JP2007071350A - 無段変速装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】無段変速装置を小型化すると共に騒音等の発生を防止する。
【解決手段】入力軸20と一体的に回転するキャリヤ30、出力軸40と一体的に回転する太陽ローラ50、太陽ローラ50に接触した状態でキャリヤ30に対して回動自在に支持されかつ入力軸20の回転に伴って太陽ローラ50の周りを公転し得る複数の遊星ローラ60、複数の遊星ローラ60に接触する内周接触面71をもつリングローラ70、キャリヤ30とリングローラ70との相対的な回転速度を連続的に変化させるべく転がり接触するトラクションロータ90を含むロータ式連続可変機構により、無段変速装置を構成する。これにより、構造が簡略化され、作動音等の発生を防止できる、安価で小型の無段変速装置が得られる。
【選択図】図1
【解決手段】入力軸20と一体的に回転するキャリヤ30、出力軸40と一体的に回転する太陽ローラ50、太陽ローラ50に接触した状態でキャリヤ30に対して回動自在に支持されかつ入力軸20の回転に伴って太陽ローラ50の周りを公転し得る複数の遊星ローラ60、複数の遊星ローラ60に接触する内周接触面71をもつリングローラ70、キャリヤ30とリングローラ70との相対的な回転速度を連続的に変化させるべく転がり接触するトラクションロータ90を含むロータ式連続可変機構により、無段変速装置を構成する。これにより、構造が簡略化され、作動音等の発生を防止できる、安価で小型の無段変速装置が得られる。
【選択図】図1
Description
本発明は、入力軸の回転速度を連続的に変化させて出力軸に伝達する無段変速装置に関し、特に、自動車、二輪車等に搭載され得る無段変速装置(CVT)に関する。
比較的小排気量の自動車等に搭載される従来の無段変速装置としては、金属ベルトで一対のプーリを連動させるベルト式CVTが知られている。このCVTは、入力軸に連結された入力プーリ、出力軸に連結された出力プーリ、両プーリ間に巻回された無端状のベルト等を備え、両プーリのV溝の幅寸法を可変制御することでベルトが接触する回転径を変化させて、入力軸から出力軸に伝達される回転速度を連続的に変化させるものである(例えば、非特許文献1参照)。
このベルト式CVTにおいては、変速レンジ1を中心として増速及び減速するが、変速比が大きく(又は小さく)なると、一方側のプーリに巻回するベルトの曲率が大きくなり(曲率半径が小さくなり)、ベルトを形成する金属コマの滑りが多くなって駆動力の伝達効率が低下する。したがって、これを避ける範囲で駆動すると、変速レンジを広く設定することができない。また、変速比を無限にできないので、停止状態を設定するにはクラッチ機構が必要になり、入力プーリと出力プーリとは同一方向にのみ回転するので、逆回転を行わせるには逆転ギヤ等が必要になり、プーリの溝幅を変化させるための油圧駆動機構等が必要になる。さらに、一対のプーリは比較的径が大きく、油圧駆動機構等も備えるため、装置全体が大きくなり、又、金属ベルトのコマがプーリに接触及び離脱する際に、高周波の金属音を生じる。
このベルト式CVTにおいては、変速レンジ1を中心として増速及び減速するが、変速比が大きく(又は小さく)なると、一方側のプーリに巻回するベルトの曲率が大きくなり(曲率半径が小さくなり)、ベルトを形成する金属コマの滑りが多くなって駆動力の伝達効率が低下する。したがって、これを避ける範囲で駆動すると、変速レンジを広く設定することができない。また、変速比を無限にできないので、停止状態を設定するにはクラッチ機構が必要になり、入力プーリと出力プーリとは同一方向にのみ回転するので、逆回転を行わせるには逆転ギヤ等が必要になり、プーリの溝幅を変化させるための油圧駆動機構等が必要になる。さらに、一対のプーリは比較的径が大きく、油圧駆動機構等も備えるため、装置全体が大きくなり、又、金属ベルトのコマがプーリに接触及び離脱する際に、高周波の金属音を生じる。
また、比較的大排気量の自動車等に搭載される従来の無段変速装置としては、球面状の接触面をもつパワーローラで一対のディスクを連動させるトロイダル式CVTが知られている。このCVTは、入力軸に連結された入力ディスク、出力軸に連結された出力ディスク、両ディスクの間に介在するパワーローラ等を備え、パワーローラの回転軸の傾きを可変制御することでパワーローラが接触する両ディスクの回転径を変化させて、入力軸から出力軸に伝達される回転速度を連続的に変化させるものである(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照)。
