JP2000005885A - 固体接合方法およびその装置 - Google Patents

固体接合方法およびその装置

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JP2000005885A
JP2000005885A JP17316298A JP17316298A JP2000005885A JP 2000005885 A JP2000005885 A JP 2000005885A JP 17316298 A JP17316298 A JP 17316298A JP 17316298 A JP17316298 A JP 17316298A JP 2000005885 A JP2000005885 A JP 2000005885A
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Koji Aoki
康次 青木
Yoshiaki Mori
義明 森
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接合材を使用せずに大型の被接合部材を接合
できるようにする。 【解決手段】 電解処理部30のクエン酸溶液38に銅
板からなる一方の被接合部材42を挿入して陰極とし、
電解処理によって酸化膜を薄くする。その後、電解処理
した被接合部材42を第1洗浄部のエチルアルコール5
2と第2洗浄部48のアセトン60とによって洗浄し、
接合処理部34のベース板84上に配置する。錫からな
る他方の被接合部材62をフッ化処理部32のフッ化処
理室64内に配置し、放電ユニット68において生成し
たフッ化ガスによって接合面をフッ化したのち、被接合
部材42に重ねて配置する。その後、接合処理室78を
窒素雰囲気にし、シリンダ80を作動して被接合部材4
2、62を加圧するとともに、ラバーヒータ82によっ
て被接合部材42、62をそれぞれの融点より低い温度
に加熱して両者を接合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体同士を相互に
接合する固体接合方法に係り、特に少なくとも一方の被
接合部材が金属である場合の接合に好適な固体接合装置
およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属同士を接合する場合、一般に
半田やインジウムなどの接合材を溶融し、溶融した接合
材の濡れ性を利用して相互に接合するようにしている。
このような接合材を溶融して接合する方法は、比較的簡
易に行うことができるが、接合材を溶融するために相互
に接合する被接合部材の正確な位置合わせが困難である
とともに、接合部の見栄えも悪い。また、接合材を溶融
するために高温に加熱する必要があるところから、被接
合部材(母材)を保護して酸化を防止するためにフラッ
クスを使用するところから、接合後にスラッジを除去し
なければならないことも多い。そこで、近年、図5に示
したような方法によって金属の表面酸化膜を除去したの
ち、接合する方法が提案されている。
【0003】図5に示した酸化膜の除去方法は、金属か
らなる被接合部材10を真空容器12内に設けた接地電
極14の上に配置し、真空容器12を真空ポンプ16に
よって排気して真空にする。その後、真空容器12の内
部にアルゴンガス(Ar)を導入するとともに、接地電
極14と、接地電極14に対向して設けてある高周波電
極18との間に、高周波電源20により高周波電圧を印
加し、真空容器12内にアルゴンガスによるプラズマを
発生させ、このプラズマを被接合部材10の接合面に照
射して酸化膜を除去(いわゆる逆スパッタ)する。酸化
膜を除去した被接合部材10は、真空容器12から取り
出され、同様にして酸化膜を除去した他の金属と重ね、
加熱、加圧して接合材を用いずに相互に接合する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した真空中におい
てプラズマを照射して酸化膜を除去して接合する方法
は、接合材を用いないために被接合部材の位置制御が容
易となる。しかし、被接合部材を真空プラズマによって
処理するため、真空容器や真空ポンプなどの高価な機器
を必要としてコストの増大を招くばかりでなく、大型の
被接合部材(ワーク)を真空プラズマによる処理をする
ことができない。また、真空プラズマにより処理した被
接合部材10は、空気中に取り出すと空気中の酸素によ
って容易に酸化されるため、プラズマ処理から接合処理
までを極めて短時間で行わなければならず、取り扱いや
