JP2007057434A - 蓄電デバイスの劣化状態推定システム - Google Patents
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Abstract
【課題】環境温度や負荷変動に影響されることなく、蓄電デバイスの劣化状態を長期的に高精度に把握する。
【解決手段】車両システムから電源OFFの指示が送信されているか否かを調べ(S1)、電源OFF指示が無い場合には、車両システムでバッテリの劣化度SOHを算出し(S2)、車両システムから電源OFF指示がある場合、車両位置及び時間の送信を指示し(S3)、受信した車両位置に基づいて最寄りのアメダス測候地点を割り出し(S4)、車両システムに電源OFFを許可する(S5)。そして、最寄りのアメダス測候所から温度データを取得し(S6)、該当車両のバッテリの劣化度SOH’を演算し(S7)、車両システムの電源がONされたとき、劣化度SOH’を車両システムに送信する(S9)。これにより、環境温度や負荷変動に影響されることなく、蓄電デバイスの劣化状態を長期的に高精度に把握することができる。
【選択図】図4
【解決手段】車両システムから電源OFFの指示が送信されているか否かを調べ(S1)、電源OFF指示が無い場合には、車両システムでバッテリの劣化度SOHを算出し(S2)、車両システムから電源OFF指示がある場合、車両位置及び時間の送信を指示し(S3)、受信した車両位置に基づいて最寄りのアメダス測候地点を割り出し(S4)、車両システムに電源OFFを許可する(S5)。そして、最寄りのアメダス測候所から温度データを取得し(S6)、該当車両のバッテリの劣化度SOH’を演算し(S7)、車両システムの電源がONされたとき、劣化度SOH’を車両システムに送信する(S9)。これにより、環境温度や負荷変動に影響されることなく、蓄電デバイスの劣化状態を長期的に高精度に把握することができる。
【選択図】図4
Description
本発明は、車両に搭載される蓄電デバイスの劣化状態を推定する蓄電デバイスの劣化状態推定システムに関する。
自動車等の車両においては、バッテリ等の蓄電デバイスの劣化状態を把握することは重要であり、特にハイブリッド自動車や電気自動車等では、バッテリが劣化すると走行性能や燃費に及ぼす影響が大きいことから、バッテリの劣化の程度を正確に把握することが求められている。
このため、従来からバッテリの劣化状態を推測する技術が種々提案されており、例えば、特許文献1には、エンジン始動期間に二次蓄電池に流れる電流及び開回路電圧を測定して内部抵抗を算出し、この内部抵抗に基づいて二次蓄電池の残存寿命を算出する技術が開示されている。
また、特許文献2には、蓄電池の容量の時間経過に伴う劣化状況が複数の温度域における蓄電池温度の在時間をパラメータとして表される演算式を求めておき、蓄電池の、時間経過に伴う予想温度変化から各温度域における蓄電池温度の在時間を把握し、その各温度域における蓄電池温度の在時間を演算式に当てはめることにより、蓄電池の劣化状況を予測する技術が開示されている。
特開2003−129927号公報
特開2003−161768号公報
しかしながら、特許文献1の技術では、エンジン始動時の最大負荷端子電圧と電流値とを用いているため、測定周期、スタータ、エンジンの状態等の環境条件によってデータが微妙に変化することが予想され、長期的に数mΩ単位で徐々に変化する内部抵抗値を捉えきれない虞がある。
また、特許文献2の技術では、蓄電池のカレンダー寿命をベースとして充放電深度を加えているが、短い周期で環境温度や負荷が大きく変化する自動車、特に、ハイブリッド自動車や電気自動車では、誤差が蓄積し易く、長期的に見ると、劣化推定の精度が低下する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、環境温度や負荷変動に影響されることなく、蓄電デバイスの劣化状態を長期的に高精度に把握することのできる蓄電デバイスの劣化状態推定システムを提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明による蓄電デバイスの劣化状態推定システムは、車両に搭載される蓄電デバイスの劣化状態を推定する蓄電デバイスの劣化状態推定システムであって、電源がONの期間に、上記蓄電デバイスの内部抵抗増加率を、電源OFF期間中の内部抵抗増加率を初期値として積算し、上記蓄電デバイスの劣化状態を表す劣化度として算出する一方、電源がOFFされる際に、自己の車両位置を外部に無線送信する車両システムと、上記車両システムと無線通信網を介して双方向通信可能に接続され、上記車両システムの電源OFFを検知したとき、上記車両システムから送信された車両位置近傍の温度データを取得し、上記車両システムの電源がOFFの期間中、上記温度データに基づいて上記蓄電デバイスの内部抵抗増加率を算出する一方、上記車両システムの電源ONを検知したとき、該内部抵抗増加率を上記車両システムに送信する外部演算システムとを備えたことを特徴とする。
