂表面に打ち込んで触媒核とすることができる。この場合、樹脂表面に金属核が埋め込まれることになり、この金属核を中心にめっきが析出して導体回路が形成されるため、粗化しにくい樹脂やフッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)のように樹脂と導体回路との密着が悪い樹脂でも、密着性を確保できる。この金属核としては、パラジウム、銀、金、白金、チタン、銅およびニッケルから選ばれる少なくとも1種以上がよい。なお、金属核の量は、20μg/cm2以下がよい。この量を超えると金属核を除去しなければならないからである。
(ii)次に、層間樹脂絶縁層の表面に無電解めっきを施し、粗化面全面に、その粗面に沿って凹凸を有する薄膜の無電解めっき膜を形成する。このとき、無電解めっき膜の厚みは、0.1〜5μm、より望ましくは0.5〜3μmとする。
(iii)次に、この無電解めっき膜上にめっきレジストを形成する。めっきレジスト組成物としては、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック型エポキシ樹脂のアクリレートとイミダゾール硬化剤からなる組成物を用いることが望ましいが、他に市販品のドライフィルムを使用することもできる。
(iv)次に、無電解めっき膜を形成した基板を、10〜35℃、望ましくは15〜30℃の水で水洗する。
この理由は、水洗温度が35℃を超えると水が揮発してしまい、無電解めっき膜の表面が乾燥して、酸化してしまい、電解めっき膜が析出しない。そのため、エッチング処理により、無電解めっき膜が溶解してしまい、導体が存在しない部分が生じてしまう。一方、10℃未満では水に対する汚染物質の溶解度が低下し、洗浄力が低下してしまうからである。特に、バイアホールのランドの径が200μm以下になると、めっきレジストが水をはじくため、水が揮発しやすく、電解めっきの未析出という問題が発生しやすい。
なお、洗浄水の中には、各種の界面活性剤、酸、アルカリを添加しておいてもよい。また、洗浄後に硫酸などの酸で洗浄してもよい。
この理由は、水洗温度が35℃を超えると水が揮発してしまい、無電解めっき膜の表面が乾燥して、酸化してしまい、電解めっき膜が析出しない。そのため、エッチング処理により、無電解めっき膜が溶解してしまい、導体が存在しない部分が生じてしまう。一方、10℃未満では水に対する汚染物質の溶解度が低下し、洗浄力が低下してしまうからである。特に、バイアホールのランドの径が200μm以下になると、めっきレジストが水をはじくため、水が揮発しやすく、電解めっきの未析出という問題が発生しやすい。
なお、洗浄水の中には、各種の界面活性剤、酸、アルカリを添加しておいてもよい。また、洗浄後に硫酸などの酸で洗浄してもよい。
(v)次に、めっきレジスト非形成部に電解めっきを施し、導体回路、ならびにバイアホールとなる導体部を設ける。
ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましく、その厚みは、10〜20μmがよい。
ここで、上記電解めっきとしては、銅めっきを用いることが望ましく、その厚みは、10〜20μmがよい。
(vi)さらに、めっきレジストを除去した後、硫酸と過酸化水素の混合液や過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶液からなるエッチング液でめっきレジスト下の無電解めっき膜を溶解除去し、無電解めっき膜と電解めっき膜の2層からなる独立した導体回路、ならびにバイアホールを得る。
(6)配線基板の多層化前記(5) で形成した導体回路の表面に粗化層を形成した後、前記(4),(5)の工程を繰り返してさらに上層の導体回路を設けることにより、所定の多層プリント配線板を製造する。
(実施例1)
A.上層の無電解めっき用接着剤の調製
(i)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)3.15重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMPを3.6重量部を攪拌混合した。
(ii)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのものを7.2重量部、平均粒径0.5μmのものを3.09重量部を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
(iii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュアI−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2重量部、NMP1.5重量部を攪拌混合した。
これらを混合して2層構造の層間樹脂絶縁層を構成する上層側の接着剤層として用いられる無電解めっき用接着剤を調製した。
A.上層の無電解めっき用接着剤の調製
(i)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)3.15重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMPを3.6重量部を攪拌混合した。
(ii)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径1.0μmのものを7.2重量部、平均粒径0.5μmのものを3.09重量部を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
(iii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュアI−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2重量部、NMP1.5重量部を攪拌混合した。
