JP2007066615A - 直接火炎型固体酸化物燃料電池による発電装置 - Google Patents

直接火炎型固体酸化物燃料電池による発電装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、直接火炎に曝される固体酸化物燃料電池のひび割れ発生を抑制できる固体酸化物燃料電池利用の発電装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 固体酸化物燃料電池Cは、板状の固体酸化物基板1、該基板の一方の面に形成されたカソード電極層2、反対側の面に形成されたアノード電極層3を有し、熱良導材料の蓄熱体5が固体酸化物基板の周縁に配設される。発電開始時に、蓄熱体が供給火炎の一部を吸熱し、固体酸化物燃料電池の温度上昇を抑え、更に吸熱した熱が固体酸化物基板に伝播し、該基板の周縁部の昇温にも用いられて、固体酸化物基板の熱衝撃の発生を緩和する。また、発電停止時に、固体酸化物燃料電池の自然冷却に伴って、蓄熱体に吸熱された熱が固体酸化物基板に伝播し、固体酸化物燃料電池の温度降下の速度を抑え、固体酸化物基板に発生する熱衝撃を緩和する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、火炎が直接供給される固体酸化物燃料電池を利用して発電する発電装置に関し、特に、固体酸化物燃料電池の周縁部に蓄熱体を配設することにより、固体酸化物燃料電池に加わる熱衝撃を緩和してその割れを抑制するようにした直接火炎型固体酸化物燃料電池による発電装置に関する。
従来から開発されている燃料電池には、種々の発電形式がある。これらの一つとして、固体電解質を用いた形式の燃料電池がある。この固体電解質による燃料電池の一例として挙げると、イットリア(Y)が添加された安定化ジルコニアからなる焼成体を酸素イオン伝導型の固体酸化物基板として用いたものがある。この固体酸化物基板の一面にカソード電極層を、そして、その反対面にアノード電極層を形成し、このカソード電極層側に酸素又は酸素含有気体が供給され、さらに、アノード電極層には、メタン等の燃料ガスが供給されるようになっている。
この燃料電池内では、カソード電極層に供給された酸素(O)が、カソード電極層と固体酸化物基板との境界で、酸素イオン(O2−)にイオン化され、この酸素イオンが、固体酸化物基板によってアノード電極層に伝導され、アノード電極層に供給された、例えば、メタン(CH)ガスと反応し、そこで、水(HO)、二酸化炭素(CO)、水素(H)、一酸化炭素(CO)が生成される。この反応において、酸素イオンが、電子を放出するため、カソード電極層とアノード電極層との間に電位差が生じる。そこで、カソード電極層とアノード電極層とにリード線を取り付ければ、アノード電極層の電子が、リード線を介してカソード電極層側に流れ、燃料電池として発電することになる。なお、この燃料電池の駆動温度は、約1000℃である。
しかし、この形式の燃料電池では、カソード電極層側に、酸素又は酸素含有ガス供給チャンバーを、そして、アノード電極層側に、燃料ガス供給チャンバーを夫々分離したセパレート型チャンバーを用意しなければならず、しかも、高温下で、酸化性雰囲気と還元性雰囲気とに晒されるため、燃料電池セルとしての耐久性を向上することが困難であった。
一方、固体酸化物基板の対向した面に、カソード電極層とアノード電極層とを設けて燃料電池セルを形成し、この燃料電池セルを、燃料ガス、例えば、メタンガスと、酸素ガスとが混合された混合燃料ガス中に置いて、カソード電極層とアノード電極層との間に起電力を発生させる形式の燃料電池が開発されている。この形式の燃料電池では、カソード電極層とアノード電極層との間に起電力を発生する原理は、上述したセパレート型チャンバー形式の燃料電池の場合と同様であるが、燃料電池セル全体を実質的に同一雰囲気にすることができるため、混合燃料ガスが供給されるシングル型チャンバーとすることができ、燃料電池セルの耐久性を向上できる。
しかし、このシングル型チャンバーの燃料電池においても、約1000℃の高温下で駆動しなければならないので、混合燃料ガスの爆発の危険性がある。この危険性を回避するために、酸素濃度を発火限界よりも低い濃度にすると、メタン等の燃料の炭化が進み、電池性能が低下するという問題が生じた。そのため、混合燃料ガスの爆発を防止しつつ、燃料の炭化の進行を防止し得る酸素濃度の混合燃料ガスを使用できるシングル型チャンバーの燃料電池が開発されている。
一方、以上に述べた燃料電池は、密封構造を有するチャンバー内に収納された燃料電池セルによって構成された形式のものであるが、固体酸化物燃料電池を火炎中、或いは、その近傍に配置し、火炎の熱によって固体酸化物燃料電池をその動作温度に保持させて、発電を行う装置が提案されている。
この提案された発電装置の燃料電池セルは、ジルコニアによる固体酸化物基板から成る管体と、その管体の内側に形成された空気極であるカソード電極層と、管体の外側に形成された燃料極であるアノード電極層とから構成されている。この固体電解質による固体酸化物燃料電池を、燃料ガスが供給される燃焼装置から発生する火炎の還元炎部分に、アノード電極層を曝した状態で設置している。この様に設置することにより、還元炎中に存在するラジカル成分等を燃料として利用でき、菅内部のカソード電極層には、対流又は拡散によって、空気が供給され、固体酸化物燃料電池として、発電が行われる。