その際、車両システムは、蓄電デバイスの温度と充放電のストレスとに基づいて内部抵抗増加率を設定時間毎に算出し、該設定時間毎の内部抵抗増加率を初期値に積算することにより劣化度を算出することが望ましく、外部演算システムは、地域気象観測システムに接続され、車両位置近傍の地域の測候所からの外気温データを温度データとして取得することが望ましい。
本発明による蓄電デバイスの劣化状態推定システムは、環境温度や負荷変動に影響されることなく、蓄電デバイスの劣化状態を長期的に高精度に把握することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1〜図4は本発明の実施の一形態に係わり、図1は劣化状態推定システムの構成図、図2は抵抗増加率と保存時間との関係を示す説明図、図3は抵抗増加率とサイクル時間との関係を示す説明図、図4は劣化推定処理のフローチャートである。
図1は、本発明をエンジンとモータとを併用して走行するハイブリッド車両(HEV)に適用した例を示し、主として、個々の車両の車両システム1と、外部演算システムとしての中央管理センタ100とにより、個々の車両の電源装置における蓄電デバイスの劣化状態を推定する劣化状態推定システムが形成されている。個々の車両の車両システム1と中央管理センタ100とは、無線通信網を介して互いに双方向通信可能に接続される。
車両システム1には、車載電源の管理を行う電源ユニット10、HEV全体を統括制御するHEV制御用電子制御ユニット(HEV制御用ECU)20、GPS(Global Positioning System)衛星から電波を受信して車両位置や時間情報を取得するためのGPS受信機50等が備えられている。
電源ユニット10は、蓄電デバイスとして例えば複数のセルを封止した電池パックを複数個直列に接続して構成されるバッテリ11と、バッテリ11の残存容量SOCや劣化状態の推定、バッテリ11の冷却や充電の制御、異常検出及び異常検出時の保護動作等のエネルギーマネージメントを行う演算ユニット(演算ECU)12と、無線通信網を介して外部の中央管理センタ100とデータ通信を行うための通信モジュール13とを備え、これらが1つの筐体内にパッケージされている。通信モジュール13は、演算ECU12によって制御される。
尚、本形態においては、蓄電デバイスとしてリチウムイオン二次電池を例に取って説明するが、本発明は、その他の二次電池や電気二重層コンデンサ等のキャパシタにも適用可能である。
演算ECU12は、マイクロコンピュータ等から構成され、電流センサ14で測定したバッテリ11の充放電電流I、電圧センサ15で測定したバッテリ11の端子電圧V、温度センサ16で測定したバッテリ11の温度(セル温度)Tに基づいて、一定時間毎にバッテリ11の残存容量SOCや劣化状態を演算・推定する。この演算ECU12で演算した残存容量SOCや劣化状態等のバッテリ情報は、例えばCAN(Controller Area Network)通信等を介してHEV制御用ECU20に出力され、車両制御用の基本データ、バッテリ残量や警告用の表示用データ等として使用される。
HEV制御用ECU20は、同様にマイクロコンピュータ等から構成され、運転者からの指令に基づいて、HEVの運転、その他、必要な制御を行う。すなわち、HEV制御用ECU20は、電源ユニット10からの信号や図示しないセンサ・スイッチ類からの信号により、車両の状態を検出し、バッテリ11の直流電力を交流電力に変換してモータ25を駆動するインバータ30を初めとして、エンジン40や図示しない自動変速機等を、専用の制御ユニットを介して或いは直接的に制御する。
一方、中央管理センタ100は、演算装置101を中心として構成され、個々の車両のバッテリ情報を蓄積するデータベース102、車両システム1と無線通信すると共に、地域毎の気象データを自動的に観測する各測候所200から観測データを受信するための通信装置103を備えている。以下では、測候所200は、地域気象観測システム(Automated Meteorological Data Acquisition System;アメダス)における各地の測候所として説明する。
中央管理センタ100は、車両システム1のOFF(車両電源のOFF)を検知したとき、車両システム1から車両位置及び時間情報を取得すると共に、測候所200からの該当する地域の気象データを取得し、バッテリ11の環境条件を把握する。そして、車両システム1の電源OFFによるバッテリ11の劣化状態推定処理の停止に対応して、車両システム1に代わってバッテリ11の劣化状態推定処理を継続する。
