JP5164686B2 - 身体保護具 - Google Patents
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Description
(2)前記ポリカプロラクトンに対してモル比で0.40〜0.99のブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネート
を含有するポリカプロラクトンワニスを強化繊維基材に含浸させた後、乾燥させ、プリプレグを得て、前記プリプレグの複数枚を重ね、加熱・加圧を経て製造した複合材成形体であり、前記ポリカプロラクトンは、ポリカプロラクトンワニスを強化繊維基材に含浸させた後において、鎖伸長反応により数平均分子量5万〜30万に高分子量化されてなることを特徴とする身体保護具である。
(1)本発明の身体保護具は、数平均分子量0.1万〜3万の両末端に水酸基を1個ずつ有するポリカプロラクトン及び前記ポリカプロラクトンに対してモル比で0.40〜0.99のブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリカプロラクトンワニスを、強化繊維基材に含浸させた後、鎖伸長反応により前記ポリカプロラクトンを数平均分子量5万〜30万に高分子量化させるので、直鎖状に高分子量化されたポリカプロラクトンをマトリックス樹脂として有する。
(2)本発明の身体保護具は、数平均分子量0.1万〜3万の両末端に水酸基を1個ずつ有するポリカプロラクトン及び前記ポリカプロラクトンに対してモル比で0.40〜0.99のブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネートを含有するポリカプロラクトンワニスを含浸させるので、マトリックス樹脂が強化繊維基材に充分含浸されて強化繊維基材と良好に複合化されている。
(3)本発明の身体保護具は、直鎖状に高分子量化されたポリカプロラクトンをマトリックス樹脂として有するので、加熱により自着性を発揮し、しかも、マトリックス樹脂が強化繊維基材に充分含浸されて強化繊維基材と良好に複合化されているので、繊維強化複合材としての高い強度を有する。
(4)本発明の身体保護具は、プリプレグ同士の密着性が充分確保されており、プリプレグ積層時のボイド発生がなく、積層成形板の曲げ強度・弾性率が向上する。
(5)本発明の身体保護具は、ポリカプロラクトンをマトリックス樹脂として有するので、施工後にも熱水や加熱送風機等で比較的低温に加熱することにより形状調節が容易である。
(6)本発明の身体保護具は、高分子量化されたポリカプロラクトンをマトリックス樹脂とするので高い部材強度を有するため、薄く加工することができ、装着部位に適合しやすい形状に施工でき、装着性、意匠性にも優れる。
(7)本発明の身体保護具は、ブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネートが比較的少ない割合で使用され、しかも、ジフェニルメタンジイソシアネートは有害性が低く、未反応のジフェニルメタンジイソシアネートは水と反応して無害化され得るので、皮膚等への影響は最小限に抑えられ、安全衛生にも優れている。
(8)ブロック化したジフェニルメタンジイソシアネートを用いることにより、これを配合したポリカプロラクトンワニスのポットライフの延長、作業環境中に存在する水によるイソシアネート基の失活による鎖伸長機能の喪失を好適に回避することができる。
(9)また、ブロック剤であるアセトキシムの脱離温度および沸点が、プリプレグ製造工程で採用される溶剤の乾燥条件とうまく適合させることができるため、特殊な乾燥条件の採用や、追加工程の導入を全く必要とすることなく、系外に揮発・除去できる。更に、アセトキシムが僅かに残留しても、未反応のジフェニルメタンジイソシアネートを水と反応させて無害化する工程で、簡便に溶出・除去され得る。
(10)本発明の身体保護具は、プリプレグの積層枚数を局所的に増減することにより、形状や可撓性、強度等を局所的に変化させて保護具の目的に合わせた機能を付与でき、しかも、成形後にも形状等の調節が容易で、かつ、充分な強度を備えている。
実施例1〜2、比較例1〜3
1.使用材料
プリプレグ製造用のワニスに用いたポリカプロラクトン樹脂は、末端基定量法により求めた数平均分子量が1万の両末端水酸基のポリカプロラクトンPLACCEL−H1P(ダイセル化学工業社製)(これを樹脂1とする)と、末端基定量法により求めた数平均分子量が5万の両末端水酸基のポリカプロラクトンPLACCEL−H5(ダイセル化学工業社製)(これを樹脂2とする)である。
ワニス調製時の溶剤は、セロソルブアセテートを使用した。
強化繊維基材は、全てガラス繊維織物(日東紡績社製IPC規格7628ガラス繊維織物、エポキシシラン表面処理、単位重量203g/m2)を使用した。
(1)実施例1に用いたワニス
樹脂1を80℃で約4時間加熱し、50%濃度になるように溶剤を添加した。その後、十分に攪拌して樹脂中の固形分が完全に溶解したことを確認した。鎖伸長剤としてMDIをポリカプロラクトンに対してモル比0.95になる量を少量のメチルエチルケトンに溶解させてから添加した後、更に攪拌した。高分子量化して高粘度化することを防止するために、樹脂ワニスを約40℃に自然冷却した。
樹脂1を80℃で約4時間加熱し、50%濃度になるように溶剤を添加した。その後、十分に攪拌して樹脂中の固形分が完全に溶解したことを確認した。鎖伸長剤としてACX−MDIをポリカプロラクトンに対してモル比0.95になる量を少量のメチルエチルケトンに溶解させてから添加した後、更に攪拌した。高分子量化して高粘度化することを防止するために、樹脂ワニスを約40℃に自然冷却した。
