JP2007073975A - Iii族窒化物結晶の品質改善方法、エピタキシャル成長用基板、および半導体素子 - Google Patents

Iii族窒化物結晶の品質改善方法、エピタキシャル成長用基板、および半導体素子 Download PDF

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Abstract

【課題】作製条件に特段の制限を設けることなく、III族窒化物結晶における結晶品質の改善を実現する。
【解決手段】単結晶の基材1とその主面上にエピタキシャル形成されたIII族窒化物結晶膜からなる上部層2とで構成されたエピタキシャル基板10を、窒素雰囲気下で1650℃以上の温度で加熱処理した。その結果、表面におけるピットが低減し、係る加熱処理がIII族窒化物結晶の表面平坦性の改善に効果があることが確認された。また、III族窒化物結晶内の転位密度が熱処理前の1/2以下となることも確認された。
【選択図】図1

Description

本発明は、III族窒化物結晶の結晶品質を改善する技術に関する。
III族窒化物結晶は、フォトニックデバイス及び電子デバイスなどの半導体素子を構成する材料として用いられており、近年においては、携帯電話などに用いられる高速ICチップなどを構成する半導体材料としても注目を浴びている。特に、AlN膜はフィ−ルドエミッタへの応用材料として注目されている。
こうしたデバイス応用のためには、III族窒化物結晶は自立した状態で供されることが理想的である。しかし、現状のところ、結晶品質や製造コストなどの問題から、所定の単結晶基材の上に、III族窒化物結晶をせいぜい10μm程度に(熱膨張率差に起因したそりの生じない程度に)エピタキシャル形成した、いわゆるエピタキシャル基板として供給される態様が一般的である。その形成方法としては、一般にMOCVD法(有機金属化学的気相成長法)、MBE法(分子線エピタキシ−法)といった薄膜形成方法が用いられる。
ただし、このような構成を有するエピタキシャル基板においては、基材とIII族窒化物結晶との間に格子定数に差があり、係る格子ミスマッチに起因した転位が両者の界面にて発生する。係る転位は、デバイス機能層であるIII族窒化物膜に貫通し、そのほとんどが表面にまで伝搬する。良好なデバイス特性の実現のためには、このデバイス機能層にまで伝搬する転位を、できるだけ抑制することが必要となる。
係る基材とIII族窒化物結晶との間の格子ミスマッチに起因した結晶品質の改善方法として、ELO法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。これは、転位密度の低減に、マスク等を用いた選択横方向成長技術を利用するものである。
また、上記III族窒化物結晶がAlNからなる場合、選択成長が期待できないため、基材加工を行うことによるELO法を用いた低転位化(例えば、特許文献1参照)や、サファイア基板を直接に窒化することによる低転位AlNの形成方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
酒井 朗,碓井 彰,「GaN選択横方向成長による転位密度の低減」, 「応用物理」,応用物理学会,第68巻,第7号,P.774〜779 (1999) 特許3455512号公報 特開2004−137142号公報
機能デバイスとして作用させるべくIII族窒化物結晶を基材上に形成する際、該機能デバイスの性能を向上させるためには、結晶品質をできるだけ改善する必要がある。例えば、エピタキシャル基板が機能デバイスに用いられる場合、通常はさらにその上方に単結晶層が形成されるが、係る単結晶層が良好な結晶品質を有するためには、エピタキシャル基板を構成するIII族窒化物結晶の表面の平坦性が良好であることが必要である。ここで、表面の平坦性が良好であるとは、例えばピットが存在しないことや、表面粗さが小さいこと(好ましくは原子レベルでフラットであること)などを意味する。
また、転位密度をでき得る限り小さく抑えることが必要である。転位密度を小さくすることにより、例えば、発光デバイスであれば発光効率の向上が、受光デバイスであれば暗電流の低減が、さらには、電子デバイスであれば移動度の向上を見込むことができる。
ところが、非特許文献1、特許文献1および特許文献2に開示された技術は、転位の低減は実現可能であるが、表面平坦性の改善を目的とするものではなかった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、III族窒化物結晶の結晶品質の改善を容易に実現する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、所定の単結晶基材の上に形成されてなるIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、1500℃以上の加熱温度で加熱する加熱工程、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記加熱温度が1600℃以上であることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記加熱工程が、窒素元素含有雰囲気にてなされることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