JP2007061361A - 介護ベッド - Google Patents

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Abstract

【課題】被介護者に不快感を与えることなく、背床部の起伏昇降動作を行えるようにした介護ベッドを提供する。
【解決手段】フレーム2に設けた背床部4を水平状態(P1)から最大傾斜角度(P3)となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段7と、背床部4の昇降動作を指示する操作手段24と、操作手段24から与えられる指示に基づいて駆動手段7を制御する制御手段とを備えており、制御手段は、背床部4の上昇時及び下降時の少なくとも一方において、操作手段24からの指示に応答して駆動手段7の駆動を開始し、背床部4の傾斜角度が水平状態(P1)と起立状態(P3)の間の所定傾倒角度(例えばP2)となったときに、駆動手段7の駆動を停止させ、その後更に操作手段24から指示が与えられた場合に駆動手段7の駆動を再開する構成である。
【選択図】図4

Description

本発明は、横臥姿勢の被介護者を支持する床部のうち、背床部を水平状態と起立状態の間で昇降させる機能を備えた介護ベッドに関し、特に背床部の昇降制御に関する。
病院、養護老人ホーム若しくは家庭等において患者や老人等の被介護者が使用する介護ベッドは、横臥姿勢の被介護者を支持する床部のうち、被介護者の骨盤辺りから頭部を支持する背床部が水平状態から所定最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で起伏昇降するように構成されている(例えば、特許文献1、2、3)。この種の介護ベッドでは、背床部を最大傾斜角度に起立させた場合には背もたれとして活用できると共に、被介護者が介護ベッドから降りる際の立ち上がり動作を補助できる。
特開平7−298958号公報 特開平10−99163号公報 特開2003−111803号公報
しかしながら、従来の介護ベッドは、背床部を起立させるために上昇駆動を行うと、背床部が一定速度で水平状態から最大傾斜角度まで継続して一気に起き上がるため、被介護者の胸部若しくは腹部が圧迫され、被介護者が不快感を抱くことがある。このような胸部若しくは腹部の圧迫感は、被介護者の骨盤下部が背床部の起き上がり動作の支点に位置する場合には比較的小さいが、骨盤下部が支点からずれている場合には、背床部を持ち上げていくと被介護者の上半身が無理な姿勢のままで強制的に折曲されていくため、被介護者に強い圧迫感を与えていた。また従来の介護ベッドには、背床部を上昇させることに伴って脚床部を山形状に持ち上げていくタイプのものも存在し、この場合には胸部若しくは腹部の圧迫が更に強くなる。
また、従来の介護ベッドは、最大傾斜角度に起立した背床部を水平状態にまで下降させる際には、背床部を一定速度で水平状態となるまで継続して一気に下降させている。このとき被介護者は、三半規管が感知する背床部の角速度(若しくは下降速度)によって、背床部の傾斜角度を知覚する。しかし、背床部の下降動作を継続させていくと、三半規管の錯覚によって、実際に背床部がほぼ水平状態となる以前に被介護者は背床部がほぼ水平状態であると認識してしまい、その後更に背床部が下降すると被介護者は恰も逆さ吊り状態となっているかのような錯覚を生じ、不快感を抱くことがある。
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、被介護者に不快感を与えることなく、背床部の起伏昇降動作を行えるようにした介護ベッドを提供するものである。
本発明者らは、背床部の昇降機能を備えた介護ベッドに関し、背床部の昇降駆動時に被介護者が不快感を抱く傾倒角度について検証したところ、図6及び図7に示すような結果が得られた。即ち、図6は背床部を上昇駆動して水平状態から起立状態へと持ち上げる場合に胸部若しくは腹部に圧迫を感じた人数とそのときの角度θを示す図であり、図7は背床部を下降駆動して起立状態から水平状態へと持ち下げる場合に頭部が逆さ吊り状態であるかのような不快感を感じた人数とそのときの角度θを示す図である。
