JP2007059628A - ABOx型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜の製造方法及びその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ABOX型ペロブスカイト結晶構造をもつ誘電体薄膜を製造するにあたって誘電率が高くリーク電流の少ない誘電体薄膜が得られる製造方法を提供すること。
【課題を解決する手段】
基板の表面に溶剤を塗布する工程と、次いで前記基板の表面全体に溶剤が存在する状態で前記薄膜の誘電体形成用組成物を含む塗布液を当該基板の表面の中央部に供給すると共に基板を回転させて塗布液を基板の表面に広げる工程と、その後、前記基板を加熱することにより塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う工程を実施した後塗布膜を焼成してABOX型ペロブスカイト結晶構造を持つ誘電体薄膜を得る。塗布液が基板上の溶剤を押し広げながら溶剤に置換し、塗布液の気相への接触が抑えられる。塗布膜への気相中のCO2の巻き込みに伴い塗布膜中の化合物とCO2との反応が抑えられ、リーク電流の原因となる反応物の生成が抑えられる。
【選択図】図6
【課題を解決する手段】
基板の表面に溶剤を塗布する工程と、次いで前記基板の表面全体に溶剤が存在する状態で前記薄膜の誘電体形成用組成物を含む塗布液を当該基板の表面の中央部に供給すると共に基板を回転させて塗布液を基板の表面に広げる工程と、その後、前記基板を加熱することにより塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う工程を実施した後塗布膜を焼成してABOX型ペロブスカイト結晶構造を持つ誘電体薄膜を得る。塗布液が基板上の溶剤を押し広げながら溶剤に置換し、塗布液の気相への接触が抑えられる。塗布膜への気相中のCO2の巻き込みに伴い塗布膜中の化合物とCO2との反応が抑えられ、リーク電流の原因となる反応物の生成が抑えられる。
【選択図】図6
Description
本発明は、ABOX型ペロブスカイト結晶構造をもつ例えばチタン酸バリウムからなる誘電体薄膜を製造する方法及びその装置に関する。
一般にコンピュータのCPU(中央処理ユニット)への電力供給システムは、電圧ドロップをなくすためにプリント基板上のコンデンサから給電される構成としている。しかしCPUの動作速度が急速に向上していることから、やがてCPUの動作時にコンデンサからの給電のタイミングが遅れてしまい、結果としてCPUの動作速度が制限されてしまうことになる。このようにコンデンサからの給電が追いつかなくなる原因は、プリント基板上におけるコンデンサとCPUとの距離を実装の都合上ある程度までしか小さくできないことにある。そこで、プリント基板の上に誘電体薄膜からなるコンデンサを実装し、その上にCPUを載せてこれらを直接接続することにより両者の距離を実質ゼロにしようとする試みがある。
このような誘電体薄膜として注目を集めている材質の一つとしてABOx型ペロブスカイト結晶構造をもつ例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)が知られており、その製法としてゾルゲル法が知られている(特許文献1)。ゾルゲル法とは、チタン酸バリウムの前駆体である有機金属化合物を含む塗布液、より具体的にはBa、Tiを含む例えば金属アルコキシドと有機溶媒とを含む誘電体膜形成用組成物(ゾルゲル材料)である塗布液を基板上に塗布し、加水分解させて金属−酸素−金属結合を生成することで前駆体膜を形成し、その後加熱してペロブスカイト構造をもつ結晶体からなる焼結体を得る手法である。この方法により得られた薄膜は、クラック耐性が低く、一回の塗布膜厚が100nm以上になるとクラックが発生し、良好な塗布膜を得ることが困難となる。このため、一回の塗布膜厚を100nm以下にする必要がある。
このため多層塗りを行ってチタン酸バリウム薄膜の全体の膜厚を大きくするようにしているが塗布膜中に含まれるBa(バリウム)イオン、Ba(OH)2(水酸化バリウム)あるいはBaO(酸化バリウム)は大気中のCO2(二酸化炭素)を吸収し、このCO2と反応してBaCO3(炭酸バリウム)となる特性がある。従って塗布膜を焼成する前、具体的には例えば塗布液を塗布する際、塗布膜のシンナーを乾燥する際あるいは焼成炉へ基板を搬送する際などにおいて当該塗布膜が大気に暴露されると、焼成後に形成されるチタン酸バリウム薄膜中にBaCO3が混入することになる。この薄膜中へ混入したBaCO3は電流を運ぶパスとなることからリーク電流の増大を招くことになるという問題がある。
更に空気中には水分が存在することから、CO2と水分とが反応してH2CO3(炭酸水)が生成し、この炭酸水は表面張力が小さいため塗布膜の表面に付着した後に塗布膜中に侵入し、結果として塗布膜中にCO2が取り込まれるというメカニズムもあると言われている。この場合、空気中の水分はCO2を膜中に取り込むためのいわば触媒であるといえる。
従来、塗布膜の形成は一般にスピンコーティングにより行われる。即ち図14(a)に示すように例えばチタン酸バリウムの誘電体膜形成用組成物の結晶粒子を含んだ塗布液12を基板10の中央部に供給しながら載置部11を介して基板10を鉛直軸周りに回転させると、遠心力により前記塗布液12が基板10上を周方向に広がる。このとき図14(b)に示すように塗布液12の外端が高速に外に向かうため周囲の空気が塗布液12中に巻き込まれ、これに伴ってCO2の液膜中への取り込み量が多くなってしまう。
このようなCO2の膜中への取り込みは、塗布膜1層の形成毎に起こることから、多層化するとCO2の取り込み量が多くなるため、結果としてリーク電流が流れやすくなり、従って塗布膜を多層化することは得策ではない。なお塗布膜中で一旦生成してしまったBaCO3を完全に分解するためには例えば900℃以上の高温で加熱することが必要となる。
