JP2007067285A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】貫通孔を設けた正極集電体とその表面に設けた正極炭素材とからなる正極シートと、貫通孔を設けた負極集電体とその表面に設けた負極炭素材とからなる負極シートとを、セパレータを介して捲回または積層した素子と、からなる電気二重層キャパシタにおいて、素子を捲回または積層した後で、負極炭素材料にリチウムをあらかじめ吸蔵させるために、素子の巻き内部へのリチウムの移動を容易にさせることを課題としている。
【解決手段】正極炭素材、負極炭素材とも長さ方向のほぼ同じ位置に溝部や分割部を設けたことを特徴とする電気二重層キャパシタを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電気二重層キャパシタに関する。特に、負極の電極がリチウムを吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする電極とし、リチウム塩を含んだ電解液からなる電気二重層キャパシタに関する。
セパレータを挟んで対向する電極と、電解液とを容器中に収容した電気二重層キャパシタの中で、正極の電極が活性炭を主体とする分極性電極であり、負極の電極がリチウムを吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする電極とし、リチウム塩を含んだ電解液からなる電気二重層キャパシタは、エネルギー密度、最大電圧の向上と、高温DC負荷特性の向上のために、負極炭素材料にリチウムを予め吸蔵させることか知らせている。
電極素子が、ボタンタイプのような単板の積層構造であれば、乾燥雰囲気中で、単に乾燥負極炭素材料にリチウムシートを挟む方法でも可能だが、電極素子が、負極シートと正極シートとを、セパレータを介して捲回または多層積層する素子の場合、特に多層積層の場合ではつづら折りの場合にような連続折りの場合では、乾燥雰囲気中で捲回または積層するには設備投資が大きいという問題を生じる。
そのために、捲かれて乾燥した後の素子の負極シート端面に、リチウム箔を接触させる方法(特開平8-162161号公報)や、集電体に貫通孔を設け、捲回した素子の外周側面にリチウム箔を設ける方法(国際公開WO98/33227号公報)が行われていた。
また、リチウムを含んだ電解液の素子内移動を容易にするために、負極シートの表面に有機電解液の浸透方向(捲回した場合は負極シートの長さ方向とは直角方向)に電解液案内溝を設ける方法が行われていた(特開平9−298057号公報)。

特開平8-162161号公報 国際公開WO98/33227号公報 特開平9−298057号公報
しかしながら、設備投資を抑えために、素子を捲回または積層した後に、リチウムを負極炭素材料に吸蔵させる場合で、特に、細長の素子の場合、素子端面からの素子内部へのリチウムの移動は容易ではなく、また、太径の素子の場合、素子外周側面から素子中心部へのリチウムの移動は容易ではない。
本発明は、素子を捲回または積層した後で、負極炭素材料にリチウムを予め吸蔵させるために、素子の捲き内部へのリチウムの移動を容易にさせることを課題としている。
本発明は上記の課題を解決するために、貫通孔を設けた正極集電体とその表面に設けた正極炭素材とからなる正極シートと、貫通孔を設けた負極集電体とその表面に設けた負極炭素材とからなる負極シートとを、セパレータを介して捲回または積層した素子と、からなる電気二重層キャパシタにおいて、前記正極炭素材、前記負極炭素材とも長さ方向のほぼ同じ位置に溝部や分割部を設けたことを特徴とする電気二重層キャパシタを提供するものである。
また、貫通孔を設けた正極集電体とその表面に設けた正極炭素材とからなる正極シートと、貫通孔を設けた負極集電体とその表面に設けた負極炭素材とからなる負極シートとを、セパレータを介して積層した素子と、からなる電気二重層キャパシタにおいて、前記正極炭素材、前記負極炭素材とも、ほぼ同じ位置に溝部や分割部を設けたことを特徴とする電気二重層キャパシタを提供するものである。
また、前記捲回した素子の前記溝や前記分割箇所にリチウムを接触させることを特徴とする上記の電気二重層キャパシタを提供するものである。
本発明により、捲回または積層素子の分割箇所や溝がほぼ同じ位置に重なっているために、負極炭素材に予め吸蔵させたいリチウムイオンは、炭素材間の隙間を通して容易に素子内部まで移動しやすくなり、負極炭素材に吸蔵しやすくなる。
