JP2007055387A - 車両の駆動力配分制御装置 - Google Patents

車両の駆動力配分制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】前軸と後軸の駆動力配分を行うにあたり、実際の走行状態に即した旋回状態の判定を行い、車両の旋回性を安定して維持する。
【解決手段】センタデファレンシャル差動制限制御部40の旋回状態判定部40bは、横加速度の絶対値が予め設定しておいた横加速度値以下で、且つ、横加速度変化率の絶対値が予め設定しておいた横加速度変化率値以下の場合に、略直進時と判定する。また、それ以外の場合、すなわち、横加速度の絶対値が予め設定しておいた横加速度値を超えている場合、或いは、横加速度変化率の絶対値が予め設定しておいた横加速度変化率値を超えている場合は、旋回状態と判定し、横加速度が正の値の場合は左旋回時と判定し、負の値の場合は右旋回時と判定する。
【選択図】図5

Description

本発明は、前輪側と後輪側との間に締結解放自在なトランスファクラッチを設け、前後軸間の駆動力配分を制御する車両の駆動力配分制御装置に関する。
近年、車両の前後駆動力配分制御装置として、様々なものが提案されている。例えば、特開2004−66998号公報では、横加速度の値から車両の旋回状態を判定し、前輪側と後輪側のそれぞれについて、旋回状態における内輪側回転数が外輪側回転数を制御開始差動回転数より下回る場合は、前輪側或いは後輪側での情報を基に得る差動制限トルクを0に設定する。また、旋回状態における内輪側回転数が外輪側回転数を制御開始差動回転数より超える場合は、前輪側或いは後輪側での情報を基に得る差動制限トルクを目標差動回転数と左右輪間の実際の差動回転数に基づき演算し、これら差動制限トルクにより前後差動制限トルクを設定する技術が開示されている。
特開2004−66998号公報
ところで、上述の特許文献1に開示される技術では、横加速度の絶対値が予め設定しておいた所定値より小さいとき、車両は略直進状態と判定し、それ以外の値、例えば横加速度が正の値の場合は車両は左旋回状態、横加速度が負の値の場合は車両は右旋回状態と判定する。しかしながら、このような旋回状態の判定では、左右の旋回が連続して行われるような状態において、左右の旋回が切り替わる途中に横加速度の絶対値が所定値以下になる領域が存在し、この領域では略直進状態と判定されてトランスファクラッチが締結方向に制御され、車両の旋回性が低下する虞がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、前軸と後軸の駆動力配分を行うにあたり、実際の走行状態に即した旋回状態の判定を行い、車両の旋回性を安定して維持することが可能な車両の駆動力配分制御装置を提供することを目的としている。
本発明は、横加速度を検出する横加速度検出手段と、横加速度の変化率を演算する横加速度変化率演算手段と、上記横加速度と上記横加速度変化率とに基づき車両の旋回状態を推定する旋回状態推定手段と、少なくとも上記推定した車両の旋回状態に応じて前軸と後軸との間の駆動力配分を制御する前後駆動力配分制御手段とを備えたことを特徴としている。
本発明による車両の駆動力配分制御装置によれば、前軸と後軸の駆動力配分を行うにあたり、実際の走行状態に即した旋回状態の判定を行い、車両の旋回性を安定して維持することが可能となる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図8は本発明の実施の一形態を示し、図1は車両の駆動系の概略構成図、図2はセンタデファレンシャル差動制限制御部の機能ブロック図、図3はセンタデファレンシャル差動制限制御プログラムのフローチャート、図4は図3から続くフローチャート、図5は車両旋回方向判定ルーチンのフローチャート、図6は目標差動回転数と制御開始差動回転数の車速との関係を示す説明図、図7は制御開始差動回転数の舵角との関係を示す説明図、図8は旋回方向判定の一例を示すタイムチャートである。
図1において、符号1は車両前部に配置されたエンジンを示し、このエンジン1による駆動力は、エンジン1後方の自動変速装置(トルクコンバータ等も含んで図示)2からトランスミッション出力軸2aを経てセンタデファレンシャル装置3に伝達される。そして、センタデファレンシャル装置3から後輪側には、リヤドライブ軸4、プロペラシャフト5、ドライブピニオン6を介して後輪終減速装置7に入力される一方、前輪側には、トランスファドライブギヤ8、トランスファドリブンギヤ9、ドライブピニオン軸部となっているフロントドライブ軸10を介して前輪終減速装置11に入力される。ここで、自動変速装置2、センタデファレンシャル装置3および前輪終減速装置11等は、一体にケース12内に設けられている。
後輪終減速装置7に入力された駆動力は、後輪左ドライブ軸13RLを経て左後輪14RLに伝達される一方、後輪右ドライブ軸13RRを経て右後輪14RRに伝達される。また、前輪終減速装置11に入力された駆動力は、前輪左ドライブ軸13FLを経て左前輪14FLに伝達される一方、前輪右ドライブ軸13FRを経て右前輪14FRに伝達される。
センタデファレンシャル装置3は、入力側のトランスミッション出力軸2aに大径の第1のサンギヤ15が形成されており、この第1のサンギヤ15が小径の第1のピニオン16と噛合して第1の歯車列が構成されている。
また、後輪への出力を行うリヤドライブ軸4には、小径の第2のサンギヤ17が形成されており、この第2のサンギヤ17が大径の第2のピニオン18と噛合して第2の歯車列が構成されている。
第1のピニオン16と第2のピニオン18は、ピニオン部材19に一体に形成されており、複数(例えば3個)のピニオン部材19が、キャリア20に設けた固定軸に回転自在に軸支されている。そして、このキャリア20の前端には、トランスファドライブギヤ8が連結され、前輪への出力が行われる。