これらを混合して2層構造の層間樹脂絶縁層を構成する上層側の接着剤層として用いられる無電解めっき用接着剤を調製した。
B.下層の層間樹脂絶縁剤の調製
(i)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMPを3.6重量部を攪拌混合した。
(ii)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのものを14.49重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
(iii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュアI−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2重量部、NMP1.5重量部を攪拌混合した。これらを混合して、2層構造の層間樹脂絶縁層を構成する下層側の絶縁剤層として用いられる樹脂組成物を調製した。
(i)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製、分子量2500)の25%アクリル化物を80wt%の濃度でDMDGに溶解させた樹脂液を35重量部、感光性モノマー(東亜合成製、アロニックスM315)4重量部、消泡剤(サンノプコ製、S−65)0.5重量部、NMPを3.6重量部を攪拌混合した。
(ii)ポリエーテルスルフォン(PES)12重量部、エポキシ樹脂粒子(三洋化成製、ポリマーポール)の平均粒径0.5μmのものを14.49重量部、を混合した後、さらにNMP30重量部を添加し、ビーズミルで攪拌混合した。
(iii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)2重量部、光開始剤(チバガイギー製、イルガキュアI−907)2重量部、光増感剤(日本化薬製、DETX-S)0.2重量部、NMP1.5重量部を攪拌混合した。これらを混合して、2層構造の層間樹脂絶縁層を構成する下層側の絶縁剤層として用いられる樹脂組成物を調製した。
C.スルーホール充填用樹脂組成物の調製クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート152)3.5重量部、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート807)14.1重量部、平均粒子径14nmのシリカ超微粒子(アエロジルR202)1.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.2重量部、平均粒子径15μmの銅粉100重量部を3本ロールにて混練し、その混合物の粘度を22±1℃で200〜300Pa・sに調整して、スルーホール充填用樹脂組成物(樹脂充填材)5を調製した。
D.プリント配線板の製造方法
(1)厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔2がラミネートされている銅張積層板を出発材料とし(図3(a)参照)、まず、この銅張積層板をドリル削孔した(図3(b)参照)。
(1)厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板1の両面に18μmの銅箔2がラミネートされている銅張積層板を出発材料とし(図3(a)参照)、まず、この銅張積層板をドリル削孔した(図3(b)参照)。
次に、パラジウム−スズコロイドを付着させ、下記組成で無電解めっきを施して、基板全面に2μmの無電解めっき膜を形成した。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
さらに、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜を形成した(図3(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
(2)全面に無電解銅めっき膜と電解銅めっき膜からなる導体(スルーホール3を含む)を形成した基板を、水洗いし、乾燥した後、酸化浴として、NaOH(20g/l)、NaClO2(50g/l)、Na3PO4(15.0g/l)の水溶液を用い、還元浴として、NaOH(2.7g/l)、NaBH4(1.0g/l)の水溶液を用いた酸化還元処理に供し、そのスルーホール3を含む導体の全表面に粗化層4を設けた(図3(d)参照)。
(3)前記Cで調製した樹脂充填材5を、スルーホール3内にスクリーン印刷によって充填し、乾燥、硬化させた。そして、導体上面の粗化層4およびスルーホール3からはみ出した充填材5を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により除去し、さらにこのベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行い、基板表面を平坦化した(図3(e)参照)。
(4)前記(3)で平坦化した基板表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与し、常法に従って無電解銅めっきを施すことにより、厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜6を形成した(図3(f)参照)。
(5)ついで、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜7を形成し、導体回路9となる部分の厚付け、およびスルーホール3に充填された充填材5を覆う導体層(ふためっき層)10となる部分を形成した。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