ところで、上述したシングル型チャンバーの燃料電池では、従来の固体酸化物燃料電池のように、燃料と空気を厳粛に分離する必要がない代わりに、気密封止構造を採用せざるを得ない。そして、高温下で駆動できるように、複数の板状固体酸化物燃料電池が耐熱性高電気伝導性を有するインターコネクト材を用いて積層接続され、起電力を上げていた。そのため、板状固体酸化物燃料電池によるシングル型チャンバーの燃料電池は、大掛かりな構造となり、コストが嵩むという問題がある。
また、このシングル型チャンバーの燃料電池の稼動に際しては、高温になるまで徐々に昇温して、固体酸化物燃料電池自体の割れを防止しているので、起電するまでの時間が長く、手間がかかるものである。
これに対して、既提案の管状の固体酸化物燃料電池では、火炎を直接利用する形態が採用されており、この形態の燃料電池は、固体電解質燃料電池セルを密封構造の容器に収容する必要がなく、開放型であるという特徴を持っている。そのため、この燃料電池では、起電時間が短縮でき、構造が簡単なので、燃料電池の小型軽量化、低コスト化に有利であるといえる。そして火炎を直接利用する点で、一般の燃焼装置や焼却装置等に組み込むことが可能となり、電力供給装置として利用することが期待されている。
しかしながら、この形態の燃料電池では、管状の固体酸化物基板の外面にアノード電極層が形成されているので、主に、そのアノード電極層の下半分に火炎によるラジカル成分が供給されず、管状の固体酸化物基板の外面に形成されたアノード電極層全面を有効に利用することができない。そのため、発電効率が低いものであった。さらに、固体酸化物燃料電池が、火炎で直接に、しかも偏って加熱されるため、急激な温度変化によってひび割れが発生しやすいという問題があった。
そこで、燃料の燃焼による火炎を直接利用する形態の固体酸化物燃料電池を採用し、火炎が、平板状の固体酸化物基板上に形成されたアノード電極層の全面を曝すようにして、耐久性の向上と発電効率の向上、小型化、低コスト化を図った簡便な電力供給手段としての固体酸化物型燃料電池による発電装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
その提案された固体酸化物燃料電池による発電装置が、図4に示されている。図4に示された発電装置に利用される固体酸化物燃料電池Cは、平板状で、円形又は矩形の固体酸化物基板1と、その基板の一方の面に形成された空気極(酸素極)であるカソード電極層2と、その一方の面と反対側の面に形成された燃料極であるアノード電極層3とを有している。カソード電極層2とアノード電極層3とが、固体酸化物基板1を介して対向配置されている。
以上のように構成された固体酸化物燃料電池Cを用い、この燃料電池Cのアノード電極層3を下側にして、燃料ガスが供給される燃焼装置4上に配置し、燃料ガスの燃焼による火炎fに曝して発電する発電装置とする。燃焼装置4には、火炎を生成して燃焼酸化する燃料が供給される。燃料としては、燐、硫黄、フッ素、塩素、及びこれらの化合物等でも良いが、排ガス処理が不要な有機物が好ましい。有機物燃料としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のガス類、ヘキサン、へプタン、オクタン等のガソリン系液体、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、アセトン等のケトン、その他の有機溶剤各種、食用油、灯油、紙類、木材等が挙げられる。この中でも、特に、ガス類が好ましい。
さらに、火炎は拡散炎でも予混火炎でも良いが、拡散炎は、炎が不安定であり、煤の発生によってアノード電極層の機能低下を招きやすいので、予混火炎の方が好適である。予混火炎は安定している上に、火炎サイズを調整しやすく、さらに燃料濃度を調整して、煤の発生を防止することができる。
固体酸化物燃料電池Cが平板状に形成されているので、燃焼装置4からの火炎fを固体酸化物燃料電池Cのアノード電極層3に均一にあてることができ、管状のものに比べて、ムラなく火炎fを当てることが可能となる。さらに、アノード電極層3を火炎f側に向けて配置され、火炎中に存在する炭化水素、水素、ラジカル(OH、CH、C、OH、CH)などを酸化還元反応に基づく発電の燃料として利用しやすくなる。また、カソード電極層2が、酸素を含有する気体、例えば、空気中に露出されるので、カソード電極層2から酸素を利用しやすくなり、さらに、カソード電極層2に向かって酸素を含有する気体が吹きつけられると、より効率良く、カソード電極層側を酸素リッチ状態にすることができる。
固体酸化物燃料電池Cで発電された電力は、カソード電極層2とアノード電極層3からそれぞれ引き出されたリード線L1、L2によって取り出される。リード線L1、L2としては、耐熱性のある白金製、或いは、白金を含む合金製のものが使用される。
特開2004−139936号公報
