JP2007069266A - 接合材および接合材の製造方法 - Google Patents

接合材および接合材の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接合材を用いずに固体同士を接合する。
【解決手段】金属やガラスなどの被接合部材16a、16bは、フッ化処理部12においてHFガス供給部24からのHFガスと、水蒸気発生部26からの水蒸気との混合ガスに晒されて表面がフッ化されたのち、接合処理部14のテーブル36上に重ねて配置される。その後、チャンバ34内をArガス雰囲気にし、第1の被接合部材16aと第2の被接合部材16bとをシリンダ46によって加圧するとともに、ヒータ48によって両者の融点以下に加熱して接合する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属と金属あるいは金属とセラミック等の固体同士を接合する固体接合方法に係り、特に接合材などを溶融することなく固体同士を接合する接合材および接合材の製造方法に関する。
従来、銅と銅、アルミニウムと銅などの金属と金属、あるいは金属とセラミック、金属とガラスなどの固体同士を接合する場合、半田やインジウムなどの低融点金属からなる接合材を溶融して行なうのが一般的である。また、近年、金属同士を接合する場合、接合する金属を真空容器中に配置し、金属の接合面にイオンビームを照射して酸化物を除去したのち、金属を加熱、加圧して接合する方法が開発されている。
一方、セラミックあるいは金属のパッケージ中に水晶発振子などの電子部品を配置し、パッケージ内部を真空にして封止したものがある。このパッケージ作業は、真空中においてパッケージの下蓋の中に電子部品を収め、下蓋に上蓋を被せて両者を接合している。この接合は、上蓋または下蓋のいずれかの接合部に半田やインジウムなどの低融点で軟らかい金属からなる接合材を塗布しておき、上下の蓋の位置を制御しながら重ねたのち、加熱して低融点金属の接合材を溶融して行なっている。
そして、特開平1−270574号公報には、アルカリ金属およびアルカリ土類金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のフッ化物の少なくとも一種からなるフッ化物含有溶融ハロゲン化物浴にセラミックを浸漬して700〜1100℃に加熱し、セラミックの表面に炭化物、ホウ化物、窒化物、ケイ化物などの非酸化物からなる表面層を形成したのち、この非酸化物表面層を有するセラミック同士または非酸化物表面層を有するセラミックと金属とを加熱して接合する方法が開示されている。
さらに、特開平10−36145号公報には、少なくとも接合面の主成分が二酸化シリコンである部材同士を重ね合わせ、両者の接合界面にフッ化水素酸を含む溶液を浸透させて両者を接合する方法が開示されている。また、外国の文献には、クロムからなる被接合部材を800〜900℃の高温のフッ素系ガス雰囲気中に配置し、フッ素系ガスを熱分解して被接合部材をフッ化処理するとともに、そのままその雰囲気で接合する技術が提案されている。
従来の半田による固体の接合は、フラックスを使用しなければならず、接合後に洗浄してスラッジを除去しなければならない場合もある。また、半田やインジウムなどの接合材を溶融して接合する場合、被接合部材相互の位置ずれが生じやすく、接合時における形状制御をすることが困難で形状が不安定となるばかりでなく、接合後の見た目も悪い。そして、上記の真空パッケージ方法においても、接合材を溶融して接合するため、接合時の形状不安定性やスラッジの問題を生ずる。
さらに、真空中でイオンビームにより金属の表面酸化物を除去して接合する方法は、接合材を用いないために形状制御が容易でスラッジの問題を生じないが、真空中で行なう必要があるばかりでなく、真空中において加熱、加圧する必要があり、装置が高価で大型化するばかりでなく、ランニングコストも高くなる欠点がある。
また、特開平1−270574号公報に記載された接合方法は、セラミックスを液体であるフッ化物含有溶融ハロゲン化物に浸漬し、700〜1100℃の温度で長時間加熱して非酸化物を析出させる必要があり、取り扱いが面倒であるとともに、多くの処理時間を必要とする。しかも、セラミック同士またはセラミックと金属との接合にしか適用することができない。さらに、特開平10−36145号公報に記載の接合方法は、二酸化シリコンを主成分とする部材をフッ化水素酸によって溶解して接合するようになっており、極めて適用範囲が狭いばかりでなく、接合時にフッ化水素酸溶液を用いるために取り扱いが容易でなく、接合にも多くの時間を必要とする。
そして、高温雰囲気においてフッ素系ガスを分解して接合する方法は、すべての操作を高温中で行うために高価な高温炉を必要として設備費コストが高くなるばかりでなく、クロムなどの高融点の部材にしか適用することができず、融点の低い部材などには適用することができない。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、接合材を用いずに固体同士を接合することを目的としている。
さらに、本発明は、接合時の形状を安定させることができるようにすることを目的としている。
そして、本発明は、常温などの低い温度における乾式処理によってハロゲン化(フッ化)してハロゲンを含む表面を有する被接合部材が得られるようにすることを目的としている。
さらに、本発明は、溶融することなく、またフラックスを使用せずに固体同士を接合することができる接合材を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る固体接合方法は、少なくとも一方がハロゲンを含む表面を有する第1の被接合部材と、この第1の被接合部材と同種あるいは異種の第2の被接合部材とを前記ハロゲンを含む表面において接触させ、両者を相互に接合することを特徴としている。
このように構成した本発明は、フッ素(F)や塩素(Cl)などのハロゲンが種々の元素と非常に結合しやすいため、半田やインジウムなどの接合材を用いずに同種または異種の2つの被接合部材を溶融することなく接合することができる。しかも、接合材などを溶融せずに接合できるため、接合時の位置合せや形状制御が容易で、形状を安定させることができ、フラックスを用いないためにスラッジを発生することもない。
被接合部材が表面にハロゲンを含んでいない場合、被接合部材の表面をハロゲン化処理することにより、ハロゲンを含む表面を容易に形成することができる。特に、フッ素は、他の元素との結合性が強いため、被接合部材をフッ化することが望ましい。
被接合材のフッ化処理は種々考えられるが、例えばF2、HF、COF2などの反応性フッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを被接合部材に接触させて行うことができる。これらの反応性フッ素系ガスは、水(水蒸気)と反応して活性なフッ素を生ずる。ここに、活性なフッ素とは、本発明の場合、フッ素系イオン、フッ素系ラジカル、フッ素単原子などをいう。
例えば、フッ素系ガスがフッ化水素(HF)である場合、本発明者の推測(仮定)によれば、次の反応によりフッ素系イオンを生ずる。
2HF+H2O→HF2 -+H3+
HFに代えてF2、COF2と水(水蒸気)とを混合した場合にも同様にフッ素系イオンが生成される。また、水蒸気に代えてアルコールの蒸気を使用してもよい。
フッ素の単原子は、水素原子の次に小さい。また、フッ素は、電気陰性度が最大であるところから反応しやすく、ほとんどの元素と直接反応してフッ化物を形成する。そして、空気中に放置された金属(例えば、錫)の表面は、100オングストローム(0.01μm)程度の酸化膜に覆われているが、金属表面に活性なフッ素が接触すると、そのフッ素が金属中に取り込まれ、あるものは金属酸化物(酸化錫)の中に、あるものはさらに深く金属中に取り込まれる。この金属中に取り込まれるフッ素の量、深さはフッ化処理の条件による。