〔電解めっき水溶液〕
硫酸 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アトテックジャパン製、商品名:カパラシドGL) 1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
(6)導体回路9および導体層10となる部分を形成した基板の両面に、市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスク載置して、100mJ/cm2で露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのエッチングレジスト8を形成した(図4(a)参照)。
(7)そして、エッチングレジスト8を形成してない部分のめっき膜を、硫酸と過酸化水素の混合液を用いるエッチングにて溶解除去し、さらに、エッチングレジスト8を5%KOH水溶液で剥離除去して、独立した導体回路9および充填材5を覆う導体層(ふためっき層)10を形成した(図4(b)参照)。
(8)次に、導体回路9および充填材5を覆う導体層(ふためっき層)10の側面を含む全表面にCu−Ni−P合金からなる厚さ2.5μmの粗化層(凹凸層)11を形成し、さらにこの粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を形成した(図4(c)参照、Sn層については図示しない)。
その形成方法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィノール465)0.1g/lの水溶液からなるpH=9の無電解めっき浴にてめっきを施し、導体回路9および充填材5を覆う導体層10の表面にCu−Ni−P合金の粗化層11を設けた。ついで、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/lを用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
その形成方法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィノール465)0.1g/lの水溶液からなるpH=9の無電解めっき浴にてめっきを施し、導体回路9および充填材5を覆う導体層10の表面にCu−Ni−P合金の粗化層11を設けた。ついで、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/lを用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
(9)基板の両面に、Bの層間樹脂絶縁剤(粘度15Pa・s)をロールコータで塗布し、水平状態で20分間放置してから、60℃で30分の乾燥を行い、絶縁剤層を形成した。さらにこの絶縁剤層の上にAの無電解めっき用接着剤(粘度8Pa・s)をロールコータを用いて塗布し、55℃で40分の乾燥を行い、接着剤層を形成し、層間樹脂絶縁剤の層12を形成した(図4(d)参照)。このとき、層間樹脂絶縁剤の層12の表面は、導体間の凹凸に起因して平坦ではなかった。
(10)前記(9)で形成した層間樹脂絶縁剤の層12の表面にポリエチレンテレフタレートフィルム(透光性フィルム)18を貼着した後、ステンレス板20で挟み、20kgf/cm2で加圧し、加熱炉内で65℃で加熱しながら、20分間加熱プレスした(図4(e)参照)。この加熱プレスにより、層間樹脂絶縁剤の層12の表面を平坦化した。
(11)前記(10)で平坦化した基板の両面に、85μmφの黒円が印刷されたフォトマスクフィルムを密着させ、超高圧水銀灯により500mJ/cm2で露光した。これをDMDG溶液でスプレー現像することにより、その層間樹脂絶縁剤の層12に85μmφのバイアホールとなる開口を形成した。さらに、当該基板を超高圧水銀灯により3000mJ/cm2で露光し、100℃で1時間、その後150℃で5時間の加熱処理をすることにより、フォトマスクフィルムに相当する寸法精度に優れた開口(バイアホール形成用開口13)を有する厚さ35μmの層間樹脂絶縁層12を形成した(図4(f)参照)。なお、バイアホールとなる開口には、スズめっき層を部分的に露出させた。
(12)バイアホール形成用開口を形成した基板を、800g/lのクロム酸水溶液に70℃で19分間浸漬し、層間樹脂絶縁層12の接着剤層の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、当該層間樹脂絶縁層12の表面を粗面(深さ3μm)とし、その後、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層12の表面およびバイアホール用開口13の内壁面に触媒核を付けた。
さらに、粗面化処理した該基板の表面に、パラジウム触媒(アトテック製)を付与することにより、層間樹脂絶縁層12の表面およびバイアホール用開口13の内壁面に触媒核を付けた。
(13)以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に基板を浸漬して、粗面全体に厚さ0.6μmの無電解銅めっき膜14を形成した(図5(a)参照)。このとき、めっき膜が薄いために無電解めっき膜表面には凹凸が観察された。
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
〔無電解めっき水溶液〕
EDTA 150g/l
硫酸銅 20g/l
HCHO 30ml/l
NaOH 40g/l