記加熱工程が、窒素ガス雰囲気にてなされることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記加熱工程においては前記単結晶基材と前記III族窒化物結晶とから反応生成物が生じない、ことを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記III族窒化物結晶の主面の結晶方位が、実質的に(0001)面であることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記III族窒化物結晶において全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上であることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、前記III族窒化物結晶がAlNであることを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の結晶品質改善方法であって、前記加熱工程を、前記III族窒化物結晶の形成に用いた装置とは別個の装置で行うことを特徴とする。
また、請求項10の発明は、所定の単結晶基材と、前記単結晶基材の上にエピタキシャル形成されてなる上部層と、を備えるエピタキシャル成長用基板であって、前記上部層が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法によって処理された第1のIII族窒化物結晶からなる、ことを特徴とする。
また、請求項11の発明は、半導体素子であって、請求項10に記載のエピタキシャル成長用基板の上に第2のIII族窒化物結晶からなる半導体層が形成されてなり、前記第2のIII族窒化物結晶の主面内の格子定数が前記第1のIII族窒化物結晶の主面内の格子定数よりも小さくない、ことを特徴とする。
請求項1ないし9の発明によれば、加熱処理を行うことで、エピタキシャル形成されたIII族窒化物の結晶品質の改善が実現される。例えば、当該発明に係る方法が施される前に比して、転位の低減が実現される。また、III族窒化物結晶が0.5μm程度以上の膜厚を有する場合であれば、ピットの解消による結晶表面の平坦性の改善も実現される。しかも、加熱処理に際しては、III族窒化物結晶の成膜自体の条件設定や制御に対して、特段の制限が要求されることはない。
特に、請求項2の発明によれば、III族窒化物結晶の膜厚が0.005μm程度以上の場合であっても、ピットの解消や表面粗さの向上といった結晶表面の平坦性の改善とともに、転位密度の低減も実現できる。
また、請求項10の発明によれば、該エピタキシャル成長用基板の上に半導体素子の機能層としての半導体層を高品質に形成することができるようになる。
また、請求項11の発明によれば、クラックが抑制された高品質な半導体層を有する半導体素子を提供することができる。
III族窒化物半導体材料を用いた半導体素子は、その機能層である半導体素子層をエピタキシャル基板の上にエピタキシャル形成させることによって得られるが、結晶品質を向上させるためには、下地基板であるエピタキシャル基板を高品質化させることが有効である。以下に説明する、本発明の実施の形態に係る結晶品質改善方法は、係るエピタキシャル基板の高品質化を実現するための方法である。
具体的には、エピタキシャル基板表面のピット等の発生による表面平坦性劣化を抑制することにより、エピタキシャル基板と半導体素子層の界面での転位の再発生を抑制することができる。エピタキシャル基板の表面粗さは、原子ステップが明瞭に観察される程度の平坦性が実現される程度が望ましく、具体的には、AFMにより計測された5μm□の表面粗さ(ra)は10Å以下であることが望ましい。あるいは、AFMにより計測された5μm□の範囲において、ピットの個数が1個以下であることが望ましい。また、本発明による品質改善方法は、エピタキシャル基板の転位密度を低減することにより、貫通して残存する転位密度を低減できるという効果も併せ持つ。
図1は、本発明の実施の形態に係る品質改善方法の適用対象であるIII族窒化物結晶を上部層2として含む、エピタキシャル基板10の断面模式図である。なお、図示の都合上、図1の図面における各層の厚みの比率および縦横の比率は、実際の比率を反映したものではない。
上部層2は、該III族窒化物結晶とは異なる組成の単結晶材料からなる基材1の上に形成されてなる。上部層2は、例えばMOCVD法、MBE法、HVPE法(ハイドライドを用いた気相エピタキシャル成長法)、スパッタ法などの公知の成膜手法によって形成された、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜である。MOCVD法には、PALE法(パルス原子層エピタキシ法;Pulsed Atomic Layer Epitaxy)、プラズマアシスト法やレーザーアシスト法などが併用できる。MBE法に関しても、同様の技術を併用可能である。MOCVD法あるいはMBE法といった成長方法は、製造条件を高精度に制御することができるので、高品質な結晶を成長させることに適している。一方、HVPE法は、原料を一時に多量に供給できるため、短時間で厚膜を成長させることに適している。上部層2を形成する際に、これらの方法を組み合わせて形成することも可能である。