金属酸化膜中のフッ素は、本発明者の仮説であるが、一部が酸素と入れ替わってフッ化金属、あるいはフッ化酸化金属となって安定となる。例えば、金属酸化膜が酸化錫(SnO)からなる場合、
SnO+H2O→Sn2++2OH-
2F-+H3++Sn2++OH-→SnF2+2H2
の化学反応を起こすものと思われる。
さらに、余ったフッ素あるいは酸化錫から放出された酸素は、一部が空間に放出されるが、ほとんどが金属(錫)中に拡散する。そして、フッ素は、金属結合を切って内部側に拡散して酸素の水先案内をする作用をなし、酸素も錫の内部まで入り込み、酸素を含む層がフッ化処理をする前よりも厚くなる。また、フッ化処理前は酸化層であった最表面は、フッ化によっていったん酸素の少ない状況になるが、フッ化した表面が水などと反応すると、金属中のフッ素と水との反応によってフッ素が抜けて水の酸素が取り込まれて再酸化される。このとき、フッ素が抜けた金属部は活性であるため、酸化の度合いがフッ化処理前よりも進むことになる。
このように、本発明においては、このような現象を利用して常温などの低い温度において被接合部材のフッ化をすることができるため、処理が容易であるとともに、装置の簡素化を図ることができ、フッ化処理の程度の制御も正確に行うことができ、容易に表面にフッ素を有する被接合部材を得ることができる。
反応性フッ素系ガスを生成する場合、大気圧またはその近傍の圧力下にあるフッ素系ガス(例えば、CF4、SF6など)と水蒸気との混合ガスを介した放電により生成すると、反応性フッ素系ガスであるHF、F2、COF2などを安定した安全はガスを使用して容易に生成することができる。
また、フッ化は、少なくともフッ素系ガス(例えば、HF、F2、COF2、CF4など)を含むガスを介した放電により活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を被接合部材に接触させて行ってもよい。このように構成すると、水(水蒸気)を使用しないためにフッ化を安定して行えるとともに、装置の腐食などを防ぐことができる。この場合、放電は、真空中で行ってもよいし、大気圧またはその近傍の圧力下で行ってもよい。
そして、フッ化は、放電領域中に被接合部材を配置して行うと、フッ化速度を向上することができる。また、被接合部材を放電領域外に配置し、放電領域で生成された活性なフッ素を被接合部材まで導いてフッ化を行えば、被接合部材が直接プラズマなどに晒されることがないため、高エネルギー粒子が被接合部材に衝突するのを避けることができ、プラズマなどによるダメージを防ぐことができる。
さらに、フッ化は、HF、F2、COF2、CF4などのフッ素系ガスに紫外線を照射して活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を被接合部材に接触させて行うことできる。このように構成すると、単にフッ素系ガスに紫外線を照射するだけで活性なフッ素を生成できるため、フッ化処理装置を比較的簡素にすることができる。また、被接合部材を反応性のフッ素系物質からなる蒸気(例えば、HF蒸気)に接触させて行うことができる。この場合も、反応性のフッ素系ガスを蒸発させるだけであるため、装置を簡素化することができ、またフッ化のためのランニングコストを低減できる。
そして、上記したいずれのフッ化処理も、フッ素を含む溶液に被接合部材を直接浸漬してフッ化するいわゆる湿式処理とことなり、いわゆる乾式処理であるために工程の簡略化が図れるとともに、取り扱いが容易で、フッ化処理の程度を高精度に制御することが可能となる。
第1の被接合部材と第2の被接合部材とを接合する場合、第1の被接合部材と第2の被接合部材とを重ねるとともに、接合部を両者の融点よりも低い温度に加熱して行うことができる。両被接合部材を単に重ねて加熱した状態で放置しておくことにより両者を接合できるため、接合工程が非常に簡単となる。ただし、接合にやや時間が掛かるとともに、接合力がやや弱い。
接合部の加熱は、大気中で行うことができる。従って、被接合部材を加熱できるもの、例えばヒータや赤外線加熱器などがあればよいため、装置や作業などを簡素化することができる。また、接合のための加熱は、不活性ガス中で行うことができる。不活性ガス中で加熱すれば、接合を妨げる酸素が接合部に入ることがないため、接合速度が速くなるとともに、接合強度を増大することができ、さらに酸化しやすい部材であっても容易に接合することができる。
接合は、加圧して各被接合部材間の接触圧を大きくして行うことが望ましい。加圧しながら接合すると、被接合部材間の接触面積が増大するとともに、両者の密接度が増すためにフッ素の移動、拡散が容易に行われ、常温においても容易に接合することができる。しかも、加圧による接合は、接合時間の短縮が図れるとともに、接合強度を向上することができる。そして、加圧は、大気圧中または不活性ガス中のいずれで行ってもよい。加圧を大気圧下において行なえば、ランニングコストを低減することができる。また、加圧を不活性ガス中で行うと、酸素の影響を受けないため、上記したように接合強度の向上と接合時間の短縮を図ることができる。加圧して接合する場合にも、接合部を各被接合部材のそれぞれの融点より低い温度に加熱してよい。これにより、両被接合部材間におけるフッ素の移動、拡散がより活発となり、接合時間の一層の短縮と接合強度の向上が図れる。
例えば、フッ化処理した錫と別の部材(例えば、銅)とを重ね合わせて加圧、加熱した場合、本発明者の仮説であるが、次のような現象が生じているものと思われる。
フッ化された錫の表面からフッ素が動き出して銅側に拡散する。そして、フッ素が抜けた部分の金属(錫)は活性であって、フッ素が抜けたことによって内部から表面への酸素の拡散を生じ、活性な錫原子の一部が酸素と結合して酸化度が上がる。しかし、活性な錫原子の一部は、結合手がフリーな状態にあると思われる。そして、銅側に拡散したフッ素は、銅表面の酸素と入れ替わり、銅表面の酸素が錫側に移動する。また、いったん銅側に移動したフッ素も一部が再び錫側に移る。このように、フッ素は、金属の酸素を追い出し、金属の結合手を切る作用をする。そして、錫と銅との未結合の原子が相互に相手側に拡散して金属同士の結合を行う。このような現象は、本発明者のトンネル型電子顕微鏡(TEM)による結晶格子の観察から、両金属の界面がCu6Sn5となっていることからわかる。
また、接合は、接触させた各接合部材に超音波振動を与えつつ行ってよい。超音波振動を与えると、接合部の温度上昇が図れるとともに、表面に酸化膜などが存在する場合、超音波振動によってこれを除去でき、接合時間の短縮、接合強度の向上が図れる。さらに、接合は、接触させた第1の被接合部材と第2の被接合部材とに電界を作用させて行なうことができる。被接合部材に電界を作用させると、被接合部材中でイオンとして存在しているハロゲンが電界によって強制的に移動させられるため、接合強度が増すとともに、加熱したり加圧しただけでは接合が困難な部材であっても接合が可能となる。
第1の被接合部材、第2の被接合部材は、いずれも錫やインジウム、銅などの金属(合金を含む)、ガラスやアルミナなどのセラミック、シリコンなどの半導体であってよく、これらを任意に組み合わせて接合することができる。被接合部材の少なくとも一方を錫または錫系合金(例えば、半田、SnAg、SnZnなど)とすると、他の部材との接合を良好に行うことができる。
また、本発明に係る固体接合方法は、接合する第1の被接合部材と第2の被接合部材との少なくとも一方の表面にフッ化物層を堆積し、このフッ化物層を介して前記第1、第2の被接合部材を相互に接合することを特徴としている。このように構成した本発明は、表面にフッ素を有しない被接合部材もフッ素物層を形成することにより、容易、確実に接合することができる。また、フッ化物層を堆積するため、被接合部材の材質をほとんど問題にする必要がない。