まず図6の結果から見て取れるように、背床部を水平状態から起立状態へと一定速度で一気に上昇させると、背床部の起き上がり角度が45度〜65度となったときに胸部若しくは腹部に圧迫感を感じ始める。そしてそれ以後も背床は上昇動作を継続して傾斜角度を更に大きくしていくので、不快感は増す一方である。そこで、本発明者らが背床部の上昇時における不快感を解消するために鋭意検討したところ、胸部若しくは腹部に圧迫感を生じ始める段階又はその直前の段階で背床部の上昇動作を一旦停止させれば、その停止状態で被介護者が自ら(又は介添えを得て)、圧迫を生じないような仰臥姿勢に整えることができ、しかも姿勢を整えた後には背床部を更に上昇させて傾斜角度を大きくしても不快感は生じないことを知見した。
次に図7の結果から見て取れるように、背床部を起立状態から水平状態まで一定速度で一気に下降させると、背床部の起き上がり角度が5度〜15度となったときに逆さ吊り状態であるかのような錯覚に陥り、不快感を抱き始める。この場合においても背床部は下降動作を継続して傾斜角度を更に小さくしていくので、その後は不快感が増す一方である。そこで、本発明者らが背床部の下降時における不快感を解消するために鋭意検討したところ、三半規管の機能によって背床部がほぼ水平状態になったと知覚される段階又はその直前の段階で背床部の下降動作を一旦停止させれば、その停止によって三半規管が角速度を感知しなくなり、錯覚に陥ることが防止できることを知見した。
したがって、本発明者らが上述した目的を達成するため、本発明に係る介護ベッドとして採用した解決手段は、フレームに設けた背床部を水平状態から最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段と、背床部の昇降動作を指示する操作手段と、前記操作手段から与えられる指示に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、背床部の上昇時及び下降時の少なくとも一方において、前記操作手段からの指示に応答して前記駆動手段の駆動を開始し、背床部の傾斜角度が水平状態と起立状態の間の所定傾倒角度となったときに前記駆動手段を停止させ、その後更に操作手段から指示が与えられた場合に前記駆動手段の駆動を再開する構成とした点にある。かかる構成により、背床部の上昇時及び下降時の少なくとも一方において、背床部が水平状態と最大起立状態の間で継続して一気に動作することがなくなる。そのため、例えば背床部の上昇時に所定傾倒角度で駆動手段を停止させる場合には、その停止状態で被介護者の仰臥姿勢を整えることができる。また背床部の下降時に所定傾倒角度で駆動手段を停止させる場合には、その停止によって三半規管が角速度を感知しなくなり、錯覚に陥ることが防止できる。
また本発明者らが、本発明に係る介護ベッドとして採用した他の解決手段は、フレームに設けた背床部を水平状態から最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段と、背床部の昇降動作を指示する操作手段と、前記操作手段から与えられる指示に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、背床部を上昇させる際に、前記操作手段からの上昇指示に応答して前記駆動手段の駆動を開始し、背床部の傾斜角度が前記最大傾斜角度に至る前の所定傾倒角度に至ったときに前記駆動手段を停止させ、その後更に前記操作手段から上昇指示が与えられた場合に前記駆動手段の駆動を再開して背床部を前記最大傾斜角度まで上昇させる構成とした点にある。この場合、前記所定傾倒角度は40度以上65度以下であることがより好ましい。かかる構成により、背床部の上昇時において背床部が水平状態から最大起立状態に至るまでの所定傾倒角度で停止するので、その停止状態で被介護者の仰臥姿勢を整えることができる。しかも被介護者の姿勢調整に十分な時間をかけることもできる。
また本発明者らが、本発明に係る介護ベッドとして採用した更なる他の解決手段は、フレームに設けた背床部を水平状態から最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段と、背床部の昇降動作を指示する操作手段と、前記操作手段から与えられる指示に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、背床部を下降させる際に、前記操作手段からの下降指示に応答して前記駆動手段の駆動を開始し、背床部の傾斜角度が水平状態に至る前の所定傾倒角度に至ったときに前記駆動手段を停止させ、その後更に前記操作手段から下降指示が与えられた場合に前記駆動手段の駆動を再開して背床部を水平状態まで下降させる構成とした点にある。この場合、前記所定傾倒角度は5度以上20度以下であることが好ましい。かかる構成により、背床部の下降時において背床部が最大起立状態から水平状態に至るまでの所定傾倒角度で停止するので、その停止により、被介護者の三半規管が角速度を感知しなくなり、恰も逆さ吊り状態であるかの錯覚に陥ることを防止できる。しかも錯覚状態から回復するために十分な時間をかけることもできる。
