JP2004152814A - 半導体素子用基板とその製造方法 - Google Patents

半導体素子用基板とその製造方法 Download PDF

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Hidemitsu Sakamoto
秀光 坂元
Akira Manabe
明 真鍋
Masateru Nakamura
昌照 中村
Noriyoshi Shibata
柴田  典義
Yukari Tani
由加里 谷
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Abstract

【課題】高い結晶性と結晶の欠陥密度の低い炭化珪素エピタキシャル膜を表面に有する半導体素子用基板を提供する。
【解決手段】半導体素子用基板10は、基板11の表面に、第1薄膜層12と第2薄膜層13と表面薄膜層14とをこの順に積層して備える。基板11はAlの結晶基板であり、第1薄膜層12はAlNの薄膜とされ、第2薄膜層13はTiCの薄膜とされている。表面薄膜層14は六方晶系の4H−SiCをヘテロエピタキシャル成長させて製膜したヘテロエピタキシャル膜である。第2薄膜層13のTiCは、表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)の4H−SiCに対する結晶の格子整合性が第1薄膜層12のAlNより高い性質を有する。よって、第2薄膜層13に4H−SiCをヘテロエピタキシャル成長させて表面薄膜層14を形成するに際し、TiCと4H−SiCの結晶の整合性は高まる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に炭化珪素のエピタキシャル膜を有する半導体素子用基板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素は、シリコンに比して絶縁破壊電極強度や電子移動速度が高く、高温で安定動作する等の物理的性質に優れており、高速・高出力ももたらすデバイス基材として注目されている。こうした優れた性質を利用すべく、表面に炭化珪素のエピタキシャル膜を有する半導体素子用基板が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】
特開平10−223496号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の特許文献1で提案された半導体素子用基板では、次のような問題点が指摘されるに到った。
上記の特許文献1は、表面に炭化珪素のエピタキシャル膜を有する半導体素子用基板の製造過程において、単結晶SiC層にイオン注入を行い、イオン注入を受けた側の単結晶SiC膜を最終的なエピタキシャル膜とする。イオン注入に際しては、注入条件の変動等による注入欠陥に基づいて、エピタキシャル膜の結晶格子に欠陥をきたすことが起き得る。このため、表面の炭化珪素エピタキシャル膜では、結晶の欠陥密度が高くなることが有り得る。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされ、高い結晶性と結晶の欠陥密度が低い炭化珪素エピタキシャル膜を表面に有する半導体素子用基板を提供すると共に、こうした半導体素子用基板の簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
かかる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の半導体素子は、結晶性の基板の表面に、第1の薄膜層、第2の薄膜層、炭化珪素のエピタキシャル膜をこの順に積層して備える。エピタキシャル膜の製膜対象となる第2の薄膜層は、エピタキシャル膜の膜物質(炭化珪素)に対する結晶の格子整合性が第1の薄膜層の膜物質(第1の膜物質)より高い性質を有する膜物質(第2の膜物質)から薄膜形成したものである。よって、第2の薄膜層と炭化珪素エピタキシャル膜の境界では、それぞれの膜物質(第2の膜物質と炭化珪素)が比較的高い結晶整合性で結晶化する。このため、この境界を含むエピタキシャル膜においても、その膜物質である炭化珪素が結晶格子に欠陥が少ない状態で結晶したものとなり、エピタキシャル膜での炭化珪素の結晶性が高まり、結晶の欠陥密度も低減する。
【0006】