フッ化物層は、プラズマ発生用のアルゴン(Ar)に少量のCF4などのフッ素系ガスを使用し、金属ターゲットを用いスパッタリングにより、またはフッ化物からなる物質、例えばフッ化錫をターゲットとしたスパッタリングにより形成することができる。なお、フッ化物層は、フッ化錫または錫系合金のフッ化物であってよい。
このフッ化物層を設けた被接合部材の場合においても、前記したと同様に、各被接合部材を重ねて大気中または不活性ガス中で加熱して接合を行うことができる。この場合、加熱温度は、フッ化物層が溶融しない温度である。また、接合は、前記と同様に、大気中または不活性ガス中で加圧して行うことができる。この場合もフッ化物層が溶融しないような温度に加熱することが望ましい。そして、加圧して接合する場合、被接合部材に超音波振動を与えてよい。さらに、被接合部材に電圧を印加して接合するようにしてもよい。
上記の接合方法を実施するための固体接合装置は、被接合部材の表面にハロゲンを添加するハロゲン化処理部と、前記被接合部材の前記ハロゲン化処理部によりハロゲンの添加された面に第2の被接合部材を接触させて接合する接合処理部とを有することを特徴としている。このように構成した本発明は、表面にハロゲンを有しない被接合部材にハロゲンを含有させることができ、接合材を使用せずに被接合部材の接合を容易に行うことができる。
ハロゲン化処理部をフッ化処理部とすることにより、接合力が大きく、接合時間も短いより接合特性に優れた接合を行うことができる。そして、フッ化処理部は、フッ化処理される被接合部材を配置するフッ化処理室と、このフッ化処理室に反応性フッ素系ガスを供給するフッ化ガス供給手段と、フッ化処理室に水蒸気を供給する水蒸気供給手段とを有するように構成できる。フッ化ガス供給手段は、大気圧またはその近傍の圧力下にあるフッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを介した放電により反応性フッ素系ガスを生成する放電ユニットを有するようにしてよい。
また、フッ化処理部は、フッ化される被接合部材が配置されるとともに、大気圧またはその近傍の圧力下にある少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により活性なフッ素を生成して被接合部材に照射する放電ユニットを有するようにしてよい。さらに、フッ化処理部は、フッ化される被接合部材が配置されるフッ化処理室と、大気圧またはその近傍の圧力下にある少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により活性なフッ素を生成してフッ化処理室に供給する放電ユニットとを有する構成とすることができる。
そして、フッ化処理部は、フッ化処理される被接合部材が配置されるとともに、少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により活性なフッ素ガスを生成して被接合部材に照射する放電チャンバと、この放電チャンバ内を吸引して真空にする真空ポンプとを有するようにすることができる。また、フッ化処理部は、フッ素系ガスに紫外線を照射して活性なフッ素を生成する紫外線ランプなどの紫外線照射手段を設けることができる。さらに、フッ化処理部は、反応性のフッ化物蒸気を生成するフッ化蒸気供給手段と、フッ化される被接合部材を、フッ化蒸気供給手段が生成したフッ化物蒸気内を通過させる搬送手段とを有する構成にしてよい。
また、本発明に係る固体接合装置は、被接合部材の表面にフッ化物層を堆積するフッ化物層形成部と、前記被接合部材の前記フッ化物層形成部により形成された前記フッ化物層に第2の被接合部材を接触させて接合する接合処理部とを有することを特徴としている。このように構成した本発明は、フッ化に適さない被接合部材をも容易に接合することができる。フッ化物層形成部は、スパッタリング装置などからなるスパッタリング部を設けることができる。
接合処理部は、フッ化物層の溶融温度以下に加熱可能な加熱手段を設けることができる。また、接合処理部は、フッ化物層を介して接触させた前記第1の被接合部材と前記第2の被接合部材との間の接触圧力を大きくする加圧手段を設けてもよい。さらに、接合処理部は、接触させた被接合部材に超音波振動を与える振動発生手段を設けることができる。そして、接合処理部は、接触させた被接合部材に電界を作用させる電界発生手段を設けてもよい。また、接合処理部は、各被接合部材が配置されるとともに、不活性ガスが供給されるする接合チャンバを有するように構成できる。
そして、本発明に係る導体接合方法は、相互に接合する導体の少なくとも一方の表面をハロゲン化処理したのち、ハロゲン化処理した面において導体を相互に接触させて接合することを特徴としている。このように構成した本発明は、半田を用いずに接合することができ、いわゆる鉛フリーの接合を実現することができ、環境問題を生ずるようなことがない。また、半田などの接合材を溶融しないため、半導体相互の位置制御の精度を向上することができ、フラックスを使用しないためにスラッジを除去する手間を省くことができる。
ハロゲン化処理は、接合特性に優れたフッ化処理であることが望ましい。フッ化は、前記した固体接合の場合と同様にして行うことができる。すなわち、反応性フッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを導体に接触させて行ってよい。反応性フッ素系ガスは、大気圧またはその近傍の圧力下にあるフッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを介した放電により生成できる。
フッ化は、少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を導体に接触させて行うようにしてもよい。この場合、放電は、真空中または大気圧またはその近傍の圧力下で行うことができる。さらに、フッ化は、放電領域中に導体を配置して行ってもよいし、導体を放電領域外に配置し、放電領域で生成された活性なフッ素を導体に導いて行ってもよい。また、フッ化は、フッ素系ガスに紫外線を照射して活性なフッ素を生成し、活性なフッ素を導体に接触させて行うこともでき、導体を反応性のフッ素系物質からなる蒸気に接触させて行うこともできる。
そして、導体を接合する場合についても、前記の固体接合と同様にでき、接合する各導体を重ねるとともに、接合部を両者の融点よりも低い温度に加熱して接合することができる。接合部の加熱は、大気中であっても不活性ガス中であってもよい。さらに、接合は、加圧して各導体間の接触圧を大きくして行ってよい。加圧は、大気圧中でも不活性ガス中でもよい。そして、加圧した状態で接合部を各導体のそれぞれの融点より低い温度に加熱することが望ましい。また、接合は、接触させた導体に超音波振動を与えつつ行うことができる。さらに、接合は、接触させた各導体に電界を作用させて行ってよい。
また、本発明に係る導体接合方法は、接合する導体の少なくとも一方の表面にフッ化物層を堆積し、このフッ化物層を介して各導体を相互に接合することを特徴としている。この場合においても鉛フリーの導体接合を実現することができる。そして、フッ化物層は、固体接合の場合と同様にスパッタリングなどによって形成することができる。フッ化物層は、フッ化錫または錫系合金のフッ化物であることが望ましい。また、フッ化物層を介して導体を接合する場合、各導体を重ねるとともに、接合部をフッ化物層の融点よりも低い温度に加熱して行うことができる。接合部の加熱は、大気中でも不活性ガス中でもよい。
フッ化物層を介した導体の接合は、前記固体接合と同様に加圧して前記各導体間の接触圧を大きくして行うことがより望ましい。この加圧は、大気圧中または不活性ガス中で行ってよい。また、接合部をフッ化物層の融点より低い温度に加熱するとよい。さらに、接合は、接触させた各導体に超音波振動を与えつつ行うことができる。そして、接合は、接触させた各導体に電界を作用させて行ってもよい。