上部層2は、一般的には1×109/cm2程度ないしはそれ以上の転位を含んでいる。III族窒化物結晶においては、らせん転位および刃状転位という二種類の転位が存在しうるが、上部層2においては刃状転位が主に存在する。III族窒化物結晶とは、BxAlyGazIn1-x-y-zN(x,y,z≧0)の組成で表され、ウルツ鉱構造あるいは閃亜鉛鉱構造を有する結晶をいう。上部層2の厚みは、特に限定されるものではなく、最終的に利用されるデバイス構造あるいは使用形態に最適な膜厚を選択する。例えば、数nm〜数mm程度の膜厚が想定される。また、上部層2の組成は、平均組成を示しており、必ずしも組成を全て均一である必要はなく、例えば、傾斜組成にしたり、異なる組成の応力緩和層を挿入したりすることも可能である。
また、上部層2内には、上部層2を形成する際に不可避的に含まれてしまうH、C、O、Si、遷移金属等の不純物が存在する場合もあるし、導電率制御のために意図的に導入される、Si、Ge、Be、Mg、Zn、Cdといった不純物を含むこともできる。
基材1は、その上に形成する上部層2の組成や構造、あるいはさらにその上に形成される層を含む各層の形成手法に応じて適宜に選択される。例えば、SiC(炭化ケイ素)やサファイアなどの基板を用いる。あるいは、ZnO、LiAlO2、LiGaO2、MgAl24、(LaSr)(AlTa)O3、NdGaO3、MgOといった各種酸化物材料、Si、Geといった各種IV族単結晶、SiGeといった各種IV−IV族化合物、GaAs、AlN、GaN、AlGaNといった各種III−V族化合物およびZrB2といった各種ホウ化物の単結晶から適宜選択して用いてもよい。このうち、(0001)面を主面とするIII族窒化物結晶を上部層2として得る場合には、例えば(0001)面SiCあるいは(11−20)面及び(0001)面サファイアを基材1として用いることができる。また、(11−20)面を主面とするIII族窒化物結晶を上部層2として得る場合には、例えば(11−20)面SiCあるいは(10−12)面サファイアを基材1として用いることができる。基材1の厚みには特段の材質上の制限はないが、取り扱いの便宜上、数百μm〜数mmの厚みのものが好適である。
本実施の形態においては、係るエピタキシャル基板10を、所定の処理装置によって少なくとも1250℃以上に、好ましくは1600℃以上に加熱する熱処理を行うことによって、上部層2を構成するIII族窒化物結晶の結晶品質の改善が実現される。図1のように上部層2がエピタキシャル膜として形成されている場合、係る熱処理は、特に転位の低減や表面におけるピットの解消に対して有効である。例えば、転位密度は、おおよそ1/2以下にまで減少する。特に、刃状転位を効果的に合体消失させることができる。
上部層2の膜厚がある程度大きい場合、例えば0.5μm程度ないしはそれ以上の場合は、1250℃以上の加熱でピットの解消が実現できる。ただし、1500℃以下の温度範囲では、表面粗さはむしろ悪化し、表面平坦性の改善という観点からは不十分である。良好な結晶表面を得るには、1500℃以上の温度で加熱を行うことが必要である。
一方、上部層2の膜厚が0.005μm程度ないしそれ以上で、0.5μm以下の場合、例えば0.2μm程度の場合には、ピットの解消と表面粗さの改善のいずれについても、実現のためには、1600℃以上における熱処理が必要である。このように、膜厚が薄い場合、III族窒化物結晶からなるエピタキシャル膜を上部層2として形成する際に、上部層2と基材1の格子ミスマッチによる三次元核の形成に伴う表面平坦性の大幅な悪化が引き起こされているため、熱処理の温度を1600℃以上と高くすることにより、物質移動の効果をより促進する必要があると考えられる。もちろん、0.5μm以上の膜厚を持つ上部層2においてもこの効果は存在し、より効果的にピットの解消が可能となるため、0.5μm以上の膜厚を持つ上部層2の場合において1600℃以上における熱処理行うことを排除するものではない。
なお、加熱温度を少なくとも1250℃以上とするのは、一般に、MOCVD法などで上部層2を形成する際の基板自体の温度が1250℃以下であることから、それ以上の温度で加熱を行うことで、少なくとも転位の低減という効果が得られるからである。MOCVD法などの成膜手法は、一般に非平衡反応によって成膜を行う手法であるので、基材1上にエピタキシャル膜には、熱平衡状態において存在する数よりも多くの結晶欠陥(転位など)が、いわば凍結されたような状態で存在していると考えられるが、1250℃以上に加熱することで、熱平衡状態に近づき、転位が低減されるものと推察される。ただし、これは、MOCVD法による形成温度を1250℃以下に限定するものではなく、それ以上の温度で形成するものであっても良い。Alを主成分とするIII族窒化物、特にAlNの場合、MOCVD法による形成温度を1250℃以上に高くすることが想定される。もちろん、1250℃以上の基板温度で成膜した場合においても、基板温度以上の温度で加熱処理を行うことにより、本実施の形態に係る品質改善方法の効果は得られる。