この場合、第2の薄膜層にあってもその膜物質(第2の膜物質)が結晶格子に欠陥が少ない状態で結晶したものであることが好ましい。このためには、第2の薄膜層の製膜対象である第1の薄膜層が、第2の膜物質に対する結晶の整合性と基板の結晶物質に対する結晶の整合性とを兼ね備えた膜物質(第1の膜物質)で製膜することが望ましい。
【0007】
結晶の整合性は、結晶の格子定数の近似程度でほぼ説明できるので、第2の薄膜層は、エピタキシャル膜の膜物質(炭化珪素)の結晶の格子定数が第1の薄膜層の膜物質(第1の膜物質)より近似した膜物質(第2の膜物質)から薄膜形成したものとすることもできる。また、第1の薄膜層は、第2の膜物質に対する結晶の整合性と基板の結晶物質に対する結晶の整合性とを兼ね備えた膜物質(第1の膜物質)から薄膜形成したものとすることが好ましい。
【0008】
基板については、その表面に第1、第2の薄膜層およびエピタキシャル膜が形成できればよいことから、口径の制約を受けない。よって、基板を大口径なものとできると共に、大口径の基板への第1、第2の薄膜層の形成および炭化珪素のエピタキシャル膜の形成にあっても特段の支障がない。よって、高い結晶性に起因して結晶の欠陥密度が低い炭化珪素エピタキシャル膜を有する大面積の半導体素子用基板を提供できる。
【0009】
これらの結果、本発明の半導体素子用基板を用いれば、エピタキシャル膜を形成する炭化珪素の有する性質により、高温環境下或いは高電圧環境下での安定した高速動作が実現可能な半導体素子を提供できる。
【0010】
上記の構成を有する本発明の半導体素子用基板は、種々の態様を採ることもできる。即ち、炭化珪素エピタキシャル膜を、六方晶系または立方晶系のいずれかの炭化珪素、例えば、六方晶系の2H−SiC、4H−SiC、6H―SiC、8H―SiC、15R―SiCまたは立方晶系の3C−SiCのいずれかをエピタキシャル成長させたものとすることができる。こうすれば、エピタキシャル膜形成に既存のエピタキシャル成長手法を採ることができ、製造コスト低減を図ることができる。
【0011】
また、基板をアルミナ(Al)または珪素(Si)の結晶基板とし、第1の薄膜層を窒化アルミ(AlN)の薄膜層とし、第2の薄膜層を炭化チタン(TiC)の薄膜層とすることができる。こうすれば、第2の薄膜層についての上記した性質を確実に発揮できる。しかも、AlNは、第2の薄膜層のTiCに対する結晶の整合性と基板の結晶物質(Al、Si)に対する結晶の整合性とを兼ね備えている。よって、この態様によれば、第2の薄膜層での膜物質(TiC)の結晶性向上、延いてはエピタキシャル膜での炭化珪素の結晶性向上にも寄与できる。このため、炭化珪素エピタキシャル膜における高い結晶性に起因した結晶の欠陥密度低減の信頼性が高まる。
【0012】
この窒化アルミ(AlN)の第1の薄膜層については、その膜厚を約10nm〜約10μmとすればよい。炭化チタン(TiC)の第2の薄膜層については、その膜厚を約100nm〜約10μmとすればよい。基板にAlNの第1の薄膜層を形成する際、基板の構成物質がAlまたはSiであることから、この第1の薄膜層の臨界膜厚は僅か数nmである。しかし、このように膜厚が薄いと、AlまたはSiの基板に形成した第1の薄膜層では膜物質であるAlNの結晶格子に乱れが起きたままとなることがある。こうした結晶格子の乱れは膜厚の増加と共にある程度の緩和が可能であるので、AlNの第1の薄膜層の膜厚を上記のように規定すれば、第1の薄膜層での格子緩和をほぼ確実に実現できる。
【0013】
また、薄膜形成に際しては転位(線欠陥)が起き得る。この時、転位ループが形成されるため、成長方向へ転位を減らすことができるので、薄膜表面近傍の転位密度が低くなる。よって、こうした転位密度を低減する上でも、AlNの第1の薄膜層の膜厚を上記のように規定することが好ましい。
【0014】
この場合、AlNの第1の薄膜層の膜厚を上記範囲の上限値以下とすれば、不用意に薄膜を厚くする必要がない。よって、膜厚が厚すぎない分、第1の薄膜層の製膜過程における結晶格子欠陥の発生を抑制できる他、膜形成に際して用いる原料の少量化、低コスト化を図ることができる。
【0015】
第2の薄膜層についても同様に説明できる。つまり、第1の薄膜層にTiCの第2の薄膜層を形成する際、第1の薄膜層の膜物質がAlNであることから、第2の薄膜層の臨界膜厚は約50nmである。しかし、こうした臨界膜厚では、AlNの第1の薄膜層に形成した第2の薄膜層では膜物質であるTiCの結晶格子に乱れが起きたままとなることがある。よって、既述したように、TiCの第2の薄膜層の膜厚を上記のように規定すれば、第2の薄膜層での格子緩和をほぼ確実に実現できる。転位密度低減、上限値についても同様である。
