JP2007061852A - 冷延金属板の製造方法 - Google Patents

冷延金属板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007061852A
JP2007061852A JP2005250723A JP2005250723A JP2007061852A JP 2007061852 A JP2007061852 A JP 2007061852A JP 2005250723 A JP2005250723 A JP 2005250723A JP 2005250723 A JP2005250723 A JP 2005250723A JP 2007061852 A JP2007061852 A JP 2007061852A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal plate
powder
cold
annealing
metallic sheet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005250723A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4604918B2 (ja
Inventor
Tatsuro Katsumura
龍郎 勝村
Hideo Kijima
秀夫 木島
Makoto Yamaguchi
誠 山口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JFE Steel Corp filed Critical JFE Steel Corp
Priority to JP2005250723A priority Critical patent/JP4604918B2/ja
Publication of JP2007061852A publication Critical patent/JP2007061852A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4604918B2 publication Critical patent/JP4604918B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cleaning And De-Greasing Of Metallic Materials By Chemical Methods (AREA)

Abstract

【課題】 金属板が、バッチ焼鈍中に焼き付いて圧着したものを剥がしたり、巻き緩みによって擦り疵になったりすることで、製品金属板の表面に欠陥が発生するのを、簡単な設備と方法により抑制する。
【解決手段】 冷間圧延した金属板をバッチ焼鈍する前に、該金属板の表面に焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつ粉体を静電塗布し、該バッチ焼鈍後、該粉体を中性の液体により洗浄する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、冷延金属板の製造方法に関し、特に、冷間圧延後の金属板を焼鈍する際に、重なり合う金属板同士が圧着し、さらに後の工程に供する際に、その圧着した部分が剥がれて金属板の表面に発生することのある、欠陥の発生を抑制する方法に関する。
冷間圧延後の金属板、例えば、冷延鋼板は、圧延によって加工硬化しているので、多くの場合、さらに後の工程に供するのに先立って焼鈍される。例えば、質量%でC:0.1%以下のような低炭素鋼板の場合は、比較的短時間で焼鈍が可能なため、入口と出口以外密封した焼鈍炉内に連続的に金属板を通板するタイプの連続焼鈍ラインにて焼鈍が行われるが、C:0.3%以上のような高炭素鋼板の場合は、数十時間にも及ぶ焼鈍が必要となるため、箱型の焼鈍炉にて、密封した雰囲気下で金属板を加熱する、バッチ焼鈍と呼ばれるタイプの焼鈍が行われることが多い。
通常、冷延鋼板をバッチ焼鈍する場合、例えば、図4に示すような、冷間圧延−クリーニング(冷延鋼板表面に残存する圧延油などの油分を取り除く)−バッチ焼鈍−調質圧延及び精整、という各製造工程を経る。
冷間圧延を行った金属板の表面には、圧延油などの油分が残存しているので、例えば、クリーニングラインにて、オルソ珪酸ソーダ液による電解脱脂や、アルカリ脱脂などにより、残存している油分が除去される。