さらに、本発明に係るパッケージ方法は、電子部品の真空パッケージ等に用いるパッケージ方法であって、パッケージを構成する上蓋または下蓋の少なくとも一方の接合部をハロゲン化処理したのち、両者を接触させて接合することを特徴としている。このように構成した本発明は、半田やインジウムなどの接合材を溶融して接合する場合と異なり、上下の蓋の位置制御を正確に行うことができ、接合時の形状不安定を避けることができるとともに、スラッジを除去するような工程を必要としない。
ハロゲン化はフッ化であることが望ましい。そして、フッ化は、前記した固体接合の場合と同様に行ってよい。すなわち、フッ化は、反応性フッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを前記接合部に接触させて行うことができる。反応性フッ素系ガスは、大気圧またはその近傍の圧力下にあるフッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを介した放電により生成できる。
また、フッ化は、少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により生成した活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を接合部に接触させて行うことが可能である。放電は、真空中でも大気圧またはその近傍の圧力下でもよい。そして、フッ化は、放電領域中に上蓋または下蓋もしくは両者を配置して行ってもよいし、上蓋または下蓋もしくは両者を放電領域外に配置し、放電領域で生成された活性なフッ素を接合部まで導いて行ってもよい。さらに、フッ化は、フッ素ガスに紫外線を照射して活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を接合部に接触させて行うことができる。また、フッ化は、接合部を反応性のフッ素系物質からなる蒸気に接触させて行うことができる。
上蓋と下蓋との接合は、前記の固体接合と同様に行ってよい。すなわち、接合は、前記上蓋と前記下蓋とを重ねるとともに、接合部を両者の融点よりも低い温度に加熱して行うことができる。接合は、加圧して上蓋と下蓋との間の接触圧を大きくして行ってもよい。この場合、接合部を前記上蓋と前記下蓋とのそれぞれの融点より低い温度に加熱することができる。さらに、接合は、接触させた上蓋と下蓋とに超音波振動を与えつつ行うことも可能である。そして、接合は、接触させた上蓋と下蓋とに電界を作用させて行ってもよい。真空パッケージの場合、接合は、真空中で行う。
さらに、本発明に係るパッケージ方法は、電子部品の真空パッケージ等に用いるパッケージ方法であって、パッケージを構成する上蓋または下蓋の少なくとも一方の接合部にフッ化物層を堆積し、このフッ化物層を介して前記上蓋と前記下蓋とを相互に接合すること特徴としている。この場合にも前記と同様の効果を奏することができる。
フッ化物層は、スパッタリングなどによって形成できる。フッ化物層は、フッ化錫または錫系合金フッ化物であってよい。このフッ化物層を設けたときの接合は、前記した固体接合の場合と同様にでき、両者を重ねるとともに、接合部をフッ化物層の融点よりも低い温度に加熱して行える。さらに、接合は、加圧して接合部の接触圧を大きくして行ってもよい。この場合、接合部をフッ化物層の融点より低い温度に加熱してもよい。また、接合は、接触させた上蓋と下蓋とに超音波振動を与えつつ行ってよい。そして、接合は、接触させた前記上蓋と前記下蓋とに電界を作用させて行うことができる。
そして、本発明に係る接合材は、一対の固体間に介装して両者を接合する接合材であって、接合材の表面がフッ化されていることを特徴としている。このように構成した本発明は、接合材の表面に存在するフッ素が大きな反応性を有していてほとんどの元素と容易に結合するため、一対の被接合部材の間にサンドイッチ状に挟み込むことにより、接合材を溶融することなく一対の被接合材を接合して一体化することができる。従って、接合材を溶融したりフラックスを使用する必要がないため、各被接合部材の位置合わせを正確に行うことができるとともに、スラッジを洗浄、除去するような工程を省くことができる。
接合材は、錫または錫系合金を用いることができる。錫系合金としては、半田や錫−亜鉛(Sn−Zn)合金、錫−銀(Sn−Ag)合金などであってよい。特に、Sn−Zn合金やSn−Ag合金を使用することにより、環境問題を生ずる鉛を使用しない、いわゆる鉛フリーの接合材を実現することができる。
そして、上記の接合材を得るための製造方法は、一対の固体間に介装して両者を接合する接合材の製造方法であって、反応性フッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを接合材に接触させて接合材をフッ化することを特徴としている。反応性フッ素系ガスは、前記した固体接合の場合と同様に、大気圧またはその近傍の圧力下にあるフッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを介した放電により生成することができる。
さらに、本発明に係る接合材の製造方法は、一対の固体間に介装して両者を接合する接合材の製造方法であって、少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を接合材に接触させて接合材をフッ化することを特徴としている。この製造方法における放電も固体接合の場合と同様に真空中で行ってもよく、大気圧またはその近傍の圧力下で行ってもよい。そして、フッ化についても同様であって、放電領域中に接合材を配置して行うこともでき、接合材を放電領域外に配置し、放電領域で生成された活性なフッ素を接合材まで導いて行うこともできる。
また、本発明に係る接合材の製造方法は、一対の固体間に介装して両者を接合する接合材の製造方法であって、フッ素ガスに紫外線を照射して活性なフッ素を生成し、この活性なフッ素を前記接合材に接触させて接合材をフッ化することを特徴としている。
さらに、本発明の接合材の製造方法は、一対の固体間に介装して両者を接合する接合材の製造方法であって、接合材を反応性のフッ素系物質からなる蒸気に接触させてフッ化することを特徴としている。
これらの接合材の製造方法において、接合材は、錫または錫系合金であることが望ましい。
本発明に係る固体接合方法、固体接合装置、導体接合方法およびパッケージ方法並びに接合材および接合材の製造方法の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る固体接合装置の説明図である。図1において、接合装置10は、ハロゲン化処理部であるフッ化処理部12と接合処理部14とを有している。フッ化処理部12は、金属やガラス、セラミック等の被接合部材16の表面にフッ素(F)を添加するためのもので、被接合部材16の上面に反応性フッ素系ガスであるフッ化水素(HF)ガスを供給する反応室18を有している。そして、反応室18には、配管20、22を介してフッ化ガス供給手段となるHFガス供給部24と蒸気発生部(水蒸気供給手段)26とが接続してあり、HFガスと水蒸気との混合ガスが供給されるようになっている。また、被接合部材16は、コンベヤなどの搬送機28によって矢印30のように搬送され、反応室18の下部を通過し、HFガスと水蒸気との混合ガスにより接合面となる上面がフッ化される。
すなわち、被接合部材16がHFガスと水蒸気との混合ガスにさらされると、HFとH2Oとが被接合部材16の表面において、
2HF+H2O→HF2 -+H3+
の反応を生じ、フッ素系イオン(HF2 -)が被接合部材16と反応し、被接合部材16の表面をフッ化する。そして、被接合部材16が金属である場合、一般に空気中に置かれた金属は、表面が自然酸化膜によって覆われており、この酸化膜の酸素とHF2 -のFとの置換反応が生じて表面がフッ化され、またはフッ素と酸素の混合した組成を有する表面が形成される。
