JP2007072098A - プロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】操作性の良いプロジェクタを提供すること。
【解決手段】投射レンズと、投射位置調整装置とを備えたプロジェクタは、投射位置調整装置の補助板84、および、ダイアル871の間に介在配置され、投射レンズのX軸方向移動範囲の中心を検知する基準位置検知機構10を備えており、基準位置検知機構10は、ダイアル871の裏面に形成された螺旋レール11と、補助板84に取り付けられ、ダイアル871の回転に応じて螺旋レール11内に摺接する摺接部材12と、螺旋レール11内に形成され、投射レンズがX軸方向移動範囲の中心に到達した際に摺接部材12と係合するレール係合穴112とを備えている。
【選択図】図15

Description

本発明は、プロジェクタに関する。
従来、光源ランプと、この光源ランプから射出された光束を画像情報に応じて変調する液晶パネルと、変調された光束を外部へ拡大投射する投射レンズとを備えるプロジェクタが知られている。
プロジェクタを使用する際に、プロジェクタの設置姿勢はそのままに、投射画像をスクリーン上の高さ方向又は左右方向にずらして表示させたい場合がある。このようなニーズに対応して、投射位置調整装置を備えるプロジェクタが提供されている(例えば、特許文献1参照)。投射位置調整装置とは、投射レンズを、投射方向に対して直交する面内に沿って移動させることができる装置である。このような投射位置調整装置を備えることで、プロジェクタは、投射画像をスクリーン上の高さ方向又は左右方向にずらして表示させることができる。
具体的には、投射位置調整装置は、プロジェクタの筐体から露出されたダイアルを備え、このダイアルの回転操作を利用して投射レンズを駆動している。
ユーザによりダイアルが一方の向きに回転されると、投射位置調整装置は、投射方向に対して直交する面に沿って、投射レンズを例えば左方に移動させる。すると、投射画像もスクリーン上を左方に移動する。一方、ユーザがダイアルを反対の向きに回転させると、投射位置調整装置は、投射方向に対して直交する面に沿って、投射レンズを右方に移動させる。すると、投射画像もスクリーン上を右方に移動する。
このように、投射レンズは、ダイアルの回転向きに応じて、投射方向に対して直交する移動経路を往復移動する。
特開2004−205686号公報
しかしながら、特許文献1に記載のプロジェクタでは、ユーザは、ダイアルを回転させながらプロジェクタの投射位置を調整しているうちに、移動経路の中心点等の移動経路におけるある投射基準位置が分からなくなってしまう恐れがある。
本発明の目的は、操作性の良いプロジェクタを提供することにある。
前記した目的を達するために、本発明のプロジェクタは、光源と、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、前記光変調装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置と、前記投射光学装置を投射方向に直交する面内で移動させ前記投射光学装置の投射位置を調整する投射位置調整装置とを備えたプロジェクタであって、前記投射位置調整装置は、前記プロジェクタに固定される固定部材と、前記固定部材に対して前記投射方向に直交する面内に沿って移動可能である移動部材と、前記固定部材に対して回転可能に軸支され、ユーザにより操作可能に構成されるダイアルと、前記移動部材および前記ダイアルと係合し、前記ダイアルの回転を前記移動部材に伝達して前記移動部材を移動させる駆動機構とを備え、前記固定部材および前記ダイアルの間に介在配置され、前記投射光学装置の投射基準位置を検知する基準位置検知機構とを備え、前記基準位置検知機構は、前記ダイアルの前記固定部材側端面に回転方向に沿って形成された溝状の案内部と、前記固定部材に設けられ、前記ダイアルの回転に応じて前記案内部内に摺接する摺接部と、前記案内部内に形成され、前記投射光学装置の投射位置が前記投射基準位置に到達した際に前記摺接部と係合する係合部とを備えていることを特徴とする。
ここで、投射基準位置として、例えば、投射位置の調整可能範囲、すなわち、投射方向に直交する面内における投射光学装置の移動経路の中心点が挙げられる。
本発明によれば、ユーザは、ダイアルを手で回転させながら、プロジェクタの投射位置を調整する。すると、プロジェクタの投射位置調整装置ではダイアルの回転に応じて移動部材が移動され、移動部材に支持された投射光学装置が、投射方向に直交する面上の移動経路に沿って移動する。このとき、基準位置検知機構では、ダイアルの回転に応じて、摺接部が案内部に摺接される。
やがて、投射光学装置の投射位置が投射基準位置に達したとき、基準位置検知機構の案内部内では、摺接部が係合部に係合する。そして、そのままダイアルが回転され続けると、摺接部および係合部の係合が解除され、摺接部は、ダイアルの回転に応じて、再び案内部内に摺接する。このとき、摺接部および係合部の係合・解除によりダイアルに軽い振動およびクリック音が生じる。このダイアルの振動を、ダイアルを回転させていたユーザは手に感じることができる。
これによれば、ユーザは、ダイアルを回転させて投射位置の調整をしている際に、ダイアルの振動またはクリック音が感じられたときの投射位置を、基準位置として認識することができる。従って、本発明のプロジェクタは、投射位置の調整時に、投射位置が基準位置に到達されたことを、比較的簡単な構成で、ユーザに分かり易く伝えることができる。
本発明では、前記係合部は、前記案内部の底部に形成された凹部であり、前記摺接部は、前記ダイアルの回転に応じて前記案内部の底部を押圧しながら摺接し、前記投射光学装置の投射位置が前記投射基準位置に到達した際に前記係合部と係合することが好ましい。
本発明によれば、案内部の底部を押圧している摺接部が、押圧方向に移動して案内部底部に形成された凹部である係合部に係合される。これにより、この係合によりダイアルに生じる振動は、明瞭なものとなる。従って、ユーザは、ダイアルの振動を明瞭に感じることができ、投射位置が基準位置に到達されたことがより分かり易く認識することができる。
さらに、係合部は案内部底部の凹部であるので、簡単に形成できる。また押圧される力により、凹部に係合する摺接部も簡単な構成とすることができる。
本発明では、前記案内部は、前記ダイアルの回転方向に沿う螺旋状に形成され、前記摺接部は、前記固定部材に、前記ダイアルの回転方向に直交する方向に移動可能に取り付けられていることが好ましい。
移動部材の移動範囲が比較的大きい投射位置調整装置では、移動部材を一方向に移動させるためにダイアルが複数回転される。しかし、投射基準位置が、投射光学装置の移動経路の中心点など、移動経路上でひとつしかない場合、摺接部と係合部の係合・解除は、ダイアルの一方向の回転において、1回のみ行なわれることが好ましい。
ここで、本発明によれば、摺接部は、螺旋状の案内部内に摺接するとともに、螺旋の位置に応じて、固定部材上を回転方向と直交する方向へ往復移動する。このため、ダイアルの一方向の回転において、摺接部が案内部の同じ位置に二度摺接することはない。
すなわち、案内部内に形成された係合部が1つである場合、ダイアルの一方向の回転において、摺接部および係合部の係合・解除は、一回のみ行なわれる。従って、本発明は、移動部材の移動範囲が大きい投射位置調整装置を備えるプロジェクタに対しても、適用することができる。
本発明では、前記摺接部は、前記係合部と係合する摺接頭を有する摺接部本体と、前記固定部材に取り付けられ前記摺接部本体を支持する基部とを備え、前記基部は、前記摺接頭が前記ダイアルの回転方向に沿って揺動可能に前記摺接部本体を支持することが好ましい。
ここで、駆動機構としては、例えば、互いに噛み合った複数のギアを備え、これらギアが、ダイアルの回転に応じて駆動して移動部材を移動させる構成を採用することができる。
しかし、ダイアルをこれまでの回転向きと反対向きに回転させると、ギアとギアの噛み合わせにガタが生じ、基準位置検知機構において、摺接部および係合部の係合が投射基準位置からずれるという誤差が生じる恐れがある。
これに対し、本発明によれば、摺接部本体が、基部によりダイアルの回転方向に揺動可能に支持されていることから、ダイアルが回転されると、摺接部本体は、摺接頭および案内部の間で発生する摩擦により、基部を支点として、回転向きに揺動する。この揺動による摺接頭の回転方向の変位を、ギアのバックラッシュと対応させることにより、ギアの噛み合わせにガタが生じている間、摺接頭が案内部に沿って摺動しないようにさせることができる。従って、本発明のプロジェクタは、ギアのバックラッシュによる基準位置検出の誤差を低減させることができる。
本発明では、前記基部には、前記摺接部本体を支持した状態で、前記摺接頭を中心として前記ダイアルの回転方向に対称となる位置に前記摺接部本体に向けて突出する一対の突起部が形成され、前記摺接部本体には、前記一対の突起物を挿通可能とする一対の挿通孔が形成されていることが好ましい。
本発明では、摺接部において、摺接部本体の一対の挿通孔、および、基部の一対の突起部は、それぞれ回転方向に対称となる位置に形成されており、突起部が挿通孔に挿通されている。これにより、摺接部本体が、ダイアルの回転方向に直交する方向に揺動しようとしても、挿通孔の縁が突起部に引っ掛かるため、摺接部本体の回転方向に直交する方向への揺動が規制される。従って、本発明によれば、摺接部本体が、基部に対して、ダイアルの回転方向に直交する方向へガタつくことを抑制することができる。
本発明では、前記案内部内には、前記移動部材の移動終端位置に応じた位置に、前記摺接部と係合し前記ダイアルの回転を規制する回転規制部が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、投射位置調整装置において、移動部材が駆動機構により移動終端位置まで移動された際に、基準位置検知機構において、摺接部が回転規制部に係合される。摺接部が回転規制部に係合されることから、ダイアルはこれ以上回転することができなくなる。すなわち、本発明のプロジェクタは、移動部材が移動終端位置に到達するとダイアルの回転を規制する。
従って、本発明のプロジェクタは、移動部材が移動終端位置に到達した後もさらにダイアルが回転されることによって投射位置調整装置の各部材に負荷がかかってしまうことを防止することができる。
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
〔1.外観構成〕
図1および図2は、プロジェクタ1の外観を示す斜視図である。具体的に、図1は、プロジェクタ1を前面上方側から見た斜視図である。図2は、プロジェクタ1を背面上方側から見た斜視図である。
プロジェクタ1は、光源から射出される光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、形成した光学像をスクリーン(図示略)上に拡大投射するものである。このプロジェクタ1は、図1または図2に示すように、略直方体状の外装筺体2、およびこの外装筺体2から露出する投射光学装置としての投射レンズ3を備える。
投射レンズ3は、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成され、プロジェクタ1の装置本体により画像情報に応じて変調された画像光を拡大投射する。