このトロイダル式CVTにおいては、変速レンジ1を中心として増速及び減速し、この中心付近ではパワーローラのディスクに対するスピンロスが多くなって駆動力の伝達効率が低下する。また、変速比を無限にできないので、停止状態を設定するにはクラッチ機構が必要になり、逆回転を行わせるには逆転ギヤ等が必要になる。さらに、パワーローラをディスクに押圧するために、1.5〜2.2GPaという超高圧の押付荷重を発生する機構及び構造が必要になる。
このトロイダル式CVTにおいては、変速レンジ1を中心として増速及び減速し、この中心付近ではパワーローラのディスクに対するスピンロスが多くなって駆動力の伝達効率が低下する。また、変速比を無限にできないので、停止状態を設定するにはクラッチ機構が必要になり、逆回転を行わせるには逆転ギヤ等が必要になる。さらに、パワーローラをディスクに押圧するために、1.5〜2.2GPaという超高圧の押付荷重を発生する機構及び構造が必要になる。
また、ロータを用いた従来の変速装置としては、入力軸、入力軸と一体的に回転する中心ロータ(又は入力ディスク)、中心ロータの外周面に対して転がり接触する複数のロータ、複数のロータと内接する真円状の外側ドラム、外側ドラムと一体的に回転する出力軸等を備え、ロータが転がり接触して生じるトラクション力により、入力軸の回転力を出力軸に伝達するものが知られている(特許文献1参照)。
さらに、ロータを用いた他の変速装置としては、太陽軸、太陽軸に接触しつつその周りを遊星運動する遊星ロータ、複数の遊星ロータを支持するキャリヤ等を備え、遊星ロータが転がり接触して生じるトラクション力により、キャリヤと太陽軸との間で回転を伝達するものが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの変速装置は、無段に連続的に変速できるものではない。
さらに、ロータを用いた他の変速装置としては、太陽軸、太陽軸に接触しつつその周りを遊星運動する遊星ロータ、複数の遊星ロータを支持するキャリヤ等を備え、遊星ロータが転がり接触して生じるトラクション力により、キャリヤと太陽軸との間で回転を伝達するものが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの変速装置は、無段に連続的に変速できるものではない。
日経メカニカル(1992年3月2日、P34〜P46)
NSK Technical Journal No.671(2001年、P5〜P13)
特開平11−13848号公報
特開平11−63132号公報
本発明は、上記従来の装置の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、装置の簡素化、小型化、低コスト化等を図りつつ、作動音や振動が小さく、円滑かつ連続的に無段変速できる無段変速装置を提供することにある。
本発明の無段変速装置は、第1回転軸と一体的に回転するように形成されたキャリヤと、第2回転軸と一体的に回転するように形成された太陽ローラと、太陽ローラに接触した状態でキャリヤに対して回動自在に支持されかつ第1回転軸の回転に伴って太陽ローラの周りを公転し得る複数の遊星ローラと、複数の遊星ローラに接触する内周接触面をもつリングローラと、キャリヤとリングローラとの相対的な回転速度を連続的に変化させるべく転がり接触するロータを含むロータ式連続可変機構と、を有することを特徴としている。
この構成によれば、太陽ローラ、遊星ローラ、リングローラ等により差動歯車列に類似した機構が形成されているため、遊星ローラの公転と一体的に回転するキャリヤとリングローラとの相対的な回転速度を、ロータ式連続可変機構により連続的に変化させることで、入力軸(第1回転軸又は第2回転軸)から出力軸(第2回転軸又は第1回転軸)に伝達される回転速度を連続的に変化させることができる。
すなわち、第1回転軸が入力軸で第2回転軸が出力軸の場合は、逆転〜停止(無限減速)〜正転を連続的に可変とする無段変速装置が得られ、一方、第2回転軸が入力軸で第1回転軸が出力軸の場合は、正転〜無限増速〜逆転を連続的に可変とする無段変速機が得られる。
このように、クラッチ機構、逆転切替え機構等が不要で、入力軸と出力軸とを同軸上に配置することができるため、構造が簡略化され、安価で小型の無段変速装置を提供することができる。また、歯車ではなく接触により転動するローラを採用するため、作動音や振動を低減ないしは防止することができる。
すなわち、第1回転軸が入力軸で第2回転軸が出力軸の場合は、逆転〜停止(無限減速)〜正転を連続的に可変とする無段変速装置が得られ、一方、第2回転軸が入力軸で第1回転軸が出力軸の場合は、正転〜無限増速〜逆転を連続的に可変とする無段変速機が得られる。