管理が容易でない。
【0005】本発明は、前記従来技術の欠点を解消する
ためになされたもので、接合材を使用せずに大型の被接
合部材を接合できるようにすることを目的としている。
【0006】また、本発明は、処理した被接合部材の取
り扱いや管理を容易にできるようにすることを目的とし
ている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係る固体接合方法は、相互に接合する被
接合部材の少なくとも一方を電解処理して接合面の酸化
膜を薄くしたのち、前記接合面に同種または異種の他方
の被接合部材を接触させて相互に接合することを特徴と
している。
【0008】このように構成した本発明は、接合の妨げ
となる被接合部材の表層部(接合面)の酸素を少なくす
ることができるため、半田やインジウムなどの接合材を
使用せずに被接合材を接合することができ、真空処理し
たと同等の接合強度を得ることができる。しかも、真空
中における処理と異なり、大気中において電解質溶液に
被接合部材を浸漬して電気分解する方法であるため、装
置の簡素化と低コスト化とを図ることができるととも
に、大きな被接合部材の処理が可能で、接合材を使用せ
ずに容易に接合することができる。
【0009】電解処理をする電解質溶液は、クエン酸水
溶液を用いることができ、被接合部材を陰極にして電解
処理をすると、被接合部材の表面酸化膜が減少する。こ
のため、電解処理から接合までに多少の時間を要したと
しても接合を容易に行うことができ、処理した被接合部
材の取り扱い、管理が容易となる。また、他方の被接合
部材の接合面をフッ化処理することにより、大きな接合
力を得ることができるとともに、金属とセラミックな
ど、金属と金属以外の部材との接合が可能となる。
【0010】そして、加圧して各被接合部材の接触圧を
大きくするとともに、接合部を各被接合部材の融点より
低い温度に加熱して接合を行うと、各被接合部材間の接
触面積が大きくなって密接度を高めることができるとと
もに、また加熱により接合面の反応が活発となって接合
時間の短縮が図れ、接合強度を大きくすることができ
る。そして、接合を窒素ガスなどの不活性ガス中で行う
と、接合部に酸素が侵入するのを防止することができ、
接合時間の短縮と接合強度の向上を図ることができる。
さらに、被接合部材に超音波振動を与えつつ接合を行う
ようにすると、摩擦により接合部の温度が上昇するとと
もに、酸化膜が剥離するなどしてより容易、確実に接合
することができる。
【0011】上記の固体接合方法を実施するための本発
明に係る固体接合装置は、相互に接合する被接合部材の
少なくとも一方の接合面を還元する電解処理部と、この
電解処理した被接合部材の接合面に同種または異種の他
方の被接合部材を接触させて相互に接合する接合処理部
とを有することを特徴としている。
【0012】さらに、本発明に係る固体接合装置は、相
互に接合する被接合部材の少なくとも一方の接合面を還
元する電解処理部と、前記被接合部材と同種または異種
の他方の被接合部材の接合面をフッ化処理するフッ化処
理部と、前記各被接合部材を前記接合面を介して接触さ
せて相互に接合する接合処理部とを有することを特徴と
している。
【0013】これらの固体接合装置の接合処理部には、
被接合部材を加圧する加圧手段と、接合部を加熱する加
熱手段とを設け、接合時間の短縮と接合強度の向上を図
ることができる。さらに、接合部処理には、被接合部材
の接合部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を
設けてよい。これにより、より容易、確実に被接合部材
の接合をすることができる。また、接合処理部には、加
圧した被接合部材に超音波振動を与える振動発生手段を
設けることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係る固体接合方法および
その装置の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳
細に説明する。
【0015】図1は、本発明の実施の形態に係る固体接
合装置の説明図である。図1において、固体接合装置
は、電解処理部30とフッ化処理部32と接合処理部3
4とを備えている。
【0016】電解処理部30は、電解槽36に電解質溶
液であるクエン酸溶液38が貯溜してある。また、クエ
ン酸溶液38には、陽極となる白金板40と、陰極とな
る金属板(この実施形態においては銅板)からなる一方
の被接合部材42とが挿入してある。そして、白金板4
