JP2007070517A - 繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 マトリックス樹脂を充分に強化繊維に含浸させる繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法及びポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とし、長繊維に含浸させた繊維強化ポリカプロラクトンを提供する。
【解決の手段】 数平均分子量が2万〜10万程度のポリカプロラクトンを溶剤に溶かしたポリカプロラクトンワニスを繊維長が10mm以上の強化繊維に含浸し、該溶剤を揮発させて得たシート材を用いて、該シート材を加熱加圧し成形することを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法に関する。
繊維強化熱可塑性樹脂は、工業材料分野で広く使用されており、例えば特許文献1によれば、植物セルロース繊維のチョップドストランドを強化繊維とし、ポリカプロラクトンなどの生分解性樹脂をマトリックス樹脂として射出成形した繊維強化熱可塑性樹脂が開示されている。ポリカプロラクトンは、結晶性を示し、可撓性、生分解性を有する熱可塑性ポリエステル樹脂であり、融点が60℃と低い特性を利用して、熱風、熱水で変形可能な造形材料等として知られている。しかし、融点付近で流動変形が著しいという欠点があり、特許文献1の繊維強化ポリカプロラクトンでも、この融点付近で流動変形が著しいという欠点を克服するものではない。
融点付近で流動変形を抑制する技術として、例えば特許文献2や特許文献3によれば、ポリカプロラクトンを架橋することにより、流動性を抑制することができることが開示されている。しかしながら、ポリカプロラクトンはたとえ架橋構造を形成したとしても、樹脂自体の強度や弾性率は低く、荷重がかかる用途には不向きであるとされている。また、架橋カプロラクトンの融点付近での流動性を抑制することによる弊害として、強化繊維基材に含浸させるには非常に高い温度と圧力を必要とし、強化繊維基材への含浸を充分に行うことが困難になり、強度や弾性率を充分に満足することができない。
特開2001−335710号公報 特開昭59−108059号公報 特開昭59−207156号公報
本発明は、上述の現状に鑑みて、マトリックス樹脂を充分に強化繊維に含浸させる繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法及びポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とし、長繊維に含浸させた繊維強化ポリカプロラクトンを提供することを目的とする。
本発明は、ポリカプロラクトンを溶剤に溶かしたポリカプロラクトンワニスを強化繊維に含浸し、該溶剤を揮発させて得たシート材を、加熱加圧し成形することを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法である。
前記シート材は複数枚を積層して成形することができる。
前記ポリカプロラクトンワニスにおいて、ポリカプロラクトンの数平均分子量が2万〜10万であることが好ましい。
前記ポリカプロラクトンワニスには、有機過酸化物を含有することができる。
本発明の製造方法は、前記強化繊維の繊維長が10mm以上の繊維である場合に特に有効である。
本発明はまた、有機過酸化物を含むポリカプロラクトンを、繊維長が10mm以上の強化繊維に含浸させたシート材でもある。
本発明の製造方法において、ポリカプロラクトンを溶剤に溶かしたワニスは、低粘度化されるので、強化繊維に充分に含浸させることができる。
特に繊維長が10mm以上の強化繊維は、含浸時、複数本の単繊維が束になっている状態であるが、このような場合でも充分に含浸させることができる。しかもその後の加熱加圧による成形では射出成形等の場合のように、強化繊維が細破されることがほとんどなく成形品中に長繊維のまま維持されるので、優れた強度、弾性率を有する繊維強化ポリカプロラクトンを得ることができる。
また、ワニス中のポリカプロラクトンの数平均分子量を2万〜10万にすれば、強化繊維への含浸が一層充分であるばかりか、マトリックス樹脂自体の強度も向上し、より一層、優れた強度、弾性率を有する繊維強化ポリカプロラクトンを得ることができる。
さらに、ポリカプロラクトンのワニスに、有機過酸化物を含有させ、溶剤を揮発させシート材を得た後、加熱加圧することにより、ポリカプロラクトンが有機過酸化物によって架橋し、融点付近でも流動変形の少ない繊維強化ポリカプロラクトンを得ることができる。