【0016】
このように膜厚を規定する上で、窒化アルミ(AlN)の第1の薄膜層の膜厚を約50nm〜約10μmとし、炭化チタン(TiC)の第2の薄膜層の膜厚を約200nm〜約10μmとすれば、上記した格子緩和の実現・転移発生低減の点から、より好ましい。
【0017】
また、かかる課題の少なくとも一部を解決するための本発明の製造方法は、
結晶性の基板の表面に、第1の薄膜層と第2の薄膜層と炭化珪素のエピタキシャル膜とをこの順に有する半導体素子用基板の製造方法であって、
前記基板の表面に、該基板の結晶物質に対する結晶の格子整合性が前記第2の薄膜層の膜物質より高い性質を有する第1の膜物質で薄膜層を形成する工程(1)と、
前記第1の物質の薄膜層の表面に、前記エピタキシャル膜の膜物質である前記炭化珪素に対する結晶の格子整合性が前記第1の膜物質より高い性質を有する第2の物質で薄膜層を形成する工程(2)と、
前記第2の物質の薄膜層の表面に、炭化珪素をエピタキシャル成長させてエピタキシャル膜を形成する工程(3)とを備える、ことをその要旨とする。
【0018】
上記構成を有する本発明の製造方法によれば、基板表面に第1の薄膜層、第2の薄膜層、炭化珪素のエピタキシャル膜をこの順に積層して備えることで、炭化珪素エピタキシャル膜の結晶性を高め結晶の欠陥密度が低い半導体素子用基板を製造することができる。しかも、第1、第2の薄膜層形成、エピタキシャル成長手法等の既存の工程を取ればいいことから、高性能の半導体素子の提供が可能な半導体素子用基板を容易に製造することができる。
【0019】
この場合、アルミナ(Al)または珪素(Si)の結晶基板の表面に、窒化アルミ(AlN)の第1の薄膜層を形成し、この薄膜層の表面に、炭化チタン(TiC)の第2の薄膜層を形成し、さらにこの薄膜層に、六方晶系または立方晶系のいずれかの炭化珪素(例えば、2H−SiC、6H―SiC、8H―SiC、15R―SiCまたは3C−SiCのいずれかの炭化珪素)をエピタキシャル成長させてエピタキシャル膜を形成するようにすることが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。図1は実施例の半導体素子用基板10を説明する説明図である。
【0021】
図示するように、半導体素子用基板10は、基板11の表面に、第1薄膜層12と第2薄膜層13と表面薄膜層14とをこの順に積層して備える。本実施例では、基板11はアルミナ(Al)の結晶基板であり、第1薄膜層12は窒化アルミ(AlN)の薄膜層とされ、第2薄膜層13は炭化チタン(TiC)の薄膜層とされている。また、表面薄膜層14は六方晶系の炭化珪素の一つである4H−SiCをヘテロエピタキシャル成長させて製膜したヘテロエピタキシャル膜である。
【0022】
このように基板・薄膜の物質を選定したので、第1薄膜層12は、その膜物質(AlN)が基板11のAlに対する結晶整合性と第2薄膜層13の膜物質(TiC)に対する結晶整合性とを兼ね備えていることから、格子欠陥が少ない状態でAlNが結晶化したAlN薄膜となる。そして、この第1薄膜層12に積層形成された第2薄膜層13にあっても、その膜物質同士(TiCとAlN)の結晶整合性から、格子欠陥が少ない状態でTiCが結晶化したTiC薄膜となる。
【0023】
また、第2薄膜層13の膜物質(TiC)は、表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)の4H−SiCに対する結晶の格子整合性が第1薄膜層12の膜物質(AlN)より高い性質を有する。よって、この第2薄膜層13に炭化珪素(4H−SiC)をヘテロエピタキシャル成長させてヘテロエピタキシャル膜(表面薄膜層14)を形成するに際し、膜物質(TiC)と4H−SiCとの結晶の整合性は高まる。
【0024】
次に、上記した半導体素子用基板10の製造方法について説明する。図2は半導体素子用基板10の製造プロセスを示すプロセス図である。
【0025】
図示するように、半導体素子用基板10の製造に際しては、まず、Alの結晶基板を用意しこれを基板11とすると共に、後述の製膜処理に備えて前処理(脱脂洗浄処理)する(ステップS100)。Alの結晶基板は、市販されているので、容易に入手することができる。また、そのサイズについても種々のものがあり、4インチ以上の大口径のものとすることもできる。
【0026】
