JP2007064774A - 電気泳動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の目的は、キャピラリの長さや本数によって最適な形態でキャピラリの温度調整を行うことに関する。
【解決手段】
例えば、キャピラリアレイの一部をキャピラリの長さや本数に合わせた形状のカバーで覆う。好ましくは、カバーの内部形状を、キャピラリアレイの外部形状に合わせる。電気泳動装置に設けられた温度調整機構で温度調整された空気を試料導入側からカバー内に導入し、試料導入部から検出部の方向にキャピラリに沿って流す。さらに空気を検出部側に設けた排気口より温度調整機構に戻して循環させることでキャピラリの温度調整を行う。キャピラリの長さや本数に最適化した形状のカバーの中を温度調整された空気が循環するので、効率よくキャピラリの温度調整を行うことができる。
【選択図】図6

Description

本発明は、キャピラリ電気泳動に関する。
キャピラリの温度を一定に保つために、キャピラリを格納し、気体を循環させることによって温度調整を行う恒温槽を設けた電気泳動装置がある。特開2003−185629号公報には、キャピラリの一端に形成された試料導入部と、分離された試料に依存する情報を取得する検出部とを有するマルチキャピラリアレイと、試料導入部と検出部との間に電圧を印加する手段と、送風機構と温度調節機構とを備えたチャンバー部と、送風機構の風下側に設けられマルチキャピラリアレイを収容するキャピラリ収容部と、チャンバー部とキャピラリ収容部との間に設けられた第1整流板とを有する電気泳動装置が開示されている。
特開2003−185629号公報
従来の電気泳動装置においては、キャピラリの長さや本数が変わっても同一の恒温槽を使用している。このため、キャピラリアレイにおけるキャピラリの長さや本数に応じた形状の恒温槽を用いることができない為、温度調整した空気を最適の状態で流すことができず、温度調整の効率向上の妨げとなっている。
本発明の目的は、キャピラリの長さや本数によって最適な形態でキャピラリの温度調整を行うことに関する。
本発明は、複数のキャピラリから構成されたキャピラリアレイにカバーを設け、カバーの中に温度調整機構によって温度調節された空気を流すことに関する。
例えば、キャピラリアレイの一部をキャピラリの長さや本数に合わせた形状のカバーで覆う。好ましくは、カバーの内部形状を、キャピラリアレイの外部形状に合わせる。電気泳動装置に設けられた温度調整機構で温度調整された空気を試料導入側からカバー内に導入し、試料導入部から検出部の方向にキャピラリに沿って流す。さらに空気を検出部側に設けた排気口より温度調整機構に戻して循環させることでキャピラリの温度調整を行う。キャピラリの長さや本数に最適化した形状のカバーの中を温度調整された空気が循環するので、効率よくキャピラリの温度調整を行うことができる。
本発明により、キャピラリの長さや本数に合わせて温度調節した空気流を形成でき、キャピラリを効率よく温度調整を行うことができる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について図面を参酌して説明する。
図1に電気泳動装置全体の概略図を示す。本装置は、試料を電気泳動により分離・分析するものであり、大きく、ポンプユニット,レーザー照射・検出ユニット,オートサンプラユニットなどからなる。
ポンプユニットは、キャピラリに試料を分離する媒体であるポリマーを充填する機能を持つ。ポンプユニットには、キャピラリ充填用シリンジ101,チェックバルブ102,ポリマーブロック103,ポリマーボトル104,バルブ105が設けられている。レーザー照射・検出ユニットは、キャピラリアレイ107の被覆を剥いてレーザーが通過できるようにした検出部108にレーザー109を当て、励起された蛍光をCCDカメラ110で検出する。
オートサンプラユニットは、キャピラリ位置にサンプル容器111やバッファ,洗浄水,廃液などの容器112を自動的に搬送する。容器を載せた天板113の下にはオートサンプラ機構部114が設けられている。
