JP2007064382A - 一方向間欠送りユニット - Google Patents

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Chiharu Ito
千春 伊藤
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Abstract

【課題】ラチェットホイールに一方向型トルクリミッタを組み込み、揺動部材に設けた駆動爪を前記ラチェットホイールのラチェットに係合させ、前記揺動部材の揺動運動によってラチェットホイールを間欠回転させる一方向間欠送りユニットにおいて、前記駆動爪の爪寸法と組付け寸法の誤差によって揺動部材が振れる現象を防止し、送り精度を向上させることである。
【解決手段】揺動部材の回転軸周りに自動調芯すき間δを設け、そのすき間δを、駆動爪22の爪寸法L、駆動爪偉22の組付け寸法Mとした場合に、
「Lの寸法公差+Mの寸法公差≦δ≦0.2mm」
の関係を有するように設定した。
【選択図】図2

Description

この発明は、ラチェットホイール機構を用いた一方向間欠送りユニットに関し、インデックステーブル等の部品供給装置等に使用されるものであって、特に揺動部材の自動調芯に関するものである。
ラチェットホイール機構を用いた一方向間欠送りユニットに関しては、従来公知である(特許文献1参照)。
前記特許文献1に開示された一方向間欠送りユニットは、1個又は複数個の駆動爪が揺動部材に回転可能に取り付けられ、その駆動爪をラチェットホイールのラチェットに係合させ、その駆動爪の他端と揺動部材との間に介在したコイルばね等の弾性体により、前記駆動爪をラチェットに係合させる方向に付勢し、揺動部材の送り方向への揺動時に駆動爪がラチェットホイールを送り方向に一定ピッチだけ回転させ、戻り方向への揺動時には逆転防止手段の作用によって逆回転を防止しつつ元の状態に戻る作用を繰り返して間欠的な送り作用を行うようにしている。
なお、特許文献1の図4、図12等においては2個の駆動爪が示されているが、これらは揺動部材の1往復ごとに1個づつ交互にラチェットに係合して駆動作用を行うようになっている。
特開2005−98490号公報
前記従来の一方向間欠送りユニットは、1個の駆動爪によってラチェットホイールを駆動するものであるから、ラチェットホイールに対し接線方向の回転力が作用し、ラチェットホイール及びこれと一体のスプロケットに対しラジアル方向の変位を生じせしめ、ラチェットホイール及びこれと一体のスプロケットの回転に振れが生じスプロケットによる送り精度を低下させる原因となる。
このため、本願の出願人は、図8に示したように2個の駆動爪51を回転中心対称の位置に設け、これらの駆動爪51が同時にラチェット52に係合して駆動作用を行うようにしたものを先に提案している(特願2005−84286号)。この構成によると、2個の駆動爪51による駆動が対偶駆動となり、駆動爪51によるラジアル方向の変位力は相互に打ち消される結果、スプロケット53の回転が円滑となり、精度の高い送り作用を行うことができる。
なお、図8において、54は逆転防止手段としての一方向クラッチ型トルクリミッタ、55は内輪、56は駆動爪51の付勢ばね、57は揺動部材であり、前記駆動爪51、付勢ばね56は揺動部材57に取り付けられる。
前記提案に係るものは、加工精度が理想的に高い場合は完全な偶力駆動となって高い送り精度が得られるが、実際は駆動爪51の爪寸法Lや駆動爪51の組付け寸法Mの寸法公差等の影響を受け、揺動部材57にラジアル方向の変位力が作用し、その揺動部材57の軸穴58が軸59に干渉して自由な揺動作用ができなくなる。このため、2個の駆動爪51による駆動力が不均等になって対偶駆動が不完全となり、スプロケット53の送り精度が低下する問題がある。
そこで、この発明は駆動爪に関する爪寸法や組付け寸法の寸法公差が存在しても、揺動部材が自動調芯して対偶駆動ができるようにした一方向間欠送りユニットを提供することを課題とする。
前記の課題を解決するために、この発明に係る一方向間欠送りユニットは、揺動部材の回転軸周りに自動調芯すき間δを設けた構成を採用した。
前記自動調芯すき間δの大きさは次のように設定することが望ましい。即ち、
駆動爪の爪寸法(駆動爪の回転中心から爪先端まで長さ)をL、駆動爪の組付け寸法(揺動部材の回転中心から駆動爪の回転中心までの距離)をMとした場合に、