また、キャリア20には、前方からトランスミッション出力軸2aが回転自在に挿入される一方、後方からはリヤドライブ軸4が回転自在に挿入されて、空間中央に第1のサンギヤ15と第2のサンギヤ17を格納している。そして、複数のピニオン部材19の各第1のピニオン16が第1のサンギヤ15に、各第2のピニオン18が第2のサンギヤ17に、共に噛合されている。
こうして、入力側の第1のサンギヤ15に対し、第1,第2のピニオン16,18、及び、第2のサンギヤ17を介して一方の出力側とし、第1,第2のピニオン16,18のキャリア20を介して他方の出力側として噛み合い構成され、リングギヤの無い複合プラネタリギヤを構成している。
そしてかかる複合プラネタリギヤ式センタデファレンシャル装置3は、第1,第2のサンギヤ15,17、及び、これらサンギヤ15,17の周囲に複数個配置される第1,第2のピニオン16,18の歯数を適切に設定することで差動機能を有する。
また、第1,第2のピニオン16,18と第1,第2のサンギヤ15,17との噛み合いピッチ半径を適切に設定することで、基準トルク配分を所望の配分(例えば、後輪偏重にした不等トルク配分)にする。
センタデファレンシャル装置3は、第1,第2のサンギヤ15,17と第1,第2のピニオン16,18とを例えばはすば歯車にし、第1の歯車列と第2の歯車列のねじれ角を異にしてスラスト荷重を相殺させることなくスラスト荷重を残留させる。更に、ピニオン部材19の両端で発生する摩擦トルクを、第1,第2のピニオン16,18とキャリア20に設けた固定軸の表面に噛み合いによる分離、接線荷重の合成力が作用し摩擦トルクが生じるように設定する。こうして、入力トルクに比例した差動制限トルクを得られるようにすることで、このセンタデファレンシャル装置3自体によっても差動制限機能が得られるようになっている。
また、センタデファレンシャル装置3の2つの出力部材、すなわちキャリア20とリヤドライブ軸4との間には、前軸と後軸との間の駆動力配分を可変する、油圧式多板クラッチを採用したセンタデフクラッチ(トランスファクラッチ)21が設けられている。そして、このトランスファクラッチ21の締結力を制御することで、前後輪のトルク配分が、前後50:50の直結による4WDから、センタデファレンシャル装置3によるトルク配分比(例えば前後35:65)の範囲で可変制御することが可能となっている。
トランスファクラッチ21は、複数のソレノイドバルブを擁した油圧回路で構成するセンタデフクラッチ駆動部41と接続されており、このセンタデフクラッチ駆動部41で発生される油圧で解放、連結が行われる。そして、センタデフクラッチ駆動部41を駆動させる制御信号(各ソレノイドバルブに対する出力信号)は、後述のセンタデファレンシャル差動制限制御部40から出力される。
一方、後輪終減速装置7は、ベベルギヤ式の差動機構部22と、この左右輪間の差動制限を行う、多板クラッチを採用したリヤデフクラッチ23を備えて構成されており、リヤデフクラッチ23は、ドライブピニオン6が噛合されるリングギヤ24が固定されたデフケース25と後輪右ドライブ軸13RRとの間に設けられている。
また、前輪終減速装置11も、後輪終減速装置7と略同様に構成され、ベベルギヤ式の差動機構部26と、この左右輪間の差動制限を行う、多板クラッチを採用したフロントデフクラッチ27を備えて構成されている。そして、フロントデフクラッチ27は、フロントドライブ軸10のドライブピニオンが噛合されるリングギヤ28が固定されたデフケース29と前輪右ドライブ軸13FRとの間に設けられている。
上述のセンタデファレンシャル差動制限制御部40には、制御に必要なパラメータが後述の如く各センサ類から入力される。
すなわち、各車輪14FL,14FR,14RL,14RRの車輪速度が車輪速度センサ31FL,31FR,31RL,31RRにより検出されて、センタデファレンシャル差動制限制御部40に入力される。また、車両には、ハンドル角を検出するハンドル角センサ32、車両に作用している横加速度を検出する横加速度センサ33が設けられており、これらセンサ32、33で検出されたハンドル角、横加速度は、センタデファレンシャル差動制限制御部40に入力される。
センタデファレンシャル差動制限制御部40は、マイクロコンピュータとその周辺回路とで構成され、図2に示すように、車速演算部40a、旋回状態判定部40b、前輪側左右輪実差動回転数演算部40c、目標差動回転数設定部40d、前輪側差動回転数偏差演算部40e、制御開始差動回転数設定部40f、前輪側制御開始条件判定部40g、前輪側第1の差動制限トルク演算部40h、前輪側第2の差動制限トルク演算部40i、前輪側差動制限トルク演算部40j、後輪側左右輪実差動回転数演算部40k、後輪側差動回転数偏差演算部40l、後輪側制御開始条件判定部40m、後輪側第1の差動制限トルク演算部40n、後輪側第2の差動制限トルク演算部40o、後輪側差動制限トルク演算部40p、前後差動制限トルク演算部40qから主要に構成されている。
車速演算部40aは、4輪の車輪速センサ、すなわち各車輪速度センサ31FL,31FR,31RL,31RRから各車輪14FL,14FR,14RL,14RRの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrrが入力され、例えばこれらの平均を演算することにより車速Vを演算し、目標差動回転数設定部40d、制御開始差動回転数設定部40fに出力する。
旋回状態判定部40bは、横加速度センサ33から横加速度Gyの信号が入力される。そして、後述の車両旋回方向判定ルーチンに従って、横加速度の変化率ΔGyを横加速度Gyを微分することにより演算し、車両の旋回状態を判定して、判定した結果を前輪側左右輪実差動回転数演算部40cと後輪側左右輪実差動回転数演算部40kとに出力する。