以上に説明したように、これまでに提案された固体酸化物燃料電池利用による発電装置では、チャンバー型のものにあっては、固体酸化物燃料電池を駆動温度まで昇温させる電気炉や、燃料ガスと酸素又は空気とを供給する供給装置などが必要であり、装置自体が複雑で、嵩張るものであったため、発電装置として、人が携帯することはできなかった。
これに対して、提案されている直接火炎利用の固体酸化物燃料電池による発電装置では、燃料を燃焼して火炎を生成する燃焼装置を必要とするが、燃焼装置、例えば、ローソク、ライター、ガスバーナーなどによる燃焼火炎を利用できるため、小型、軽量で、コンパクトな発電装置を実現できる。
しかしながら、この発電装置では、燃焼装置で生成する火炎を利用することから、簡便に発電させることができるが、反面において、燃焼装置の着火又は消火が簡単なため、固体酸化物燃料電池に供給される熱量の変化も急峻となり、この変化が、固体酸化物燃料電池に熱衝撃が加わり、固体酸化物の割れを誘発するという問題があった。また、火炎の揺らぎなどによって、該火炎による固体酸化物燃料電池への熱供給も不安定となり、安定的発電に使用することが困難であった。
そこで、本発明は、直接火炎型の固体酸化物燃料電池を利用して発電装置において、発電開始時では、固体酸化物燃料電池への火炎による熱供給を抑制するようにして、固体酸化物燃料電池の温度上昇を緩和し、発電停止時では、固体酸化物燃料電池の冷却による温度下降を緩和することにより、直接火炎に曝される固体酸化物燃料電池の割れ発生を抑制することができる固体酸化物燃料電池による発電装置を提供することを目的とする。
以上の課題を解決するため、本発明の固体酸化物燃料電池による発電装置では、板状の固体酸化物基板と、該基板の一方の面に形成されたカソード電極層と、該一方の面と反対側の面に形成されたアノード電極層とを有する固体酸化物燃料電池と、前記固体酸化物基板の周縁に配置された熱良導材料による蓄熱体と、を備え、火炎が前記アノード電極層に供給され、酸素又は酸素含有気体が前記カソード電極層に供給されることにより発電し、前記蓄熱体が前記火炎により加熱されるようにした。
前記蓄熱体が、前記アノード電極層側に係る前記固体酸化物基板の周縁部の面と所定間隔を置いて配設されるようにし、前記蓄熱体は、前記固体酸化物基板の周縁部に接して配設され、或いは、板体形状を有する前記蓄熱体が、前記カソード電極層に接して配設されることとした。
また、本発明の固体酸化物燃料電池利用による発電装置では、前記蓄熱体が、前記固体酸化物燃料電池の電力取出し電極となるようにした。
さらに、本発明の固体酸化物燃料電池利用による発電装置では、前記蓄熱体は、前記火炎が供給されなくなったとき、当該蓄熱を自然放熱することとした。
以上のように、本発明による直接火炎型の固体酸化物燃料電池利用の発電装置では、板状の固体酸化物基板と、該基板の一方の面に形成されたカソード電極層と、該一方の面と反対側の面に形成されたアノード電極層とを有する固体酸化物燃料電池と、該固体酸化物基板の周縁に配置された熱良導材料による蓄熱体とを備えるようにしたので、該蓄熱体が前記アノード電極層に供給される火炎の一部によって加熱される。
この様な蓄熱体が、固体酸化物燃料電池の周縁に配設されるので、発電開始時には、蓄熱体が火炎の一部を吸熱し、火炎による固体酸化物燃料電池の温度上昇を抑え、さらに蓄熱体の吸熱した熱が固体酸化物基板に伝播し、該基板の周縁部の昇温にも用いられるため、固体酸化物基板に発生する熱衝撃を緩和できる。また、発電停止時には、固体酸化物燃料電池の冷却に伴って、火炎による加熱で蓄熱体に吸熱された熱が固体酸化物基板に伝播し、固体酸化物燃料電池の温度降下の速度を抑えるため、固体酸化物基板に発生する熱衝撃を緩和できる。
また、固体酸化物基板の周縁に蓄熱体が配設されているので、アノード電極層に供給される火炎が揺らいでも、固体酸化物燃料電池に対する加熱を安定化する効果があり、火炎の点火と消火が短時間で繰り返し行われても、固体酸化物燃料電池の温度変化を緩やかにするため、固体酸化物基板に発生する熱衝撃を緩和できる。
次に、本発明による直接火炎型の固体酸化物燃料電池利用の発電装置に係る実施形態について、図1乃至図3を参照しながら、説明する。ここで、本発明の発電装置に係る実施形態を説明する前に、本発明の発電装置に使用することができる固体酸化物燃料電池について、以下に説明する。
本実施形態に使用される固体酸化物燃料電池は、基本的には、図4に示された固体酸化物燃料電池Cと同様の構成であり、固体酸化物基板1、カソード電極層2及びアノード電極層3を有している。
固体酸化物基板1は、例えば、矩形状の平板であり、カソード電極層2とアノード電極層3とが、固体酸化物基板1を介して対向するように、その平面のほぼ全面に形成されている。そして、カソード電極層2には、リード線L1が接続され、アノード電極層3には、リード線L2が接続されており、リード線L1とL2とで、燃料電池としての出力が取り出される。なお、固体酸化物基板1は、板状に形成されていればよく、矩形状に限られず、アノード電極層が予混火炎に曝される形状を有していればよく、例えば、円形状とすることができる。
固体酸化物基板1には、例えば、公知のものを採用でき、次に示す材料を使用できる。
a) YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、これらにCe、Al等をドープしたジルコニア系セラミックス