「Lの寸法公差+Mの寸法公差≦δ≦0.2mm」の関係を有するようにすき間δを設定する。
δの下限値を「Lの寸法公差+Mの寸法公差」に設定すると、LとMの寸法公差がすき間δを最も小さくする方向に影響したとしても、そのすき間δがLとMの寸法公差の合計より小さくなることがない。言い替えれば、前記の寸法公差がどのように影響したとしても一定の大きさのすき間δの存在が保障される。
また、すき間δの上限値を0.2mmに設定したのは、グリースの漏出を防止するためである。
前記のように、この発明の一方向間欠送りユニットにおいては、揺動部材の回転軸周りに前記のすき間δが存在するので、LやMの寸法公差の範囲内で揺動部材が振れることがあっても、回転軸に接触することがなく、各駆動爪の駆動力のバランスによって自動調芯される。その結果、2個の駆動爪による駆動は対偶駆動となる。なお、「特許請求の範囲」においては前記のすき間δを「自動調芯すき間δ」と称している。
以上のように、この発明は揺動部材の回転軸周りに一定量の自動調芯すき間δを設けたことにより、2個の駆動爪による同時駆動タイプの一方向間欠送りユニットにおける調芯性が向上し、スプロケットの送り精度を向上させることができる。
また、揺動部材とその回転軸は前記自動調芯すき間δの存在により接触しないため、揺動部材の軸穴の後加工が不要となり、生産性も向上する。
以下、添付図面に基づいてこの発明の実施例を説明する。
図1から図4に示した実施例1の一方向間欠送りユニットは、ラチェットホイール1の後方に突き出したボス部1a(図3参照)の内径側に一方向クラッチ型のトルクリミッタ2が組み込まれ、前記ボス部1aがハウジング4の凹部5に収納される。
前記トルクリミッタ2は前記ラチェットホイール1と同軸の内輪3がハウジング4の取り付け穴6に取り付け軸7を挿入し、ハウジング4の背面から螺合したナット8により固定される。内輪3の前面中心部に中心軸9が設けられる。
前記のラチェットホイール1の内径面に所要数のポケット11が設けられ(図1参照)、前記内輪3との間で正回転方向Aに狭小となるクサビ角θが形成される。前記ポケット11にころ12及びその付勢ばね13が収納される。付勢ばね13はころ12をクサビ角θが形成された方向に付勢する。
前記ラチェットホイール1の外径面にスプロケット14が設けられ、その一部が前記凹部5の開放部分からハウジング4の搬送溝15に突き出される。また、前記スプロケット14を設けた部分の内径面には細かい三角歯からなるラチェット16が設けられる。ラチェット16はその径方向内側に存在する内輪3の中心軸9に対向する。
前記内輪3の中心軸9に揺動部材17が回転自在に嵌合される。中心軸9は「特許請求の範囲」においては揺動部材17の回転軸と称されている。
揺動部材17は円板部18とその円板部18の外周縁から径方向に延びた揺動アーム19とからなり、円板部18の軸穴20が前記の中心軸9にすき間δ(図2(a)参照)をもって嵌合される。円板部18は前記ラチェットホイール1の開放端面を閉鎖する。
前記円板部18の内面において、その回転中心対称の位置にピン21、21によって一対の駆動爪22、22が回転可能に取り付けられる。各駆動爪22は、図2(a)に示したように、ピン21による取り付け部から一方に径方向外向きに延びた爪部23と、その爪部23とは反対方向に内向きに延びた係止部24を有する。前記の爪部23がラチェット16に噛み合い、係止部24に付勢ばね25の一端が係止される。付勢ばね25の他端は前記円板部18の内面に係止され、そのばね力により爪部23の先端部がラチェット16に係合する方向に付勢される。
前記の揺動部材17は、ワッシャ26を介してねじ27により前記中心軸9の端面に押し当てられ、内輪3と一体化される。ねじ27は中心軸9の先端面の中心に設けられたねじ穴28に螺合される。
前述した揺動部材17の軸穴20と内輪3の中心軸9との間のすき間δは、次の1式で示す関係に設定される。
「Lの寸法公差+Mの寸法公差≦δ≦0.2mm」 (1式)
ここに、Lは駆動爪22の爪寸法、即ち駆動爪22の回転中心(ピン21の中心)から爪部23の先端までの長さである。また、Mは、駆動爪22の組付け寸法、即ち揺動部材17の回転中心(中心軸9の中心)から駆動爪22の回転中心(ピン21の中心)までの距離である。これらの寸法公差は、例えば±0.03mmに設定される。