0は、直流電源44のプラス側に接続してあり、被接合
部材42は接地してあって、被接合部材42の接合面を
電解処理により還元し、接合面の酸化膜を薄くすること
ができるようになっている。
【0017】電解処理部30の近くには、第1洗浄部4
6と第2洗浄部48とが設けてある。第1洗浄部46
は、洗浄槽50に洗浄液としてエチルアルコール52が
貯溜してあって、電解処理を終了した被接合部材42を
エチルアルコール52に浸漬し、クエン酸溶液38を洗
浄できるようになっている。また、洗浄槽50には、攪
拌機54が設けてあって、エチルアルコール52を攪拌
して迅速な洗浄が行えるようにしてある。そして、第2
洗浄部48は、第1洗浄部46と同様に形成してあっ
て、攪拌機56を設けた洗浄槽58にアセトン60が洗
浄液として貯溜してある。
【0018】一方、フッ化処理部32は、錫からなる他
方の被接合部材62を配置するフッ化処理室64が設け
てある。そして、フッ化処理室64には、処理ガス配管
66を介してフッ化ガス生成手段となる放電ユニット6
8が接続してある。放電ユニットは、図示しない放電電
極が高周波電源69に接続してあって、この高周波電源
69による高周波電圧によって気体放電を発生し、詳細
を後述するフッ化ガスを生成してフッ化処理室64に供
給する。また、放電ユニット68には、原料ガス管70
を介して原料ガス源72が接続してあり、放電ユニット
68にフッ化ガスの原料となるCF4 を供給できるよう
にしてある。さらに、原料ガス管70には、希釈ガス管
74を介して希釈ガス源76が接続してあって、希釈ガ
スである窒素ガスを原料ガス管70に流入させることが
できるようになっている。
【0019】接合処理部34は、接合処理室78を有し
ていて、この接合処理室78に加圧手段となるシリンダ
80が配設してある。そして、シリンダ80のロッドに
は、加熱手段となるラバーヒータ82を介して被接合部
材42を配置するベース板84が取り付けてある。ベー
ス板84は、アルミニウムなどの熱伝導率のよい金属か
らなっていて、上部に配置された被接合部材42、62
にラバーヒータ82の熱を伝達し、接合部を両者の溶融
点より低い所定の温度に加熱できるようにしてある。ま
た、接合処理室78の上部には、ベース板84に対向さ
せて固定板86が設けてあり、シリンダ80を作動させ
てロッドを伸長することにより、被接合部材62の上面
を固定板86に圧接することにより、被接合部材42、
62を加圧できるようになっている。さらに、接合処理
室78には、配管88を介して不活性ガス供給手段とな
る不活性ガス源90が接続してあって、不活性ガス源9
0から不活性ガスである窒素ガス(N2 )が供給される
ようにしてある。そして、接合処理室78には、排気ポ
ンプ92が接続してあって、内部を排気できるようにし
てある。
【0020】このように構成した実施の形態による接合
は、次のようにして行われる。まず、一方の被接合部材
42である銅板を電解処理部30において電解処理し、
接合面の酸化膜を薄くする。すなわち、被接合部材42
を陰極としてクエン酸溶液38に挿入し、白金板40に
プラスの直流電圧を印加してクエン酸溶液38を介した
電気分解処理を行い、被接合部材42を還元して接合面
に形成されている自然酸化による酸化膜を薄くする。そ
して、電解処理を終了したならば、被接合部材42を電
解槽36から取り出して第1洗浄部46のエチルアルコ
ール52に浸漬し、攪拌機54によってエチルアルコー
ル52を攪拌して洗浄する。これにより、被接合部材4
2に付着したクエン酸溶液が速やかにエチルアルコール
52に溶け込む。
【0021】次に、第1洗浄部46における洗浄が終了
したならば、被接合部材42を第2洗浄部48のアセト
ン60に浸漬し、第1洗浄部46における洗浄と同様に
して洗浄を行う。そして、この第2洗浄部48における
洗浄が終了したならば、アセトン60から被接合部材4
2を引き上げ、アセトンを蒸発させて接合処理部34の
ベース板84上に接合面を上にして配置する。
【0022】一方、錫からなる他方の被接合部材62
は、フッ化処理部32のフッ化処理室64内に配置す
る。そして、原料ガス源72から原料ガス管70を介し
て原料ガスであるCF4 を放電ユニット68に供給す
る。この際、希釈ガス源76からの窒素ガスを原料ガス
管70に流入させ、放電ユニット68に供給する原料ガ
スを希釈する。
【0023】放電ユニット69は、原料ガスが通過する
電極間に高周波電源69による高周波電圧が印加されて
いて、CF4 と窒素ガスとの混合ガスを介した気体放電