外装筺体2は、合成樹脂製の筺体であり、プロジェクタ1の装置本体を収納する。この外装筺体2は、図1または図2に示すように、装置本体の上部部分を覆うアッパーケース21と、装置本体の下部部分を覆うロアーケース22と、装置本体の前面部分を覆うフロントケース23(図1参照)とを備える。
アッパーケース21は、図1または図2に示すように、外装筺体2の天面、側面の一部、背面の一部、および前面の一部をそれぞれ形成する天面部21A、側面部21B(図2参照),21C(図1参照)、背面部21D(図2参照)、および前面部21E(図1参照)を含んで構成される。
天面部21Aは、図1または図2に示すように、平面視略矩形形状を有し、平面視略中央部分から前面側、側面側、および背面側にかけて、なだらかに湾曲し、凸曲面形状を有する。
この天面部21Aにおいて、前方側であって、前方から見て右側部分には、図1または図2に示すように、2つの開口部21A1,21A2が形成されている。この2つの開口部21A1,21A2は、投射レンズ3を操作可能としスクリーン(図示略)上に投射された投影画像の投射位置調整を実施するためのダイアル861,871の一部をそれぞれ露出させる。
具体的には、図1に示すように、上面の前方側であって、前方から見て右側の開口部21A1からは、後述する投射位置調整装置8(図6、図7参照)を構成するダイアル861が露出している。前方から見て左側の開口部21A2からは、同じく投射位置調整装置8を構成するダイアル871が露出している。
図1または図2に示すように、2つのダイアル861,871のうち、ダイアル861をY1方向(前方向)に回転させると、投射レンズ3が−Y方向(下方)に動き、ダイアル861をY2方向(後方向)に回転させると、投射レンズ3が+Y方向(上方)に動くこととなる。また、ダイアル871をX1方向(プロジェクタ1後方から見て右方向)に回転させると、投射レンズ3が−X方向(右方向)に動き、ダイアル871をX2方向(プロジェクタ1後方から見て左方向)に回転させると、投射レンズ3が+X方向(左方向)に動くこととなる。
なお、投射位置調整装置8の詳細な構造については後述する。
また、この天面部21Aにおいて、開口部21A1の後方側には、図1または図2に示すように、プロジェクタ1の起動・調整操作を実施する操作パネル24が左右方向に延びるように設けられている。操作パネル24の操作ボタン241を適宜押下すると、操作ボタン241内部に配置される図示しない回路基板に実装されたタクトスイッチと接触し、所望の操作が可能となる。また、前記回路基板には、図示しないLED(Light Emitting Diode)が取り付けられており、所定の操作に応じて発光するようになっている。
なお、前述した操作パネル24の回路基板は、制御基板(図示略)と電気的に接続され、操作ボタン241の押下に伴う操作信号は、前記制御基板に出力される。
側面部21B,21C、背面部21D、および前面部21Eは、図1または図2に示すように、天面部21Aにおける平面視矩形形状の各端縁から略垂下する部分である。
これらのうち背面部21Dにおいて、背面側から見て左側部分には、図2に示すように、下端縁から上方側に向けて平面視コ字状の切り欠き21D1が形成されている。
また、前面部21Eには、図1に示すように、下端縁から上方側に向けて平面視コ字状の切り欠き21E1が形成されている。
ロアーケース22は、図1または図2に示すように、外装筺体2の底面、側面の一部、背面の一部、および前面の一部をそれぞれ形成する底面部22A、側面部22B(図2参照),22C(図1参照)、背面部22D(図2参照)、および前面部22E(図1参照)を含んで構成される。
底面部22Aは、具体的な図示は省略するが、略矩形状の平坦面で構成されている。そして、この底面部22Aには、机等の接地面に接地する複数の脚部や、プロジェクタ1内部に外部の冷却空気を導入するための吸気口が形成されている。
側面部22B,22C、背面部22D、および前面部22Eは、図1または図2に示すように、底面部22Aにおける平面視矩形形状の各端縁から上方に立設する部分である。
これらのうち背面部22Dにおいて、背面側から見て左側部分には、図2に示すように、上端縁から下方側に向けて平面視コ字状の切り欠き22D1が形成されている。そして、アッパーケース21およびロアーケース22を組み合わせた状態で切り欠き21D1,22D1が接続して開口部25が形成される。この開口部25には、図2に示すように、該開口部25の形状に対応した外形形状を有する接続端子設置部26が嵌合固定される。
この接続端子設置部26は、図2に示すように、背面部21D,22Dの端面よりも内側に窪む断面略コ字形状を有し、底部分に複数の孔261が形成されている。そして、図2に示すように、これら複数の孔261を介して、外部の電子機器からの画像信号、音声信号等を入力するための複数の接続端子27が露出している。また、この接続端子設置部26の内側には、接続端子27から入力される信号を処理するインターフェース基板(図示略)が配置されている。
なお、前記インターフェース基板は、制御基板(図示略)と電気的に接続され、インターフェース基板にて処理された信号は、制御基板に出力される。
また、背面部22Dにおいて、切り欠き22D1の下方側には、図2に示すように、2つの開口部22D2,22D3が形成されている。そして、図2に示すように、背面側から見て左側に位置する開口部22D2を介して内部のインレットコネクタ28が露出し、外部の電力をプロジェクタ1の装置本体に供給可能としている。また、図2に示すように、背面側から見て右側に位置する開口部22D3を介して電源スイッチ29が露出し、該電源スイッチ29を切り替えることで、プロジェクタ1の主電源のON/OFFが可能となる。
なお、この電源スイッチ29は、制御基板(図示略)と電気的に接続され、電源スイッチ29の切り替えに伴う操作信号は、前記制御基板に出力される。
また、前面部22Eには、図1に示すように、上端縁から下方側に向けて平面視コ字状の切り欠き22E1が形成されている。そして、アッパーケース21およびロアーケース22が組み合わされた状態で、前面部21Eの切り欠き21E1のコ字状内側部分、および前面部22Eの切り欠き22E1のコ字状内側部分にてフロントケース23が支持固定される。
フロントケース23は、図1に示すように、左右方向に延びる略楕円形状を有し、アッパーケース21およびロアーケース22と接続することで、切り欠き21E1,22E1にて形成される開口部分を閉塞する。
このフロントケース23において、前方から見て右側部分には、図1に示すように、外装筺体2の内側に窪み、底部分に略円形状の開口231が形成されている。そして、この開口231は、投射レンズ3の先端部分を露出させる。
また、このフロントケース23において、長手方向略中央部分には、図1に示すように、リモコン受光窓232が形成されている。そして、このリモコン受光窓232の内側には、リモートコントローラ(図示略)からの操作信号を受信するリモコン受光モジュール(図示略)が配置されている。
なお、リモートコントローラには、前述した操作パネル24に設けられる起動スイッチ、調整スイッチ等と同様のものが設けられていて、リモートコントローラを操作すると、この操作に応じた赤外線信号がリモートコントローラから出力され、赤外線信号は、リモコン受光窓232を介してリモコン受光モジュールで受光され、制御基板(図示略)で処理される。
さらに、このフロントケース23において、前方から見て左側部分には、図1に示すように、プロジェクタ1内部にて温められた空気を外部に排出するための平面視矩形状の排気口233が形成されている。
また、この排気口233周縁部分は、図1に示すように、内部に向けて突出する筒形状を有するように形成されている。より具体的には、排気口233周縁部分は、投射レンズ3に近接する方向に向けて投射レンズ3からの投射方向に対して傾斜して突出する筒形状を有するように形成されている。そして、排気口233の筒状内側部分には、図1に示すように、上下に架設され、排気口233周縁部分の突出方向に延出する複数の羽根板233Aが形成されている。
〔2.内部構成〕
図3および図4は、プロジェクタ1の内部構成を示す図である。具体的に、図3は、アッパーケース21および制御基板を取り外した状態を前面上方側から見た斜視図である。図4は、アッパーケース21および制御基板を取り外した状態を背面上方側から見た斜視図である。
外装筺体2の内部には、図3または図4に示すように、プロジェクタ1の装置本体が収容されている。この装置本体は、画像投射装置としての光学ユニット4と、電源ユニット5と、冷却ユニット6等を含んで構成される。
なお、装置本体は、図示は省略するが、光学ユニット4、電源ユニット5、および冷却ユニット6の他、光学ユニット4の上方側に配置されプロジェクタ1全体を制御する制御基板等を備えている。
〔3.光学ユニットの詳細な構成〕
図5は、光学ユニット4の光学系を模式的に示す平面図である。
光学ユニット4は、前記制御基板による制御の下、画像情報に応じて画像光を形成する。この光学ユニット4は、図3または図4に示すように、外装筺体2内において、背面部22Dに沿って左右方向に延び、側面部22Bに沿って前方に延びる平面視L字形状を有している。
この光学ユニット4は、図5に示すように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、電気光学装置44と、これらの光学部品41〜44を内部に収納するとともに、投射レンズ3を所定位置で支持固定する合成樹脂製の光学部品用筐体45とを備える。
インテグレータ照明光学系41は、電気光学装置44を構成する後述する各液晶パネルの画像形成領域をほぼ均一に照明するための光学系である。このインテグレータ照明光学系41は、図5に示すように、光源装置411と、第1レンズアレイ412と、第2レンズアレイ413と、偏光変換素子414と、重畳レンズ415とを備えている。
光源装置411は、放射状の光線を射出する光源としての光源ランプ411Aと、この光源ランプ411Aから射出された放射光を反射するリフレクタ411Bと、ランプハウジング411C(図3〜図5参照)とを備える。光源ランプ411Aとしては、ハロゲンランプやメタルハライドランプ、または高圧水銀ランプが用いられることが多い。リフレクタ411Bとしては、放物面鏡を用いている。なお、放物面鏡の他、平行化凹レンズと共に楕円面鏡を用いてもよい。
ランプハウジング411Cは、光源ランプ411Aおよびリフレクタ411Bを内部に収納するものであり、ロアーケース22の底面部分に取り付けられるとともに光学部品用筐体45と接続する。
第1レンズアレイ412は、光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。各小レンズは、光源ランプ411Aから射出される光束を、複数の部分光束に分割している。
第2レンズアレイ413は、第1レンズアレイ412と略同様な構成を有しており、小レンズがマトリクス状に配列された構成を有している。この第2レンズアレイ413は、重畳レンズ415とともに、第1レンズアレイ412の各小レンズの像を後述する液晶パネル上に結像させる機能を有している。
偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413の光路後段に配置される。このような偏光変換素子414は、第2レンズアレイ413からの光を略1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、電気光学装置44での光の利用効率が高められている。
