JP2007054864A - アルミ接合製品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】第1継手部21の先端面にボス部215を突出させてなる第1アルミニウム部材2と、ボス部215に外挿させるパイプ状の第2継手部31を有する第2アルミニウム部材3とを摩擦攪拌接合にて接合してなるアルミ接合製品1である。第1アルミニウム部材2と第2アルミニウム部材3とが入り交じった攪拌部4は、接合部5の全周に渡ってボス部215の外周面と第2継手部31の内周面との重合面51を越える深さまで達している。また、外挿工程と接合工程とを有するアルミ接合製品1の製造方法である。外挿工程においてはボス部215に第2継手部31の端部を外挿させ当接部を形成する。接合工程においては回転工具を当接部に挿入し、攪拌部4の先端位置45が、当接部の全周に渡って重合面51を越えるように回転工具のピン状プローブの伸縮を制御して接合を行う。
【選択図】図3
Description
即ち、サブフレーム等の作製においては、厚みが大きく変動するアルミニウム部材を接合する必要があるため、上述のごとくアルミニウム部材の当接部に回転工具のプローブを挿入し移動させて摩擦攪拌接合を行うと、アルミニウム部材の厚みの大きい部分等において、部分的に接合が不充分になるおそれがあった。その結果、得られるアルミ接合製品は、使用中に接合部が破損するという問題が生じるおそれがあった。
上記摩擦攪拌接合による塑性流動によって形成された上記第1アルミニウム部材と上記第2アルミニウム部材とが入り交じった攪拌部が、上記第1継手部と上記第2継手部との接合部の全周に渡って、上記第1継手部の上記ボス部の外周面と上記第2継手部の内周面との重合面を越える深さまで達していることを特徴とするアルミ接合製品にある(請求項1)。
即ち、従来においては、一般に、摩擦攪拌接合によって形成される上記攪拌部は、表面から均一な深さで形成されていた。そのため、上記第2アルミニウム部材のように、継手部の肉厚が変動するアルミニウム部材を用いて接合を行った場合には、攪拌部が部分的に上記重合面に到達できず、その部分の強度が弱くなるおそれがあった。
このように、本発明によれば、接合部の強度に優れたアルミ接合製品を提供することができる。
上記第1継手部の上記ボス部に上記第2継手部の端部を外挿させ、上記第1継手部の上記先端面と上記第2継手部の上記当接面とを当接させて当接部を形成する外挿工程と、
先端に伸縮可能なピン状プローブを備えた回転工具を回転させつつ上記当接部に挿入し、該当接部に沿って相対的に周方向に移動させることにより、上記当接部を摩擦攪拌接合によって接合する接合工程とを有し、
上記接合工程においては、上記摩擦攪拌接合時に上記ピン状プローブの周辺に生じる塑性流動によって上記第1アルミニウム部材と第2アルミニウム部材とが入り交じった攪拌部の先端位置が、上記当接部の全周に渡って上記第1継手部の上記ボス部の外周面と上記第2継手部の内周面との重合面を越えるように、上記当接部に挿入された上記ピン状プローブの伸縮を制御して接合を行うことを特徴とするアルミ接合製品の製造方法にある(請求項6)。
上記外挿工程においては、上記第1継手部の上記ボス部に上記第2継手部の端部を外挿させ、上記第1継手部の上記先端面と上記第2継手部の上記当接面とを当接させて当接部を形成する。また、上記接合工程においては、先端に伸縮可能なピン状プローブを備えた回転工具を回転させつつ上記当接部に挿入し、該当接部に沿って相対的に周方向に移動させて、上記当接部を摩擦攪拌接合によって接合する。このとき、上記ピン状プローブの周辺に生じる塑性流動によって上記第1アルミニウム部材と第2アルミニウム部材とが入り交じった攪拌部の先端位置が、上記当接部の全周に渡って上記重合面を越えるように、上記当接部に挿入された上記ピン状プローブの伸縮を制御する。
上記アルミ接合製品は、上記第1アルミニウム部材の上記第1継手部と上記第2アルミニウム部材の上記第2継手部とを摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding;FSW)によって接合してなる。
摩擦攪拌接合は、先端に突起(上記ピン状プローブ)の付いた硬質の工具を高速で回転させて母材(上記第1アルミニウム部材及び上記第2アルミニウム部材)を掻き回すことにより、溶融させることなく母材を接合する技術である。
