JP2007070656A - 銀または銀合金の表面処理液および表面処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 銀また銀合金の表面の腐食を防止するために、保存安定性に優れ、しかも、電解装置や合成樹脂のバインダーを用いる必要のない表面処理液および表面処理方法を提供する。
【解決手段】 スズ化合物とピロリン酸アルカリ塩を有効成分として含有する表面処理液を銀または銀合金の表面に接触させることにより、無機質のスズ化合物の被膜を該表面に形成させる。
【選択図】 なし
【解決手段】 スズ化合物とピロリン酸アルカリ塩を有効成分として含有する表面処理液を銀または銀合金の表面に接触させることにより、無機質のスズ化合物の被膜を該表面に形成させる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、銀または銀合金の表面処理液および表面処理方法に関し、更に詳しくは、銀または銀合金の表面に防錆処理を施し、銀または銀合金表面の変色を防止することを目的とするものである。
銀または銀合金は電気および熱の良導体であるので、電子部品の端子表面に銀または銀合金のメッキ(以下、両者を合わせて銀メッキと云う)を施すことが広く行われている。例えば、プリント配線板の銅パターン上に銀メッキ層を設けたり、あるいは電子機器用接続部品であるコネクタやリードフレームの黄銅やりん青銅の表面に銅やニッケルの下地メッキを施し、さらにその上に銀メッキが施されている。
また、発光ダイオード(LED)の周囲に配設され、LEDからの発光を反射させるリフレクターの表面に、反射効率の優れた銀メッキを施すことが行われている。
また、発光ダイオード(LED)の周囲に配設され、LEDからの発光を反射させるリフレクターの表面に、反射効率の優れた銀メッキを施すことが行われている。
しかしながら、銀メッキ膜は容易に腐食され易く、空気中に放置された場合には、空気中に含まれる微量のメルカプタン類、二酸化硫黄や硫化水素等の硫黄系化合物と化学反応し茶褐色や青黒色に変色してしまい、銀メッキ表面の電気抵抗の増大やはんだ付け性の低下を招いたり、銀メッキ表面の反射率が低下するという問題があった。
このような問題点を解決するために、銀または銀合金の表面にスズ化合物を接触させる変色防止方法が種々検討されている。
例えば、特許文献1には、二価の酸性スズイオン、塩酸、亜硫酸ソーダを含有する水溶性の変色防止剤が提案されている。また、特許文献2には、スズおよび有機酸塩からなる液を使用して陰極処理することを特徴とする銀の変色防止方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、二価の酸性スズイオン、塩酸、亜硫酸ソーダを含有する水溶性の変色防止剤が提案されている。また、特許文献2には、スズおよび有機酸塩からなる液を使用して陰極処理することを特徴とする銀の変色防止方法が提案されている。
前者の方法によれば、還元剤として亜硫酸ソーダが添加されているので、スズが処理液中に析出しやすい状態となっており、即ち処理液の保存安定が悪いという問題があった。また後者の方法においては、電解反応によりスズを析出させるために、電解用の通電装置を必要するので処理作業が繁雑となり、また処理コストも高くなるという問題があった。
また、特許文献3には、酸化スズの微粉末を分散させた銀表面変色防止保護塗料が提案されているが、この場合には銀の表面に有機質の合成樹脂皮膜が形成されるため、LEDの反射板に適応した場合には、LEDから発する光を吸収して該塗膜が劣化し黄変するという問題があった。
このような事情に鑑みて、本発明は、保存安定性に優れ、しかも、電解装置や合成樹脂のバインダーを用いる必要のない銀または銀合金の表面処理液および表面処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、スズ化合物とピロリン酸アルカリ塩を有効成分として含有する表面処理液を銀または銀合金の表面に接触させることにより所期の目的を達成し得ることを見出し本発明を完成するに至ったものである。
即ち、第一の発明は、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を含有することを特徴とする銀または銀合金の表面処理液であり、第2の発明は、銀または銀合金の表面に、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を含有する水溶液を接触させることを特徴とする銀または銀合金の表面処理方法である。
即ち、第一の発明は、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を含有することを特徴とする銀または銀合金の表面処理液であり、第2の発明は、銀または銀合金の表面に、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を含有する水溶液を接触させることを特徴とする銀または銀合金の表面処理方法である。
本発明の表面処理液は、スズ化合物の析出を抑えることができるので、保存安定性に優れており、長期間に渡って使用することができる。また、本発明の表面処理方法によれば、銀または銀合金の表面に無機質のスズ化合物の被膜を形成させることができるので、耐光性に優れた変色防止被膜とすることができる。また、本発明の表面処理方法によれば、電解装置を用いる必要がないので、処理作業の省力化を図ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面処理液は、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を水に溶解して調製される。