このように、クラッチ機構、逆転切替え機構等が不要で、入力軸と出力軸とを同軸上に配置することができるため、構造が簡略化され、安価で小型の無段変速装置を提供することができる。また、歯車ではなく接触により転動するローラを採用するため、作動音や振動を低減ないしは防止することができる。
上記構成において、ロータ式連続可変機構は、第1回転軸と一体的に回転すると共にその軸線方向に往復動自在に形成されかつその外周に接触面をもつ可動ディスクと、リングローラの外周に形成された円錐状の外周接触面と、第1回転軸又は第2回転軸の軸線に対して傾斜した軸線周りに回動自在に支持されかつリングローラの外周接触面と接触する第1円錐面及び可動ディスクの接触面と接触する第2円錐面をもつトラクションロータと、リングローラ及び可動ディスクと協働してトラクションロータを挟み込むように外側から接触するトラクションリングと、を含む構成を採用することができる。
この構成によれば、可動ディスクの接触面がトラクションロータの第2円錐面に接触し、リングローラの外周接触面がトラクションロータの第1円錐面に接触し、さらに、トラクションロータを可動ディスクとリングローラに押し付けるようにトラクションリングが外側から接触する。そして、可動ディスクが入力軸の軸線方向に移動することで、接触する第2円錐面上の回転半径が変化し、キャリヤの回転速度(遊星ローラの公転速度)とリングローラの回転速度とが相対的に変化する。例えば、可動ディスクを所定の位置に移動させて、可動ディスク(キャリヤ)の回転に対してリングローラを遅れずに同時に回転させることで正回転に設定でき、リングローラの回転を所定量だけ先行させることで停止状態に設定でき、リングローラの回転をさらに所定量だけ先行させることで逆回転に設定でき、変速比を比較的広く設定することができる。
この構成によれば、可動ディスクの接触面がトラクションロータの第2円錐面に接触し、リングローラの外周接触面がトラクションロータの第1円錐面に接触し、さらに、トラクションロータを可動ディスクとリングローラに押し付けるようにトラクションリングが外側から接触する。そして、可動ディスクが入力軸の軸線方向に移動することで、接触する第2円錐面上の回転半径が変化し、キャリヤの回転速度(遊星ローラの公転速度)とリングローラの回転速度とが相対的に変化する。例えば、可動ディスクを所定の位置に移動させて、可動ディスク(キャリヤ)の回転に対してリングローラを遅れずに同時に回転させることで正回転に設定でき、リングローラの回転を所定量だけ先行させることで停止状態に設定でき、リングローラの回転をさらに所定量だけ先行させることで逆回転に設定でき、変速比を比較的広く設定することができる。
上記構成において、リングローラは、第1回転軸に対して回動自在に支持されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、リングローラを第1回転軸に近づけて配置するのが容易になり、第1回転軸周りに部品を集約させることができ、装置を小型化できる。
この構成によれば、リングローラを第1回転軸に近づけて配置するのが容易になり、第1回転軸周りに部品を集約させることができ、装置を小型化できる。
上記構成において、リングローラの外周接触面及び内周接触面、遊星ローラの接触面、及び太陽ローラの接触面は、同一の方向に傾斜した円錐面状に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、トラクションロータが及ぼす押圧力の分力を利用して、遊星ローラとリングローラとの間に法線荷重を発生させることができ、遊星ローラとリングローラとの間でトラクション力が確実に得られて、動力を確実に伝達することができる。
この構成によれば、トラクションロータが及ぼす押圧力の分力を利用して、遊星ローラとリングローラとの間に法線荷重を発生させることができ、遊星ローラとリングローラとの間でトラクション力が確実に得られて、動力を確実に伝達することができる。
上記構成において、リングローラの外周接触面は、リングローラの内周接触面よりも小径に形成されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、リングローラは、その外周接触面とトラクションロータ(の第1円錐面)とが接触し、その内周接触面と遊星ローラとが接触する構成において、トラクションロータを第1回転軸に近づけて配置することができるため、第1回転軸周りに部品をさらに集約して配置することができ、装置をより小型化することができる。
この構成によれば、リングローラは、その外周接触面とトラクションロータ(の第1円錐面)とが接触し、その内周接触面と遊星ローラとが接触する構成において、トラクションロータを第1回転軸に近づけて配置することができるため、第1回転軸周りに部品をさらに集約して配置することができ、装置をより小型化することができる。