具体的には、横加速度の絶対値|Gy|が予め設定しておいた横加速度値Gyc以下で、且つ、横加速度変化率の絶対値|ΔGy|が予め設定しておいた横加速度変化率値ΔGyc以下の場合に、略直進時と判定する。また、それ以外の場合、すなわち、横加速度の絶対値|Gy|が予め設定しておいた横加速度値Gycを超えている場合、或いは、横加速度変化率の絶対値|ΔGy|が予め設定しておいた横加速度変化率値ΔGycを超えている場合は、旋回状態と判定し、横加速度Gyが正の値の場合は左旋回時と判定し、負の値の場合は右旋回時と判定する。
このように、本実施の形態においては、横加速度センサ33は横加速度検出手段として設けられており、旋回状態判定部40bは、横加速度変化率演算手段、及び、旋回状態推定手段として設けられている。
前輪側左右輪実差動回転数演算部40cは、左右前輪の車輪速度センサ31FL,31FRから左右前輪14FL,14FRの車輪速度ωfl,ωfrが入力され、旋回状態判定部40bから車両の旋回状態が入力されて、車両の旋回状態に応じて以下の(1)、(2)、(3)式の何れかにより、左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtを演算する。
右旋回時…ΔωFt=ωfr−ωfl …(1)
左旋回時…ΔωFt=ωfl−ωfr …(2)
略直進時…ΔωFt=|ωfr−ωfl| …(3)
尚、左右両方の車輪がスリップしていない状態においては、旋回外輪の方が車輪速度が速くなるため(1)、(2)式で得られる実際の差動回転数ΔωFtは負の値となる。
そして、この前輪側左右輪実差動回転数演算部40cで演算された実際の差動回転数ΔωFtは、前輪側差動回転数偏差演算部40eと前輪側制御開始条件判定部40gとに出力される。
目標差動回転数設定部40dは、車速演算部40aから車速Vが入力され、例えば、予め実験や演算等により求めておいた車速Vと目標差動回転数Δωtのマップを参照して、車速Vに応じた目標差動回転数Δωtを設定する。
この車速Vと目標差動回転数Δωtのマップは、例えば図6に示すように設定されており、目標差動回転数Δωtは、予め車両諸元等に基づき、実際の走行で生じる種々の誤差を考慮しながら、車速Vが大きくなるほど、次第に小さくなるように予め設定されている。
目標差動回転数設定部40dで設定された目標差動回転数Δωtは、前輪側差動回転数偏差演算部40eと後輪側差動回転数偏差演算部40lに出力される。尚、本実施の形態では、前輪側も後輪側も同一の目標差動回転数Δωtを用いるように説明しているが、車両諸元によっては、それぞれ別の値を設定するようにしても良い。この場合、前輪側に対応する目標差動回転数が前輪側差動回転数偏差演算部40eに、後輪側に対応する目標差動回転数が後輪側差動回転数偏差演算部40lに出力される。
前輪側差動回転数偏差演算部40eは、前輪側左右輪実差動回転数演算部40cから旋回状態に応じた左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtが、目標差動回転数設定部40dから目標差動回転数Δωtが入力され、これらの偏差(前輪側差動回転数偏差)εFtを以下の(4)式により演算し、前輪側第1の差動制限トルク演算部40hと前輪側第2の差動制限トルク演算部40iに出力する。
εFt=ΔωFt−Δωt …(4)
制御開始差動回転数設定部40fは、車速演算部40aから車速Vが入力され、例えば、予め実験や演算等により求めておいた車速Vと制御開始差動回転数Δωsのマップ、或いは設定値により、車速Vに応じた制御開始差動回転数Δωsを設定する。
この制御開始差動回転数Δωsは、目標差動回転数Δωtよりも小さな値で、後述するように、旋回内輪が旋回外輪より速度が大きくなってもセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行するまでどの程度許容するかを定める閾値であり、例えば0に設定した場合は、旋回内輪の車輪速度が旋回外輪の車輪速度より大きくなった場合、直ぐにセンタデファレンシャルの差動制限制御が実行されることとなる。そして、制御開始差動回転数Δωsを0の設定値としない場合、車速Vと制御開始差動回転数Δωsのマップは、例えば図6に示すように設定されており、制御開始差動回転数Δωsは、予め車両諸元等に基づき、実際の走行で生じる種々の誤差を考慮しながら、車速Vが大きくなるほど、次第に小さくなるように予め設定されている。
尚、本実施の形態においては、制御開始差動回転数設定部40fには、ハンドル角センサ32からハンドル角が入力されるようになっており、設定した制御開始差動回転数Δωsを、更に舵角により補正して正確に設定可能になっている。この舵角による補正は、例えば図7に示すような特性のマップで行い、舵角が大きい程、制御開始差動回転数Δωsを大きく補正する。
こうして、制御開始差動回転数設定部40fで設定された制御開始差動回転数Δωsは、前輪側制御開始条件判定部40gと後輪側制御開始条件判定部40mに出力される。尚、本実施の形態では、前輪側も後輪側も同一の制御開始差動回転数Δωsを用いるように説明しているが、車両諸元によっては、それぞれ別の値を設定するようにしても良い。この場合、前輪側に対応する制御開始差動回転数が前輪側制御開始条件判定部40gに、後輪側に対応する制御開始差動回転数が後輪側制御開始条件判定部40mに出力される。
前輪側制御開始条件判定部40gは、前輪側左右輪実差動回転数演算部40cから旋回状態に応じた左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtが、制御開始差動回転数設定部40fから制御開始差動回転数Δωsが入力され、これらを比較してセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件が成立するか否か判定する。