上記回転工具としては、先端に伸縮可能なピン状プローブを備えた工具を用いる。具体的には、例えば軸周りに回転可能なロッド状本体の先端部(ショルダー部)に、伸縮可能なピン状プローブが同心的に形成された回転工具がある。該回転工具において、上記ピン状プローブは、その一方の端部側が部分的に上記先端部内に収納されており、上記ピン状プローブを上記先端部に対して相対的に進退させることにより、上記先端部から露出した他端側を伸縮させることができる。
上記第2継手部の肉厚の変動幅は2〜6倍であることが好ましい(請求項2、請求項7)。
上記第2継手部の肉厚の変動幅が2倍未満の場合には、上記重合面を越える深さまで上記攪拌部を形成することによって接合部の強度を向上できるという上述の作用効果の発現が小さくなるおそれがある。一方、変動幅が6倍を超える場合には、上記攪拌部が上記重合面を越える上記アルミ接合製品を作製することが困難になるおそれがある。即ち、例えば上記接合工程における上記ピン状プローブの伸縮幅が大きくなり、上記回転工具のピン状プローブの先端位置を制御することが困難になるおそれがある。また、特別な回転工具が必要となるおそれがある。
また、上記第2の発明において、上記アルミ接合製品は、自動車用のサブフレームであり、上記外挿工程においては、略平行に配置される2つの上記第2アルミニウム部材を挟むように、2つの上記第1アルミニウム部材を配置し、上記当接部を形成させることが好ましい(請求項8)。
これらの場合には、上記アルミ接合製品の優れた強度を最大限に生かすことができる。
即ち、一般に自動車用のサブフレームは、複雑な構造を有し、肉厚が変化するアルミニウム部材を複数接合して作製されている。そのため、FSWによって接合を行うと、接合部における肉厚差のため、充分に接合されていない部分が発生しやすくなる。その結果、接合部の強度が部分的に低くなり、自動車のサブフレームに用いることができなくなるおそれがある。上記のごとく、本発明のアルミ接合製品は、接合部の全周に渡って優れた強度で接合されているため、自動車のサブフレームに好適な優れた接合強度を示すことができる。
全体が鋳物からなる場合には、開構造にならざるを得なくなる。さらに、補強のため、あるいは金型抜きのために、厚肉にならざるを得なくなる。これに対し、上記のごとく、鋳物からなる第1アルミニウム部材と、押出材又はハイドロフォーミング材からなる第2アルミニウム部材とを組み合わせることにより、強度が必要な部位を閉構造とすることが可能になり、さらに肉厚についても制限が少ないため軽量化が可能である。
上記第2アルミニウム部材としては、具体的には、例えば押出偏肉パイプや、等肉厚の押出パイプのハイドロフォーミング材等を用いることができる。
また、上記第2の発明において、上記第1アルミニウム部材及び上記第2アルミニウム部材としては、上記当接部における断面形状が円弧状輪郭の一部を部分的に表面外方に突出させたティアドロップ形状を有するものを用い、上記接合工程においては、上記当接部における上記ティアドロップ形状の突出部の先端近傍を接合開始点として、該接合開始点に上記ピン状プローブを挿入し、上記突出部とは反対側に向けて上記当接部に沿って摩擦攪拌接合を行うことが好ましい(請求項10)。
この場合には、自動車のサブフレーム等のように複雑な形状の上記アルミ接合製品をFSWによって容易に作製することができる。
次に、本発明の実施例について、図1〜図9を用いて説明する。
図1〜図5に示すごとく、本例のアルミ接合製品1は、第1アルミニウム部材2と第2アルミニウム部材3とを接合してなる。第1アルミニウム部材2は、パイプ状又は棒状を呈する第1継手部21を有すると共に、その先端面211にその外径よりも小さい径のボス部215を突出させてなる。また、第2アルミニウム部材3は、第1継手部21のボス部215に外挿させると共に第1継手部21の先端面211に当接する当接面311を有するパイプ状の第2継手部31を有する。また、図2及び図4に示すごとく、第2アルミニウム部材3においては、第2継手部21の肉厚が周方向において変動している。
図1及び図2に示すごとく、本例のアルミ接合製品1は、自動車用のサブフレームである。アルミ接合製品1は、対面して配置された2つの第1アルミニウム部材2と、これらの両端近傍をつなぐように配置された2つのパイプ状の第2アルミニウム部材3とを有する。
第1アルミニウム部材2は、6000系アルミニウム合金の鋳物からなる。また、第2アルミニウム部材3は、6000系のアルミニウム合金を一定の肉厚で押出形成してなるパイプをハイドロフォーミング加工してなる。