上記構成において、トラクションリングは、第1回転軸又は第2回転軸の軸線方向において,リングローラと可動ディスクとの間に配置されている、構成を採用することができる。
この構成によれば、トラクションリングの押圧力が、トラクションロータをリングローラと可動ディスクとにバランス良く押し付けるように作用するため、トラクション力が確実に得られて、より安定した変速動作が行われる。
この構成によれば、トラクションリングの押圧力が、トラクションロータをリングローラと可動ディスクとにバランス良く押し付けるように作用するため、トラクション力が確実に得られて、より安定した変速動作が行われる。
上記の構成をなす無段変速装置によれば、従来のようなクラッチ機構、逆転ギヤ、油圧機構等を設けることなく、増減速を伴う正回転、停止、逆回転を連続的に生じるように、入力軸の回転を出力軸に伝達させることができ、又、遊星歯車列を用いる場合に比べて、作動音等の騒音、振動等を極力防止できると共に、小型化で安価な無段変速装置が得られる。
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1ないし図5は、本発明に係る無段変速装置の一実施形態を示すものであり、図1は装置の断面図、図2装置の模式図、図3は装置の一部を示す模式図、図4及び図5はトラクション力の関係を示す模式図である。
この無段変速装置は、図1に示すように、ハウジング10、ハウジング10に対して回動自在に支持された第1回転軸としての入力軸20、入力軸20に対して一体的に回転するように形成されたキャリヤ30、ハウジング10に対して回動自在に支持された第2回転軸としての出力軸40、出力軸40に対して一体的に回転するように結合された太陽ローラ50、太陽ローラ50に接触した状態でキャリヤ30に対して回動自在に支持された3つの遊星ローラ60、遊星ローラ60に接触するリングローラ70、入力軸20と一体的に回転すると共に入力軸20の軸線方向に移動可能に支持された可動ディスク80、リングローラ70及び可動ディスク80の外周に配列された3つのトラクションロータ90、トラクションロータ90の外側に配置されたトラクションリング100等を備えている。
図1ないし図5は、本発明に係る無段変速装置の一実施形態を示すものであり、図1は装置の断面図、図2装置の模式図、図3は装置の一部を示す模式図、図4及び図5はトラクション力の関係を示す模式図である。
この無段変速装置は、図1に示すように、ハウジング10、ハウジング10に対して回動自在に支持された第1回転軸としての入力軸20、入力軸20に対して一体的に回転するように形成されたキャリヤ30、ハウジング10に対して回動自在に支持された第2回転軸としての出力軸40、出力軸40に対して一体的に回転するように結合された太陽ローラ50、太陽ローラ50に接触した状態でキャリヤ30に対して回動自在に支持された3つの遊星ローラ60、遊星ローラ60に接触するリングローラ70、入力軸20と一体的に回転すると共に入力軸20の軸線方向に移動可能に支持された可動ディスク80、リングローラ70及び可動ディスク80の外周に配列された3つのトラクションロータ90、トラクションロータ90の外側に配置されたトラクションリング100等を備えている。
そして、可動ディスク80、リングローラ70の後述する外周接触面72、トラクションロータ90、トラクションリング100等により、キャリヤ30とリングローラ70との相対的な回転速度を連続的に変化させるロータ式連続可変機構が構成されている。
ハウジング10は、アルミニウム材料等を用いて型成形されたものであり、図1に示すように、入力軸20を支持するための軸受11a及びシール11b等が取り付けられたハウジング半体11、出力軸40を支持するための軸受12a及びシール12b等が取り付けられたハウジング半体12等により構成されている。
そして、ハウジング10は、ハウジング半体11とハウジング半体12とをボルト等により締結することにより画定され、入力軸20と出力軸40とを同一の軸線上に回動自在に支持している。
そして、ハウジング10は、ハウジング半体11とハウジング半体12とをボルト等により締結することにより画定され、入力軸20と出力軸40とを同一の軸線上に回動自在に支持している。
入力軸20は、図1に示すように、その端部においてそれぞれ径方向に突出すると共に略120度の間隔で配置された3つの腕部31を有し、この腕部31に対して、軸線Lと角度θ3(図5参照)をなすピン32が結合されている。すなわち、腕部31及びピン32によりキャリヤ30が構成されている。