すなわち、前輪側制御開始条件判定部40gは、旋回状態に応じた左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtが、制御開始差動回転数Δωsより小さいか判定する。そして、差動回転数ΔωFtが制御開始差動回転数Δωsより小さい場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上に上回っておらず、前輪側のフロントデフクラッチ27で十分な制御が行えていると判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御が不必要に関与することを防止すべく、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件は不成立と判定する。
逆に、差動回転数ΔωFtが制御開始差動回転数Δωs以上となった場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上上回り、前輪側のフロントデフクラッチ27では左右輪間の差動制限トルクが不足し十分な制御が行えていないと判断する。そして、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行させ、余剰な駆動トルクを他方の駆動軸に移動し、トラクション性能、コーナリング性能を共に向上させるべく、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件が成立と判定する。
こうして、前輪側制御開始条件判定部40gで判定された結果は、前輪側第1の差動制限トルク演算部40hと、前輪側第2の差動制限トルク演算部40iとに出力される。
前輪側第1の差動制限トルク演算部40hは、前輪側差動回転数偏差演算部40eから前輪側差動回転数偏差εFtが、前輪側制御開始条件判定部40gからセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果が入力され、例えば、以下のように前輪側第1の差動制限トルクTsmcFtを演算する。
sFt=εFt+kiFt・∫(εFt)dt …(5)
(但し、積分範囲は0からtまで)
ここで、kiFtは積分項ゲインである。
x=kwFt・jwFt・(dεFt/dt)
+TsgFt・(sFt/(|sFt|+δFt)) …(6)
ここで、kwFtは微分項ゲイン、jwFtは慣性項、TsgFtは切換ゲイン、δFtはチャタリング防止のため差動制限力を連続化する定数である。
そして、x>0の場合は、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFt=xとし、x≦0の場合は、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFt=0とする。そして、前輪側制御開始条件判定部40gからのセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果を参照し、ΔωFt<Δωsで制御開始条件が不成立の場合には、TsmcFt=xであっても、TsmcFt=0とすると共に、∫(εFt)dt=0(但し、積分範囲は0からtまで)にリセットする。
すなわち、上述したように、旋回状態に応じた左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtが制御開始差動回転数Δωsより小さい場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上に上回っておらず、前輪側のフロントデフクラッチ27で十分な制御が行えていると判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御が不必要に関与することを防止すべく、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFt=0とする。そして、この際、積分項∫(εFt)dt(但し、積分範囲は0からtまで)もリセットすることにより、積分項が異常に低い値となることを防止する。こうして、演算された前輪側第1の差動制限トルクTsmcFtは、前輪側差動制限トルク演算部40jに出力される。
前輪側第2の差動制限トルク演算部40iは、前輪側差動回転数偏差演算部40eから前輪側差動回転数偏差εFtが、前輪側制御開始条件判定部40gからセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果が入力され、例えば、以下のように前輪側第2の差動制限トルクTpcFtを演算する。
すなわち、前輪側差動回転数偏差εFtが、0より大きい場合は、前輪側第2の差動制限トルクTpcFt=kpFt・εFtとし、前輪側差動回転数偏差εFtが、0以下の場合は、前輪側第2の差動制限トルクTpcFt=0とする。ここで、kpFtは比例項ゲインである。そして、前輪側制御開始条件判定部40gからのセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果を参照し、ΔωFt<Δωsで制御開始条件が不成立の場合には、TpcFt=kpFt・εFtであっても、TpcFt=0とし、センタデファレンシャルの差動制限制御が実行されることを回避する。こうして演算された前輪側第2の差動制限トルクTpcFtは、前輪側差動制限トルク演算部40jに出力される。
前輪側差動制限トルク演算部40jは、前輪側第1の差動制限トルク演算部40hから前輪側第1の差動制限トルクTsmcFtが、前輪側第2の差動制限トルク演算部40iから前輪側第2の差動制限トルクTpcFtが入力され、以下の(7)式により、前輪側による差動制限トルクTlsdFtを演算し、この前輪側による差動制限トルクTlsdFtを前後差動制限トルク演算部40qに出力する。
TlsdFt=TsmcFt+TpcFt …(7)