b) SDC(サマリアドープドセリア)、GDC(ガドリアドープドセリア)等のセリア系セラミックス
c) LSGM(ランタンガレート)、酸化ビスマス系セラミックス
また、アノード電極層3には、例えば、公知のものを採用でき、次に示す材料を使用できる。
d) ニッケルと、イットリア安定化ジルコニア系、スカンジア安定化ジルコニア系、又は、セリア系(SDC、GDC、YDC等)セラミックとのサーメット
e) 導電性酸化物を主成分(50重量%以上99重量%以下)とする焼結体(導電性酸化物とは、例えば、リチウムが固溶された酸化ニッケル等である)
f) d)、e)に挙げたものに、白金族元素から成る金属、又は、その酸化物が1〜10重量%程度配合されたもの
等が挙げられ、この中でも、特にd)、e)が好ましい。
また、e)の導電性酸化物を主成分とする焼結体は、優れた耐酸化性を有するのでアノード電極層の酸化に起因して発生する、アノード電極層の電極抵抗の上昇による発電効率の低下、或いは、発電不能、アノード電極層の固体酸化物基板からの剥離といった現象を防止できる。また、導電性酸化物としては、リチウムが固溶された酸化ニッケルが好適である。さらに、上記d)、e)に挙げたものに、白金族元素から成る金属、またはその酸化物を配合することにより、高い発電性能を得ることができる。
カソード電極層2は、公知のものを採用でき、例えば、ストロンチウム(Sr)等の周期律表第3族元素が添加されたランタンのマンガン(例えば、ランタンストロンチウムマンガナイト)、ガリウム又はコバルト酸化化合物(例えば、ランタンストロンチウムコバルタイト)等が挙げられる。
カソード電極層2とアノード電極層3とは、共に多孔質体に形成される。これらの電極層は、多孔質体の開気孔率を、20%以上、好ましくは、30〜70%、特に、40〜50%とすることが好ましい。本実施形態に使用される固体酸化物燃料電池では、多孔質体に形成されたカソード電極層2とアノード電極層3とすることにより、カソード電極層2では、空気中の酸素を固体酸化物基板1との境界面の全面に供給しやすくし、また、アノード電極層3では、燃料を固体酸化物基板1との境界面の全面に供給しやすくしている。
固体酸化物基板1も多孔質に形成することもできる。固体酸化物基板は、緻密質に形成された場合には、耐熱衝撃性が低く、急激な温度変化によって、ひび割れが生じやすい。また、一般に、固体酸化物基板は、アノード電極層及びカソード電極層よりも厚く形成されるので、固体酸化物基板のひび割れが引き金となり、固体酸化物燃料電池の全体にひび割れが発生し、バラバラになることがある。
固体酸化物基板1が多孔質に形成されることで、発電時に、急激に温度変化を与えたとき、さらに、温度差の激しいヒートサイクルにおいて、耐熱衝撃性が向上する。また、多孔質であっても、その気孔率が10%未満のときは、耐熱衝撃性に著しい向上が認められなかったが、10%以上であると良好な耐熱衝撃性が見られ、20%以上であるとより好適である。これは、固体酸化物基板が多孔質であると、加熱による熱膨張が空隙部分で緩和されるためと考えられる。
固体酸化物燃料電池Cは、例えば、次のように製造される。先ず、固体酸化物基板の材料粉末を所定配合割合で混合し、平板状に成形する。その後、これを焼成して焼結することで固体酸化物層としての基板が作られる。このとき、気孔形成剤等の材料粉末の種類や配合割合、焼成温度、焼成時間、予備焼成等の焼成条件等を調整することによって、様々な気孔率の固体酸化物基板を作ることができる。こうして得られた固体酸化物層としての基板の一面側に、カソード電極層となる形状でペーストを、他面側にアノード電極層となる形状でペーストを夫々塗布した後に、焼成を行うことにより、一枚の固体酸化物燃料電池を製造することができる。
また、固体酸化物燃料電池は、さらに耐久性を向上することができる。この耐久性の向上手法としては、燃料電池セルにおけるカソード電極層とアノード電極層とに、メッシュ状金属を埋設、或いは、固着させるものである。そして、このメッシュ状金属を、固体酸化物燃料電池の集電電極とし、集電効率をも向上させることができる。埋設する方法としては、各層の材料(ペースト)を固体酸化物基板に塗布し、メッシュ状金属をその塗布された材料中に埋め込んだ後に焼成を行う。固着する方法としては、メッシュ状金属を各層の材料によって完全に埋め込むことなく、接着させて焼結しても良い。
メッシュ状金属としては、これを埋設する、或いは、固着するカソード電極層、アノード電極層との熱膨張係数の調和や、耐熱性に優れたものが好適である。具体的には、白金や、白金を含む合金から成る金属でメッシュ状にしたものが挙げられる。SUS300番代(304、316等)、或いは、SUS400番代(430等)のステンレスでも良く、これらはコストの点で有利である。
また、メッシュ状金属を用いる代わりに、ワイヤ状金属をアノード電極層、カソード電極層に埋設或いは固着させてもよい。ワイヤ状金属は、メッシュ状の金属と同様の金属から成り、その数や配設形状等に限定はない。メッシュ状金属やワイヤ状金属を、アノード電極層やカソード電極層に埋設、或いは、固着することにより、熱履歴等によってひび割れした固体酸化物基板がバラバラになって崩れないように補強されることになり、さらに、メッシュ状金属やワイヤ状金属は、ひび割れした部分を電気的に接続している。