キャリヤ30(ピン32)は、遊星ローラ60を回動自在に支持すると共に、太陽ローラ50と転がり接触するように保持している。すなわち、入力軸20が回転すると、キャリヤ30が一体的に回転し、遊星ローラ60を太陽ローラ50の周りに公転(遊星運動)させるようになっている。
キャリヤ30(ピン32)は、遊星ローラ60を回動自在に支持すると共に、太陽ローラ50と転がり接触するように保持している。すなわち、入力軸20が回転すると、キャリヤ30が一体的に回転し、遊星ローラ60を太陽ローラ50の周りに公転(遊星運動)させるようになっている。
太陽ローラ50は、出力軸40と一体的に回転するように形成されると共に、その外周において、図5に示すように軸線Lと角度θ2をなす円錐面状の接触面51を備えるテーパローラとして形成されて、後述する遊星ローラ60の接触面61と転がり接触するようになっている。
3つの遊星ローラ60は、120度の間隔でキャリヤ30に回動自在に支持されており、その外周において、太陽ローラ50の接触面51と転がり接触すると共に後述するリングローラ70の内周接触面71と転がり接触する円錐面状の接触面61を備えるテーパローラとして形成されている。
3つの遊星ローラ60は、120度の間隔でキャリヤ30に回動自在に支持されており、その外周において、太陽ローラ50の接触面51と転がり接触すると共に後述するリングローラ70の内周接触面71と転がり接触する円錐面状の接触面61を備えるテーパローラとして形成されている。
リングローラ70は、図1及び図3に示すように、小径部及び大径部をもつ略円錐筒状に形成されて、小径部が入力軸20に対し回動自在に支持されている。そして、リングローラ70は、大径部の内側において、3つの遊星ローラ60に接触する円錐面状の(軸線Lと角度θ4をなす)内周接触面71を有し、小径部の外側において、後述するトラクションロータ90の第1円錐面91と接触する円錐面状の(軸線Lと角度θ1をなす)外周接触面72を有する。すなわち、外周接触面72とトラクションロータ90(の第1円錐面91)とが接触し、内周接触面71と遊星ローラ60とが接触し、外周接触面72は内周接触面71よりも小径に形成されている。
このように、リングローラ70を入力軸20に対して回動自在に支持すると共に、外周接触面72を内周接触面71よりも小径に形成することにより、リングローラ70及びトラクションロータ90を入力軸20に近づけて配置することができるため、入力軸20周りに部品を集約させることができ、装置を小型化することができる。
このように、リングローラ70を入力軸20に対して回動自在に支持すると共に、外周接触面72を内周接触面71よりも小径に形成することにより、リングローラ70及びトラクションロータ90を入力軸20に近づけて配置することができるため、入力軸20周りに部品を集約させることができ、装置を小型化することができる。
可動ディスク80は、図1に示すように、その外周において、トラクションロータ90の第2円錐面92と転がり接触すると共にその軸線が軸線Lと同軸にて伸長する円筒状(環状)の接触面81、軸線方向Lに伸長する複数のガイド溝82等を備えている。そして、稼動ディスク80は、ガイド溝82に挿入されたボール83により、入力軸20と一体的に回転すると同時に、入力軸20に対して、その軸線方向Lに摺動(往復動)自在に支持されている。
ここで、可動ディスク80は、入力軸20と一体的に回転するのを許容すると共に、入力軸20に対して相対的に軸線L方向に移動させるシフト機構(例えば、ウォームギヤ及びウォームホイール等を備えた機構、あるいはその他の機構等)により、図1中の実線で示す位置と二点鎖線で示す位置との間を移動させられる。したがって、可動ディスク80が移動すると、その接触面81がトラクションロータ90と接触する第2円錐面92の回転半径が変化して、連続的な変速動作が行われるようになっている。
3つのトラクションロータ90は、図1に示すように、リングローラ70の円錐面状の外周接触面72と転がり接触する第1円錐面91、可動ディスク80の円筒状の接触面81と転がり接触する第2円錐面92、第1円錐面91及び第2円錐面92と相対的に回転するように形成されると共にトラクションリング100のカム面101と転がり接触するベアリング93等を備えている。
また、各々のトラクションロータ90は、図1及び図4に示すように、軸線S1が入力軸20の軸線Lと同一点Pで交わるように所定角度θsだけ傾斜した支軸94に回動自在に支持されると共に、両端に配置された調整ネジ95及びバネ96により軸線方向S1の所定位置に位置付けるべく微調整されるようになっている。