一方、被接合部材16がガラスなどの酸化物である場合、被接合部材16の表面において上記と同様の反応が生じてフッ化される。また、ガラス中に含まれるケイ素(Si)などのように、フッ素と反応して蒸気になるものに対しては、例えばSiF4となって蒸気になる場合、SiF2などのようにFが4個ついていないフッ化物の形で被接合材16の表面に残り、フッ化される。
なお、被接合部材16のフッ化処理を行なう場合、搬送機28を停止させるとともに、反応室18の下部を図示しないシャッタによって閉じ、混合ガスが外部に漏れないようにすることができる。
接合装置10は、移載ロボット32を有していて、フッ化された被接合部材16を接合処理部14に搬入できるようにしてある。接合処理部14は、チャンバ(接合チャンバ)34を備えていて、チャンバ34内に第1の被接合部材16aと第2の被接合部材16bとを重ねて配置するテーブル36が設けてある。また、テーブル36の上方には、押え板38が配設してあって、押え板38によてって被接合部材を押圧することにより、両被接合部材16a、16bをより密着(密接)させることができるようになっている。そして、第1の被接合部材16aと第2の被接合部材16bとは、相互に密着している接合面の少なくとも一方がフッ化処理部12によてフッ化してある。
この実施形態においては、テーブル36と押え板38とは、ガラスなどの誘電体によって形成してあり、テーブル36の下部と押え板38の上部とに電極40、42が設けてある。これらの電極40、42は、電界発生手段である直流電源44に接続してあって、必要に応じてテーブル36、押え板38を介して被接合部材16a、16bに電界を作用させることができるようにしてある。なお、被接合部材16a、16bのいずれか一方または両方がガラスやセラミックなどの絶縁体である場合、テーブル36、押え板38それ自体を電極としてもよい。
電極40の上部には、絶縁材を介して加圧手段であるシリンダ46が配設してあって、このシリンダ46を作動させることにより、接合面の接触圧力を高めることができるようにしてある。また、チャンバ34の下部には、加熱手段としてのヒータ48が設けてあって、被接合部材の接合部を各被接合部材16a、16bの溶融温度以下の所定温度に加熱制御できるようにしてある。さらに、チャンバ34は、配管50を介してアルゴン(Ar)ガス供給部(不活性ガス供給手段)52が接続してあり、チャンバ34内をアルゴンガス雰囲気にすることができるようにしてある。
上記のごとく構成した実施の形態の作用は、次のとおりである。
接合装置10は、図示しない制御装置によって制御されており、搬送機28に配置された被接合部材16は、搬送機18によってフッ化処理部12の反応室18に搬送される。反応室18には、HFガス供給部24からのHFガスと、蒸気発生部26からの水蒸気との混合ガスが供給されており、この混合ガスが被接合部材16に接触して被接合部材16の表面をフッ化する。
フッ化された被接合部材16は、搬送機28にり反応室18から搬出され、移載ロボット32によって接合処理部14のチャンバ34内に搬入されてテーブル36の上に配置される。そして、テーブル36の上に第1の被接合部材16aと第2の被接合部材16bとが重ねて配置される。重ねて配置された被接合部材16a、16bは、相互に接触している接合面の少なくとも一方がフッ化処理されていてフッ素を含んでいる。
その後、チャンバ34は、Arガス供給部52からArガスが供給され、ほぼ1気圧のArガス雰囲気にされる。また、シリンダ46が作動して押え板38を下降させて被接合部材16a、16bを加圧し、被接合部材16a、16bがヒータ48によって融点以下の所定の温度(例えば、150℃)に加熱される。被接合部材16a、16bが所定の温度になると、加熱、加圧状態を一定時間保持して第1の被接合部材16aと第2の被接合部材16bとを接合する。
この接合のメカニズムは、次のように考えられる。被接合部材のフッ素と結合している表面部の原子は、他の被接合部材と接触することによりフッ素との結合が切れ、他の被接合部材の原子と結合することにより接合が行なわれる。そして、結合が切れたフッ素は、フッ素を取り込みやすい被結合部材の内部に拡散して行くものと思われる。
なお、この加圧接合の際には、必要に応じて、すなわち被接合部材がフッ素の移動しにくい物質である場合、電極40、42間に電圧を印加して被接合部材16a、16bに電界を作用させ、イオンとなっているフッ素を電界によって強制的に移動させることにより接合させたり、接合強度の向上を図ってもよい。
このように、第1実施の形態においては、被接合部材をフッ化して表面にフッ素を添加し、このフッ素を含んだ面において2つの被接合部材を接触させて接合することにより、従来必要としていた半田やインジウムなどの接合材を用いることなく接合することができる。しかも、溶融せずに固体状態のまま接合するため、接合時の位置合せ、形状制御が容易で、形状を安定させることができるとともに、接合後の見た目の仕上りを良好にでき、フラックスを使用しないためにスラッジの問題も生じない。また、被接合部材16のフッ化処理をいわゆる乾式によって行っているため、装置を簡素にできるとともに、取り扱いが容易であり、フッ化処理を短時間で精度よく行うことができる。
そして、実施の形態においては、第1の被接合部材16aと第2の被接合部材16bとを加圧して両者の接触圧を高めているため、より接触面積が増大して密着性が良好となって接合強度を上げることができる。また、被接合部材16a、16bを加熱しているため、接合の際の反応が速やかに行なわれ、接合強度が増すとともに接合時間を短縮することができる。さらに、チャンバ34内をArガス雰囲気にして接合しているため、接合の障害となる酸素が存在しないために容易、確実に接合することができる。
なお、前記の実施形態においては、加圧、加熱して接合する場合について説明したが、両被接合部材を重ねた状態にし、適度の温度、例えば150℃に加熱してそのまま放置しておいても接合することができる。また、前記実施の形態においては、大気圧において接合する場合について説明したが、真空中で接合してもよい。さらに、前記実施の形態においては、反応性フッ素系ガスがHFガスである場合について説明したが、反応性フッ素系ガスはF2やCOF2などであってもよい。そして、前記実施形態においては、HFと水(水蒸気)とを反応させてフッ化する場合について説明したが、水蒸気の代わりにメチルアルコールやエチルアルコールなどのアルコール蒸気を用いてもよい。
そして、前記実施の形態においては、不活性ガスとしてArガスを用いた場合について説明したが、不活性ガスはヘリウムやネオンなどの希ガスまたは窒素ガスであってもよい。さらに、前記実施の形態においては、ハロゲンがフッ素である場合について説明したが、ハロゲンは、接合する相手の相性や表面状態により、塩素やヨウ素、臭素などであってもよい。特に、アルミニウムなどは、フッ素より塩素の方が望ましいと思われる。被接合部材の塩化は、被接合部材をHClガスに晒すことなどにより容易に行なうことができる。そして、被接合部材に最初からフッ素などのハロゲンが含まれている場合には、ハロゲン化処理を必要としない。また、前記実施の形態においては、加圧手段がシリンダである場合について説明したが、加圧手段はカム機構やモータなどであってもよい。
図2は、第2実施形態の説明図であって、バッチ式のフッ化処理方法の一例を示したものである。図2において、フッ化処理部12は、被接合部材16を配置するフッ化処理室53を有している。このフッ化処理室53には、配管20を介してHFガス供給部24が接続してあり、フッ化処理室53にHFガスを供給できるようにしてある。また、配管20には、水蒸気供給手段を構成している水バブリングユニット54に一端を接続した蒸気配管56が接続してあり、配管20を流れるHFガスに水蒸気を添加できるようにしてある。そして、水バブリングユニット54には、希釈空気供給部58からの希釈空気を水バブリングユニット54に導入する空気導入管60が接続してある。