を発生し、フッ化水素(HF)などの反応性のフッ素系
ガスを生成し、反応性フッ素系ガスを含むフッ化ガスを
処理ガス配管66によってフッ化処理室64に供給す
る。フッ化処理室64に流入したフッ化ガスは、反応性
フッ素系ガスが被接合部材62の接合面をフッ化する。
そして、フッ化処理した被接合部材62は、接合面を下
にして接合処理部34に搬入した被接合部材42の上に
配置する。
【0024】その後、不活性ガス源90から接合処理室
78に窒素ガスを供給して接合処理室78内を窒素雰囲
気にし、接合部への酸素の侵入を防止するとともに、シ
リンダ80を作動して被接合部材42、62を加圧す
る。さらに、ラバーヒータ82に通電してベース板84
を介して被接合部材42、62の接合部を、それぞれの
溶融温度より低い温度に加熱する。そして、この加熱、
加圧状態を所定時間保持して被接合部材42、62を相
互に接合する。
【0025】このように、実施の形態においては、電解
処理によって被接合部材42の酸化膜を薄くしているた
め、真空プラズマによる処理より装置の簡素化が図れ、
設備費や処理コストを低減することができる。しかも、
真空中におけるプラズマ処理と異なって大気中における
電解処理であるため、被接合部材42が大きなものであ
っても容易に酸化膜を薄くする処理を行うことができ
る。また、電解処理によって酸化膜を薄くしているた
め、電解研磨と同様の効果が得られて接合面を平滑にす
ることができ、接合性を向上することができる。さら
に、被接合部材42は、クエン酸溶液38による電解処
理で酸化膜が減少しているため、電解処理後に直ちに接
合処理をしなくとも接合することが可能で、取り扱いや
管理が容易となる。
【0026】そして、被接合部材42、62を接合する
際に、被接合部材42、62を加圧しているため、両者
の接触面積が大きくなって密接度が向上し、接合時間の
短縮が図れるとともに、接合強度を向上することができ
る。また、接合時に接合部を加熱しているため、接合面
の反応が活発となって接合速度、接合強度を高めること
ができる。さらに、接合処理室78を窒素雰囲気にして
いるため、接合部に接合の障害となる酸素が侵入せず、
接合を確実に行うことができるとともに、接合強度の向
上が図れる。
【0027】なお、前記実施の形態においては、電解処
理して酸化膜を薄くする被接合部材42が銅である場合
について説明したが、電解処理するものは金属であれば
アルミニウムなどの純金属や各種合金であってもよい。
また、前記実施の形態においては、フッ化処理した被接
合部材が錫である場合について説明したが、錫以外の金
属(合金も含む)やガラスやアルミナなどのセラミック
であってもよい。そして、前記実施の形態においては、
電解質溶液がクエン酸溶液38である場合について説明
したが、電解質溶液はこれに限定されず、酸化膜を減少
できるものであればよい。さらに、前記実施の形態にお
いては、不活性ガスが窒素ガスである場合について説明
したが、不活性ガスはアルゴンガスなどの希ガスであっ
てもよい。
【0028】図2は、他の実施形態の要部説明図であ
る。図2において、接合処理部34は、固定板86に振
動発生手段である超音波振動子94が設けてあって、シ
リンダ82によって加圧した被接合部材62、42に超
音波振動を与えることができるようにしてある。他の構
成は、前記実施形態と同様である。
【0029】このように構成した本実施の形態は、シリ
ンダ80を作動させて被接合部材62の上面を固定板8
6に圧接して被接合部材62、42を加圧するととも
に、ラバーヒータ82によって両者の接合部を加熱し、
さらに超音波振動子94を駆動して被接合部材62、4
2に超音波振動を与える。これにより、被接合部材6
2、42は、接合部が摩擦により温度が上昇するととも
に、接合面の酸化膜が摩擦によって除去されるなどして
両者の接合時間の短縮と、接合強度の向上とを図ること
ができる。
【0030】
【実施例】《実施例》従来の真空プラズマによる酸化膜
の除去処理と、上記した実施の形態による電解処理によ
り酸化膜を薄くした場合とにおける接合強度の比較を行
った。使用した試料は、プラズマ処理または電解処理を
する被接合部材が幅5mm、長さ20mm、厚さ0.2
mmの銅板であり、他方の被接合部材が幅2mm、長さ
7mm、厚さ1mmの錫である。そして、銅板からなる
一方の被接合部材の何ら処理をしていないものと、図1
に示した電解処理部30、または図5に示した真空プラ
ズマ処理装置によりプラズマ処理をしたものとを用意す
るとともに、これらの試料と、他方の被接合部材である
