JP2007056535A - セグメントの継手構造、その継手構造を利用した目違い調整方法および目違い調整用セグメント - Google Patents
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Abstract
【課題】 ボルト接合方式のセグメントの継手について、組立て精度の向上、目違いの調整に適した継手構造およびその継手構造を利用したトンネルリングの目違い調整方法および目違い調整用セグメントを提供する。
【解決手段】 既設の坑口側のセグメント1bと新設の切羽側のセグメント1aの継手面のボルト孔3a、3bを互いに交差する長孔とする。既設のセグメントリングにおけるセグメント1bどうしの目違い、目開きに対し、継手のボルト孔が2軸の長孔方向を持つことで、2次元的な対応が可能となる。従って、目違いの方向を限定することなく、大きな目違いを吸収することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】 既設の坑口側のセグメント1bと新設の切羽側のセグメント1aの継手面のボルト孔3a、3bを互いに交差する長孔とする。既設のセグメントリングにおけるセグメント1bどうしの目違い、目開きに対し、継手のボルト孔が2軸の長孔方向を持つことで、2次元的な対応が可能となる。従って、目違いの方向を限定することなく、大きな目違いを吸収することができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、シールドトンネルの施工などに用いられるボルト接合方式のセグメントの継手構造、その継手構造を利用したトンネルリングの目違い調整方法および目違い調整用セグメントに関するものである。
例えば、シールドトンネルにおける急曲線部や地盤急変部、拡幅工法の特殊部などでは、リング間継手に目違いが発生することがある。目違いが発生した場合、程度が軽い場合は問題とならないことも多いが、大きな目違いになるとボルトがボルト孔に挿入できないこともある。
この場合、状況により現場で新たなボルト孔を削孔若しくは溶断することで対応することがある。しかしながら、施工工程の遅れを招くとともに、セグメントに熱を加える場合は止水用シール材を損傷する懸念もあり品質にも問題が生じる。
シールドトンネル施工中に生じるセグメントリング間の目違いに関する従来の一般的な対処方法は下記の通りである。
(1) 通常想定される目違いへの対処方法
通常、ボルト径に対してボルト孔は、ボルト直径+3mmの大きさで開けられている。その場合、目違いが±1.5mmの範囲内(目違い方向は問わない)であれば、特別な処置をすることなく対応が可能である。
通常、ボルト径に対してボルト孔は、ボルト直径+3mmの大きさで開けられている。その場合、目違いが±1.5mmの範囲内(目違い方向は問わない)であれば、特別な処置をすることなく対応が可能である。
(2) 通常想定される目違い量を超える場合の対処方法
通常よりも大きな目違いに関しては、(1)で述べた3mmの余裕代をそれ以上の大きさにして対応する。ただし、ボルト孔が非常に大きくなるときは、ボルトがボルト孔を貫通してしまう懸念があるため、一定量以上はボルト孔を大きくできない。
通常よりも大きな目違いに関しては、(1)で述べた3mmの余裕代をそれ以上の大きさにして対応する。ただし、ボルト孔が非常に大きくなるときは、ボルトがボルト孔を貫通してしまう懸念があるため、一定量以上はボルト孔を大きくできない。
また、外径の大きなワッシャーを用いることにより、ボルト径とボルト孔の大きさの違いに対処することもできるが、ワッシャーに過剰な応力が作用する恐れがあるため、これについても限度がある。
(3) 方向性の決まっている目違いへの対処方法
予め方向性の決まっている目違いに対しては、重なり合うボルト孔のうち、片側だけを長孔にしておけば対応が可能である。
特開平6−193397号公報(段落0014、図3、図9)
特開2001−323790号公報
特開2004−190259号公報
予め方向性の決まっている目違いに対しては、重なり合うボルト孔のうち、片側だけを長孔にしておけば対応が可能である。
背景技術の項で述べたボルト孔の直径を大きくする方法では、目違いに対して対応できる範囲が限られている。