アルミ接合製品1において、第1アルミニウム部材2と第2アルミニウム部材3とは、摩擦攪拌接合によって接合されている。
本例においては、外挿工程と接合工程とを行うことにより、図1〜図3に示すごとく、アルミ接合製品1を製造する。
外挿工程においては、図4〜図6に示すごとく、第1継手部21のボス部215に第2継手部31の端部を外挿させ、第1継手部21の先端面211と第2継手部31の当接面311とを当接させて当接部(境界面)52を形成する。
まず、第1アルミニウム部材2として、6000系アルミニウム合金からなる鋳物を準備した。第1アルミニウム部材は、図1〜図3に示すごとく略コの字状であり、両端部付近に2つの第1継手部21が形成されている。図4及び図5に示すごとく、第1継手部21は棒状で、先端面211には、その外径よりも径の小さいボス部215が突出している。
次に、図4〜図6に示すごとく、第1継手部21のボス部215に、第2継手部31の端部を外挿させ、第1継手部21の先端面211と第2継手部31の当接面311とを当接させて当接部52を形成した。
そのため、本例のように第2継手部31の肉厚が変動していても、第1継手部21と第2継手部31との接合部5の全周に渡って、攪拌部4が重合面51を越える深さまで達したアルミ接合製品1を製造することができる。かかるアルミ接合製品1は、接合部5における強度が優れている。そのため、特に優れた接合強度が要求される自動車のサブフレーム等に好適に用いることができる。
本例は、第1継手部及び上記第2継手部との接合部の断面形状が、円弧状輪郭の一部を部分的に表面外方に突出させたティアドロップ形状を有するアルミ接合製品を作製する例である。
図10及び図11に示すごとく、本例のアルミ接合製品7は、実施例1と同様に、対面して配置された2つの第1アルミニウム部材71と、その両端近傍をつなぐように配置された2つの第2アルミニウム部材72とを接合してなる自動車用のサブフレームである。本例のアルミ接合製品7においては、接合部8の断面形状が、円弧状輪郭の一部を部分的に表面外方に突出させたティアドロップ形状をなしている点を除いては実施例1と同様のものである。
第2アルミニウム部材72は、実施例1と同様に、第1継手部711のボス部713に外挿させると共に第1継手部711の先端面712に当接する当接面722を有するパイプ状の第2継手部721を有する。第2継手部721は、ティアドロップ形状の開口部723を有しており、同様にティアドロップ形状の第1継手部711のボス部713に外挿させることができる。
図10に示すごとく、アルミ接合製品1において、2つの第2アルミニウム部材72は、第2継手部721のティアドロップ形状の突出部74が互いに対向するように配置されている。
また、第2アルミニウム部材72は、その両端に第1アルミニウム部材71における第1継手部711のボス部713を外挿する第2継手部721を有し、第2継手部721は、円弧状輪郭の一部を部分的に側表面外方に突出させた突出部75を有するティアドロップ形状をなしている。
摩擦攪拌接合による接合においては、図17〜図19に示すごとく、当接部82におけるティアドロップ形状の突出部76の先端近傍を接合開始点88とし、この接合開始点88にピン状プローブ61を挿入して接合を開始し、当接部82に沿って突出部76とは反対側に向けて周方向にピン状プローブ61を移動させて摩擦攪拌接合を行った。ピン状プローブ61が接合開始点88からティアドロップ形状の突出部76近傍における接合開始点88と反対側に位置する接合終了点89においてピン状プローブを抜き取り、接合を終了させた。
そのため、図17〜図19に示すごとく、当接部82の周囲を完全に周回させることなく、接合を終了させることができる。即ち、ティアドロップ形状における突出部は、先端角αを有している。そのため、接合開始点88から当接部82にそって回転工具6を周回させる際に、完全に周回させる場合に比べて先端角αだけ周回を省略することができる。
本例のように、当接部82をティアドロップ形状にすると、上述のごとく角度α分だけ周回を省略させることができるため、対面に配置された第1アルミニウム部材71又は第2アルミニウム部材72に、回転工具6が衝突することなく、接合を行うことができる。
その他の作用効果は実施例1と同様である。
2 第1アルミニウム部材
21 第1継手部
211 先端面
215 ボス部
217 外周面
3 第2アルミニウム部材
31 第2継手部
311 当接面
317 内周面
4 攪拌部
5 接合部
51 重合面
52 境界面