図5は、クリーニングラインの一例を、模式的に示すもので、図5中、Sは金属板を指す。10はペイオフリールであり、コイル状に巻き取られている金属板Sを巻き戻して、クリーニングラインに供する。20はシャーであり、次のウエルダー30で金属板Sを溶接するのに先立って、先行する金属板Sの尾端と、後行する金属板Sの先端をせん断して、溶接に都合のよい形状に成形する。30はウエルダーであり、先行する金属板Sの尾端と、後行する金属板Sの先端を溶接する。40はウオッシュ槽であり、オルソ珪酸ソーダ液による電解脱脂や、アルカリ脱脂などにより、金属板表面に残存している油分を除去する。50はリンス槽であり、金属板表面に残存しているそれら薬液を洗い流す。60はドライヤーであり、金属板Sに付着残存している液体を乾燥し、除去する。70はテンションリールであり、金属板Sを巻き取る。100はクリーニングライン全体を示す。
冷延鋼板などの冷延金属板は、文字通り板状をしているものもあれば、帯状に数百mと長いものをコイル状に巻き取ったものもある。一般に、バッチ焼鈍は、コイル状に巻き取った状態で行われるが、試作など小規模な場合には、板状のものを重ねた状態で行うこともある。板状の金属板は、何枚も重ねることで相当の自重となり、重なり合う金属板同士の間には、押し付け合う圧力が作用している。コイル状に巻き取られた金属板には、巻き取り時の張力によって、重なり合う巻きを構成する金属板同士の間には、巻き取られた後も、押し付け合う圧力が作用している。
バッチ焼鈍では、重なり合う金属板、あるいは、コイル状に巻き取られた金属板が、長時間高温にさらされる。このため、例えば、コイル状に巻き取られた金属板の場合、一つ前の工程であるクリーニングラインなどのラインの出側でコイル状に巻き取られる際の巻き取り張力が高すぎると、金属板表面同士が焼鈍中に焼き付いて圧着する場合があることが知られている。焼き付きが発生すると、コイル状に巻き取られた金属板を巻き戻して製品金属板にした際に、金属板表面に欠陥が発生するのはもちろんのこと、焼き付きの程度が甚だしい場合には、金属板同士が完全に貼り付いた状態となり、さらに後の工程である調質圧延ラインあるいは精整ラインなどにて巻き戻す際に、折れたり、破断したり、ひどい場合には巻き戻せなくなったりすることさえある。
逆に、クリーニングラインなどのライン出側で巻き取る際の巻き取り張力が低すぎると、焼鈍中、あるいは、さらに後の工程である調質圧延などの精整ラインなどにて巻き戻す際に、巻きが緩み、金属板の表面に擦り疵などの欠陥が発生しやすくなる。
上記の焼き付きや擦り疵の発生を抑制するには、一つ前の工程であるクリーニングラインなどのラインでの巻き取り張力や、内巻きから外巻きに向かっての巻き取り張力パターンを適正化することが重要になるが、実際には、巻き取り張力のみで焼き付きや擦り疵のような欠陥が、金属板の表面に発生するのを、完全に防止することは困難であった。
板状の金属板を何枚も重ねて焼鈍する場合も、自重で圧着してしまい、一枚一枚分離する際に、圧着した部分が剥がれて金属板の表面に欠陥が発生することがあるため、同様な問題があった。
そこで、例えば、Al2O3やTiO2のソリューション(水溶液)やエマルジョンのような、液体の焼き付き防止剤あるいは固体を液体に分散し、懸濁させた、焼き付き防止剤を、金属板に塗布する、非特許文献1に記載のような方法が知られている。
つまり、上記のAl2O3やTiO2のような圧着防止剤を、一つ前の工程であるクリーニングラインなどのライン出側で、金属板を巻き取る前に、金属板の表面に塗布するか、専用の塗布ラインで塗布することにより、巻き取り張力を上げても、焼き付きや擦り疵のような欠陥が、金属板の表面に発生するのを極力防止しようというものである。
また、例えば、方向性珪素鋼板を対象として、複数回冷間圧延−焼鈍を繰り返す際、最終仕上焼鈍前にAl2O3単体あるいはこれを主成分とする焼鈍分離剤(前出の焼き付き防止剤と同じ目的のものと考えられる)を塗布することが、特許文献1などにより知られている。