α、α’−ビピリジル 80mg/l
PEG 0.1g/l
〔無電解めっき条件〕
70℃の液温度で30分
(14)前記(13)で形成した無電解めっき膜14上に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2で露光、0.8%炭酸ナトリウムで現像処理し、厚さ15μmのめっきレジスト16を設けた(図5(b)参照)。
(15)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解銅めっきを施し、厚さ15μmの電解銅めっき膜15を形成した(図5(c)参照)。
〔電解めっき水溶液〕
硫酸銅 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アドテックジャパン製、カパラシドGL) 1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
〔電解めっき水溶液〕
硫酸銅 180g/l
硫酸銅 80g/l
添加剤(アドテックジャパン製、カパラシドGL) 1ml/l
〔電解めっき条件〕
電流密度 1A/dm2
時間 30分
温度 室温
(16)めっきレジスト16を5%KOH水溶液で剥離除去した後、そのめっきレジスト16下の無電解めっき膜14を硫酸と過酸化水素の混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜14と電解銅めっき膜15からなる厚さ18μmの導体回路(バイアホール17を含む)9を形成した(図5(d)参照)。さらに、70℃で800g/lのクロム酸水溶液に3分間浸漬して、導体回路非形成部分に位置する導体回路間の無電解めっき用接着剤層の表面を1μmエッチング処理し、その表面に残存するパラジウム触媒を除去した。
(17)導体回路9を形成した基板を、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィノール465)0.1g/lからなるpH=9の無電解めっき液に浸漬し、該導体回路9の表面に厚さ3μmの銅−ニッケル−リンからなる粗化層11を形成した。このとき、形成した粗化層11をEPMA(蛍光X線分析装置)で分析したところ、Cu:98mol%、Ni:1.5mol%、P:0.5mol%の組成比であった。
さらに、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/lの水溶液を用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応を行い、前記粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
さらに、ホウフッ化スズ0.1mol/l、チオ尿素1.0mol/lの水溶液を用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応を行い、前記粗化層11の表面に厚さ0.3μmのSn層を設けた(Sn層については図示しない)。
(18)前記(9)〜(17)の工程を繰り返すことにより、さらに上層の導体回路を形成し、多層配線板を得た。但し、Sn置換は行わなかった(図6(a)参照)。
(19)一方、DMDGに溶解させた60wt%のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量4000)を46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80wt%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル製、エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)1.6重量部、感光性モノマーである多価アクリルモノマー(日本化薬製、R604)3重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄社化学製、DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を混合し、さらにこの混合物に対して光開始剤としてのベンゾフェノン(関東化学製)を2重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学製)0.2重量部を加えて、ソルダーレジスト組成物を得た。
(20)前記(18)で得た多層配線基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を20μmの厚さで塗布した。次いで、70℃で20分間、70℃で30分間の乾燥処理を行った後、クロム層によってソルダーレジスト開口部の円パターン(マスクパターン)が描画された厚さ5mmのソーダライムガラス基板を、クロム層が形成された側をソルダーレジスト層に密着させて1000mJ/cm2の紫外線で露光し、DMTG現像処理した。さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件で加熱処理し、はんだパッドの上面、バイアホールおよびランド部分を開口した(開口径200μm)ソルダーレジストパターン層19(厚み20μm)を形成した。
(21)次に、ソルダーレジストパターン層18を形成した基板を、塩化ニッケル30g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/l、クエン酸ナトリウム10g/lの水溶液からなるpH=5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、開口部に厚さ5μmのニッケルめっき層21を形成した。さらに、その基板を、シアン化金カリウム2g/l、塩化アンモニウム75g/l、クエン酸ナトリウム50g/l、次亜リン酸ナトリウム10g/lの水溶液からなる無電解金めっき液に93℃の条件で23秒間浸漬して、ニッケルめっき層21上に厚さ0.03μmの金めっき層22を形成した。