本発明に係る介護ベッドによれば、背床部が水平状態から最大起立状態に上昇する際、又は最大起立状態から水平状態に下降する際に、背床部の昇降動作が継続して一気に行われるのではなく、途中の所定傾倒角度で背床部が停止するので、被介護者に不快感を与えることなく、背床部の上昇動作又は下降動作を行うことができる。
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
図1及び図2は本発明に係る介護ベッド1の一構成例を示す図であり、図1は背床部4を水平に倒した状態を示しており、図2は背床部4を最大傾斜角度で起立させた状態を示している。この介護ベッド1は基台となるフレーム2を有し、そのフレーム2に、横臥する被介護者を支持する床部(ボトム)3を設けた構成である。床部3は、被介護者の骨盤辺りから頭部までの上半身を支持する背床部4と、被介護者の臀部辺りから膝辺りまでを支持する第一脚床部5と、膝辺りから足先までを支持する第二脚床部6がそれぞれ別個の床部材として構成される。尚、介護ベッド1を実際に使用する際には、床部3の上面にマットレス等が敷かれた状態となる。
床部3の下方には、背床部4を水平状態と所定最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降駆動する駆動手段7が、図示を省略する支持手段によってフレーム2に支持された状態で設けられる。この駆動手段7はモータ8とシリンダ9とスライドアーム10を有しており、モータ8の回転力をスライドアーム10の直進動作に変換してシリンダ9から出没させることにより、スライドアーム10がモータ8の回転量に応じた伸縮動作を行うものである。そしてスライドアーム10の先端はフレーム2に軸支された駆動アーム11に連結される。駆動アーム11は略L字型の形態を成し、一端側には背床部4の裏面を支持する支持ローラ12が設けられると共に、他端側にはスライドアーム10の先端を連結する連結部13が設けられる。そしてL字型の折曲部にはフレーム2に軸支される支持点14が設けられ、駆動アーム11は支持点14を中心に回動する。
したがって、図1に示す状態でモータ8を駆動させ、スライドアーム10をシリンダ9に引き込んでいくと、駆動アーム11の連結部13は次第にモータ8側に引っ張られ、駆動アーム11は支持点14を中心に回動して支持ローラ12が背床部4を支持した状態のまま上昇していき、最終的に図2に示す如く、背床部4が最大傾斜角度で起立した状態となる。逆に、図2に示す状態でモータ8を反転駆動させ、シリンダ9からスライドアーム10を繰り出していくと、駆動アーム11の連結部13は押し戻され、駆動アーム11は支持点14を中心に逆方向に回動して支持ローラ12が背床部4を支持した状態のまま下降していき、最終的に図1に示す如く、背床部4が水平状態となる。尚、背床部4の最大傾斜角度は、モータ8の回転範囲若しくはスライドアーム10のスライド可能範囲等を調整することにより、任意に設定可能であるが、背もたれ等として有効に活用するためには約70度に設定しておくことが好ましい。
また介護ベッド1には、背床部4の上昇動作に連動して第一及び第二脚床部5,6を山形状に持ち上げていく機構が設けられる。駆動アーム11の連結部13にはワイヤー17が連結され、このワイヤー17は床部3の下方を脚部側に配線される。そしてワイヤー17はプーリ18を介して第一脚床部5の裏面側に設けられた駆動アーム19に接続される。駆動アーム19は、上述の駆動アーム11と同様に略L字型の形態を有し、一端側には第一脚床部5の裏面を支持する支持ローラ20が設けられると共に、他端側にはワイヤー17を連結する連結部21が設けられる。そしてL字型の折曲部にはフレーム2に軸支される支持点22が設けられ、駆動アーム19は支持点22を中心に回動する。