なお、これまで、固体酸化物基板を多孔質性にした場合を説明したが、燃料電池の固体酸化物基板に、緻密構造のものを使用した場合には、特に、熱履歴によるひび割れに対処するのに、カソード電極層及びアノード電極層にメッシュ状金属又はワイヤ状金属を埋め込み、或いは、埋設することは、有効な手段となる。
また、固体酸化物燃料電池には、ガス燃焼バーナーの点火による急激な加熱によってもひび割れが発生するが、カソード電極層及びアノード電極層に、適宜の密度でメッシュ状金属又はワイヤ状金属を埋め込み、或いは、埋設すると、急激に加熱されたときに、燃料電池セルの面的な熱伝導が均一となり、熱伝導不均一によるひび割れを抑制することができる。
メッシュ状金属或いはワイヤ状金属は、アノード電極層とカソード電極層の両方に配設しても良いし、どちらか一方に配設しても良い。また、メッシュ状金属とワイヤ状金属を組み合わせて配設しても良い。熱履歴によってひび割れが生じたときには、少なくともアノード電極層に、メッシュ状金属又はワイヤ状金属が埋設されていれば、その発電能力を低下させることがなく、発電を継続することができる。固体酸化物燃料電池の発電能力は、アノード電極層の燃料極としての有効面積に負うところが大きいので、少なくとも、アノード電極層にメッシュ状金属、或いは、ワイヤ状金属を配設すると良い。
このようにして形成された固体酸化物燃料電池が、本実施形態の固体酸化物燃料電池利用の発電装置の燃料電池Cとして使用される。本実施形態では、この固体酸化物燃料電池に形成されたアノード電極層3に供給される燃料として、例えば、ガス燃焼バーナーなどで発生した予混火炎を直接に利用することとした。そして、その予混火炎で加熱によって、その温度は、固体酸化物燃料電池が作動可能な範囲になっている。そのため、ガス燃焼バーナーにおける燃焼が、固体酸化物燃料電池に対する燃料供給源として、さらには、駆動熱源として適したものとなっている。
ここで、以下に、本実施形態の発電装置における固体酸化物燃料電池の燃料供給源及び加熱源となるガス燃焼バーナーについて説明する。
本実施形態に燃料供給源及び加熱源として使用されるガス燃焼バーナーは、従来から知られている、通常のものでよい。このガス燃焼バーナーでは、そのバーナー本体内に設けられた噴射口から、燃料ガスが高速で噴出される。このときに生じる圧力低下を利用して空気が吸い込まれるように構成され、バーナー本体の内部で、燃料ガスと空気とが混合されて予混気体が生成される。
バーナー本体内で生成された予混気体は、バーナー本体の先端部に設けられた燃焼用の開口部に導かれる。この開口部には、一つ又は複数のバーナー孔が設けられている。複数のバーナー孔の場合、本実施形態の発電装置の燃料供給源及び加熱源として使用するには、複数のバーナー孔が円環状に配列されていても、或いは、複数のバーナー孔が直線的に配列されたものも使用することができる。
バーナー孔から噴出する予混気体に着火すると、バーナー孔において、燃料が燃焼し、予混火炎が生成される。この予混火炎では、バーナー孔から噴出し上方に向かう混合気の流れと、この混合気の燃焼による火炎の進行とが釣り合った状態にあり、火炎面が形成され、火炎がバーナー孔に定着し、安定した燃焼となる。
通常のガス燃焼バーナーには、ガスの燃焼量が調整できるようになっているが、燃料と空気の混合割合によっては、不完全燃焼を起す可能性があるため、この調整に伴って空気量も調整される機構が備えられているので、安定した予混火炎が生成される。そのため、本実施形態の発電装置に利用される固体酸化物燃料電池の燃料供給源として安定供給することができ、安定した発電量を得るのに都合がよい。
また、ガス燃焼バーナーに使用される燃料には、都市ガスとして、液化天然ガス(LNG)、石油分解ガス、液化石油ガス(LPG)が使用されている。これらの都市ガスが燃焼されて予混火炎が生成されると、上述したように、予混火炎には、未燃焼成分や、ラジカル成分が多く含まれているので、これらは、本実施形態の発電装置に利用される固体酸化物燃料電池への燃料供給源及び加熱源として活用でき、直接火炎型の発電装置とする点でも都合がよい。
以上のようなガス燃焼バーナーで生成される予混火炎に直接曝されるように、上述した平板状の固体酸化物燃料電池を配置することにより、直接火炎型の固体酸化物型燃料電池利用の発電装置を構成し、安定して発電し続け、その発電電力を簡単に取り出すことができる。
しかしながら、上述したように、固体酸化物燃料電池における固体酸化物基板は、耐熱衝撃性が低く、特に、固体酸化物燃料電池を直接火炎型の発電装置として利用する場合には、ガス燃焼バーナーの火炎加熱による急激な温度変化によって、ひび割れが生じ易い。一般に、固体酸化物基板は、アノード電極層及びカソード電極層よりも厚く形成されるので、固体酸化物基板のひび割れが引き金となり、固体酸化物燃料電池の全体にひび割れが発生し、バラバラになることがある。