樹脂2を80℃で約4時間加熱し、42%濃度になるように溶剤を添加した。その後、十分に攪拌して樹脂中の固形分が完全に溶解したことを確認した。鎖伸長剤は添加せず、樹脂ワニスを約40℃に自然冷却した。
樹脂2を80℃で約4時間加熱し、50%濃度になるように溶剤を添加した。その後、十分に攪拌して樹脂中の固形分が完全に溶解したことを確認した。鎖伸長剤としてMDIをポリカプロラクトンに対してモル比0.19になる量を少量のメチルエチルケトンに溶解させてから添加した後、更に攪拌した。溶剤の揮発を防止するためフタをした後、恒温器中、80℃で24時間保温放置し、次のプリプレグ製造工程に移行する前に完全に鎖伸長反応を終結させ、樹脂を予め高分子量化した。このワニスは、高分子量化により高粘度化したため、45%濃度になるように溶剤を再度添加した。樹脂を恒温器から取り出し、フタをしたまま約40℃に自然冷却した。
樹脂1を80℃で約4時間加熱し、50%濃度になるように溶剤を添加した。その後、十分に攪拌して樹脂中の固形分が完全に溶解したことを確認した。鎖伸長剤は添加せず、樹脂ワニスを約40℃に自然冷却した。
以下の手順で各プリプレグを作製した。まず、強化繊維基材を300mm×300mmのサイズに裁断した。トレイ上に調製したワニスを均一に撒き、強化繊維基材を1枚置いた後、更に強化繊維基材の上から樹脂を撒いた。脱泡ローラーにて強化繊維基材が透明になるまでローラー掛けを行い、目視で十分に含浸したことを確認後、150℃で15分間放置し、溶剤を除去して各プリプレグを作製した。実施例1〜2については、溶剤の乾燥と同時に高分子量化を行なった。各プリプレグの樹脂付着量を表1示した。
プレス温度170℃で、プレス盤面内に各プリプレグを10枚セットした。プリプレグの両側に2mm厚さのスペーサをセットし、成形圧力2MPaにより材料を加圧した。その後、ヒーター電源を落とし、40℃以下に自然冷却後、圧力を開放し成形板を取り出した。
(1)成形板の外観評価
実施例1〜2、比較例3の成形板の外観を目視で確認した結果、ボイドの無い良好な繊維強化複合材であることが確認された。比較例1〜2の成形板は、全体的には透明感があり、樹脂が繊維にある程度含浸している様子であるが、層間に若干の白化やボイドが発生していたため、樹脂と繊維との密着性が低いことが確認された。
実施例及び比較例で得た各成形板のマトリックス樹脂の数平均分子量をGPCで下記条件により測定した。結果を表1に示した。
・サンプル調製法:作製した成形板から0.075gの小片を切り出し、ガラス製サンプル瓶に入れ、クロロホルム(特級試薬)を加えて3.0gとした。それを一晩振蘯し続け、樹脂部分を完全に溶解させた。その後メンブランフィルター濾過により、ガラス繊維を濾別し、GPC測定供試用サンプルとした。
・GPC測定条件:Waters社製高速液体クロマトグラム装置Waters600を用い、Polymer Laboratories社製カラムPlgel 5μm Guard 50×7.5mm+Plgel 5μm MIXED−C 300×7.5mm×2本を連結した固定相に、クロロホルムを移動相として、流速1.0mL/min、カラム温度30℃で測定した。検出器はWaters社製RIディテクターWaters2410を用いた。数平均分子量はポリスチレン標準試料を用いて作成した検量線から算出した。
実施例及び比較例で得た各成形板の3点曲げ試験(JIS K 7017準拠)結果を表1に示した。
Claims (9)
- (1)数平均分子量0.1万〜3万の両末端に水酸基を1個ずつ有するポリカプロラクトン、及び、
(2)前記ポリカプロラクトンに対してモル比で0.40〜0.99のブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネート
を含有するポリカプロラクトンワニスを強化繊維基材に含浸させた後、乾燥させ、プリプレグを得て、前記プリプレグの複数枚を重ね、加熱・加圧を経て製造した複合材成形体であり、前記ポリカプロラクトンは、ポリカプロラクトンワニスを強化繊維基材に含浸させた後において、鎖伸長反応により数平均分子量5万〜30万に高分子量化されてなることを特徴とする身体保護具。 - 前記ポリカプロラクトンは、プリプレグを得る工程、及び/又は、プリプレグの複数枚を重ね、加熱・加圧する工程において、鎖伸長反応により高分子量化されてなる請求項1記載の身体保護具。
- ブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネート(2)は、アセトキシムでブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネートである請求項1又は2記載の身体保護具。
- ブロック化されていてもよいジフェニルメタンジイソシアネート(2)は、アセトキシムでブロック化されているジフェニルメタンジイソシアネートである請求項3記載の身体保護具。
- プリプレグは、前記ポリカプロラクトンを数平均分子量10万以上に高分子量化させたものである請求項1〜4のいずれか記載の身体保護具。
- 強化繊維基材は、不織布、織物及び編物からなる群から選択されるシート状繊維基材である請求項1〜5のいずれか記載の身体保護具。
- 強化繊維基材は、ガラス繊維、炭素繊維及びアラミド繊維からなる群から選択される少なくとも1種の繊維からなるものである請求項1〜6のいずれか記載の身体保護具。
- 複合材は、プリプレグの積層枚数を局所的に増加又は減少させたものである請求項1〜7のいずれか記載の身体保護具。
- 保安用、防犯用、警備用、又は、防具用である請求項1〜8のいずれか記載の身体保護具。
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