一方、後輪側左右輪実差動回転数演算部40kは、左右後輪の車輪速度センサ31RL,31RRから左右後輪14RL,14RRの車輪速度ωrl,ωrrが入力され、旋回状態判定部40bから車両の旋回状態が入力されて、車両の旋回状態に応じて以下の(8)、(9)、(10)式の何れかにより、左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrを演算する。
右旋回時…ΔωRr=ωrr−ωrl …(8)
左旋回時…ΔωRr=ωrl−ωrr …(9)
略直進時…ΔωRr=|ωrr−ωrl| …(10)
尚、左右両方の車輪がスリップしていない状態においては、旋回外輪の方が車輪速度が速くなるため(8)、(9)式で得られる実際の差動回転数ΔωRrは負の値となる。
そして、この後輪側左右輪実差動回転数演算部40kで演算された実際の差動回転数ΔωRrは、後輪側差動回転数偏差演算部40lと後輪側制御開始条件判定部40mとに出力される。
後輪側差動回転数偏差演算部40lは、後輪側左右輪実差動回転数演算部40kから旋回状態に応じた左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrが、目標差動回転数設定部40dから目標差動回転数Δωtが入力され、これらの偏差(後輪側差動回転数偏差)εRrを以下の(11)式により演算し、後輪側第1の差動制限トルク演算部40nと後輪側第2の差動制限トルク演算部40oに出力する。
εRr=ΔωRr−Δωt …(11)
後輪側制御開始条件判定部40mは、後輪側左右輪実差動回転数演算部40kから旋回状態に応じた左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrが、制御開始差動回転数設定部40fから制御開始差動回転数Δωsが入力され、これらを比較してセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件が成立するか否か判定する。
すなわち、後輪側制御開始条件判定部40mは、旋回状態に応じた左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrが、制御開始差動回転数Δωsより小さいか判定する。そして、差動回転数ΔωRrが制御開始差動回転数Δωsより小さい場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上に上回っておらず、後輪側のリヤデフクラッチ23で十分な制御が行えていると判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御が不必要に関与することを防止すべく、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件は不成立と判定する。
逆に、差動回転数ΔωRrが制御開始差動回転数Δωs以上となった場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上上回り、後輪側のリヤデフクラッチ23では左右輪間の差動制限トルクが不足し十分な制御が行えていないと判断する。そして、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行させ、余剰な駆動トルクを他方の駆動軸に移動し、トラクション性能、コーナリング性能を共に向上させるべく、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件が成立と判定する。
こうして、後輪側制御開始条件判定部40mで判定された結果は、後輪側第1の差動制限トルク演算部40nと、後輪側第2の差動制限トルク演算部40oとに出力される。
後輪側第1の差動制限トルク演算部40nは、後輪側差動回転数偏差演算部40lから後輪側差動回転数偏差εRrが、後輪側制御開始条件判定部40mからセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果が入力され、例えば、以下のように後輪側第1の差動制限トルクTsmcRrを演算する。
sRr=εRr+kiRr・∫(εRr)dt …(12)
(但し、積分範囲は0からtまで)
ここで、kiRrは積分項ゲインである。
x=kwRr・jwRr・(dεRr/dt)
+TsgRr・(sRr/(|sRr|+δRr)) …(13)
ここで、kwRrは微分項ゲイン、jwRrは慣性項、TsgRrは切換ゲイン、δRrはチャタリング防止のため差動制限力を連続化する定数である。
そして、x>0の場合は、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRr=xとし、x≦0の場合は、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRr=0とする。そして、後輪側制御開始条件判定部40mからのセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果を参照し、ΔωRr<Δωsで制御開始条件が不成立の場合には、TsmcRr=xであっても、TsmcRr=0とすると共に、∫(εRr)dt=0(但し、積分範囲は0からtまで)にリセットする。
すなわち、上述したように、旋回状態に応じた左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrが制御開始差動回転数Δωsより小さい場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上に上回っておらず、後輪側のリヤデフクラッチ23で十分な制御が行えていると判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御が不必要に関与することを防止すべく、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRr=0とする。そして、この際、積分項∫(εRr)dt(但し、積分範囲は0からtまで)もリセットすることにより、積分項が異常に低い値となることを防止する。こうして、演算された後輪側第1の差動制限トルクTsmcRrは、後輪側差動制限トルク演算部40pに出力される。
