JP2007053110A - ボタン形小型二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 充放電に伴う電解液の漏出を防止して、耐漏液性が優れ、高容量で、かつ内部抵抗の小さいボタン形小型二次電池を提供する。
【解決手段】 充放電が可能な正極と負極を用いたボタン形小型二次電池において、一方の電極をその外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大しており、上記外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大した電極の活物質を、結晶構造がスピネル構造のリチウムマンガン酸化物とするか、またはスピネル構造以外の結晶構造の活物質である場合には、他方の電極の理論電気容量を径方向に拡大させた電極の理論電気容量の90%以下にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ボタン形小型二次電池に関し、さらに詳しくは、充放電に伴う電解液の漏出を防止して、耐漏液性が優れ、高容量で、かつ内部抵抗の小さいボタン形小型二次電池に関する。
酸化銀電池などの一次電池では、正極の外周面が正極缶の内周面にほぼ達するまで周辺部を拡大した、いわゆる底敷き構造(環状ガスケットの下部にセパレータを介して正極の周辺部が配置するので、このように底敷き構造と呼ばれる)を採用することによって、内容積を有効に活用することが行われている。このような底敷き構造を採用した場合の高容量化は、小型の電池(外径が16mm以下の電池)になるほど大きくなり、たとえば、外径が6mmの電池では、図2に示すような底敷き構造を採用していない電池(つまり、環状ガスケット6の下部が正極缶としての金属製外装缶4の底部内面に接触する構造の電池)に比べて理論電気容量が約1.9倍になる。
しかしながら、上記のような底敷き構造を採用した場合には、封口が環状パッキングの下部にセパレータを介して正極の周辺部が配置した状態で行われるので、二次電池では、充放電に伴う正極の膨張、収縮による体積変化により、封口部に緩みが生じて電解液の漏出が発生するため、現実に商品化したものは見当たらない。また、漏液に至らないまでも緩んだ封口部からの電解液の蒸発などにより長期信頼性に欠けるという問題があった。
本発明は、上記のような従来技術における問題点を解決し、充放電に伴う電解液の漏出を防止して、耐漏液性が優れ、高容量で、かつ内部抵抗の小さいボタン形小型二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大させた電極の充放電に伴う体積変化を小さくすることより充放電に伴う封口部の緩みを防止し、封口部の緩みに基づく電解液の漏出を防止して、耐漏液性が優れ、高容量で、かつ内部抵抗の小さいボタン形小型二次電池を提供したものである。
具体的には、外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大させた電極に、チタン酸リチウムなどの理論上充放電に伴う体積変化を生じない結晶構造がスピネル構造のリチウムマンガン酸化物を用いるか、またはスピネル構造以外の結晶構造の活物質を用いる場合には、他方の電極の理論電気容量を径方向に拡大させた電極の理論電気容量の90%以下にすることにより、充放電に伴う体積変化を小さくすることによって、充放電に伴う封口部の緩みを防止する。このようなスピネル構造以外の結晶構造の活物質の一例としては、リチウムマンガン酸化物(LiMnO)が挙げられる。
上記のように、充放電に伴う封口部の緩みを防止し、その封口部の緩みに基づく電解液の漏出を防止することにより、拡大した電極の特性を生かすことによって高容量化を達成し、また、電極面積の拡大によって電池の内部抵抗を低減して、高容量で、かつ内部抵抗の小さいボタン形小型二次電池を得ることができる。
本発明では、充放電に伴う電解液の漏出を防止して、耐漏液性が優れ、高容量で、かつ内部抵抗の小さいボタン形小型二次電池を提供することができる。
つぎに、本発明のボタン形小型二次電池の一例を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明のボタン形小型二次電池の一例を示す部分断面図であり、一方の電極1と他方の電極2の間にはセパレータ3が配置し、上記一方の電極1はその外周面1aが金属製外装缶4の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大され、その周辺部1bの上面には金属製の断面L字状の台座7が配置されている。そして、この一方の電極1の周辺部1b上には上記台座7およびセパレータ3を介して環状ガスケット6が配置され、この環状ガスケット6の内周側には封口板5の周辺折り返し部が当接しており、金属製外装缶4の開口端部の内方への締め付けにより、環状ガスケット6が封口板5、金属製外装缶4の開口端部の内周面およびセパレータ3と台座7を介して一方の電極1の周辺部1bに圧接し、金属製外装缶4の開口部が封口されている。
上記一方の電極1の活物質としては、充放電による体積変化が少ないスピネル構造の結晶構造を有するものが好ましく、このようなスピネル構造の結晶構造を有する活物質としては、たとえばチタン酸リチウム、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムマンガン酸化物(LiMn)などが挙げられるが、特にチタン酸リチウムが充放電に伴う体積変化が少ないので好ましい。
上記チタン酸リチウムは、一般式LiTiで表わされ、上記式中のxとyがそれぞれ、0.8≦x≦1.4、1.6≦2.2の化学量論数を持つものが好ましく、特にx=1.33、y=1.67の化学量論数を持つものが好ましい。