そこでチタン酸バリウムの結晶粒子のサイズを100nm程度にする手法が提案されている(非特許文献2)。この手法は、上記のゾルゲル材料を特殊な条件で加水分解、分散させた材料を塗布液として用いる手法であり、この塗布液中には平均粒径100nm以下の粒子が分散されている。ここで説明の便宜上このような薄膜をナノ粒子の薄膜と呼ぶことにすると、ナノ粒子のチタン酸バリウム薄膜を形成する場合には、1層の塗布膜の厚さを大きくできるので、通常のゾル、ゲル法により得られる数nmオーダの結晶粒子のチタン酸バリウム薄膜に比べて積層数を少なくでき、1層とすることも可能である。このため成膜プロセス中におけるCO2の取り込み量を抑えることができる利点がある。
しかしながらコンデンサの製品化を実現するには、リーク特性をより一層向上させる必要があり、薄膜中へのCO2の取り込みをより一層抑える工夫をしなければならない。
しかしながらコンデンサの製品化を実現するには、リーク特性をより一層向上させる必要があり、薄膜中へのCO2の取り込みをより一層抑える工夫をしなければならない。
本発明は、このような背景の下になされたものであり、その目的は、ABOX型ペロブスカイト結晶構造をもつ例えばチタン酸バリウムなどからなる誘電体薄膜を製造するにあたって、誘電率が高くかつリーク電流の少ない誘電体薄膜が得られる製造方法及び製造装置を提供することにある。
本発明の方法は、ABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を基板上に製造する方法において、基板の表面全体に溶剤を塗布する工程と、次いで前記基板の表面全体に溶剤が存在する状態で、誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を当該基板の表面の中央部に供給すると共に基板を回転させて塗布液を基板の表面に広げる工程と、その後、前記基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う工程と、しかる後、塗布膜を焼成するために前記基板を加熱してABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を得る工程と、を含むことを特徴とする。
なおここで「焼成」とは有機溶媒を蒸発させた誘電体膜形成用組成物をアモルファスな状態から結晶化させることをいう。
またXの値は当該ABOx型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜を形成する各工程における処理雰囲気中の酸素の量により変動するが2.5〜3.5の範囲に含まれる。
なおここで「焼成」とは有機溶媒を蒸発させた誘電体膜形成用組成物をアモルファスな状態から結晶化させることをいう。
またXの値は当該ABOx型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜を形成する各工程における処理雰囲気中の酸素の量により変動するが2.5〜3.5の範囲に含まれる。
また他の発明の方法はABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を基板上に製造する方法において、誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を前記基板の中央部に供給し続けることにより周縁部に行き渡らせて塗布液の液盛りを行う工程と、続いて基板を回転させてその遠心力により塗布液を基板の表面に広げる工程と、その後、前記基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う工程と、しかる後、塗布膜を焼成するために前記基板を加熱してABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を得る工程と、を含むことを特徴とする。
前記誘電体膜形成用組成物は、(i)金属種A及び金属種Bを含むABOx型結晶構造を有する粒子、(ii)金属種A及び金属種Bを含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体及び金属水酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の成分、(iii)有機溶媒、の中から少なくとも(i)、(ii)のうちいずれか一方と(iii)とを含むようにしてもよい。また例えば前記ABOX型ペロブスカイト構造の結晶構造を有する薄膜は、金属種Aがリチウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタンから選ばれる一種以上の金属であり、金属種Bがチタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブから選ばれる一種以上の金属である、ABOXペロブスカイト型の結晶構造を有する薄膜である。
本発明の塗布膜形成装置は塗布液を基板に塗布し、更に焼成することにより得られるABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する薄膜を製造するための塗布膜形成装置であって、基板を載置する回転自在な載置台と、ABOX型ペロブスカイト構造を有する薄膜の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を吐出する塗布液ノズルと、溶剤を吐出する溶剤ノズルと、を含む塗布ユニットと、基板の表面全体に溶剤を塗布し、次いで前記基板の表面全体に溶剤が存在する状態で、前記薄膜の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を当該基板の表面の中央部に供給すると共に基板を回転させて塗布液を基板の表面に広げるように溶剤ノズルと塗布液ノズルと載置台との各動作を制御する制御部と、塗布液が塗布された基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う加熱ユニットと、前記基板を塗布ユニットから加熱ユニットまで搬送する基板搬送手段と、を備えたことを特徴とする。