本発明の実施において使用するスズ化合物としては、硫酸第一スズ、酢酸第一スズ、蓚酸第一スズ、ホウフッ化第一スズ、スルファミン酸第一スズ、ピロリン酸第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、グルコン酸第一スズ、酒石酸第一スズ、酸化第一スズ、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、メタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ等が挙げられ、これらから選ばれる一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理液中に含まれるスズ化合物の濃度は、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。スズ化合物の濃度を10重量%より高くしても、変色防止効果に差異が認められず、一方、0.1重量%より低くした場合には、銀の表面に形成されるスズ化合物の被膜の厚みが十分ではなく、満足すべき変色防止効果が得られない。
本発明の表面処理液は、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を水に溶解して調製される。
本発明の実施において使用するスズ化合物としては、硫酸第一スズ、酢酸第一スズ、蓚酸第一スズ、ホウフッ化第一スズ、スルファミン酸第一スズ、ピロリン酸第一スズ、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ、グルコン酸第一スズ、酒石酸第一スズ、酸化第一スズ、スズ酸ナトリウム、スズ酸カリウム、メタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシエタンスルホン酸第一スズ、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸第一スズ等が挙げられ、これらから選ばれる一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理液中に含まれるスズ化合物の濃度は、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。スズ化合物の濃度を10重量%より高くしても、変色防止効果に差異が認められず、一方、0.1重量%より低くした場合には、銀の表面に形成されるスズ化合物の被膜の厚みが十分ではなく、満足すべき変色防止効果が得られない。
本発明の実施において使用するピロリン酸アルカリ塩としては、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸アンモニウム等が挙げられ、これらから選ばれる一種または二種以上を組み合わせて使用することができる。
表面処理液中に含まれるピロリン酸アルカリ塩の濃度は、スズ化合物に対して1.5〜3倍モルであることが好ましい。1.5倍モルより低くした場合には、処理液中おけるスズ化合物が析出し易くなり、一方、3倍モルより多くしても処理液の安定性に差異はない。
表面処理液中に含まれるピロリン酸アルカリ塩の濃度は、スズ化合物に対して1.5〜3倍モルであることが好ましい。1.5倍モルより低くした場合には、処理液中おけるスズ化合物が析出し易くなり、一方、3倍モルより多くしても処理液の安定性に差異はない。
本発明の表面処理液には、従来公知の変色防止成分を含むことができる。例えばイミダゾール類、トリアゾール類、テトラゾール類、チアゾール類などの複素環化合物やイソチオシアン酸フェニルなどの含硫黄化合物等を添加してもよい。
本発明の表面処理液は、液温0〜70℃、接触時間10秒〜10分間の条件で、銀また銀合金の表面と接触させればよい。その後、銀または銀合金の表面に付着した処理液を水洗して除去し、乾燥する。なお、銀または銀合金の表面と表面処理液との接触方法としては、浸漬、噴霧または塗布する等の方法が挙げられるが、何れの方法を採用しても構わない。
以下、本発明を実施例および比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例に使用した薬剤ならびに変色試験方法は次のとおりである。
[薬剤]
・ピロリン酸第一スズ:和光純薬工業社製試薬
・塩化第一スズ:和光純薬工業社製試薬
・酢酸第一スズ:和光純薬工業社製試薬
・ピロリン酸カリウム:和光純薬工業社製試薬
・イソチオシアン酸フェニル:和光純薬工業社製試薬
・ピロリン酸第一スズ:和光純薬工業社製試薬
・塩化第一スズ:和光純薬工業社製試薬
・酢酸第一スズ:和光純薬工業社製試薬
・ピロリン酸カリウム:和光純薬工業社製試薬
・イソチオシアン酸フェニル:和光純薬工業社製試薬
[変色試験]
銀メッキを施した試験片について、下記2種類((A),(B))の変色試験を実施し、銀表面の変色度合いを目視により観察した。なお、変色の度合いは、以下の4段階で判定した。
◎:全く変色が認められない。
○:僅かに変色が認められる。
△:明らかに変色している(淡黄色〜橙色)。
×:茶褐色〜青黒色に変色している。
銀メッキを施した試験片について、下記2種類((A),(B))の変色試験を実施し、銀表面の変色度合いを目視により観察した。なお、変色の度合いは、以下の4段階で判定した。
◎:全く変色が認められない。