なお、本実施の形態に係るこのような加熱処理による結晶品質の改善は、III族窒化物が全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上である場合に特に有効であり、なかでもAlNの場合に有効である。III族窒化物がAlNの場合、組成揺らぎ等のばらつきの問題が無いので、品質管理上はこの場合が最も望ましいが、全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上であれば、AlNの場合と同じ温度の加熱処理において、同様の結晶品質の改善効果が確認され、加熱処理前の上部層2の品質もAlNの場合とほぼ同程度の品質が得られる。全III族元素におけるAlの割合が80%未満の場合、AlNの場合と同じ温度で加熱処理を行うと、他のIII族元素、例えばGa成分の蒸発によるピットの発生が問題となり、表面平坦性が損なわれる場合がある。
ところで、III族窒化物結晶のエピタキシャル膜による上部層2の形成そのものを、本実施の形態に係る熱処理と同程度の高温下で行うことで結晶欠陥の抑制を図ろうとする場合、エピタキシャル成長の条件を好適に維持しつつ係る結晶欠陥の抑制を行うことになるため、その条件設定や成膜制御は一般に難しくなる。これに対して、本実施の形態においては、いったんIII族窒化物結晶のエピタキシャル膜を何らかの方法で作製した上で、これを作成温度(成膜温度)よりも高温に加熱することから、成膜自体の条件設定や制御に対して、特段の制限が要求されることがなく、品質の良いIII族窒化物結晶を得ることができる、というメリットがある。
なお、本実施の形態に係る熱処理は、III族窒化物の形成と連続して、同じ処理装置で行っても良いし、それぞれの処理を別の処理装置で行うことも可能である。後者の場合、成膜処理と加熱処理とを、それぞれの処理に好適な別個の装置で行うことが出来る、というメリットがある。
熱処理中の雰囲気に関しては、III族窒化物の分解を防ぐためにも窒素元素を含有する雰囲気であるのが望ましい。例えば、窒素ガス、アンモニアガスを含む雰囲気を用いることができる。熱処理時の圧力条件に関しては、減圧から加圧までどの圧力で行っても結晶品質が改善されることが、確認されている。
また、係る品質改善方法は、単結晶である基材1の結晶配列の規則性を利用して、その上に形成された上部層2の結晶品質の改善を行うものでもある。そのため、基材1として用いる材料は、結晶品質の改善のために行う熱処理の温度帯で分解、融解しないもの、あるいは、上部層2を形成するIII族窒化物結晶と強く反応しないものが望ましい。熱処理中に基材1の結晶配列に乱れが生じるのを回避する必要があるからである。従って、熱処理の際、基材1と上部層2との界面において両者の反応生成物が顕著に形成されないことが望ましい。反応生成物が顕著に形成されないとは、具体的には、熱処理後の両者の界面に反応生成物が全く存在しないか、あるいは存在したとしてもその厚みがせいぜい上部層2の膜厚の1/10以下であることを意味する。この膜厚を超えると、反応生成物の存在により、上部層2の表面平坦性が損なわれる可能性があるからである。よって、熱処理により基材1と上部層2との界面において全体的にあるいは局所的に極薄の反応生成物が生成されることは、本発明からは除外されない。転位の低減等のためのバッファ層的な役割を果たすなど、こうした極薄の反応生成物が存在した方がむしろ好ましい場合もある。係る観点からは、融点の高いサファイア、MgO、SiCが、基材1の材料として望ましい。
従って、熱処理は、基材1の融点を超えない温度範囲で、あるいは、基材1と上部層2との反応生成物の生成が顕著に起こらない温度範囲つまりは過度な反応による上部層2の結晶品質の劣化が生じない温度範囲で行うことが望ましい。特に、基材1としてサファイアを用い、上部層2をAlを含むIII族窒化物にて形成する場合には、両者の界面にγ−ALONが顕著に形成されない温度範囲で熱処理を行うことが好ましい。γ−ALONが顕著に形成されてしまうと、上部層2の表面粗さが大きくなり、デバイス応用が困難となってしまうからである。
紫外域での光デバイス用途の場合には、動作波長の光に対し透明な材料を用いることが望ましく、III族窒化物の結晶構造との相性から鑑みると、基材1としてはサファイアが最も好適である。また、高出力の光デバイスや、放熱性が必要な電子デバイスなどを用途とする場合には、高い熱伝導率を持つSiCが最も好適である。
また、本実施の形態に係る熱処理を行う場合に、表面平坦性の向上に加えて転位の低減という効果を得ようとするならば、熱平衡状態を目標として行うことになるので、熱処理時間は長い方が望ましい。しかし、過度な熱処理による表面平坦性の劣化が引き起こされることを避けるため、熱処理時間は、上部層2の厚みに応じて適宜に設定する必要がある。
加熱に対する結晶構造の安定性という点に鑑みれば、本実施の形態に係る結晶品質の改善方法は、ウルツ鉱構造のIII族窒化物結晶に適用される場合により効果を発揮する。
また、Alの組成が高いIII族窒化物結晶ほど、効果的に結晶品質を改善することができ、AlNの場合にその効果が最も顕著である。Alを多く含むIII族窒化物は、同じくIII族窒化物であるGaN、InNなどと比較して融点が高く、熱分解による結晶品質劣化が起こりにくいため、高温での結晶品質の改善の効果を最も有効に活用できることがその理由である。なお、BNも融点が高いため、Bを多く含む場合にも本手法を適用することができるが、BN自体がウルツ鉱構造が安定状態の結晶構造でないため、Bを多量に含む場合は、顕著な効果を得ることは難しい。