このチタン酸リチウムを活物質として用いる場合において、その電極(通常は正極になる)の作製にあたっては、上記一般式LiTiで表わされるチタン酸リチウムと導電助材とバインダーとを混合して調製した合剤を加圧成形するのが好ましい。上記導電助材としては、たとえば、りん状黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラックなどが用いられ、バインダーとしては、フッ素樹脂が好適に用いられ、その具体例としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。電極を構成する各成分の組成、つまり合剤の組成としては、一般式LiTiで表わされるチタン酸リチウムが70〜90重量%で、導電助材が5〜20重量%、バインダーが1〜10重量%であることが好ましい。
他方の電極(通常は負極になる)の作製は、たとえば、活物質としての炭素材とバインダーとを混合して調製した合剤を加圧成形するのが好ましい。上記活物質の炭素材としては、たとえば、人造黒鉛、天然黒鉛、低結晶カーボン、コークス、無煙炭などが用いられるが、特に人造黒鉛が他の炭素材に比べて大きな容量を期待できるので好ましい。バインダーとしては、フッ素樹脂が好適に用いられ、その具体例としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。この他方の電極を構成する各成分の組成、つまり合剤の組成としては活物質の炭素材が80〜95重量%で、バインダーが5〜20重量%であることが好ましい。
また、上記のような一方の電極(つまり、外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大した電極)の活物質としてスピネル構造以外の結晶構造を有する活物質を用いる場合は、充放電に伴う多少の体積変化は免れがたいので、この場合は、他方の電極の理論電気容量をこの一方の電極の理論電気容量の90%以下、特に85%以下にすることが好ましい。このように他方の電極の理論電気容量を外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大した電極の理論電気容量より小さくすることによって、径方向に拡大した電極の充放電に伴う体積変化を少なくして、充放電に伴う封口部の緩みを防止し、電解液の漏出を防止することがきるが、他方の電極の理論電気容量を小さくしすぎると容量が低下するので、高容量を保つという観点から、他方の電極の理論電気容量は一方の電極の理論電気容量の50%以上であることが好ましい。
上記のような用途に用いるスピネル構造以外の活物質としては、たとえばリチウムマンガン酸化物(LiMnO)、リチウムニッケル酸化物などが挙げられるが、その原料の入手のしやすさやコスト面から考えると、特にリチウムマンガン酸化物(LiMnO)が好ましい。また、この場合の他方の電極の活物質としては前記のような炭素材が好ましい。
この電池における電解液としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解させることによって調製された有機溶媒系の電解液が用いられる。その電解液溶媒として使用される有機溶媒としては、たとえば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、テトラヒドロフラン、ジオキソランなどが挙げられる。また、リチウム塩としては、たとえば、LiN(CFSO、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCFCO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(CFCFSOなどが挙げられる。なかでも、LiN(CFSO、LiPF、LiCFSO、LiBFなどは、伝導率が高く、熱的に安定であることから、特に好適に用いられる。これらリチウム塩の電解液中の濃度は、特に限定されるものではないが、通常0.1〜2mol/l、特に0.4〜1.4mol/l程度が好ましい。
つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
参考例
チタン酸リチウム(Li1.33Ti1.67)100重量部と、導電助材としてのカーボンブラッック5重量部と黒鉛5重量部と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン10重量部をN−メチルピロリドン中で混合して正極合剤をN−メチルピロリドン中で調製し、乾燥後の正極合剤を水平部の長さ0.55mm、垂直部の長さ0.1mmのステンレス鋼製の断面L字状の台座を周辺部に配置して直径6.3mm、厚さ0.3mmのペレット状に加圧成形し、これを遠赤外線乾燥機で250℃で30分間乾燥して脱水処理することにより、正極を作製した。
上記とは別に、人造黒鉛90重量部とバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン10重量部とをN−メチルピロリドン中で混合して負極合剤をN−メチルピロリドン中で調製し、乾燥後の負極合剤を直径4.1mm、厚さ0.7mmのペレット状に加圧成形し、これを真空乾燥機で70℃で16時間乾燥して脱水処理することにより、負極を作製した。
電解液としては、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積比1:1の混合溶媒にLiN(CFSOを1.5mol/l溶解したものを用いた。