具体的に、偏光変換素子414によって略1種類の偏光光に変換された各部分光は、重畳レンズ415によって最終的に電気光学装置44の後述する各液晶パネル上にほぼ重畳される。偏光光を変換するタイプの液晶パネルを用いた本実施形態のプロジェクタ1では、1種類の偏光光しか利用できないため、他種類のランダムな偏光光を発する光源ランプ411Aからの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子414を用いることにより、光源ランプ411Aから射出された光束を略全て1種類の偏光光に変換し、電気光学装置44での光の利用効率を高めている。
色分離光学系42は、2枚のダイクロイックミラー421,422と、反射ミラー423とを備え、ダイクロイックミラー421,422によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤、緑、青の3色の色光に分離する機能を有している。
リレー光学系43は、入射側レンズ431、リレーレンズ433、および反射ミラー432,434を備え、色分離光学系42で分離された色光を青色光用の液晶パネルまで導く機能を有している。
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー421では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束の青色光成分と緑色光成分とが透過するとともに、赤色光成分が反射する。ダイクロイックミラー421によって反射した赤色光は、反射ミラー423で反射し、フィールドレンズ417を通って赤色光用の液晶パネルに達する。このフィールドレンズ417は、第2レンズアレイ413から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の緑色光および青色光用の液晶パネルの光入射側に設けられたフィールドレンズ417も同様である。
ダイクロイックミラー421を透過した青色光と緑色光のうちで、緑色光はダイクロイックミラー422によって反射し、フィールドレンズ417を通って緑色光用の液晶パネルに達する。一方、青色光はダイクロイックミラー422を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ417を通って青色光用の液晶パネルに達する。なお、青色光にリレー光学系43が用いられているのは、青色光の光路の長さが他の色光の光路の長さよりも長いため、光の拡散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ417に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの青色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、赤色光を通す構成としてもよい。
電気光学装置44は、3枚の光変調装置となる液晶パネル441(赤色光用の液晶パネルを441R、緑色光用の液晶パネルを441G、青色光用の液晶パネルを441Bとする)と、偏光板442と、視野角補正板444と、クロスダイクロイックプリズム443とを備えている。
液晶パネル441は、例えば、ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いたものであり、色分離光学系42で分離された各色光は、これら3枚の液晶パネル441とこれらの光束入射側および射出側にある偏光板442によって、画像情報に応じて変調されて光学像を形成する。
偏光板442は、液晶パネル441の光路前段および光路後段に配置される入射側偏光板442A、射出側偏光板442Bを備える。
入射側偏光板442Aは、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、水晶またはサファイア等からなる基板に偏光膜が貼付されたものである。そして、この入射側偏光板442Aは、光学部品用筐体45を構成する後述する位置調整機構により、光学部品用筐体45内に設定される所定の照明光軸に対して位置調整可能に配置されている。
射出側偏光板442Bも、入射側偏光板442Aと略同様に構成され、液晶パネル441から射出された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものである。また、基板を用いずに、偏光膜をクロスダイクロイックプリズム443に貼り付けてもよく、あるいは、基板をクロスダイクロイックプリズム443に貼り付けてもよい。
これらの入射側偏光板442A、射出側偏光板442Bは、互いの偏光軸の方向が直交するように設定されている。
視野角補正板444は、基板上に液晶パネル441で形成された光学像の視野角を補正する機能を有する光学変換膜が形成されたものである。このような視野角補正板444を配置することにより、黒画面時の光漏れを低減し投射画像のコントラストが大幅に向上する。そして、この視野角補正板444は、入射側偏光板442Aと略同様に、光学部品用筐体45を構成する後述する位置調整機構により、光学部品用筐体45内に設定される所定の照明光軸に対して位置調整可能に配置されている。
クロスダイクロイックプリズム443は、3枚の液晶パネル441から射出された色光毎に変調された画像を合成してカラー画像を形成するものである。なお、クロスダイクロイックプリズム443には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に形成され、これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。
以上説明した各光学系41〜44は、光学部品用筺体45内に収容されている。
光学部品用筐体45は、図3ないし図5に示すように、内部に光源装置411から射出された光束の照明光軸A(図5参照)が設定され、前述の各光学部品412〜415,417,421〜423,431〜434,442A,444を上方からスライド式に嵌め込む溝部(図示略)がそれぞれ設けられた容器状の部品収納部材451(図3、図5参照)と、部品収納部材451の上部の開口を閉塞する蓋状の蓋状部材452と、蓋状部材452の一部を含み、入射側偏光板442Aおよび視野角補正板444の双方の位置調整を実施する位置調整機構445(図3、図4参照)とを備えて構成されている。
また、平面視略L字状の光学部品用筐体45の一端側には、照明光軸A(図5参照)に対する所定位置に光源装置411が配設され、他端側には、照明光軸Aに対する所定位置に投射レンズ3が固定されている。また、投射レンズ3の光路前段には、電気光学装置44が固定されている。さらに、投射レンズ3の鏡筒は、後述する投射位置調整装置8に取り付けられている。
〔4.電源ユニットの構成〕
電源ユニット5は、インレットコネクタ28(図2参照)を介して外部から供給された電力を各構成部材に供給するものである。この電源ユニット5は、図3または図4に示すように、光学ユニット4の光源装置411の側方であって、外装筺体2の側面部22Cに沿って配設される。この電源ユニット5は、図3または図4に示すように、電源ブロック51と、ランプ駆動ブロック52とを備える。
電源ブロック51は、光源装置411の側方に配設され、インレットコネクタ28を介して外部から供給された電力をランプ駆動ブロック52および前記制御基板等に供給する。この電源ブロック51は、入力される交流を所定の電圧に変換するトランスや該トランスからの出力を所定の電圧の直流に変換する変換回路等が片面に実装された回路基板(図示略)と、この回路基板を覆う箱状部材511とを備える。
箱状部材511は、図3または図4に示すように、光源装置411とで略L字形状を有するように、前後方向に延出する形状を有している。そして、この箱状部材511には、背面側に冷却ユニット6からの空気を内部に導入するための第1導入口511A(図4参照)が形成され、光源装置411とで形成される略L字形状の内側端面に内部の空気を外部に排出するための排出口511B(図3参照)が形成されている。また、図示は省略するが、この箱状部材511には、光源装置411から離間する側の端面にランプ駆動ブロック52から排出された空気を導入するための第2導入口が形成されている。
ランプ駆動ブロック52は、電源ブロック51の側方で側面部21C,22Cに沿って配設され、光源装置411に安定した電圧で電力を供給するための変換回路等が片面に実装された回路基板(図示略)を備え、電源ブロック51から入力した商用交流電流は、このランプ駆動ブロック52によって整流、変換されて、直流電流や交流矩形波電流となって光源装置411に供給される。また、ランプ駆動ブロック52の前記回路基板は、電源ブロック51と同様に、箱状部材521内部に収納されている。
箱状部材521は、図3または図4に示すように、箱状部材511と平行に前後方向に延出する形状を有している。そして、この箱状部材521には、背面側に冷却ユニット6からの空気を内部に導入するための導入口521A(図4)が形成され、箱状部材511と対向する側の端面に、箱状部材511の前記第2導入口に対応して、内部の空気を外部に排出するための排出口(図示略)が形成されている。
〔5.冷却ユニットの構成〕
冷却ユニット6は、プロジェクタ1内部の構成部材を冷却するものである。この冷却ユニット6は、図3または図4に示すように、電源ユニット5を主に冷却する電源ユニット冷却部61と、プロジェクタ1内部の空気を外部に排出するための光源装置冷却部62等を含んで構成される。
なお、具体的な図示は省略するが、冷却ユニット6は、各液晶パネル441や偏光変換素子414を冷却するための冷却ファンやダクトで構成される液晶パネル冷却部等も備えている。
電源ユニット冷却部61は、図3または図4に示すように、光源装置411および電源ユニット5と外装筺体2の背面部21D,22Dとの間の空間に配設される。この電源ユニット冷却部61は、図3または図4に示すように、吸気側ダクト611と、シロッコファン612と、第1排気側ダクト613とを備える。そして、電源ユニット冷却部61は、シロッコファン612の駆動により、プロジェクタ1外部の冷却空気を、ロアーケース22に形成された吸気口(図示略)〜吸気側ダクト611〜シロッコファン612〜排気側ダクト613の空気流通路を辿って電源ユニット5を構成する各箱状部材511,521の各導入口511A,521Aを介して各箱状部材511,521内部に導入する。電源ユニット5のうち箱状部材521内部に導入された空気は、箱状部材521の排出口(図示略)および箱状部材511の第2導入口(図示略)を介して箱状部材511内部に導入される。箱状部材521内部において、導入口521Aから排出口へと空気が流通する際に、ランプ駆動ブロック52の回路基板が冷却される。また、電源ユニット5のうち箱状部材511内部に導入された空気は、排出口511Bを介して、箱状部材511および光源装置411で形成される略L字形状の内側部分に排出される。箱状部材511内部において、第1導入口511Aおよび第2導入口から排出口511Bへと空気が流通する際に、電源ブロック51の回路基板が冷却される。