したがって、背床部4を上昇させるためにモータ8を駆動すると、ワイヤー17に張力が与えられ、駆動アーム19が支持点22を中心に回動して支持ローラ20が第一脚床部5を支持した状態のまま上昇していく。第一脚床部5と第二脚床部6は、可撓性部材若しくは回動部材から成る連結具23によって互いに連結されており、第一脚床部5が傾斜角を増しながら上昇していくことに伴って第二脚床部6も連動して上昇していくことになり、最終的に図2に示す如く、第一及び第二脚床部5,6が山形状に持ち上げられた状態となる。背床部4が水平である状態において、例えばワイヤー17に若干の弛みを設けることにより、第一及び第二脚床部5,6が山形状に持ち上げられていくタイミングを調整することができる。
また介護ベッド1には、背床部4の昇降を指示するための操作手段24としてリモコン25が設けられており、被介護者又は介護者がリモコン25を操作することにより、駆動手段7による背床部4の昇降動作が開始される。
次に図3は介護ベッド1の動作を制御するための制御ブロックを示す図である。介護ベッド1は図3に示す制御機構を備えており、電源プラグ30から入力する電力PWは、電源供給部31及び制御回路32を介して駆動手段7を構成するモータ8に供給される。電源供給部31は交流直流変換を行って後段のブロックに電力を直流供給するものである。一方、制御回路32はマイコン等によって構成される制御手段33であり、操作手段24に含まれるスイッチ回路34からの指示に応答してモータ8の回転動作を制御するものである。スイッチ回路34には背床部4の上昇を指示する上昇スイッチ35と下降を指示する下降スイッチ36が設けられており、例えば上昇スイッチ35が操作された場合には制御回路32に対して上昇指示信号S1を出力する一方、下降スイッチ36が操作された場合には下降指示信号S2を出力する。そのため、制御回路32は上昇指示信号S1に応答して背床部4の上昇駆動を開始する一方、下降指示信号S2に応答して下降駆動を開始する。
また制御回路32には予め上昇時停止角度37と下降時停止角度38とが設定されている。これら上昇時停止角度37及び下降時停止角度38はいずれも背床部4の動作範囲内の傾斜角度として設定される。例えば、背床部4の最大傾斜角度が70度に設定されている場合、上昇時停止角度37及び下降時停止角度38はそれぞれ0度から70度までの範囲内の角度として設定される。そして背床部4を水平状態から上昇させる際には、背床部4が上昇時停止角度37によって表される所定傾倒角度となった時にモータ8の駆動を停止させる。また背床部4を起立状態から下降させる際には、背床部4が下降時停止角度38によって表される所定傾倒角度となった時にモータ8の駆動を停止させる。
モータ8は例えば直流モータで構成され、その内部にはロータの回転位置を検出する位置検出センサ39が設けられ、その位置情報D1は傾斜角度検出回路40に与えられる。傾斜角度検出回路40は、位置情報D1に基づいて背床部4の傾斜角度θを検知する検知手段41であり、その傾斜角度情報D2は制御回路32にフィードバックされる。
検知手段41は、モータ8の位置情報D1に基づいて背床部4の傾斜角度を検知する以外に、例えば背床部4の傾斜角度を直接計測する構成であっても良いし、駆動アーム11の傾斜状態又はスライドアーム10のスライド状態に基づいて背床部4の傾斜角度を検知する構成であっても良い。また更に、制御手段33自身が検知手段41の機能を備えた構成としても構わない。例えば制御手段33がモータ8をパルス駆動するものであれば、モータ8に出力するパルス数をカウントすることにより、背床部4の傾斜角度を検知することができる。また制御手段33に組み込まれるプログラムに予め検知手段41の機能を設けておくことにより、制御手段33がモータ8の駆動量を認識して背床部4の傾斜角度を検知することもできる。
そして制御回路32は、検知手段41から得られる傾斜角度情報D2に基づいて背床部4の昇降時における傾斜角度を逐次把握し、その傾斜角度が上昇時停止角度37若しくは下降時停止角度38に一致した場合にモータ8の駆動を停止させるのである。このようにしてモータ8を駆動途中で停止させた状態では、制御回路32は操作手段24から更なる上昇指示若しくは下降指示を入力しない限り、モータ8の駆動を再開しないように構成される。言い換えると、制御回路32は、背床部4の上昇時又は下降時にそれぞれの所定傾倒角度で背床部4を静止させた後、更なる上昇指示若しくは下降指示が与えられた場合には背床部4の昇降動作を再開するが、それまでの期間中は背床部4が静止した状態を継続させるのである。