上記正極、負極および電解液を用いて図1に示す構造で外径6.8mm、高さ1.6mmのボタン形小型二次電池を作製した。この電池における金属製外装缶4はステンレス鋼製で、その外径は6.8mmであって、その底部に一方の電極1として上記の正極が収容され、該正極はその外周面が金属製外装缶4の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大され、その周辺部の上面には台座が配置されている。この正極の上部には前記負極がセパレータ3を介して他方の電極2として配置し、環状ガスケット6はポリプロピレン製で、その下部はセパレータ3および台座7を介して前記正極の周辺部上に配置し、封口板5はステンレス鋼製で、負極としての他の電極2の上部を覆い、その周辺折り返し部は前記環状ガスケット6の内周側に当接し、前記電解液の注入後、金属製外装缶4の開口端部の内方への締め付けにより環状ガスケット6が封口板5の周辺折り返し部、金属製外装缶4の開口端部の内周面およびセパレータ3と台座7を介して正極としての一方の電極1の周辺部に圧接して、金属製外装缶4の開口部が封口されている。
実施例1
リチウムマンガン酸化物〔LiMnO(ただし、式中のxは、0<x≦1である)〕100重量部と、導電助材としてのカーボンブラック5重量部と黒鉛5重量部と、バインダーとしてのポリテトラフルオロエチレン5重量部をイソプロピルアルコール中で混合して正極合剤をイソプロピルアルコール中で調製し、乾燥後の正極合剤を参考例と同様の台座を周辺部に配置して直径6.3mm、厚さ0.3mmのペレット状に加圧成形し、これを遠赤外線乾燥機で250℃で30分間乾燥して脱水処理することにより、正極を作製した。
上記とは別に、人造黒鉛90重量部とバインダーとしてのポリフッ化ビニリデン5重量部とをN−メチルピロリドン中で混合して負極合剤をN−メチルピロリドン中で調製し、乾燥後の負極合剤を直径4.1mm、厚さ0.7mmのペレットに加圧成形し、これを遠赤外線乾燥機で120℃で30分間乾燥して脱水処理することにより、負極を作製した。この負極の理論電気容量は0.17mAhであり、正極の理論電気容量の85%に相当する。
これらの正極と負極を用いた以外は、参考例と同様にしてボタン形小型二次電池を作製した。
比較例1
上記実施例1と同様の正極合剤を水平部の長さ0.5mm、垂直部の長さ0.1mmのステンレス鋼製の台座を周辺部に配置して直径3.7mm、厚さ0.5mmのペレット状に加圧成形した以外は、実施例1と同様にして理論電気容量が0.18mAhの正極を作製した。
また、実施例1と同様の負極合剤を直径3.9mm、厚さ0.6mmのペレット状に加圧成形した以外は、実施例1と同様にして理論電気容量が0.18mAhの負極を作製した。これらの正極と負極を用いた以外は、実施例1と同様にしてボタン形小型二次電池を作製した。
上記実施例1、参考例および比較例1の電池のそれぞれ100個ずつを定電流0.1mA、充電カット電圧2.4Vの充電条件および定電流0.1mA、放電カット電圧0.4Vの放電条件下で充放電を1000回繰り返し、その充放電1000サイクル後の電池を60℃で200日間貯蔵して、漏液の発生の有無を調べ、漏液発生率を求めた。その結果を表1に示す。
Figure 2007053110
表1に示す結果から明らかなように、実施例1、参考例とも、それぞれ試験に供した100個の電池のいずれにも、漏液(つまり、電解液の漏出)の発生がまったくなかった。これに対して、比較例1は、試験に供した100個の電池のうち7個の電池に漏液が発生した。なお、比較例1の電池について充放電をすることなく、上記と同様に60℃で200日間貯蔵した場合は漏液発生がまったくなかった。
つぎに、上記参考例と同様の正極合剤、負極合剤および電解液を用い、図2に示すように底敷き構造を採用せず、環状ガスケット6の下部が金属製外装缶4の底部内面に接触する構造で、サイズが参考例と同様に外径6.8mm、高さ1.6mmのボタン形小型二次電池を作製し、この底敷き構造を採用していない従来構造の電池と参考例の電池との電気容量および内部抵抗を比較したところ、参考例の電池は電気容量が従来構造の電池の約1.2倍であり、内部抵抗が従来構造の電池の約80%にまで低減していた。
また、上記実施例1と同様の正極合剤、負極合剤および電解液を用い、図2に示すように底敷き構造を採用せず、サイズが実施例1と同様に外径6.8mm、高さ1.6mmのボタン形小型二次電池を作製し、この従来構造の電池と実施例1の電池との電気容量および内部抵抗を比較したところ、実施例1の電池は電気容量が従来構造の電池の約1.1倍であり、内部抵抗が従来構造の電池の約85%にまで低減していた。
本発明のボタン形小型二次電池の一例を示す部分断面図である。 従来のボタン形小型二次電池を示す部分断面図である。
符号の説明
1 一方の電極
1a 外周面
1b 周辺部
2 他方の電極
3 セパレータ
4 金属製外装缶

Claims (3)

  1. 充放電が可能な正極と負極を用いたボタン形小型二次電池において、一方の電極をその外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大しており、
    上記外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大した電極の活物質は、結晶構造がスピネル構造のリチウムマンガン酸化物であることを特徴とするボタン形小型二次電池。
  2. 充放電が可能な正極と負極を用いたボタン形小型二次電池において、一方の電極をその外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大しており、
    上記外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大した電極に結晶構造がスピネル構造以外の活物質を用い、他方の電極の理論電気容量を上記外周面が金属製外装缶の内周面にほぼ達するまで径方向に拡大した電極の理論電気容量の90%以下にしたことを特徴とするボタン形小型二次電池。
  3. スピネル構造以外の活物質が、リチウムマンガン酸化物である請求項2記載のボタン形小型二次電池。
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