JP2007054884A - 鋳造体 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量を好適に軽減することのできる鋳造体を提供する。
【解決手段】鋳造にて成型されるとともに、スクイズ用の突起部(スクイズボス14)を有するデリバリパイプ10において、スクイズボス14に雌ねじ部14bを設ける。そして、圧力センサ20の雄ねじ部20aを雌ねじ部14bに螺合させる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、鋳造にて成型される鋳造体に関するものである。
鋳造にて成型される鋳造体は、金型のキャビティ内に充填された溶湯が凝固する際、特に厚肉部においてひけ巣などの鋳造欠陥が生じやすい。
そこで、従来、鋳造体にあってひけ巣が生じやすい厚肉部近傍に突起部を設け、鋳造過程において金型のキャビティ内で溶湯が凝固する前に、その突起部を形成する溶湯に対してスクイズピンを挿入するといった処理が行われることがある(例えば特許文献1等)。
このように、スクイズ用の突起部を形成する溶湯に対してスクイズピンが挿入されると、キャビティ内の溶湯は加圧され、同キャビティ内で溶湯が凝固収縮することにより発生する隙間に溶湯が加圧充填される。こうした隙間への溶湯の充填により、ひけ巣などといった鋳造欠陥の発生が抑制される。
特開平4−118165号公報
ところで、鋳造体には上記スクイズ用の突起部に加え、さらに種々の部材を取り付けるための突起部が形成されることもある。
例えば、図5に示すように、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプ100を鋳造にて成型する場合、同デリバリパイプ100に燃料を導入する燃料導入部13の近傍には、スクイズボス140、すなわち鋳造過程においてスクイズピンが挿入されたスクイズ用の突起部が形成される。さらに、デリバリパイプ100には、燃料の圧力を検出する圧力センサ20を取り付けるための突起部であり、強度確保のために厚肉部とされたセンサボス130も形成されることがある。
このように、スクイズ用の突起部及び部材取付用の突起部が鋳造体に形成されると、それら突起部の分だけ同鋳造体の重量は増加してしまうといった問題が生じてしまう。
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、重量を好適に軽減することのできる鋳造体を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、鋳造にて成型されるとともに、スクイズ用の突起部を有する鋳造体において、前記突起部にねじ部を設けたことをその要旨とする。
なお、スクイズ用の突起部とは、上述したように、鋳造体にあってひけ巣が生じやすい厚肉部近傍に設けられる突起部であって、鋳造過程において金型のキャビティ内で溶湯が凝固する前に同溶湯を加圧するべくスクイズピンが挿入される部位のことをいう。
同構成によれば、スクイズ用の突起部を利用して、ねじ部を有した部材を鋳造体に取り付けることができるようになる。従って、従来、そうした部材を取り付けるために別途形成されていた部材取付用の突起部を省略することができるようになり、これにより鋳造体の重量を好適に軽減することができるようになる。
また、そうした部材取付用の突起部は、通常、強度確保のために厚肉部とされるため、鋳造欠陥が生じやすい部位となっているが、同構成によればこうした突起部を省略することができるため、鋳造体の品質も自ずと向上するようになる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の鋳造体において、前記鋳造体は内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプであって、前記突起部に設けられた前記ねじ部は前記デリバリパイプ内の燃料通路に連通されており、前記ねじ部には圧力センサのねじ部が螺合されることをその要旨とする。