このように構成した第2実施形態は、希釈空気供給部58からの希釈空気を空気導入管60によって水バブリングユニット54の水中に導入し、希釈空気に水蒸気を含ませる。希釈空気に含まれた水蒸気は、蒸気配管56を介して配管20を流れるHFガスに添加され、HFガスと空気と水蒸気との混合ガスとなってフッ化処理室53に供給される。このフッ化処理室53に供給される混合ガスは、例えばHFガスの濃度が1%であり、相対湿度が20%である。フッ化処理室53に供給されるHFガスは、水蒸気が添加されたことにより、前記したようにHF2 -を生じ、被接合部材16をフッ化する。なお、HFガスに代えてF2、COF2を用いてもよい。
図3は、第3実施の形態の説明図であって、反応性フッ素系ガスの生成方法の一例を示したものである。図3において、反応性フッ素系ガスを生成するフッ化用ガス生成部62は、原料ガス供給部64と水バブリングユニット66と放電ユニット68とを有している。原料ガス供給部64からのCF4やSF6などの安定なフッ素系ガスは、原料配管70を介して水バブリングユニット66に流入する。そして、水バブリングユニット66と放電ユニット68とは、供給配管72によって接続しあり、水バブリングユニット66において水蒸気を含ませたCF4を放電ユニット68に供給できるようにしてある。
放電ユニット68は、放電チャンバ74内に一対の放電電極76、78を備えていて、電極76、78間を大気圧状態のCF4と水蒸気との混合ガスが通過するようになっている。そして、放電ユニット68は、一方の放電電極76に高周波電源80が接続してあり、他方の放電電極78が接地してあって、電極76、78間に高周波電圧を印加することにより、混合ガスを介した気体放電を発生することができるようにしてある。
このように構成した第3実施の形態においては、原料ガス供給部64からの原料ガスであるCF4に水バブリングユニット66において水蒸気が添加され、大気圧状態で放電ユニット68に導入される。放電ユニット68は、高周波電源80によって放電電極76、78間に例えば13.56MHzの高周波電圧が印加されており、CF4 と水蒸気(H2O)との混合ガスを介して放電し、CF4と水蒸気とを反応させてHFやF2、COF2などの反応性フッ素系ガスを生成する。この生成された反応性フッ素系ガスは、反応しなかったCF4 とともにフッ化処理室53に送られ、被接合部材16と接触してこれをフッ化する。
図4は、第4実施の形態の説明図であって、フッ化処理部の他の実施形態を示したものである。この実施形態に係るフッ化処理部82は、放電ユニット84を有している。放電ユニット84は、高周波電源80に接続した高周波電極86と、接地した接地電極88とを備えていて、接地電極88にフッ化すべき被接合部材16を配置するようになっている。また、高周波電極86と接地電極88との間には、少なくともフッ素系ガスを含んだ放電ガス90が大気圧状態で供給されるようになっている。放電ガス90としては、例えばアルゴン(Ar)に数%〜十数%のCF4 を添加したものや、これに酸素を添加したもの、さらには前記した反応性フッ素系ガスなどであってよい。
このように構成した第4実施形態においては、高周波電極86と接地電極88との間に放電ガス90を導入するとともに、高周波電源80によって高周波電極86と接地電極88との間に高周波電圧を印加し、気体放電92を発生させる。これにより、放電ガス90は活性化され、フッ素系イオンやフッ素系ラジカル、単体のフッ素原子などの活性なフッ素が生成される。これらの活性なフッ素は、放電領域内の接地電極88の上面に配置してある被接合部材16に衝突してこれをフッ化する。
図5は、第5実施形態の説明図であって、さらに他のフッ化処理方法を示したものである。この実施形態に係るフッ化処理部94は、放電ユニット96の高周波電極98が高周波電源80に接続してある。そして、高周波電極98には、絶縁体100を介して接地電極102が取り付けてある。接地電極102は、高周波電極98の両側または高周波電極98を囲むように設けてあり、下端が高周波電極98の下端より下方に位置している。
接地電極102は、下端部が内側に絞り込まれて照射口104を形成している。また、接地電極102の上部には、導入口106が設けてあって、接地電極102の内部に放電ガス90を導入できるようにしてある。そして、接地電極102下端部と高周波電極98の下端部との間が気体放電を生ずる放電領域108となっていて、放電領域108において生成された活性なフッ素110を照射口104から下方に吹き出すことができるようにしてある。また、放射口104の下方には、被接合部材16を配置するテーブル112が配設してある。
このように構成した第5実施形態においては、高周波電源80によって高周波電極98と接地電極102との間に高周波電圧を印加し、導入口106から接地電極102の内部に放電ガス90を導入すると、放電領域108において放電ガス90を介した気体放電が発生する。そして、放電ガス90に含まれているフッ素系ガスは、気体放電により活性なフッ素となり、照射口104から下方の被接合部材16に照射され、被接合部材16をフッ化する。
この第5実施形態においては、被接合部材16を放電領域108の内部に配置していないため、高エネルギーの電子やイオンが衝突するのを避けることができ、放電によるダメージを防ぐことができる。なお、被接合部材16を放電ユニット96に隣接して設けたフッ化処理室に配置し、放電領域108において生成された活性なフッ素110をキャリアガスなどによってフッ化処理室に導いてフッ化処理をしてもよい。
図6は、第6実施形態の説明図である。この実施の形態に係るフッ化処理部112は、フッ素系のガスを紫外線によって分解してフッ化を行うもので、被接合部材16を配置するフッ化処理室114を有しており、フッ化処理室114の上部に紫外線照射手段である紫外線ランプ116が設けてある。この紫外線ランプ116は、フッ化処理室112に導入されたHF、F2、COF2、CF4などのフッ素系ガスに紫外線118を照射し、フッ素系ガスを活性なフッ素に分解して被接合部材16をフッ化する。この実施の形態においては、紫外線ランプ116によってフッ素系ガスを分解するようにしているため、装置を簡素に形成することができ、取り扱いも容易となる。しかも、被接合部材16に紫外線が照射されるため、反応を促進するための加熱効果がある。
図7は、第7実施の形態の説明図である。この第7実施形態は、真空放電により活性なフッ素を生成してフッ化処理をする例を示したものである。図7において、フッ化処理部120は、真空チャンバ122の内部に被接合部材16を配置するテーブル124が設けてある。そして、真空チャンバ122の内部には、テーブル124の上方に電源126に接続した放電電極128が配設してあり、接地したテーブル124と放電電極128との間に気体放電を発生させ、真空プラズマ129を生成できるようになっている。また、真空チャンバ122には、真空ポンプ130が接続してあって、内部を所定の圧力、例えば10Pa〜0.1Paに減圧できるようになっている。さらに、真空チャンバ122には、原料ガス供給部132が接続してあって、少なくともCF4などのフッ素系ガスを含んだ放電ガスを真空チャンバ122内に導入できるようになっている。
この第7実施形態においては、真空ポンプ130によって真空チャンバ122の内部を吸引し、10Pa〜0.1Pa程度に減圧、維持する。そして、原料ガス供給部132からフッ素系ガスを含む放電ガスを導入して真空プラズマ129を発生させる。真空プラズマ129により生じた活性なフッ素は、テーブル124上の被接合部材16に衝突し、これをフッ化する。
なお、被接合部材16を放電領域(真空プラズマ129の領域)の外部に配置し、真空プラズマ129によって生成した活性なフッ素を被接合部材16が配置された場所に導いてフッ化処理を行ってもよい。このようにすると、高エネルギー粒子が被接合部材16に衝突するのを避けることができ、プラズマによる被接合部材のダメージを防止することができる。