すなわち、特許文献1で対象としている方向性珪素鋼板のような場合、従来よく用いられているMgOのような焼鈍分離剤を塗布すると、MgOが焼鈍中に方向性珪素鋼板表層にある珪素化合物と反応して、フォルステライト皮膜が形成され、これが焼鈍分離性を向上させると言われているところ、この皮膜はガラス性であるため、さらに後の工程において、加工時に金型などの磨耗を促進する、などの問題があることから、この特許文献1では、方向性珪素鋼板表層の珪素化合物と反応せず、さらには焼鈍時の圧着も抑制できる物質として、かわりにAl2O3を提案している。さらにその塗布方法として、粉体そのもの、もしくはその懸濁液を静電塗布する方法を提案している。
一方、焼鈍後の方向性珪素鋼板を巻き戻してさらに絶縁被膜を形成するよう加工するのに先立って、焼鈍分離剤を、酸またはアルカリにて洗浄し、除去することが、特許文献2などにより知られている。
鉄と鋼 S1372(1985) 特開平5-156362号公報 特開2005-187941号公報
しかしながら、非特許文献1のような方法では、上記のような液体の焼き付き防止剤あるいは固体を液体に分散し、懸濁させた、焼き付き防止剤を、金属板に塗布すると、塗布後に巻き取る際に、その液体が落下するため、クリーニングラインや専用の塗布ラインなどのラインのほか、バッチ焼鈍炉内にも、焼き付き防止剤が溜まってしまう問題があった。また、工場内をクレーンなどで、コイル状に巻き取られた金属板を運搬する際にも、やはり液体が落下し、様々な悪影響が出る問題があった。
また、液体がバッチ焼鈍炉内で蒸発することにより、バッチ焼鈍炉の内壁を傷めたり、金属板上に染みとなって模様を形成したりする、などの問題もあった。
さらに、特許文献1のような方法は、方向性珪素鋼板の焼鈍に対象を限定した提案であり、しかも、鋼中酸可溶性Alを有効量保持する目的で、珪素化合物との反応が安定なAl2O3を提案しているに過ぎず、一般的に用いることのできる方法とは言えない。しかも、焼鈍が終わった後の焼鈍分離剤の除去については全く言及しておらず、工業的規模での実用化を図ることを前提としているとは言い難い。また、焼鈍分離剤の除去について言及していない以上、周辺設備や環境への配慮なども不足していると言える。
特許文献2のような方法では、焼鈍分離剤の除去に酸またはアルカリの液体を用いているため、循環用の配管や回収槽など、周辺設備の腐食対策や、それら周辺設備への金属水酸化物の付着対策が必要であり、さらには、処理される金属板に金属水酸化物が付着するのを防止するために、金属板を洗浄するための設備が、また別に必要になってしまう、という問題があった。この他、酸またはアルカリが、万一工場外に漏出した場合、環境に悪影響が出る問題があった。その対策のための設備的施策も必要であった。
本発明は、上述のような従来技術の問題を解決すべく、なされたものである。
すなわち、本発明は、冷間圧延した金属板をバッチ焼鈍する前に、該金属板の表面に焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつ粉体を静電塗布し、該バッチ焼鈍後、該粉体を中性の液体により洗浄することを特徴とする、冷延金属板の製造方法である。
また、本発明は、該粉体がマイカであることを特徴とするものである。
さらに、本発明は、可及的に中性にすべく、前記液体を新たに補充することを特徴とするものである。
本発明の冷延金属板の製造方法によれば、金属板がバッチ焼鈍中に焼き付いて圧着したものを剥がしたり、巻き緩みによって擦り疵になったりすることで、製品金属板の表面に欠陥が発生するのを、焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつ粉対を静電塗布することによって、効果的に抑制しつつ、また、それら粉体を静電塗布することで、液体が落下して溜まってしまったり、さらに、バッチ焼鈍炉の内壁を傷めたりするのも防止しつつ、焼鈍後のその粉体の除去も、水などの中性の液体で、簡単な設備と方法により行うことができる。
図1に、本発明の一つの実施の形態を示す。図1中、1は、静電塗布装置を示し、3は、ノズルを示す。本実施の形態では、先述の図5に示したクリーニングライン100のウォッシュ(アルカリ脱脂)槽40とテンションリール70の間、もしくはリンス槽50以降とテンションリール70との間に、例えば、図1に全体を模式的に示すような静電塗布装置1を設置する。以下、その場合を例に説明する。
