JP2007069462A - マスク形成方法および情報記録媒体製造方法 - Google Patents

マスク形成方法および情報記録媒体製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】マスクの形成コストを低減し得るマスク形成方法を提供する。
【解決手段】凹凸パターンが形成されたマスクを中間体10の上に形成する際に、紫外線硬化型の塗液(放射線硬化型の塗液)を中間体10の上に塗布して塗膜31を形成する塗膜形成処理と、塗膜31に紫外線52a(放射線)を照射する紫外線照射処理(放射線照射処理)と、スタンパーにおける凹凸パターンの形成面を塗膜31に押し付けてスタンパーの凹凸パターンを塗膜31に転写するパターン転写処理とをこの順で実行してマスクの凹凸パターンを形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、基材の上に塗布した塗膜にスタンパーの凹凸パターンを転写してマスクを形成するマスク形成方法、およびそのマスク形成方法に従って形成したマスクを用いて情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法に関するものである。
この種のマスク形成方法として、基板上に形成した薄膜をエッチング処理する際に用いるマスクパターンを形成するマスク形成方法が特開平5−80530号公報に開示されている。このマスク形成方法では、まず、基板上に形成した薄膜を覆うようにして光硬化性を有する有機樹脂を塗布して有機樹脂層を形成する。次いで、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレートおよびガラス等の光透過性を有する材料で形成されたスタンパーにおける凹凸パターンの形成面を有機樹脂層に押し付ける。続いて、薄膜上の有機樹脂層に向けてスタンパーを透過させて光を照射することによって有機樹脂層を硬化させる。次いで、硬化した有機樹脂層からスタンパーを剥離する。これにより、有機樹脂層からなるマスクパターン(マスク)が薄膜の上に形成される。この後、形成したマスクパターンを用いて薄膜をエッチング処理する。これにより、マスクパターンにおける各凹部の部位において基板上から薄膜が除去されて基板上に薄膜パターンが形成される。
特開平5−80530号公報(第4−5頁、第1図)
ところが、従来のマスク形成方法には、以下の問題点がある。すなわち、従来のマスク形成方法では、有機樹脂層の硬化処理時においてスタンパーを透過させて光を照射するために、光透過性を有する材料で形成したスタンパーを用いている。この場合、ポリカーボネートやポリメチルメタアクリレート等の樹脂材料でスタンパーを形成したときには、その耐久性を十分に向上させるのが困難なため、スタンパーの繰り返しの利用が困難となる結果、マスクの形成コストが高騰する。また、スタンパーをガラスで形成したときには、1枚のスタンパーを製造する都度、スタンパー形成用のガラス板に凹凸パターンを形成する処理を実行する必要がある。このため、スタンパーの製造コストの高騰に起因して、マスクの形成コストが高騰する。このように、従来のマスク形成方法には、光透過性を有するスタンパーを用いることに起因してマスクの形成コストが高騰しているという問題点がある。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、マスクの形成コストを低減し得るマスク形成方法、および情報記録媒体の製造コストを低減し得る情報記録媒体製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく本発明に係るマスク形成方法は、凹凸パターンが形成されたマスクを基材の上に形成する際に、放射線硬化型の塗液を前記基材の上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成処理と、前記塗膜に放射線を照射する放射線照射処理と、スタンパーにおける凹凸パターンの形成面を前記塗膜に押し付けて当該凹凸パターンを当該塗膜に転写するパターン転写処理とをこの順で実行して前記マスクの凹凸パターンを形成する。
また、本発明に係るマスク形成方法は、前記放射線の照射を停止した後においても硬化反応が進行する樹脂材料を前記塗液として塗布する。
さらに、本発明に係るマスク形成方法は、カチオン重合反応によって前記硬化反応が進行する樹脂材料を前記樹脂材料として塗布する。