キャピラリアレイ107のキャピラリ試料導入部先端115には電極116が設けられている。電極は金属パイプで作られており、キャピラリ試料導入端はこの中を通され、先端を金属パイプの先端よりわずかに出している。
測定時はバルブ105を開き、バッファジャー106の電極117をグランドに接続し、およびキャピラリ先端のキャピラリ試料導入部先端115に高電圧電源118より電圧をかける。
図2に電気泳動装置を用いた測定の流れを示す。測定を開始するとまず廃液容器がオートサンプラによってキャピラリの試料導入端に運ばれる(201)。バルブ105を閉じ、充填用シリンジ101を陰圧にすると、ポリマーボトル104に入っているポリマーが充填用シリンジに入る。ついで、シリンジ101を押すと、キャピラリアレイ107にポリマーが充填される(202)。ここで、チェックバルブ102があり、ポリマーの流路方向が一定であるため、ポリマーボトル104の方向にポリマーが逆流することはない。
ポリマー充填が完了したら、洗浄水容器をキャピラリの試料導入部先端115に運び、キャピラリ先端を洗浄する(203)。ついで、バッファ容器をキャピラリの試料導入部先端115に運び(204)、予備泳動を開始する(205)。予備泳動とは、キャピラリに充填したポリマーに含まれる不純物のイオンを除去し、分析に最適な状態にするために数分間電圧を印加することである。予備泳動が完了したら、洗浄水容器をキャピラリの試料導入部先端115に運び、キャピラリ先端を洗浄する(206)。次に、サンプルの入った容器をキャピラリの試料導入部先端115に運び(207)、数〜数十秒間電圧を印加することで、キャピラリの試料導入部先端よりサンプルを電気的に導入する(208)。完了したら、洗浄水容器をキャピラリの試料導入部先端115に運び、キャピラリ先端を洗浄する(209)。そののち、バッファ容器をキャピラリの試料導入部先端115に運び(210)、泳動を開始する(211)。
図3にカバーのついたキャピラリアレイの一例を示す。301はポリマーを注入する側のキャピラリ端をまとめるキャピラリヘッド、302はキャピラリにレーザを照射し、また発光した蛍光を検出するための検出部である。303のキャピラリが互いに接触しないように、かつ恒温カバー壁面にも接触しないように304のセパレータを使用している。キャピラリ303のサンプル注入端はロードヘッダ305でサンプルトレイのウェルと同じピッチに並べられている。サンプル注入側のキャピラリ端は電極となるキャピラリ電極306に通され、固定されている。
恒温カバー307はキャピラリのロードヘッダから検出部までを覆う形で設けられる。ロードヘッダ上面にはキャピラリを通す穴とは別に、温度調節された空気をカバー内に取り込む温度調整空気出口308が設けられている。温度調整空気出口308の形状は図2にあるようにキャピラリの根元付近に小穴を設けてもよいし、またはスリット上にしても良く、またはこれらの2つの形状に限定するものではない。恒温カバー上部にはカバー外に空気を吐き出す排気口309が設けられている。最適な形態としては、排気口309はキャピラリの検出部にできるだけ近い位置に設けるのがよい。また、カバー形状としては、できるだけキャピラリに沿った形状(かつキャピラリに接触しない形状)にするのがよい。
ロードヘッダ305の背面には装置側に設けられている電極ピンが接触することでキャピラリアレイ試料導入部先端115に電圧を供給する電極穴310、および装置に設けられているペルチェ素子より供給される温度調節された空気をロードヘッダ305内に取り込む吸気口311が設けられている。
図4にロードヘッダの内部構造を示す。ロードヘッダ本体401にはサンプル注入端側の電極となる金属パイプ402が貫通してあり、その根元は接着剤で固定してある。さらにロードヘッダ本体401には導電性のゴムシート403が敷き詰められており、金属パイプ402はさらに導電ゴムシート403を貫通している。側面には電極穴404および吸気口405が設けられている。装置側に設けられている電極ピンが電極穴404より導電性ゴムシートに接触することで、金属パイプ402およびその中を通っているキャピラリに電圧を供給する。また、装置側に設けられたペルチェ素子などの空気温度調節機構で温度調節された空気は、吸気口405よりロードヘッダ内に取り込まれる。取り込まれた空気は、ロードヘッダふた406に設けられた温度調整空気出口408より吹き出し、恒温カバー内に温度調節された空気が送り込まれる。なお、ロードヘッダ本体401を貫通している金属パイプ402およびふたのキャピラリ貫通用穴407は接着剤でふさいで固定するため、これらの穴より温度調節された空気が漏れ出す恐れはない。