図1中、3はノズルであり、その先端から、金属板Sの焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつ粉体、あるいは、その粉体を液体に懸濁したものを、帯電させて噴射することで、金属板Sに粉体を静電塗布する。懸濁に使用した液体は蒸発するので、蒸発せずに残った粉体は、確実に金属板Sに付着する。また、懸濁に使用した液体は蒸発するので、クリーニングライン周辺、工場内、あるいは、バッチ焼鈍炉内に液体が落下して溜まってしまうような問題は発生しない。
静電塗布装置1は、粉体が飛散するのを防止する目的で、図1中、破線で示したように、筐体で全体を覆うようにするのが好ましく、ノズル3は、図1中では、一部図示を省略されているものの、本実施の形態では、幅方向10個×3列配置されている。
ノズル3の配置は、金属板Sの搬送方向中、異なる位置に設置したノズル同士を、金属板Sの幅方向に見た場合に、同じ位置に配置しても構わないが、千鳥状に配置すると、粉体が金属板Sにより均一に付着するため好ましい。が、ここに挙げた2つの配置に限るものでもない。
粉体は、図示しない配管、ポンプ、それに回収槽で構成される循環系統により、回収され、再利用される。
ノズル3の個数は、ノズル3の配置を、金属板Sの幅方向同位置とするか、千鳥状とするか、のスプレーパターンや、ノズル3と金属板Sの表面との距離によって、必ずしも幅方向10個×3列の計30個に限るものではなく、粉体を金属板Sに付着させるに際して要求される均一さの程度に応じて、適宜決定してよい。
静電塗布装置1の、破線で示した筐体は、鉄やアルミなどの金属製でもよいし、アクリルなどの樹脂でもよい。
図1の例では、金属板Sの上側のみから、ノズル3を経て、粉体を噴射する場合について示してあるが、下側のみからでもよいし、両側からでもよい。
静電塗布装置1は、静電気により粉体が金属板Sに付着する原理を利用するものであれば、いかなるものでもよい。
噴射条件としては、噴射量に対する金属板Sの表面への付着量の比である付着効率を極力高めることが課題であるが、所望の付着量の少なくとも3〜5倍噴射することが必要になる。
適用する粉体は、酸化カルシウム、マイカ(雲母)、酸化アルミニウム、チタン酸カリウムなど、金属板Sの焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもち、難溶性、不溶性のものが好ましい。
焼き付きによる圧着が剥がれたり、巻きが緩んで擦り疵になったりすることで、製品金属板の表面に欠陥が発生するのを防止するには、塗布する粉体の材質や比重にもよるが、おおよそ0.5g/m2以上の付着量を確保することが好ましい。特にマイカ(雲母)であれば、不溶性であるため、後述する水などの、粉体を洗浄するための中性の液体を、洗浄後に回収し、再使用、循環させるに際しても、そこから分離、回収し、再使用するのが容易になることから、工業的規模での実用化を図る上で好ましく、また、粉体、洗浄用の液体とも、再使用され、循環系等内で循環するだけである以上、工場内で用いられているその他の有毒物質が間違って混入したような場合も含めて、それらが工場外に排出されることもないから、環境への配慮上も好ましい。また、万一、工場外に流出しても、それを含んだ水は中性であり、何ら環境に悪影響を及ぼさない、という利点もある。
なお、粉体の大きさについては、大きすぎると、焼き付きによる圧着を防止できても、巻き取り張力が大きい場合に押し疵が金属板に入ってしまう可能性があり、また、小さすぎると、飛散した粉体が筐体から漏れ出てクリーニングラインなどのライン全体に散逸するため、その掃除や、他の機器の隙間などに入り込んでしまうと、そのメンテナンスに多大な人力的負荷を要することが懸念されるため、最大径にして、10μm〜100μmの範囲が好適である。が、この範囲を外れたとしても、焼き付きによる圧着を防止する効果が小さくなるわけではない。
以上のような粉体の塗布により、重なり合う金属板同士の直接の接触が妨げられているから、巻き取り張力を、例えば、200MPaまで上げても、焼鈍中に焼き付いて圧着してしまうことがない。巻き取り張力をアップすることにより、焼鈍後の巻き緩みによって擦り疵が発生するのも抑制ないしは防止することができる。
巻き緩みの発生を防止できる巻き取り張力は、金属板の材質や板厚によっても異なるが、最低でも60MPa以上を必要とする。本発明では、粉体の塗布により、重なり合う金属板の表面同士の間の摩擦係数が低下しているので、その点では、焼鈍中に巻き緩みが発生しやすくなる作用が若干あるものの、粉体自身が、金属板の表面に擦り疵が発生するのを抑制する作用をもつので、巻き取り張力を、例えば、20MPaまで下げても、焼鈍後の巻き緩みによって擦り疵が発生することはない。