光源装置冷却部62は、図3または図4に示すように、光源装置411および箱状部材511で形成される略L字形状の内側部分に配設される。この光源装置冷却部62は、図3または図4に示すように、軸流ファン621と、第2排気側ダクト622とを備える。そして、光源装置冷却部62は、軸流ファン621の駆動により、光源装置411および箱状部材511で形成される略L字形状の内側部分の空気(電源ユニット5を介して排出された空気等)や、その他の空間の空気を、軸流ファン621〜第2排気側ダクト622の空気流通路を辿ってフロントケース23の排気口233を介して投射レンズ3の投射方向から離間する方向にプロジェクタ1外部へと排出する。より具体的に、光源装置411を構成するランプハウジング411Cには、図3または図4に示すように、前後方向に対向する各端面に空気を内外に流通可能とする複数の孔411C1が形成されており、軸流ファン621が駆動することにより、複数の孔411C1を介してランプハウジング411C内部の空気が軸流ファン621に吸入される。ランプハウジング411C内部において、複数の孔411C1を介して空気が流通する際に、光源ランプ411Aやリフレクタ411Bが冷却される。
〔6.投射位置調整装置8の構成〕
図6〜図8は、投射位置調整装置8の構造を示す図である。具体的に、図6は、投射位置調整装置8を光路後段側から見た斜視図、図7は、光路前段側から見た斜視図、図8は、投射位置調整装置8の分解斜視図である。
なお、図6〜図8では、説明の便宜上、投射レンズ3からの投射方向をZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
〔6-1.投射位置調整装置8の構成〕
投射位置調整装置8は、投射レンズ3の投射位置を調整する。この投射位置調整装置8は、図8に示すように、固定板81と、第1の移動板82と、第2の移動板83と、補助板84と、支持板85と、第1の調整駆動部86と、第2の調整駆動部87と、付勢部材88と、シフトカバー89とを備える。
なお、このうち、補助板84および支持板85は、本発明の固定部材に相当し、第1の移動板82および第2の移動板83は、本発明の移動部材に相当し、第1の調整駆動部86および第2の調整駆動部87は、本発明の駆動機構に相当する。
固定板81は、光学部品用筐体45(図5参照)に固定され、投射位置調整装置8全体を支持する部分である。この固定板81は、図8に示すように、平面視略矩形形状を有する。
この固定板81において、略中央部分には、投射レンズ3における鏡筒31を挿通可能とする平面略円状の開口部811が形成されている。
そして、固定板81における+Z軸方向端面の開口部811周縁部分を第1の移動板82が摺動することとなる。
この固定板81には、開口部811を囲んで4つの固定用孔812が形成されている。そして、これら固定用孔812を介して図示しないねじが光学部品用筐体45の側面に形成された図示しないねじ孔に螺合されることで、固定板81が光学部品用筐体45に固定される。
さらに、この固定板81において、固定板81のZ軸方向に直交する端面の周縁部には、図8に示すように、5つの固定用孔813がZ軸方向に貫通されている。この固定用孔813にはねじ(図示略)が挿通され、このねじが、後述する補助板84の固定用筒842の筒内で螺合されることにより、固定板81および補助板84が接続される。
この固定板81において、+X軸方向端面の+Y軸方向端部側(上端部側)には、+X軸方向に突出する固定用筒814が形成されている。固定用筒814は、+X軸方向端面から−X軸方向に向かってねじ孔が形成されている。
また、この固定板81において、+X軸方向端面の−Y軸方向端部側(下端部側)には、−X軸方向に向かって固定用ねじ孔815が形成されている。
そして、この固定板81において、+Y軸方向端面(上端面)には、図8に示すように、シフトカバー89を固定するための2つのねじ孔816、および、位置決め突起817が形成されている。
また、この固定板81において、+Z軸方向端面には、図8に示すように、複数の補強リブ818が立設されている。このような補強リブ818を設けることで、投射位置調整装置8への外力の影響を緩和し、外力による投射位置のずれを抑制している。
第1の移動板82は、固定板81よりも小さい平面視略矩形形状を有し、図6および図8に示すように、固定板81に対して+Z軸方向側に配置される。この第1の移動板82は、図8に示すように、固定板81における+Z軸方向端面の開口部811周縁部分に当接し、Y軸方向およびX軸方向に移動可能に構成されている。また、第1の移動板82は、投射レンズ3を支持固定し、移動することで、投射レンズ3をY軸方向およびX軸方向に移動する。
この第1の移動板82において、略中央部分には、図8に示すように、投射レンズ3における鏡筒31を挿通可能とする開口部821が形成されている。
この開口部821は、鏡筒31の外周端部との隙間を小さくするために、鏡筒31の外形寸法に近い寸法を有するように形成されている。このように形成することで、鏡筒31と開口部821との隙間から光が漏れたり、塵埃等がプロジェクタ1内部に侵入したりすることを回避できる。
この第1の移動板82において、開口部821周縁の四隅位置には、図8に示すように、投射レンズ3におけるフランジ部32の固定用孔321に対応して、固定用孔822が形成されている。そして、開口部821に投射レンズ3における鏡筒31を挿通した状態で、+Z軸方向(投射方向と反対側)から、フランジ部32の固定用孔321を介して、ねじ(図示略)を固定用孔822に螺合することで、投射レンズ3が第1の移動板82に固定される。すなわち、第1の移動板82は、固定板81に対向する端面にて投射レンズ3を支持固定する。
さらに、この第1の移動板82において、+Z軸方向端面の四隅位置には、図8に示すように、付勢用孔823が形成されている。そして、これら付勢用孔823には、後述する付勢部材88がそれぞれ配置される。
そして、この第1の移動板82において、+Z軸方向端面の+X軸方向端部側には、図8に示すように、−Z軸方向に陥設されY軸方向に沿って延びるレール溝824が形成されている。
また、この第1の移動板82において、+X軸方向端面のY軸方向略中央部分には、図8に示すように、移動突起825および移動突起826が、+X軸方向に突出するようにそれぞれ形成されている。
移動突起825,826は、ともに後述する支持板85のトラック孔856に挿通される。このうち、移動突起825は、支持板85の−X軸方向側にて、後述する第1の調整駆動部86の駆動ギアと係合し、前記駆動ギアの力を受ける。これら移動突起825,826は、+X軸方向端面から−X軸方向に向かってねじ孔(図示略)が形成されている。
なお、移動突起826の+Y軸方向側には、第1の移動板82の+X軸方向端面から移動突起826に沿って突出する補強板826Aが形成されている。この補強板826Aは、−Y軸方向端部が移動突起826と一体となっている。
移動突起825,826の+X軸方向端面には、図8に示すように、以下に説明する架橋部材827が架橋される。
この架橋部材827は、Y軸方向に伸びる長尺部材であり、そのY軸方向両端部(上下端部)には、X軸方向に貫通された固定用孔827A,827Bがそれぞれ形成されている。この固定用孔827A,827BのY軸方向の間隔は、移動突起825,826のY軸方向の間隔と一致している。
そして、この架橋部材の固定用孔827A,827Bを介して、移動突起825,826のねじ孔に螺合するねじ827Cによって、架橋部材827は、移動突起825,826の+X軸方向端面に接合される。
移動突起826に架橋部材827の形成・接合により、移動突起825のY軸方向の強度を補強することができる。すなわち、移動突起825は、駆動ギアから力を受けるため、Y軸方向に折れやすい恐れがある。しかしながら、移動突起825の−Y軸方向側に移動突起826を形成し、さらに、架橋部材827が、移動突起825,826に対しY軸方向に架橋したことから、移動突起825にかかる力を、移動突起826および架橋部材827へ分散させることができる。さらにまた、移動突起826に補強板826Aを形成したことから、移動突起826を折れにくくし、なお一層、移動突起825を補強することができる。
また、第1の移動板82は、第2の移動板83とともに、X軸方向に移動される。第1の移動板82が、支持板81に対し、−X軸方向に最大限移動できるように、移動突起825,826および補強板826Aは、X軸方向に十分に長い寸法を有している。
この第1の移動板82において、+Z軸方向端面には、図8に示すように、複数の補強リブ828が立設されている。このような補強リブ828を設けることで、投射位置調整装置8への外力の影響を緩和し、外力による投射位置のずれを抑制している。
第2の移動板83は、第1の移動板82と同様の形状を有し、図8に示すように、第1の移動板82に対して+Z軸方向側に配置される。この第2の移動板83は、X軸方向に移動可能に構成され、第1の移動板82と係合し、移動することで第1の移動板82をX軸方向に移動させる。
この第2の移動板83において、−Z軸方向端面には、第1の移動板82のレール溝824に対応する位置に、Y軸方向に沿って延びる摺動突起830が形成されている。摺動突起830は、投射位置調整装置8を組み合わせた状態で、第1の移動板82のレール溝824に係合される。これにより、第1の移動板82は、レール溝824および摺動突起830により案内されて第2の移動板83に対してY軸方向に移動する。また、第1の移動板82は、レール溝824および摺動突起830により、第2の移動板83のX軸方向の移動に連動して、X軸方向に移動する。
この第2の移動板83において、略中央部分には、図8に示すように、投射レンズ3における鏡筒31を挿通可能とする開口部831が形成されている。
この開口部831は、第2の移動板83に対して第1の移動板82が移動し投射レンズ3が移動した際に、鏡筒31の外周端部と開口部831の内周端部とが機械的に干渉しないように、鏡筒31の外周形状よりも大きい形状を有している。
さらに、この第2の移動板83において、+Z軸方向端面の+Y軸方向側(上方側)の角隅部分には、図8に示すように、−Z軸方向に窪む凹部832が成されている。そして、凹部832には、第2の調整駆動部87を構成するダイアルギア、中間ギア、および駆動ギアがそれぞれ配置される。そして、凹部832には、図8に示すように、+Z軸方向に突出し、前記駆動ギアと係合し、前記駆動ギアの力を受ける移動突起833が形成されている。
さらにまた、この第2の移動板83において、+Z軸方向端面の−Y軸方向端部側には、図8に示すように、+Z軸方向に突出しX軸方向に沿って延び、補助板84と係合する係合突起834が形成されている。
また、この第2の移動板83において、+Y軸方向端部(上端部)のX軸方向略中央部分には、図8に示すように、XY平面の断面が略半円状となる凹部835が形成されている。そして、この凹部835には、後述する付勢部材88が配置される。
この第2の移動板83において、凹部832を除く+Z軸方向端面には、図8に示すように、複数の補強リブ836が立設されている。このような補強リブ836を設けることで、投射位置調整装置8への外力の影響を緩和し、外力による投射位置のずれを抑制している。
補助板84は、固定板81と同様の形状を有し、図8に示すように、第2の移動板83に対して+Z軸方向側に配置され、固定板81とで第1の移動板82および第2の移動板83を挟装する。
この補助板84において、略中央部分には、図8に示すように、投射レンズ3における鏡筒31を挿通可能とする開口部841が形成されている。
この開口部841は、投射レンズ3が移動した際に、鏡筒31の外周端部と開口部841の内周端部とが機械的に干渉しないように、鏡筒31の外周形状よりも大きい形状を有している。
