JP5803629B2 - 調質圧延装置および調質圧延方法 - Google Patents
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Description
また、鋼帯の連続焼鈍ライン等のプロセスラインにおいては、調質圧延装置の下流側で、表面検査装置による自動検査によって鋼帯の表面の疵を検出し、上流側にフィードバックして、疵の発生原因を除去することが行われている。
また、特許文献2には、ロール表面に付着する亜鉛粉、鉄粉等の異物の除去を行う際に、ロール表面に500kg/cm2以上の高圧流体を直接吹きつけることにより、ロール表面の異物を除去することができることが記載されている。
また、特許文献3には、表面検査装置で欠陥を検出し、欠陥の周期性から欠陥発生個所を特定することが記載されている。
本発明者らの検討によると、この筋状汚れは調質圧延の際に発生することがわかった。具体的には、調質圧延は、圧下率が低いため、形状の不均一や、荷重のかかり方に不均一があると、ロールと鋼帯との間に部分的に隙間が発生しやすく、この隙間により潤滑油がロール上に筋状に残留する。残った潤滑油に含まれる汚物が汚れとなって、ロール上に残るため、鋼帯を圧延する際に、汚れが筋状に転写されてしまうことにより筋状汚れが発生することがわかった。
また、前記画像解析手段は、前記固体撮像素子が撮像した画像において、所定の濃度範囲にあり、かつ、アスペクト比が所定の閾値以上の領域を筋状汚れと判定するのが好ましい。
また、前記ワークロールを支える支持ロールを有し、前記出側潤滑油供給手段は、前記鋼帯の搬送方向下流側から、前記ワークロールと前記支持ロールとの間に潤滑油を供給することが好ましい。
また、前記表面検査工程において、所定の濃度範囲にあり、かつ、アスペクト比が所定の閾値以上の領域を筋状汚れと判定するのが好ましい。
また、前記出側潤滑油供給工程において、前記鋼帯の搬送方向下流側から、前記ワークロールと前記ワークロールを支える支持ロールとの間に潤滑油を供給することが好ましい。
図1に示す連続焼鈍ライン12は、払出しリール14a、14bと、溶接機16と、クリーニング部18と、焼鈍炉20と、調質圧延装置10と、巻取りリール22a、22bとを有して構成される。
また、本発明の調質圧延装置10が処理する鋼帯Sにも、特に限定はない。
ここで、図示例においては、2つの払出しリール14aおよび14bを有し、一方の払出しリール14aからの払い出しが終わると、他方の払出しリール14bからの払い出しが開始され、先の鋼帯Sの尾端と、後の鋼帯Sの先端とを、溶接機16が溶接して、連続的に鋼帯Sの処理を行うものである。
なお、複数の払出しリールを有するものに限定はされず、1つの払出しリールから鋼帯Sを払い出すものであってもよい。
図2に調質圧延装置10の概略図を示す。
調質圧延装置10は、調質圧延機24と、表面検査手段26とを有する。
図2に示すように、調質圧延機24は、補助ロール28a〜28d、ワークロール30a、30b、中間ロール32a、32b、バックアップロール34a、34b、入側潤滑油供給手段36a、36b、出側潤滑油供給手段38a、38bとを有する。
なお、ワークロール等の構成は、6段式に限定されるものではなく、ワークロールとバックアップロールとからなる4段式であってもよく、あるいは、一対のワークロールからなる2段式であってもよい。
同様に、補助ロール28c、28dは、ワークロール30a、30bの下流側(出側)に配置され、補助ロール28cが鋼帯Sを所定の高さに押し上げている。
補助ロール28a〜28dによって、鋼帯Sを押し上げることにより、絞りの発生を防止し、また、反りや板形状を調整している。
調質圧延液を鋼帯Sとワークロール(30a、30b)との間に供給することにより、ワークロールと鋼帯Sとの間の異物が混入することを防止し、ロールマークと呼ばれるが疵が発生することを防止している。
入側潤滑油供給手段36a、36bが供給する調質圧延液には、特に限定はなく、調質圧延で用いられる各種の調質圧延液(潤滑油、圧延油)が利用可能である。
出側潤滑油供給手段38a、38が供給する調質圧延液としては、入側潤滑油供給手段36a、36bが供給する調質圧延液と同様のものを利用すればよい。
また、出側潤滑油供給手段38a、38bは、後述する表面検査手段26による鋼帯Sの表面の検査結果に応じて、筋状汚れが発見された場合には、調質圧延液を供給するように制御され、筋状汚れが発見されなかった場合には、調質圧延液の供給を停止するように制御されている。