また、本発明の繊維強化ポリカプロラクトンのシート材は、有機過酸化物を含有するポリカプロラクトンを、繊維長が10mm以上の強化繊維に含浸させたシート材であるので、ポリカプロラクトンは架橋が進行しておらず、加熱加圧成形が容易であり、またこのシート材を1枚又は複数枚重ねて加圧加熱することにより、ポリカプロラクトンを架橋することができ、融点付近でも流動変形の少ない繊維強化ポリカプロラクトンを得ることができる。
本発明の製造方法におけるポリカプロラクトンは、ε−カプロラクトンの重合体であり、ε−カプロラクトンに重合開始剤を加えて、必要に応じて触媒を使用しつつ、重合することにより得ることができる。反応温度としては、例えば、120〜220℃であり、好ましくは150〜200℃にて数時間、撹拌下に反応させて得ることができる。
上記重合開始剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等のアルキレングリコール;イソフタリルアルコール、テレフタリルアルコール、β,β′−ビスヒドロキシエチルテレフタレート、β,β′−ビスヒドロキシエチルイソフタレート等の芳香族ジオール;シクロヘキサン1,4−ジオール、シクロヘキサン1,4−ジメタノール等の脂環式ジオール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレンアジペートジオール、ポリプロピレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリエチレンセバケートジオール、ポリエチレンプロピレンジオール、ポリエチレンブチレンアジペートジオール等を挙げることができる。
上記触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラエチルチタネート、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズラウレート、オクチル酸スズ、塩化第一スズ等を挙げることができる。触媒の使用量は、好ましくは0.5〜500ppmである。
本発明において、ワニス中のポリカプロラクトンの数平均分子量は2万〜10万であることが好ましく、より好ましくは2.5万〜8万である。数平均分子量2万未満であると、樹脂自体に備わっていなければならない機械的強度や耐熱性が充分でないおそれがあり好ましくない。数平均分子量10万を超えると、たとえ溶剤で溶かしても粘性係数が大きいため強化繊維基材に充分に含浸しなくなるおそれがあり好ましくない。なお、数平均分子量は、THF、トルエン、クロロホルム等を移動相としてポリスチレン標準粒子を分子量標準にしてゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができる。
ポリカプロラクトンワニスを得るための溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、セロソルブアセテート、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。これらのうち、ポリカプロクラトンの溶解度が高いという観点から酢酸エチルが好ましく、安全性の観点からは、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートが好ましい。
溶剤の使用量は、ポリカプロラクトンの分子量によるが、ポリカプロラクトン100体積部に対して、20〜90体積部が好ましく、ポリカプロラクトンの数平均分子量が5万以上であれば、50体積部以上であることが好ましい。溶剤を90体積部以上使用すると、強化繊維基材へのポリカプロラクトンの付着量が低下し、溶剤を乾燥した後の樹脂付着量が減少し、強化繊維基材への複数回の含浸と乾燥工程を繰り返さなければならず、経済的ではない。
本発明において、ポリカプロラクトンワニスに有機過酸化物を含有させ、後述するシート材を加熱加圧することにより、この有機過酸化物によりポリカプロラクトンを架橋させることもできる。有機過酸化物としては、例えば、オクタノイルパーオキサイド、ウラリルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソブチレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンセンハイドロパーオキサイド、ピナンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等を挙げることができる。