特に、上部層2が、(0001)面を主面とするIII族窒化物のエピタキシャル膜として形成されてなる場合、転位低減の効果が顕著に得られると共に、熱処理後のエピタキシャル基板10の表面において、原子ステップが観察出来る程度の平坦性を実現することも可能である。このような主面を有するエピタキシャル膜として上部層2を形成するためには、(0001)面サファイア、(11−20)面サファイア、(0001)面SiCを基材1として用いることが好適である。この場合、上記設定面から微傾斜させた基板を用いることもできる。
特に、(0001)面を主面とするAlNエピタキシャル膜を上部層2として用いる場合、熱処理前の上部層2については、X線ロッキングカーブ測定(ωスキャン)による(0002)面の半値幅が200秒以下、より好ましくは100秒以下であることが好ましい。また、X線ロッキングカーブ測定(ωスキャン)による(0002)面の半値幅の下限値は、特に定めるものではないが、材料及び結晶構造から計算される理論値(〜10秒)を下回るものではない。係る半値幅が実現されるということは、上部層2の表面において、成長方位に揺らぎが少なく、C面が揃い、らせん成分の転位が少ない状態が実現されているということになり、このことは上部層2上に結晶品質の良い第2のIII族窒化物結晶を形成する上でより好適だからである。上記X線ロッキングカーブの半値幅を実現するためには、基材1上に、いわゆる低温緩衝層を挿入することは望ましくないが、結晶品質を悪化させない程度の薄い低温緩衝層を挿入することは可能である。
また、(0001)面を主面とするAlNエピタキシャル膜を上部層2として用いる場合、熱処理前の上部層2内の刃状転位密度は、AlNエピタキシャル膜としては低い数値である、5×1010/cm2以下であることが望ましい。なお、本実施の形態において、転位密度は、平面TEMを用いて評価している。基材1の表面に窒化層を形成しておくことで、熱処理前のAlNの転位密度を上記のように低く抑えることができる。熱処理前の転位密度を低減しておくことにより、熱処理による結晶品質の改善をより短時間でかつより効果的に実現することができるからである。なお、条件設定によっては、熱処理前の上部層2の転位密度を1×109/cm2の程度にまで低減しておくことが可能である。
このような結晶品質を持つ(0001)面を主面とするAlNエピタキシャル膜を上部層2として形成するには、形成速度がせいぜい数μm/hr程度であるMOCVD法あるいはMBE法が、その手法として好適であるといえる。この場合、形成時間等の効率から考えて、膜厚は10μm以下、好ましくは3μm以下とするのが好適である。特に、上記のような上部層2を、トリメチルアルミニウムとアンモニアを用いてMOCVD法によって形成する場合、基板自体の温度を1100℃以上とすることが望ましい。形成速度を低く抑え基板自体の温度を上げることにより、より平衡状態に近くすることができるからである。また、形成時圧力を1Torr以上の減圧雰囲気、好ましくは100Torr以下、さらに好ましくは20Torr以下とし、トリメチルアルミニウムとアンモニアの供給比を1:500以下、より好ましくは1:200以下とするのが望ましい。気相中での、原料の反応を効率的に抑制できるからである。
なお、上述のように上部層2を構成するウルツ鉱型構造をとるAlNは、結晶構造が対象中心を有さず、Al原子と窒素原子とが入れ換わると、結晶の向きが反転することになる。すなわち、結晶が原子配列に応じた極性を有しているといえる。仮に、上部層2の表面において互いに極性の異なる領域である反位区が併存する場合には、反位区の境界(反位境界)は 一種の面欠陥となってしまう。この場合、熱処理後においても、この面欠陥に起因した欠陥が生じてしまうおそれがあり、好ましくない。よって、上部層2は、その表面の極性が全体に揃っていることが好ましい。
また、特にAlNを上部層2のエピタキシャル膜として用いる場合、上記の転位低減効果は表面部分のみで見出されるものではなく、基材1とIII族窒化物エピタキシャル膜界面の近傍0.01μm程度の範囲においても、表面部分と同程度に見出されることが特徴的である。これは、熱処理することにより、基板との界面近傍においても複数の刃状転位が合体消失が起こっていることによる。これは、本実施の形態における改善方法を用いない場合、上部層2であるAlNエピタキシャル膜の転位密度が、膜厚が厚くなるのに従い、漸次転位が減少していくのと対照的である。
このような転位の低減状態を鑑みるに、AlNエピタキシャル膜を上部層2とするエピタキシャル基板10について、表面平坦性の向上のみならず、転位密度の低減の効果を引き出すには、上部層2の厚みは、この刃状転位の合体消失がほぼ終わる膜厚である5nm以上であることが必要である。好ましくは、0.05μm以上である。これは、熱処理時にAlNエピタキシャル膜がエッチングされることによる膜厚減少を考慮したものである。
加熱処理に用いる処理装置の内部には、水素成分、酸素成分、炭素成分などといったガス中の不純物を制御するための部材が配置されていてもよい。また、エピタキシャル基板10を固定するための治具に本機能を持たせることもできる。
また、加熱処理の際、上部層2の表面でのエッチングの抑制、不純物付着、あるいは過度な熱処理による表面荒れの抑制を目的として、上部層2の表面上に、例えば窒化珪素からなる保護層を設けることもできる。ただし、特に、AlNエピタキシャル膜を上部層2として用いる場合は、その化学的安定性から、このような保護層を用いなくとも安定して熱処理の効果を得ることができる。
