JP2023048474A - プレート材の締結構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】2枚のプレート材を重ねてボルト接合する際に、ボルト挿通孔の中心位置にずれがあっても簡単な操作でずれを修正してボルトを挿通することができ、支圧によるせん断力の伝達が十分に行われるプレート材の締結構造を提供すること。【解決手段】基礎杭1の頭部に接合された杭頭プレート11と、鉄骨柱2の下端部に接合されたベースプレート21と、座金3A,3Bを介在させて螺合するボルト4及びナット5の各部材で構成され、座金3A,3Bは、円板状の座部31の背面側に座部31より小径の脚部32を同心状に形成した形態をなし、脚部32がボルト挿通孔12,22に嵌合した状態で回転可能であり、ボルト4の軸径に合わせた内径のボルト受入れ孔33が円板状の座部31に対して偏心位置で座部31と脚部32を貫通したもので、これら一対の座金3A,3Bを回転することで互いのボルト受入れ孔33の中心を一致させる。【選択図】図1
Description
本発明は、ボルト挿通孔が設けられた2枚のプレート材を重ねてボルトとナットで締結する際に、対向するボルト挿通孔の中心位置に多少のずれが生じていたときでも簡単かつ確実にボルト接合することが可能なプレート材の締結構造に関するものである。
2枚のプレート材をボルトとナットで締結する接合形式は、さまざまな技術分野で広く採用されている。この場合、重ね合わせた状態で各プレート材のボルト挿通孔の中心位置にずれが全くなければ、ボルト外周面とボルト挿通孔内周面の間のクリアランスを最小にして接合することができる。現実的には、2枚のプレート材の間で設計時に予測できないずれを生じる状況もあり得る。例えば、建設分野においては現場施工が基本であることから、その対応手段として、予めボルト挿通孔の内径を所定の値よりも拡大して過大孔(ルーズホール)とし、この過大孔を覆い隠すように大きな座金を併用する方法、あるいはプレート材の位置が確定した後にボルト挿通孔の位置を計測してから施工現場でボルト挿通孔を開ける方法などが行われている。前者の方法では、施工後にボルトの外周面とプレート材のボルト挿通孔の内周面との間に大きな隙間が残ることから、支圧によるせん断力の伝達が十分にできず、また後者の方法は現場での加工作業が煩雑になり、施工コストの増大に繋がるといった問題点がある。
例えば、上記のようなプレート材同士のボルト接合形式の具体例として、RC造のフーチングを不要にするため、地盤に施工された鋼製の基礎杭に対して鉄骨柱を直接接合する工法が提案されている。特許文献1に記載された接合構造は、鋼管杭の頭部に固定されたプレート材(杭頭プレート)と、鉄骨柱の下端部に固定されたプレート材(柱脚プレート)とを、ボルトとナットで接合するものである。この場合、杭頭プレートと柱脚プレートのボルト挿通孔が、それぞれ過大孔(ルーズホール)に形成され、これらボルト挿通孔には、それぞれ補助座金(フィラー座金)が挿入される。
補助座金は、それぞれ杭頭プレートおよび柱脚プレートに対して、ボルト挿通孔の内周に沿って回転自在となるように、ボルト挿通孔の内径よりもやや小さな直径の略円盤状に形成されている。さらに、補助座金には、周縁部から中心部まで直線的に切り欠かれたボルト挿通部が形成され、このボルト挿通部の幅寸法は、ボルトが挿通可能な必要最小径と略同一とされている。このような補助座金をボルト挿通孔内で回転させることで、ボルト挿通部を任意の周方向位置に移動させることができ、ボルト挿通孔内の任意の径方向位置においてボルトを挿通できるようになっている。
また、杭頭プレートとボルトの頭部との間、および柱脚プレートとナットとの間に介装された座金には、ボルトが挿通可能な必要最小径の内径からなるボルト挿通孔が形成されている。座金は、杭頭プレートおよび柱脚プレートのボルト挿通孔を十分に覆う大きさに形成され、ボルト挿通孔が、その中心から所定距離だけ偏心した位置に設けられている。これにより、杭の水平方向の施工誤差が生じたとしても、座金を回転させることで、ボルト挿通孔を完全に覆うことができるとともに、座金が杭頭プレートや柱脚プレートの端縁から外側にはみ出さないようになっている。