以下に説明するのも、本発明の一つの実施の形態であるが、バッチ焼鈍の終わった金属板は、例えば、コイル状に巻き取られたものであれば、それよりも後の次の工程である、例えば、図2に示す、精整ラインの一つ、スキンパスラインに供される場合があるが、そのようなライン入側で、ペイオフリールから巻き戻される際も、上記の粉体を塗布したことで、金属板同士の接触が妨げられているから、焼き付いてしまっていて巻き戻せなくなるようなことはない。
また、粉体の融点もしくはガラス遷移点は、焼鈍温度よりも高温であるため、焼鈍が終わった後も、粉体がまだ残っていることから、巻き緩みによって、重なり合う金属板同士がずれたとしても、粉体が潤滑の作用を果たすため、擦り疵が発生することはない。
なお、図2は、精整ラインの一つである、スキンパスラインの一例の全体を模式的に示したもので、200は、スキンパスライン全体を指す。10は、ペイオフリール、70は、テンションリール、そして、80は、調質圧延機(スキンパスミル)である。図示を省略してあるが、ディフレクタロールなども存在する。
本実施の形態では、例えば、ペイオフリール10と調質圧延機80の間で、ノズル3から水を噴射することにより、本発明にいう、焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつ粉体を洗浄し、除去することができる。
図2中では、金属板Sの下側から水を噴射して洗浄する場合を例として描いているが、上側から噴射しても、あるいは、上下両側から噴射してもよい。また、図示していないが、ナイロンなどのブラシを備えたブラシロールを併用し、水を噴射しつつブラシロールを回転させて擦るようにすることで、洗浄作用を向上させるようにするのも好ましい。
そして、図2中では、調質圧延機80に対し、搬送方向入側に、粉体を洗浄するためのノズル3を配置しているが、出側、あるいは、入出両側に配置してもよい。
粉体を塗布するためのノズルの場合と同様、粉体を洗浄するためのノズルの配置も、金属板Sの搬送方向および幅方向に調整することが好ましい。
なお、洗浄用の液体の圧力は、水道水程度の圧力でも、粉体の除去は十分に可能であるが、ポンプ出側の吐出圧にして0.5MPa以上が好ましい。
そして、上記粉体は、難溶性であるため、水とほとんど反応しないことから、図3に示すように、水とともに回収したのち、フィルターにより、あるいは回収槽底への沈殿により、分離、回収、再使用できる。
図3中、3は、粉体を洗浄するためのノズル、5は、漏斗などの回収装置、7は、回収槽である。
以上の通りであるが、本発明は、以上説明した実施の形態に限られるものではない。
例えば、粉体は、金属板Sの焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつものであれば、酸化カルシウム、マイカ(雲母)、酸化アルミニウム、チタン酸カリウムなどに限るものではなく、難溶性、不溶性のものでないとしても、乾燥させて回収することができるか、環境中に排出させても問題ないような物質であれば、溶出するものであっても問題はない。
また、粉体を洗浄するための液体は、中性のものであれば、必ずしも水に限らなくても、油でも、油を含んだものでも、あるいは、炭化水素やアルコールその他の液体であってもよい。ここで、中性の範囲であるが、本発明の場合、pHにして、6.5〜8.5とすることが好ましく、7〜8とするとさらに好ましい。
この意味からすると、洗浄用の液体は、厳密な意味でpH=7の中性でなくてもよく、Al2O3(アルミナ)のように、水中に若干溶け出して、溶液を弱アルカリ性に変化させるようなものも、本発明にいう粉体として使用してもよいことになる。
さらに、上記の値の範囲は絶対的なものではなく、ポンプの故障時など、何らかの異常が生じたような場合に、Al2O3(アルミナ)が濃度過多になり、pHが10まで上昇するような場合も許容し、そのような場合までを完全に排除してしまうものではない。
最後に、以上の説明は、クリーニングライン、スキンパスライン内で、粉体を塗布、除去する場合の実施の形態について説明してあるが、これらのラインに設置スペースを確保できなかったり、塗布、除去時のごく微妙な影響も排除し、塗布、除去の均一性を確保したい場合には、専用の粉体塗布ライン、粉体除去ラインを使用するようにしてもよい。