有機過酸化物の含有量は、ポリカプロラクトン100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部である。なお、架橋のための加熱温度は、140〜220℃が好ましい。架橋反応に要する時間は、通常10分〜3時間程度である。
有機過酸化物は分解することにより遊離ラジカルが発生し、高分子中の水素を引き抜いて分子間に炭素−炭素結合を形成し、高分子鎖を架橋することができる。この有機過酸化物の分解は加熱のみにより行う場合と促進剤を併用する場合とがあり得る。この促進剤として、例えば、アミノ基が有機過酸化物と反応してラジカルを生成し得るジメチルアニリンが好ましい。
本発明における強化繊維基材の素材としては、例えば、アラミド、ビニロン等の有機繊維やガラス繊維、カーボン繊維等の無機繊維の他にも、ポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維等の合成繊維織物;麻(大麻、亜麻、黄麻等)繊維、竹繊維、パルプ、綿繊維、ココヤシ繊維、羊毛、絹、バナナ、ケナフなどの天然繊維、レーヨン等の再生繊維等を挙げることができる。
また、強化繊維は、繊維強化ポリカプロラクトンの強度を向上させるために、繊維長は10mm以上であることが好ましく、20mm以上の長繊維や連続長繊維であることがより好ましい。また、繊維束の番手は100〜2000texであることが好ましく、また、面状体の場合は単重が、10〜300g/m2であることが好ましい。
本発明において、かかる強化繊維の基材の形態としては、例えば、一方向基材、織物、編物若しくは組物又はこれらの組合せである編織物、チョップドストランドマット又は連続繊維マットのマット基材を挙げることができる。
また、強化繊維基材は、ポリカプロラクトンとの密着性を向上させるために、表面処理されていてもよい。例えば、ガラス繊維であれば、シランカップリング剤で処理してもよい。シランカップリング剤としては、加水分解性基と疎水基(有機基)とを有するシラン化合物であって、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン等の不飽和二重結合を有するもの;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基を有するもの;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するアミノシラン化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を使用することができる。これらのうち、好ましくは(メタ)アクリルシラン化合物やアミノシラン化合物である。
ポリカプロクラトンワニスを強化繊維基材に含浸させるには、強化繊維を1層ごとに含浸操作を行う方法でもよく、又は、複数層に対して一度に含浸操作をしてもよい。
本発明に使用されるシート材は、ポリカプロラクトンワニスを強化繊維に含浸させた後、例えば、90〜220℃で加熱乾燥し溶剤を揮発させて得ることができる。なお、ポリカプロラクトンワニスに有機過酸化物を含む場合は、有機過酸化物の活性化温度以下で、例えば130℃以下の温度で加熱乾燥する。この場合、130℃超過の温度で溶剤を揮発させると、ポリカプロラクトンの架橋が進行してしまい、後述する加熱加圧工程で、複数層のシート材を積層して成形した場合、シート材同士を樹脂融着させにくくなる。
なお、シート化に際し必要により、プレスなどにより加圧してもよい。
シート材を加熱・加圧して成形するには、プレス成形装置を用いて行うことができる。射出成形においては、強化繊維がマトリックス樹脂と溶融混練され、射出されるので、成形後強化繊維は数ミクロン〜数百ミクロンに細断されるが、プレス成形においては、成形により強化繊維は細断されることがなく、成形品中にほぼそのままの形態で維持される。
成形圧は、一般には、100〜200kgf/cm程度である。金型温度は、例えば、90〜220℃程度に保持すればよく、成形後、冷却して製品を取り出す。ポリカプロラクトンワニス中に有機過酸化物を含有する場合は、この加熱加圧工程でポリカプロラクトンを架橋させることができるので、有機過酸化物の活性化温度以上、例えば、140〜220℃で加熱し、架橋が完了する時間保持し成形することが好ましい。なお、ポリカプロラクトンを架橋するために紫外線照射、放射線照射、若しくは上記の加熱加圧工程とは別個の加熱工程により架橋を行うこともできる。