図8は、第8実施の形態を示したものである。この実施形態に係るフッ化処理部132は、処理液槽134の内部に、例えばHF水などのフッ素を含む処理液136が貯溜してあって、反応性に富んだフッ素系の物質からなる蒸気138を発生させることができるようにしてある。また、処理液槽134の上部には、搬送装置140が配設してある。そして、被接合部材16は、搬送装置140に吊り下げられた状態で、または図8に示したように、接合面を下にした状態で搬送装置に装着され、矢印142のように搬送装置140によって搬送されて蒸気138内を通過してフッ化される。なお、処理槽134の上部には、被接合部材16を通過させる切り欠きが設けてある。この実施形態においては、反応性の蒸気138を発生させて被接合部材16に接触させるだけであるため、装置の簡素化が図れる。
図9は、第9実施形態の説明図であって、スパッタリングによりフッ化物層を形成する実施形態の説明図である。図9において、スパッタリング部であるスパッタ装置144は、いわゆる高周波スパッタ装置であって、真空チャンバ146に真空ポンプ130が接続してあって、真空チャンバ146内を高真空にできるようにしてある。そして、真空チャンバ146の内部には、錫などの金属ターゲット148を配置するターゲット電極150が設けてある。このターゲット電極150は、コンデンサ152を介して高周波電源154に接続してある。また、ターゲット電極150の上方には、接地した被接合部材16を配置できるようにしてある。さらに、真空チャンバ146には、ターゲット148に衝突させるイオンを生成するとともに、被接合部材16の表面にフッ化物層156を形成するためのArにわずかのCF4を添加した混合ガスを導入できるようにしてある。
このように構成した第9実施の形態においては、真空チャンバ146の内部に金属ターゲット148と被接合部材16とを配置し、真空チャンバ146内を高真空にする。そして、真空チャンバ146の内部にArとCF4との混合ガスを導入してターゲット電極150に高周波電圧を印加すると、Arが電離してプラズマが発生し、Arイオンが金属ターゲット148に衝突して金属原子をはじきだす。この原子は、上方の被接合部材16の面に付着する。この際、CF4は、Arの電離などにより生じた電子の衝突により分解され、CF4から分離したフッ素が被接合部材16に付着した金属中に取り込まれ、フッ化物層156を形成する。
このようにしてフッ化物層156が形成された被接合部材16は、表面をフッ化処理された前記の被接合部材16と同様な方法によって、フッ化処理された他の接合部材16やフッ化物層156を有する他の接合部材16、または何の処理もされていない被接合部材と接合することができる。
なお、前記実施の形態においては、ターゲットが錫などの金属ターゲット148である場合について説明したが、フッ化錫などのフッ化物をターゲットとしてもよい。この場合は、Arにフッ素系のガスを添加する必要がない。また、ターゲットとして錫−亜鉛合金、錫−銀合金などの合金を用いてもよい。そして、前記実施の形態においては、高周波スパッタリングによってフッ化物層156を形成する場合について説明したが、高速低温スパッタリングなどの他のスパッタリング法によってフッ化物層を形成してもよい。
図10(1)は、本発明の実施に形態に係る接合材の断面を模式的に示したものである。この接合材160は、基体162が任意の形状に形成された板状または箔状の錫からなっていて、表面全体にフッ化層164が形成されている。このフッ化層164は、前記したフッ化処理によって形成される。
このように構成した接合材160による固体の接合は、図10(2)に示したように、一対の被接合部材16c、16dの間に接合部材160をサンドイッチ状に配置する。これらの被接合部材16c、16dは、金属、セラミックまたは半導体などから任意に選択することができる。そして、前記と同様にして重ねた被接合部材16c、16dを加圧したり、被接合部材及び接合材160の融点以下に加熱することにより、各被接合部材16c、16dを接合材160を介して接合して一体化する。従って、接合材160を溶融せずに、またフラックスを使用せずに接合することができるところから、被接合部材16c、16dの位置合わせ、形状制御を正確に行うことができ、スラッジの除去作業などを省略することができる。また、鉛を含んでいないところから、環境問題を生ずるようなことがない。
なお、図10(2)に示したように、被接合部材16c、16dをシリンダ46によって加圧して接合する場合、被接合部材16c、16dを重ねて配置するベース166に振動発生手段である超音波振動子168を設け、被接合部材16c、16dに超音波振動を与えるようにしてもよい。超音波振動を与えながら接合すると、接合部の温度が上昇して接合時間の短縮が図れるばかりでなく、被接合部材16c、16dに形成されている酸化膜が振動による摩擦によって剥離され、容易、確実に接合できるとともに、接合強度を向上することができる。そして、この超音波振動を与えつつ接合する方法は、前記した被接合部材をフッ化処理した場合にも適用することができる。
なお、前記実施の形態においては、基体162が錫である場合について説明したが、基体162は半田や錫−亜鉛合金、錫−銀合金などの錫系合金であってもよい。そして、基体として錫−亜鉛合金、錫−銀合金などの鉛を含まない合金を使用することにより、いわゆる鉛フリーの接合材を提供することができる。
(第1実施例)
被接合部材として板状の6−4半田(錫60%、鉛40%)と幅5mm、長さ20mm、厚さ0.2mmの銅板を用い、図2に示したフッ化処理部12を用いて半田の表面をフッ化処理した。半田のフッ化処理は、半田を室温のフッ化処理室53に配置したのち、処理室53の内部をHFの濃度が1%、相対湿度20%の雰囲気にし、半田をこの雰囲気に1分間晒した。その後、フッ化処理した半田を1時間ほど空気中に保管したのち、フッ化処理した半田と未処理の銅板とを重ね、加熱と加圧とが接合強度に及ぼす影響を測定した。図11は、その結果を示したものである。
図11の縦軸は接合部の剪断強度(単位:kgf)であり、右下がりの軸は接合圧力(単位:kgf/mm2)を示し、右上がりの軸は接合温度(接合部温度)、すなわち被接合部材を加熱した温度(単位:℃)を示している。いずれの場合も接合時間は5分間である。剪断強度は、接合した被接合部材の接合面に沿って被接合部材に力を作用させ、両者が分離される力を測定している。
図11から明らかなように、接合圧力を大きくするほど、また接合温度を高くするほど接合力が大きくなり、接合部の剪断強度が増大する。なお、図11に示した接合圧力0.05kgf/mm2は、半田と銅板とを単に重ねて放置した状態であって、接合圧力が自重によるものであることを示している。
(第2実施例)
第1実施例と同様にフッ化処理した6−4半田と、なにも処理をしていない上記と同様の銅板とを重ねて大気中に配置し、接合温度と接合時間とに対する接合強度の関係を調べた。図12は、その結果を示したものである。図12の横軸は接合時間(単位:min)を示し、縦軸は接合部の剪断強度(単位:kgf)を示している。そして、図12中に示した温度と圧力は、接合温度と接合圧力を示している。
図12に示されているように、一般的に接合時間が長いほど接合強度(剪断強度)は向上する。なお、フッ化処理した半田と処理していない銅板とを重ね、25℃の大気中において2.00kgf/mm2の接合圧力を加えて90分間保持して接合処理をしたが、接合強度、すなわち剪断強度は0であって、接合することができなかった。
(第3実施例)
図13は、雰囲気の接合強度に与える影響を調べたもので、第1実施例と同様のフッ化処理した半田と処理をしていない銅板とを用い、両者を150℃に加熱して保持し、重ね合わせて空気中と不活性ガスである窒素雰囲気中とにおける接合処理をしたものである。いずれも接合時間は5分間である。