(22)そして、ソルダーレジストパターン層19の開口部に、はんだペーストを印刷して 200℃でリフローすることによりはんだバンプ(はんだ体)23を形成し、はんだバンプ23を有する多層プリント配線板を製造した(図6(b)参照)。
(比較例1)
(1)実施例1の(1)〜(8)を実施した。
(2)樹脂充填材の調製
(i)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310,YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径1.6μmのSiO2球状粒子(アドマテック製、CRS1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする)170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5重量部を3本ロールにて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cpsに調整した。
(ii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5重量部。これらを混合して樹脂充填材を調製した。
(3)この樹脂充填材を、基板の両面にロールコータを用いて塗布することにより導体回路間に充填し、次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って硬化した。
(4)前記(3)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターンの表面やスルーホールのランド表面に樹脂充填材が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
しかしながら、この研磨の際に、ふためっきが剥離した。この点、本発明にかかる実施例1の方法では、ふためっき層の欠損を招くことなく、配線やスルーホールの高密度化を実現することができる。
(1)実施例1の(1)〜(8)を実施した。
(2)樹脂充填材の調製
(i)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310,YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径1.6μmのSiO2球状粒子(アドマテック製、CRS1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする)170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5重量部を3本ロールにて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cpsに調整した。
(ii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5重量部。これらを混合して樹脂充填材を調製した。
(3)この樹脂充填材を、基板の両面にロールコータを用いて塗布することにより導体回路間に充填し、次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って硬化した。
(4)前記(3)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターンの表面やスルーホールのランド表面に樹脂充填材が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
しかしながら、この研磨の際に、ふためっきが剥離した。この点、本発明にかかる実施例1の方法では、ふためっき層の欠損を招くことなく、配線やスルーホールの高密度化を実現することができる。
(比較例2)
(1)厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板の両面に18μmの銅箔がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、めっきレジストを形成した後、無電解めっき処理してスルーホールを形成し、さらに、銅箔を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板の両面に内層銅パターンを形成した。
(2)内層銅パターンを形成した基板を、水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2(40g/l)、Na3PO4(6g/l)の水溶液を酸化浴、またNaOH(10g/l)、NaBH4
(6g/l)の水溶液を還元浴とし、導体回路、スルーホール全表面に粗化層を設けた。
(3)樹脂充填材の調製
(i)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310,YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径1.6μmのSiO2
球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする)170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5重量部を3本ロールにて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cpsに調整した。