また、本発明に係る情報記録媒体製造方法は、上記のいずれかのマスク形成方法に従って形成したマスクを用いて前記基材に凹凸パターンを形成して情報記録媒体を製造する。なお、本発明における「基材に凹凸パターンを形成する」との処理には、基材に凹部を形成することで凹凸パターンを形成する処理と、基材上に凸部を形成することで凹凸パターンを形成する処理との双方が含まれる。
本発明に係るマスク形成方法によれば、放射線硬化型の塗液を基材の上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成処理と、塗膜に放射線を照射する放射線照射処理と、スタンパーの凹凸パターンを塗膜に転写するパターン転写処理とをこの順で実行してマスクの凹凸パターンを形成することにより、スタンパーを透過させて光を照射することで有機樹脂層を硬化させてマスクを形成する従来のマスク形成方法とは異なり、光透過性を有する材料で形成したスタンパーを用いることなくマスクを形成することができる。したがって、例えば耐久性を考慮して選択した各種の材料でスタンパーを製造することができるため、スタンパーの繰り返しの利用が可能となる結果、マスクを形成するコストを十分に低減することができる。また、例えばスタンパーをガラスで形成するのとは異なり、1枚のスタンパー製造用原盤から例えば金属製のスタンパーを容易に複製することができるため、スタンパーの製造コストを十分に低減することができる。したがって、このマスク形成方法に従って形成したマスクを用いて基材に凹凸パターンを形成して情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法によれば、情報記録媒体の製造コストを十分に低減することができる。
また、本発明に係るマスク形成方法では、放射線の照射を停止した後においても硬化反応が進行する樹脂材料を塗液として塗布する。具体的には、例えば、カチオン重合反応によって硬化反応が進行する樹脂材料を上記の樹脂材料として塗布する。したがって、このマスク形成方法によれば、パターン転写処理に先立って塗膜に放射線を照射しておくことで、放射線の照射を開始した時点から塗膜の硬化反応が徐々に進行して、パターン転写処理の実行中(スタンパーを塗膜に押し付けている間)においても塗膜が徐々に硬化する結果、パターン転写処理の完了時(塗膜からスタンパーを剥離する際)においてパターン崩れが生じる事態を回避して基材の全域において凹凸パターンを正確に転写することができる。また、塗膜に照射する放射線の照射量(放射線の照射強度および照射時間)を適宜調整することで、パターン転写処理の完了後(塗膜からスタンパーを剥離した後)において放射線を照射することなく、塗膜を十分に硬化させることができる。したがって、パターン転写処理の前後において塗膜に放射線を照射するパターン形成方法と比較して、マスクの形成に要する時間を十分に短縮して形成コストを十分に低減することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るマスク形成方法および情報記録媒体製造方法の最良の形態について説明する。
最初に、本発明に係るマスク形成方法に従ってマスクを形成して情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造装置50(以下、「製造装置50」ともいう)の構成について、図面を参照して説明する。
図1に示す製造装置50は、塗布装置51、紫外線照射装置52、プレス装置53およびエッチング装置54を備え、本発明に係るマスク形成方法に従ってマスク30(図6参照)を形成すると共に、そのマスク30を用いたエッチング処理によって図2に示す情報記録媒体1を製造する。この場合、製造装置50は、情報記録媒体製造用の中間体10(図4参照)と、スタンパー2(図3参照)とを用いてマスク30を形成する。中間体10は、本発明における基材に相当し、図4に示すように、一例として、直径2.5インチ程度の円板状の基板11と、基板11の上に形成された磁性層12とを備えている。なお、同図では、中間体10の上に塗膜31が形成された状態を図示している。また、実際には、基板11と磁性層12との間に軟磁性層や配向層等の各種機能層が形成されているが、本発明についての理解を容易とするために、これらについての図示および説明を省略する。スタンパー2は、中間体10の上にマスク30を形成するための原盤であって、全体として例えば金属材料(一例として、ニッケル)で円板状に形成されている。また、図3に示すように、スタンパー2の一面(本発明における凹凸パターンの形成面:同図における下面)には、複数の凸部23,23・・と複数の凹部24,24・・とを有する凹凸パターン25が形成されている。なお、スタンパー2を形成する材料やその製造方法については、特に限定されず、公知の各材料を用いて公知の各種製造方法に従って製造することができる。