次に、基板11の表面にAlNの第1薄膜層12を製膜する(ステップS110)。この工程では、脱脂洗浄を経た基板11をMBE(Molecular Beam Epitaxy)装置のチャンバにセットする。次いで、当該チャンバ内で基板11を約900℃まで加熱し、加熱済み基板11にAlを約20nm/minの速度で電子ビーム照射し、Alをビーム蒸着する。この電子ビーム蒸着と並行して約350Wの出力のRFラジカル源からNラジカルを供給する。これにより、基板11の表面にAlNの第1薄膜層12を約100nmの膜厚で製膜する。
【0027】
この第1薄膜層12の製膜に際して、第1薄膜層12の膜物質(AlN)は基板11のAlとの結晶整合性を呈することから、第1薄膜層12は、格子欠陥が少ない状態でAlNが結晶化したAlN薄膜となる。
【0028】
次いで、基板11に製膜済みの第1薄膜層12にTiCの第2薄膜層13を製膜する(ステップS120)。この工程では、第1薄膜層12を製膜済みの基板11を熱処理炉にセットし、Nガスのガスフロー下で基板11を約1000℃で約1時間に亘って加熱する。次いで、加熱済み基板11をスパッタリング装置にセットし、約600℃での加熱と、Tiのスパッタリングを行う。このスパッタリングに際しては、Ar:Cを98:2の割合でスパッタリング装置に供給しながら、Tiを約200Wの出力のRFスパッタで飛ばして、TiとCの反応スパッタリングを行う。これにより、基板11に製膜済み第1薄膜層12の表面にTiCの第2薄膜層13を約200nmの膜厚で製膜する。
【0029】
こうした第1薄膜層12への第2薄膜層13の製膜に際し、第2薄膜層13の膜物質(TiC)に対して第1薄膜層12の膜物質(AlN)が有する既述した結晶整合性から、第2薄膜層13は格子欠陥が少ない状態でTiCが結晶化したTiC薄膜となる。
【0030】
基板11への第1薄膜層12、第2薄膜層13の製膜に続いては、第2薄膜層13の表面に4H−SiCの表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を製膜する(ステップS130)。この工程では、第2薄膜層13を製膜済みの基板11をCVD(Chemical Vapor Deposition)装置のチャンバにセットし、当該チャンバ内にて、水素(H)を流しながら基板11を約1700℃まで加熱し約1時間ほど保持する。その後、エチレン(C)とジクロロシラン(SiHCl)を約3.25cm/minずつ交互に供給して、4H―SiCをヘテロエピタキシャル成長させて表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を徐々に製膜する。本実施例では、約3.25cm/minずつのCとSiHClの交互供給を1サイクルとし、これを100サイクル繰り返した。これにより、TiCの第2薄膜層13の表面に、4H―SiCの表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を約120nmの膜厚で膜形成した。この100サイクルの製膜後には、チャンバ内を水素環境下とし、その中で基板11を室温まで降下させた。これら一連のプロセスにより、半導体素子用基板10が完成する。
【0031】
第2薄膜層13の膜物質(TiC)は、立方晶でありその結晶の格子定数が4.32であることから、基板面に(111)面が並行に成長したTiCは、4H−SiCに対してTiC(111)//SiC(0001)の配置を採り、格子定数がa軸で3.073、c軸で10.053の六方晶の4H−SiCと高い格子整合性を呈する。つまり、TiCは、立方晶であるがために結晶面の対角頂点間距離(4.32/√(2)=3.055)が六方晶のa軸の格子定数に近似して4H−SiCとの格子不整合がほぼ0%であるのに対し、第1薄膜層12の膜物質(AlN)は、結晶の格子定数がa軸で3.11、c軸で4.98であることから、4H−SiCとの格子不整合が1%と大きい。
【0032】
こうした格子整合の点から、第2薄膜層13の膜物質(TiC)は、既述したように表面薄膜層14(エピタキシャル膜)の膜物質(4H−SiC)に対して高い結晶整合性を呈する。よって、この第2薄膜層13に4H−SiCをヘテロエピタキシャル成長させてヘテロエピタキシャル膜(表面薄膜層14)を形成するに際し、第2薄膜層13と表面薄膜層14との膜境界でのTiCと4H−SiCとの結晶の整合性は高まり、膜境界での4H−SiCの結晶欠陥密度は低下する。このため、膜境界はもとより表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)においても、4H−SiCの結晶性が高まり、結晶の欠陥密度も低下する。つまり、表面薄膜層14を、4H−SiCの結晶性が高く結晶欠陥密度も低いヘテロエピタキシャル膜とできる。
