JP2007063916A - 既設rc構造物の制震改修工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 基礎2と、この基礎2の上に立ち上げられた躯体3とを備えた既設RC構造物1の制震改修工法であって、前記躯体3の表面3aに、制震部材7を取り付けるための接合用部材6を取り付け、その後、この接合用部材6に制震部材7を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
また、上記の工事によりRC構造物の躯体強度が増加するため、地震時に発生する基礎への反力も過大なものとなり、河川内かつ地盤中にある基礎の補強も必要となり、さらに工事費が嵩むという問題点もあった。
従来、RC構造物は、それ自体に粘りがあるため、剪断破壊のおそれはない場合には補強は軽微で済んでいた。しかし実際のところ、とりわけ既設RC構造物については、地震等による変形によって剪断破壊してしまうことがある。したがって、RC構造物が剪断破壊を起こさないようにするためには、RC構造物を補強して剪断破壊しないような構造系に変更するか、あるいはRC構造物の変形を少なく(最小化)して、剪断破壊が起こらないようすることが好適である。
本発明による既設RC構造物の制震改修工法は、基礎と、この基礎の上に立ち上げられた躯体とを備えた既設RC構造物の制震改修工法であって、前記躯体の表面に、制震部材を取り付けるための接合用部材を取り付け、その後、この接合用部材に制震部材を取り付けるようにしている。
このような既設RC構造物の制震改修工法によれば、躯体の表面に、例えば、複数本のアンカーボルトを打ち込み、これらアンカーボルトに、接合用部材の少なくとも四隅部に形成された丸穴を引っ掛けて止め(掛止させて)、アンカーボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナットを締め込んで接合用部材を躯体の表面に取り付ける。
つぎに、接合用部材に予め設けられた複数本のスタッドボルトに、制震部材の両端部に形成された丸穴を引っ掛けて止め(掛止させて)、スタッドボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナットを締め込んで制震部材を接合用部材に取り付ける。
このように、接合用部材および制震部材は、既設RC構造物の躯体の表面に比較的容易に取り付けることができるので、既設RC構造物の制震改修工事を簡単に実施することができるとともに、当該工事にかかる工事費を低減させることができる。
また、既設RC構造物が河川内や湾内等に設けられている場合でも、水面よりも上方に位置する躯体の表面に接合用部材および制震部材を取り付けることにより、既設RC構造物の耐震性を向上させることができるので、RC構造物の周りに存する水を排除して、躯体(および基礎)の全体を露出させるといった大がかりな作業をなくすことができ、制震改修工事にかかる工事費を大幅に低減させることができる。
さらに、地震等により躯体が強軸方向(躯体の表面に沿う方向)に変形したとしても、制震部材によりそのエネルギーを吸収させることができるので、地震等によるRC構造物の変形量を低減させることができ、剪断破壊を防止することができるとともに、地震等の振動エネルギーを吸収して減衰を付加させることができ、躯体の強軸方向の耐震性を向上させることができる。
このような既設RC構造物によれば、地震等により躯体が強軸方向(躯体の表面に沿う方向)に変形したとしても、制震部材によりそのエネルギーを吸収させることができるので、地震等によるRC構造物の変形量を低減させることができ、剪断破壊を防止することができるとともに、地震等の振動エネルギーを吸収して減衰させることができ、躯体の強軸方向の耐震性を向上させることができる。
このようなRC構造物によれば、地震等により躯体が強軸方向にわずかに変形したとしても、制震部材が塑性変形することによりそのエネルギーが吸収されることとなる。これにより、地震等によるRC構造物の変形量を低減させることができ、剪断破壊を防止することができるとともに、地震等の振動エネルギーを吸収して減衰させることができ、躯体の強軸方向の耐震性を向上させることができる。
このようなRC構造物によれば、地震等により躯体の強軸方向に生じたわずかな変形は、制震部材を剪断変形させ、この剪断変形による塑性変形が制震部材に生じてそのエネルギーが吸収されることとなる。これにより、地震等によるRC構造物の変形量を低減させることができ、剪断破壊を防止することができるとともに、地震等の振動エネルギーを吸収して減衰を付加させることができ、躯体の強軸方向の耐震性を向上させることができる。
図1は、本実施形態に係るRC橋脚を示す概略正面図である。このRC橋脚1は、鉄筋コンクリート(RC(reinforced concrete))からなり、基礎(以下、「フーチング」という)2と、この上に立ち上げられた躯体3とを有し、躯体3の上端で沓4を介して橋桁5を支持するものである。
躯体3の、橋梁の軸線方向と直角する方向に平行となる面(表面)3aには、接合用部材(例えば、鋼板)6を介して制震ブレース(制震部材)7がそれぞれ一つずつ取り付けられている。