(ii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5重量部。
これらを混合して樹脂充填材を調製した。
(4)この樹脂充填材を、基板の両面にロールコータを用いて塗布することにより導体回路間あるいはスルーホール内に充填し、次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って硬化した。即ち、この工程により、樹脂充填材が内層銅パターンの間あるいはスルーホール内に充填される。
(5)前記(4)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターンの表面やスルーホールのランド表面に樹脂充填材が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
このようにして、スルーホール等に充填された樹脂充填材の表層部および内層導体回路上面の粗化層を除去して基板両面を平滑化し、樹脂充填材と導体回路の側面とが粗化層を介して強固に密着し、またスルーホールの内壁面と樹脂充填材とが粗化層を介して強固に密着した配線基板を得た。即ち、この工程により、樹脂充填材の表面と内層銅パターンの表面が同一平面となる。ここで、充填した硬化樹脂のTg点は155.6℃、線熱膨張係数は44.5×10-5/℃であった。
(6)さらに、露出した導体回路およびスルーホールのランド上面に厚さ5μmのCu−Ni−P合金被覆層、厚さ2μmのCu−Ni−P針状合金粗化層および粗化層表面に厚さ0.3μmのSn金属被覆層を設けた。
これらの層の形成方法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィノール104)0.1g/lの水溶液からなるpH=9の無電銅めっき浴に基板を浸漬し、この基板を4秒に1回の割合で縦方向に振動させるとともに、めっき析出後、3分後に空気をバブリングさせて、銅導体回路およびスルーホールの表面にCu−Ni−Pの非針状合金の被覆層を最初に析出させ、次にCu−Ni−Pの針状合金を析出させて粗化層を設けた。さらに、100℃で30分、120℃で30分、150℃で2時間の加熱処理を行い、10体積%の硫酸水溶液、および0.2mol/lのホウフッ酸水溶液で処理した後、ホウフッ化スズ
0.1mol/l、チオ尿素 1.0mol/lの水溶液を用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn金属被覆層を設けた。
(7)そして、実施例1の(9)〜(22)を実施し、はんだバンプを有する多層プリント配線板を製造した。
(1)厚さ1mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる基板の両面に18μmの銅箔がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、めっきレジストを形成した後、無電解めっき処理してスルーホールを形成し、さらに、銅箔を常法に従いパターン状にエッチングすることにより、基板の両面に内層銅パターンを形成した。
(2)内層銅パターンを形成した基板を、水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2(40g/l)、Na3PO4(6g/l)の水溶液を酸化浴、またNaOH(10g/l)、NaBH4
(6g/l)の水溶液を還元浴とし、導体回路、スルーホール全表面に粗化層を設けた。
(3)樹脂充填材の調製
(i)ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル製、分子量310,YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径1.6μmのSiO2
球状粒子(アドマテック製、CRS 1101−CE、ここで、最大粒子の大きさは後述する内層銅パターンの厚み(15μm)以下とする)170重量部、レベリング剤(サンノプコ製、ペレノールS4)1.5重量部を3本ロールにて混練して、その混合物の粘度を23±1℃で45,000〜49,000cpsに調整した。
(ii)イミダゾール硬化剤(四国化成製、2E4MZ-CN)6.5重量部。
これらを混合して樹脂充填材を調製した。
(4)この樹脂充填材を、基板の両面にロールコータを用いて塗布することにより導体回路間あるいはスルーホール内に充填し、次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って硬化した。即ち、この工程により、樹脂充填材が内層銅パターンの間あるいはスルーホール内に充填される。
(5)前記(4)の処理を終えた基板の片面を、#600のベルト研磨紙(三共理化学製)を用いたベルトサンダー研磨により、内層銅パターンの表面やスルーホールのランド表面に樹脂充填材が残らないように研磨し、次いで、前記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
このようにして、スルーホール等に充填された樹脂充填材の表層部および内層導体回路上面の粗化層を除去して基板両面を平滑化し、樹脂充填材と導体回路の側面とが粗化層を介して強固に密着し、またスルーホールの内壁面と樹脂充填材とが粗化層を介して強固に密着した配線基板を得た。即ち、この工程により、樹脂充填材の表面と内層銅パターンの表面が同一平面となる。ここで、充填した硬化樹脂のTg点は155.6℃、線熱膨張係数は44.5×10-5/℃であった。
(6)さらに、露出した導体回路およびスルーホールのランド上面に厚さ5μmのCu−Ni−P合金被覆層、厚さ2μmのCu−Ni−P針状合金粗化層および粗化層表面に厚さ0.3μmのSn金属被覆層を設けた。