この補助板84において、−Z軸方向端面には、図8に示すように、固定板81の4つの固定用孔813の位置に対応して、−Z軸方向に突出し、固定板81と接続するための5本の固定用筒842が形成されている。
これら固定用筒842は、+Z軸に向かって内部にねじ孔が形成されている。そして、固定用筒842を固定板81の固定用孔813に当接した状態で、固定用孔813を介してねじを固定用筒842のねじ孔に螺合することで、固定板81に対して補助板84が固定される。
さらに、この補助板84において、+Z軸方向端面の+Y軸方向側(上方側)で−X軸方向側の角隅部分には、図8に示すように、−Z軸方向に窪む凹部843が形成されている。そして、凹部843には、第2の調整駆動部87を構成するダイアル871が配置される。
また、この凹部843には、図8に示すように、+Z軸方向に突出し、内部に挿通孔844Aが形成された軸支部844が形成されている。そして、この軸支部844は、挿通孔844Aに第2の調整駆動部87を構成するダイアルギアの回動軸が挿通され、ダイアル871および前記ダイアルギアを回転可能に軸支する。
この凹部843の裏面(−Z軸方向端面)には、第2の調整駆動部87の中間ギアを回転可能に軸支する回動軸845A(図10参照)が形成されている。さらに、−Z軸方向端面には、回動軸845Aの−Y軸方向側(下方側)に、第2の調整駆動部87の駆動ギアを回転可能に軸支する回動軸845B(図10参照)が形成されている。
この補助板84において、+Y軸方向端部(上端部)には、図8に示すように、シフトカバー89を位置決めするための2つの位置決め突起846A、および、固定するための2つのねじ孔846Bが形成されている。
また、この補助板84において、+X軸方向端面には、支持板85を固定するための固定用筒847A,847B(図10参照)と、第1の調整駆動部86のダイアルギア、第2中間ギアおよび駆動ギアを回転可能に軸支する回動軸848A,848B,848C(図9、図10参照)とが形成されている。なお、固定用筒847A,847Bには、−X軸方向に向かってねじ孔が形成されている。
さらに、この補助板84において、+Z軸方向端面には、図6〜図8に示すように、複数の補強リブ849が立設されている。このような補強リブ849を設けることで、投射位置調整装置8への外力の影響を緩和し、外力による投射位置のずれを抑制している。
この補助板84において、−Z軸方向端面には、第2の移動板83の係合突起834に対応する位置に、X軸方向に沿って伸びる係合凹部840(図10参照)が形成されている。この係合凹部840は、係合突起834のX軸方向の長さ寸法に第2の移動板83のX軸方向への移動量を加えた寸法よりも大きい長さ寸法を有するように形成されている。投射位置調整装置8を組み合わせた状態では、第2の移動板83の係合突起834が補助板84の係合凹部840に挿通される。そして、第2の移動板83は、係合突起834および係合凹部840により案内されて補助板84に対してX軸方向に移動する。
支持板85は、図6〜図8に示すように固定板81、第1の移動板82、第2の移動板83、および補助板84に対して+X軸方向側に配置され、第1の調整駆動部86を支持するとともに、固定板81および補助板84の接続状態を補強する部分である。
この支持板85では、図8に示すように、−Y軸方向側(下方側)の部位852が、+Y軸方向側(上方側)の部位851が対して、+X軸方向に膨出している。
この支持板85において、部位851の+Y軸方向側(上方側)には、図8に示すように、表裏を貫通する軸支部853が形成されている。そして、この軸支部853には、第1の調整駆動部86を構成するダイアルギアの軸部が挿通され、ダイアル861および前記ダイアルギアが回転可能に軸支される。
さらに、この支持板85において、部位851の+Y軸方向側(上方側)で+Z軸方向側の角隅部、および、部位851の−Y軸方向側(下方側)の+Z軸方向側には、固定用孔854A,854Bが形成されている。
この固定用孔854A,854Bを介して、補助板84の固定用筒847A,847Bのねじ孔にそれぞれ螺合するねじによって、支持板85が補助板84に固定される。
さらに、この支持板85において、部位851には、図8に示すように、固定板81の固定用筒814および固定用ねじ孔815に対応する位置に、それぞれ固定用孔855Aおよび固定用孔855Bが形成されている。そして、固定用孔855A,855Bを介して、固定板81の固定用筒814および固定用ねじ孔815にねじを螺合することで、支持板85が固定板81に対して固定される。
そして、この支持板85において、部位851から部位852へかけて、図8に示すように、第1の移動板82の移動突起825,826に対応する位置にトラック孔856が形成されている。このトラック孔856は、図8に示すように、Y軸方向に延びるように形成されている。
投射位置調整装置8を組み立てた状態では、トラック孔856に移動突起825,826が挿通され、第1の移動板82の移動に応じて移動突起825,826が支持板85に機械的に干渉することが回避される。
図9は、第1の調整駆動部86の構造を示す図である。具体的に、図9は、投射位置調整装置8から支持板85を取り外した状態を+X軸方向から見た図である。なお、図9では、図6〜図8と同様に、投射レンズ3からの投射方向をZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
第1の調整駆動部86は、利用者の操作により第1の移動板82をY軸方向に移動させ、投射レンズ3の投射位置をY軸方向に変更させる部分である。この第1の調整駆動部86は、図8または図9に示すように、ダイアル861(図8参照)と、ダイアルギア862と、第1中間ギア863と、第2中間ギア864と、駆動ギア865とを備える。
ダイアル861は、その一部が外装筺体2におけるアッパーケース21の上面から露出し、利用者により操作される操作部である。このダイアル861は、図8に示すように、略円柱形状を有し、内部に空間を有する蓋状に形成され、支持板85の+X軸方向側に配置されている。ダイアル861の中心には、固定用の孔が形成されている。
ダイアルギア862は、ダイアル861と係合し、ダイアル861とともに回転し、該回転を第1中間ギア863に伝達するものであり、図8に示すように、支持板85の−X軸方向側に配置される。このダイアルギア862は、図8または図9に示すように、軸部862Aと、歯車862Bとで構成される。
軸部862Aは、円柱形状を有し、先端面から歯車862A側へ向かってねじ孔(図示略)が形成されている。この軸部862Aのねじ孔に、+X軸方向から、ダイアル861の中心の孔、および、支持板85の853を介したねじが螺合されることにより、ダイアル861が支持板85に軸支される。
歯車862Bは、軸部862Aの基端部分と接続し、第1中間ギア863の後述する第1歯車と噛合し、ダイアル861の回転を第1中間ギア863に伝達する。この歯車862Bの回転中心には、図9に示すように、円孔862B1が形成され、投射位置調整装置8を組み立てた状態では、該円孔862B1が補助板84の回動軸848Aに挿通され、ダイアルギア862が回動軸848Aに回転可能に軸支される。
第1中間ギア863は、ダイアルギア862の歯車862B、および、第2中間ギア864の歯車864Aと噛合するものであり、支持板85の−X軸方向側に配置される。第1中間ギア863は、ダイアルギア862の回転を第2中間ギア864に伝達する。
第2中間ギア864は、図8に示すように、径寸法が大きい第1歯車864Aと、径寸法が小さい第2歯車864Bとが一体的に構成されたものであり、支持板85の−X軸方向側に配置される。
第1歯車864Aは、第1中間ギア863と噛合するものである。
第2歯車864Bは、駆動ギア865の噛合部と噛合するものであり、第1歯車864Aとともに第1中間ギア863の回転を駆動ギア865に伝達する。そして、第2中間ギア864の回転中心には、図9に示すように、円孔864Cが形成され、投射位置調整装置8を組み立てた状態では、該円孔864Cが補助板84の回動軸848Bに挿通され、第2中間ギア864が回動軸848Bに回転可能に軸支される。
駆動ギア865は、図8または図9に示すように、平面視扇形状を有し、支持板85の−X軸方向側に配置される。この駆動ギア865は、図9に示すように、ギア本体865Aと、噛合部865Bとで構成される。
ギア本体865Aは、固定板81の回動軸848Cに回転可能に軸支される部分であり、基端部分に補助板84の回動軸848Cを挿通可能とする円孔865Cが形成されている。
また、ギア本体865Aには、円孔865Cの中心位置から放射状に拡がる方向に延びるトラック孔865Dが形成されている。そして、このトラック孔865Dには、投射位置調整装置8を組み立てた状態で、第1の移動板82の移動突起825が挿通される。
噛合部865Bは、ギア本体865Aの先端部分の円弧状部分に形成され、第2中間ギア864の第2歯車864Bと噛合する。
以上のような構成により、利用者がY1方向(図9参照)にダイアル861を回転させると、該ダイアル861の回転がダイアルギア862、第1中間ギア863および第2中間ギア864にて駆動ギア865に伝達され、駆動ギア865が回動軸848Cを中心としてY5方向(図9参照)に回転する。
この際、トラック孔865Dにて移動突起825が案内され、第1の移動板82が−Y軸方向(下方向)に移動する。そして、第1の移動板82とともに、投射レンズ3が−Y軸方向(下方向)に移動し、投射位置が−Y軸方向(下方向)に調整される。
また、利用者がY2方向(図9参照)にダイアル861を回転させた場合には、上記と逆に、駆動ギア865が回動軸848Cを中心としてY6方向(図9参照)に回転する。この際、トラック孔865Dにて移動突起825が案内され、第1の移動板82が+Y軸方向(上方向)に移動し、投射位置が+Y軸方向(上方向)に調整される。
図10は、第2の調整駆動部87の構造を示す図である。具体的に、図10は、補助板84に第2の調整駆動部87が配置された状態を−Z軸方向から見た図である。なお、図10では、図6〜図8と同様に、投射レンズ3からの投射方向をZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
第2の調整駆動部87は、利用者の操作により第2の移動板83をX軸方向に移動させ、該第2の移動板83の移動に第1の移動板82が連動することで、投射レンズ3の投射位置をX軸方向に変更させる部分である。この第2の調整駆動部87は、第1の調整駆動部87のダイアル861(裏面の孔を含む)、ダイアルギア862(軸部862A、歯車862B、および円孔862B1を含む)、第2中間ギア864(第1歯車864A、第2歯車864B、および円孔864Cを含む)、駆動ギア865(ギア本体865A、噛合部865B、円孔865C、およびトラック孔865Dを含む)と同様の、ダイアル871(孔871A(図13参照)を含む)、ダイアルギア872(軸部872A、歯車872B、および円孔872B1を含む)、中間ギア873(第1歯車873A、第2歯車873B、および円孔873Cを含む)、駆動ギア874(ギア本体874A、噛合部874B、円孔874C、およびトラック孔874Dを含む)を備える。
ダイアル871は、その一部が外装筐体2におけるアッパーケース21の上面から露出し、利用者により操作される操作部であり、図8に示すように、補助板84の+Z軸方向側に配置され、補助板84の凹部843に配置される。