制震ブレース7としては、圧縮力に対しても引張力と同等の塑性変形性能を有するもの、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材を用いることができる。この斜材の両端部には、履歴型ダンパが配置されており、これら履歴型ダンパはそれぞれ、接合用部材6の表面中央部に設けられた複数本のスタッドボルト(図示せず)と、これらスタッドボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナット(図示せず)とにより、接合用部材6に取り付けられている。あるいは接合用部材6の表面に制震ブレース7を取り付けるためのガセットを溶接接合しておき、それに対して制震ブレースを取り付けてもよい。
施工方法としては、まず、既設のRC橋脚の躯体3の面3aに、例えば、複数本のアンカーボルトを打ち込み、これらアンカーボルトに、接合用部材6の少なくとも四隅部に形成された丸穴を引っ掛けて止め(掛止させて)、アンカーボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナットを締め込んで接合用部材6を躯体3の面3aに取り付ける。この接合用部材とRC構造物表面の間にはグラウトを注入するなどの処理を行い、結合力をさらに高めることも可能である。
つぎに、接合用部材6の表面中央部に予め設けられた複数本のスタッドボルトに、制震ブレース7の両端部(例えば、履歴型ダンパの先端部)に形成された丸穴を引っ掛けて止め(掛止させて)、スタッドボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナットを締め込んで制震ブレース7を接合用部材6に取り付ける。あるいは接合用部材6の表面に制震ブレース7を取り付けるためのガセットを溶接接合しておき、それに対して制震ブレースを取り付けてもよい。
また、制震ブレース7として、例えば、本出願人が先に出願した特開2000−81085号公報に開示されている斜材を用いた場合には、その特定部位(ダンパー部分)の断面積が縮小させられた(減少させられた)塑性化領域を有することとなるので、制震ブレース7自体の軸剛性を高めることができ、わずかな変形から塑性化させることが可能となるので、地震等により躯体3が強軸方向にわずかに変形したとしても、制震ブレース7によりそのエネルギーを確実に吸収させることができる。
さらに、接合用部材6および制震ブレース7は、既設のRC橋脚の躯体3の面3aにも比較的容易に取り付けることができるので、既設のRC橋脚の制震改修工事を簡単に実施することができるとともに、当該工事にかかる工事費を低減させることができる。
さらにまた、既設のRC橋脚が河川内や湾内等に設けられている場合でも、水面よりも上方に位置する躯体3の面3aに接合用部材6および制震ブレース7を取り付けることにより、既設のRC橋脚の耐震性を向上させることができるので、RC橋脚の周りに存する水を排除して、躯体3(およびフーチング2)の全体を露出させるといった大がかりな作業をなくすことができ、制震改修工事にかかる工事費を大幅に低減させることができる。
本実施形態におけるRC橋脚11は、躯体3の一の面3aおよび他の面3aに、それぞれ二つの(一対の)制震ブレース7が設けられているという点で前述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
その他の作用効果は、前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
本実施形態におけるRC橋脚21は、躯体3の一の面3aおよび他の面3aに、それぞれ二本の制震ブレースが組み合わされた制震ブレース22が一つずつ設けられているという点で前述した実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
また、中間材23の各端部に履歴型ダンパ24が配置されており、各履歴型ダンパ24の長さをある程度短くし、かつ中間材の剛性を高めることができるので、単材の制震ブレースの場合にくらべて軸剛性自体が増加させられるようになっているので、前述した第2実施形態のものよりもさらに高いエネルギー吸収効果を得ることができる。
その他の作用効果は、前述した実施形態のものと同じであるので、ここではその説明を省略する。
本実施形態におけるRC橋脚31は、躯体3の一の面3aおよび他の面3aに、それぞれ制震鋼板(制震部材)32が設けられているという点で前述した第1実施形態ないし第3実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態ないし第3実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
施工方法としては、まず、既設のRC橋脚の躯体3の面3aに、例えば、複数本のアンカーボルト(接合用部材)を打ち込み、これらアンカーボルトに、制震鋼板32の周縁部および中央部に十字状に配列された丸穴を引っ掛けて止め(掛止させて)、アンカーボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナットを締め込んで制震鋼板32を躯体3の面3aに取り付ける。この接合用部材とRC構造物表面の間にはグラウトを注入するなどの処理を行い、結合力をさらに高めることも可能である。
また、躯体3の面3aから外側(図5において紙面の手前側)には、制震鋼板32の板厚およびアンカーボルトに締め付けられたナットの寸法分だけが突出する(出っ張る)こととなるので、前述した第2実施形態のものよりも河積阻害率を大幅に低減させることができ、特に、河積阻害率に対する制限が厳しい河川内設置のRC橋脚等では好適である。また、地上に設置される橋脚でも空間阻害率を大幅に低減できる。