背床部4を上昇させる際に、制御回路32がモータ8を停止させる背床部4の傾倒角度は特に限定するものではないが、背床部4が45度〜65度の傾斜角度まで起き上がったときに胸部若しくは腹部に圧迫感を感じ始めるという検証結果(図6)からすれば、背床部4の上昇時においてモータ8を停止させる背床部4の傾倒角度は、胸部若しくは腹部に圧迫感を生じ始める段階とその直前の段階を含む40度以上65度以下の角度として設定しておくことが好ましい。尚、より好ましくは、図6の検証結果において最も圧迫感を感じ始める人が多く分布する60度である。
このため介護ベッド1は、背床部4を水平状態から最大傾斜角度の起立状態へと上昇させる際には、図4に示すように動作する。即ち、駆動手段7による上昇駆動前には、背床部4は傾斜角度が0度の水平状態(図4のP1位置)にあり、操作手段24から与えられる上昇指示に応答して駆動手段7による背床部4の持ち上げ動作が開始される。そして背床部4は一定速度で矢印UP方向に起き上がっていき、最大傾斜角度に至るまでの上昇時停止角度37として設定された所定傾倒角度となった時点で停止する(図4のP2位置)。この停止状態では、上述したように、その後更に操作手段24から上昇指示が与えられない限り、駆動手段7による背床部4の持ち上げ動作が再開されることはない。したがって、この停止状態で、被介護者の胸部若しくは腹部の圧迫を生じない仰臥姿勢に整えることができ、そのように姿勢を整えた後には、再度操作手段24を操作して上昇指示を与えることにより、背床部4の持ち上げ動作が再開され、背床部4は更に起き上がって例えば70度程度の最大傾斜角度で停止する(図4のP3位置)。この状態では背床部4を背もたれとして活用できると共に、被介護者の介護ベッド1からの立ち上がり動作を補助できる。
また背床部4を下降させる際に、制御回路32がモータ8を停止させる背床部4の傾倒角度についても特に限定するものではないが、背床部4が5度〜15度の傾斜角度まで倒れたときに恰も逆さ吊り状態であるかのような錯覚に陥り、不快感を抱き始めるという検証結果(図7)からすれば、背床部4の下降時においてモータ8を停止させる背床部4の傾倒角度は、逆さ吊り感を生じ始める段階とその直前の段階を含む5度以上20度以下の角度として設定しておくことが好ましい。尚、より好ましくは、図7の検証結果において最も逆さ吊り感を感じ始める人が多く分布する15度である。
このため介護ベッド1は、背床部4を最大傾斜角度での起立状態から水平状態へと下降させる際には、図5に示すように動作する。即ち、駆動手段7による下降駆動前には、背床部4は傾斜角度が70度程度の起立状態(図5のP4位置)にあり、操作手段24から与えられる下降指示に応答して駆動手段7による背床部4の持ち下げ動作が開始される。そして背床部4は一定速度で矢印DN方向に下がっていき、0度の水平状態に至るまでの下降時停止角度38として設定された所定傾倒角度となった時点で停止する(図5のP5位置)。この停止状態では、上述したように、その後更に操作手段24から下降指示が与えられない限り、駆動手段7による背床部4の下げ動作が再開されることはない。したがって、この停止状態で、被介護者の三半規管は下降に伴う角速度を感知しなくなり、錯覚に陥ることを防止できる。その後、再度操作手段24を操作して下降指示を与えることにより、背床部4の下げ動作が再開され、背床部4は更に下降して水平状態で停止する(図5のP6位置)。この状態で被介護者は完全な横臥姿勢となり、十分に安息できる状態となる。
このように介護ベッド1は、操作手段24から与えられる指示に基づいて駆動手段7による背床部4の上昇動作又は下降動作を開始し、背床部4の傾斜角度が水平状態と最大起立状態の間の所定傾倒角度となったときに駆動手段7を一旦停止させるので、被介護者に不快感を与えることなく、背床部4の起伏昇降動作を行える。特に上述の介護ベッド1は、背床部4の上昇に連動して、第一及び第二脚床部5,6が山形状に持ち上がる構成であるので、背床部4の上昇時に所定傾倒角度で駆動手段7を停止させることは、被介護者の胸部若しくは腹部の圧迫を防止するという点でより効果的である。