また、各々のトラクションロータ90は、図1及び図4に示すように、軸線S1が入力軸20の軸線Lと同一点Pで交わるように所定角度θsだけ傾斜した支軸94に回動自在に支持されると共に、両端に配置された調整ネジ95及びバネ96により軸線方向S1の所定位置に位置付けるべく微調整されるようになっている。
また、各々のトラクションロータ90は、一端側90aがハウジング10に保持され、他端側90bがハウジング10の内部において回動自在に配置されたホルダー110により保持されている。尚、ホルダー110は、駆動シャフト111により、回転角度位置が調整されて、トラクションロータ90の軸線S1の軸線Lに対する周方向の捩れ角度を調整できるようになっている。
また、各々のトラクションロータ90は、図4に示すように、第1円錐面91が、軸線S1と入力軸20の軸線Lとが交わる点Pにその頂点をもつように形成され、第2円錐面92が、可動ディスク80の接触面81が接触する位置でのその母線Mが入力軸20の軸線Lと平行になるように形成されている。尚、第2円錐面92のプロフィール、すなわち、軸線S1に対する母線Mの傾斜角度は、変速比を如何に設定するかによって、母線Mを軸線Lと平行に保ちつつ軸線S1の傾斜角度を選定することによって決定される。
このように、第1円錐面91を採用することで、トラクションロータ90とリングローラ70との間の接触領域では、スピンロスが防止され、転がり接触によるトラクション力の伝達効率、すなわち、トラクションドライブの効率が向上する。また、第2円錐面92を採用することで、トラクションロータ90と可動ディスク80との間では、可動ディスク80の軸線方向Lへの移動を許容しつつ転がり接触するようになっている。
トラクションリング100は、図1に示すように、軸線L方向において所定の厚さを有しかつ輪郭が円板状をなすように形成され、又、その内側において周方向に略等間隔をおいて形成されかつベアリング93がそれぞれ内接して転がり接触する3つのカム面101を有するように形成されている。そして、トラクションリング100は、その中心が径方向に移動自在にかつ入力軸20及び出力軸40の軸線L回りに回動不能にハウジング10に支持されている。
3つのカム面101は、所定の領域ではベアリング93を中心寄りに押し付ける荷重を小さくし、他の所定の領域ではベアリング93を中心寄りに押し付ける荷重を大きくする(法線荷重を増加させる)ように作用する。
3つのカム面101は、所定の領域ではベアリング93を中心寄りに押し付ける荷重を小さくし、他の所定の領域ではベアリング93を中心寄りに押し付ける荷重を大きくする(法線荷重を増加させる)ように作用する。
また、トラクションリング100は、図1に示すように、入力軸20及び出力軸40の軸線L方向において、リングローラ70と可動ディスク80との間、すなわち、第1円錐面91と第2円錐面92との間に位置するように配置されている。したがって、トラクションリング100の押圧力Wが、トラクションロータ90の第1円錐面91と第2円錐面92を、リングローラ70の外周接触面72と可動ディスク80の接触面81とに、それぞれバランス良く押し付けるように作用するため、トラクション力が確実に得られて、より安定した変速動作が行われる。
ここで、トラクションロータ90に作用する荷重と遊星ローラ60に作用する荷重について説明すると、トラクションロータ90の第1円錐面91、リングローラ70の外周接触面72及び内周接触面71、遊星ローラ60の接触面61、及び太陽ローラ50の接触面51は、同一の方向に傾斜した円錐面状にすなわちテーパローラとして形成されているため、トラクションリング100の押圧力Wにより、第1円錐面91と外周接触面72との間には、軸線方向Lのスラスト力が発生し、このスラスト力は、リングローラ70の内周接触面71と遊星ローラ60の接触面61との間において、遊星ローラ60を軸線方向Lに押し付ける力Fsとして作用する。
この力Fsの法線荷重Ftが、遊星ローラ60を太陽ローラ50に押し付ける荷重として作用する。すなわち、トラクションロータ90が及ぼす押圧力の分力を利用して、リングローラ70と遊星ローラ60との間に法線荷重Ftを発生させることができ、リングローラ70と遊星ローラ60との間さらに遊星ローラ60と太陽ローラ50との間で、トラクション力が確実に得られて、動力を確実に伝達することができる。
この力Fsの法線荷重Ftが、遊星ローラ60を太陽ローラ50に押し付ける荷重として作用する。すなわち、トラクションロータ90が及ぼす押圧力の分力を利用して、リングローラ70と遊星ローラ60との間に法線荷重Ftを発生させることができ、リングローラ70と遊星ローラ60との間さらに遊星ローラ60と太陽ローラ50との間で、トラクション力が確実に得られて、動力を確実に伝達することができる。