前記Lは、ラチェットホイール1の半径方向の寸法ではないが、安全側となるよう半径方向の寸法と仮定してすき間δの下限値を設定する数値として使用するものである。Mは半径方向の寸法であるので、その寸法公差はすき間δの大きさに直接影響を与える。そこで、すき間δの下限値を前記のように「Lの寸法公差+Mの寸法公差」に設定しておくと、LとMの寸法公差がすき間δを最も小さくなる方向に影響したとしても、そのすき間δがLとMの寸法公差の合計より小さくなることがない。言い替えれば、前記の寸法公差がどのように影響したとしても一定の大きさのすき間δの存在が保障されることになる。
前記すき間δの上限値を0.2mmに設定したのは、前述のようにグリースの漏出を防止するためであり、経験的な数値である。
実施例1の一方向間欠送りユニットは以上のように構成され、揺動部材17がリンク30を介して送り方向(図1の矢印a方向)に揺動されると、2個の駆動爪22が同時にラチェット16に噛み合ってラチェットホイール1を一定ピッチだけ送り方向に回転させ(矢印A参照)、スプロケット14に係合されたキャリアテープ29を1ピッチ分だけ送る。このとき、トルクリミッタ2は空転するが、ばね13とクサビ角θの大きさ等によって決定される大きさの空転トルクが発生し、キャリアテープ29の送りに所定のトルクを付与する。
逆に、揺動部材17が戻り方向(図1の矢印b方向)に揺動されると各駆動爪22はラチェット16の上を滑って同量だけ戻る。このときトルクリミッタ2がロックしラチェットホイール1の逆転を阻止する。
一方向間欠送りユニットの上記のごとき作用において、前記L、Mの寸法誤差によって揺動部材17が中心軸9に対して変位することがあっても、軸穴20と中心軸9とのすき間δは、前記のように最大限に変位してもL、Mの寸法公差の和より小さくなることがなく、従って軸穴20が中心軸9に接触することが回避される。このため揺動部材17には左右一対の対象位置に設けられた同一規格の付勢ばね25のばね力F1が作用する。ばね力F1は図2(b)に示したように偶力として作用するため、揺動部材17に作用する方向反対大きさ同じの変位力F2が相互に打ち消し合う。即ち、揺動部材17は偶力がバランスした状態に自動調芯される。
次に、図5から図7に示した実施例2は、外歯形式のラチェットホイール1を用いた場合である。このラチェットホイール1は、スプロケットホイール14’の前面に同軸状態、かつこれより若干小径に形成される。そのスプロケットホイール14’の裏面中央にボス部31が設けられる。ラチェットホイール1の外周面にラチェット16が設けられ、またスプロケットホイール14’の外周面にスプロケット14が設けられる。
ハウジング4に設けられた凹部5にトルクリミッタ2の外輪32が圧入固定される。その外輪32の内周面に複数のポケット11が設けられる。前記スプロケットホイール14’とラチェットホイール1のボス部31が前記外輪32の内径面に回転自在に嵌合され、ボス部31の外径面と前記ポケット11との間で正回転方向A(図5参照)と反対方向に狭小となるクサビ角θが形成される。前記ポケット16にころ12及びその付勢ばね13が収納される。付勢ばね13はころ12をクサビ角θの形成方向に付勢する。
前記スプロケット14の一部が前記凹部5の開放部分からハウジング4の搬送溝15に突き出され、キャリアテープ29に係合される。
揺動部材17は前記ラチェットホイール1の前面において同芯状態に配置される。揺動部材17の円板部33に揺動アーム34が半径方向に設けられ、その揺動アーム34と対称形に補助アーム35が設けられる。揺動部材17は前記のラチェットホイール1とともに、ワッシャ36を介してねじ37により回転自在に取り付けられる。ねじ37はハウジング4のねじ穴38に螺合される。
前記揺動部材17の揺動アーム34と補助アーム35の内面において、その回転中心対称の位置に同一規格の駆動爪39、39がピン40により回転自在に取り付けられる。また、各駆動爪39と揺動アーム34及び補助アーム35との間に付勢ばね41、41が取り付けられる。各駆動爪39は付勢ばね41のばね力によってラチェット16に係合される。
この実施例2においても、揺動部材17の軸穴42とその回転軸であるねじ37との間にすき間δが形成される。このすき間δは前記1式と同様に、「Lの寸法公差+Mの寸法公差≦δ≦0.2mm」の関係に設定される。Lは駆動爪39の爪寸法、即ち駆動爪39の回転中心(ピン40の中心)からその先端までの長さであり、Mは駆動爪39の組付け寸法、即ち揺動部材17の回転中心(ねじ37の中心)から駆動爪39の回転中心(ピン40の中心)までの距離である。
