JP2007062786A - 易剥離性食品包装用紙、これを用いた易剥離性食品容器及びその使用方法並びに易剥離性積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 本易剥離性食品包装用紙10は、紙層11と、ワックス(パラフィン等)により紙層11と貼接された樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート等)又は金属フィルムからなる非紙層12と、を備える。本易剥離性食品包装用紙は、食品を用紙上に載置したり、食品を包んだりして使用できる。また、例えば、ロール巻きで提供し、所望の長さで切り取って使用できる。本易剥離性食品容器は、本易剥離性食品包装用紙を成型してなる。また、本易剥離性食品容器の使用方法は、紙層が内側に配置され、非紙層が外側に配置された易剥離性食品容器に食品を収容し、食品から滲出された液体を吸収させる等して使用できる。
【選択図】 図1
Description
上記特許文献3は、酢酸ビニル樹脂系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、澱粉糊等からなる接着層を用いて樹脂層と紙層とを接合した食品包装用複合容器である。この容器では、紙基材の外表面に撥水加工材としてパラフィンを用いてもよいことが示されている。しかし、パラフィンを接着剤として認識するものではなく、パラフィンを接着剤として機能させた場合程に極めて容易な剥離性を意図する技術でもない。
(1)紙層と、ワックスにより該紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備えることを特徴とする易剥離性食品包装用紙。
(2)上記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂のうちの1種からなる上記(1)に記載の易剥離性食品包装用紙。
(3)上記金属フィルムは、アルミニウム箔である上記(1)に記載の易剥離性食品包装用紙。
(4)上記ワックスは、融点が40〜130℃である上記(2)又は(3)に記載の易剥離性食品包装用紙。
(5)上記非紙層は、厚さが40μm以下である上記(2)乃至(4)のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙。
(6)上記ワックスの塗布量は、5〜30g/m2である上記(2)乃至(5)のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙。
(7)上記紙層から、10mm幅の上記非紙層を引き剥がす際の引き剥がし強度は1.5N以下である上記(2)乃至(6)のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙。
(8)上記(1)乃至(7)のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙を成型してなることを特徴とする易剥離性食品容器。
(9)上記紙層が外側に配置され、上記非紙層が内側に配置された上記(8)に記載の易剥離性食品容器。
(10)上記紙層が内側に配置され、上記非紙層が外側に配置された上記(8)に記載の易剥離性食品容器。
(11)上記(10)に記載の易剥離性食品容器に、食品を収容し、該食品から滲出された液体を吸収させることを特徴とする易剥離性食品容器の使用方法。
(12)紙層と、ワックスにより該紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備えることを特徴とする易剥離性積層体。
樹脂フィルムがポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂のうちの1種からなる場合は、耐水性及び耐油性を備えることができる。
金属フィルムがアルミニウム箔である場合は、耐水性、耐油性及び耐熱性を備えることができる。
ワックスの融点が40〜130℃である場合は、使用時の剥離を抑制しつつ、易剥離性食品容器への加工等も不都合なく行うことができ、使用後の剥離は極めて容易であり、紙層と非紙層との貼着性と易剥離性とのバランスが特によい易剥離性食品包装用紙とすることができる。
非紙層の厚さが40μm以下である場合は、貼着性と易剥離性とのバランスが特によい易剥離性食品包装用紙とすることができる。
ワックスの塗布量が5〜30g/m2である場合は、貼着性と易剥離性とのバランスが特によい易剥離性食品包装用紙とすることができる。
紙層から、10mm幅の非紙層を引き剥がす際の引き剥がし強度が1.5N以下である場合は、貼着性と易剥離性とのバランスが特によい易剥離性食品包装用紙とすることができる。
紙層が外側に配置され非紙層が内側に配置された場合は、水分及び油分等の液体を多く含む食品を、液漏れすることなく、またベタつきを抑制して収容できる。また、収容した食品が容器に付着することを抑制できる。
紙層が内側に配置され非紙層が外側に配置された場合は、収容した食品から水分及び油分等の液体を吸収できる。また、紙層に吸収された水分及び油分を非紙層により容器外へ滲出することを防止できる。