この点に関しては、後に詳述する。
調質圧延においては、異物の混入による疵を防止するために、鋼帯の搬送方向上流側(入側)から、鋼帯とロールとの間に調質圧延液を供給(噴射)して、鋼帯やロール表面の異物を除去することが行われている。しかしながら、鋼帯の入側から、鋼帯とロールとの間に調質圧延液を供給しても、筋状汚れを削減することはできなかった。
このように筋状汚れは、ワークロールと鋼帯との隙間が一因であるので、入側から調質圧延液を供給しても削減することができなかった。
これに対して、本発明は、調質圧延の後に、鋼帯Sの表面を検査し、筋状汚れの有無を検出して、筋状汚れが検出された場合に、出側から潤滑油を供給し、筋状汚れが検出されなかった場合に出側からの潤滑油の供給を停止するので、調質圧延液の使用量を必要最小限にすることができ、また、早期に筋状汚れの発生を検出して、その発生原因を除去することができるので、品質向上とコスト削減を両立することができる。
表面検査手段26は、CCD40a、40bと、解析手段42と、制御手段44と、電磁弁46とを有する。
図2に示されるように、CCD40aは、鋼帯Sの表面側に配置され、鋼帯Sの表面側の表面を撮像する。また、CCD40bは、鋼帯Sの裏面側に配置され、鋼帯Sの裏面側の表面を撮像する。
CCD40a、40bは、それぞれ撮像した鋼帯Sの表面の画像データを解析手段42に供給する。
また、図示例においては、鋼帯Sの表面側および裏面側のそれぞれにCCD40aおよび40bを配置したが、本発明はこれに限定はされず、表面側および裏面側のいずれか一方のみにCCDを配置する構成としてもよい。鉛直方向の上側の面である表面側の方が、筋状汚れが発生しやすいので、少なくとも表面側にCCD40aを配置することが好ましく、両面側に配置するのがさらに好ましい。
また、CCD40a、40bが撮像する領域に照明光を照射する光源を配置してもよい。
本発明において、解析手段42による筋状汚れ検出のための画像の解析方法に特に限定はない。例えば、解析手段42は、鋼帯Sの表面を撮像した画像データから、濃度が所定の範囲にある領域を抽出して、この領域の縦横のアスペクト比が所定の閾値を超えた場合を筋状汚れとして検出する。あるいは、濃度が所定の範囲にある領域を抽出して、この領域の長さ(鋼帯Sの搬送方向の長さ)が所定の閾値を超えた場合を筋状汚れとして検出してもよい。
解析手段42は、筋状汚れの検出結果を制御手段44に供給する。
すなわち、解析手段42による鋼帯Sの画像データの解析の結果、鋼帯Sの表面側または裏面側のいずれか一方に、筋状汚れが検出された場合に、電磁弁46を開くように制御し、表面側および裏面側の両方共に、筋状汚れが検出されなかった場合には、電磁弁を閉じるように制御する。
なお、複数の巻取りリールを有するものに限定はされず、1つの巻取りリールで鋼帯Sを巻き取るものであってもよい。
焼鈍炉20によって焼鈍された鋼帯Sは、補助ロール28a〜28dを通過し、一対のワークロール30a、30bの間、および、CCD40aとCCD40bとの間を通過する、所定の搬送経路で案内される。
ワークロール30a、30bの間で調質圧延された鋼帯Sは、補助ロール28bによって、所定の高さに押し上げられ、形状等の調整がされた後、CCD40aおよび40bの間に搬送される。
CCD40a、40bは、鋼帯Sの表面側および裏面側を撮像し、撮像した画像データを解析手段42に供給する。解析手段42は、CCD40a、40bが撮像した画像データから筋状汚れを検出し、検出結果を制御手段44に供給する。制御手段44は、解析手段42から送られた検出結果から、鋼帯Sの表面側または裏面側のいずれか一方に、筋状汚れが検出された場合に、電磁弁46を開くように制御して、出側潤滑油供給手段38a、38bが調質圧延液を供給するように制御する。一方、表面側および裏面側の両方共に、筋状汚れが検出されなかった場合には、電磁弁を閉じるように制御して、出側潤滑油供給手段38a、38bからの調質圧延液の供給を停止する。
CCD40a、40bの間を搬送された鋼帯Sは、次の工程に供される。図示例においては、巻取りリール22に巻き取られる。
[実施例1]
図1に示す連続焼鈍ライン12を用いて、鋼帯Sの処理を行った。
ライン速度は、250mpmとし、長さ5000mの処理を行った。
入側潤滑油供給手段36a、36bの調質圧延液の供給量は、10L/minとした。
出側潤滑油供給手段38a、38bが調質圧延液を供給する際の調質圧延液の供給量は、10L/minとした。