同構成によれば、鋳造にて成型されるデリバリパイプにおいて、その内部の燃料圧力を検出する圧力センサをスクイズ用の突起部に取り付けることができるようになる。そのため、圧力センサ取付用の突起部をデリバリパイプに別途設ける必要がなく、もって同デリバリパイプの重量を軽減したり、その鋳造品質を向上させたりすることができるようになる。なお、同構成において、圧力センサのねじ部が雄ねじである場合には、スクイズ用の突起部に雌ねじを設け、圧力センサのねじ部が雌ねじである場合には、スクイズ用の突起部に雄ねじを設けるようにすればよい。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の鋳造体において、前記鋳造体は内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプであって、前記突起部に設けられた前記ねじ部は前記デリバリパイプ内の燃料通路に連通されており、前記ねじ部にはリリーフバルブのねじ部が螺合されることをその要旨とする。
同構成によれば、鋳造にて成型されるデリバリパイプにおいて、その内部の燃料圧力を一定に保つためのリリーフバルブをスクイズ用の突起部に取り付けることができるようになる。そのため、リリーフバルブ取付用の突起部をデリバリパイプに別途設ける必要がなく、もって同デリバリパイプの重量を軽減したり、その鋳造品質を向上させたりすることができるようになる。なお、同構成において、リリーフバルブのねじ部が雄ねじである場合には、スクイズ用の突起部に雌ねじを設け、リリーフバルブのねじ部が雌ねじである場合には、スクイズ用の突起部に雄ねじを設けるようにすればよい。
以下、この発明にかかる鋳造体を具体化した一実施形態について、図1〜図3を併せ参照して説明する。
図1は、本実施形態にかかる鋳造体であって、筒内噴射式ガソリンエンジンの燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプ10についてその全体構造を示している。なお、この図1において、先の図5に示した部材と同一の部材には、同じ符号を付けている。
このデリバリパイプ10は、アルミニウム合金の鋳造体であって、その長手方向には、燃料噴射弁を取り付けるための挿入部11が所定間隔毎に複数設けられている。各挿入部11には、デリバリパイプ10内の燃料通路に連通する挿入孔11aがそれぞれ設けられており、この挿入孔11aに燃料噴射弁の後端が挿入される。
また、デリバリパイプ10の長手方向には、同デリバリパイプ10を内燃機関のシリンダヘッドに固定するための取付部12が所定間隔毎に複数設けられている。各取付部12には、貫通孔12aがそれぞれ設けられており、その貫通孔12aに挿入されるボルトがシリンダヘッドに螺入されることにより、同デリバリパイプ10はシリンダヘッドに固定される。
また、デリバリパイプ10の一方端には、高圧燃料ポンプに接続された高圧燃料配管の先端部が固定される部位であって、同デリバリパイプ10から突出するように形成された燃料導入部13が設けられている。この燃料導入部13は、強度確保のために厚肉部とされている。
この燃料導入部13の近傍には、スクイズ用の突起部であるスクイズボス14が形成されている。このスクイズボス14は、鋳造体にあってひけ巣が生じやすい厚肉部近傍に設けられる突起部であって、鋳造過程において金型のキャビティ内で溶湯が凝固する前に同溶湯を加圧するべくスクイズピンが挿入される部位である。
図2に、図1のA−A線における断面、すなわち燃料導入部13及びスクイズボス14の断面構造を示す。
この図2に示すように、デリバリパイプ10の内部には燃料通路15が形成されている。また、上記燃料導入部13には、燃料通路15に連通する連通孔13aが設けられており、この連通孔13aに上記高圧燃料配管の先端部が挿入される。
一方、スクイズボス14には、その頂面14aから燃料通路15の方向に向けて雌ねじ部14bが形成されており、雌ねじ部14bの底部は燃料通路15に連通されている。この雌ねじ部14bは、デリバリパイプ10内の燃料圧力を検出する圧力センサ20の雄ねじ部20aを螺合させるために設けられており、雌ねじ部14bと雄ねじ部20aとの螺合によって圧力センサ20はスクイズボス14に取り付けられる。