また他の塗布膜形成装置は塗布液を基板に塗布し、更に焼成することにより得られるABOX型ペロブスカイト型の結晶構造を有する薄膜を製造するための塗布膜形成装置であって、基板を載置する載置台と、ABOXペロブスカイト型の結晶構造を有する薄膜の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を吐出する塗布液ノズルと、を含む塗布ユニットと、塗布液を前記基板の中央部に供給し続けることにより周縁部に行き渡らせて塗布液の液盛りを行い、続いて基板を回転させてその遠心力により塗布液を基板の表面に広げるように塗布液ノズルと載置台との各動作を制御する制御部と、塗布液が塗布された基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う加熱ユニットと、前記基板を塗布ユニットから加熱ユニットまで搬送する基板搬送手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、基板の表面全体に溶剤を塗布しておいて、この上から基板中央部にABOX型ペロブスカイトの結晶構造を有する薄膜用の塗布液を塗布して回転させているため、塗布液が基板上の溶剤を外側に押し広げながら溶剤に置き換わるので気相への接触が抑えられる。従って塗布膜への気相中の二酸化炭素の巻き込みが抑えられるため、塗布膜中に含まれる化合物と二酸化炭素とが反応することにより生じる生成物が塗布膜中に混入することが抑えられる。その結果としてこのように搬送された基板を焼成して得られるABOx型ペロブスカイト結晶構造をもつ誘電体薄膜においては当該ABOx型ペロブスカイト結晶構造膜中における前記生成物の混入が抑えられることになるためこの生成物による電流を運ぶパスが結晶構造膜中に形成されることが抑えられる。この結果ABOx型ペロブスカイト結晶構造膜の薄膜化を達成しつつ高い誘電率を確保しながら、リーク電流を抑えることができる。
また他の発明によれば、スピンコーティングを行わずに基板の表面中央部に塗布液を供給し続けて、表面全体に液盛りを行い、続いて基板を回転させて振り切りを行っている。従って塗布液が広がるときに気相の巻き込みの程度が最も大きい塗布液の外縁領域は、液盛りがされたときには基板の周縁付近に位置し、この部分の塗布液は、続く基板の回転により振り切られるため、塗布液が高速に基板の表面全体を走って一気に液膜が形成されるスピンコーティングと比較して気相中の二酸化炭素の取り込みが抑えられ、塗布膜中に含まれる化合物と二酸化炭素とが反応することにより生じる生成物が塗布膜中に混入することを抑えることができる。従って同様に良好な特性のABOX型ペロブスカイト結晶構造膜を得ることができる。
以下、本発明の実施形態をABOX型ペロブスカイト膜であるBaTiO3からなる誘電体薄膜を例えばシリコンウエハ(以下ウエハとする)からなる基板W(詳しくはウエハ上の下部電極膜の表面)に成膜するために用いられる塗布膜形成装置1も含めて図面を参照しながら説明する。図1はこの塗布膜形成装置1の斜視図であり、図2は同平面図である。塗布膜形成装置1は複数枚例えば25枚の基板Wが棚状に収納された搬送容器をなす基板キャリア(以下単に「キャリア」という)Cが搬入出されるキャリア載置部B1と、基板Wに対して塗布、加熱(ベーク)処理を行うための処理部B2とを備えている。キャリア載置部B1にはキャリアCを複数個並べて載置可能なキャリアステーション15と、キャリアCから基板Wを取り出して処理部B2へ受け渡すための受け渡し手段16とが設けられている。
キャリア載置部B1の奥側には処理部B2が接続されており、この処理部B2は上部が開口した筐体20により周囲を囲まれている。前記受け渡し手段16は筺体20内に進入し、後述の棚ユニット24Aの受け渡しユニット25に基板Wを受け渡すことができるようになっている。
この処理部B2の筺体20内の構成について図3をも用いて説明する。この図3はこの処理部B2に含まれるメイン搬送アーム23、塗布ユニット3及び棚ユニット24Aを同一平面に示した展開図である。処理部B2の中央には進退自在、昇降自在かつ鉛直軸周りに回転自在に構成されたメイン搬送アーム23が設けられており、キャリア載置部B1から見てこのメイン搬送アーム23の右側には2段に積層された塗布ユニット3が奥側に向けて2つ連なるように設けられている。またメイン搬送アーム23の前後及び左側には夫々加熱、冷却系のユニットが積層された棚ユニット24A、24B、24Cが設けられており、棚ユニット24Aは例えば4つの加熱ユニット5、受け渡しユニット25及び前記加熱ユニット5にて加熱処理された基板Wを所定の温度に冷却するための5つの冷却ユニット26が上からこの順に積層されて構成されている。棚ユニット24B、棚ユニット24Cは例えば受け渡しユニット25が設けられていない他は棚ユニット24Aと同様に構成されており、前記メイン搬送アーム23はこれらの棚ユニット24A〜24Cを構成する各ユニット及び前記塗布ユニット3に基板Wを受け渡せるようになっている。なお図3中27はメイン搬送アーム23を鉛直方向に移動させるためのガイドである。
塗布ユニット3について図4を用いて説明すると塗布ユニット3は例えば筺体30を備えており、前記メイン搬送アーム23の移動する領域を搬送用通路R1とすると、この搬送用通路R1に面する筺体30の側壁には基板Wの搬送口31が設けられている。筺体30の内部には基板Wの載置部をなすステージ32が設けられている。このステージ32は基板Wの裏面中央部を吸着して水平に保持できるようにバキュームチャックになっており、駆動部33を介して昇降自在かつ鉛直軸回りに回転自在に構成されている。なおこの駆動部33は後述の制御部100からの制御信号を受けることにより、後述する塗布膜の形成工程に従って基板Wに塗布膜が形成できるようにステージ32の回転速度を制御するようになっている。図中34はステージ32に保持された基板Wの周縁外側を囲うように設けられた上部側が開口したカップ体であり、このカップ体34の底部側には凹部状をなす液受け部35が基板Wの周縁下方側に全周に亘って設けられている。図中36は後述の塗布液4A及び溶剤4Bなどのドレインを排出するための排液路であり、図中37は排気路である。