本発明の電気二重層キャパシタは、負極炭素材へのリチウム吸蔵するタイプで、正極電極とその集電体からなる正極シートと、負極電極とその集電体からなる負極シートを、セパレータを介して捲回または積層された素子と、素子に含浸される電解質と、集電体から外部に引き出される引出電極と、ケースから成り立っている。
捲回された素子とは、正極シートと、負極シートとをセパレータを介して単純に捲回したものだが、積層された素子とは、正極シートと、負極シートとをセパレータを介してつづら折りにしたタイプや、切断された正極シートと負極シートとを、セパレータを介して一枚ずつ積み上げた枚様タイプのもののほか、つづら折りにした電極シートにセパレータを介して切断された対極電極シートを挟み込んだタイプなども含まれる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、捲回される前の負極シート1と正極シート2を示している。
負極シート1は、Liイオンを吸蔵、脱離しうる炭素材料に化学的方法及び/または電気化学的方法でLiイオンを吸蔵させた炭素質材料の負極電極2と貫通孔のある金属の負極集電体3からなる。
負極集電体3は、リチウムと合金を形成せず、負極側の使用条件で安定な材料であればよく、好ましくは開孔率が80〜99.5%のニッケル、銅またはこれらの合金が使用される。
負極シート1を製造するには、好ましくは、海綿状のシート状多孔質金属に、炭素材料に結合材、溶媒を加えて混練したスラリを塗布等によって気孔中に注入し、負極材料と集電体とを一体化する。ローラなどにより圧着して均一な厚さと密着を得る場合もある。
正極シート5は、正極電極6と貫通孔のある金属の正極集電体7からなり、正極電極6は、活性炭を主体とし、活性炭の他に電子伝導性を向上させる導電材が含まれる。
正極集電体7は電気化学的、化学的に耐食性のある導電体であればよい。正負集電体は、貫通孔を設けたものであればよく、貫通エッチング箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、メタル粉末焼結シートなどを用いる。
正負極シートには、正または負電極に分割部8や溝部を設けたものを用いる。
分割部8とは、捲回した素子の場合、正負極シートの長さ方向に設けた正または負電極のない部分であり、電極が分割された部分で、ライン状になっていて、所々消失してもかまわない。
ライン幅は0.1mmから2mm程度だが、大型コンデンサであれば1mmから5mm程度でもかまわない。
溝部とは、捲回した素子の場合、正負電極シートの長さ方向に設けた正または負電極のへこみ部分であり、ライン状になっていて所々消失してもかまわない。へこみは深いほど好ましい。
ライン(溝)幅は10μmから1mm程度だが、大型コンデンサであれば1mmから5mm程度でもかまわない。
分割部8や溝部は、集電体上に正負電極を設けるときに形成されていてもよいが、後から取り除いたり、押し込み治具で押し込んだりしてもかまわない。塗布後ローラなどにより圧着した場合、正負電極の流動性の部分的な不均一性により、分割部や溝部が部分的に消失しする場合もある。
また、枚様タイプの積層した素子の場合、分割部8や溝部の、縦横斜めの方向の区別はないし、形状の制約もないが、ほぼ同じ形でほぼ同じ位置に重ねる必要がある。分割部8や溝部が、点状に分散していてもかまわないが、分割部8や溝部の製作容易さと重ね合わせの容易さより、捲回した素子の場合のような構成が好ましい。
また、リチウムを含んだ電解液の素子内移動を容易にするために、正負極シートの表面に、正負極シートの長さ方向とは直角方向に電解液案内溝を適宜設けるのはかまわない。
電解液は、リチウム塩を含み、これら正極と負極の特性を能力一杯発揮させるため、分解電圧の高い非水系溶媒が使用される。また、電解液中の電解質はカチオンがLi+ であるリチウム塩に限られる。
収納素子は、正極と負極との間に、例えば微多孔膜等のセパレータを介在させ、捲回または積層し、外装体に収納後に電解液を注液する。
外装体はステンレスやアルミなどの金属製缶でもよい。
負極材への吸蔵に用いるリチウムは、箔、線、棒材形状のものを利用する。
リチウムの吸蔵方法は、従来からの、負極表面にリチウム金属箔を貼り付け、あるいは表面に真空蒸着やスパッタリングによってリチウム薄膜を形成した負極とセパレータと正極を容器に予め収め、電解液を注液して局部電池を作製し吸蔵する方法や、予めLiIなどによって化学的に所定量のリチウムを負極に吸蔵する方法、好ましくは局部電池を作成する方法であり、更に好ましくは、表面にリチウム金属箔を貼り付けた負極によって局部電池を作製する方法を用いるが、特に、素子が細長の場合、図2(図2(a)は側面図、図2(b)は断面図、リードは省く)に示すように、素子外周面において、負極シート1をセパレータ9よりはみ出させ、溝部8または分割部にリチウム線10貼り付ける方法が好ましい。