加熱加圧し成形する工程では、シート材は1枚であってもよく又は複数枚を積層して一体化させてもよい。複数枚シート材を積層する場合は、強化繊維基材の繊維方向を揃えてもよく、又は、変化させてもよく、繊維方向を変えて積層することにより、耐荷重性を調節することができる。
本発明においては、上述の方法で製造されたシート材であれば本発明に使用することができる。従って、シート材を得る工程を前工程としてシート材を加熱・加圧成形する工程を連続して行っても良く、又は、シート材を得る工程が別に実施され、例えば、予め製造されたものであってもよく、又は、別の場所で製造されたものであってもよい。シート材を得る工程と、該工程で得たシート材を使用して加熱・加圧成形する工程とを独立して行っても、該シート材は、貯蔵安定性に優れているので、加熱・加圧成形工程で良品を製造することができる。
本発明において、強化繊維とポリカプロラクトンの重量割合は、繊維の種類により異なり得るが、例えば、ガラス繊維の場合には、繊維強化ポリカプロラクトン全重量に対して、強化繊維10〜80重量%が好ましく、20〜70重量%がより好ましい。強化繊維の重量が10重量%未満であると、成形品の物性が低下したり、そりやうねりが大きくなる傾向にあり、80重量%を超すと、繊維に樹脂が未含浸となる傾向にある。その他の種類の繊維であっても、上記値を参考にしつつ、適宜配合割合を求めることができる。
本発明において、繊維強化ポリカプロラクトンは、強化繊維を強化材とし、数平均分子量が1万以上のポリカプロラクトンを架橋してなり、且つ100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50%以上であるポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とする繊維強化ポリカプロラクトンであることが好ましい。上記強化繊維の繊維長は10mm以上であってよい。ポリカプロラクトンは100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量が50〜100%の範囲内の程度に架橋していることが、成形体を加熱したときに樹脂のべとつきの程度が少なく、耐熱性に優れているので好ましい。ゲル分量は70〜100%がより好ましく、80〜100%がさらに好ましく、90〜100%が一層好ましい。
本発明において、繊維強化ポリカプロラクトンは、具体的には、例えば、強化繊維、好ましくは繊維長10mm以上のガラス繊維を20〜70重量%含有し、ポリカプロラクトンをマトリックス樹脂としてなり、JIS K 7017「繊維強化プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠して測定した複合材の曲げ弾性率が6GPa以上、曲げ強度が70MPa以上であり、かつ、荷重−変位線図において、耐試験荷重率50%を曲げ破壊後10mm以上の変位において維持するものでありうる。
また、本発明の製造方法によって得られる繊維強化ポリカプロラクトンは、強化繊維基材自体も生分解性ある天然繊維を強化繊維として使用すれば、繊維強化ポリカプロラクトン全体を生分解性とすることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜3
(ポリカプロクラトンワニスの調製)
撹拌機と還流管を付けたフラスコにプラクセルH5(数平均分子量5万、ダイセル化学社製ポリカプロラクトン)1000gとセロソルブアセテート2333gを仕込み、80℃に加温して撹拌し、完全に溶解させた。その後、60℃まで冷却し、パーヘキシン25B(2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3)、(日本油脂社製有機過酸化物、150℃での半減期1時間)10gを添加して10分間撹拌することにより、ポリカプロクラトンワニス(樹脂分35重量%)を得た。
(シート材の作製)
つぎに、前記ワニスを含浸槽に満たし、実施例1においてはアクリルシラン処理を、実施例2においてはアミノシラン処理を、実施例3においてはエポキシシラン処理をそれぞれ施した質量203g/mの平織組織のガラス繊維織物(日東紡績社製WF230)を、それぞれ含浸槽内に浸してガラス繊維織物に前記ワニスを含浸させた。その後、乾燥機にて120℃で10分間乾燥させて、シート材を得た。
(加熱加圧成形)
このシート材を5枚重ねて、150℃で30分間プレスして繊維強化ポリカプロラクトン複合材を作製した。100℃のシクロヘキサノン中で24時間抽出した場合のゲル分量は、いずれも71%であった。複合材中のガラス繊維含量を、複合材を電気炉で900℃/1時間焼いた後の灰分として測定したところ、25重量%であった。