ステージ32の上方にはノズルユニット4が設けられており、このノズルユニット4は例えば互いに連設された塗布液供給ノズル41と溶剤供給ノズル42とにより構成されている。塗布液供給ノズル41は塗布液供給管43を介して例えばBaTiO3の前駆体膜を作成するための例えば水酸化バリウム一水和物とイソプロポキシチタンとを有機溶媒である2−メトキシメタノールに溶解した誘電体膜形成用組成物を含む塗布液4Aが貯留された塗布液供給源44に接続されている。また溶剤供給ノズル42は溶剤供給管45を介して例えば2−メトキシエタノールなどからなる溶剤4Bが貯留された溶剤供給源46に接続されている。ノズルユニット4はアーム49aを介して駆動部49に接続されており、駆動部49は制御部100からの制御信号を受けることで例えば後述の塗布膜の形成工程に従って基板W上に塗布膜が形成されるように当該ノズルユニット4を水平方向に移動させる。なお図中45,47は各供給管に介設された液体供給機器群であり、例えばこれら液体供給機器群にはバルブ、流量制御部などが組み込まれている。そしてこれら液体供給機器群は制御部100からの制御信号を受けて各供給源から各ノズルへの塗布液4A及び溶剤4Bの給断及び流量を夫々制御するようになっており、既述のように駆動部49を介してノズル41(42)がステージ32に保持された基板Wの中央部上に移動すると当該ノズル41(42)は供給源44(46)から供給された塗布液4A(溶剤4B)を基板Wの中心部に吐出するようになっている。
図4に戻って、筺体30内の上部にはパ−ティクル除去用の清浄化フィルタ38aと吸引ファン38bからなるフィルタユニット38が設けられている。このフィルタユニット38には気体供給管39の一端が接続され、この気体供給管の他端は例えば塗布ユニット3の側部から下段側の塗布ユニット3の底部に回り込み筺体20の外へ伸長しており、前記吸引ファン38bの回転により筺体20の外部の空気が気体供給管39内に流入し、その空気はフィルタユニット38により清浄化されて筺体30内全域にダウンフローされるようになっている。
続いて図5を用いて加熱手段である加熱ユニット5について説明する。図5中50は筐体であり、51は前記搬送用通路R1に面する筺体50の側壁に設けられた基板Wの搬送口である。筺体50の内部には有底の円筒状に形成された熱板支持部材52が設けられており、前記熱板支持部材52内には例えば円形状の熱板53が設けられている。図中54は熱板53に埋めこまれたヒータである。また図中55は昇降可能な整流用の天板であり、この天板55はフランジ部を有する蓋状に形成され、前記フランジ部の内方全周に亘りガス供給口56が設けられており、このガス供給口56はガス供給管56aを介して例えばN2ガスなどの不活性ガスが貯留されているガス供給源56bに接続されている。また天板55の中央下部には排気口57が開口しており、排気口57は排気管57aを介して吸引機構57bに接続されている。図中58はOリングであり、基板Wが前記熱板53上に載置されると前記天板55が下降して、前記Oリング58を介して天板55の周縁部と熱板支持部材52の周縁部とが密着することにより基板Wの周囲が密閉空間となる。このように密閉空間が形成されたときに例えば市販のN2ガスボンベであるガス供給源56bから供給されたN2ガスがガス供給口46から基板Wの全周を囲むように吐出される一方で吸引機構57bにより排気口57を介して吸引排気が行われ、図5中矢印で示すような基板Wの外周から中央に向かう気流が形成されながら当該基板Wが、N2ガス雰囲気で加熱されるようになっている。
棚ユニット24A〜24Cに含まれる冷却ユニット26の詳しい説明は省略するがこの冷却ユニット26は例えば前記加熱ユニット5と同様に搬送用通路R1に向かって搬送口52が開口された筺体50を備え、その筺体50内部には例えば水冷方式の冷却プレートを備えた構成の装置が設けられている。また棚ユニット24Aに含まれる受け渡しユニット25は例えば加熱ユニット5と同様に筺体50を備え、その筺体50の内部に基板Wを載置するための例えば円形のステージが設けられており、このステージを介して基板Wのメイン搬送アーム23と受け渡し手段16との間で基板Wの受け渡しが行われるようになっている。
また図1から図3に示すように、処理部B2の上方には当該処理部B2の天井部となるフィルタユニットFが並設され、各フィルタユニットFはパ−ティクル除去用の清浄化フィルタ61及び吸引ファン62を備え、外部の空気を清浄化して処理部B2内にダウンフローを形成するように構成されている。
続いてこの塗布膜形成装置1に備えられた制御部100について説明する。この制御部100は、例えばコンピュータからなるプログラム格納部を有しており、プログラム格納部には後述するような塗布膜形成装置1の作用、つまり基板Wの塗布、加熱処理、基板Wの受け渡し、塗布ユニット3におけるステージ32の回転及びノズルユニット4の移動、各ノズルからの薬液の供給制御などが実施されるように命令が組まれた例えばソフトウエアからなるプログラムが格納される。そして当該プログラムが制御部100に読み出されることにより制御部は後述する塗布膜形成装置1の作用を制御する。なおこのプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカードなどの記録媒体に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