正極を次のように作製した。すなわち、フェノール樹脂系の水蒸気賦活処理活性炭粉末(比表面積2000m2 /g、平均粒径5μm、以下、活性炭Aとする)80重量%、導電助剤(導電性カーボンブラック、以下、CBとする)10重量%、ポリフッ化ビニリデン(以下、PVDFとする)10重量%からなる混合物にN−メチル−2ピロリドン(以下、NMPとする)を添加して混練しスラリを得た。このスラリを厚さ110μm、350V耐圧で静電容量0.1μF/cm、目付け量5mg/cm2 、貫通エッチングアルミ集電体のシートにストライプ状に塗布し、3分割シート電極を得た。分割部の幅は1mmとした。100℃で1時間乾燥した。乾燥後、ロールプレスし幅10cm、長さ81cm、厚さ0.25mmの正極とした。
捲回型電気二重層キャパシタの正極の単極容量は600F、すなわち2Vあたりの容量は336mAhであった。
次に負極を次のように作製した。炭素材料はX線回折による[002]面の面間隔0.373nm、粒径19μm、の難黒鉛性炭素材料(以下、炭素材料Aとする)を負極に用い95重量%、PVDF5重量%からなる混合物にNMPを重量比で3倍量加え、撹拌混合し、炭素材料AがPVDFのNMP溶液に分散したスラリを得た。
このスラリを目付け量5mg/cm2で、厚さ35μm、開孔率70%の銅エキスパンドのシート(以下、Cu箔とする)に、正極と同じ位置に分割部がくるように、ストライプ状に塗布し3分割シート電極を得た。80℃で1時間乾燥させた後、ロールプレスし幅10cm、長さ95cm、厚さ0.155mm、分割部の幅は1mmの負極とした。
この圧縮された負極の炭素材料Aの担持量は5.4mg/cm2 であった。
正極側はアルミリードをアルミ集電体未塗工部に超音波溶接で接続、負極側はニッケルリードを用いたCu箔未塗工部に超音波溶接で接続。一対のセパレータを挟んだ構造で捲回素子を作製した。 この後、各リードとキャップを超音波接続した。
これらをアルゴン雰囲気のグローブボックスに移し、負極の分割部でリチウム金属線を接触させた状態で、1.5mol/LのLiPF6 を溶かしたエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの容積比1:3の電解液をガラス缶容器中に満たして注入し捲回素子に含浸した。その後温度40℃で31時間放置した。
この加温操作で長さ方向に分割した負極電極に必要充電量より過剰なリチウムがイオン化した状態で負極電極に化学的に取り込まれた。この負極が脱離しうるLiイオン量は890mAhであり、負極総充電量あたり充電量50%であった。
ガラス缶容器から捲回素子を取り出し、リチウム線を剥がし、素子をAl容器中に入れ、レーザー溶接で封口した。
本発明の捲回される前の正極シートと負極シートの一例を示す模式図である。 本発明の捲回された素子の一例を示す側面図と断面図である(リードは省く)。
符号の説明
1…負極シート、2…負極電極、3…負極集電体、4…リード、5…正極シート、6…正極電極、7…正極集電体、8…溝部、9…セパレータ、10…リチウム線、11…負極または正極の電極シート、12…捲き止めテープ。

Claims (3)

  1. 貫通孔を設けた正極集電体とその表面に設けた正極炭素材とからなる正極シートと、貫通孔を設けた負極集電体とその表面に設けた負極炭素材とからなる負極シートとを、セパレータを介して捲回した素子と、からなる電気二重層キャパシタにおいて、前記正極炭素材、前記負極炭素材とも、長さ方向のほぼ同じ位置に溝部や分割部を設けたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  2. 貫通孔を設けた正極集電体とその表面に設けた正極炭素材とからなる正極シートと、貫通孔を設けた負極集電体とその表面に設けた負極炭素材とからなる負極シートとを、セパレータを介して積層した素子と、からなる電気二重層キャパシタにおいて、前記正極炭素材、前記負極炭素材とも、ほぼ同じ位置に溝部や分割部を設けたことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  3. 前記素子の前記溝や前記分割箇所にリチウムを接触させることを特徴とする請求項1または2の電気二重層キャパシタ。
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