次に、上記無段変速装置の動作について説明する。尚、ここでは、入力軸20の所定方向の回転に対して、車両等の前進方向に出力軸40が回転する場合を正回転、後退方向に回転する場合を逆回転として説明する。
先ず、入力軸20が所定の速度で回転すると、可動ディスク80及びキャリヤ30も一体となって同一方向に回転する。そして、キャリヤ30の回転に伴って、3つの遊星ローラ60も回転(自転)しつつ入力軸20と同一方向に同一速度で公転する。
先ず、入力軸20が所定の速度で回転すると、可動ディスク80及びキャリヤ30も一体となって同一方向に回転する。そして、キャリヤ30の回転に伴って、3つの遊星ローラ60も回転(自転)しつつ入力軸20と同一方向に同一速度で公転する。
ここで、遊星ローラ60から太陽ローラ50への回転トルクの伝達は、リングローラ70がどのような状態にあるかに応じて変化する。すなわち、リングローラ70が、停止、可動ディスク80(及び入力軸20)と同一速度で回転、可動ディスク80に先行して回転(より速い速度で回転)、可動ディスク80に遅れて回転(より遅い速度で回転)等のいずれの状態にあるかによって、遊星ローラ60から太陽ローラ50及び出力軸40に伝達される回転速度は変化する。
そこで、トラクションロータ90の第2円錐面92に接触する可動ディスク80の軸線方向Lにおける位置を適宜変化させることにより、キャリヤ30(及び可動ディスク80)とリングローラ70との間に相対的な回転速度の変化(回転差)を生じさせることで、入力軸20から出力軸40に伝達される回転速度を連続的に変化させる(増減速を伴う正回転、停止、逆回転等を連続的に生じさせる)ことができる。
上記構成の無段変速装置によれば、トラクションドライブに基づくロータ式の連続可変機構を採用したことにより、従来のCVTで必要とされたクラッチ機構、逆転切替えギヤ等が不要になり、又、入力軸20と出力軸40とを同軸に配置できるため、小型かつ安価で、スピンロスが少なく、特に、作動音等の騒音の発生を極力防止できる。
上記実施形態においては、ロータ式連続可変機構として、可動ディスク80、リングローラ70、トラクションロータ90、トラクションリング100等を含む構成を採用したが、これに限定されるものではなく、トラクションドライブ方式に基づく可変機構であればその他の機構を採用することができる。
上記実施形態においては、トラクションロータ90の個数として3個、遊星ローラ60の個数として3個を採用した場合を示したが、これに限定されるものではなく、その他の個数を採用してもよい。
上記実施形態においては、第1回転軸を入力軸20としかつ第2回転軸を出力軸40とした場合を示したが、これに限定されるものではなく、第1回転軸を出力軸かつ第2回転軸を入力軸とした構成において、本発明を採用してもよい。
上記実施形態においては、第1回転軸を入力軸20としかつ第2回転軸を出力軸40とした場合を示したが、これに限定されるものではなく、第1回転軸を出力軸かつ第2回転軸を入力軸とした構成において、本発明を採用してもよい。
以上述べたように、本発明の無段変速装置は、構造が簡単で、小型かつ安価にでき、しかも騒音等の発生が極力防止されるため、小排気量の二輪車、自動車、大排気量の自動車等の変速装置として適用できるのは勿論のこと、レジャービール等のその他の車両、あるいは、変速装置を必要とする駆動機構等においても好ましく適用することができる。
L 軸線
S1 トラクションロータの軸線
10 ハウジング
20 入力軸(第1回転軸)
30 キャリヤ
40 出力軸(第2回転軸)
50 太陽ローラ
51 接触面
60 遊星ローラ
61 接触面
70 リングローラ
71 内周接触面
72 外周接触面(ロータ式連続可変機構)
80 可動ディスク(ロータ式連続可変機構)
81 接触面
90 トラクションロータ(ロータ式連続可変機構)
91 第1円錐面
92 第2円錐面
93 ベアリング
100 トラクションリング(ロータ式連続可変機構)
101 カム面
110 ホルダー
S1 トラクションロータの軸線
10 ハウジング
20 入力軸(第1回転軸)
30 キャリヤ
40 出力軸(第2回転軸)
50 太陽ローラ
51 接触面
60 遊星ローラ
61 接触面
70 リングローラ
71 内周接触面
72 外周接触面(ロータ式連続可変機構)
80 可動ディスク(ロータ式連続可変機構)
81 接触面
90 トラクションロータ(ロータ式連続可変機構)
91 第1円錐面
92 第2円錐面
93 ベアリング
100 トラクションリング(ロータ式連続可変機構)
101 カム面
110 ホルダー
Claims (6)
- 第1回転軸と一体的に回転するように形成されたキャリヤと、