バッテリの劣化状態は、一般に、初期の満充電容量に対する劣化時の満充電容量の比率で示されるバッテリ健康状態SOH(State of health)で表現されるが、充電容量の変化はバッテリの内部抵抗の変化で精度高く推定できることから、本形態においては、バッテリの初期内部抵抗に対する劣化時の内部抵抗の増加率を演算し、この内部抵抗増加率で劣化の進行度を置き換え、劣化度SOHとして演算する。
この劣化度SOHの演算は、本形態においては、化学反応における温度と反応速度との関係を表すアレニウスの法則を基本としており、バッテリの負荷変動に関係なく、常時、劣化状態の変化を捉えることが可能である。しかしながら、アレニウスの法則を適用した劣化状態の推定は、車両停止に伴う車両電源OFF時にも、常時、演算を継続する必要があり、車両システム1側の演算ECU12の電源を常時ONにしておかなければならないという問題がある。
従って、本形態においては、車両システム1の電源がONしている間は、電源ユニット10の演算ECU12で劣化度SOHを演算し、車両の運転停止によって車両システム1の電源がOFFされたときには、中央管理センタ100が該当車両の車両システム1に代わって劣化度SOHの演算を継続する。この中央管理センタ100における劣化度SOHの演算は、主として車両システム1から無線通信網を介して受信した車両位置及び時間情報と測候所200から受信した該当車両の地域の外気温データとを用いて続行される。
すなわち、中央管理センタ100は、車両システム1の電源OFFによる劣化度演算停止を検知したとき、車両位置の地域の気象データから得られる温度での放置劣化による劣化分を劣化度SOH’として継続して演算する。そして、車両システム1の電源がONされたとき、この放置劣化の劣化度SOH’を中央管理センタ100から車両システム1に送信し、車両システム1側の演算ECU12において、中央管理センタ100からの劣化度SOH’に継続してバッテリの充放電による劣化度SOHの演算を再開することにより、バッテリの初期状態(劣化のない状態)からの劣化度合いをタイムリー且つ正確に把握することができる。
この場合、実際に車両に搭載されているバッテリ11の温度と外気温との関係を予め実験やシミュレーション等により把握して関数化する等しておき、この関数を用いてバッテリ温度と外気温との差を補正することが好ましい。
また、中央管理センタ100側で劣化度演算を開始する前に、車両システム1側の電源OFF前の劣化度を中央管理センタ100に送信するようにしても良く、また、車両システム1側で電源OFF前の劣化度をバックアップメモリ等に記憶し、電源OFF状態でもデータを保持するようしても良い。
車両システム1側から中央管理センタ100に電源OFF前の劣化度を送信する場合には、中央管理センタ100は、車両システム1側の電源OFF前の劣化度に放置劣化による劣化分を加算した値を劣化度SOH’として算出し、この劣化度SOH’を車両システム1側で劣化度演算を再開する際の初期値SOH_STとする。一方、車両システム1側で電源OFF前の劣化度を記憶・保持する場合には、中央管理センタ100は、電源OFF後の経過時間に対応した放置劣化の劣化分を劣化度SOH’として算出し、車両システム1側で劣化度演算を再開する際に、記憶されている劣化度と中央管理センタ100からの劣化度SOH’とを加算した値を、初期値SOH_STとする。
以下、アレニウスの法則に基づくバッテリ劣化状態の推定処理について説明する。周知のように、アレニウスの法則は、以下の(1)式に示すように、化学反応速度の温度依存性を定量的に記述したものであり、各種機器の温度劣化による残存寿命を評価する場合に利用される。
K=A×e-Ea/RT…(1)
但し、K :反応速度定数
A :頻度因子
Ea:活性化エネルギー
R :気体定数(8.314J/mol−K)
T :温度(絶対温度K)
アレニウスの法則は、バッテリのカレンダー寿命の速度定数についても適用することができ、バッテリの劣化の度合いをYrとすると、この劣化度合いYrの時間Txに対する変化(劣化速度)dYy/dTxが反応速度定数Kに相当するものと考えることができる。この場合、(1)式を自然対数で表現した以下の(1’)式からもわかるように、劣化速度は、温度Tによる影響に加えて、頻度因子Aによる影響を考慮する必要がある。頻度因子Aは、温度に無関係な因子であり、充放電によるバッテリへのストレスの大きさを劣化の速度定数へ置き換えた値と見做すことができる。
但し、K :反応速度定数
A :頻度因子
Ea:活性化エネルギー
R :気体定数(8.314J/mol−K)
T :温度(絶対温度K)