然るに、上記特許文献1に記載の接合構造において、補助座金のボルト挿通部が独立した貫通孔(円形孔)ではなく、周縁部から中心部まで直線的に切り欠かれたスリット状に形成されている。このため、上述した従来の過大孔のみで対応する場合と同様にボルトが貫通している状態でボルト挿通部には、比較的大きな空隙部分が残ることから、支圧によるせん断力の伝達が十分にできないといった問題は解決されない。さらに、偏心した座金は、補助座金の上方に別部品として配置されるので、ボルトの軸力に対して抵抗するには十分な厚さを確保する必要があり、その分だけコストアップとなる。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みなされたもので、例えば建設分野における施工現場において、2枚のプレート材を重ね合わせてボルト接合する際に、ボルト挿通孔の中心位置にずれがあっても簡単な操作でボルトを挿通することが可能であると共に、支圧によるせん断力の伝達が十分に行われるプレート材の締結構造の提供をその目的とする。
上記課題を解決するため、本願の請求項1に係る発明では、過大に形成されたボルト挿通孔をそれぞれ備える2枚のプレート材を、互いのボルト挿通孔が重なるように合わせた状態で、座金の座部を各プレート材の表面側に配置し、それら座金にボルトを挿通してナットで締め付けるプレート材の締結構造であって、座金が、座部の背面側にボルト挿通孔と嵌合する同心状の脚部を備えると共に、ボルトの外径に合わせた内径でそれら座部と脚部を貫通するボルト受入れ孔を偏心位置に形成したものである、という構成を採用した点に特徴がある。
このような構成により、2枚のプレート材のボルト挿通孔間で位置ずれが生じていたとき、座金の回転操作という簡単な調整作業で座金のボルト受入れ孔の中心位置が一致した状態が得られる。そして、一方の座金のボルト受入れ孔からボルトを挿入して他方の座金のボルト受入れ孔から突出させ、ナットで締め付けることで、2枚のプレート材を確実に接合することができる。また、座金のボルト受入れ孔がボルトの外径に合わせた内径であるから、ボルト周囲に空隙が生じることなく、支圧によるせん断力の伝達が十分に行われる。
なお、請求項1に係るプレート材の締結構造において、座金の座部と脚部のそれぞれ外周面が、背面側に向けて縮径する連続した傾斜面に形成されている構成とすることが好ましい(請求項2)。この場合には、プレート材のボルト挿通孔内周面と座金外周面の両方が互いに嵌合可能な同角度の傾斜面となることにより、プレート材のボルト挿入孔と座金のクリアランスがなくなり、ガタの少ない接合部を実現することができる。
さらに、請求項1に係るプレート材の締結構造において、2枚のプレート材が、鉄骨柱の下端部に接合されたベースプレートと基礎杭の頭部に接合された杭頭プレートであるという構成(請求項3)、すなわち基礎杭に対して鉄骨柱を直接接合する工法に本発明を適用すれば、施工現場においてプレート材間で位置ずれが生じたときにも簡単な調整でボルトを挿通して接合することができ、現場での孔明けなどの加工作業が不要になる。
本発明では、2枚のプレート材のそれぞれのボルト挿通孔に対して、座部の背面側にボルト挿通孔と嵌合する同心状の脚部を備えると共に、ボルトの外径に合わせた内径でそれら座部と脚部を貫通するボルト受入れ孔を偏心位置に形成した座金を介在させてボルト・ナットで締め付ける構造であるから、以下のような効果が得られる。
(1)2枚のプレート材を重ね合わせた状態で、対向位置にある互いのボルト挿通孔の中心位置がずれていた場合には、それぞれの座金の脚部がプレート材のボルト挿通孔に嵌入した状態で一方または両方の座金を適宜方向に回転することにより、ボルト受入れ孔の中心位置を変位させて両座金のボルト受入れ孔の中心位置が一致する点を見出すことができる。このようにして互いの中心位置が一致した状態で両方の座金を貫通するようにボルトを挿入してナットで締め付けるだけでよく、簡単な操作で確実にボルト接合が可能となる。
(2)座金とプレート材のボルト挿通孔との間に実質的な隙間がなく、座金のボルト受入れ孔がボルトの外径に合わせた内径であるから、ボルトがプレート材を貫通した接合状態において、従来技術のようにボルトの周囲に大きな空隙が残ることがなくなるので、支圧によるせん断力の伝達が十分に行われる。
(1)2枚のプレート材を重ね合わせた状態で、対向位置にある互いのボルト挿通孔の中心位置がずれていた場合には、それぞれの座金の脚部がプレート材のボルト挿通孔に嵌入した状態で一方または両方の座金を適宜方向に回転することにより、ボルト受入れ孔の中心位置を変位させて両座金のボルト受入れ孔の中心位置が一致する点を見出すことができる。このようにして互いの中心位置が一致した状態で両方の座金を貫通するようにボルトを挿入してナットで締め付けるだけでよく、簡単な操作で確実にボルト接合が可能となる。