なお、本実施の形態にかかるエピタキシャル基板10の上に機能層としての半導体層をIII族窒化物によって形成し、半導体素子を得る場合、係る半導体層を構成するIII族窒化物の主面内の格子定数は、上部層2を構成するIII族窒化物の主面内の格子定数よりも小さくないことが好ましい。これをみたす場合、半導体層におけるクラックが抑制され、より高品質な半導体層を有する半導体素子を得ることができるからである。ただし、格子定数差が大きくなると、上部層2と半導体層を構成するIII族窒化物の界面にて転位が発生する可能性があるため、GaNが有する主面内の格子定数以下が望ましく、さらには、Al0.2Ga0.8Nが有する主面内の格子定数以下が望ましく、最も望ましいのは、Al0.5Ga0.5Nが有する主面内の格子定数以下が望ましい。
<変形例>
上述の実施の形態においては、上部層2をエピタキシャル膜として形成してなる態様について説明しているが、上部層2は、多結晶膜として形成されてもよい。あるいは、粉末状のIII族窒化物結晶を基材1上に載置することによって形成されてもよい。これらの場合、特に粉末状のIII族窒化物結晶にて上部層2を形成した場合、エピタキシャル膜よりも本質的に結晶品質が悪いだけでなく、結晶欠陥のみならず結晶粒界や空隙なども存在するが、熱処理によって上部層2の結晶品質が改善されるという点では、上述の実施の形態と同様の効果が得られるといえる。むろん、すでに結晶配列が整っているエピタキシャル基板を用いる場合の方が、多結晶粉末を載置する場合や多結晶膜を形成するよりも、短時間で転位密度を低減することができるという点で好適であるのはいうまでもない。
また基材1は、その全体が同一の材料にて構成されている必要はない。上部層2が形成される基材1の表面が、単結晶から構成されていればよい。例えば、サファイア上にAlN膜の単結晶が形成された状態のものを基材1として用い、上部層2として粉末のAlNを形成するような態様であってもよい。
また、上述の実施の形態においては、図1に例示するように、エピタキシャル基板10に上部層2として形成されたIII族窒化物結晶を対象としているが、基材1を備えないIII族窒化物のみからなる結晶に対し本実施の形態に係る熱処理を施す場合も、同様の効果を得ることができる。
また、基材1の表面は、種々の形状を有することが出来る。原子レベルで平坦であってもよいし、サブミクロンからミクロンオーダーの凹凸が形成されていてもよい。微細加工プロセスを用いることにより、係る凹凸を形成することができる。さらには、基材1の表面の一部を被覆するような被覆膜などが、同じく微細加工プロセスや熱処理によって形成されていてもよい。また、上部層2の成長前に、プラズマ処理、光化学処理、及び洗浄処理による表面改質を加えてもよい。
さらに、上部層2の上に第2のIII族窒化物結晶を形成する際、上部層2の表面は、種々の形状に加工することが出来る。サブミクロンからミクロンオーダーの凹凸が形成されていてもよい。微細加工プロセスを用いることにより、係る凹凸を形成することができる。さらには、上部層2表面の一部を被覆するような被覆膜などが、同じく微細加工プロセスや熱処理によって形成されていてもよい。また、第2のIII族窒化物の成長前に、プラズマ処理、光化学処理、及び洗浄処理による表面改質を加えてもよい。
以下に、上述の実施の形態について、いくつかの実施例および比較例を示す。図7は、得られたエピタキシャル基板の具体的な作成・処理条件および品質特性を一覧にして示す図である。以下、これに基づいて説明する。
(実施例1)
本実施例においては、(0001)面サファイアを基材1とし、MOCVD法によって、1200℃で、上部層2として(0001)面AlN層を膜厚1μmで形成することにより、3つのエピタキシャル基板10を得た。本AlN層と基材の間には、基材窒化層が挿入されている。AlN層の結晶性を評価したところ、X線ロッキングカ−ブの(0002)面の半値幅が70秒、(10−12)面の半値幅が1100秒であった。転位密度は、2×1010/cm2であった。なお、X線ロッキングカーブ測定は、オープンスリットを用い、ωスキャン法により行い、(0002)面を用いた場合は、AlNのc軸方向からの結晶ゆらぎの傾き成分を、(10−12)面を用いた場合は、AlNのc軸を中心とした結晶揺らぎの主に回転成分を測定するものである。図2に、エピタキシャル基板10のAFM(原子間力顕微鏡)像を示す。AFMにより計測された5μm□の表面粗さ(ra)は3Å以下であり、AFM像においては、原子レベルのステップが観察されるものの、表面に多くのピットが観察された。
次に、エピタキシャル基板10を熱処理炉の反応室内の所定位置に配置して、1気圧に保持しつつ窒素ガスを供給し、熱処理を行った。熱処理は、それぞれの基板ごとに、(a)1650℃、および(b)1550℃という異なる温度で2時間行った。
上記の熱処理の後、AlN層の結晶品質を評価したところ、(a)、(b)のいずれも、X線ロッキングカ−ブの(0002)面の半値幅が70秒、(10−12)面の半値幅が700秒であった。転位密度は、いずれも5×109/cm2であった。図3に(a)の1650℃熱処理の場合のエピタキシャル基板10のAFM像を示す。AFMにより計測された5μm□の表面粗さ(ra)は3Å以下であり、AFM像においては、原子レベルのステップが明瞭に観察されピットは観察されなかった。一方、(b)については図示を省略するが、ピットは観察されなかった。ただし、表面粗さについては、(b)は(a)と同様であった。