【0033】
このように製造した半導体素子用基板10では、基板11がAlの基板であるため、4インチを越える大口径なものとできる。しかも、こうした大口径の基板11であっても、分子線成長法(MBE)や反応スパッタリング、ヘテロヘテロエピタキシャル成長の手法で、第1薄膜層12、第2薄膜層13および表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を支障なく製膜できる。よって、高い結晶性に起因して結晶の欠陥密度が低い4H−SiCのヘテロエピタキシャル膜を有する大面積の半導体素子用基板10を提供できる。
【0034】
こうして提供される半導体素子用基板10を、表面薄膜層14(4H−SiCのヘテロエピタキシャル膜)へのゲート酸化膜およびゲートの形成、ソース・ドレインの形成等を経ることで、表面薄膜層14をソース・ドレイン間に亘るチャンネルとする半導体素子とできる。この半導体素子は、チャンネルとなる表面薄膜層14が4H−SiCのヘテロエピタキシャル膜であることから、電子の高移動度に基づく高速動作が可能で高性能な素子となる。加えて、4H−SiCが呈する特性(高温特性等)と相俟って、本実施例の半導体素子用基板10を用いれば、高電圧下での高速動作や、高温下での安定した高速動作を実現可能な半導体素子を製造できる。
【0035】
また、半導体素子用基板10を製造するに際し、基板11をAl結晶基板とし、第1薄膜層12をAlNの薄膜層とし、第2薄膜層13をTiC薄膜としたので、上記した結晶整合性を確実に発揮できる。よって、4H−SiCのヘテロエピタキシャル膜(表面薄膜層14)における4H−SiCの高い結晶性に起因した結晶の欠陥密度低減の信頼性が高まる。
【0036】
更に、本実施例による半導体素子用基板の製造方法では、ステップS100〜130で説明したように、既存の製造プロセスをほぼそのまま適用した。よって、4H−SiCの高い結晶性に起因して結晶欠陥密度が低い表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を有する半導体素子用基板10を容易に製造することができる。
【0037】
また、ステップS130でのヘテロエピタキシャル膜の製膜に際し、約1700℃という高温で4H−SiCが結晶化してヘテロエピタキシャル成長を起こす。よって、4H−SiCがヘテロエピタキシャル成長を起こす際の結晶欠陥を効果的に抑制できる。
【0038】
次に、他の実施例について説明する。この実施例は、上記した半導体素子用基板10と、基板11の材料において相違する。つまり、この他の実施例は、基板11を12インチを越える大口径化が可能で量産に富み安価なSi基板(単結晶基板;シリコンウェハ)とし、このSiの基板11にAlNの第1薄膜層12と、TiCの第2薄膜層13と4H−SiCの表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を有する。そして、その製造工程は、図2の工程に倣って次のようにした。
【0039】
図2のステップS100では、Siの基板11を前処理する(ステップS100)。この前処理では、基板11を脱脂洗浄に処すと共に、1%のフッ化水素(HF)溶液で洗浄する。なお、Si基板は、市販されているので、容易に入手することができ、そのサイズは12インチ以上の大口径のものとすることもできる。
【0040】
続くステップS110では、MBE装置を用い上記した条件通りでAlNの第1薄膜層12を約100nmの膜厚で製膜する。
【0041】
この第1薄膜層12の製膜に際しても、第1薄膜層12の膜物質(AlN)は基板11のSiとの結晶整合性を呈することから、第1薄膜層12は、格子欠陥が少ない状態でAlNが結晶化したAlN薄膜となる。
【0042】
続くステップS120では、熱処理炉とスパッタリング装置を用い上記した条件通りで第1薄膜層12にTiCの第2薄膜層13を約200nmの膜厚で製膜する。
【0043】
この第2薄膜層13の製膜に際しても、第2薄膜層13の膜物質(TiC)に対して第1薄膜層12の膜物質(AlN)が有する既述した結晶整合性から、第2薄膜層13は格子欠陥が少ない状態でTiCが結晶化したTiC薄膜となる。