錫の何も処理していないもの、フッ化処理をしたものと
を組み合わせた接合試験を行い、それぞれの接合強度を
測定した。
【0031】電解処理の条件は、次のとおりである。ま
ず、蒸留水にクエン酸を溶解して0.2重量%のクエン
酸濃度を有する電解質溶液を作り、電解質溶液に上記し
た銅板を挿入して接地するとともに、陽極となる白金板
に+10Vの直流電圧を3分間印加し、銅板を電解処理
による還元を行った。次に、銅板を電解槽36から取り
出して第1洗浄部46のエチルアルコール52に浸漬
し、攪拌しながら10秒間洗浄したのち、さらに第2洗
浄部48のアセトン60に浸漬して攪拌しながら10秒
間洗浄した。その後、洗浄した銅板をアセトン60から
取り出してアセトンを蒸発させた。
【0032】また、銅板のプラズマ処理は、次のように
して行った。真空容器12の接地電極14上に処理する
銅板を配置し、真空容器12内を真空ポンプ16によっ
て排気して1.5×10-2 Torrの真空に保持し
た。そして、真空容器12内にアルゴンガスを100S
CCM(気体の標準状態で100cc/min)を導入
するとともに、高周波電極18と接地電極14との間に
13.56MHzの高周波電圧を2分間印加し、アルゴ
ンプラズマを発生させて銅板の接合面に照射して酸化膜
を除去した。
【0033】一方、他方の被接合部材である錫のフッ化
処理は、次のようにして行った。図1に示したフッ化処
理室64に上記の錫を配置するとともに、放電ユニット
68にCF4 と窒素ガスとを供給し、これらの混合ガス
を介した放電によってフッ化水素ガスを含むフッ化ガス
を生成してフッ化処理室64に導入した。導入したフッ
化ガスのフッ化水素ガスの濃度は1.0%であり、相対
湿度は10%、フッ化ガスの流量は1SLM(気体の標
準状態で1l/min)であって、処理時間は5分間で
ある。
【0034】接合処理は、次のようにして行った。図1
に示した窒素雰囲気中の接合処理室78のベース板84
に銅板を配置し、その上に錫を重ねたのち、シリンダ8
0を作動して両者を1.0kgf/mm2 の圧力で加圧
し、ラバーヒータ82によって銅板と錫とを150℃に
加熱した。加熱プロファイルは、25℃から150℃に
15分間かけて昇温したのち、150℃に5分間維持し
た。その後、シリンダ80のロッドを下降させて加圧圧
力を零にし、接合処理室78を大気開放して銅板と錫と
を冷却した。
【0035】なお、上記の電解処理またはプラズマ処理
をしてから接合処理をするまでの放置時間は、いずれも
10分間である。また、接合強度は、図3に示したよう
な方法によって剪断力(単位:kgf)を測定して求め
た。すなわち、ベッド100の上に設けた試料保持具1
02に接合体104の銅板106を固定し、錫108を
試料保持具102の面から突出させる。そして、ベッド
100に立設した支柱112に保持させた荷重計114
の下端に押し具116を設け、この押し具116を矢印
118のように荷重計114と一体に銅板106の接合
面に沿って下降させて錫108を押圧した。そして、銅
板106と錫108との接合部が剪断破壊するまで荷重
を増大させ、破壊時の荷重を接合強度としている。
【0036】図4は、その測定結果を示したものであ
る。なお、図4において逆スパッタ処理と記載した試料
は、真空プラズマ処理によって酸化膜を除去した処理を
示している。また、接合強度0は、接合体104を試料
保持具102に固定したときに、錫108が銅板106
から脱落しことを示している。
【0037】図4から明らかなように、銅板106を電
解処理した場合、錫108がフッ化処理されていない未
処理状態であっても接合することができ、0.8kgf
の接合強度を示した。これに対して、銅板106を真空
プラズマ処理した場合、錫108が未処理であると接合
することができなかった。また、錫108をフッ化処理
した場合、何ら処理をしていない銅板でも接合すること
ができ、その接合強度は4.3kgfであった。そし
て、フッ化処理した錫108と真空プラズマ処理をした
銅板106との接合強度は4.0kgfであって、フッ
化処理した錫と何も処理をしていない銅板とを接合した
場合と同程度の接合強度であった。これに対して、銅板
106を電解処理してフッ化処理した錫108と接合す
ると、接合強度が8.0kgfとなり、銅板106をプ
ラズマ処理した場合の2倍の接合強度を示した。すなわ
ち、電解処理をして接合すると、真空プラズマ処理をし
た場合より大幅に接合強度を向上させることができる。