アレニウスの法則は、バッテリのカレンダー寿命の速度定数についても適用することができ、バッテリの劣化の度合いをYrとすると、この劣化度合いYrの時間Txに対する変化(劣化速度)dYy/dTxが反応速度定数Kに相当するものと考えることができる。この場合、(1)式を自然対数で表現した以下の(1’)式からもわかるように、劣化速度は、温度Tによる影響に加えて、頻度因子Aによる影響を考慮する必要がある。頻度因子Aは、温度に無関係な因子であり、充放電によるバッテリへのストレスの大きさを劣化の速度定数へ置き換えた値と見做すことができる。
lnK=(−Ea/R)×(1/T)+lnA…(1’)
温度による劣化では、内部抵抗増加率と活性化エネルギーとの関係がバッテリの種類によって異なるため、実験データによって検証する。一例として、リチウムイオン蓄電池について、充放電がなくストレスの頻度因子AがA=1である状態(放置状態)で、低温、常温、高温の各温度域での内部抵抗増加率と保存時間(平方根)との関係を検証すると、図2に示す関係が得られる。これによると、温度一定の条件下において、バッテリの内部抵抗増加率(劣化の度合い)をYr、保存時間(平方根)をTxとしたとき、Yr=aTxで示される線形関係となることが実証され、直線の傾きa(=dYr/dTx)が(7’)式の活性化エネルギーEaに関する項で関連付けられる。
温度による劣化では、内部抵抗増加率と活性化エネルギーとの関係がバッテリの種類によって異なるため、実験データによって検証する。一例として、リチウムイオン蓄電池について、充放電がなくストレスの頻度因子AがA=1である状態(放置状態)で、低温、常温、高温の各温度域での内部抵抗増加率と保存時間(平方根)との関係を検証すると、図2に示す関係が得られる。これによると、温度一定の条件下において、バッテリの内部抵抗増加率(劣化の度合い)をYr、保存時間(平方根)をTxとしたとき、Yr=aTxで示される線形関係となることが実証され、直線の傾きa(=dYr/dTx)が(7’)式の活性化エネルギーEaに関する項で関連付けられる。
この温度による劣化は、バッテリの充放電がない放置状態での劣化であり、車両の運転中は、充放電のストレスによる劣化について考える必要がある。ストレスの頻度因子Aは、バッテリ使用中、ストレスの大きさによって常時変化し、ストレスの定義や大きさは、バッテリの種類により異なる。一例として、リチウムイオン蓄電池について検証すると、リチウムイオン蓄電池の劣化は、電気化学的に、主に負極に生成される不活性物質によって引き起こされる。この不活性物質の生成速度は、温度と電流密度に依存し、外部電源によって非自発的な反応を駆動する場合、不活性物質(析出、気体)が生成されるのは、印加する電圧が無電流電池電位を超えているとき(過電圧)に限られる。
以上を踏まえて、CC(Constant Current)充放電による各サイクル試験を実施し、或るサイクル時における内部抵抗増加率を測定する。その結果、図3に示すように、各充放電深度毎に、内部抵抗増加率を劣化の度合いをYr、経過時間(トータル充電時間)をTxとしたとき、Yy=a’Txで示される線形関係となることが実証される。この充放電による劣化速度(直線の傾きa’)は、以下の(2)式で頻度因子Aと関連付けることができる。
a’= A/dTx…(2)
以上の劣化速度a,a’は、具体的には、バッテリ温度Tやバッテリ電流Iをパラメータとして関数或いはマップ化され、車両システム1側においては、劣化速度a,a’による劣化速度Kaを用いて劣化度SOHが演算され、また、中央管理センタ100側においては、劣化速度aを用いて劣化度SOH’が演算される。そして、車両システム1の電源がONされたとき、以下の(3)式に示すように、中央管理センタ100で演算した劣化度SOH’に基づく初期値SOH_STに対して、温度及び充放電ストレスの影響を考慮した劣化速度Kaを用いて設定時間Tx毎の内部抵抗増加率Yr(Yr=Ka・Tx)を積算してゆき、車両運転時の劣化度SOHとして算出する。これにより、バッテリの劣化進捗状況をタイムリーに把握することができる。
以上の劣化速度a,a’は、具体的には、バッテリ温度Tやバッテリ電流Iをパラメータとして関数或いはマップ化され、車両システム1側においては、劣化速度a,a’による劣化速度Kaを用いて劣化度SOHが演算され、また、中央管理センタ100側においては、劣化速度aを用いて劣化度SOH’が演算される。そして、車両システム1の電源がONされたとき、以下の(3)式に示すように、中央管理センタ100で演算した劣化度SOH’に基づく初期値SOH_STに対して、温度及び充放電ストレスの影響を考慮した劣化速度Kaを用いて設定時間Tx毎の内部抵抗増加率Yr(Yr=Ka・Tx)を積算してゆき、車両運転時の劣化度SOHとして算出する。これにより、バッテリの劣化進捗状況をタイムリーに把握することができる。