CCD40a、40bの撮像頻度は、1Hzとした。
解析手段42においては、明度が正常部の2/3以下で、かつ、アスペクト比が5以上の領域を筋状汚れとして検出した。
また、調質圧延液の使用量は、15L/minであった。
参考例1として、表面検査手段26の結果に基づく調質圧延液量制御を行わず、出側潤滑油供給手段38a、38bが常時、調質圧延液を供給する構成とした以外は、実施例1と同様にして処理を行い、外観の評価を行った。
評価の結果、不良率は0%であった。また、調質圧延液の使用量は、20L/minであった。
比較例1として、出側潤滑油供給手段38a、38bが調質圧延液を供給しない構成とした以外は、実施例1と同様にして処理を行い、外観の評価を行った。
評価の結果、筋状汚れが発生した後は、筋状汚れが消失しなかった。不良率は45%であった
また、実施例1は、参考例1と比較して潤滑油の使用量が25%少ないことからわかるように、本発明は、筋状汚れの検出有無に応じて、潤滑油の供給を行うので、潤滑油の使用量を大幅に削減することができることがわかる。
12 連続焼鈍ライン
14a、14b 払出しリール
16 溶接機
18 クリーニング部
20 焼鈍炉
22a、22b 巻取りリール
24 調質圧延機
26 表面検査手段
28a、28b、28c、28d 補助ロール
30a、30b ワークロール
32a、32b 中間ロール
34a、34b バックアップロール
36a、36b 入側潤滑油供給手段
38a、38b 出側潤滑油供給手段
40a、40b CCD
42 解析手段
44 制御手段
46 電磁弁
S 鋼帯
Claims (8)
- 搬送される鋼帯を調質圧延するワークロールと、
前記鋼帯の搬送方向上流側から、前記ワークロールと前記鋼帯の表面に潤滑油を供給する入側潤滑油供給手段と、
前記鋼帯の搬送方向下流側から、前記ワークロールの表面に潤滑油を供給する出側潤滑油供給手段と、
前記ワークロールの後段に配置され、前記鋼帯の表面を検査する表面検査手段と、
前記表面検査手段において、濃度が所定の範囲にあり、かつ、アスペクト比が所定の閾値以上である筋状汚れが検出された場合に、前記出側潤滑油供給手段が潤滑油を供給するように制御し、筋状汚れが検出されなかった場合に、前記出側潤滑油供給手段が潤滑油の供給を停止するように制御する供給量制御手段とを有することを特徴とする調質圧延装置。 - 前記表面検査手段が、前記鋼帯の表面の画像を撮像する固体撮像素子と、前記固体撮像素子が撮像した画像を解析し、筋状汚れの有無を検出する画像解析手段とを有する請求項1に記載の調質圧延装置。
- 前記画像解析手段は、前記固体撮像素子が撮像した画像において、濃度が所定の範囲にあり、かつ、アスペクト比が所定の閾値以上の領域を筋状汚れと判定する請求項2に記載の調質圧延装置。
- 前記ワークロールを支える支持ロールを有し、
前記出側潤滑油供給手段は、前記鋼帯の搬送方向下流側から、前記ワークロールと前記支持ロールとの間に潤滑油を供給する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の調質圧延装置。 - 所定の搬送経路で搬送される鋼帯を、ワークロールによって調質圧延する調質圧延工程と、
前記鋼帯の搬送方向上流側から、前記ワークロールと前記鋼帯の表面に潤滑油を供給する入側潤滑油供給工程と、
前記鋼帯の搬送方向下流側から、前記ワークロールの表面に潤滑油を供給する出側潤滑油供給工程と、
前記調質工程の後段で、前記鋼帯の表面を検査し、濃度が所定の範囲にあり、かつ、アスペクト比が所定の閾値以上である筋状汚れの有無を検出する表面検査工程とを有し、
前記出側潤滑油供給工程は、前記表面検査工程において筋状汚れが検出された場合に、潤滑油を供給し、筋状汚れが検出されなかった場合に潤滑油の供給を停止することを特徴とする調質圧延方法。 - 前記表面検査工程において、固体撮像素子を用いて前記鋼帯の表面の画像を撮像し、撮像した画像を解析して、筋状汚れの有無を検出する請求項5に記載の調質圧延方法。
- 前記表面検査工程において、濃度が所定の範囲にあり、かつ、アスペクト比が所定の閾値以上の領域を筋状汚れと判定する請求項6に記載の調質圧延方法。
- 前記出側潤滑油供給工程において、前記鋼帯の搬送方向下流側から、前記ワークロールと前記ワークロールを支える支持ロールとの間に潤滑油を供給する請求項5乃至7のいずれか一項に記載の調質圧延方法。
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