情報記録媒体1は、一例として、ディスクリートトラック型の磁気記録媒体(パターンド媒体)であって、情報記録媒体1を回転させるモータや、情報記録媒体1に対する記録データの記録再生を実行する記録再生ヘッド(記録ヘッドおよび再生ヘッドが形成された浮上式ヘッドスライダ)などと共に筐体内に収容されて、磁気記録装置(ハードディスクドライブ)を構成する。この情報記録媒体1は、図2に示すように、磁性層12に形成された複数の凸部13,13・・および複数の凹部14,14・・によってデータトラックパターンおよびサーボパターンなど(凹凸パターン15)が形成されて垂直記録方式による記録データの記録が可能に構成されている。この場合、この情報記録媒体1では、スタンパー2の凹凸パターン25における各凹部24に対応して各凸部13が形成されると共に、凹凸パターン25における各凸部23に対応して各凹部14が形成されている。なお、本明細書において参照する図2〜6の各図面では、本発明についての理解を容易とするために、各層の厚みを実際の厚みとは相違する厚みで図示すると共に、各凹凸パターンにおける各凸部の幅、および各凹部の幅等を実際の幅とは相違する幅で図示している。
一方、塗布装置51は、本発明における塗膜形成処理を実行する装置であって、本発明における放射線硬化型の塗液としての紫外線硬化型の樹脂材料を中間体10における磁性層12の上にスピンコートすることにより、図4に示すように、中間体10の上に塗膜31を形成する。この場合、樹脂材料としては、後述するようにして紫外線52aを照射した際に硬化反応が始まり、紫外線52aの照射を停止した後においても硬化反応が進行する樹脂材料を用いるのが好ましい。具体的には、一例として、紫外線52aの照射時においてカチオン重合反応によって硬化反応が始まる樹脂材料を用いるのが好ましい。なお、カチオン重合反応については、公知のため、その詳細な説明を省略する。紫外線照射装置52は、本発明における放射線照射処理を実行する装置であって、本発明における放射線の一例である紫外線52aを中間体10上の塗膜31に向けて照射する。プレス装置53は、本発明におけるパターン転写処理を実行する装置であって、図5に示すように、スタンパー2の凹凸パターン25を中間体10上の塗膜31に押し付けて凹凸パターン25を塗膜31に転写する。エッチング装置54は、マスク30の形成が完了した中間体10にエッチング用ガスを照射することにより、マスク30から露出している磁性層12を除去(エッチング処理)して磁性層12に各凹部14を形成して、基板11上に凹凸パターン15を形成する。
次いで、マスク30の形成方法、およびマスク30を用いた情報記録媒体1の製造方法について、図面を参照して説明する。
まず、図4に示すように、塗布装置51によって中間体10の上に塗液をスピンコート(塗布)することにより、磁性層12の上に塗膜31を形成する(本発明における塗膜形成処理)。この際に、塗布装置51は、本発明における塗液としてカチオン重合反応によって硬化反応が進行するエポキシ系の樹脂材料をスピンコートする。この場合、中間体10の上に形成する塗膜31の厚みについては、エッチング装置54によるエッチング処理に際して磁性層12に各凹部14を形成するのに十分な高さの各凸部33(図6参照)を形成可能な厚み(十分な深さの凹部14,14・・の形成に先立ってマスク30が消失することのない厚み)とする必要がある。したがって、磁性層12をエッチング処理するためのマスク30を形成するこの例では、塗膜31の厚みを50nm以上とするのが好ましい。一方、塗膜31の厚みを過剰に厚くしたときには、プレス装置53によるパターン転写処理に際してスタンパー2の各凸部23と中間体10の磁性層12との間に厚手の残渣(凸部23と磁性層12との間に残存する塗膜31)が生じることとなる。この場合、厚手の残渣が生じたときには、その取り除き処理に長い時間を要する。したがって、残渣の取り除きに要する時間を短縮すべく残渣の厚みを十分に薄くするために、塗膜31の厚みを200nm以下とするのが好ましい。この例では、塗布装置51による塗液のスピンコートが完了した時点における塗膜31の厚みを一例として、100nmとする。