そこで、本発明の直接火炎型の固体酸化物燃料電池による発電装置では、ガス燃焼バーナーで発生した火炎を固体酸化物燃料電池の燃料供給源及び加熱源として利用することとするが、発電開始時におけるガス燃焼バーナーの着火、発電停止時におけるガス燃焼バーナーの消火などの火炎加熱の急激変化によって、固体酸化物燃料電池に加わる熱衝撃を緩和するととともに、アノード電極層、カソード電極層、固体酸化物基板の熱膨張係数の差異による各層の界面における剥離の発生を抑制し、燃料電池性能の劣化や破壊の原因を取り除くようにした。
その対策として、本発明の直接火炎型の固体酸化物燃料電池による発電装置において、固体酸化物燃料電池本体の熱容量より大きい熱容量を有する蓄熱体を、固体酸化物燃料電池の周縁部に配設する。この蓄熱体を設けることにより、発電開始時においては、配設された蓄熱体が、ガス燃焼バーナーで発生された火炎の一部の熱を吸収して、固体酸化物燃料電池を急激に加熱することを抑え、温度上昇速度を遅くする。また、発電停止時においては、ガス燃焼バーナーの火炎消火や、ガス燃焼バーナーの取り去りによる火炎除去によって、固体酸化物燃料電池本体が急速に冷却されないように、蓄熱体から固体酸化物燃料電池へ熱の伝播を行わせ、温度降下速度を遅くする。
次に、ガス燃焼バーナーで生成される予混火炎を直接利用した固体酸化物燃料電池利用の発電装置に係る実施形態を、図1を参照して説明する。図1(a)は、本実施形態の発電装置を下側から見た平面図であり、図1(b)は、図1(a)に示されたX−X線における本実施形態の発電装置の断面図である。なお、図1においては、固体酸化物燃料電池に供給される火炎の図示を省略している。図4の場合と同様に、図1の発電装置においても、ガス燃焼バーナー4で発生される火炎fが、固体酸化物燃料電池の燃料供給源及び加熱源として供給される。
図1に示された固体酸化物燃料電池Cは、図4に示された固体酸化物燃料電池Cと同様の構成を有しており、円形状に形成された固体酸化物基板1の片面、図の例では、その上面に、該基板より小さい面積の空気極となるカソード電極層2が形成され、さらに、その反対側面に、該カソード電極層2とほぼ同面積の燃料極となるアノード電極層3が形成されている。この固体酸化物燃料電池は、図4の場合と同様に、上述した燃料電池の製造方法によって形成されたものを使用できる。アノード電極層3の下面側には、ガス燃焼バーナーが置かれ、予混火炎が供給される。
そして、本実施形態の特徴とする蓄熱体5が、固体酸化物基板1の下面側であり、その周縁部に配設される。図1の例では、固体酸化物燃料電池Cが円形状に形成されているので、その周縁部に配設する都合上、蓄熱体5も、円形状に合わせ、蓄熱される熱量が面的に偏らないようにされる。また、アノード電極層3には、火炎fが供給される必要があるところから、図1に示されるように、蓄熱体5の中央部分に開口があり、蓄熱体5の全体は、リング状に形成されている。この開口は、火炎がアノード電極層3を有効に曝す大きさであるが、火炎が蓄熱体5の少なくとも内周部を曝す大きさにされ、蓄熱体5が火炎によって加熱されるようになっている。
蓄熱体5は、熱良導材料で形成されるが、その材料としては、金属製のものがよく、例えば、SUS300番代(304、316等)、或いは、SUS400番代(430等)のステンレスを採用することができる。そして、この蓄熱体5の熱容量は、固体酸化物燃料電池Cの熱容量より大きくしておく。また、蓄熱体5と固体酸化物基板1の周縁部とは、所定距離だけ離されて配置されている。図1(b)に示されるように、蓄熱体5と固体酸化物基板1の周縁部とは、所定距離だけ離されているが、蓄熱体5と固体酸化物基板1の周縁部と間で熱伝播が行われる距離であればよく、蓄熱体5と固体酸化物基板1の周縁部とが接していてもよい。
図1に示された固体酸化物燃料電池Cでは、図示が省略されているが、図4に示されたように、燃料電池Cの発電出力を取出すためのリード線L1、L2が取り付けられている。ここで、蓄熱体5を電気良導材料の金属製とした場合には、蓄熱体5の内周部をアノード電極層3に接続し、この蓄熱体5をアノード電極層側の出力電極として、リード線L2の代わりにすることもでき、或いは、リード線L2を蓄熱体5に接続することもできる。
図1に示された固体酸化物燃料電池Cは、円形状に形成された場合であったが、円形状に限られず、他の形状、例えば、矩形状の場合であっても、固体酸化物燃料電池Cの外形に合わせて、蓄熱体5が固体酸化物基板の周縁部を取り囲むように配設することにより、本発明の目的を達成することができる。
次に、上述した第1実施形態の直接火炎型の固体酸化物燃料電池利用による発電装置に係る具体例について、図2を参照しながら、以下に説明する。ここでは、図1に示された発電装置の場合について、固体酸化物燃料電池を製作し、ガス燃焼バーナーを使用して発電実験を行った。
先ず、固体酸化物基板には、固体電解質として、サマリアドープドセリア(SDC、Sm0.2Ce0.81.9セラミック)を用いた。グリーンシート法により、大気中において、1300℃で焼成し、厚さ200μm、径15mmのセラミック基板を作製した。次いで、この基板の一方の面に、サマリアストロンチウムコバルタイト(SSC、Sm0.2Sr0.5Ce0.8)とSDCの50重量%・50重量%混合物からなるペーストを径13mmに印刷し、そのペーストを乾燥させた。