次に既述の塗布膜形成装置1を用いて表面に下部電極としてPt(プラチナ)からなる膜が形成されている基板Wに、塗布膜であるBaTiO3膜を形成する手順について説明する。先ず外部からキャリアCがキャリア載置部B1に搬入され、キャリアステーション15に載置されると受け渡し手段16がこのキャリアCから基板Wを搬出する。続いてシャッタ22が開き基板Wを保持した受け渡し手段16が処理部B2内に進入し、棚ユニット24Aの受け渡しユニット25に基板Wを受け渡した後、この受け渡し手段16は処理部B2から退避する。
その後メイン搬送アーム23が前記受け渡しユニット25から基板Wを受け取ると、このメイン搬送アーム23は基板Wを塗布ユニット3内に搬送し、ステージ32上に受け渡した後、塗布ユニット3内から退去する。この塗布ユニット3内において塗布液4Aによる塗布膜が形成される様子について図6〜8を参照しながら説明すると、先ず図6(a)に示すようにて溶剤供給源46から供給された溶剤4Bが溶剤供給ノズル42を介して基板Wの表面中央部に吐出され、この吐出を続けることにより溶剤4Bは基板Wの周囲に広がり、基板Wの表面全体に溶剤4Bが液盛りされる(図6(b))。
続けて駆動部49によりノズルユニット4を移動して塗布液供給ノズル41を基板Wの中央部の上方に位置させ、塗布液供給ノズル41から塗布液4Aを基板Wの表面中央部に吐出すると同時に駆動部33によりステージ32を鉛直軸周りに例えば2000rpmで回転させる(図6(c))。これにより表面中央部に吐出された塗布液4Aは遠心力により展伸するいわゆるスピンコーティングによって基板W上の中央部から周縁部に広げられる(図7(a))。
図8はこのスピンコーティング時の基板W上の液流れの様子を示しており、基板Wの中心部に供給された塗布液4Aは遠心力により基板Wの表面上を外に引っ張られる格好で広がっている。このようにして塗布液4Aが溶剤4Bに置き換わり、基板Wの表面全体が塗布液4Aに覆われると図7(b)に示すように供給ノズル41からの塗布液4Aの供給が停止し、ステージ32はそのまま回転させて塗布液4Aの振り切り乾燥を行い、その後ステージ32の回転が停止する。
続けて駆動部49によりノズルユニット4を移動して塗布液供給ノズル41を基板Wの中央部の上方に位置させ、塗布液供給ノズル41から塗布液4Aを基板Wの表面中央部に吐出すると同時に駆動部33によりステージ32を鉛直軸周りに例えば2000rpmで回転させる(図6(c))。これにより表面中央部に吐出された塗布液4Aは遠心力により展伸するいわゆるスピンコーティングによって基板W上の中央部から周縁部に広げられる(図7(a))。
図8はこのスピンコーティング時の基板W上の液流れの様子を示しており、基板Wの中心部に供給された塗布液4Aは遠心力により基板Wの表面上を外に引っ張られる格好で広がっている。このようにして塗布液4Aが溶剤4Bに置き換わり、基板Wの表面全体が塗布液4Aに覆われると図7(b)に示すように供給ノズル41からの塗布液4Aの供給が停止し、ステージ32はそのまま回転させて塗布液4Aの振り切り乾燥を行い、その後ステージ32の回転が停止する。
既述の塗布処理が終わった基板Wはメイン搬送アーム23により加熱ユニット5内に搬送され焼成の前処理である加熱処理が行われる。熱板53上に基板Wが載置されると既述のように天板55が下降して基板Wの周囲が密閉空間となり、不活性ガスであるN2ガスの気流が形成されながら基板Wが例えば250℃で1分間加熱されることにより塗布液4A中の有機溶媒である2−メトキシメタノールが蒸発して例えばアモルファスな状態のBaTiO3膜の前駆体膜が形成される。
このように加熱ユニット5における加熱処理を受けた基板Wはメイン搬送アーム23により冷却ユニット26に搬送され、所定の温度に冷却された後に受け渡しユニット25に搬送される。その後この基板Wは受け渡し手段16により処理部B2に搬送されたときとは逆の手順で元のキャリアCに戻される。
キャリアCに戻された基板Wは例えば縦型熱処理装置などの焼成炉に搬送され、例えば750℃で焼成されることにより前記前駆体膜が結晶化して例えば膜厚100nm程度のBaTiO3膜64が基板WのPt膜65上に形成される。その後BaTiO3膜64の上部に例えば上部電極としてNi(ニッケル)からなる膜66が蒸着により形成されることで図9に示すように基板Wにコンデンサ構造が形成される。なお前記Niに代えて例えばAl(アルミニウム)を用いて上部電極を構成してもよい。
このようなBaTiO3膜の製造方法によれば、スピンコーティング時において丸みを帯びていた塗布液4Aの外端が高速に外に向かうため、基板W上に溶剤4Bが存在しないときには既述のように周囲の雰囲気(この例では空気)を巻き込み(図14参照)、これにより空気中のCO2が塗布液4A中に多く取り込まれるが、この例では基板W上に予め溶剤4Bが液盛りされているため、塗布液4Aの外端は溶剤4Bと接しつつ外に向かうことになるので空気の巻き込みが抑えられる。即ち塗布液4Aと溶剤4Bとがいわば液−液置換を行うことになり、その結果CO2及びH2Oの取り込み量が低減される。それゆえに塗布膜4A中の水酸化バリウム一水和物がCO2と反応してBaCO3が生成することが抑えられるため塗布膜を焼成した後の結晶構造膜中にこのBaCO3により電流を運ぶパスが形成されることが抑えられる。従って得られたBaTiO3結晶構造膜の薄膜化を達成して高い誘電率を確保しながら、リーク電流を抑えることができ、例えばコンデンサや容量素子として有効利用することができる。
次に本発明の他の実施形態について図10を参照しながら説明する。先ずステージ32に載置された基板Wの中央部に塗布液供給ノズル41から塗布液4Aを供給し、続けて図10(a)及び(b)に示すように基板Wの表面全体に液盛りを行い、液溜まり(パドル)を形成し、塗布液4Aの供給を停止する。続けて図10(c)に示すようにステージ32を鉛直軸周りに例えば3000rpmで回転させることにより前記塗布液4Aを遠心力によって振り切り、こうして基板W上に薄い液膜を形成する。そして塗布液4Aの停止後もステージ32をそのまま回転させて振り切り乾燥を行う(図10(d))。なおこの例では溶剤供給ノズル42は使用しない。