また、外径の大きなワッシャーを用いる方法も、ボルト孔の直径に応じてワッシャーの径も大きくなり、そのため、ワッシャーの厚みを相当厚くしなければ、ボルトの締め付け力による応力に対応できなくなる。
また、重なり合うボルト孔の片側に長孔を用いたとしても、目違いの方向が長孔の方向と異なる場合、対処することができない。
本発明は、従来のボルト接合方式のセグメントの継手における上述のような課題の解決を図ったものであり、組立て精度の向上、調整などに適したセグメントの継手構造およびその継手構造を利用したトンネルリングの目違い調整方法および目違い調整用セグメントを提供することを目的としたものである。
請求項1に係るセグメントの継手構造は、互いに接合すべきセグメントどうしをそれぞれの継手面に設けられたボルト孔を貫通するボルトによって接合するセグメントの継手構造において、接合部における一方の継手面のボルト孔と他方の継手面のボルト孔を互いに交差する長孔としたことを特徴とするものである。
本発明では、ボルト接合方式のセグメントの継手構造において、重なり合う継手面に対して、ボルト孔としてそれぞれ長孔を設け、それらの長孔の方向を変えることによって、それぞれが別の方向への目違いへ対応できるようにしている。すなわち、継手のボルト孔が2軸の長孔方向を持つことで、2次元で目違いに対応できることになる。従って、目違いの方向を限定することなく、大きな目違いを吸収することができる。
また、長孔の場合、従来のボルト孔の径を大きくする場合と比べ、同じ目違いの対応範囲に対し、ボルト孔の面積を小さくすることができ、加工性の面でも、継手強度の面でも有利である。
相対する継手面の長孔どうしの交差角度に関しては、後述するように、長孔どうしを直交させ、また長孔の長さも同一とするのが最も効率的であるが、継手面の断面欠損分の剛性低下やセグメントの形態、適用条件などに応じて設計すれば良い。また、例えば、シールド工法に適用した場合などのローリング修正を考慮した場合には、一方の長孔の方向を周方向に合わせることにより、セグメントのローリング修正を行うことができる。
本発明の継手構造の主な適用対象は、後述するシールドトンネルなどのセグメントの継手部であり、特にリング間継手に適しているが、これらに限定されず、建築物、構造物一般において、セグメントの形式や材質(コンクリートセグメント、鋼製セグメント、合成セグメントなど)にかかわらず適用可能である。
請求項2に係るトンネルリングの目違い調整方法は、互いに接合するトンネルリングの目違い調整方法であって、トンネルリングの目違いに対する調整が必要となった部分または区間に、請求項1記載のセグメントの継手構造を備えた目違い調整用セグメントを用い、互いに交差する前記長孔どうしの交差位置でボルト接合することを特徴とするものである。
例えばシールド工法によって、トンネルリングを構築して行く場合、特に目違いが生じやすい場所としては、例えば、急曲線部や地盤急変部、拡幅工法の特殊部などがある。直線部については目違いがそれほど生じないため、あるいはその調整の必要性が少ないため、通常の区間ではボルト孔がボルト径より若干大きい通常の継手で施工し、目違いに対する調整が必要となった部分または区間のみ、請求項1の長孔のボルト孔を有する継手を利用することで、セグメントの製造コストの増加や施工の手間を最小限に抑えつつ、安全性、信頼性の高いトンネルを構築することができる。
請求項3に係るトンネルリングの目違い調整用セグメントは、請求項1記載のセグメントの継手構造に用いられる目違い調整用セグメントであって、少なくとも一つの継手面に、互いに接合すべきセグメントの相対する継手面に設けられた長孔のボルト孔と交差する長孔のボルト孔が形成されていることを特徴とするものである。
請求項3はシールド工法などによるトンネルの構築に利用するためのセグメントについて、請求項1の継手構造を適用したものであり、通常のセグメントに対し、基本的にはボルト孔のみを変更することで、通常のボルト、ワッシャーなどを使用して目違いに対処することができる。ただし、長孔により断面欠損が大きくなる分、必要であれば、補剛などを行う。