(本発明例)
質量%で、炭素が0.78%の、板厚0.8mmに冷間圧延され、コイル状に巻き取られた冷延鋼板につき、図5に示したようなクリーニングライン100のドライヤー60の出側に設置された、図1に示したような静電塗布装置1(筐体による粉体回収機構を含む)により、金属板Sに相当する冷延鋼板の上側と下側から、その表面に酸化アルミニウム粉末を静電塗布した。
金属板Sに相当する冷延鋼板の搬送速度は100mpmとし、上側と下側に設置したノズル3の先端の冷延鋼板からの距離は100mmとし、250g/m/minの噴射条件により、単位面積あたりの平均付着量1g/m2以上を確保するようにした。
(比較例)
粉体の静電塗布を行わない他は、上記本発明例と同じ条件にて通板し、比較例とした。
(その他の条件)
それぞれ、クリーニングライン100のテンションリール70での巻き取り張力を、それぞれ20MPa、80MPa、140MPaとして巻き取った冷延鋼板をバッチ焼鈍した。バッチ焼鈍は窒素雰囲気中で、加熱条件は710℃で20時間とした。焼鈍後、図2に示したようなスキンパスライン200入側のペイオフリール10から巻き戻すようにした。
(結果)
比較例の、静電塗布を行わなかった冷延鋼板は、クリーニングライン100のテンションリール70での巻き取り張力を20MPaとしたケースで、巻き緩みによるずれが発生し、冷延鋼板表面の擦り疵となった。同80MPaとしたケースでは、全長の一部に冷延鋼板同士の焼き付きが発生し、巻き戻しは可能であったものの、同冷延鋼板表面に焼き付き疵が発生した。140MPaとしたケースでは、同冷延鋼板同士が完全に貼り付き、巻き戻すことができなかった。
本発明例の、静電塗布を行った冷延鋼板は、同80MPa、140MPaとしたケースでは、巻き緩みによるずれに伴う擦り疵も、焼き付き疵も発生しなかった。20MPaとしたケースでは、巻き戻し時に、巻き緩みによるずれが発生したものの、疵とはならなかった。
次に、本発明例の冷延鋼板をコイル状に巻き取ったものを、次の工程に相当する精整ラインの一つである、図2に示したようなスキンパスライン200のペイオフリール10から巻き戻す際、下側に設置したノズル3から噴射される水スプレーで、同冷延鋼板の表面を洗浄しながら、搬送速度150mpmで通板し、調質圧延機80で伸び率1%として調質圧延を行ったところ、特に表面品質上の問題はなかった。洗浄に用いた水を、コイル状に巻き取られた冷延鋼板1本を圧延後に調査したところ、pHで7.8となっており、洗浄用の水を常時使用すると、さらにアルカリ性になる懸念があったため、水を循環させても大丈夫なようにする目的で、新たな水を補充し、水のpHを7.5以下に保つようにした。
(本発明例)
冷延鋼板の上側の表面に、マイカ(雲母)粉末を静電塗布した以外は、実施例1と同じ条件とした。100g/m/minの噴射条件により、単位面積あたりの平均付着量0.5g/m2以上を確保するようにした。
マイカ(雲母)は、実施例1の酸化アルミニウムと比べ、比重が軽いため、冷延鋼板との接触を防ぐために必要な粉体の重量は少なくても済むとともに、付着性も良好であった。
クリーニングライン100のテンションリール70での巻き取り張力は、実施例1と同様、80MPa、140MPaとして巻き取った後に、同冷延鋼板をバッチ焼鈍した。
その結果、本発明例では、何れの条件においても、巻き緩みによるずれに伴う擦り疵も、焼き付き疵も発生しなかった。
さらに、上記本発明例の、コイル状に巻き取られた冷延鋼板を、図2に示したようなスキンパスライン200のペイオフリール10から巻き戻す際、下側に設置したノズル3から噴射される水スプレーで、同冷延鋼板の表面を洗浄しながら、搬送速度200mpmで通板し、調質圧延機80で伸び率1%として調質圧延を行ったところ、実施例1と同様、表面品質上の問題はなかった。なお、回収した水はpH=7で全く変化がなかったため、そのまま循環、再使用できた。
本発明の実施の形態の一例を示す図 本発明の実施の形態の一例を示す図 本発明の実施の形態の一例を示す図 冷延鋼板の製造工程の一例を示す図 クリーニングラインの一例を模式的に示す図
符号の説明
S 金属板
1 静電塗布装置
3 ノズル
10 ペイオフリール
20 シャー
30 ウエルダー
40 ウオッシュ槽
50 リンス槽
60 ドライヤー
70 テンションリール
80 調質圧延機
100 クリーニングライン
200 スキンパスライン