次いで、紫外線照射装置52によって中間体10上の塗膜31に紫外線52aを照射する(本発明における放射線照射処理)。この際に、紫外線照射装置52は、一例として、500mW/cmの紫外線52aを1秒間だけ照射する。この結果、中間体10上に塗布された塗液(塗膜31)においてカチオン重合反応による硬化反応が始まる。続いて、図5に示すように、塗膜31が形成された中間体10をプレス装置53にセットしてスタンパー2の凹凸パターン25を塗膜31に押し付ける(本発明におけるパターン転写処理)。この際に、プレス装置53は、紫外線照射装置52による紫外線52aの照射完了時点から一例として1分後に押し付けを開始して、10MPaの押圧力でスタンパー2を塗膜31に押し付けた状態を維持する。この場合、紫外線52aの照射完了からの経過時間が3分以下の状態では、塗膜31が完全に硬化することなく、十分に柔らかい状態が維持されている。したがって、スタンパー2の凹凸パターン25における各凸部23を塗膜31に対して十分に奥深くまで押し込むことができる。この結果、凹凸パターン25における各凸部23の端面と磁性層12の表面との間に厚手の残渣が生じる事態が回避される。
次いで、プレス装置53は、塗膜31にスタンパー2を押し付けた状態を3分間に亘って維持する。この場合、紫外線照射装置52によって紫外線52aが照射された塗膜31(樹脂材料)は、紫外線52aの照射停止後もカチオン重合反応によって硬化反応が進行して、スタンパー2が押し付けられている状態においても徐々に硬化する。したがって、塗膜31は、転写された凹凸パターン35に崩れが生じない程度まで、スタンパー2の剥離に先立って十分に硬化する。次いで、塗膜31からスタンパー2を剥離する。これにより、図6に示すように、スタンパー2の凹凸パターン25が塗膜31に転写されて凹凸パターン35(本発明における「マスクの凹凸パターン」の一例)が形成されて、中間体10の上にマスク30が形成される。以上で、本発明におけるパターン転写処理が完了する。この場合、スタンパー2を剥離するときにスタンパー2が十分に硬化しているため、スタンパー2の剥離時において塗膜31がスタンパー2と共に中間体10から剥離する事態や、スタンパー2の剥離時において未硬化部分の存在に起因して凹凸パターン35に崩れが生じる事態が回避される。なお、スタンパー2の剥離を完了した後に、塗膜31(凹凸パターン35)に紫外線52aを所定時間に亘って照射することもできる。この方法を採用した場合には、スタンパー2の押し付け前にのみ紫外線52aを照射して塗膜31を完全に硬化させる方法と比較して、塗膜31を短時間で完全に硬化させることができる。
次いで、スタンパー2を剥離した際に各凹部34の底部に生じた極く薄厚の残渣(図示せず)をエッチングによって中間体10上から取り除く。なお、本発明におけるマスクは、塗膜31からスタンパー2を剥離した状態の塗膜31(残渣が存在する状態の凹凸パターン35)に限定されず、各凹部34の底部に生じた残渣の取り除きが完了した状態の塗膜31(残渣が存在しない状態の凹凸パターン35)がこれに含まれる。また、残差の取り除き処理については、エッチング装置54によって行うこともできる。続いて、残渣の取り除きが完了した中間体10をエッチング装置54にセットして磁性層12をドライエッチング処理する(本発明における「基材に凹凸パターンを形成する」との処理の一例)。具体的には、中間体10におけるマスク30の形成面に向けてエッチング用のガスを照射する。この際には、マスク30から露出している部位(各凹部34の部位)の磁性層12が消失して磁性層12に各凹部34に対応して各凹各部14が形成され、図2に示すように、複数の凸部13,13・・および複数の凹部14,14・・を有する凹凸パターン15が基板11の上に形成される。以上により、情報記録媒体1が完成する。
この場合、上記のマスク形成方法において使用したスタンパー2では、その凹凸パターン25における各凸部23の高さ(各凹部24の深さ)が、塗膜31に転写した凹凸パターン35における各凹部34の深さ(各凸部33の高さ)よりも大きくなるように規定されている。具体的には、図5に示すように、中間体10上に形成された塗膜31にスタンパー2を押し付けた状態において、各凹部24の底面と塗膜31の表面との間に隙間Sが形成されるように各凸部23の高さ(各凹部24の深さ)が規定されている。これに対して、例えば光ディスク用基材を成形するためのスタンパーでは、凹凸パターンにおける各凹部の底面と基材成形用材料に転写された各凸部の端面とが面的に接するように(上記の隙間Sが形成されないように)各凸部の高さ(各凹部の深さ)が規定されている。したがって、光ディスク用基材に転写した凹凸パターンにおける各凸部を面一にするためには、スタンパーにおける各凹部の底面を面一にする必要がある。このため、光ディスク用基材を成形するためのスタンパーの製造が煩雑となる結果、その製造コストが高騰している。