比較例1
プラクセルH5(数平均分子量5万、ダイセル化学社製ポリカプロラクトン)を100℃で完全に溶融させ、縦型ミキサーで撹拌しつつ、プラクセルH5の100重量部に対してパーヘキシン25B(有機過酸化物、日本油脂社製、150℃での半減期1時間)1重量部を添加して15分間混練した後、トレイに排出した。その後、80℃に加熱し、4gづつに小分けした。それをプレス機を用いて80℃で、125μm厚さの樹脂シートを成形した。つぎに、実施例3におけるエポキシシラン処理したガラス繊維織物を強化繊維基材として使用して、9枚の上記樹脂シートの間に、8枚のガラス繊維織物を1枚ずつ最外層が樹脂シートになるように挟みこみ、130℃、30分プレスし、その後引続き150℃、120分プレスして複合材を作製した。複合材中のガラス繊維含量を、複合材を電気炉で900℃/1時間焼いた後の灰分として測定したところ、28重量%であった。
実施例1〜3、比較例1について、JIS K 7017「繊維強化プラスチック−曲げ特性の求め方」に準拠して曲げ弾性率と曲げ強度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2007070517
プレス成形の結果得られたカプロラクトン複合材は、実施例、比較例ともに概観上は非常に美麗であった。しかしながら、曲げ試験結果から、一旦、ポリカプロクラトンを溶剤に溶解させて含浸させてシート材にした後にプレス成形で板に成形した実施例の複合材は、含浸によりシート材を得る工程を経ずに、ガラス繊維織物と樹脂シートを直接プレスして成形した比較例と比べると、強度も弾性率も非常に大きな値を示した。さらに、実施例では、3種類の表面処理を施したガラス繊維織物を使用したが、ガラス繊維の処理剤による複合材の強度特性への影響はほとんどなく、むしろ、溶剤による低粘度化により、強化繊維への含浸性の向上が、カプロラクトン複合材の強度特性の向上につながったものと考えられる。
図1には、実施例1〜3の3種類の表面処理を施したガラス繊維織物を使用したカプロラクトン複合材の荷重−変位線図を示す。図1から明らかなように、本発明のカプロラクトン複合材は、3種類のどの表面処理剤を使用した場合でも、ガラス繊維とカプロラクトンの密着性が非常に良いために、一旦、曲げ破壊した後も相当な荷重を受け持ち、非常に大きな変形に追従していることがわかった。なかでも、アクリルシラン処理したもの(BSで示す)は、もっとも大きな変形に追従していることがわかった。
本発明の繊維強化ポリカプロラクトンは、強度、弾性率に優れ、融点付近での流動性を抑制できるのでこの特性を生かした用途に有利に使用することができ、例えば、各種の工業材料、試作材料として各種成形品、例えば、家電製品、スポーツ用品、建築資材、玩具、遊具、模型等に用いることができる。
実施例1〜3の3種類の表面処理を施したガラス繊維織物を使用したカプロラクトン複合材の荷重−変位線図を示す。BSはアクリルシラン処理の実施例1を、BXはアミノシラン処理の実施例2を、BZはエポキシシラン処理の実施例3を、それぞれ示す。

Claims (6)

  1. ポリカプロラクトンを溶剤に溶かしたポリカプロラクトンワニスを強化繊維に含浸し、該溶剤を揮発させて得たシート材を、加熱加圧し成形することを特徴とする繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  2. 前記シート材の複数枚を積層して成形する請求項1記載の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  3. 前記ポリカプロラクトンワニスにおいて、ポリカプロラクトンの数平均分子量が2万〜10万である請求項1又は2に記載の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  4. 前記ポリカプロラクトンワニスは、有機過酸化物を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  5. 前記強化繊維は、繊維長が10mm以上の繊維である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の繊維強化ポリカプロラクトンの製造方法。
  6. 有機過酸化物を含むポリカプロラクトンを、繊維長が10mm以上の強化繊維に含浸させたシート材。
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