(実施例2)
本実施例においては、(0001)面サファイア基板を基材1とし、MOCVD法によって、1200℃で、上部層2として(0001)面AlN層を膜厚0.2μmで形成することにより、3つのエピタキシャル基板10を得た。本AlN層と基材の間には、基材窒化層が挿入されている。AlN層の結晶性を評価したところ、X線ロッキングカ−ブの(0002)面の半値幅が90秒、(10−12)面の半値幅が2000秒であった。転位密度は、5×1010/cm2であった。図4に、エピタキシャル基板10のAFM像を示す。AFMにより計測された5μm□のAFMにより計測された5μm□の粗さ(ra)が10〜50Åであり、AFM像においては、表面に多くのピットが観察された。
次に、エピタキシャル基板10を熱処理炉の反応室内の所定位置に配置して、1気圧に保持しつつ窒素ガスを供給し、熱処理を行った。熱処理は、それぞれの基板ごとに、(a)1650℃、および(b)1550℃という異なる温度で2時間行った。
上記の熱処理の後、AlN層の結晶品質を評価したところ、熱処理温度により異なる結果が得られた。
(a)の場合、X線ロッキングカ−ブの(0002)面の半値幅が150秒、(10−12)面の半値幅が750秒であった。転位密度は、5×109/cm2であった。図5に、(0001)面サファイアを基材1とした場合のエピタキシャル基板10のAFM像を示す。AFMにより計測された5μm□の表面粗さ(ra)は3Å以下であり、AFM像においては、原子レベルのステップが明瞭に観察されピットは観察されなかった。
これに対し、(b)の場合は、転位密度には熱処理前に比べて低減がみられるものの、表面粗さについては変化がなかった。
(実施例1,2について)
実施例1、2に示すように、1600℃以上における窒素ガス雰囲気中での熱処理により、AlNの転位密度が1/2以下となり、併せてピットが大幅に低減されることが確認され、転位低減、表面平坦化といった結晶品質の改善効果が確認された。また、両実施例とも、顕著なγ−ALON層は確認されなかった。また、膜厚が1.0μm程度と厚い場合は、1500℃以上における熱処理で同様の効果が得られることが確認された。
(実施例3)
本実施例においては、(0001)面サファイア基板を基材1とし、MOCVD法によって、上部層2として(0001)面AlN層を膜厚1.0μmで形成することにより、結晶品質の異なる(a)〜(c)の3つのエピタキシャル基板10を得た。AlN層とそれぞれの基材の間には、基材窒化層が挿入されている。また、図示は省略するが、これらのエピタキシャル基板10のAFM像においては、図2と同様に表面に多くのピットが観察された。
次に、エピタキシャル基板10を熱処理炉の反応室内の所定位置に配置して、1気圧に保持しつつ窒素ガスを供給した。この状態で1650℃とし15時間熱処理を行った。
上記の熱処理の後、AlN層の結晶品質を評価したところ、(a)においては基板上ともX線ロッキングカ−ブの(0002)面の半値幅が70秒、(10−12)面の半値幅が350秒であった。転位密度は、9×108/cm2であった。AFMにより計測された5μm□の表面粗さ(ra)は3Å以下であり、AFM像においては、図3と同様に原子レベルのステップが明瞭に観察されピットは観察されなかった。また、(b)についても同様であった。一方、(c)については熱処理前後で変化がなかった。
すなわち、エピタキシャル基板におけるAlNの転位密度が少ないものを用いることにより、より転位密度の少ないAlNの層を実現することができた。一方、熱処理条件が同じでも、(c)のように熱処理前の結晶品質が悪い場合には、熱処理によって結晶品質は改善されないことが確認された。
なお、図8は、熱処理前の(a)のエピタキシャル基板10の断面TEM像(明視野像)である。図8において、上部層2であるAlN中の転位は黒い線として観察されるが、基材1であるサファイアとの界面近傍で特に多く、上方ほど減少している。一方、図9は、条件で熱処理した後のエピタキシャル基板10の断面TEM像(暗視野像)である。図9において、上部層2の転位は白い線として観察されるが、図8と比較すると、界面近傍においても転位が少ないことが分かる。
(比較例1)
本比較例においては、実施例1および2と同様にエピタキシャル基板を用意し、熱処理を行ったが、熱処理温度を1200℃とした。
上記の熱処理の後、AlN層の結晶品質を評価したところ、結晶品質は、熱処理前と何ら変化が観察されなかった。
(比較例2)
本比較例においては、実施例1および2と同様にエピタキシャル基板を用意し、熱処理を行ったが、熱処理温度を1450℃とした。
上記の熱処理の後、AlN層の結晶品質を評価したところ、実施例1と同様にAlN層を膜厚1μmで形成した(a)については、転位密度が低減し、ピットも観察されなかったものの、表面粗さが著しく悪化した。また、実施例2と同様にAlN層を膜厚0.2μmで形成した(b)については、転位密度には熱処理前に比べて低減がみられるものの、表面粗さについてはむしろ悪化がみられた。
(比較例3)
本比較例においては、実施例1および2におけるサファイア基板を用いたエピタキシャル基板を用意し、熱処理を行ったが、熱処理温度を1750℃とした。