一方、マスクを形成するためのスタンパー2では、凹凸パターン25における各凹部24の底面を面一にしなくてもよいため、凹凸パターン25を容易に形成することができる結果、その製造コストの高騰を回避することができる。また、上記の隙間Sが形成されるように各凸部23の高さ(各凹部24の深さ)を規定しているスタンパー2では、パターン転写処理時に、各凸部23を押し込んだ部位の塗膜31が凹凸パターン25における各凹部24に向けてスムーズに移動する。したがって、前述したように、各凸部23を塗膜31に対して十分に奥深くまで押し込むことができる。この結果、光ディスク用基材を成形するためのスタンパーと同様に構成されたスタンパー(上記の隙間Sが形成されないように構成されたスタンパー)を使用した場合とは異なり、凹凸パターン25における各凸部23の端面と磁性層12の表面との間に厚手の残渣が生じる事態を回避することができる。
また、上記の製造装置50では、プレス装置53によってスタンパー2の押し付けを開始した時点からスタンパー2の剥離を完了する時点まで、中間体10(塗膜31)およびスタンパー2の双方に対する加熱処理および冷却処理を行うことなく、中間体10(塗膜31)およびスタンパー2の双方を室温と同程度の温度に維持している。この場合、押し付けを開始した時点から剥離を完了する時点までの間に中間体10(塗膜31)およびスタンパー2に大きな温度変化が生じたとき(加熱処理または冷却処理を行ったとき)には、中間体10の熱膨張率とスタンパー2の熱膨張率との相違に起因して、中間体10とスタンパー2との間に平面方向に沿ったずれが生じる。この結果、塗膜31に転写した凹凸パターン35に欠陥が生じるおそれがある。したがって、この製造装置50では、スタンパー2の剥離を完了するまで中間体10(塗膜31)およびスタンパー2の双方を加熱処理および冷却処理を行うことなく室温と同程度の温度に維持することで、凹凸パターン35に欠陥が生じる事態を回避している。なお、本明細書における室温とは、20℃以上30℃以下の範囲内の温度を意味する。
次いで、紫外線52aの照射量と凹凸パターン35の形成状態との関係、および紫外線52aの照射停止からスタンパー2の押し付けを行うまでの時間と凹凸パターン35の形成状態との関係について、図面を参照して説明する。
まず、上記のマスク30の形成方法と同様にして、塗布装置51によって6枚の中間体10の上に塗液(カチオン重合反応によって硬化反応が進行するエポキシ系の樹脂材料)をそれぞれ塗布して塗膜31を形成した。次いで、紫外線照射装置52によって紫外線52aを1秒間だけ塗膜31に照射した。この際に、各中間体10毎の塗膜31に対する紫外線52aの照射強度を、50mW/cm、100mW/cm、200mW/cm、300mW/cm、400mW/cmおよび500mW/cmとした。続いて、紫外線照射装置52による紫外線52aの照射停止から1分後にプレス装置53によってスタンパー2を塗膜31に押し付け、その状態を3分間に亘って維持した後に、塗膜31からスタンパー2を剥離した。この際に、塗膜31に転写された凹凸パターンをAFM(原子間力顕微鏡)によって観察し、中間体10の全域において凹凸パターンが良好に転写されたものを「○」、凹凸パターンが良好には転写できなかったものを「×」として図7に示す。
同図に示すように、塗膜31に対して50mW/cmの紫外線52aを1秒間だけ照射した例では、紫外線52aの照射によって硬化反応が始まったものの、スタンパー2の剥離に先立って(紫外線52aの照射停止から4分を経過した時点で)塗液が十分に硬化せずに、剥離したスタンパー2における凹凸パターン25の一部に塗液が付着していた。このため、塗膜31の一部が中間体10から剥離して、中間体10上にマスク30を良好に形成することができなかった。一方、塗膜31に対して500mW/cmの紫外線52aを1秒間だけ照射した例では、紫外線52aの照射によって硬化反応が始まり、スタンパー2の押し付けに先立って(紫外線52aの照射停止から1分を経過した時点で)塗液の硬化反応が過度に進行した。したがって、スタンパー2の各凸部23を塗膜31に対して十分に押し込むことができない結果、中間体10上にマスク30を良好に形成することができなかった。