後輪側第2の差動制限トルク演算部40oは、後輪側差動回転数偏差演算部40lから後輪側差動回転数偏差εRrが、後輪側制御開始条件判定部40mからセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果が入力され、例えば、以下のように後輪側第2の差動制限トルクTpcRrを演算する。
すなわち、後輪側差動回転数偏差εRrが、0より大きい場合は、後輪側第2の差動制限トルクTpcRr=kpRr・εRrとし、後輪側差動回転数偏差εRrが、0以下の場合は、後輪側第2の差動制限トルクTpcRr=0とする。ここで、kpRrは比例項ゲインである。そして、後輪側制御開始条件判定部40mからのセンタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件の判定結果を参照し、ΔωRr<Δωsで制御開始条件が不成立の場合には、TpcRr=kpRr・εRrであっても、TpcRr=0とし、センタデファレンシャルの差動制限制御が実行されることを回避する。こうして演算された後輪側第2の差動制限トルクTpcRrは、後輪側差動制限トルク演算部40pに出力される。
後輪側差動制限トルク演算部40pは、後輪側第1の差動制限トルク演算部40nから後輪側第1の差動制限トルクTsmcRrが、後輪側第2の差動制限トルク演算部40oから後輪側第2の差動制限トルクTpcRrが入力され、以下の(14)式により、後輪側による差動制限トルクTlsdRrを演算し、この後輪側による差動制限トルクTlsdRrを前後差動制限トルク演算部40qに出力する。
TlsdRr=TsmcRr+TpcRr …(14)
前後差動制限トルク演算部40qは、前輪側差動制限トルク演算部40jから前輪側による差動制限トルクTlsdFtが、後輪側差動制限トルク演算部40pから後輪側による差動制限トルクTlsdRrが入力され、これらの差動制限トルクTlsdFt,TlsdRrのうち、大きい方を前輪と後輪との間の差動制限トルクTlsdとして決定し、センタデフクラッチ駆動部41に出力する。
そして、本実施の形態においては、前輪側左右輪実差動回転数演算部40c、〜、前後差動制限トルク演算部40qにより、前後駆動力配分制御手段が構成されている。
次に、センタデファレンシャル差動制限制御部40での処理の流れを図5及び図6のフローチャートで説明する。
まず、ステップ(以下、「S」と略称)101で、各車輪14FL,14FR,14RL,14RRの車輪速度ωfl,ωfr,ωrl,ωrr、ハンドル角、横加速度等の必要なパラメータを読み込む。
次いで、S102に進み、車速演算部40aで車速Vを演算し、S103に進んで、旋回状態判定部40bで、後述の車両旋回方向判定ルーチンにより車両の旋回方向(旋回状態)を判定し、S104に進んで、目標差動回転数設定部40dで、車速Vと目標差動回転数Δωtのマップを参照して、車速Vに応じた目標差動回転数Δωtを設定する。
次に、S105に進み、制御開始差動回転数設定部40fで、車速Vと制御開始差動回転数Δωsのマップを参照し、また、ハンドル角で補正を加えて制御開始差動回転数Δωsを設定する。
次いで、S106に進み、前輪側左右輪実差動回転数演算部40cで上述の(1)、(2)、(3)式の何れかにより、車両の旋回状態に応じた左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtを演算する。
その後、S107に進むと、前輪側制御開始条件判定部40gで旋回状態に応じた左前輪14FLと右前輪14FRとの間の実際の差動回転数ΔωFtと制御開始差動回転数Δωsとの比較を行い、前輪側の差動回転数ΔωFtが制御開始差動回転数Δωs以上の場合は、フロントデフクラッチ27では左右輪間の差動制限トルクが不足し十分な制御が行えていないと判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件が成立と判定してS108に進む。
こうして、S108に進むと、前輪側差動回転数偏差演算部40eで前記(4)式により前輪側差動回転数偏差εFtの演算が行われ、S109に進む。
S109では、前輪側第1の差動制限トルク演算部40hにおいて、前輪側差動回転数偏差εFtの積分値、すなわち、∫(εFt)dt(但し、積分範囲は0からtまで)の演算が行われ、S110に進んで、前輪側第1の差動制限トルク演算部40hで前輪側第1の差動制限トルクTsmcFtの演算が実行される。この前輪側第1の差動制限トルクTsmcFtの演算は、前記(6)式で演算されるxの値に依存され、x>0の場合は、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFt=xに設定され、x≦0の場合は、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFt=0と設定される。
次いで、S111に進むと、前輪側第2の差動制限トルク演算部40iにおいて、前輪側第2の差動制限トルクTpcFtの演算が実行される。具体的には、前輪側差動回転数偏差εFtが、0より大きい場合は、前輪側第2の差動制限トルクTpcFt=kpFt・εFtとされ、前輪側差動回転数偏差εFtが、0以下の場合は、前輪側第2の差動制限トルクTpcFt=0とされる。