図11は上述の基板W上の塗布液4Aの一連の様子を示したものである。塗布液4Aが液盛りされて広がっていくとその外端部位が空気を巻き込みながら基板Wの外縁に向かっていくと考えられ、空気を巻き込んだ部分を模式的に斜線で示すとすると、液盛りの様子は図11(a)(b)に示すように表される。その後基板Wを回転させ塗布液4Aを振り切ると、パドルの外端部位が基板Wの外に放出され、パドルの中央部位の塗布液4Aが押し広げられて薄状化される(図11(c)(d))。
既述のように塗布膜が形成された後は例えば既述の実施形態と同様にステージ32が回転を続け、塗布膜中の有機溶媒(シンナー)をある程度乾燥させ、その後ステージ32の回転が停止し(図11(d))、メイン搬送アーム23により基板Wが塗布ユニット3から搬出される。こうした一連の動作は制御部100内のプログラムにより、ステージ32の駆動部33、ノズルユニット4の駆動部49をコントロールすることにより実施される。
このような塗布膜形成方法によれば、スピンコーティングを行わずに基板Wの表面中央部に塗布液4Aを供給し続けて、表面全体に液盛りを行い、続いて基板Wを回転させて振り切りを行っている。従って塗布液4Aが広がるときに気相の巻き込みの程度が最も大きい塗布液4Aの外縁領域は、液盛りがされたときには基板Wの周縁付近に位置し、この部分の塗布液4Aは、続く基板Wの回転により振り切られるため、塗布液4Aが高速に基板Wの表面全体を走って一気に液膜が形成されるスピンコーティングと比較して気相中のCO2及びH2Oの取り込みが抑えられ、塗布膜中にBaCO3が混入することを抑えることができ、同様に良好な特性のABOX型ペロブスカイト膜を得ることができる。
ところで既述の実施形態で用いられる塗布加熱装置について、焼成炉が塗布膜形成装置1に連結された構成となっていてもよい。図12はこのような塗布膜形成装置の例を示しており、処理部B2の奥側にはインターフェイス部B3を介して焼成炉を備えた焼成部B4が接続されている。インターフェイス部B3は例えば内部が概ね気密空間になっている筺体70を備え、筺体70内には処理部B2から焼成部B4に基板Wを受け渡すための例えば昇降自在、進退自在、かつ鉛直軸周りに回転自在に構成されたインターフェイスアーム71が設けられている。
焼成部B4は内部が概ね気密空間になっている筺体72を備えており、その筺体82内に前記焼成路とこの焼成路に対し基板Wの搬入出を行う搬入出機構(不図示)とが設けられており、前記インターフェイスアーム71とこの搬入出機構との間で基板Wが受け渡されるようになっている。
処理部B2は既述の塗布膜形成装置1における処理部B2と略同様に構成されているが棚ユニット24Cは受け渡しユニット25を備えており、この受け渡しユニット25と処理部B2内に進入したインターフェイスアーム71との間で基板Wの受け渡しが行われるようになっている。
焼成部B4は内部が概ね気密空間になっている筺体72を備えており、その筺体82内に前記焼成路とこの焼成路に対し基板Wの搬入出を行う搬入出機構(不図示)とが設けられており、前記インターフェイスアーム71とこの搬入出機構との間で基板Wが受け渡されるようになっている。
処理部B2は既述の塗布膜形成装置1における処理部B2と略同様に構成されているが棚ユニット24Cは受け渡しユニット25を備えており、この受け渡しユニット25と処理部B2内に進入したインターフェイスアーム71との間で基板Wの受け渡しが行われるようになっている。
この図12に示す塗布膜形成装置においては既述した塗布膜形成装置1と同様の経路に従って基板Wが搬送され、当該基板Wに対して塗布及び加熱処理が行われるが、加熱処理を終えた後、冷却ユニット26で冷却された基板Wはメイン搬送アーム23により棚ユニット24Cの受け渡しユニット25に搬送される。その後前記基板Wはインターフェイスアーム71を介して焼成部B4の搬入出機構に受け渡され、前記搬入出機構が当該基板Wを焼成路に搬入し、基板Wが焼成されてBaTiO3膜が形成される。焼成された基板Wは搬入出機構→インターフェイスアーム71→棚ユニット24Cの受け渡しユニット25→メイン搬送アーム23→棚ユニット24Aの受け渡しユニット25→受け渡し手段16の順に搬送されて、キャリアC内に格納される。
また既述の実施形態においてはABOX型ペロブスカイト結晶構造膜としてBaTiO3膜を形成する工程を示したが、ABOX型ペロブスカイトの金属種Aとしては例えばLi(リチウム)、Na(ナトリウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba、La(ランタン)の中から選ばれる一種以上の金属であり、また金属種Bとしては例えばZr(ジルコニウム)、Ta(タンタル)、Nb(ニオブ)、Tiから選ばれる一種以上の金属であり、これらの所望の金属を含んだABOX型ペロブスカイト結晶構造膜にあわせて塗布液4A中に含まれる誘電体膜形成用組成物を選択するようにしてもよく、またこの誘電体形成用組成物としては例えば、(i)金属種A及び金属種Bを含むABOx型結晶構造を有する粒子、(ii)金属種A及び金属種Bを含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体及び金属水酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の成分、(iii)溶剤である例えばアルコールやエステル、エーテル等の有機溶媒の中から少なくとも(i)、(ii)のうちいずれか一方と(iii)とを含む溶液をもちいることができる。
続いて前記強誘電体薄膜の電気特性を確認するために行なった実験例について説明する。
(実施例1)
先ず図13に示す構造の電気特性測定用サンプルを以下の手法で作製する。先ずシリコン基板81の表面を酸化させて、シリコン基板81の上層側に例えば厚さ100nmのSiO2膜82を形成し、その上に下部電極であるPt層83を成膜する。Pt層83の厚さは30nm程度である。