ダイアルギア872は、図8に示すように、補助板84の−Z軸方向側に配置される。そして、このダイアルギア872は、投射位置調整装置8を組み立てた状態で、図8に示すように、軸部872Aが補助板84の挿通孔844Aに挿通される。そして、軸部872Aのねじ孔とダイアル871の裏面における孔871A(図13参照)とが螺合されることにより、ダイアル871が補助板84に軸支される。
中間ギア873は、図10に示すように、補助板84の−Z軸方向側に配置される。そして、この中間ギア873は、投射位置調整装置8を組み立てた状態で、図10に示すように、円孔873Cに補助板84の回動軸845Aに挿通され、中間ギア873が回動軸845Aに回転可能に軸支される。
駆動ギア874は、図8に示すように、補助板84の−Z軸方向側に配置される。そして、この駆動ギア874は、投射位置調整装置8を組み立てた状態で、図10に示すように、円孔874Cに補助板84の回動軸845Bが挿通され、駆動ギア874が回動軸845Bに回転可能に軸支される。また、駆動ギア874は、投射位置調整装置8を組み立てた状態で、トラック孔874Dに第2の移動板83の移動突起833が挿通される。
以上のような構成により、利用者がX1方向(図10参照)にダイアル871を回転させると、該ダイアル871の回転がダイアルギア872および中間ギア873にて駆動ギア874に伝達され、駆動ギア874が回動軸845Bを中心としてX5方向(図10参照)に回転する。この際、トラック孔874Dにて移動突起833が案内され、第2の移動板83が−X軸方向に移動する。ここで、第2の移動板83の摺動突起830と第1の移動板82のレール溝824により、第2の移動板83とともに第1の移動板82が−X軸方向に移動する。そして、第1の移動板82とともに、投射レンズ3が−X軸方向に移動し、投射位置が−X軸方向に調整される。
また、利用者がX2方向(図10参照)にダイアル871を回転させた場合には、上記と逆に、駆動ギア874が回動軸845Bを中心としてX6方向(図10参照)に回転する。この際、トラック孔874Dにて移動突起833が案内され、第2の移動板83および第1の移動板82が+X軸方向に移動し、投射位置が+X軸方向に調整される。
シフトカバー89は、図6〜図8に示すように、投射位置調整装置8の+Y軸方向端部側(上端部側)、および投射レンズ3の+Y軸方向側(上方側)に配置されている。
このシフトカバー89は、固定板81および補助板84に固定される部分であり、平面視矩形状の板体から構成される。
このシフトカバー89には、図8に示すように、固定板81の2つのねじ孔816、および補助板84の2つのねじ孔846Bに対応して、4つの固定用孔89Aが形成されている。また、固定板81の位置決め突起817、および、補助板84の2つの位置決め突起846Aに対応して、3つの位置決め用孔89Bが形成されている。
そして、3つの位置決め用孔89Bに、それぞれ位置決め突起817,846Aを挿通することで、各部材81〜84に対してシフトカバー89が位置決めされ、4つの固定用孔89Aを介してねじ(図示略)を固定板81および補助板84の各ねじ孔816,846Bに螺合することで、各部材81〜84に対してシフトカバー89が固定される。
また、このシフトカバー89には、図8に示すように、第2の調整駆動部87のダイアル871に対応して、開口部89C形成されている。すなわち、各部材81〜84に対してシフトカバー89を固定した状態では、開口部89Cを介してダイアル871の一部が露出することとなる。
付勢部材88は、図8に示すように、第1の移動板82および第2の移動板83の間に配置される4つの第1付勢部材88Aと、第2の移動板83およびシフトカバー89の間に配置される1つの第2付勢部材88Bとで構成される。
4つの第1付勢部材88Aは、止め具88A1と、ばね88A2とから構成される。そして、図8に示すように、第1の移動板82の4つの付勢用孔823に、それぞれ、+Z軸方向から、ばね88A2が挿入され、さらに、挿入されたばね88A2を介して止め具88A1が嵌合されている。このため、止め具88A1にはZ軸方向の付勢が働く。
従って、投射位置調整装置8を組み立てた状態では、これら第1付勢部材88Aは、第1の移動板82を固定板81に対して付勢するとともに、第2の移動板83を補助板84に対して付勢する。
これにより、投射位置調整装置8を組み立てた状態では、第2の移動板83を第1移動板82および補助板84に対して付勢することができる。このため、第2の移動板83と第1の移動板82および補助板84との間に製造公差等により生じる隙間を第1付勢部材88Aにより埋めることができ、第2の移動板83をX軸方向に移動させる際に、第2の移動板83がガタつくことがなく、第2の移動板83を良好に移動させることができる。また、第1付勢部材88Aを上記のように介装することで、第1の移動板82も固定板81に対して付勢されることとなり、固定板81に対して第1の移動板82も良好に移動させることができる。したがって、各移動板82,83を移動させ投射位置を調整する際に投射位置が波打つことなく、投射位置をさらに高精度に調整できる。
第2付勢部材88Bは、図8に示すように、樹脂材料を成形加工により形成した円筒形状を有する成形品である。そして、この第1付勢部材88Bは、円筒軸方向がZ軸方向に向くように第2の移動板83の凹部835に配置される。そして、投射位置調整装置8を組み立てた状態では、この第2付勢部材88Bは、第2の移動板83を補助板84に対して−Y軸方向(下方向)に付勢する。すなわち、補助板84の係合凹部840に対して第2の移動板83の係合突起834が−Y軸方向(下方向)に付勢されることとなる。
これより、第2の移動板83と補助板84との間に製造公差等により生じる隙間を第2付勢部材88Bにより埋めることができ、第2の移動板83をX軸方向に移動させる際に、第2の移動板83がガタつくことがなく、第2の移動板83を良好に移動させることができる。したがって、第2の移動板83をX軸方向に移動させ投射位置をX軸方向に調整する際に投射位置が波打つことなく、投射位置をさらに高精度に調整できる。
〔6-2.投射レンズ3の構成〕
図11は、投射レンズ3の構造を示す分解斜視図である。なお、図11では、図6〜図8と同様に、投射レンズ3からの投射方向をZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
投射レンズ3は、図11に示すように、鏡筒31と、フランジ部32とを備えている。そして、鏡筒31は、レンズ部91と、ズーム調整リング92と、フランジリング93と、フォーカス調整リング94とを備えている。
レンズ部91は、レンズ911と、レンズ911を支持するレンズ枠912とを備えている。レンズ911は、投射レンズ3の鏡筒31の円筒径と略同等の径寸法を有する円形状レンズである。レンズ部91は、鏡筒31の筒内部に配置される。
ズーム調整リング92は、鏡筒31に嵌合し、つまみ921の移動に応じて、鏡筒31にレンズ部91の位置を変更させ、投影画像の倍率調整を実施させる。
具体的には、ズーム調整リング92は、図11に示すように、投射レンズ3の鏡筒31よりも大きい径寸法を有する略円筒形状部材である。このズーム調整リング92において、円筒形状外周面には、図11に示すように、外側に突出したつまみ921が形成されている。そして、つまみ921が利用者により操作され、つまみ921が円筒周方向に移動すると、ズーム調整リング92が円筒軸を中心として回転する。
ズーム調整リング92は、複数の部材で構成された鏡筒31のうち、回転することでレンズ部91の位置を変更し投影画像の倍率調整を実施する部材(図示略)に取り付けられており、周方向の回転により前記部材を回転させる。
また、ズーム調整リング92の円筒側面の−Z軸方向端部には、円筒外周から外側に向かって膨出するリング枠部922が形成されている。このリング枠部922の外周面には、円筒軸中心に向かって陥設された係合溝923が円筒外周に沿って形成されている。
フランジリング93は、図11に示すように、ズーム調整リング92の円筒外周に嵌合する環状部材であり、延出片としての第1フランジ931および第2フランジ932から構成されている。
第1フランジ931および第2フランジ932は、鏡筒31の円筒軸を中心とする半円弧形状を有し、この半円弧がZ軸方向に直交する面に沿って円周上に拡張する半環状板部材である。そして、第1フランジ931および第2フランジ932の内側円周は、リング枠部922の円筒外周と略同径である。
第1フランジ931において、一方の周端部には、第1フランジ931のZ軸方向寸法より僅かに薄いZ軸方向寸法で、周方向に沿って突出する係止凸部931Aが形成されている。そして、第1フランジ931の他方の周端部には、第1フランジ931のZ軸方向寸法より僅かに薄いZ軸方向寸法で−Z軸方向へ向かって陥没された係合凹部931Bが形成されている。
第2フランジ932の周端部においても、第1フランジ931の係止凸部931Aおよび係合凹部931Bと同様の、係止凸部(図示略)および係合凹部932Bが形成されている。
これら第1フランジ931および第2フランジ932は、その内側円周縁が、リング枠部922の係合溝923に嵌合されることにより、ズーム調整リング92に取り付けられる。そして、このように内側円周縁をリング枠部922の係合溝923に嵌合させながら、第1フランジ931の係止凸部931A、および、第2フランジ932の係合凹部932Bが周方向に沿って係合し、第2フランジ932の係止凸部、および、第1フランジ931の係合凹部931Bが周方向に沿って係合することで、フランジリング93が構成される。
フォーカス調整リング94は、複数の部材で構成された鏡筒31のうち回転することでレンズ部91の位置を変更し投影画像の焦点調整を実施する部材(図示略)に取り付けられており、周方向の回転により前記部材を回転させる。このフォーカス調整リング94は、図11に示すように、平面視円形枠状に形成されている。
〔7.基準位置検知機構10の構成〕
図12〜図15を用いて、基準位置検知機構10を説明する。図12は、基準位置検知機構10の全体図を示す図である。図13および図14は、基準位置検知機構10を構成する各部材を示す図である。図15は、基準位置検知機構10の動作を説明するための図である。
なお、図12および図15では、図6〜図8と同様に、投射レンズ3からの投射方向をZ軸、該Z軸と直交する2つの軸をX軸(水平軸)およびY軸(垂直軸)とする。
基準位置検知機構10は、本実施形態では、投射基準位置として、投射方向に直交する面内を移動する投射位置の移動経路の中心点、すなわち、投射位置調整装置8により移動される投射レンズ3のX軸方向移動範囲の中心、および、Y軸方向移動範囲の中心を検知する。
基準位置検知機構10は、図12に示すように、支持板85とダイアル861、および、補助板84とダイアル871との間にそれぞれ介在配置される。このうち、支持板85とダイアル861に介在される基準位置検知機構10は、投射レンズ3のY軸方向移動範囲の中心を検知する。一方、補助板84とダイアル871の間に介在される基準位置検知機構10は、投射レンズ3のX軸方向移動範囲の中心を検知する。
いずれの基準位置検知機構10も、構成および作用効果は同様である。従って、以下においては、ダイアル871と補助板84との間に介在される基準位置検知機構10を取り上げて説明する。
基準位置検知機構10は、図12に示すように、ダイアル871に形成された螺旋レール11と、摺接部としての摺接部材12と、補助板84に形成された上下動レール13とを備えている。