【0044】
続くステップS120では、CVD装置を用い第2薄膜層13に4H−SiCをヘテロエピタキシャル成長させ表面薄膜層14(ヘテロエピタキシャル膜)を約120nmの膜厚で製膜する。この場合、基板11の原材料が相違することから、採用したSiの融点に配慮し、約1400℃の環境下で4H−SiCをヘテロエピタキシャル成長させた。温度以外は、上記した条件と同じである。
【0045】
この実施例にあっても、第2薄膜層13と表面薄膜層14については、膜物質がTiCと4H−SiCであることから、既述したように、TiCと4H−SiCとの結晶の整合性は高まる。よって、表面薄膜層14を、4H−SiCの結晶性が高く結晶欠陥密度も低いヘテロエピタキシャル膜となる。
【0046】
Siの基板11を用いた半導体素子用基板にあっても、Alの基板11を用いた半導体素子用基板10と同様の効果を奏することができる。特に、本実施例では、Siの基板11(単結晶基板)を用いたことから、より一層の大口径化(12インチ)基板を高い量産性で安価に提供できる。このため、4H−SiCの表面薄膜層14を有することで高性能化が可能な半導体素子のコスト低減をより一層推進することができる。
【0047】
以上本発明の実施例について説明したが、本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0048】
例えば、表面薄膜層14を六方晶系の一つである4H―SiCとしたが、これを六方晶系の2H−SiC、6H―SiC、8H―SiC、15R―SiCや立方晶系の3C−SiCのいずれかとし、それぞれのSiCをエピタキシャル成長させればよい。特に、表面薄膜層14を立方晶系の3C−SiCとし、第2薄膜層13をTiCとすれば、両結晶が共に立方晶であり、その結晶格子定数も前者が4.34で後者が4.32と、ほぼ近似する。よって、表面薄膜層14における3C−SiCの結晶性がより高まり、結晶欠陥密度も低減するので、好ましい。
【0049】
また、上記の実施例では、表面薄膜層14の膜厚を約120nmとしたがこれに限られるわけではない。表面薄膜層14は、これを有する半導体素子用基板10から製造した半導体素子においてソース・ドレイン間のチャンネルとして機能すれば良く、その膜厚は約1nm〜約1000nmの範囲、好ましくは、約2nm〜約150nmの範囲とすればよい。表面薄膜層14の膜厚が約1nm以上であれば、表面薄膜層14がチャンネルとして機能する場合に、そのチャンネル部分で電子の移動を2次元電子ガス状態とできことから、電子の高い移動度を確実に実現できる。その一方、膜厚が約1000nm以下であれば、不用意に薄膜を厚くする必要がない。よって、膜厚が厚すぎない分、表面薄膜層14のエピタキシャル成長過程(CVD)における結晶格子欠陥の発生を抑制できる他、膜形成に際して用いる原料の少量化、低コスト化を図ることができる。この場合、表面薄膜層14の膜厚の上限は、用いる製膜装置の製膜能力に応じて上記上限値ないで定めるようにすることもできる。また、表面薄膜層14の膜厚が約2nm〜約150nmであれば、2次元電子ガス状態の確保、原料の少量化・低コスト化をより確実なものとでき好ましい。
【0050】
この他、AlNの第1薄膜層12やTiCの第2薄膜層13についても、その膜厚を上記した値(約100nm或いは200nm)に限られるわけではない。つまり、この第1薄膜層12にあっては、その膜厚を約10nm〜約10μmの範囲、好ましくは、約50nm〜約10μmの範囲とすればよい。AlNの第1薄膜層12の膜厚が約10nm以上であれば、製膜対象である基板11のAlまたはSiとの間で、格子緩和をほぼ確実に実現できると共に、結晶格子の転移の発生も低減できる。よって、AlNの第1薄膜層12の結晶性向上、延いては、この第1薄膜層12に製膜する第2薄膜層13をTicが高品質に結晶化した薄膜層として生成できる。
【0051】
TiCの第2薄膜層13についても同様であり、その膜厚を約100nm〜約10μmの範囲、好ましくは、約200nm〜約10μmの範囲とすればよい。膜厚をこうした範囲とすれば、第2薄膜層13の製膜対象である第1薄膜層12のAlNとの間で、格子緩和をほぼ確実に実現できると共に、結晶格子の転移の発生も低減できる。よって、TiCの第2薄膜層13の結晶性向上、延いては、この第2薄膜層13に製膜する表面薄膜層14を炭化珪素(SiC)が高品質に結晶化した薄膜層(エピタキシャル膜)として生成できる。これらの場合、AlNの第1薄膜層12の膜厚を約50nm〜約10μmとし、TiCの第2薄膜層13の膜厚を約200nm〜約10μmとすれば、上記した格子緩和の実現・転移発生低減の点から、より好ましい。