そしてPt層83の上面に測定対象となる誘電体薄膜80を形成した後、この誘電体薄膜80の上面に上部電極であるNi層84を成膜し、このNi層84を例えば直径0.25mm〜10mm程度の円板状にパターニングする。次いで誘電体薄膜80を、図13に示す形状にパターニングして、Pt層83を露出させる。なお図13中85は測定装置である。
また測定対象となる誘電体薄膜80は、平均粒径が100nm以下の結晶粒子からなる厚さ200nmのABOX型ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム膜である第1の薄膜に厚さ100nmの第2の薄膜を積層したものである。第1の薄膜はABOx型結晶構造を有する平均粒径が100nm以下のチタン酸バリウムの粒子を含んだ第1の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液をPt層83の上に塗布し、その後ベーク処理及び焼成処理をして形成され、第2の薄膜は水酸化バリウム一水和物とイソプロポキシチタンとを2−メトキシメタノールへ溶解した第2の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を第1の薄膜の上に塗布し、その後ベーク処理及び焼成処理をして形成される。また第2の薄膜を得るにあたって、塗布ユニットで行った塗布膜の成膜手法は、先ず溶剤である2−メトキシエタノールを基板上(詳しくは第1の薄膜の上)に液盛し、続いて第2の塗布液を基板の中央部に供給しながら基板を2000rpmで回転させてスピンコーティングを行った(図6参照)。
(実施例1)
先ず図13に示す構造の電気特性測定用サンプルを以下の手法で作製する。先ずシリコン基板81の表面を酸化させて、シリコン基板81の上層側に例えば厚さ100nmのSiO2膜82を形成し、その上に下部電極であるPt層83を成膜する。Pt層83の厚さは30nm程度である。
そしてPt層83の上面に測定対象となる誘電体薄膜80を形成した後、この誘電体薄膜80の上面に上部電極であるNi層84を成膜し、このNi層84を例えば直径0.25mm〜10mm程度の円板状にパターニングする。次いで誘電体薄膜80を、図13に示す形状にパターニングして、Pt層83を露出させる。なお図13中85は測定装置である。
また測定対象となる誘電体薄膜80は、平均粒径が100nm以下の結晶粒子からなる厚さ200nmのABOX型ペロブスカイト構造のチタン酸バリウム膜である第1の薄膜に厚さ100nmの第2の薄膜を積層したものである。第1の薄膜はABOx型結晶構造を有する平均粒径が100nm以下のチタン酸バリウムの粒子を含んだ第1の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液をPt層83の上に塗布し、その後ベーク処理及び焼成処理をして形成され、第2の薄膜は水酸化バリウム一水和物とイソプロポキシチタンとを2−メトキシメタノールへ溶解した第2の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を第1の薄膜の上に塗布し、その後ベーク処理及び焼成処理をして形成される。また第2の薄膜を得るにあたって、塗布ユニットで行った塗布膜の成膜手法は、先ず溶剤である2−メトキシエタノールを基板上(詳しくは第1の薄膜の上)に液盛し、続いて第2の塗布液を基板の中央部に供給しながら基板を2000rpmで回転させてスピンコーティングを行った(図6参照)。
このようにして形成された測定用サンプルに対して、誘電体薄膜80のリーク電流を測定する場合には、室温にて、Pt層83とAl層84との間に、例えば2Vのバイアス電圧を15秒間印加し、そのときに誘電体薄膜80に流れる単位面積当たりの電流の平均値を検出することにより行なう。
また誘電体薄膜80の電気容量を測定する場合には、室温にて、例えばバイアス電圧が0V又は1V、Vrms(容量測定用交流電圧)が10mV、周波数が1kHz〜1MHzの条件で、Pt層83とAl層84との間に電圧を印加し、そのときに流れる電流と電圧との関係により誘電体薄膜8083の電気容量を求めるようにしている。誘電体薄膜80におけるリーク電流は、7.6×10−8A/cm2であり、電気容量は、1.1μF/cm2であった。
(比較例1)
第2の薄膜を製造するにあたって、溶剤を基板表面に液盛することを行わずに、第2の塗布液を基板の中央部に供給しながら基板を3000rpmで回転させてスピンコーティングを行った。これ以外は実施例1と同様にして誘電体薄膜80を得た。誘電体薄膜80におけるリーク電流は、2.8×10−3A/cm2であり、電気容量は、0.7μF/cm2 であった。
第2の薄膜を製造するにあたって、溶剤を基板表面に液盛することを行わずに、第2の塗布液を基板の中央部に供給しながら基板を3000rpmで回転させてスピンコーティングを行った。これ以外は実施例1と同様にして誘電体薄膜80を得た。誘電体薄膜80におけるリーク電流は、2.8×10−3A/cm2であり、電気容量は、0.7μF/cm2 であった。
(考察)
実施例1の方が比較例1に比べて誘電体薄膜80のリーク電流が小さく、また誘電体薄膜80の電気容量が大きいことから、この特性の差異は、溶剤を塗布した後にスピンコーティングを行うことでCO2及びH2Oの取り込み量が低減される現象に起因していると推測される。そして塗布液を基板の中央部に供給し続けて液盛を行った後、基板を回転させる図10の手法においても、上記の結果から、単にスピンコーティングを行う場合よりもCO2及びH2Oの取り込み量が低減されるであろうことが予測される。
実施例1の方が比較例1に比べて誘電体薄膜80のリーク電流が小さく、また誘電体薄膜80の電気容量が大きいことから、この特性の差異は、溶剤を塗布した後にスピンコーティングを行うことでCO2及びH2Oの取り込み量が低減される現象に起因していると推測される。そして塗布液を基板の中央部に供給し続けて液盛を行った後、基板を回転させる図10の手法においても、上記の結果から、単にスピンコーティングを行う場合よりもCO2及びH2Oの取り込み量が低減されるであろうことが予測される。