「少なくとも一つの継手面に」というのは、セグメント単体について、長孔のボルト孔を形成した反対側の継手面のボルト孔が長孔ではなく通常のボルト孔の場合も含む趣旨である。ただし、セグメントの種類が多くなると、コストや管理の手間が増えるため、目違い調整用セグメントについてもできるだけ最小限の種類に抑えることが望ましい。
なお、例えば、互いに交差する長孔の方向を縦横(後述する図1、図2参照)でなく、逆向きの斜め方向とし、その角度を合わせれば(後述する図3参照)、隣接する目違い調整用セグメントについて一種類のセグメントを前後逆にして使用することができる。
本発明は継手面で交差する長孔を利用してセグメントどうしをボルト接合するものであり、2軸の長孔方向を持つことで目違いに対し2次元的に対処でき、大きな目違いを吸収することができる。また、ローリングも含め、鉛直、水平、ローリングの3方向の目違いに対して対応可能であり、その方向を問わない。
その結果、方向を限定しない目違いへ対応、広い範囲の目違いへ対応、想定外の目違いに対する対応が可能となり、また、対応可能な目違い範囲に対して、穿孔する範囲を小さくすることにより、継手部の強度低下を最小限にとどめることができる。
また、シールド工法などによるトンネルの構築に適用した場合、急曲線部など掘進時に計画線形から外れやすく、目違いを起こしやすい箇所に用いることにより、リング全体の目違いを解消することができる。すなわち、セグメントリングの真円度向上・組立精度向上、組立精度不良によるセグメントの損傷防止、ローリング修正、トンネル線形確保といったことが可能となる。
図1および図2は本発明の継手構造をシールド工法によるトンネル構築の際の目違い修正に適用した場合について、それぞれ切羽側のセグメント1aの継手板2に形成されたボルト孔3aおよび坑口側のセグメント1bの継手板2に形成された継手板2のボルト孔3bの断面形状例を示したものである。この例で、図1の切羽側のボルト孔3aは円周方向の長孔、図2の坑口側のボルト孔3bは法線方向(リング径方向)の長孔としている。
すなわち、重なり合うリング継手において、切羽側と坑口側で異なった方向にボルト孔3a、3bとしての長孔の長軸を設けている。図は一例であり、切羽側と坑口側で円周方向と法線方向を入れ替えてもかまわない。さらに、円周方向および法線方向以外の向きに長孔を開けてもかまわない。ただし、円周方向の長孔を設けるとローリング修正の効果が期待できる。
図3は目違い対応例として、図1、図2のボルト孔3a、3bでリング間継手の目違いに対応した例を示したものであり、切羽側のセグメント1aの位置を実線で、坑口側のセグメント1bの位置を点線で示している。この例では、通常のボルト孔2個分の長さの長孔を空けている。トンネルは上下左右対称のため、どちらの方向にもこの図のように対応することができる。
図4は長孔軸方向の他の例を示したものである。図1〜図3に対し、図4ではボルト孔3cとなる長孔の軸を円周方向、法線方向からそれぞれ45°ずつ傾けている。このような削孔の仕方であれば、切羽側継手板と坑口側継手板は裏返せば同じものとなるため、セグメント1の種類数の増加が抑制され、部材加工も簡易になる。また、継手板2の高さが低い場合でも長孔の長さを長くとれ、対処しやすい。
図5は目違い対応例を、具体的な寸法例で示したものである。外径φ2000mm、使用ボルトM20、ボルト孔の寸法を長さ46mm(通常の2倍)、幅23mmと仮定した場合、坑口側のリングの位置に対して、φ2052mmの範囲に坑口側リングを設置することができる。すなわち、目違い誤差±26mm〔=23+(23−20)〕まで対処することができる。
図6はボルト孔としての長孔の効果的な開け方について示したものである。
図6(a)は図1〜5と同様の長孔を設けた場合の長孔の重なり方を表している。中心の2点鎖線の円が正規のボルト位置、実線が切羽側長孔(ボルト孔3a)、点線が坑口側長孔(ボルト孔3b)である。このような長孔がリング継手円周方向に均等に配置されている場合、目違い対応範囲は、図のハッチング範囲となる。
図6(b)は非効果的な長孔の例である。一見、鉛直方向は短いが、水平方向には広い範囲の目違いに対応できるように見える。しかし、リング継手は点対称に配置されため、対応範囲の狭い方に目違い範囲が制限されてしまう。従って、目違い対応範囲は図のハッチング部分となり、長孔の長さを十分に活かしきれていない。