接合圧力が自重である0.05kgf/mm2の場合、空気中での接合は接合強度を示す剪断強度が1kgf程度であるが、窒素雰囲気中で接合すると剪断強度が2kgf程度と、空気中における接合より接合強度が倍になる。ただし、接合圧力を1kgf/mm2にした場合、空気中における接合の方が窒素雰囲気中における接合よりもやや大きな剪断強度を示した。
(第4実施例)
被接合部材として幅5mm、長さ20mm、厚さ0.2mmの銅板に8−2半田(錫80%、鉛20%)をメッキしたものと、幅26mm、長さ76mm、厚さ1.2mmのソーダガラスを用い、これらをHFガス濃度1%、湿度20%の雰囲気に1分間さらしてフッ化処理した。次に、図1に示した接合処理部14と同様の装置のソーダガラスからなるテーブル36と、ソーダガラスからなる押え板38の間に被接合部材(この実施例においては、基板という場合がある)である銅板とソーダガラスとを配置し、基板に30kgf/cm2以下の圧力(必ずしもこの圧力に限らない)をかけるとともに、チャンバ34内を大気圧のArガスで満たした。その後、ヒータ48に通電して室温の25℃から徐々に昇温し、15分間で基板を150℃に加熱した。そして、この加熱、加圧状態をさらに45分間維持し、60分間で接合処理を終了した。
このようにして処理された両基板は強固に接合され、強制的に剥がすと、ガラス面に半田の跡が残った。なお、基板を150℃に昇温後、加熱、加圧状態を5分間維持した場合にも、充分な接合強度を得ることができた。また、銅板またはソーダガラスのみをフッ化処理して同様の条件で接合した場合にも、両者を強固に接合することができた。この場合、フッ素が錫に取り込まれやすいところから、ソーダガラスの方をフッ化処理することが望ましいと考えられる。
さらに、被接合部材として板状の8−2半田とソーダガラス、半田と半田とを上記のように接合処理をしたところ、良好に接合することができた。特に、半田は、軟質であるため、加圧することにより密着性が高まり、強固に接合することができる。そして、錫が60%の半田を用いた場合にも同様に接合することができた。また、半導体集積回路用のシリコン基板と半田との両方をフッ化処理し、上記と同様にして接合したところ、良好に接合することができた。さらに、シリコン基板と半田とのいずれか一方をフッ化処理した場合も同様であった。
また、導体である半田と銅とを上記のように接合した場合、半田を溶かして接合したときよりも接合抵抗が低下した。これは、実施例の接合は、半田による接合に比較して金属間化合物の層が薄いことによる。
セラミックからなるパッケージ下蓋の接合部に設けられた接合材(半田またはインジウム)をフッ化処理したのち、下蓋に電子部品を配置して真空容器内に搬入し、下蓋に上蓋を被せて両者を加熱、加圧したところ、上蓋と下蓋とが接合され、電子部品を真空パッケージすることができた。なお、真空パッケージを必要としない場合には、大気中や不活性ガス中で行なってもよい。また、加熱または加圧だけで上下の蓋を接合してもよい。
(第5実施例)
上記の各実施例に示した以外の各種の被接合部材(物質)をフッ化処理し、フッ化処理していない各種の物質と接合できるかを調べた。図14は、その結果を示したものである。フッ化処理の条件は第1実施例と同様であり、接合条件は被接合部材を150℃に加熱し、2kgf/mm2の接合圧力を与えて5分間保持した。図14中の「○」印は接合されたことを示し、「−」は接合試験を行っていないことを示している。
これらの結果から、金属、セラミックおよび半導体から任意に選択した一対の被接合部材のいずれか一方をフッ化処理することにより、接合材を用いずに、また両者を溶融することなく相互に接合できることがわかる。
以上に説明したように、本発明によれば、表面にハロゲンを含んだ被接合部材を接触させることにより、接合材を用いることなく同種または異種の2つの接合部材を溶融させずに接合させることができ、接合時の位置合せや形状制御が容易で、形状を安定させることができ、フラックスを使用しないためにスラッジが発生することもない。
また、本発明に係る接合材は、反応性に富んだフッ素を表面に有しているため、溶融することなく、またフラックスを用いずに被接合部材を接合することができる。
本発明の第1実施の形態に係る接合装置の説明図である。 本発明の第2実施形態の説明図であって、バッチ式のフッ化処理方法の一例を示す図でる。 本発明の第3実施形態の説明図であって、反応性フッ素系ガスの生成方法の一例を示す図である。 本発明の第4実施形態の説明図であって、フッ化処理部の他の実施形態を示す図である。 本発明の第5実施形態の説明図であって、さらに他のフッ化処理方法を示す図である。 本発明の第6実施形態の説明図であって、他のフッ化処理部を示す図である。 本発明の第7実施形態の説明図であって、真空放電によるフッ化処理の説明図である。 本発明の第8実施形態の説明図であって、蒸気によるフッ化処理の説明図である。 スパッタリングによりフッ化物層を形成する実施形態の説明図である。 (1)は本発明の実施の形態に係る接合材の断面図の模式図であり、(2)はその接合材による接合方法の説明図である。 接合圧力と接合温度と接合部剪断強度との関係を示す図である。 接合温度と接合時間と接合部剪断強度との関係を示す図である。 空気中における接合の剪断強度と窒素雰囲気中における接合の剪断強度とを比較する図である。 フッ化処理した各種部材と処理をしていない各種部材との接合の可否を示す図である。
符号の説明
10…接合装置、12…ハロゲン化処理部(フッ化処理部)、14…接合処理部、16…被接合部材、16a…第1の被接合部材、16b…第3の被接合部材、18…反応室、24…フッ化ガス供給手段(HFガス供給部)、26…水蒸気供給手段(蒸気発生部)、34…接合チャンバ(チャンバ)、44…電界発生手段(直流電源)、46…加圧手段(シリンダ)、48…加熱手段(ヒータ)、52Ar…ガス供給部、53…フッ化処理室、54…水蒸気供給手段(水バブリングユニット)、58…希釈空気供給部、62…フッ化用ガス生成部、64…原料ガス供給部、66…水バブリングユニット、68…放電ユニット、82…フッ化処理部、84…放電ユニット、90…放電ガス、92…気体放電、94…フッ化処理部、96…放電ユニット、108…放電領域、110…活性なフッ素、112…フッ化処理部、114…フッ化処理室、116…紫外線照射手段(紫外線ランプ)、120…フッ化処理部、122…真空チャンバ、129…真空プラズマ領域、132…フッ化処理部、134…処理液槽、136…処理液、138…蒸気、140…搬送手段(搬送装置)、144…スパッタリング部(スパッタ装置)、148…金属ターゲット、156…フッ化物層、160…接合材、162…基体、164…フッ化層、166…振動発生手段(超音波振動子)。

Claims (5)

  1. 一対の固体間に介装して両者を接合する接合材であって、接合材の表面がフッ化されていることを特徴とする接合材。
  2. 一対の固体間に介装して両者を結合する接合材の製造方法であって、反応性フッ素系ガスと水蒸気との混合ガスを接合材に接触させて接合材をフッ化することを特徴とする接合材の製造方法。
  3. 一対の固体間に介装して両者を接合する接合材の製造方法であって、少なくともフッ素系ガスを含むガスを介した放電により活性なフッ素を生成し、前記活性なフッ素を接合材に接触させて接合材をフッ化することを特徴とする接合材の製造方法。
  4. 一対の固体間に介装して両者を結合する接合材の製造方法であって、フッ素系ガスに紫外線を照射して活性なフッ素を生成し、前記活性なフッ素を前記接合材に接触させて接合材をフッ化することを特徴とする接合材の製造方法。
  5. 一対の固体間に介装して両者を結合する接合材の製造方法であって、接合材を反応性のフッ素系物質からなる蒸気に接触させてフッ化することを特徴とする接合材の製造方法。
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