一方、前記S107の判定で、前輪側の差動回転数ΔωFtが制御開始差動回転数Δωsより小さいと判定された場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上に上回っておらず、前輪側のフロントデフクラッチ27で十分な制御が行えていると判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御が不必要に関与することを防止すべく、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件は不成立と判定してS112に進む。
S112では、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFt、前輪側第2の差動制限トルクTpcFtを0に設定し、更にS113に進んで、前輪側差動回転数偏差εFtの積分値をリセットする。
こうして、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行すべくS111までの処理、或いは、センタデファレンシャルの差動制限制御を不実行とすべくS113までの処理を終了した後は、S114に進み、前輪側差動制限トルク演算部40jで前記(7)式により、前輪側第1の差動制限トルクTsmcFtと前輪側第2の差動制限トルクTpcFtにより前輪側による差動制限トルクTlsdFtを演算する。このように、S106〜S114は、フロントデフクラッチ27における情報を基に差動制限トルクTlsdFtを設定する処理となっている。
その後、S115へと進み、後輪側左右輪実差動回転数演算部40kで上述の(8)、(9)、(10)式の何れかにより、車両の旋回状態に応じた左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrを演算する。
次いで、S116に進むと、後輪側制御開始条件判定部40mで旋回状態に応じた左後輪14RLと右後輪14RRとの間の実際の差動回転数ΔωRrと制御開始差動回転数Δωsとの比較を行い、後輪側の差動回転数ΔωRrが制御開始差動回転数Δωs以上の場合は、リヤデフクラッチ23では左右輪間の差動制限トルクが不足し十分な制御が行えていないと判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件が成立と判定してS117に進む。
こうして、S117に進むと、後輪側差動回転数偏差演算部40lで前記(11)式により後輪側差動回転数偏差εRrの演算が行われ、S118に進む。
S118では、後輪側第1の差動制限トルク演算部40nにおいて、後輪側差動回転数偏差εRrの積分値、すなわち、∫(εRr)dt(但し、積分範囲は0からtまで)の演算が行われ、S119に進んで、後輪側第1の差動制限トルク演算部40nで後輪側第1の差動制限トルクTsmcRrの演算が実行される。この後輪側第1の差動制限トルクTsmcRrの演算は、前記(13)式で演算されるxの値に依存され、x>0の場合は、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRr=xに設定され、x≦0の場合は、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRr=0と設定される。
次いで、S120に進むと、後輪側第2の差動制限トルク演算部40oにおいて、後輪側第2の差動制限トルクTpcRrの演算が実行される。具体的には、後輪側差動回転数偏差εRrが、0より大きい場合は、後輪側第2の差動制限トルクTpcRr=kpRr・εRrとされ、後輪側差動回転数偏差εRrが、0以下の場合は、後輪側第2の差動制限トルクTpcRr=0とされる。
一方、前記S116の判定で、後輪側の差動回転数ΔωRrが制御開始差動回転数Δωsより小さいと判定された場合は、旋回内輪の回転数が旋回外輪の回転数を許容する以上に上回っておらず、後輪側のリヤデフクラッチ23で十分な制御が行えていると判断し、センタデファレンシャルの差動制限制御が不必要に関与することを防止すべく、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行する条件は不成立と判定してS121に進む。
S121では、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRr、後輪側第2の差動制限トルクTpcRrを0に設定し、更にS122に進んで、後輪側差動回転数偏差εRrの積分値をリセットする。
こうして、センタデファレンシャルの差動制限制御を実行すべくS120までの処理、或いは、センタデファレンシャルの差動制限制御を不実行とすべくS122までの処理を終了した後は、S123に進み、後輪側差動制限トルク演算部40pで前記(14)式により、後輪側第1の差動制限トルクTsmcRrと後輪側第2の差動制限トルクTpcRrにより後輪側による差動制限トルクTlsdRrを演算する。このように、S115〜S123は、リヤデフクラッチ23における情報を基に差動制限トルクTlsdRrを設定する処理となっている。
その後、S124へと進み、前後差動制限トルク演算部40qにおいて前輪側による差動制限トルクTlsdFtと後輪側による差動制限トルクTlsdRrとを比較し、これらの差動制限トルクTlsdFt,TlsdRrのうち、大きい方を前輪と後輪との間の差動制限トルクTlsdとして決定し、S125に進んでセンタデフクラッチ駆動部41に出力し、プログラムを抜ける。
このように本実施の形態によれば、例えば、スポーツ走行(旋回中のアクセルon)時等に旋回内輪のグリップが限界に達して内輪が空転しようとすると、左右輪間の機械的な差動制限作用によって駆動トルクが外輪に移動し、車両回頭方向のヨーモーメントが発生する。この時、左右輪間の差動制限トルクが十分であれば、センタデファレンシャルの差動制限は実行されず、センタデファレンシャルの差動制限が不必要に干渉することがない。一方、左右輪間の差動制限トルクが不足する場合は、旋回内輪は外輪より更に速く回り、トラクション性能、コーナリング性能共に低下するが、これを検知してセンタデファレンシャルの差動制限を行うことで、余剰な駆動トルクを他方の駆動軸に移動し、トラクション性能、コーナリング性能共に向上することができる。また、通常の旋回状態では旋回内輪の回転数は外輪より小さいため、センタデファレンシャルの差動制限は行われず、タイトコーナブレーキング現象が回避できる。