さらに、基板の他方の面に、リチウムを8mol%固溶した酸化ニッケルとSDCの60重量%・40重量%混合物に、5重量%の酸化ロジウムを添加したペーストを、径13mmに印刷し、それぞれの面にリード線となる白金ワイヤを溶接した白金メッシュを埋め込んだ。その後、大気中において、1200℃で焼成し、1枚の固体酸化物燃料電池を作製した。
蓄熱体5は、金属として、SUSステンレスを使用し、その外径が32mm、その内径が11mmであり、そして厚さが1.6mmのリング形状とした。この蓄熱体5と固体酸化物燃料電池Cとの相対的位置関係は、蓄熱体5が、固体酸化物燃料電池Cの下側で、互いに平行となるようにされた。蓄熱体5と固体酸化物燃料電池Cとの間の距離は、3.5mmである。なお、この蓄熱体5の熱容量は、固体酸化物燃料電池Cの持つ熱容量より大きくなっている。
そこで、上述のように製作された固体酸化物燃料電池Cのアノード電極層3を曝す火炎を発生させるため、空気で希釈されたブタン濃度6.5%の予混気体を、ガス流量400ml毎分でバーナーに供給し、燃焼させて予混火炎を生成した。
図2は、以上に説明した固体酸化物燃料電池Cとガス燃焼バーナー4を備えた発電装置において、蓄積体5が配設されていない場合と、蓄積体5が配設された場合との実験結果を示しており、図2(a)は、発電開始時の場合(A)のグラフを、そして図2(b)は、発電停止時の場合(B)のグラフをそれぞれ示している。各グラフの横軸は、時間〔秒〕を表し、そして縦軸は、温度〔℃〕を表している。これらの温度は、固体酸化物燃料電池Cのカソード電極層2の中心に熱伝対を無機接着剤で固定して、測定された値である。
そこで、図4に示されるように、バーナー上に、固体酸化物燃料電池Cのみを設置した場合と、固体酸化物燃料電池Cと蓄熱体5の両者を設置した場合とについて、固体酸化物燃料電池Cの温度変化を測定した。図2(a)には、バーナーから放出される予混気体に着火して、発電開始時における固体酸化物燃料電池Cの温度変化が示され、A1の曲線は、固体酸化物燃料電池Cのみの場合の温度変化を示し、A2の曲線は、固体酸化物燃料電池Cと蓄熱体5の両者による場合の温度変化を示している。
A1の曲線とA2の曲線とを比較すると、開始初期においては、A1の曲線とA2の曲線に差があり、所定時間経過すると、A1の曲線とA2の曲線との差がなくなっている。このことから、蓄熱体5が、バーナーから供給される火炎の一部を吸収していることになり、その分の熱が蓄熱される様子が現れており、固体酸化物燃料電池Cに供給される火炎による加熱の状態が抑えられていることが分かる。
このため、固体酸化物燃料電池Cの中心部における温度上昇が緩和され、しかも、蓄熱体5の温度上昇に伴って、固体酸化物基板が周縁部からも蓄熱体から伝播される熱で加熱されるので、固体酸化物燃料電池Cの全体における加熱時の温度勾配を緩和することになる。この緩和によって、加わる熱衝撃を低減し、ひび割れ発生を抑制できる。
また、図2(b)には、バーナーから放出される予混気体の供給を停止し、或いは、予混火炎を消火して、発電停止時における固体酸化物燃料電池Cの自然放熱による温度変化が示され、B1の曲線は、固体酸化物燃料電池Cのみの場合の温度変化を示し、B2の曲線は、固体酸化物燃料電池Cと蓄熱体5の両者による場合の温度変化を示している。
B1の曲線とB2の曲線とを比較すると、停止初期においては、B1の曲線とB2の曲線に差があり、所定時間経過すると、図示されていないが、B1の曲線とB2の曲線とは、室温付近にまで低下する。B2の曲線の場合には、バーナーから供給される火炎が消火され、或いは、除去された後においても、B1の場合に比較して固体酸化物燃料電池Cの中心部の温度降下が緩やかになっている。このことは、蓄熱体5が配設されていることによって、蓄熱体5に蓄熱された熱が固体酸化物燃料電池Cに伝播されていることを現している。
このため、発電停止時における固体酸化物燃料電池Cの中心部における温度下降が緩和され、固体酸化物燃料電池Cの全体における自然冷却時の温度勾配を緩和することになる。この緩和によって、加わる熱衝撃を低減し、ひび割れ発生を抑制できる。
なお、図2(a)に示されたA1のグラフによれば、固体酸化物燃料電池Cの加熱の際に、火炎の揺らぎが発生している様子が示されている。しかし、この火炎に揺らぎが発生して固体酸化物燃料電池Cの温度が不安定になっているが、蓄熱体5を固体酸化物燃料電池Cに配設した場合であるA2のグラフによれば、火炎による加熱が安定して行われている様子が示されている。この蓄熱体5は、火炎による加熱を安定化する効果を有することが分かり、熱衝撃の発生を緩和している。蓄熱体が固体酸化物燃料電池の周縁に配設されることにより、火炎の点火と消火が短時間で繰り返される場合でも、火炎による加熱が安定化される効果を有する。
以上の説明では、図1に示されるように、蓄熱体が、固体酸化物基板に対してアノード電極層側に配設された場合を例にしたが、次に、蓄熱体を、固体酸化物基板に対してカソード電極層側に配設しても、本発明の目的を達成できることを説明する。図3に、蓄熱体が、固体酸化物基板に対してカソード電極層側に配設された場合の例を示した。この例で使用される固体酸化物燃料電池は、図1に示された固体酸化物燃料電池Cと同様のものである。図3の場合においても、ガス燃焼バーナー4の図示を省略している。