Claims (10)
- パイプ状又は棒状を呈する第1継手部を有すると共に、該第1継手部の先端面にその外径よりも小さい径のボス部を突出させてなる第1アルミニウム部材と、上記ボス部に外挿させると共に上記第1継手部の上記先端面に当接する当接面を有するパイプ状の第2継手部を有し、該第2継手部の肉厚が周方向において変動している第2アルミニウム部材とを、上記第1継手部の上記先端面と上記第2継手部の上記当接面とのリング状の境界面を摩擦攪拌接合することによって接合してなるアルミ接合製品であって、
上記摩擦攪拌接合による塑性流動によって形成された上記第1アルミニウム部材と上記第2アルミニウム部材とが入り交じった攪拌部が、上記第1継手部と上記第2継手部との接合部の全周に渡って、上記第1継手部の上記ボス部の外周面と上記第2継手部の内周面との重合面を越える深さまで達していることを特徴とするアルミ接合製品。 - 請求項1において、上記第2継手部の肉厚の変動幅は2〜6倍であることを特徴とするアルミ接合製品。
- 請求項1又は2において、上記アルミ接合製品は、対面して配置された2つの上記第1アルミニウム部材と、該第1アルミニウム部材の両端近傍をつなぐように配置された2つの上記第2アルミニウム部材とを有する自動車用のサブフレームであることを特徴とするアルミ接合製品。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記第1アルミニウム部材は鋳物よりなり、上記第2アルミニウム部材は押出材又はハイドロフォーミング材よりなることを特徴とするアルミ接合製品。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記第1継手部と上記第2継手部との上記接合部は、その断面形状が、円弧状輪郭の一部を部分的に表面外方に突出させたティアドロップ形状を有していることを特徴とするアルミ接合製品。
- パイプ状又は棒状を呈する第1継手部を有すると共に、該第1継手部の先端面にその外径よりも小さい径のボス部を突出させてなる第1アルミニウム部材と、上記ボス部に外挿させると共に上記第1継手部の上記先端面に当接する当接面を有するパイプ状の第2継手部を有し、該第2継手部の肉厚が周方向において変動している第2アルミニウム部材とを接合させてアルミ接合製品を製造する方法であって、
上記第1継手部の上記ボス部に上記第2継手部の端部を外挿させ、上記第1継手部の上記先端面と上記第2継手部の上記当接面とを当接させて当接部を形成する外挿工程と、
先端に伸縮可能なピン状プローブを備えた回転工具を回転させつつ上記当接部に挿入し、該当接部に沿って相対的に周方向に移動させることにより、上記当接部を摩擦攪拌接合によって接合する接合工程とを有し、
上記接合工程においては、上記摩擦攪拌接合時に上記ピン状プローブの周辺に生じる塑性流動によって上記第1アルミニウム部材と第2アルミニウム部材とが入り交じった攪拌部の先端位置が、上記当接部の全周に渡って上記第1継手部の上記ボス部の外周面と上記第2継手部の内周面との重合面を越えるように、上記当接部に挿入された上記ピン状プローブの伸縮を制御して接合を行うことを特徴とするアルミ接合製品の製造方法。 - 請求項6において、上記第2継手部の肉厚の変動幅は2〜6倍であることを特徴とするアルミ接合製品の製造方法。
- 請求項6又は7において、上記アルミ接合製品は、自動車用のサブフレームであり、上記外挿工程においては、略平行に配置される2つの上記第2アルミニウム部材を挟むように、2つの上記第1アルミニウム部材を配置し、上記当接部を形成させることを特徴とするアルミ接合製品の製造方法。
- 請求項6〜8のいずれか一項において、上記第1アルミニウム部材は鋳物よりなり、上記第2アルミニウム部材は押出材又はハイドロフォーミング材よりなることを特徴とするアルミ接合製品の製造方法。
- 請求項6〜9のいずれか一項において、上記第1アルミニウム部材及び上記第2アルミニウム部材としては、上記当接部における断面形状が円弧状輪郭の一部を部分的に表面外方に突出させたティアドロップ形状を有するものを用い、上記接合工程においては、上記当接部における上記ティアドロップ形状の突出部の先端近傍を接合開始点として、該接合開始点に上記ピン状プローブを挿入し、上記突出部とは反対側に向けて上記当接部に沿って摩擦攪拌接合を行うことを特徴とするアルミ接合製品の製造方法。
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