(2)座金とプレート材のボルト挿通孔との間に実質的な隙間がなく、座金のボルト受入れ孔がボルトの外径に合わせた内径であるから、ボルトがプレート材を貫通した接合状態において、従来技術のようにボルトの周囲に大きな空隙が残ることがなくなるので、支圧によるせん断力の伝達が十分に行われる。
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1,2は、プレート材の締結構造に係る本発明の第一実施形態を示し、基礎杭と鉄骨柱とが2枚の対向するプレート材を介して接合される締結構造の分解斜視図と締結後の正面図である。この実施形態において、基礎杭1の頭部に接合された鋼板製の杭頭プレート11と、鉄骨柱2の下端部に接合された鋼板製のベースプレート21が本発明における2枚のプレート材に相当する。これら杭頭プレート11およびベースプレート21と、座金3A、3Bを介在させて螺合するボルト4およびナット5の各部材で本発明に係るプレート材の締結構造が構成される。
基礎杭1は円形鋼管からなり、地盤から突出する杭頭部の端面に、円盤状で基礎杭1よりも大径の杭頭プレート11が同一軸心で溶接されている。鉄骨柱2は角形鋼管からなり、その下端部には杭頭プレート11より小径の円盤状のベースプレート21が、同様に同一軸心で溶接されている。杭頭プレート11とベースプレート21には、それぞれ複数のボルト挿通孔12,22が、重ね合わせたときに各中心位置が一致するように穿設されている。この場合、ベースプレート21のボルト挿通孔22は、鉄骨柱2の4つの側面に沿って各2個ずつ設けられ、この配置形態に合わせて杭頭プレート11にもボルト挿通孔12が設けられている。これらのボルト挿通孔12,22は、後述する座金3(3A,3B)と組み合わせることにより、基礎杭1の施工において予測される水平方向の施工誤差を吸収可能な過大孔としてそれぞれ形成されている。なお、基礎杭1および鉄骨柱2の種類は、これに限らず各種のものが適用可能であり、ボルト挿通孔12,22の数や配置形態も適宜変更が可能である。
図3(a)~(c)は、本発明で使用する座金の斜視図、平面図およびA-A断面図である。図示の座金3は、円板状の座部31の背面(下面)側に、座部31よりも小径の脚部32を同心状に形成した形態をなしている。この脚部32は、上記ボルト挿通孔12,22に嵌合した状態で、ボルト挿通孔12,22に対して回転可能な外径に形成されている。さらに、ボルト4の軸径に合わせた内径のボルト受入れ孔33が、円板状の座部31および脚部32に対して偏心した位置で、座部31と脚部32をその軸心方向に貫通している。本発明は、このようにボルト受入れ孔33が偏心している座金3を一対(3A,3B)で使用することにより、2枚のプレート材11,21を重ね合わせた時、互いのボルト挿通孔12,22に芯ずれが生じている場合でもボルトを確実に挿通でき、ボルト4の外径(軸径)とボルト受入れ孔33の内径が上記の通り関係にあるから、締結状態でボルト4の周囲に実質的な隙間が生じない点に大きな特徴がある。
図4(a),(b)は、摩擦接合と支圧接合における力の伝達メカニズムを示した説明図である。(a)の摩擦接合は、ボルトBとナットNの締付力により生じるプレート材P1,P2間の接触面全体の摩擦抵抗力で力を伝達するものであり、最大耐力を超えると摩擦面が滑って支圧接合に移行する。ところが、一般的に摩擦接合は摩擦力のみに期待しており、クリアランスC1を比較的大きく設定し支圧力には期待していない。これに対して、(b)の支圧接合では、まず(a)の摩擦接合と同様に摩擦抵抗力による耐力が発生している。しかしながら、ボルトBとナットNの締付力が弱いと摩擦面が滑り、力の伝達が摩擦力から支圧力(ボルト軸とボルト孔が接する面での局所的な圧縮力)に移行する。そのため、支圧接合を実現するためには、適度な締結力と合わせてクリアランスC2を極力小さくすることが条件となる。