図3(a)は、図1に示された蓄熱体と同様の形状を有する蓄熱体6が、固体酸化物基板1のカソード電極層側に配設された場合を示している。カソード電極層3は、多孔質に形成され、空気が固体酸化物基板1に供給される必要があるところから、蓄熱体6には、図1に示された蓄熱体5をそのまま使用でき、蓄熱体6の中央部の開口から空気がカソード電極層2に供給される。
蓄熱体6には、発電開始時、或いは、発電中においても、図4に示されるように、バーナー4から発生する火炎fが、固体酸化物基板1を回り込んで供給されるので、蓄熱体6は、火炎fで加熱され、図1の場合と同様に、固体酸化物燃料電池Cの発電開始時、或いは、発電停止時における温度勾配を緩やかにすることができる。
また、図3(b)は、図3(a)に示された場合と同様に、蓄熱体が、固体酸化物基板1のカソード電極層側に配設された場合を示している。図3(b)の場合が、図3(a)の場合と異なるところは、蓄熱体7が、全体として板状に形成され、カソード電極層2に接して全面に配設されている点である。蓄熱体7に関しても、カソード電極層2に空気を供給する必要性から、少なくとも、カソード電極層2に接している部分、つまり、図3(a)の蓄熱体6における開口部分に対応する部分は、例えば、格子状に形成して通気性を確保することが必要である。
蓄熱体7には、発電開始時、或いは、発電中においても、図4に示されるように、バーナー4から発生する火炎fが、固体酸化物基板1を回り込んで供給されるので、蓄熱体7は、火炎fで加熱され、図1の場合と同様に、固体酸化物燃料電池Cの発電開始時、或いは、発電停止時における温度勾配を緩やかにすることができる。さらに、蓄熱体7は、火炎fが固体酸化物燃料電池Cの中央部分を加熱した熱を固体酸化物基板の全体に伝播させる効果もあり、発電開始時における温度勾配を緩やかにして、熱衝撃の発生を抑制し、ひび割れ発生を低減できる。
図3(a)に示された固体酸化物燃料電池Cでは、図示が省略されているが、図4に示されたように、燃料電池Cの発電出力を取出すためのリード線L1、L2が取り付けられている。ここで、蓄熱体6の内周部をカソード電極層2に接続し、この蓄熱体6をカソード電極層側の出力電極として、リード線L1の代わりにすることもでき、或いは、リード線L1を蓄熱体6に接続することもできる。
一方、図3(b)に示された固体酸化物燃料電池Cでも、図示が省略されているが、リード線L1、L2が取り付けられている。ここで、蓄熱体7をカソード電極層2の集電電極とすることもでき、さらには、リード線L1の代わりにすることもでき、或いは、リード線L1を蓄熱体7に接続することもできる。
本発明における直接火炎固体酸化物型燃料電池を利用した発電装置の実施形態を説明する図である。 火炎による加熱時(a)と、火炎消火時(b)とにおける固体酸化物型燃料電池の温度変化を説明するグラフである。 他の実施形態を説明する図である。 固体酸化物型燃料電池を利用してガス燃焼による火炎を燃料として直接発電する様子を説明する図である。
符号の説明
1 固体酸化物基板
2 カソード電極層
3 アノード電極層
4 バーナー
5、6、7 蓄熱体
C 固体酸化物型燃料電池

Claims (6)

  1. 板状の固体酸化物基板と、該基板の一方の面に形成されたカソード電極層と、該一方の面と反対側の面に形成されたアノード電極層とを有する固体酸化物燃料電池と、
    前記固体酸化物基板の周縁に配置された熱良導材料による蓄熱体と、を備え、
    火炎が前記アノード電極層に供給され、酸素又は酸素含有気体が前記カソード電極層に供給されることにより発電し、前記蓄熱体が前記火炎により加熱されることを特徴とする直接火炎利用による固体酸化物燃料電池発電装置。
  2. 前記蓄熱体が、前記アノード電極層側に係る前記固体酸化物基板の周縁部の面と所定間隔を置いて配設されたことを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物燃料電池発電装置。
  3. 前記蓄熱体が、前記固体酸化物基板の周縁部に接して配設されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の固体酸化物燃料電池発電装置。
  4. 板体形状を有する前記蓄熱体が、前記カソード電極層に接して配設されることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物燃料電池発電装置。
  5. 前記蓄熱体が、前記固体酸化物燃料電池の電力取出し電極となることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池発電装置。
  6. 前記蓄熱体は、前記火炎が供給されなくなったとき、当該蓄熱を自然放熱することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の固体酸化物燃料電池発電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN102263277A (zh) * 2011-03-17 2011-11-30 景德镇陶瓷学院 一种平板式中温固体氧化物燃料电池封接材料的制备方法

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