次に、図5は、前述のセンタデファレンシャル差動制限制御のS103で実行される、車両旋回方向判定ルーチンを示し、まず、S201で横加速度Gyを読み込む。
次いで、S202に進み、横加速度Gyを微分して、横加速度変化率ΔGyを演算する。
そして、S203に進み、横加速度の絶対値|Gy|が予め設定しておいた横加速度値Gycを超えているか否か判定し、予め設定しておいた横加速度値Gyc以下である場合は、S204に進む。
S204では、横加速度変化率の絶対値|ΔGy|が予め設定しておいた横加速度変化率値ΔGycを超えているか否か判定し、予め設定しておいた横加速度変化率値ΔGyc以下である場合は、S205に進んで、略直進時と判定してルーチンを抜ける。
一方、S203で横加速度の絶対値|Gy|が予め設定しておいた横加速度値Gycを超えている場合、或いは、S204で横加速度変化率の絶対値|ΔGy|が予め設定しておいた横加速度変化率値ΔGycを超えている場合はS206に進む。
S206では、横加速度Gyの符号の判定が行われ、横加速度Gyが正の符号である場合はS207に進み、左旋回時と判定してルーチンを抜ける。逆に、横加速度Gyが負の符号である場合はS208に進み、右旋回時と判定してルーチンを抜ける。
すなわち、図8のタイムチャートに示すように、左旋回から右旋回と旋回状態が連続する状態を考えた場合、横加速度Gyは、時刻t2〜t6の間、及び、時刻t8〜t12の間で、絶対値|Gy|が予め設定しておいた横加速度値Gycを超える。しかしながら、時刻t6〜t8の間は、過渡状態であり、横加速度の絶対値|Gy|が小さくなってしまうため、このような状態で、トランスファクラッチ21を締結する方向に作用させてしまうと旋回性を却って阻害することとなる。
本発明の実施形態によれば、横加速度変化率の絶対値|ΔGy|が予め設定しておいた横加速度変化率値ΔGycを超えている場合も旋回状態と判定するため、時刻t5〜t9の間も旋回状態と判定される。従って、旋回状態が連続する場合の過渡状態においても旋回状態と判定されることになり、トランスファクラッチ21は略直進時と判定することがなく、安定して実際の旋回走行に即した円滑な駆動力配分制御ができるようになっている。
尚、本実施の形態で示す駆動力配分の機構は、あくまでもその一例であり、他の形態の機構であっても本発明が適用できることは云うまでもない。
車両の駆動系の概略構成図 センタデファレンシャル差動制限制御部の機能ブロック図 センタデファレンシャル差動制限制御プログラムのフローチャート 図3から続くフローチャート 車両旋回方向判定ルーチンのフローチャート 目標差動回転数と制御開始差動回転数の車速との関係を示す説明図 制御開始差動回転数の舵角との関係を示す説明図 旋回方向判定の一例を示すタイムチャート
符号の説明
3 センタデファレンシャル装置
21 トランスファクラッチ
33 横加速度センサ(横加速度検出手段)
40 センタデファレンシャル差動制限制御部
40a 車速演算部
40b 旋回状態判定部(横加速度変化率演算手段、旋回状態推定手段)
40c 前輪側左右輪実差動回転数演算部(旋回状態推定手段)
40d 目標差動回転数設定部(旋回状態推定手段)
40e 前輪側差動回転数偏差演算部(旋回状態推定手段)
40f 制御開始差動回転数設定部(旋回状態推定手段)
40g 前輪側制御開始条件判定部(旋回状態推定手段)
40h 前輪側第1の差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)
40i 前輪側第2の差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)
40j 前輪側差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)
40k 後輪側左右輪実差動回転数演算部(旋回状態推定手段)
40l 後輪側差動回転数偏差演算部(旋回状態推定手段)
40m 後輪側制御開始条件判定部(旋回状態推定手段)
40n 後輪側第1の差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)
40o 後輪側第2の差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)
40p 後輪側差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)
40q 前後差動制限トルク演算部(旋回状態推定手段)

Claims (2)

  1. 横加速度を検出する横加速度検出手段と、
    横加速度の変化率を演算する横加速度変化率演算手段と、
    上記横加速度と上記横加速度変化率とに基づき車両の旋回状態を推定する旋回状態推定手段と、
    少なくとも上記推定した車両の旋回状態に応じて前軸と後軸との間の駆動力配分を制御する前後駆動力配分制御手段と、
    を備えたことを特徴とする車両の駆動力配分制御装置。
  2. 上記旋回状態推定手段は、上記横加速度の絶対値が予め設定しておいた横加速度値を超える状態の場合と、上記横加速度変化率の絶対値が予め設定しておいた横加速度変化率値を超える場合の少なくとも一方の状態の場合に車両が旋回状態と判定することを特徴とする請求項1記載の車両の駆動力配分制御装置。
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