図13は、ダイアル871の裏面側(補助板84側)の構成を示す斜視図である。
図13に示すように、ダイアル871の裏面側は、表面側に向かってくりぬかれている。
螺旋レール11は、くりぬかれた底面に立設され、孔871Aを中心にダイアル871の円周へ向かって螺旋状に形成された螺旋状立設部871Bにより形成されている。すなわち、螺旋レール11は、ダイアルの回転方向に沿って螺旋状に形成された溝である。なお、螺旋レール11は、本発明の案内部に相当する。
さらに、螺旋レール11は、図13に示すように、回転規制部111と、レール係合穴112とを備えている。
回転規制部111は、孔871Aの近傍、および、ダイアル871の円周近傍において、螺旋レール11の走行方向と直交して立設され、螺旋レール11を封止する。
前述したように、投射位置装置8(図6〜図8参照)では、ダイアル871の回転に応じて、第2の移動板83(図8参照)をX軸方向に往復移動させる。2つの回転規制部111は、第2の移動部材83が、補助板84(図8参照)に対するX軸方向移動範囲の終端位置に達した際に、螺旋レール11に摺接していた摺接頭1226が回転方向から当接される位置にそれぞれ形成されている。
レール係合穴112は、本発明の係合部に相当し、螺旋レール11の溝底面に円状に凹設されている。レール係合穴112は、螺旋レール11上において、2つの回転規制部111の中間点に形成されている。
図14は、摺接部材12の構成を示す分解斜視図である。
摺接部材12は、略三日月形状を有する対称部材であり、図14に示すように、基部121と、基部121に支持される摺接部本体122と、基部121および摺接部本体122の間に介在されるばね123とを備えている。
基部121は、ベース板1211と、中空支柱1212と、突起部としての一対の円筒突起1213と、2本の先端柱1214と、4つの円状小突起1215とを備えている。
このうち、ベース板1211は、略三日月形状を有する板部材である。
中空支柱1212は、ベース板1211の中央(略三日月形の対称軸上)に立設されている。中空支柱1212は、円筒状中空1216と、谷部1217とを備えている。
円筒状中空1216は、中空支柱1212の内部において、断面円状に立設方向に貫通されて形成されたものである。そして、円筒状中空1216は、ベース板1211に形成された孔に連通している。谷部1217は、ベース板1211の略三日月形の弦方向に沿って、中空支柱1212の両側面から円筒状中空1216に向かって、谷状に切欠けられて形成されたものである。
2本の円筒突起1213は、中空支柱1212を挟んで前記弦方向に沿って並列され、それぞれ円筒状に突設されている。すなわち、この2本の円筒突起1213を結ぶ線と、前述した谷部1217とは同一線状に形成されている。
2本の先端柱1214は、ベース板1211の両鋭角端部にそれぞれ立設されている。
4つの円状小突起1215は、ベース板1211の外周側面において、略三日月形の前記対称軸方向と平行な2つの側面に、前記対称軸方向に沿ってそれぞれ2つずつ形成されている。円状小突起1215は、このベース板1211側面から前記弦方向に沿って突出し、先端が円筒側面状を有する小突起である。
摺接部本体122は、前述したように、基部121に重ねられて組み立てられる部材であり、図14に示すように、略Y形状を有する対称部材である。摺接部本体122は、翼部1221と、2つの掛手部1222と、対称軸である揺動支軸1223とを備えている。
翼部1221は、基部121のベース板1211と平行な面上で前記弦方向に並列された2つの略直方体部材1224からなる。この略直方体部材1224は、基部121とは反対側端面から基部121側へ向かって内部がくり貫かれており、くり貫かれた底面に、基部121との重なり方向に貫通された挿通孔1225が形成されている。図15に示すように、この一対の挿通孔1225には、基部121の一対の円筒突起1213がそれぞれ挿通される。
2つの掛手部1222は、翼部1221の両略直方体部材1224の内側端面からそれぞれ延設されている。具体的には、掛手部1222は、前記弦方向および前記重なり方向から形成される面と平行な板状部材であり、前記重なり方向に基部121とは離れる向きに延設されている。この一対の掛手部1222は、図15に示すように、基部121の中空支柱1212に形成された一対の谷部1217にそれぞれ挿通される。
揺動支軸1223は、2つの掛手部1222により支持され、前記重なり方向に伸びる円筒軸部材である。揺動支軸1223は、円筒状中空(図示略)と、摺接頭1226とを備えている。
円筒状中空は、揺動支軸1223の内部において、基部121側端面から前記重なり方向に沿って円筒状に陥設されたものである。円筒状中空の円径は、基部121の中空支柱1212に形成された円筒状中空1216と略同径である。
摺接頭1226は、基部121とは反対側の揺動支軸1223の先端部であり、半球状に形成されている。摺接頭1226は、図15に示すように、基準位置検知機構10が組み立てられた状態で、ダイアル871の回転に応じて、ダイアル871の螺旋レール11内に摺接する。
ばね123は、基部121の円筒状中空1216、および、摺接部本体122の揺動支軸1223に形成された円筒状中空と略同径の螺旋を有している。さらに、ばね123の重なり方向寸法は、これら2つの円筒状中空の重なり方向寸法を足し合わせた長さとほぼ同一である。なお、ばね123は、一端部が円筒状中空1216に嵌合され、他端部が摺接部本体122の円筒状中空に嵌合される。
このように、基部121と摺接部本体122が、ばね123を介在させて組み立てられることから、摺接部本体122は、基部121に対して前記重なり方向に屈伸可能、さらに、基部121に対して揺動支軸1223を支点に揺動可能となる。
基準位置検知機構10が組み立てられた状態では、摺接頭1227は、ばね123の作用により、常にダイアル871の裏面を押圧しており、ダイアル871の回転に応じて回転方向に揺動する。
ただし、摺接部本体122が、前記弦方向と交差する方向に揺動しようとしても、摺接部本体122の挿通孔1225の縁が基部121の円筒突起1213に引っ掛かるため、摺接部本体122の前記弦方向と交差する方向への揺動が規制される。さらに、掛手部1222が谷部1217に挿通されていることから、ここでも、摺接部本体122の前記弦方向と交差する方向の揺動は規制されることになる。
すなわち、基準位置検知機構10が組み立てられた状態では、揺動部本体122のダイアル871の回転方向と交差する方向への揺動が規制されることとなる。
上下動レール13は、図15に示すように、補助板84の凹部843上において、+Z方向に突出したレールである。
上下動レール13は、軸支部844からX軸方向両側に所定距離離れた位置から、−Y軸方向へ向かって伸びる2本の上下レール131と、各上下レール131の+Y軸方向側端部から軸支部844まで伸びる左右レール132とを備えている。なお、2つの上下レール131間のX軸方向距離は、摺接部材12のベース板1211(図14参照)の前記弦方向寸法とほぼ同一である。
さらに、2つの上下レール131および左右レール132で包囲された補助板84の略矩形面には、凹部843よりもさらに−Z軸方向に削られた凹面133(図8参照)が形成されている。
図15に示すように、凹面133には、摺接部材12が、前記弦方向がX軸方向と平行になるように配置され、2つの上下レール131の凹面133側側面には、基部121の円状小突起1215先端が当接される。
図15を用いて、基準位置検知機構10が、ダイアル871の回転に応じて行なう動作を説明する。
まず、ダイアル871がX2方向に回転した場合を考える。
摺接部材12において、ダイアル871がX2方向に回転し始めると、摺接頭1226は、螺旋レール11の溝底面との摩擦によって、ダイアル871の回転方向(−X軸方向)の力を受ける。これにより、摺接部本体122は、中空支柱1212(図14参照)を支点に、回転方向(−X軸方向)に傾斜する。そして、ダイアル871がX2方向に回転され続けると、摺接頭1226は、回転方向(−X軸方向)に傾斜した状態で、回転方向に沿って螺旋レール11の溝底面に摺接する。
このように、ダイアル871のX2方向の回転に応じて、摺接頭1226が螺旋レール11の溝底面に摺接すると、摺接頭1226に摺接される螺旋レール11の位置は、螺旋内側から螺旋外側へ向かって移動する。すると、摺接頭1226は、螺旋レール11の溝底面に接しているため、螺旋レール11の溝壁面から−Y軸方向の力を受ける。これにより、摺接部材12は、上下レール131に円状小突起1215を摺接させながら、補助板84に対して−Y軸方向に移動する。
次に、ダイアル871がX1方向に回転した場合を考える。ダイアル871の回転方向が反対向きになることで、基準位置検知機構10の各部材の動作方向は、前述したX2方向の回転の場合に対して反対向きとなる。
すなわち、摺接部材12において、ダイアル871がX1方向に回転し始めるとき、摺接頭1226は、螺旋レール11の溝底面との摩擦によって、ダイアル871の回転方向(+X軸方向)の力を受ける。これにより、摺接部本体122は、中空支柱1212を支点に、回転方向(+X軸方向)に傾斜する。そして、ダイアル871がX1方向に回転され続けると、摺接頭1226は、回転方向(+X軸方向)に傾斜した状態で、回転方向に沿って螺旋レール11の溝底面に摺接する。
このように、ダイアル871のX1方向の回転に応じて、摺接頭1226が螺旋レール11の溝底面に摺接すると、摺接頭1226により摺接される螺旋レール11の位置は、螺旋外側から螺旋内側へ向かって移動する。摺接頭1226は、螺旋レール11の底面に接しているため、螺旋レール11の溝壁面から+Y軸方向の力を受ける。これにより、摺接部材12は、上下レール131に円状小突起1215を摺接させながら、補助板84に対して+Y軸方向に移動する。
このような摺接部材12の上下方向の移動により、摺接頭1226は、螺旋レール11に滑らかに摺接し、ひいては、ダイアル871が滑らかに回転される。
ダイアル871の回転向きが切り替えられたとき、例えば、X2方向に回転されていたダイアル871が、X1方向に回転されはじめた際の基準位置検知機構10の動作について説明する。
このとき、中空支柱1212を支点としてX2方向回転向き(−X軸方向)に傾斜していた揺動部本体122は、摺接頭1226および螺旋レール11の間で発生する摩擦により、X1方向回転向き(+X軸方向)に傾斜する。この揺動による摺接頭1226の回転方向の変位は、第2調整駆動部87(図8参照)の各ギア872〜874の間で生じるガタのバックラッシュに対応されている。
このような構成および動作により、ダイアル871の回転向きが変わったことから各ギア872〜874の噛み合わせにガタが生じている間、摺接頭1226が螺旋レール11に沿って摺動しないようにさせることができる。従って、プロジェクタ1は、各ギア872〜874のバックラッシュが、投射レンズ3のX軸方向移動範囲の中心の検出に与える誤差を低減することができる。
上述のように、ダイアル871の回転に応じて、摺接頭1226が螺旋レール11の溝底面に摺接していくと、やがて、螺旋レール11の溝底面に形成されたレール係合穴112に摺接頭1226が係合される。このとき、ばね123の復元力により、摺接頭1226は、ダイアル871側(+Z軸方向側)へ伸張する。さらに、ダイアル871が回転され続けると、ばね123が縮み、摺接頭1226およびレール係合穴112の係合が解除される。そして、摺接頭1226は、再び、螺旋レール11の溝底面に摺接していく。この摺接頭1226およびレール係合穴112の係合・解除によって、ダイアル871に軽い振動およびクリック音が生じる。このダイアル871の振動を、ダイアル871を回転させていたユーザは手に感じることができる。