実施例2の一方向間欠送りユニットは以上のように構成され、揺動部材17が送り方向(図5の矢印a方向)に揺動されると、2個の駆動爪39、39が同時にラチェット16に噛み合ってラチェットホイール1とこれと一体のスプロケットホイール14’を一定ピッチだけ送り方向に回転(矢印A参照)させ、スプロケット14に係合されたキャリアテープ29を1ピッチ分だけ送る。このとき、トルクリミッタ2は空転するが、ばね13とクサビ角θの大きさ等によって決定される大きさの空転トルクが発生し、キャリアテープ29の送りに所定のトルクを付与する。
逆に、揺動部材17が戻り方向(図1の矢印b方向)に揺動されると各駆動爪39はラチェット16の上を滑って同量だけ戻る。このときトルクリミッタ2がロックしラチェットホイール1とこれと一体のスプロケットホイール14’の逆転を防止する。
一方向間欠送りユニットの上記のごとき作用において、前記L、Mの寸法公差によって揺動部材17がねじ37に対して変位することがあっても、軸穴42とねじ37とのすき間δは、前記のように最大限に変位してもL、Mの寸法公差の和より小さくなることがなく、従って軸穴42がねじ37に接触することがない。このため揺動部材17は左右一対の対象位置に設けられた同一規格の付勢ばね41のばね力F1が作用する(図2(b)参照)。ばね力F1は偶力として作用するため、揺動部材17に作用する方向反対大きさ同じの変位力F2が相互に打ち消し合う。即ち、揺動部材17は偶力によってバランスした状態に自動調芯される。
実施例1の縦断正面図 (a)実施例1の一部縦断正面図、(b)(a)図の力関係の説明図 図1のX―Xの断面図 実施例1の分解斜視図 実施例2の縦断正面図 図5のY−Y線の断面図 実施例2の分解斜視図 先願に係る実施例の一部省略断面図
符号の説明
1 ラチェットホイール
1a ボス部
2 トルクリミッタ
3 内輪
4 ハウジング
5 凹部
6 取り付け穴
7 取り付け軸
8 ナット
9 中心軸
11 ポケット
12 ころ
13 付勢ばね
14 スプロケット
14’ スプロケットホイール
15 搬送溝
16 ラチェット
17 揺動部材
18 円板部
19 揺動アーム
20 軸穴
21 ピン
22 駆動爪
23 爪部
24 係止部
25 付勢ばね
26 ワッシャ
27 ねじ
28 ねじ穴
29 キャリアテープ
30 リンク
31 ボス部
32 外輪
33 円板部
34 揺動アーム
35 補助アーム
36 ワッシャ
37 ねじ
38 ねじ穴
39 駆動爪
40 ピン
41 付勢ばね
42 軸穴
43 爪部

Claims (3)

  1. スプロケット(14)等の送り手段を備えたラチェットホイール(1)と、そのラチェットホイール(1)に同軸状態に取り付けられた揺動部材(17)と、その揺動部材(17)の回転中心対称の2個所に取り付けられ前記ラチェットホイール(1)のラチェット(16)に係合された一対の駆動爪(22)と、各駆動爪(22)を前記ラチェット(16)に係合する方向に付勢する弾性体と、前記ラチェットホイール(1)の逆転防止手段とからなり、前記揺動部材(17)の揺動による駆動爪(22)の往復揺動により前記ラチェットホイール(1)を一方向に間欠回転させるようにした一方向間欠送りユニットにおいて、
    前記揺動部材(17)の回転軸周りに自動調芯すき間δを設けたことを特徴とする一方向間欠送りユニット。
  2. 前記自動調芯すき間δの大きさが次の関係にあること、即ち、
    駆動爪(22)の爪寸法(駆動爪(22)の回転中心から爪先端までの長さ)をL、駆動爪(22)の組付け寸法(揺動部材(17)の回転中心から駆動爪(22)の回転中心までの距離)をMとした場合に、
    「Lの寸法公差+Mの寸法公差≦δ≦0.2mm」
    の関係を有することを特徴とする請求項1に記載の一方向間欠送りユニット。
  3. 前記ラチェット(16)がラチェットホイール(1)の内周又は外周のいずれかに形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の一方向間欠送りユニット。
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