図5は、恒温カバーを取り付けたキャピラリアレイを、装置に設置されている恒温槽
501に取り付けた場合の断面図を示したものである。吸気口503および排気口507はそれぞれ温度調節機構に接続されている。ペルチェユニット502で温度調整された空気は吸気口503よりロードヘッダ504に導入される。この空気はロードヘッダふたに設けられている温度調整空気出口505よりキャピラリ恒温カバー506内に導入される。恒温カバー506に導入された温度調整空気はキャピラリの試料導入側より検出部方向に流れ、検出部に近い側に設けられている排気口507より排気される。排気された空気はペルチェユニット502で再度温度調整され、ふたたび吸気口503よりロードヘッダ504内を経て恒温カバー506内へ導入される。このようにして、ペルチェで温度調節した空気を循環させることによりキャピラリアレイの温度調節を行う。
図6はキャピラリ恒温カバーに温度調節された空気を流している状態の模式図である。恒温カバー付きキャピラリアレイの内部における風の流れを示す。キャピラリ601が恒温カバー602に収められている。試料をキャピラ試料導入端603より注入し電圧を印加すると、試料がバンド状となって(604)キャピラリ内を通過する。このとき、ジュール熱が発生し、キャピラリ内の温度が局所的に上昇する。このような状態になると、キャピラリ内に気泡が発生し分離能に悪影響を与える。特に、泳動初期の試料が十分に分離していない段階では、局所的に試料の濃度が高くなっているため、電気抵抗が大きくなり、発生するジュール熱も大きくなる。これを防ぐために、泳動初期に試料が通過する試料導入部近くのキャピラリ周囲に温度調節した空気を流し局所的な温度上昇を防ぐ。さらに、キャピラリに沿って温度調整された空気を流すことでキャピラリ内温度を一定に保つ。さらに、ペルチェによって温度調節した空気は吸気口605よりロードヘッダ606を経て温度調整空気出口607より恒温カバー602内に導入される。導入した温度調整空気をキャピラリに沿って流し、排気口608より排出し、再びペルチェにて温度調節する。恒温カバーはキャピラリに沿った形状に設けられるので、その断面積は狭くなっている。そのため、ここに通される空気の風圧は、広い恒温槽の中を通る空気の風圧に比べ、高くなる。そのため、より速い風をキャピラリに当てることができるため、効率的にキャピラリの温度をより一定に近くすることができる。しかし、カバー壁面においては空気の流速は0となるため、カバーとキャピラリは接触してはならない。そのため、カバーの形状および断面積はキャピラリとの接触がないように、かつ風速が最大になるように最適化させることが望ましい。
図7に、キャピラリの長さが変わった場合の、それぞれの恒温カバーの形状の一例を示す。キャピラリの長さによってキャピラリの配置が変わった場合に、恒温カバーの形状が最適化されることを示す。キャピラリの長さが変わり、その配置方法が変わった場合でも、空気の流れが最適になるように恒温カバーの形状を決定することができる。特に、キャピラリ長さが短い場合、従来の恒温槽では槽内空間が大きすぎ、槽内体積に占めるキャピラリ長さが短いため効率が悪く、風を当てたい箇所に十分当てられないことがあったが、本発明の恒温カバーを用いれば、温度制御効率が高くなるので、短いキャピラリの場合でも効率的に風を当てることができる。さらに、キャピラリアレイにカバーをつけることで、オペレータが取り扱い時にキャピラリに直接触れる危険が減少するので、キャピラリアレイの破損の危険性が減少するという効果もある。