前述したように、レール係合穴112は、投射レンズ3の位置が移動可能範囲の中心点に達したときに、摺接頭1226に摺接される位置に形成されている。すなわち、回転中のダイアル871に軽い振動およびクリック音が生じたとき、投射レンズ3はX軸方向移動可能範囲の中心に位置しており、投射位置もX軸方向の移動経路の中心点に位置していることとなる。
これにより、ユーザは、ダイアル871を回転させて投射位置の調整をしている際に、ダイアル871の振動またはクリック音が感じられたときの投射位置を、X軸方向移動経路の中心点として認識することができる。従って、プロジェクタ1は、投射位置の調整時に、投射位置がX軸方向の移動経路中心点に到達されたことを、比較的簡単な構成で、ユーザに分かり易く伝えることができる。
さらに、螺旋レール11の溝底面を押圧している摺接部本体122は、押圧方向に移動してレール係合穴112に係合される。この係合によりダイアル871に生じる振動およびクリック音は、明瞭なものとなる。従って、ユーザは、ダイアル871の振動およびクリック音を明瞭に感じることができ、投射位置がX軸方向移動経路の中心点に到達されたことを、より分かり易く認識することができる。
さらに、ダイアル871が回転されていくと、投射位置調整装置8において、第2の移動板83が第2調整駆動部87により移動終端位置まで移動された際に、基準位置検知機構10において、摺接頭1226が回転規制部111に係合される。摺接頭1226が回転規制部111に係合されることから、ダイアル871はこれ以上回転することができなくなる。すなわち、プロジェクタ1は、第2の移動板83が移動終端位置に到達するとダイアル871の回転を規制する。
従って、プロジェクタ1は、第2の移動板83が移動終端位置に到達した後もさらにダイアル871が回転されることによって、投射位置調整装置8の各部材に負荷がかかってしまうことを防止することができる。
本実施形態では、摺接頭1226は、螺旋レール11内に摺接するとともに、螺旋の位置に応じて、補助板84上をY軸方向へ往復移動する。このため、ダイアル871の一方向の回転において、摺接頭1226が螺旋レール11の同じ位置に二度摺接することはない。
すなわち、螺旋レール11に形成されたレール係合穴112が1つである場合、ダイアル871の一方向の回転において、摺接頭1226およびレール係合穴112の係合・解除は、一回のみ行なわれる。従って、第2の移動部材83のX軸方向移動範囲が大きい投射位置調整装置8を備えるプロジェクタに対しても、本発明を適用することができる。
〔8.前記実施形態の変形〕
本発明を実施するための最良の構成などは、以上の記載で開示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、前記実施形態は、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
前記実施形態では、投射基準位置を投射レンズ3の移動範囲の中心としたが、本発明では、これに限らない。
前記実施形態では、案内部に螺旋レール11を採用したが、本発明では、円周状のレールを採用してもよい。このようにすれば、円周状のレール内に1つのレール係合穴112を形成しておくと、ダイアル861,871が1回転するごとに、ダイアル861,871が振動することになる。すなわち、ユーザは、ダイアル861,871の振動により、投射レンズ3が一定間隔移動されたことを認識できる。
前記実施形態では、螺旋レール11は、図13に示すように断面矩形状の溝状のレールとしたが、本発明ではこれに限らない。例えば、螺旋レール11を、摺接頭1226の外形に対応させた断面半円状の溝状としてもよい。このようにすれば、摺接頭1226が、螺旋レール11内でダイアル861,871の回転方向と交差する方向にガタつくことを抑制することができる。
本発明では、摺接部および係合部は、互いに係合される形状を有していればよく、例えば、係合部は、螺旋レール11の溝底面から僅かに突出した突起部であってもよい。
前記実施形態では、第1の調整駆動部86を駆動することで第1の移動板82をY軸方向に移動させ、第2の調整駆動部87を駆動することで第2の移動板83をX軸方向に移動させていたが、これに限らない。例えば、第1の調整駆動部を駆動することで第1の移動板をX軸方向に移動させ、第2の調整駆動部を駆動することで第2の移動板をY軸方向に移動させる構造を採用してもよい。
前記実施形態では、投射位置調整装置8は、投射レンズ3を投射方向に直交する方向であるX軸方向およびY軸方向に移動させることができるとしたが、本発明では、投射位置調整装置8は、投射レンズ3をどちらか一方の軸方向に移動させることができる構成であってもよい。
前記実施形態では、光学ユニット4が平面視略L字形状を有した構成を説明したが、これに限らず、例えば、平面視略U字形状を有した構成を採用してもよい。
前記実施形態では、3つの液晶パネル441を用いたプロジェクタ1の例のみを挙げたが、本発明は、1つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、2つの液晶パネルのみを用いたプロジェクタ、あるいは、4つ以上の液晶パネルを用いたプロジェクタにも適用可能である。
前記実施形態では、光入射面と光射出面とが異なる透過型の液晶パネルを用いていたが、光入射面と光射出面とが同一となる反射型の液晶パネルを用いてもよい。
前記実施形態では、光変調装置として液晶パネルを用いていたが、マイクロミラーを用いたデバイスなど、液晶以外の光変調装置を用いてもよい。この場合は、光束入射側および光束射出側の偏光板は省略できる。
前記実施形態では、スクリーンを観察する方向から投写を行なうフロントタイプのプロジェクタの例のみを挙げたが、本発明は、スクリーンを観察する方向とは反対側から投写を行なうリアタイプのプロジェクタにも適用可能である。
本発明は、プロジェクタに利用することができる。
本実施形態におけるプロジェクタの外観を示す斜視図。 前記実施形態におけるプロジェクタの外観を示す斜視図。 前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を示す図。 前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を示す図。 前記実施形態における光学ユニットの光学系を模式的に示す平面図。 前記実施形態における投射位置調整装置を投射方向前方側から見た斜視図。 前記実施形態における投射位置調整装置を投射方向後方側から見た斜視図。 前記実施形態における投射位置調整装置の分解斜視図。 前記実施形態における第1の調整駆動部の構造を示す図。 前記実施形態における第2の調整駆動部の構造を示す図。 前記実施形態における投射レンズの構造を示す分解斜視図。 前記実施形態における基準位置検知機構の構造を示す斜視図。 前記実施形態におけるダイアルの裏面側の構成を示す斜視図。 前記実施形態における摺接部材の構成を示す分解斜視図。 前記実施形態における基準位置検知機構の構造および動作を説明するための正面図。
符号の説明
1…プロジェクタ、3…投射レンズ(投射光学装置)、411A…光源ランプ(光源)、441…液晶パネル(光変調装置)、82…第1の移動板(移動部材)、83…第2の移動板(移動部材)、84…補助板(固定部材)、85…支持板(固定部材)、86…第1駆動調整部(駆動機構)、87…第2駆動調整部(駆動機構)、861,871…ダイアル、10…基準位置検知機構、11…螺旋レール(案内部)、111…回転規制部、112…レール係合穴(係合部)、12…摺接部材(摺接部)、121…基部、123…円筒突起(突起部)、122…摺接部本体、1225…挿通孔、1226…摺接頭

Claims (6)

  1. 光源と、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、前記光変調装置にて形成された光学像を拡大投射する投射光学装置と、前記投射光学装置を投射方向に直交する面内で移動させ前記投射光学装置の投射位置を調整する投射位置調整装置とを備えたプロジェクタであって、
    前記投射位置調整装置は、
    前記プロジェクタに固定される固定部材と、
    前記固定部材に対して前記投射方向に直交する面内に沿って移動可能である移動部材と、
    前記固定部材に対して回転可能に軸支され、ユーザにより操作可能に構成されるダイアルと、
    前記移動部材および前記ダイアルと係合し、前記ダイアルの回転を前記移動部材に伝達して前記移動部材を移動させる駆動機構とを備え、
    前記固定部材および前記ダイアルの間に介在配置され、前記投射光学装置の投射基準位置を検知する基準位置検知機構とを備え、
    前記基準位置検知機構は、
    前記ダイアルの前記固定部材側端面に回転方向に沿って形成された溝状の案内部と、
    前記固定部材に設けられ、前記ダイアルの回転に応じて前記案内部内に摺接する摺接部と、
    前記案内部内に形成され、前記投射光学装置の投射位置が前記投射基準位置に到達した際に前記摺接部と係合する係合部とを備えていることを特徴とするプロジェクタ。
  2. 請求項1に記載のプロジェクタであって、
    前記係合部は、前記案内部の底部に形成された凹部であり、
    前記摺接部は、前記ダイアルの回転に応じて前記案内部の底部を押圧しながら摺接し、前記投射光学装置の投射位置が前記投射基準位置に到達した際に前記係合部と係合することを特徴とするプロジェクタ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のプロジェクタにおいて、
    前記案内部は、前記ダイアルの回転方向に沿う螺旋状に形成され、
    前記摺接部は、前記固定部材に、前記ダイアルの回転方向に直交する方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とするプロジェクタ。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
    前記摺接部は、前記係合部と係合する摺接頭を有する摺接部本体と、前記固定部材に取り付けられ前記摺接部本体を支持する基部とを備え、
    前記基部は、前記摺接頭が前記ダイアルの回転方向に沿って揺動可能に前記摺接部本体を支持することを特徴とするプロジェクタ。
  5. 請求項4に記載のプロジェクタにおいて、
    前記基部には、前記摺接部本体を支持した状態で、前記摺接頭を中心として前記ダイアルの回転方向に対称となる位置に前記摺接部本体に向けて突出する一対の突起部が形成され、
    前記摺接部本体には、前記一対の突起物を挿通可能とする一対の挿通孔が形成されていることを特徴とするプロジェクタ。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載のプロジェクタにおいて、
    前記案内部内には、前記移動部材の移動終端位置に応じた位置に、前記摺接部と係合し前記ダイアルの回転を規制する回転規制部が形成されていることを特徴とするプロジェクタ。
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