尚、背床部4の昇降時に、背床部4を所定傾倒角度で停止させた場合、駆動停止から一定時間経過後に自動的に昇降動作を再開させる構成を採用することも考えられるが、その場合には再開時に被介護者が仰臥姿勢を完全に整え終えていないことや三半規管が錯覚状態から完全に回復していないことが想定される。そのため、上述したように操作手段24から上昇指示若しくは下降指示が再度得られた場合に、昇降動作を再開するような構成であることが好ましい。
また上述の介護ベッド1では、背床部4の上昇時及び下降時のいずれにおいても所定傾倒角度で背床部4の昇降動作を停止させる構成を例示したが、上昇時及び下降時のいずれか一方において、背床部4が所定傾倒角度となったときに駆動手段7を停止させる構成であっても構わない。
介護ベッドの一構成例を示す図であり、背床部を水平に倒した状態を示す図である。 介護ベッドの背床部を最大傾斜角度で起立させた状態を示す図である。 介護ベッドの動作を制御するための制御ブロックを示す図である。 介護ベッドの背床部を水平状態から最大傾斜角度の起立状態へと上昇させる際の背床部の上昇過程を示す図である。 介護ベッドの背床部を最大傾斜角度での起立状態から水平状態へと下降させる際の背床部の下降過程を示す図である。 背床部を上昇駆動して水平状態から起立姿勢へと持ち上げる場合に胸部若しくは腹部に圧迫を感じた人数とそのときの角度を示す図である。 背床部を下降駆動して起立姿勢から水平姿勢へと持ち下げる場合に頭部が逆さ吊り状態であるかのような不快感を感じた人数とそのときの角度を示す図である。
符号の説明
1 介護ベッド
2 フレーム
3 床部(ボトム)
4 背床部
7 駆動手段
8 モータ
24 操作手段
25 リモコン
32 制御回路
33 制御手段
37 上昇時停止角度
38 下降時停止角度
40 傾斜角度検出回路
41 検知手段

Claims (5)

  1. フレームに設けた背床部を水平状態から最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段と、
    背床部の昇降動作を指示する操作手段と、
    前記操作手段から与えられる指示に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、背床部の上昇時及び下降時の少なくとも一方において、前記操作手段からの指示に応答して前記駆動手段の駆動を開始し、背床部の傾斜角度が水平状態と起立状態の間の所定傾倒角度となったときに前記駆動手段を停止させ、その後更に操作手段から指示が与えられた場合に前記駆動手段の駆動を再開することを特徴とする介護ベッド。
  2. フレームに設けた背床部を水平状態から最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段と、
    背床部の昇降動作を指示する操作手段と、
    前記操作手段から与えられる指示に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、背床部を上昇させる際に、前記操作手段からの上昇指示に応答して前記駆動手段の駆動を開始し、背床部の傾斜角度が前記最大傾斜角度に至る前の所定傾倒角度に至ったときに前記駆動手段を停止させ、その後更に前記操作手段から上昇指示が与えられた場合に前記駆動手段の駆動を再開して背床部を前記最大傾斜角度まで上昇させることを特徴とする介護ベッド。
  3. 前記所定傾倒角度は40度以上65度以下であることを特徴とする請求項2記載の介護ベッド。
  4. フレームに設けた背床部を水平状態から最大傾斜角度となる起立状態の範囲内で昇降させる駆動手段と、
    背床部の昇降動作を指示する操作手段と、
    前記操作手段から与えられる指示に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、背床部を下降させる際に、前記操作手段からの下降指示に応答して前記駆動手段の駆動を開始し、背床部の傾斜角度が水平状態に至る前の所定傾倒角度に至ったときに前記駆動手段を停止させ、その後更に前記操作手段から下降指示が与えられた場合に前記駆動手段の駆動を再開して背床部を水平状態まで下降させることを特徴とする介護ベッド。
  5. 前記所定傾倒角度は5度以上20度以下であることを特徴とする請求項4記載の介護ベッド。
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