W 基板
B2 処理部
1 塗布膜形成装置
3 塗布ユニット
4 ノズルユニット
41 塗布液供給ノズル
4A 塗布液
4B 溶剤
5 加熱ユニット
B2 処理部
1 塗布膜形成装置
3 塗布ユニット
4 ノズルユニット
41 塗布液供給ノズル
4A 塗布液
4B 溶剤
5 加熱ユニット
Claims (6)
- ABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を基板上に製造する方法において、
基板の表面全体に溶剤を塗布する工程と、
次いで前記基板の表面全体に溶剤が存在する状態で、前記薄膜の誘電体形成用組成物を含む塗布液を当該基板の表面の中央部に供給すると共に基板を回転させて塗布液を基板の表面に広げる工程と、
その後、前記基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う工程と、
しかる後、塗布膜を焼成するために前記基板を加熱してABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を得る工程と、を含むことを特徴とするABOX型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜の製造方法。 - ABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を基板上に製造する方法において、
前記薄膜の誘電体形成用組成物を含む塗布液を前記基板の中央部に供給し続けることにより周縁部に行き渡らせて塗布液の液盛りを行う工程と、
続いて基板を回転させてその遠心力により塗布液を基板の表面に広げる工程と、
その後、前記基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う工程と、
しかる後、塗布膜を焼成するために前記基板を加熱してABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する誘電体薄膜を得る工程と、を含むことを特徴とするABOX型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜の製造方法。 - 前記誘電体膜形成用組成物は、
(i)金属種A及び金属種Bを含むABOx型結晶構造を有する粒子、
(ii)金属種A及び金属種Bを含む金属アルコキシド、金属カルボキシレート、金属錯体及び金属水酸化物の群から選ばれる少なくとも1種の成分、
(iii)有機溶媒、
の中から少なくとも(i)、(ii)のうちいずれか一方と(iii)とを含むことを特徴とする請求項1または2に記載のABOX型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜の製造方法。 - 前記ABOX型ペロブスカイト構造の結晶構造を有する薄膜は、金属種Aがリチウム、ナトリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタンから選ばれる一種以上の金属であり、金属種Bがチタン、ジルコニウム、タンタル、ニオブから選ばれる一種以上の金属である、ABOXペロブスカイト型の結晶構造を有する薄膜であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一に記載のABOX型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜の製造方法。
- 塗布液を基板に塗布し、更に焼成することにより得られるABOX型ペロブスカイト構造を有する薄膜を製造するための塗布膜形成装置であって、
基板を載置する回転自在な載置台と、ABOX型ペロブスカイト結晶構造を有する薄膜の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を吐出する塗布液ノズルと、溶剤を吐出する溶剤ノズルと、を含む塗布ユニットと、
基板の表面全体に溶剤を塗布し、次いで前記基板の表面全体に溶剤が存在する状態で、前記薄膜の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を当該基板の表面の中央部に供給すると共に基板を回転させて塗布液を基板の表面に広げるように溶剤ノズルと塗布液ノズルと載置台との各動作を制御する制御部と、
塗布液が塗布された基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う加熱ユニットと、
前記基板を塗布ユニットから加熱ユニットまで搬送する基板搬送手段と、を備えたことを特徴とする塗布膜形成装置。 - 塗布液を基板に塗布し、更に焼成することにより得られるABOX型ペロブスカイト型の結晶構造を有する薄膜を製造するための塗布膜形成装置であって、
基板を載置する載置台と、ABOXペロブスカイト型の結晶構造を有する薄膜の誘電体膜形成用組成物を含む塗布液を吐出する塗布液ノズルと、を含む塗布ユニットと、
塗布液を前記基板の中央部に供給し続けることにより周縁部に行き渡らせて塗布液の液盛りを行い、続いて基板を回転させてその遠心力により塗布液を基板の表面に広げるように塗布液ノズルと載置台との各動作を制御する制御部と、
塗布液が塗布された基板を加熱することにより、塗布膜に対して焼成の前処理である加熱処理を行う加熱ユニットと、
前記基板を塗布ユニットから加熱ユニットまで搬送する基板搬送手段と、を備えたことを特徴とする塗布膜形成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005243263A JP2007059628A (ja) | 2005-08-24 | 2005-08-24 | ABOx型ペロブスカイト結晶構造の誘電体薄膜の製造方法及びその装置 |
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