これらの層の形成方法は以下のようである。即ち、基板を酸性脱脂してソフトエッチングし、次いで、塩化パラジウムと有機酸からなる触媒溶液で処理して、Pd触媒を付与し、この触媒を活性化した後、硫酸銅8g/l、硫酸ニッケル0.6g/l、クエン酸15g/l、次亜リン酸ナトリウム29g/l、ホウ酸31g/l、界面活性剤(日信化学工業製、サーフィノール104)0.1g/lの水溶液からなるpH=9の無電銅めっき浴に基板を浸漬し、この基板を4秒に1回の割合で縦方向に振動させるとともに、めっき析出後、3分後に空気をバブリングさせて、銅導体回路およびスルーホールの表面にCu−Ni−Pの非針状合金の被覆層を最初に析出させ、次にCu−Ni−Pの針状合金を析出させて粗化層を設けた。さらに、100℃で30分、120℃で30分、150℃で2時間の加熱処理を行い、10体積%の硫酸水溶液、および0.2mol/lのホウフッ酸水溶液で処理した後、ホウフッ化スズ
0.1mol/l、チオ尿素 1.0mol/lの水溶液を用い、温度50℃、pH=1.2の条件でCu−Sn置換反応させ、粗化層の表面に厚さ0.3μmのSn金属被覆層を設けた。
(7)そして、実施例1の(9)〜(22)を実施し、はんだバンプを有する多層プリント配線板を製造した。
このようにして製造した多層プリント配線板について、−55〜125℃で1000回のヒートサイクル試験を実施し、光学顕微鏡により層間樹脂絶縁層中のクラックの有無を確認した。その結果を表1に示す。また、電子部品の実装性について評価した。
表1に示す結果から明らかなように、本発明のプリント配線板は、ヒートサイクルの条件下での耐クラック性に優れている。電子部品の実装性についても問題はなかった。
1 基板
2 銅箔
3 スルーホール
4,11 粗化層
5 充填材
6,14 無電解めっき膜
7,15 電解めっき膜
8 エッチングレジスト
9 導体回路
10 導体層
12 層間樹脂絶縁層(層間樹脂絶縁剤の層)
13 バイアホール用開口
16 めっきレジスト
17 バイアホール
18 透光性フィルム
19 ソルダーレジスト層
20 金属板(ステンレス板)
21 ニッケルめっき層
22 金めっき層
23 はんだバンプ
2 銅箔
3 スルーホール
4,11 粗化層
5 充填材
6,14 無電解めっき膜
7,15 電解めっき膜
8 エッチングレジスト
9 導体回路
10 導体層
12 層間樹脂絶縁層(層間樹脂絶縁剤の層)
13 バイアホール用開口
16 めっきレジスト
17 バイアホール
18 透光性フィルム
19 ソルダーレジスト層
20 金属板(ステンレス板)
21 ニッケルめっき層
22 金めっき層
23 はんだバンプ
Claims (3)
- 基板上に、層間樹脂絶縁層を介して導体回路が形成されてなり、該基板にはスルーホールが設けられ、そのスルーホールには充填材が充填された構造を有する多層プリント配線板において、前記スルーホールの直上には、充填材のスルーホールからの露出面を覆う導体層が形成され、この導体層およびこれと同層に位置する導体回路には、側面を含む全表面に粗化層が形成され、この粗化層の表面には、導体間の凹部を充填し、その表面が平坦な層間樹脂絶縁層が形成されており、前記導体層およびこれと同層に位置する導体回路は、無電解めっきと、その上に形成された電解めっきとからなることを特徴とする多層プリント配線板。
- 前記層間樹脂絶縁層には、前記スルーホール直上に位置する部分に開口を設けて、導体回路およびバイアホールを形成することを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
- 前記充填材として、金属粒子、熱硬化性または熱可塑性の樹脂および硬化剤からなるものを用いることを特徴とする請求項1に記載の多層プリント配線板。
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JP2006312424A JP2007073989A (ja) | 2006-11-20 | 2006-11-20 | 多層プリント配線板およびその製造方法 |
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JP2011162622A (ja) * | 2010-02-08 | 2011-08-25 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | プリント配線板用樹脂組成物、プリプレグ、積層板、樹脂シート、プリント配線板、および半導体装置 |
JP2012153814A (ja) * | 2011-01-26 | 2012-08-16 | Sumitomo Bakelite Co Ltd | エポキシ樹脂組成物 |
-
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- 2006-11-20 JP JP2006312424A patent/JP2007073989A/ja active Pending
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A131 | Notification of reasons for refusal |
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A521 | Written amendment |
Effective date: 20091109 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 |
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