本発明の易剥離性食品容器の使用方法によれば、本発明の易剥離性食品容器を効果的に使用できる。即ち、収容した食品から滲出される水分及び油分等の液体を吸収させて、食品の性質を保持できる。
本発明の易剥離性積層体によれば、紙層と非紙層とを極めて容易にその場で(例えば、廃棄時に)分離でき、優れたリサイクル性を得ることができる。更に、簡便且つ安価に生産できる。
[1]易剥離性食品包装用紙
本発明の易剥離性食品包装用紙は、紙層と、ワックスにより該紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備えることを特徴とする。
即ち、例えば、上質紙、コート紙、アート紙、再生紙、及びクラフト紙等が挙げられる。更に、純白ロール紙、晒片艶クラフト紙、コップ原紙、クレープ紙(シワ加工紙)、マイクロフルート紙(段高さが1mm以下の段ボール)等が挙げられる。紙層の厚さは特に限定されないが、通常、30μm〜1mmである。
このワックスの種類は特に限定されず、天然ワックスであってもよく、合成ワックスであってもよく、これらの混合物であってもよい。これらのなかでは天然ワックスが好ましい。
天然ワックスとしては、石油ワックス、動物性ワックス、植物性ワックス、鉱物性ワックス、及びこれらの加工品(酸化、水素化等)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは石油ワックスが好ましい。石油ワックスは、通常、無味無臭であり、安全生に優れ、更には生分解性を有するからである。
上記石油ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラタム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかではパラフィンワックスが好ましい。パラフィンワックスは上記安全性等に優れるとともに、特に経済性にも優れるからである。
更に、温度100℃における粘度は9mm2/s以下(より好ましくは2.5〜8mm2/s、更に好ましくは3〜7mm2/s、通常2mm2/s以上)であることが好ましい。更に、平均分子量(測定はガスクロマトグラフィーによる)300〜600(より好ましくは300〜500、更に好ましくは350〜500)が好ましい。
上記「樹脂フィルム」は、樹脂からなるフィルムである。この樹脂の種類は特に限定されず、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、及びポリスチレン系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの各種樹脂のなかでも、ポリエステル系樹脂としてはポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂が好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂としてはポリプロピレン樹脂及びポリエチレン樹脂が好ましい。更に、ポリアミド系樹脂としてはナイロン樹脂が好ましい。また、ポリスチレン系樹脂としてはポリスチレン樹脂が好ましい。
上記PET及び上記PPはいずれも食品包装に用いる場合に特に優れた性能を発揮させることができる。特にPETは、耐熱性及び耐寒性の両方に優れており、約−40℃〜約200℃までの広い温度範囲において使用できる。即ち、電子レンジ、冷凍庫、及び冷蔵庫等の食品を扱う装置においてほとんど対応できる。更に、保香性に優れ、紙層、及び紙層に印刷されたインキの臭い等が食品に移行されることを防止でき、更に、包装(収容)した食品の臭い移りを防ぐことができる。
更に、本発明の易剥離性食品包装用紙は、例えば、ロール巻(芯材等を用いることができる)として提供してもよく、所定の大きさに裁断された各易剥離性食品包装用紙が積層された積層体として提供してもよい。上記ロール巻の場合は、ロール巻を箱に収容し、箱から所望の長さに引き出して、切り取って使用することができる。
本発明の易剥離性食品容器は、本発明の易剥離性食品包装用紙を成型してなることを特徴とする。
即ち、本発明の易剥離性食品容器は、紙層と非紙層とを備え、紙層と非紙層とはワックスにより貼接されている。この紙層と非紙層とはどちらが易剥離性食品容器の内側に配置され、どちらが易剥離性食品容器の外側に配置されてもよい。即ち、紙層が外側に配置され且つ非紙層が内側に配置された易剥離性食品容器、及び紙層が内側に配置され且つ非紙層が外側に配置された易剥離性食品容器が含まれる。
尚、図3〜5では、分かり易く一部が剥離した状態を図示しているが、貼接層は図示していない。また、図5は紙層21が外側に配置されたものを例示しているが、図3に示す容器に対する図4に示す容器と同様に、外側に非紙層22が配置された易剥離性食品容器とすることもできる。
また、成形方法は特に限定されないが、例えば、絞り成形加工、プレス成形加工、真空成形加工、及び圧空成形加工等により成形することができる。これらの成形加工方法は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは絞り成形加工が好ましい。更に、この成形加工時には1枚のみを成形してもよく、複数枚(例えば、2〜50枚、特に12〜40枚、より特に20〜40枚)を一括して成形してもよい。一括成形する際の積層枚数が少ない程、得られる形状が均質で正確となる。一方、一括成形する際の積層枚数が多い程、生産効率を向上させることができる。