さらに、躯体3の面3aの略全体が制震鋼板32によって覆われているとともに、これら躯体3と制震鋼板32とが、制震鋼板32の周縁部(最外周部)および対向する辺と辺との中間部の広い範囲にわたって結合されているので、地震等により躯体3が強軸方向に変形した場合の応力を制震鋼板32の全体に分散させることができて、躯体3(あるいは躯体3の面3a)における破壊を防止する(または低減させる)ことができる。
本実施形態におけるRC橋脚41は、躯体3の一の面3aおよび他の面3aに、それぞれ前述の制震部材32を複数に分割(本実施形態では四分割)にした制震部材42が設けられているという点で前述した第4実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第4実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
施工方法としては、まず、既設のRC橋脚の躯体3の面3aに、例えば、複数本のアンカーボルト(接合用部材)を打ち込み、これらアンカーボルトに、各制震鋼板42の周縁部に配列された丸穴を引っ掛けて止め(掛止させて)、アンカーボルトの先端部に形成されたネジ部と螺合するナットを締め込んで制震鋼板42を躯体3の面3aに取り付ける。この接合用部材とRC構造物表面の間にはグラウトを注入するなどの処理を行い、結合力をさらに高めることも可能である。
また、躯体3と制震鋼板42とが、各制震鋼板42の周縁部(最外周部)において(すなわち、第4実施形態のものよりも広い範囲にわたって結合されているので、地震等により躯体3が強軸方向に変形した場合の応力を制震鋼板42の全体に分散させることができて、躯体3(あるいは躯体3の面3a)における破壊をより防止する(または低減させる)ことができる。
これにより、同様に地震等によるRC橋脚の変形量を低減させることができ、剪断破壊を防止することができるとともに、地震等の振動エネルギーを吸収して減衰を付加させることができ、躯体3の強軸方向の耐震性を向上させることができる。
これにより、地震等によるRC橋脚のあらゆる方向の変形量を低減させることができ、剪断破壊を防止することができるとともに、地震等の振動エネルギーを吸収して減衰を付加させることができ、躯体の強軸方向の耐震性をさらに向上させることができる。
2 フーチング(基礎)
3 躯体
3a 面(表面)
6 接合用部材
7 制震ブレース(制震部材)
11 RC橋脚(RC構造物)
21 RC橋脚(RC構造物)
22 制震ブレース(制震部材)
31 RC橋脚(RC構造物)
32 制震鋼板(制震部材)
41 RC橋脚(RC構造物)
42 制震鋼板(制震部材)
Claims (4)
- 基礎と、この基礎の上に立ち上げられた躯体とを備えた既設RC構造物の制震改修工法であって、
前記躯体の表面に、制震部材を取り付けるための接合用部材を取り付け、その後、この接合用部材に制震部材を取り付けるようにしたことを特徴とする既設RC構造物の制震改修工法。 - 基礎と、この基礎の上に立ち上げられた躯体とを備えたRC構造物であって、
前記躯体の表面に、制震部材が設けられていることを特徴とするRC構造物。 - 前記制震部材が、前記躯体の表面に、上下方向に対して斜めに配置されているとともに、圧縮力に対しても引張力と同等の塑性変形特性を有する斜材として構成されていることを特徴とする請求項2に記載のRC構造物。
- 前記制震部材が、前記躯体の表面を覆うように配置されているとともに、低降伏点鋼からなることを特徴とする請求項2に記載のRC構造物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005253762A JP2007063916A (ja) | 2005-09-01 | 2005-09-01 | 既設rc構造物の制震改修工法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005253762A JP2007063916A (ja) | 2005-09-01 | 2005-09-01 | 既設rc構造物の制震改修工法 |
Publications (1)
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JP2007063916A true JP2007063916A (ja) | 2007-03-15 |
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JP2005253762A Pending JP2007063916A (ja) | 2005-09-01 | 2005-09-01 | 既設rc構造物の制震改修工法 |
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JP (1) | JP2007063916A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017033335A (ja) * | 2015-08-03 | 2017-02-09 | 日本電信電話株式会社 | 牽引力発生装置 |
CN114808577A (zh) * | 2022-05-09 | 2022-07-29 | 杭州金溢建设集团有限公司 | 用于临近建筑且道路宽度受限的骑楼拓展方法及其设备 |
-
2005
- 2005-09-01 JP JP2005253762A patent/JP2007063916A/ja active Pending
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