次に、上記座金3による位置ずれ対応のメカニズムについて説明する。なお、図5,6ではプレート材として、第一実施形態に関わる杭頭プレート11とベースプレート21の組合せに関わる符号を付して説明するが、もちろんこの組合せに限定されるものではない。図5は、プレート材11(21)のボルト挿通孔12(22)と座金3の関係を示したものであって、座金3の脚部32をプレート材11(21)のボルト挿通孔22に嵌入した状態、すなわち脚部32とボルト挿通孔12(22)の中心が一致した状態で座金3を回転させたとき、偏心位置にあるボルト受入れ孔33の中心C1が、プレート材11(21)のボルト挿通孔12(22)の中心C2に対して、距離Ex(以下、偏心距離ともいう。)を半径とする同心円状の軌跡(動線)Lを描く。この関係を本発明の対象である2枚のプレート材に当てはめたときの状況を模式的に示したのが図5である。
図6に示すように、2枚のプレート材(11,21)を重ね合わせた時に、一方のプレート材(11)のボルト挿通孔12の中心C2aと、他方のプレート材(21)のボルト挿通孔22の中心C2bとの間に位置ずれが生じ、その間隔を距離e(以下、挿通孔中心間距離ともいう。)とした場合、一方のプレート材(11)のボルト挿通孔12に嵌合する座金(3A)のボルト受入れ孔の中心C1aが座金の回転によって描く軌跡Laと、同じく他方のプレート材(21)のボルト挿通孔22に嵌合する座金(3B)のボルト受入れ孔の中心C1bが描く軌跡Lbの位置関係が重要である。ボルト4を座金3(3A,3B)に挿通するには、対向位置にある一対の座金3(3A,3B)のボルト受入れ孔の中心C1a,C1bが一致していなければならない。両方のボルト受入れ孔の中心C1a,C1bが一致する点とは、ボルト受入れ孔の中心C1aが描く軌跡Laと、ボルト受入れ孔の中心C1bが描く軌跡Lbが交差もしくは接している点であり、図5では2か所の交点X1,X2が該当する。
具体的な作業としては、対向位置にある一対の座金3(3A,3B)について、その脚部32がボルト挿通孔12,22に嵌合した状態で適宜方向に回転することで、互いのボルト受入れ孔の中心C1a,C1bを一致させることができる。このようにして2個の座金のボルト受入れ孔の中心を一致させた後、図1,2に示すように、対向位置にある複数組の座金3A,3Bのそれぞれに対して、ボルト4を一方の座金3Aのボルト受入れ孔33から挿入して他方の座金3Bのボルト受入れ孔33から突出させ、ナット5で締め付けることで締結作業が完了する。なお、ナット5は、必要に応じてダブルナットとしてもよく、またボルト4の挿入は他方の座金3Bのほうから挿入してもよい。
図7は、図6で示したボルト受入れ孔の中心が描く軌跡(動線)La,軌跡Lbの重なり状態の異なるパターンと、それに基づく締結構造を示した説明図である。(a)は、座金3Aのボルト受入れ孔の中心C1aが描く軌跡Laと座金3Bのボルト受入れ孔の中心C1bが描く軌跡Lbが完全に重なっている状態、すなわち挿通孔中心間距離eがゼロであるから2個の座金3A,3Bのボルト挿通孔12,22の中心C2a,C2bが一致している場合である。この場合には軌跡La、Lb上に無数の交点が存在することになる。(b)は、偏心距離Exと挿通孔中心間距離eが等しい状態であって、この場合には図6に拡大して示したように、軌跡Laと軌跡Lbの間に2か所の交点X1,X2が存在する。(c)は、挿通孔中心間距離eが偏心距離Exの2倍、すなわち同じ半径Exからなる軌跡Laと軌跡Lbが1か所で接している状態(接点X3)であって、この条件を超えたときには軌跡同士の交点X1,X2や接点X3が存在しなくなるので、e=2Exがボルト挿通孔12,22間の芯ずれに対応できる最大範囲である。このような必須要件を前提とし、プレート材の用途、適用場所、使用条件などに起因する芯ずれの最大範囲を考慮してプレート材のボルト挿通孔(過大孔)の内径を設定すればよい。なお、挿通孔中心間距離eが(a)の状態と(c)の状態を除いたその間の範囲(0<e<2Ex)では、図7(b)の場合と同様に、軌跡Laと軌跡Lbの間に2か所の交点X1,X2が存在する。これら2か所の交点X1,X2の存在は、2個の座金3A,3Bを互いに180度回転させた位置においても一致することを意味している。
図8は、本発明で使用する座金の他の形態を示している。この座金6は、その外周面61が背面側に向けて縮径する連続した傾斜面に形成され、この傾斜面61の大径側部分が座部62に、また小径側部分が脚部63の役割を果たしている点に特徴がある。この場合には、プレート材11,21のボルト挿通孔13,23の内周面も座金6の外周面61と同じ角度の傾斜面に形成される。したがって、ボルト挿通孔の内周面と座金外周面の両方が互いに嵌合可能な同角度の傾斜面となることにより、ボルト挿通孔と座金のクリアランスがなくなり、ガタの少ない接合部を実現することができる。