これに対して、塗膜31に対する紫外線52aの照射強度を、100mW/cm、200mW/cm、300mW/cmおよび400mW/cmとした各例では、スタンパー2の各凸部23を塗膜31に対して十分に奥深くまで押し込むことができ、しかも、スタンパー2の剥離に先立って(紫外線52aの照射停止から4分を経過した時点で)塗液を十分に硬化させることができるため、スタンパー2と共に中間体10から剥離することなく、凹凸パターン25が転写された塗膜31の状態(凹凸パターン35が形成された状態)を維持することができた。この結果、中間体10上にマスク30を良好に形成することができた。このように、出願人は、塗液として塗布する樹脂材料の硬化反応特性に応じて、照射停止後においても十分に硬化反応が進行し、かつ、スタンパー2の押し付けに先立って硬化反応が過度に進行することのないように、塗膜に対して照射する放射線(この例では、紫外線52a)の照射量を調整する必要があることを確認した。
次に、上記のマスク30の形成方法と同様にして塗布装置51によって5枚の中間体10の上に塗液(カチオン重合反応によって硬化反応が進行するエポキシ系の樹脂材料)をそれぞれ塗布して塗膜31を形成した。次いで、紫外線照射装置52によって300mW/cmの紫外線52aを1秒間だけ塗膜31に照射した。続いて、紫外線照射装置52による紫外線52aの照射停止から所定時間を経過した後にプレス装置53によってスタンパー2を塗膜31に押し付けた。この際に、紫外線照射装置52による紫外線52aの照射停止からスタンパー2の押し付けまでの時間を1分、2分、3分、4分および5分とした。次いで、塗膜31にスタンパー2を押し付けた状態を3分間に亘って維持した後に、塗膜31からスタンパー2を剥離した。この際に、塗膜31に転写された凹凸パターンをAFM(原子間力顕微鏡)によって観察し、中間体10の全域において凹凸パターンが良好に転写されたものを「○」、凹凸パターンが良好には転写できなかったものを「×」として図8に示す。
同図に示すように、塗膜31に対する紫外線52aの照射が完了してから3分以内にスタンパー2を押し付けた各例では、スタンパー2の各凸部23を塗膜31に対して十分に奥深くまで押し込むことができる結果、中間体10の全域において凹凸パターン25を正確に転写することができた。したがって、中間体10上にマスク30を良好に形成することができた。一方、塗膜31に対する紫外線52aの照射が完了してから4分以降にスタンパー2を押し付けた各例では、スタンパー2の各凸部23を塗膜31に対して十分に奥深くまで押し込むことができずに、塗膜31に凹凸パターン25を良好には転写することができなかった。したがって、中間体10上にマスク30を形成することができなかった。このように、出願人は、塗液として塗布する樹脂材料の硬化反応特性に応じて、スタンパー2の押し付けに先立って硬化反応が過度に進行しないうちにスタンパー2を押し付ける必要があることを確認した。
この場合、塗膜31の硬化が進み過ぎた状態でスタンパー2を押し付けたときには、スタンパー2における各凸部23の押し込み量の不足に起因して中間体10上に厚手の残渣が生じる。このため、残渣の取り除き処理に要する時間を短縮すべく厚手の残渣が生じる事態を回避するためには、一例として、塗膜31をガラス転移点まで加熱処理して各凸部23を押し込み易くする必要がある。しかし、塗膜31を加熱処理した場合、パターン転写処理を完了した際に中間体10(塗膜31)の温度を室温まで低下させる(冷却処理する)必要がある。このため、冷却処理中の中間体10を放置するための場所を確保する必要が生じ、しかも、冷却処理に要する分だけ情報記録媒体1の製造に要する時間が長くなる結果、情報記録媒体1の製造コストが高騰するおそれがある。したがって、塗膜31に対する放射線の照射量や、放射線の照射を停止してからスタンパー2を押し付けるまでの時間を調整するのが好ましく、このように調整することで加熱処理を省いて製造時間を十分に短縮することができる。