図3に、先の図1に示したA−A線の断面におけるデリバリパイプ10の製造過程を示す。なお、同図3に示す金型の分割位置、すなわちデリバリパイプ10を鋳造するための分割金型である第1金型30及び第2金型31の分割位置は一例であり、適宜変更することができる。
図3(A)に示すように、第1金型30及び第2金型31の凹部によって形成されるキャビティ32内には、燃料通路15を形成するための中子型33が配設される。また、第2金型31にあって、上記スクイズボス14の頂面14aを形成する側には、キャビティ32内に向けて挿入されるスクイズピン34が摺動可能に配設されている。そして、キャビティ32内にアルミニウム合金の溶湯が注入される。なお、本実施形態では、燃料通路15を中子型33にて形成するようにしているが、鋳造後のデリバリパイプ10に穴加工を施して燃料通路15を形成するようにしてもよい。
上記燃料導入部13は、強度確保のために厚肉部とされており、キャビティ32内に充填された溶湯が凝固する際、ひけ巣などの鋳造欠陥が生じやすい部位となっている。そこで、本実施形態では厚肉部である燃料導入部13の近傍にスクイズボス14を設けるようにしており、図3(B)に示すごとく、溶湯が凝固する前に、そのスクイズボス14を形成する溶湯に対してスクイズピン34が挿入される。このように、スクイズボス14を形成する溶湯に対してスクイズピン34が挿入されると、キャビティ32内の溶湯は加圧され、同キャビティ32内で溶湯が凝固収縮することにより発生する隙間、例えば燃料導入部13に生じやすいひけ巣発生部位等に溶湯が加圧充填される。こうした隙間への溶湯の充填により、ひけ巣などといった鋳造欠陥の発生が抑制される。
そして、図3(C)に示すように、溶湯が凝固すると、上記スクイズピン34は凝固した溶湯から引き抜かれる。このようにスクイズピン34が引き抜かれることにより、スクイズボス14には、スクイズピン34の挿入跡である穴部14cが形成される。
そして、凝固した溶湯、すなわち鋳造完了後のデリバリパイプ10が第1金型30及び第2金型31から取り出され、中子型33が取り除かれると、図3(D)に示すごとく、燃料導入部13には、燃料通路15に到達する連通孔13aが加工される。また、スクイズボス14の穴部14cには、雌ねじ部14bを形成するための下孔加工が行われる。この下孔14dは、燃料通路15に到達するようにその加工深さが設定される。こうして下孔14dが加工されると、圧力センサ20の雄ねじ部20aに螺合する雌ねじ部14bを形成するために、スクイズボス14には雌ねじ加工が施される。
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)鋳造にて成型されるとともに、スクイズ用の突起部を有する鋳造体において、前記スクイズ用の突起部にねじ部を設けるようにしている。従って、そのスクイズ用の突起部を利用して、ねじ部を有した部材を鋳造体に取り付けることができるようになる。そのため、従来、そうした部材を取り付けるために別途形成されていた部材取付用の突起部を省略することができるようになり、これにより鋳造体の重量を好適に軽減することができるようになる。
また、そうした部材取付用の突起部は、通常、強度確保のために厚肉部とされるため、鋳造欠陥が生じやすい部位となっているが、同実施形態によればこうした突起部を省略することができるため、鋳造体の品質も自ずと向上するようになる。
(2)より具体的には、前記鋳造体を内燃機関のデリバリパイプ10に適用するようにしており、スクイズ用の突起部(スクイズボス14)に設けられたねじ部(雌ねじ部14b)を同デリバリパイプ10内の燃料通路15に連通させるようにしている。また、その雌ねじ部14bに圧力センサ20の雄ねじ部20aを螺合させるようにしている。従って、鋳造にて成型されるデリバリパイプ10において、その内部の燃料圧力を検出する圧力センサ20をスクイズボス14に取り付けることができるようになる。そのため、先の図5に示した従来のデリバリパイプでは、スクイズボス14とは別に、圧力センサ取付用の突起部(センサボス130)が設けられていたが、本実施形態では同センサボス130(先の図1に二点鎖線にて図示)を別途設ける必要がなく、もってデリバリパイプ10の重量を軽減したり、その鋳造品質を向上させたりすることができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更して実施することもできる。