【0038】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、電解処理により接合の妨げとなる被接合部材の表層
部の酸素量を少なくすることができるため、半田やイン
ジウムなどの接合材を使用せずに被接合材を接合するこ
とができ、真空処理したと同等の接合強度を得ることが
できる。しかも、真空中におけるプラズマ処理と異な
り、大気中において電解質溶液に被接合部材を浸漬して
電気分解することにより、装置の簡素化と低コスト化と
を図ることができるとともに、大きな被接合部材の処理
が可能で、接合材を使用せずに容易に接合することがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る固体接合装置の説明
図である。
【図2】他の実施形態の要部説明図である。
【図3】実施例における接合強度の測定方法の説明図で
ある。
【図4】実施例の接合した被接合部材の組み合わせと接
合強度とを示す図である。
【図5】従来の真空プラズマによって酸化膜を除去する
方法の説明図である。
【符号の説明】
30 電解処理部 32 フッ化処理部 34 接合処理部 38 クエン酸溶液 42 被接合部材 46 第1洗浄部 48 第2洗浄部 52 エチルアルコール 60 アセトン 62 被接合部材 64 フッ化処理室 68 放電ユニット 72 原料ガス源 76 希釈ガス源 78 接合処理室 80 加圧手段(シリンダ) 82 加熱手段(ラバーヒータ) 90 不活性ガス供給手段(不活性ガス源) 94 振動発生手段(超音波振動子)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相互に接合する被接合部材の少なくとも
    一方を電解処理して接合面の酸化膜を薄くしたのち、前
    記接合面に同種または異種の他方の被接合部材を接触さ
    せて相互に接合することを特徴とする固体接合方法。
  2. 【請求項2】 前記電解処理をする電解質溶液は、クエ
    ン酸水溶液であることを特徴とする請求項1に記載の固
    体接合方法。
  3. 【請求項3】 前記他方の被接合部材は、接合面がフッ
    化処理してあることを特徴とする請求項1または2に記
    載の固体接合方法。
  4. 【請求項4】 前記接合は、加圧して前記各被接合部材
    の接触圧を大きくするとともに、接合部を各被接合部材
    の融点より低い温度に加熱して行うことを特徴とする請
    求項1ないし3のいずれかに記載の固体接合方法。
  5. 【請求項5】 前記接合は、不活性ガス中で行うことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の固体接
    合方法。
  6. 【請求項6】 前記接合は、前記被接合部材に超音波振
    動を与えつつ行うことを特徴とする請求項4または5に
    記載の固体接合方法。
  7. 【請求項7】 相互に接合する被接合部材の少なくとも
    一方の接合面を還元する電解処理部と、この電解処理し
    た被接合部材の接合面に同種または異種の他方の被接合
    部材を接触させて相互に接合する接合処理部とを有する
    ことを特徴とする固体接合装置。
  8. 【請求項8】 相互に接合する被接合部材の少なくとも
    一方の接合面を還元する電解処理部と、前記被接合部材
    と同種または異種の他方の被接合部材の接合面をフッ化
    処理するフッ化処理部と、前記各被接合部材を前記接合
    面を介して接触させて相互に接合する接合処理部とを有
    することを特徴とする固体接合装置。
  9. 【請求項9】 前記接合処理部は、前記各被接合部材を
    加圧する加圧手段と、接合部を加熱する加熱手段とを有
    することを特徴とする請求項7または8に記載の固体接
    合装置。
  10. 【請求項10】 前記接合部処理は、前記被接合部材の
    接合部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を有
    していることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか
    に記載の固体接合装置。
  11. 【請求項11】 前記接合処理部は、加圧した前記被接
    合部材に超音波振動を与える振動発生手段を有している
    ことを特徴とする請求項7ないし10のいずれかに記載
    の固体接合装置。
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