このように、この情報記録媒体製造装置50によるマスク形成方法によれば、中間体10の上に塗膜31を形成する塗膜形成処理と、塗膜31に紫外線52aを照射する紫外線照射処理(放射線照射処理)と、スタンパー2の凹凸パターン25を塗膜31に転写するパターン転写処理とをこの順で実行して本発明におけるマスクの凹凸パターンに相当する凹凸パターン35を形成することにより、スタンパーを透過させて光を照射することで有機樹脂層を硬化させてマスクを形成する従来のマスク形成方法とは異なり、光透過性を有する材料で形成したスタンパーを用いることなくマスク30を形成することができる。したがって、例えば耐久性を考慮して選択した各種の材料でスタンパー2を製造することができるため、スタンパー2の繰り返しの利用が可能となる結果、マスク30を形成するコストを十分に低減することができる。また、例えばスタンパーをガラスで形成するのとは異なり、1枚のスタンパー製造用原盤から例えば金属製のスタンパー2を容易に複製することができるため、スタンパー2の製造コストを十分に低減することができる。したがって、このマスク形成方法に従って形成したマスク30を用いて中間体10に凹凸パターン15を形成して情報記録媒体1を製造する情報記録媒体製造方法によれば、情報記録媒体1の製造コストを十分に低減することができる。
また、この情報記録媒体製造装置50によるマスク形成方法では、紫外線52aの照射を停止した後においても硬化反応が進行する樹脂材料を本発明における塗液として塗布する。具体的には、例えば、カチオン重合反応によって硬化反応が進行する樹脂材料を上記の樹脂材料として塗布する。したがって、この情報記録媒体製造装置50によるマスク形成方法によれば、本発明におけるパターン転写処理に先立って塗膜31に紫外線52aを照射しておくことで、紫外線52aの照射を開始した時点から塗膜31の硬化反応が徐々に進行して、パターン転写処理の実行中(スタンパー2を塗膜31に押し付けている間)においても塗膜31が徐々に硬化する結果、パターン転写処理の完了時(塗膜31からスタンパー2を剥離する際)においてパターン崩れが生じる事態を回避して中間体10の全域において凹凸パターン25を正確に転写することができる。また、塗膜31に照射する紫外線52aの照射量(紫外線52aの照射強度および照射時間)を適宜調整することで、パターン転写処理の完了後(塗膜31からスタンパー2を剥離した後)において紫外線52aを照射することなく、塗膜31を十分に硬化させることができる。したがって、パターン転写処理の前後において塗膜31に紫外線52aを照射するパターン形成方法と比較して、マスク30の形成に要する時間を十分に短縮して形成コストを十分に低減することができる。
なお、本発明は、上記の構成および方法に限定されない。例えば、本発明における塗液としてカチオン重合反応によって硬化反応が進行するエポキシ系の樹脂材料を用いた例について説明したが、紫外線52aを照射している間だけ硬化反応が生じる各種の樹脂材料を用いて中間体10の上にマスク30を形成することができる。具体的には、例えば、前述したマスク30の形成に用いた樹脂材料に代えて、ラジカル重合反応によって硬化反応が進行する樹脂材料(放射線を照射している間だけ硬化反応が生じる樹脂材料の一例)を中間体10に塗布して塗膜31を形成すると共に、この塗膜31に放射線(一例として紫外線52a)を照射して塗膜31を半硬化させる。この際に、スタンパー2の各凸部23を十分に奥深くまで押し込むことが可能で、かつ転写された凹凸パターンがスタンパー2の剥離時に崩れない程度まで塗膜31を硬化させる。次いで、スタンパー2の凹凸パターン25を半硬化状態の塗膜31に押し付け、その状態を所定時間だけ維持した後にスタンパー2を塗膜31から剥離する。これにより、中間体10上の塗膜31に凹凸パターン35が形成される。続いて、凹凸パターン35が形成された塗膜31に紫外線52aを再度照射して塗膜31を十分に硬化させる。このように、紫外線52aを照射しているときだけ硬化反応が進行する樹脂材料を用いたとしても、中間体10上の塗膜31にスタンパー2を押し付けた状態において紫外線52aを照射することなくマスク30を形成することができる。したがって、前述した製造装置50によるマスク30の形成方法と同様にして、光透過性を有していない材料で形成した安価なスタンパー2を用いてマスク30を形成することができる。
また、本発明における塗液としては、放射線硬化型の樹脂材料以外の各種樹脂材料を添加することもできる。具体的には、放射線硬化型樹脂材料に熱硬化樹脂材料を少量添加し、スタンパー2の剥離後において中間体10(塗膜31)に対する加熱処理を実行することで塗膜31を十分に硬化させる方法を採用することもできる。さらに、本発明における放射線は、紫外線52aに限定されず、塗膜31を形成する塗液に応じて電子線やX線等の各種放射線を照射して塗膜31を硬化させることができる。また、磁性層12の上に塗膜31を形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、磁性層12の上に他のマスク形成層を形成すると共に、このマスク形成層の上に塗膜31を形成し、スタンパー2の押し付けによって塗膜31に転写した凹凸パターン35(マスク30)を用いてマスク形成層に凹凸パターン(マスクパターン)を形成した後に、このマスク形成層をマスクとして用いて磁性層12に対するエッチング処理を行うことができる。