・上記実施形態では、圧力センサ20のねじ部が雄ねじであったため、スクイズボス14には雌ねじを設けるようにした。この他、図4に示すように、圧力センサ20’に設けられたねじ部20’aが雌ねじである場合には、スクイズボス14の下孔14dに対する雌ねじ加工に代えて、同スクイズボス14の外周に雄ねじ14eを設けるようにしてもよい。この場合にも、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
・上記実施形態では、スクイズボス14の雌ねじ部14bに圧力センサ20を取り付けるようにしたが、この他の部材を取り付けるようにしてもよい。例えば、先の図1に二点鎖線にて示すように、デリバリパイプ10内の燃料圧力を一定に保つためのリリーフバルブ50を取り付けるようにしてもよい。この場合にも、リリーフバルブ取付用の突起部をデリバリパイプ10に別途設ける必要がなくなり、もって同デリバリパイプ10の重量を軽減したり、その鋳造品質を向上させたりすることができるようになる。なお、リリーフバルブ50のねじ部50aが雄ねじである場合には、スクイズボス14に上記雌ねじ部14bを設け、同ねじ部50aが雌ねじである場合には、スクイズボス14の雌ねじ部14bを雄ねじに変更すればよい。
・デリバリパイプ10の材質はアルミニウム合金であったが、この他の材質で形成される場合であっても本発明は同様に適用することができる。
・吸気ポート噴射式ガソリンエンジンのデリバリパイプ、あるいはディーゼルエンジンのデリバリパイプにも本発明は同様に適用することができる。
・上記実施形態では、本発明を内燃機関のデリバリパイプに適用した場合について説明した。この他、鋳造にて成型されるとともにスクイズ用の突起部を有する鋳造体であれば、本発明は同様に適用することができる。なお、この場合にも、スクイズ用の突起部に設けられるねじ部は、鋳造体に取り付けられる他の部材のねじ部と対になるように加工すればよい。すなわち、他の部材のねじ部が雄ねじである場合には、スクイズ用の突起部には雌ねじを設け、他の部材のねじ部が雌ねじである場合には、スクイズ用の突起部には雄ねじを設けるようにすればよい。
本発明にかかる鋳造体の一実施形態について、これが適用されるデリバリパイプの構造を示す全体図。 図1のA−A断面図。 (A)〜(D)は、同実施形態におけるデリバリパイプの製造過程を示す模式図。 同実施形態の変形例におけるデリバリパイプの断面図。 従来のデリバリパイプの構造を示す全体図。
符号の説明
10…デリバリパイプ、11…挿入部、11a…挿入孔、12…取付部、12a…貫通孔、13…燃料導入部、13a…連通孔、14…スクイズボス、14a…頂面、14b…雌ねじ部、14c…穴部、14d…下孔、14e…雄ねじ、15…燃料通路、20…圧力センサ、20’…圧力センサ、20a…雄ねじ部、20’a…ねじ部、30…第1金型、31…第2金型、32…キャビティ、33…中子型、34…スクイズピン、50…リリーフバルブ、50a…ねじ部、130…センサボス。

Claims (3)

  1. 鋳造にて成型されるとともに、スクイズ用の突起部を有する鋳造体において、
    前記突起部にねじ部を設けた
    ことを特徴する鋳造体。
  2. 前記鋳造体は内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプであって、前記突起部に設けられた前記ねじ部は前記デリバリパイプ内の燃料通路に連通されており、前記ねじ部には圧力センサのねじ部が螺合される
    請求項1に記載の鋳造体。
  3. 前記鋳造体は内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給するデリバリパイプであって、前記突起部に設けられた前記ねじ部は前記デリバリパイプ内の燃料通路に連通されており、前記ねじ部にはリリーフバルブのねじ部が螺合される
    請求項1に記載の鋳造体。
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