第2回転軸と一体的に回転するように形成された太陽ローラと、
前記太陽ローラに接触した状態で前記キャリヤに対して回動自在に支持され,かつ,前記第1回転軸の回転に伴って前記太陽ローラの周りを公転し得る複数の遊星ローラと、
前記複数の遊星ローラに接触する内周接触面をもつリングローラと、
前記キャリヤと前記リングローラとの相対的な回転速度を連続的に変化させるべく転がり接触するロータを含むロータ式連続可変機構と、
を有する、ことを特徴とする無段変速装置。 - 前記ロータ式連続可変機構は、
前記第1回転軸と一体的に回転すると共にその軸線方向に往復動自在に形成され,かつ,その外周に接触面をもつ可動ディスクと、
前記リングローラの外周に形成された円錐状の外周接触面と、
前記第1回転軸又は第2回転軸の軸線に対して傾斜した軸線周りに回動自在に支持され,かつ,前記リングローラの外周接触面と接触する第1円錐面及び前記可動ディスクの接触面と接触する第2円錐面をもつトラクションロータと、
前記リングローラ及び可動ディスクと協働して前記トラクションロータを挟み込むように,外側から接触するトラクションリングと、
を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の無段変速装置。 - 前記リングローラは、前記第1回転軸に対して回動自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の無段変速装置。 - 前記リングローラの外周接触面及び内周接触面、前記遊星ローラの接触面、及び前記太陽ローラの接触面は、同一の方向に傾斜した円錐面状に形成されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の無段変速装置。 - 前記リングローラの外周接触面は、前記リングローラの内周接触面よりも小径に形成されている、
ことを特徴とする請求項2ないし4いずれかに記載の無段変速装置。 - 前記トラクションリングは、前記第1回転軸又は第2回転軸の軸線方向において,前記リングローラと可動ディスクとの間に配置されている、
ことを特徴とする請求項2ないし5いずれかに記載の無段変速装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005261475A JP2007071350A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | 無段変速装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005261475A JP2007071350A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | 無段変速装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007071350A true JP2007071350A (ja) | 2007-03-22 |
Family
ID=37932976
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005261475A Pending JP2007071350A (ja) | 2005-09-09 | 2005-09-09 | 無段変速装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007071350A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018218026A1 (en) * | 2017-05-25 | 2018-11-29 | Dana Limited | Torque splitting device for use with a ball variator continuously variable transmission |
-
2005
- 2005-09-09 JP JP2005261475A patent/JP2007071350A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018218026A1 (en) * | 2017-05-25 | 2018-11-29 | Dana Limited | Torque splitting device for use with a ball variator continuously variable transmission |
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