図9は、本発明に係るプレート材の締結構造の第二実施形態であって、建築用ブレースの両端の接合部分に適用した事例を示す正面図である。この実施形態の構成は、平鋼からなるブレース本体7を一方のプレート材とし、柱と梁の各交点に設けた鋼板製のガセットプレート8を他方のプレート材とし、2本のブレース本体7をX字状に交差してそれぞれの両端部分を前記第一実施形態で使用する座金3を介して2組のボルト4とナット(図示せず)で四隅に配置されたガセットプレート8にそれぞれ接合したものである。なお、座金3とプレート材7,8に設けるボルト挿通孔の関係においては、上記第一実施形態と同様であるので重複した説明は省略する。
一般的に、平鋼を主体とするブレースでは、地震力を受けて変形した建物において撓みが残ってしまうこともある。通常ブレースの継手は高力ボルトにより接合されるが、ここに、中ボルトと上記座金3を使うことで、撓みを修復できるブレース構造を実現することができる。中ボルトを用いる理由は、再締め付けすることができる点にある。なお、中ボルトを使う場合には、ボルト挿通孔の大きさに高い精度が要求されるが、座金3の使用により孔径を大きくすることができる。そして、座金3を回転させるこことで適度な引張力を導入でき、形状を安定させることができる。さらに、ブレース本体7の交差部にボルト挿通孔を形成してブレース本体7同士をボルト接合することもあるが、この場合にもボルト挿通孔の位置の精度確保が難しいため、座金3の使用は有効である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、2枚のプレート材同士のボルト接合には、さまざまな用途が存在する。例えば建築部において、柱・梁等の主要構造部材以外に、胴縁、母屋等の2次部材への適用がある。2次部材は、通常、中ボルトにより本体に結合される。中ボルトは支圧接合であるため、ボルト挿通孔の大きさは、建築基準法施行令ではボルト径+1mm以内、また日本建築学会の鋼構造設計規準ではボルト径+0.5mmと高い精度が要求されている。2つのボルト挿通孔を上記精度で加工することは可能だが、建築物の施工においては、ある程度のクリアランスがあった方が施工しやすいと言われている。このような場合に座金3を使うことで、中ボルトにおいても、ボルト挿通孔を拡大して支圧接合の機能をもたせることができる。その他、鉄道関連施設ではプラットホームの目隠し壁、ペデストリアンデッキの階段手摺、ペデストリアンデッキ支柱に取り付く配管などさまざまな場所に本発明を適用することができ、さらにこれ以外の用途にも適用が可能であり、その用途、使用場所に応じて本発明の技術思想内でさまざまな変更実施が可能である。
本発明に係るプレート材の締結構造は、プレート材同士のボルト接合にその優位性が発揮され、様々な分野での適用にさらなる展開が期待される。
1…基礎杭、2…鉄骨柱、3(3A,3B),6…座金、4…ボルト、5…ナット、7…ブレース本体(平鋼)、8…ガセットプレート、11…プレート材(杭頭プレート)、12,13,22,23…ボルト挿通孔、21…プレート材(ベースプレート)、31,62…座部、32,63…脚部、33…ボルト受入れ孔、Ex…偏心距離、e…挿通孔中心間距離、La,Lb…軌跡
Claims (3)
- 過大に形成されたボルト挿通孔をそれぞれ備える2枚のプレート材を、互いのボルト挿通孔が重なるように合わせた状態で、座金の座部を各プレート材の表面側に配置し、それら座金にボルトを挿通してナットで締め付けるプレート材の締結構造であって、
前記座金が、座部の背面側に前記ボルト挿通孔と嵌合する同心状の脚部を備えると共に、前記ボルトの外径に合わせた内径でそれら座部と脚部を貫通するボルト受入れ孔を偏心位置に形成したものであることを特徴とするプレート材の締結構造。 - 前記座金の座部と脚部のそれぞれ外周面が、背面側に向けて縮径する連続した傾斜面に形成されている請求項1に記載のプレート材の締結構造。
- 前記2枚のプレート材が、鉄骨柱の下端部に接合されたベースプレートと、基礎杭の頭部に接合された杭頭プレートである請求項1または2に記載のプレート材の締結構造。
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