以上より、長孔どうしが直角に交差すること、および長孔の大きさを揃えることが効率的である。ただし、特にローリング修正を大きく行いたい場合は、円周方向の長孔(ボルト孔3a)のみ長くしても良い。
図7および図8は仮組みセグメント1Bの自重によるつぶれ修正への適用例を示したものである。
土中のセグメントは周囲からの水圧や土圧を受けるが、シールドマシン11発進時に用いられる仮組みセグメント1Bは、立坑10内に組み立てられるため、周囲に支えるものがない。そのため、自重によってリングの変形を起こしやすい(図8はこの変形を誇張して示したものである。)。しかし、仮組みセグメント1Bの次に組まれる最初の本設セグメントは、それ以降のセグメントの真円度に大きな影響を及ぼすため、真円度が非常に重要になる。
図7の点線は仮組みセグメント1Bの外径を表しており、自重によって縦方向につぶれている。実線は仮組みセグメント1Bに接合する調整セグメント1Cで、真円を保っている。これらの仮組みセグメント1Bと調整セグメント1Cのリング間(図8のA部)に本発明の継手構造を適用することにより、セグメントリングの真円度を修正することができる。
このように本発明による継手を備えた調整セグメント1Cを用いることで、仮組みセグメント1Bで真円度が保てない場合であっても、真円度を再度向上させ、真円度の高い本設リング1Aを組むことができる。
図9は既設リングのセグメント1b間で目違い、目開き12が生じている場合のその修正のための適用例を示したものである。
シールドトンネルは通常千鳥組みによって組み立てられる。そのため、既設のリングがセグメント1b間で目違いを起こして真円に保たれていない場合は、新たに組み立てようとするセグメント1aも既設リングに倣い、真円が保たれていないままに組み立てられる。
1ピースに3本以上のリング継手をもっている場合、セグメント1aの何れか2箇所の継手は既設リングのセグメント1bに合わせることができるが、その他のリング継手はボルト孔が一致しなくなる。
本発明の継手を使用することにより、組立時のそのような目違いに対してもピース毎に対応でき、目違いの影響を吸収して、次リング以降を真円に組むことができる。
1a…新設セグメント(坑口側面)、1b…既設セグメント(切羽側面)、1A…本設セグメント、1B…仮組みセグメント、1C…調整セグメント、2…継手板、3a、3b、3c…ボルト孔、10…発進立坑、11…シールドマシン
Claims (3)
- 互いに接合すべきセグメントどうしをそれぞれの継手面に設けられたボルト孔を貫通するボルトによって接合するセグメントの継手構造において、接合部における一方の継手面のボルト孔と他方の継手面のボルト孔を互いに交差する長孔としたことを特徴とするセグメントの継手構造。
- 互いに接合するトンネルリングの目違い調整方法であって、トンネルリングの目違いに対する調整が必要となった部分または区間に、請求項1記載のセグメントの継手構造を備えた目違い調整用セグメントを用い、互いに交差する前記長孔どうしの交差位置でボルト接合することを特徴とするトンネルリングの目違い調整方法。
- 請求項1記載のセグメントの継手構造に用いられる目違い調整用セグメントであって、少なくとも一つの継手面に、互いに接合すべきセグメントの相対する継手面に設けられた長孔のボルト孔と交差する長孔のボルト孔が形成されていることを特徴とするトンネルリングの目違い調整用セグメント。
Priority Applications (1)
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JP2005242924A JP2007056535A (ja) | 2005-08-24 | 2005-08-24 | セグメントの継手構造、その継手構造を利用した目違い調整方法および目違い調整用セグメント |
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---|---|---|---|---|
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2005
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