【0052】
更に、AlNの第1薄膜層12やTiCの第2薄膜層13の製膜手法に、前者についてはMBE手法を後者に反応スパッタリング手法を用いたが、適宜な製膜手法、例えば、これらMBE手法や反応スパッタリング手法の他、CVD手法を採るようにすることもできる。SiCのエピタキシャル成長を経た表面薄膜層14の製膜についても同様であり、CVD手法に限られるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の半導体素子用基板10を説明する説明図である。
【図2】この半導体素子用基板10の製造プロセスを示すプロセス図である。
【符号の説明】
10…半導体素子用基板
11…基板
12…第1薄膜層(AlN薄膜)
13…第2薄膜層(TiC薄膜)
14…表面薄膜層(4H−SiCのヘテロエピタキシャル膜)

Claims (7)

  1. 表面に炭化珪素のエピタキシャル膜を有する半導体素子用基板であって、
    結晶性の基板と、
    該基板の表面に、薄膜形成された第1の薄膜層と、
    該第1の薄膜層と前記エピタキシャル膜との間に介在して形成された第2の薄膜層とを備え、
    前記第2の薄膜層の膜物質は、前記エピタキシャル膜の膜物質である前記炭化珪素に対する結晶の格子整合性が前記第1の薄膜層の膜物質より高い、半導体素子用基板。
  2. 請求項1記載の半導体素子用基板であって、
    前記エピタキシャル膜は、六方晶系または立方晶系のいずれかの炭化珪素をエピタキシャル成長させたものである、半導体素子用基板。
  3. 請求項2記載の半導体素子用基板であって、
    前記六方晶系または立方晶系の炭化珪素は、2H−SiC、4H−SiC、6H―SiC、8H―SiC、15R―SiCまたは3C−SiCのいずれかである、半導体素子用基板。
  4. 請求項2または請求項3記載の半導体素子用基板であって、
    前記基板は、アルミナ(Al)または珪素(Si)の結晶基板であり、
    前記第1の薄膜層は、窒化アルミ(AlN)を膜物質とした薄膜層であり、
    前記第2の薄膜層は、炭化チタン(TiC)を膜物質とした薄膜層である、半導体素子用基板。
  5. 請求項4記載の半導体素子用基板であって、
    前記第1の薄膜層は、その膜厚が約10nm〜約10μmであり、
    前記第2の薄膜層は、その膜厚が約100nm〜約10μmである、半導体素子用基板。
  6. 結晶性の基板の表面に、第1の薄膜層と第2の薄膜層と炭化珪素のエピタキシャル膜とをこの順に有する半導体素子用基板の製造方法であって、
    前記基板の表面に、該基板の結晶物質に対する結晶の格子整合性が前記第2の薄膜層の膜物質より高い性質を有する第1の膜物質で薄膜層を形成する工程(1)と、
    前記第1の物質の薄膜層の表面に、前記エピタキシャル膜の膜物質である前記炭化珪素に対する結晶の格子整合性が前記第1の膜物質より高い性質を有する第2の物質で薄膜層を形成する工程(2)と、
    前記第2の物質の薄膜層の表面に、炭化珪素をエピタキシャル成長させてエピタキシャル膜を形成する工程(3)とを備える、半導体素子用基板の製造方法。
  7. 請求項6記載の半導体素子用基板の製造方法であって、
    前記工程(1)は、アルミナ(Al)または珪素(Si)の結晶基板の表面に、窒化アルミ(AlN)の薄膜層を形成し、
    前記工程(2)は、窒化アルミ(AlN)の薄膜層の表面に、炭化チタン(TiC)の薄膜層を形成し、
    前記工程(3)は、炭化チタン(TiC)の薄膜層に、六方晶系または立方晶系のいずれかの炭化珪素のうち、2H−SiC、6H―SiC、8H―SiC、15R―SiCまたは3C−SiCのいずれかの炭化珪素をエピタキシャル成長させてエピタキシャル膜を形成する、半導体素子用基板の製造方法。
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CN101064258B (zh) * 2006-04-25 2012-04-25 三星电子株式会社 高取向性硅薄膜形成方法、三维半导体器件及其制造方法

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