実施例2は実施例1の変形例であり、図8に示すように、温度調節された空気を恒温カバー内に取り入れる吸気口が恒温カバーに設けられている。吸気口801がロードヘッダ803ではなく、恒温カバー804に設けられている。吸気口801および排気口802は、実施例1と同様に装置側に設けられている温度調節機構と接続される。温度調節された空気が吸気口801より恒温カバー804に取り込まれ、キャピラリに沿って流れ、排気口802より排出される。
実施例3は実施例1の変形例で、図9に示すように、恒温カバーが二重に設けられていて、保温力を高められている。保温力を高めた恒温カバーを使用するときは、装置側でキャピラリを取り付ける恒温槽の保温力は多少劣っても良い。このため、装置側恒温槽の構造を簡略化できる。
装置の全体の概略図である。 電気泳動の手順を示す流れ図である。 恒温カバー付きキャピラリアレイの一例の概略図である。 恒温カバー付きキャピラリアレイで使用するロードヘッダの内部構造を示す概略図である。 恒温カバー付きキャピラリアレイを装置の恒温槽に取り付けた際の断面図である。 恒温カバー付きキャピラリアレイの内部の風の流れを示す模式図である。 キャピラリの長さによってキャピラリの配置が変わった場合に、恒温カバーの形状が最適化されることを示す概略図である。 実施例1の変形例で、温度調節された空気を恒温カバー内に取り入れる吸気口が恒温カバーに設けられている例の概略図である。 実施例1の変形例で、恒温カバーが二重に設けられていて、保温力を高められている例の概略図である。
符号の説明
101…ポリマーをキャピラリに充填するためのシリンジ、102…チェックバルブ、103…ポリマーブロック、104…ポリマーボトル、105…バルブ、106…バッファジャー、107…キャピラリアレイ、108…検出部、109…レーザー、110…
CCDカメラ、111…サンプル容器、112…容器、113…オートサンプラ天板、
114…オートサンプラ機構部、115…キャピラリ試料導入部先端、116…電極、
117…バッファジャー側電極、118…高電圧電源、301…キャピラリヘッド、302…検出部、303,601…キャピラリ、304…セパレータ、305,504,606,803…ロードヘッダ、306…キャピラリ電極、307,506,602,804,901…恒温カバー、308,408,505,607…温度調整空気出口、309,
507,608,802…排気口、310,404…電極穴、311,405,503,605,801…吸気口、401…ロードヘッダ本体、402…電極用金属パイプ、403…導電ゴムシート、406…ロードヘッダふた、407…キャピラリ貫通用穴、501…装置に設置されている恒温槽、502…ペルチェユニット、603…キャピラリ試料導入端、604…試料バンド。


Claims (6)

  1. 複数のキャピラリから構成され、試料導入部と検出部を有し、複数のキャピラリを覆うカバーを備えたキャピラリアレイを装着できる電気泳動装置であって、
    カバーの中に温度調節された空気を流す温度調節機構を備えることを特徴とする電気泳動装置。
  2. 請求項1記載の電気泳動装置であって、
    前記カバーが、温度調整機構と接続される吸気口と排気口を備え、
    温度調整機構より吸気口を経由してカバー内に送り込まれた空気が、排気口を経由して温度調節機構に戻り、温度調整されて循環することを特徴とする電気泳動装置。
  3. 請求項1記載の電気泳動装置であって、
    吸気口が排出口よりも試料導入部の近くに存在し、排出口が吸気口よりも検出部の近くに存在することを特徴とする電気泳動装置。
  4. 請求項1記載の電気泳動装置であって、
    温度調節された空気を、試料導入部から検出部の方向に流すことを特徴とする電気泳動装置。
  5. 請求項1記載の電気泳動装置であって、
    温度調節された空気を複数のキャピラリに沿って流すことを特徴とする電気泳動装置。
  6. 請求項1記載の電気泳動装置であって
    試料導入部におけるキャピラリ間隔が、検出部におけるキャピラリ間隔より広くなっており、
    試料導入部におけるカバーの断面積が、検出部におけるカバーの断面積より広くなっていることを特徴とする電気泳動装置。
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