○:僅かに変色が認められる。
△:明らかに変色している(淡黄色〜橙色)。
×:茶褐色〜青黒色に変色している。
[変色試験(A)]
200mLの容量の容器に、5%硫酸10mLと水硫化ソーダ0.05gを入れて硫化水素ガスを発生させた。次いで試験片を入れ容器を密閉して、試験片を10分間硫化水素ガスに曝した後、試験片の銀表面の変色度合いを観察した。
200mLの容量の容器に、5%硫酸10mLと水硫化ソーダ0.05gを入れて硫化水素ガスを発生させた。次いで試験片を入れ容器を密閉して、試験片を10分間硫化水素ガスに曝した後、試験片の銀表面の変色度合いを観察した。
[変色試験(B)]
200mLの容量の容器に、硫化アンモニウム溶液2mL(硫黄分として5%)を入れて、硫化水素とアンモニアガスを発生させた。次いで試験片を入れ容器を密閉して、試験片を10分間硫化水素とアンモニアガスに曝した後、試験片の銀表面の変色度合いを観察した
200mLの容量の容器に、硫化アンモニウム溶液2mL(硫黄分として5%)を入れて、硫化水素とアンモニアガスを発生させた。次いで試験片を入れ容器を密閉して、試験片を10分間硫化水素とアンモニアガスに曝した後、試験片の銀表面の変色度合いを観察した
〔実施例1〕
イオン交換水50gにピロリン酸カリウム8g(0.024mol)を投入して溶解させ、これにピロリン酸第一スズ4g(0.0097mol)を加えて溶解させた。完溶したのちイオン交換水にて全量を100gとして表面処理液を調製した。なお、この表面処理液中に含まれるピロリン酸第一スズとピロリン酸カリウムの濃度は、各々4重量%、8重量%である。
得られた表面処理液に、置換型無電解銀メッキにより銅の表面に0.2μm厚の銀メッキ膜を形成した4cm角の銅張積層板を、1分間浸漬した後、水洗、乾燥して試験片を作成した。
この試験片について、変色試験(A)および変色試験(B)を実施した。また、使用後の表面処理液を室温下で6ヶ月間放置し、該処理液の濁り発生と沈殿物の発生の有無を観察した。得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
イオン交換水50gにピロリン酸カリウム8g(0.024mol)を投入して溶解させ、これにピロリン酸第一スズ4g(0.0097mol)を加えて溶解させた。完溶したのちイオン交換水にて全量を100gとして表面処理液を調製した。なお、この表面処理液中に含まれるピロリン酸第一スズとピロリン酸カリウムの濃度は、各々4重量%、8重量%である。
得られた表面処理液に、置換型無電解銀メッキにより銅の表面に0.2μm厚の銀メッキ膜を形成した4cm角の銅張積層板を、1分間浸漬した後、水洗、乾燥して試験片を作成した。
この試験片について、変色試験(A)および変色試験(B)を実施した。また、使用後の表面処理液を室温下で6ヶ月間放置し、該処理液の濁り発生と沈殿物の発生の有無を観察した。得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
〔実施例2〜5、比較例1〜2〕
実施例1と同様にして、表1示した組成を有する表面処理液を調製し、評価試験を実施した。得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
実施例1と同様にして、表1示した組成を有する表面処理液を調製し、評価試験を実施した。得られた試験結果は、表1に示したとおりであった。
Claims (2)
- スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を含有することを特徴とする銀または銀合金の表面処理液。
- 銀または銀合金の表面に、スズ化合物およびピロリン酸アルカリ塩を含有する水溶液を接触させることを特徴とする銀または銀合金の表面処理方法。
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JP2005255881A JP2007070656A (ja) | 2005-09-05 | 2005-09-05 | 銀または銀合金の表面処理液および表面処理方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008311339A (ja) * | 2007-06-13 | 2008-12-25 | Sumitomo Metal Electronics Devices Inc | 発光素子収納用パッケージ及びその製造方法及びそれを用いた発光装置 |
CN105925975A (zh) * | 2016-05-12 | 2016-09-07 | 上海渊泉集币收藏品有限公司 | 一种在银制品表面制备黄色系化学转化膜的方法 |
CN105925974A (zh) * | 2016-05-12 | 2016-09-07 | 上海渊泉集币收藏品有限公司 | 一种在银制品表面制备灰色系化学转化膜的方法 |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005097701A (ja) * | 2003-09-26 | 2005-04-14 | Shimizu:Kk | 防錆剤 |
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2005
- 2005-09-05 JP JP2005255881A patent/JP2007070656A/ja active Pending
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