SOH=SOH_ST+ΣYr…(3)
尚、正極劣化等の他の劣化因子(劣化の要因に占めるウエイトが低いもの)をモデル化し、頻度因子Aへ組み込んでも良く、より精度を向上することができる。
尚、正極劣化等の他の劣化因子(劣化の要因に占めるウエイトが低いもの)をモデル化し、頻度因子Aへ組み込んでも良く、より精度を向上することができる。
次に、以上の劣化推定システムにおける劣化状態の推定処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
図4に示す処理は、中央管理センタ100の演算装置101を中心としたシステム全体の処理の流れを示すものであり、最初のステップS1において、車両システム1から電源OFF(演算ECU12の電源OFF)の指示が送信されているか否かを調べる。その結果、電源OFF指示が無い場合には、ステップS2に示す車両システム1側の処理となり、車載ECU(演算ECU12)でバッテリ11の劣化度SOHを算出する。
また、車両システム1からの電源OFF指示がある場合には、中央管理センタ100側での処理となり、ステップS3で中央管理センタ100から車両システム1へGPSによる車両位置及び時間(日時)の送信を指示する。そして、車両システム1から車両位置及び時間のデータを受信すると、ステップS4へ進み、受信した車両位置に基づいて最寄りのアメダス測候地点を割り出し、ステップS5で車両システム1に電源OFFを許可する許可指令を送信する。車両システム1側では、この電源OFF許可指令を受信した後、自己の電源をOFFする。
その後、中央管理センタ100では、ステップS6で最寄りの測候所200からデータを受信してアメダスの外気温データを取得し、ステップS7で演算装置101により該当車両のバッテリ11の劣化度SOH’を演算する。次に、ステップS8で、車両システム1からのデータ受信等によって車両システム1の電源がONされたか否かを調べ、車両システム1の電源がONされていないときには、ステップ6へ戻って放置劣化による劣化度SOH’の演算を継続し、車両システム1の電源がONされたとき、ステップS8で、演算した劣化度SOH’を車両システム1に送信して次の電源OFF時に備えて待機する。 以上のように、本形態においては、車両システム1の電源がONされたとき、外部の中央管理センタ100から送信された劣化度データを受信し、運転中は、この劣化度データに基づく初期値に温度や充放電ストレスによる劣化を加算して劣化度の演算を継続するようにしている。これにより、車両の運転停止後も演算を継続することなく、劣化推定演算の連続性を確保することができ、環境温度や負荷変動に影響されることなく、バッテリの劣化状態を長期的に高精度に把握することができる。
1 車両システム
11 バッテリ(蓄電デバイス)
100 中央管理センタ(外部演算システム)
200 測候所(地域気象観測システムの測候所)
SOH 劣化度
SOH’ 劣化度
11 バッテリ(蓄電デバイス)
100 中央管理センタ(外部演算システム)
200 測候所(地域気象観測システムの測候所)
SOH 劣化度
SOH’ 劣化度
Claims (3)
- 車両に搭載される蓄電デバイスの劣化状態を推定する蓄電デバイスの劣化状態推定システムであって、
電源がONの期間に、上記蓄電デバイスの内部抵抗増加率を、電源OFF期間中の内部抵抗増加率を初期値として積算し、上記蓄電デバイスの劣化状態を表す劣化度として算出する一方、電源がOFFされる際に、自己の車両位置を外部に無線送信する車両システムと、
上記車両システムと無線通信網を介して双方向通信可能に接続され、上記車両システムの電源OFFを検知したとき、上記車両システムから送信された車両位置近傍の温度データを取得し、上記車両システムの電源がOFFの期間中、上記温度データに基づいて上記蓄電デバイスの内部抵抗増加率を算出する一方、上記車両システムの電源ONを検知したとき、該内部抵抗増加率を上記車両システムに送信する外部演算システムとを備えたことを特徴とする蓄電デバイスの劣化状態推定システム。 - 上記車両システムは、
上記蓄電デバイスの温度と充放電のストレスとに基づいて内部抵抗増加率を設定時間毎に算出し、該設定時間毎の内部抵抗増加率を上記初期値に積算することにより、上記劣化度を算出することを特徴とする請求項1記載の蓄電デバイスの劣化状態推定システム。 - 上記外部演算システムは、
地域気象観測システムに接続され、上記車両位置近傍の地域の測候所からの外気温データを上記温度データとして取得することを特徴とする請求項1又は2記載の蓄電デバイスの劣化状態推定システム。
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