上記の熱処理の後、AlN層の結晶品質を評価したところ、γ−ALON層が混在すると共に、AFMにより計測された5μm□の表面粗さ(ra)は50nm以上であった。X線ロッキングカ−ブの(0002)面の半値幅は500秒以上、(10−12)面の半値幅は3000秒以上であった。図6は、係る熱処理後のエピタキシャル基板の表面SEM像であるが、凹凸が明瞭に確認される。
(比較例1〜3について)
比較例1に示すように、熱処理温度が1200℃と低い場合には、転位低減、表面平坦化といった結晶品質の改善効果について、いずれも確認されなかった。
また、比較例2に示すように、熱処理温度が1450℃の場合には、転位の低減は実現されるものの、表面平坦性については必ずしも十分に改善されなかった。
また、比較例3に示すように、たとえ1500℃以上の高温における熱処理であっても、顕著にγ−ALONが形成されるような熱処理においては、結晶品質の劣化が確認された。
エピタキシャル基板10の構成を示す断面模式図である。 実施例1における熱処理前のエピタキシャル基板の表面を示す図である。 実施例1における熱処理後のエピタキシャル基板の表面を示す図である。 実施例2における熱処理前のエピタキシャル基板の表面を示す図である。 実施例2における熱処理後のエピタキシャル基板の表面を示す図である。 比較例3における熱処理後のエピタキシャル基板の表面を示す図である。 実施例および比較例におけるエピタキシャル基板の具体的な作成・処理条件および品質特性を一覧にして示す図である。 実施例3(a)における熱処理前のエピタキシャル基板のTEM断面観察像を示す図である。 実施例3(a)における熱処理後のエピタキシャル基板のTEM断面観察像を示す図である。
符号の説明
1 基材
2 エピタキシャル膜
10 エピタキシャル基板

Claims (11)

  1. 所定の単結晶基材の上に形成されてなるIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    1500℃以上の加熱温度で加熱する加熱工程、
    を備えることを特徴とするIII族窒化物結晶の品質改善方法。
  2. 請求項1に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記加熱温度が1600℃以上であることを特徴とする、III族窒化物結晶の品質改善方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記加熱工程が、窒素元素含有雰囲気にてなされることを特徴とする、
    III族窒化物結晶の品質改善方法。
  4. 請求項3に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記加熱工程が、窒素ガス雰囲気にてなされることを特徴とする、III族窒化物結晶の品質改善方法。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記加熱工程においては前記単結晶基材と前記III族窒化物結晶とから反応生成物が生じない、
    ことを特徴とするIII族窒化物結晶の品質改善方法。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記III族窒化物結晶の主面の結晶方位が、実質的に(0001)面であることを特徴とする、III族窒化物結晶の品質改善方法。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記III族窒化物結晶において全III族元素におけるAlの割合が80モル%以上であることを特徴とする、
    III族窒化物結晶の品質改善方法。
  8. 請求項7に記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法であって、
    前記III族窒化物結晶がAlNであることを特徴とする、
    III族窒化物結晶の品質改善方法。
  9. 請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の結晶品質改善方法であって、
    前記加熱工程を、前記III族窒化物結晶の形成に用いた装置とは別個の装置で行うことを特徴とする、
    III族窒化物結晶の品質改善方法。
  10. 所定の単結晶基材と、
    前記単結晶基材の上にエピタキシャル形成されてなる上部層と、
    を備えるエピタキシャル成長用基板であって、
    前記上部層が、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載のIII族窒化物結晶の品質改善方法によって処理された第1のIII族窒化物結晶からなる、
    ことを特徴とするエピタキシャル成長用基板。
  11. 半導体素子であって、
    請求項10に記載のエピタキシャル成長用基板の上に第2のIII族窒化物結晶からなる半導体層が形成されてなり、
    前記第2のIII族窒化物結晶の主面内の格子定数が前記第1のIII族窒化物結晶の主面内の格子定数よりも小さくない、
    ことを特徴とする半導体素子。
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