さらに、磁性層12をドライエッチング処理するためのマスク30の形成方法について説明したが、本発明におけるマスク形成方法によって形成するマスクは、ドライエッチング処理用のマスクに限定されず、ウェットエッチング処理用のマスクがこれに含まれる。この場合、ウェットエッチング処理が本発明における「基材に凹凸パターンを形成する」との処理の他の一例に相当する。また、本発明におけるマスク形成方法によって形成するマスクは、エッチング処理用のマスクに限定されない。例えば、基材上に形成したマスクの凹凸パターン(凹部底面の残渣の取り除きが完了した状態の凹凸パターン)における凸部の上、およびマスクの凹凸パターンにおける凹部の底面においてマスクから露出している基材の上に薄膜を形成した後に、基材上からマスクを除去することによってマスクにおける凸部の上に形成された薄膜をマスクと共に基材上から除去すると共にマスクにおける凹部の底面(基材の上)に形成された薄膜(基材上に形成される凹凸パターンの凸部に相当する)を基材上に残存させることで基材上に凹凸パターンを形成する処理(いわゆる「リフトオフ処理」)用のマスクがこれに含まれる。この場合、リフトオフ処理用のマスクについては、本発明におけるパターン転写処理の後に凹部底面の残渣を取り除いた状態の凹凸パターンが本発明におけるマスクに相当する。また、リフトオフ処理が本発明における「基材に凹凸パターンを形成する」との処理のさらに他の一例に相当する。
また、本発明に係るマスク形成方法に従って形成したマスクの用途は、情報記録媒体の製造に限らず、例えば、半導体素子の製造時等に用いるマスクを形成する際にも適用することができる。この際には、半導体素子等の製造コストを十分に低減することができる。また、本発明に係るマスク形成方法に従って形成したマスクを用いて製造する情報記録媒体は、上記した情報記録媒体1のようなディスクリートトラック型の磁気ディスクに限定されず、データトラックパターンが連続磁性層に磁気的に書き込まれると共にサーボパターンが凹凸パターンによって形成された磁気ディスクが含まれる。さらに、情報記録媒体1のような垂直記録方式の磁気ディスクのみならず、面内記録方式の磁気ディスクも含まれる。加えて、磁気ディスクのみならず、光ディスク(光記録媒体)の製造時にも本発明に係るマスク形成方法を好適に適用することができる。
情報記録媒体製造装置50の構成を示す構成図である。 情報記録媒体1の断面図である。 スタンパー2の断面図である。 塗膜31が形成された状態の中間体10の断面図である。 スタンパー2の凹凸パターン25を塗膜31に押し付けた状態の中間体10の断面図である。 スタンパー2を剥離して凹凸パターン35(マスク30)を形成した状態の中間体10の断面図である。 紫外線52aの照射強度と凹凸パターン35の形成状態との関係を説明するための説明図である。 紫外線52aの照射を停止してからスタンパー2の押し付けを行うまでの時間と凹凸パターン35の形成状態との関係を説明するための説明図である。
符号の説明
1 情報記録媒体
2 スタンパー
10 中間体
13,23,33 凸部
14,24,34 凹部
15,25,35 凹凸パターン
30 マスク
31 塗膜

Claims (4)

  1. 凹凸パターンが形成されたマスクを基材の上に形成する際に、放射線硬化型の塗液を前記基材の上に塗布して塗膜を形成する塗膜形成処理と、前記塗膜に放射線を照射する放射線照射処理と、スタンパーにおける凹凸パターンの形成面を前記塗膜に押し付けて当該凹凸パターンを当該塗膜に転写するパターン転写処理とをこの順で実行して前記マスクの凹凸パターンを形成するマスク形成方法。
  2. 前記放射線の照射を停止した後においても硬化反応が進行する樹脂材料を前記塗液として塗布する請求項1記載のマスク形成方法。
  3. カチオン重合反応によって前記硬化反応が進行する樹脂材料を前記樹脂材料として塗布する請求項2記載のマスク形成方法。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のマスク形成方法に従って形成したマスクを用いて前記基材に凹凸パターンを形成して情報記録媒体を製造する情報記録媒体製造方法。
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