本発明の易剥離性積層体は、紙層と、ワックスにより該紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備えることを特徴とする。
上記「紙層」、上記「非紙層」、及び上記「ワックス」等は、前記本発明の易剥離性食品包装用紙における各々をそのまま適用できる。
この易剥離性積層体は、前記食品包装用途以外にも、他の用途に用いることができる。他の用途としては、鋼板梱包用包装材(例えば、カラー鋼板梱包用包装材)、医療用具包装材、医療用途トレイ原紙、電子部品包装材、電子部品用トレイ原紙等が挙げられる。また、易剥離性積層体は上記易剥離性食品容器と同様に成形して易剥離性容器を得ることができる。この易剥離性容器は、医療用途トレイ(医薬品収容トレイ、医薬廃棄物収容トレイ等)、及び電子部品収容トレイ等として使用することができる。
[1]易剥離性食品包装用紙
下記材料を使用し、図6に示す易剥離性食品包装用紙製造装置40を用いて易剥離性食品包装用紙を製造した。上記装置の紙ロール装着部41に、紙層となる下記クレープ紙ロールを装着し、更に、非紙ロール装着部42に、非紙層となる下記PETシートロールとを装着した。また、ワックス供給部43に下記ワックスを供給した。次いで、上記ワックス供給部においてワックスの温度が100〜120℃の範囲となるように温度設定した。そして易剥離性食品包装用紙製造装置を稼働させ、ワックス供給部にワックス塗布用ロール44の一部を浸漬させてワックスをワックス塗布用ロールに付着させ、このワックス塗布用ロール44と接触するPETシートの表面にワックスを塗布した。その後、ワックスが塗布されたPETシート(非紙層12)とクレープ紙(紙層11)とを貼接されるようにロール間を通過させて、紙層11とワックスで紙層に貼接された非紙層12を備える積層シート10を製品巻取部45でロール状に巻き取り、本発明の易剥離性食品包装用紙を製造した。尚、この際、ワックスの塗布量は13g/m2とした。
得られた本発明の易剥離性包装用紙の上記引き剥がし強度は1.5N以下であり、極めて簡単に紙層と非紙層とを分離することができた。
非紙層 : ポリエチレンテレフタレートシート(厚さ12μm)
ワックス: パラフィンワックス(日本精蝋株式会社製、品名「155」、融点69℃、100℃における粘度6.4mm2/s、平均分子量472)
上記[1]で得られた易剥離性食品包装用紙を、楕円形状に打ち抜き裁断し、10枚を積層して絞り成型加工機に配置し、型温度を150〜160℃となるように設定して、3トンの荷重を負荷して成型し、図3に示す易剥離性食品容器を得た。得られた易剥離性食品容器は、容易に引き剥がして紙層と非紙層とに分離することができた。
Claims (12)
- 紙層と、ワックスにより該紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備えることを特徴とする易剥離性食品包装用紙。
- 上記樹脂フィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂のうちの1種からなる請求項1に記載の易剥離性食品包装用紙。
- 上記金属フィルムは、アルミニウム箔である請求項1に記載の易剥離性食品包装用紙。
- 上記ワックスは、融点が40〜130℃である請求項2又は3に記載の易剥離性食品包装用紙。
- 上記非紙層は、厚さが40μm以下である請求項2乃至4のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙。
- 上記ワックスの塗布量は、5〜30g/m2である請求項2乃至5のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙。
- 上記紙層から、10mm幅の上記非紙層を引き剥がす際の引き剥がし強度は1.5N以下である請求項2乃至6のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙。
- 請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の易剥離性食品包装用紙を成型してなることを特徴とする易剥離性食品容器。
- 上記紙層が外側に配置され、上記非紙層が内側に配置された請求項8に記載の易剥離性食品容器。
- 上記紙層が内側に配置され、上記非紙層が外側に配置された請求項8に記載の易剥離性食品容器。
- 請求項10に記載の易剥離性食品容器に、食品を収容し、該食品から滲出された液体を吸収させることを特徴とする易剥離性食品容器の使用方法。
- 紙層と、ワックスにより該紙層と貼接された樹脂フィルム又は金属フィルムからなる非紙層と、を備えることを特徴とする易剥離性積層体。
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