Claims (3)

  1. 冷間圧延した金属板をバッチ焼鈍する前に、該金属板の表面に焼鈍温度よりも高温の融点もしくはガラス遷移点をもつ粉体を静電塗布し、該バッチ焼鈍後、該粉体を中性の液体により洗浄することを特徴とする、冷延金属板の製造方法。
  2. 請求項1において、粉体がマイカであることを特徴とする冷延金属板の製造方法。
  3. 請求項1において、前記液体を可及的に中性にすべく、前記液体を新たに補充することを特徴とする冷延金属板の製造方法。
JP2005250723A 2005-08-31 2005-08-31 冷延鋼板の製造方法 Expired - Fee Related JP4604918B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005250723A JP4604918B2 (ja) 2005-08-31 2005-08-31 冷延鋼板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005250723A JP4604918B2 (ja) 2005-08-31 2005-08-31 冷延鋼板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007061852A true JP2007061852A (ja) 2007-03-15
JP4604918B2 JP4604918B2 (ja) 2011-01-05

Family

ID=37924664

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005250723A Expired - Fee Related JP4604918B2 (ja) 2005-08-31 2005-08-31 冷延鋼板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4604918B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016040050A (ja) * 2008-12-23 2016-03-24 バーンズ グループ インコーポレーテッド 打ち抜きされた金属部品を形成する方法
CN111906142A (zh) * 2020-06-24 2020-11-10 浙江博星工贸有限公司 一种控制冷轧不锈钢带力学性能的工艺

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102041103B1 (ko) * 2018-11-28 2019-11-27 한국생산기술연구원 저융점 금속에 고융점 금속의 분산성을 향상시키는 합금제조 방법

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51124624A (en) * 1975-04-24 1976-10-30 Fujikura Ltd Method of producting soft copper wire for electric instrumen ts
JPS5621302A (en) * 1979-07-31 1981-02-27 Mitsubishi Electric Corp Coatint method of fuse-bonding prevention insulating film on metal material
JPH09125134A (ja) * 1995-11-07 1997-05-13 Sumitomo Metal Ind Ltd コイル焼鈍時の焼付き防止方法

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS51124624A (en) * 1975-04-24 1976-10-30 Fujikura Ltd Method of producting soft copper wire for electric instrumen ts
JPS5621302A (en) * 1979-07-31 1981-02-27 Mitsubishi Electric Corp Coatint method of fuse-bonding prevention insulating film on metal material
JPH09125134A (ja) * 1995-11-07 1997-05-13 Sumitomo Metal Ind Ltd コイル焼鈍時の焼付き防止方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016040050A (ja) * 2008-12-23 2016-03-24 バーンズ グループ インコーポレーテッド 打ち抜きされた金属部品を形成する方法
CN111906142A (zh) * 2020-06-24 2020-11-10 浙江博星工贸有限公司 一种控制冷轧不锈钢带力学性能的工艺
CN111906142B (zh) * 2020-06-24 2022-08-16 浙江博星工贸有限公司 一种控制冷轧不锈钢带力学性能的工艺

Also Published As

Publication number Publication date
JP4604918B2 (ja) 2011-01-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
RU2325965C2 (ru) Способ и установка для удаления окалины и/или очистки удлиненного металлического изделия
JP4604918B2 (ja) 冷延鋼板の製造方法
EP3461924A1 (en) Passivation system comprising an expelling device
JP2007197768A (ja) 溶融亜鉛めっき鋼板の洗浄方法および洗浄装置
US20170268114A1 (en) Method and system of treating a stainless steel strip, especially for a pickling treatment
JP2007039759A (ja) 溶融メッキ鋼板の製造方法,前処理洗浄装置,及び溶融メッキライン設備
EP3029163B9 (en) Method and system of treating a carbon steel strip, especially for pickling
JP6135575B2 (ja) 冷延鋼板の冷却方法および冷却設備ならびに冷延鋼板の製造方法
KR102546568B1 (ko) 초고강도 탄소강 합금들을 위한 스케일 컨디셔닝 공정
US20080216925A1 (en) Method and apparatus for producing scale-free sheet metal
CN115956009A (zh) 钢片的加工方法
EP0665902B1 (en) Method of manufacturing galvanised open or closed steel sections
KR100671083B1 (ko) 스트립 산세용 하부 노즐을 구비한 소둔 산세용 롤러
JP4952265B2 (ja) 鋼帯の電気めっき設備および電気めっき方法
JPH10265986A (ja) 冷間圧延ステンレス鋼帯の連続焼鈍・酸洗方法および設備
JP2008126229A (ja) 連続冷間圧延設備とその運転方法
JP2000080486A (ja) 熱延鋼帯の酸洗設備列および酸洗方法
JPH05302183A (ja) 銅および銅合金の変色防止処理方法
JPH0394049A (ja) ダミーコイルの再利用方法
JPS58135715A (ja) 熱延鋼板の連続脱スケ−ル装置
JPS6160154B2 (ja)
JP4000099B2 (ja) 厚板材軽圧下矯正機のバックアップロール摩耗防止方法
JP5803629B2 (ja) 調質圧延装置および調質圧延方法
JP2005171366A (ja) プレス加工用銅又は銅合金板条及びその製造方法
JPH0824936A (ja) 金属帯の圧延方法および設備

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080423

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090113

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100615

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100803

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100907

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100920

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131015

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees