JP2007052952A - 基板処理方法及び基板処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 基板の塗布不要領域に付着した有機EL材料または正孔輸送材料を残さずに有機EL表示装置を形成することのできる基板処理方法を提供する。
【解決手段】 本発明の基板処理方法は、有機EL材料または正孔輸送材料を基板に塗布するための基板処理方法であって、基板上における所定領域に保護膜を形成する保護膜形成工程と、保護膜形成工程が行われた基板に対して有機EL材料または正孔輸送材料からなる塗布物を塗布する塗布工程と、塗布工程が行われた基板の所定領域に対してレーザ光を照射し、所定領域上の保護膜および塗布物を除去する除去工程と、レーザ光が照射されたと同時に所定領域上の空間から、除去工程によって除去された保護膜および塗布物を吸引する吸引工程とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機EL表示装置を製造するための基板処理方法及び基板処理装置に関し、特定的には、有機EL表示装置の基板に塗布された塗布物(発光層または正孔輸送層)の不要部分を除去する基板処理方法及び基板処理装置に関する。
従来、有機EL表示装置における発光層や正孔輸送層の材料としては、大別して低分子系材料および高分子系材料の2つがある。このうち、高分子系材料は、スピンコーティング法、ディッピング法、印刷法、インクジェット法等、簡易な薄膜形成技術で発光層や正孔輸送層を形成可能であること等から近年注目を集めている。
有機EL表示装置の基板に発光層または正孔輸送層を形成する方法の1つとして、ノズルで材料を基板に塗布する方法が知られている。この方法は、塗布液をポンプで所定の圧力にしてノズルから吐出しつつ、ノズルを基板上でスキャンすることによって基板に塗布液を塗布するものである。この方法は、インクジェットで材料を塗布する方法に比べて高速で材料を塗布することができるというメリットがあるものの、基板上でノズルをスキャンさせている間に塗布液の吐出をオンオフで制御することが難しいので、スキャン中に塗布が必要な領域のみを選択して材料を塗布することができない。そのため、ノズル塗布を行う場合には、基板における塗布が不要な領域にも材料を塗布した後で、塗布が不要な領域に塗布された材料を除去する方法がとられている。
基板に付着した異物の除去方法として、異物が付着した被処理基板に水蒸気を塗布して水膜を作り、レーザの照射による水膜の蒸発により発生する力とレーザエネルギ自身による力とベルヌーイ定理に基づく力と基板の振動による力との相乗効果による異物除去方法が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載された異物除去装置は、基板に付着した異物に振動を伝えて異物が基板から離れやすくし、レーザ光の照射によるレーザアブレーション現象によって基板に付着した異物を除去するものである。
特開2005−33128号公報
レーザアブレーションによる異物除去処理は、レーザ光を集光して異物に照射し、局所的に温度を上昇させて、異物を急激に液化・気化させることにより行うものである。そのため、除去の対象となる異物はエネルギ吸収率の高い物質である必要である。しかしながら、有機EL材料や正孔輸送材料の中にはレーザに対してエネルギ吸収率が十分でないものがあるため、有機EL材料や正孔輸送材料自身をレーザアブレーションによって除去する方法では十分な異物除去効果を得ることができない場合がある。
特許文献1に記載された異物除去装置は、発生する複数の力の相乗効果により異物を除去するものである。しかしながら、エネルギ吸収率の低い有機EL材料や正孔輸送材料に対してはレーザアブレーションによる十分な異物除去効果を得ることができないため、異物除去のための相乗効果を十分に得ることができない。そのため、特許文献1に記載された異物除去装置では、有機EL表示装置の基板に塗布された発光層または正孔輸送層の不要部分を十分に除去できないという課題があった。
一方、レーザアブレーションによる十分な除去効果を得るためには、レーザ強度・積算照射時間を増大すること、あるいは、レーザの使用波長を変更することが考えられる。しかしながら、レーザ強度・積算照射時間を増やした場合、有機EL材料または正孔輸送材料で吸収されないレーザエネルギは基板へ透過するため、基板を損傷させるという課題があった。
また、工業用として容易に得られるレーザ光源は限られるため、レーザの使用波長を柔軟に変更することは難しい。特にレーザの使用波長を長波長領域とした場合、赤外光では基板あるいは有機EL材料に対して熱加工を行うこととなるため、有機EL材料が酸化したり、熱加工により生じた有機EL材料等のダストが周囲に飛散するという問題がある。したがって、レーザ波長の最適化だけでは、有機EL材料の理想的な除去は困難であった。
本発明の目的は、基板の表面を損傷することなく、基板の塗布不要領域から有機EL材料や正孔輸送材料を残さずに有機EL表示装置を形成することのできる、基板処理方法並びに基板処理装置を提供することにある。
本発明の目的は、以下の基板処理方法によって達成される。有機EL材料または正孔輸送材料を基板に塗布するための基板処理方法であって、基板上における所定領域に保護膜を形成する保護膜形成工程と、保護膜形成工程が行われた基板に対して有機EL材料または正孔輸送材料からなる塗布物を塗布する塗布工程と、塗布工程が行われた基板の所定領域に対してレーザ光を照射し、所定領域上の保護膜および塗布物を除去する除去工程と、レーザ光が照射されたと同時に所定領域上の空間から、除去工程によって除去された保護膜および塗布物を吸引する吸引工程とを備える。
この構成により、基板と有機EL材料または正孔輸送材料との間に形成された前処理材をレーザアブレーションによって除去するので、基板の任意の領域に塗布された有機EL材料または正孔輸送材料を前処理材とともに除去することができる。したがって、塗布不要領域を基板に格子状に形成することも可能であるので、1枚の基板から複数の有機EL表示装置を容易に製造することができる。また有機EL材料または正孔輸送材料は、前処理材とともに除去されるので塗布不要領域から良好に有機EL材料または正孔輸送材料を取り除くことができる。さらに、レーザ光を照射すると同時に吸引を行うので、除去された前処理材と有機EL材料または正孔輸送材料とが基板に付着することを防止することができる。
また、この構成により、基板と有機EL材料との間には前処理材が形成されるので、照射されるレーザ光のエネルギが基板表面に到達せず、基板の損傷を防止することができる。またさらに、前処理材は、レーザ光に対するエネルギ吸収率が高くなるように任意に構成されるので、レーザアブレーションによって容易に除去することができる。
好ましくは、塗布工程の前に、保護膜形成工程によって形成された保護膜を乾燥させる第1乾燥工程をさらに備える。
この構成により、保護膜の乾燥処理が行われるので、前処理材の溶剤は蒸発し、保護膜上に塗布される有機EL材料または正孔輸送材料の膜厚を均一にすることができる。
好ましくは、除去工程の前に、有機EL材料または正孔輸送材料の塗布後の基板を乾燥させる第2乾燥工程をさらに備える。
この構成により、基板に塗布された有機EL材料または正孔輸送材料の乾燥処理が行われるので、レーザアブレーションによる保護膜の除去とともに、安定して有機EL材料を除去することができる。
好ましくは、使用波長のレーザ光に対する保護膜のエネルギ吸収率は、塗布物のエネルギ吸収率と比べて高い。
好ましくは、基板の所定領域に照射される前記レーザ光は、保護膜をレーザアブレーションさせるしきい値よりも高く、塗布物をレーザアブレーションさせるしきい値よりも低いエネルギ密度を有する。
この構成により、レーザアブレーションによって前処理材を選択的に除去し、保護膜上に形成された有機EL材料または正孔輸送材料をも一括して除去する。したがって、照射されたレーザ光のエネルギを効率的に利用することができる。また、この構成によりレーザ光が基板に到達することを防止し、基板の損傷を防ぐことができる。
本発明の目的は、以下の構成を備えた基板処理装置によって達成される。有機EL材料または正孔輸送材料を基板に塗布するための基板処理装置であって、基板を載置する載置面を有するステージと、基板上に保護膜を塗布する保護膜形成ノズルを有し、ステージまたは保護膜形成ノズルの少なくとも一方を載置面に平行な第1方向へ相対的に移動させることにより、基板上における所定領域に保護膜を形成する保護膜形成手段と、基板上に有機EL材料または正孔輸送材料からなる塗布物を塗布する塗布ノズルを有し、ステージまたは塗布ノズルの少なくとも一方を第1方向と垂直であり、かつ載置面に平行な第2方向へ相対的に移動させることにより、基板に対して塗布物を塗布する塗布手段と、基板上にレーザ光を照射するレーザ照射ヘッドを有し、ステージまたはレーザ照射ヘッドの少なくとも一方を載置面に平行な第1方向へ相対的に移動させることにより、基板の所定領域に対してレーザ光を照射し、所定領域上の保護膜および塗布物を除去する除去手段と、レーザ光が照射されたと同時に当該除去領域上の空間から、除去手段により除去された保護膜および塗布物を吸引する吸引手段とを備える。
この構成により、基板への保護膜形成処理と塗布処理と除去処理とを単一の装置で行うことができるので、製造システムを全体として小型化することができる。
本発明により、基板の表面を損傷することなく、基板の塗布不要領域から有機EL材料や正孔輸送材料を残さずに有機EL表示装置を形成することのできる、基板処理方法並びに基板処理装置を提供することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。図1において基板処理装置1は、保護膜形成装置10と、有機EL材料塗布装置20と、除去装置30と、ベーク装置40と、インデクサ51と、第1搬送路52と、第2搬送路53と、第1搬送ロボット54と、第2搬送ロボット55とを中心に構成される。図中の点線の矢印は、処理対象となる基板の搬入搬出経路を示している。本実施の形態に係る基板処理装置は、処理対象となる基板に対し、保護膜形成装置10における前処理材の塗布処理、有機EL材料塗布装置20における有機EL材料の塗布処理、除去装置30における有機EL材料および前処理材の除去処理、ベーク装置40におけるベーク処理が順次行われる構成としている。
インデクサ51は、外部から搬入されてくる基板および外部へ搬出すべき処理済みの基板を収容する。なお、インデクサ51に搬入されてくる基板には、陽極および正孔輸送層がすでに形成されているものとする。第1搬送ロボット54および第2搬送ロボット55は、第1および第2搬送路上を移動し、インデクサ51あるいは各装置間に渡り処理対象となる基板を搬送する。
基板処理装置における処理の流れについて説明する。図1中、インデクサ51に収容されている基板は、第1搬送ロボット54に搬出された後、第2搬送ロボット55に受け渡される。基板を受け取った第2搬送ロボット55は、当該基板を保護膜形成装置10に搬入する。保護膜形成装置10は、基板に対して保護膜形成処理を行う。保護膜が形成された基板は、第2搬送ロボットによって有機EL材料塗布装置20に搬送される。次に有機EL材料塗布装置20は、前処理材が塗布された基板に発光層塗布処理を行う。塗布処理済みの基板は第2搬送ロボット55によって除去装置30に搬入される。そして、基板が搬入された除去装置30において除去処理が行われる。なお、除去処理が行われた基板は、第2搬送ロボット55によって除去装置30からベーク装置40へ搬送される。ベーク装置40は、除去処理済みの基板に対してベーク処理を行う。ベーク処理が行われた基板は、第2搬送ロボット55および第1搬送ロボット54によって製造装置の外部へ搬出される。以上のように発光層が形成された基板には、陰極電極が例えば真空蒸着法により発光層上に形成されることによって、有機EL表示装置が製造される。
次に、本基板処理装置による処理対象となる基板について説明する。図2は、処理対象となる基板6を示す図である。図2(a)は、除去装置による前処理材および有機EL材料の除去処理が行われる前の基板6を示す図であり、図2(b)は基板6のYZ断面図である。基板6には、有機EL材料を本来塗布する必要がない領域に前処理材が保護膜形成装置10によって塗布され、保護膜110が形成される。さらに、基板表面および保護膜110上には、赤、緑、および青の3色の有機EL材料100が有機EL材料塗布装置20によって塗布されている。典型的には、各有機EL材料100は、3色が繰り返し順番に並んだストライプ状に基板に塗布される。ここで、本実施形態では、1枚の基板から4つの有機EL表示装置を形成するものとし、除去装置は、図2(a)の点線で示される領域6a(塗布領域)の外側で、かつY軸方向に延びる帯状の除去領域6bの塗布物を除去するものとする。すなわち、本実施形態では、図2(a)に示す領域6aの外側が上記除去領域6bであり、当該領域には有機EL材料の塗布前に予め前処理材が施されている。なお、図2(c)は、基板処理装置による除去処理が行われた後の基板6を示し、図2(d)は除去処理後の基板6の断面図である。なお領域6aの外側で、かつX軸方向に延びる帯状の除去領域については、有機EL材料塗布装置20におけるステージのY軸方向のピッチ送りの長さを調整することによって、当該領域に有機EL材料を塗布しないようにしている。したがって、本実施の形態において除去の対象となる領域は、Y軸方向に延びる帯状の領域としている。
次に、本実施の形態に係る基板処理装置に含まれる保護膜形成装置10について説明する。上述のように保護膜形成装置は、有機EL材料等の除去を行うべき領域(除去領域)にあらかじめ前処理材を塗布し、保護膜110を形成するものである。図3は、基板処理装置に含まれる保護膜形成装置の構成を示す図である。図3において、保護膜形成装置10は、保護膜形成ノズル11と、ステージ12と、XY駆動部13と、制御部14と、ヒーター15を備える。
前処理材は、基板の除去領域に対して塗布され、レーザ光が基板に到達するのを防ぐ保護膜としての役目を果たす。前処理材は、使用波長のレーザ光に対する吸収効率が高く、容易にアブレーションされるとともに成膜が容易な材料から構成されることが好ましい。前処理材は、一例としてPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PA(ポリアミド樹脂)、PAI(ポリアミド−イミド)、エポキシ樹脂等が用いられ、使用するレーザ波長に応じて選択される。例えば波長が355nmのレーザ光を使用する場合には、355nm付近のレーザ光に対してエネルギ吸収効率が高くなるように構造が調整されたエポキシ樹脂等が前処理材として用いられる。
保護膜形成ノズル11は、ステージ上方に設定される。保護膜形成ノズル11は、前処理材を吐出することにより基板上に保護膜110を形成する。ステージ12は、XY平面にほぼ平行な載置面を有する。ステージ12には、処理対象となる基板6が載置される。XY駆動部13は、ステージ12に結合されており、ステージ12を水平なX−Y平面内で移動させる。ステージ12の載置面に基板6を載置させた状態でXY駆動部13を動作させることにより、載置面上に載置された基板6をステージ12ごとX−Y軸方向に移動させることができる。基板6をX−Y軸方向に移動させることによって、保護膜形成ノズル11から吐出される前処理材が基板上面に塗布する位置を変化させることができる。
ヒーター15は、ステージ12の内部に構成される。ヒーター15は、ステージ上の基板を加熱することにより、基板に塗布された前処理材を乾燥させる。すなわち、ヒーター15を用いることによって保護膜形成装置内において前処理材の溶剤の乾燥、蒸発を促進する処理を行う。
次に、保護膜形成装置の動作について説明する。保護膜形成処理の対象となる基板は、第1搬送ロボット54から第2搬送ロボット55へ渡された後、第2搬送ロボット55によって搬送され、載置面上に載置される。基板が載置されると、まず制御部14によってXY駆動部13が制御されて、保護膜形成ノズル11から吐出される前処理材が基板の除去領域の所定位置に塗布されるように、基板の位置が調整される。
基板の位置調整後、制御部14によって保護膜形成ノズル11が制御されて、保護膜形成ノズル11による前処理材の塗布が開始される。図4は、保護膜形成装置10により前処理材の塗布処理が行われる基板近傍の様子を示す図である。なお、ここでは説明を簡略化するために、除去領域6bはY軸方向に延びる帯状の領域で、かつX軸方向に関して一端の領域として表している。図4に示すように、保護膜形成ノズル11は、有機EL材料を本来塗布する必要がない領域6bに前処理材を塗布し、保護膜を形成する。制御部14は、前処理材が基板6の表面に塗布されると、基板6の位置をY軸方向に移動させる。以降、同様にして、前処理材が基板6の表面に塗布される度に、前処理材の塗布領域が隣接する領域に移動することにより、Y軸方向に延びる帯状の除去領域6bに保護膜を形成することができる。基板6の除去領域6bに塗布された保護膜は、ヒーター15によって基板が予備加熱されることにより乾燥する。以上により、除去領域6bに保護膜が形成された基板は、ロボットアームによってステージ12から搬出され、続いて有機EL材料塗布装置20に搬入される。
次に、本実施の形態に係る基板処理装置に含まれる有機EL材料塗布装置20について説明する。有機EL材料塗布装置20は、保護膜形成装置10とほぼ同様の構成を備えているが、保護膜形成装置10と異なり、基板のXY平面内の領域に有機EL材料を塗布する点で異なる。また、有機EL材料を塗布するノズルユニットは、赤色の有機EL材料を吐出するノズルと、緑色の有機EL材料を吐出するノズルと、青色の有機EL材料を吐出するノズルとを有する。
有機EL材料は、例えばPPV(ポリフェニレンビニレン)、PVK(ポリビニルカルバゾール)、ポリカーボネート等の高分子系(ポリマー系)発光層である。
図5は、有機EL材料塗布装置20により発光層の塗布処理が行われる基板近傍の様子を示す図である。有機EL材料塗布装置20は、ノズルユニット21をステージ上方に備え、基板6のXY平面内の領域に対して有機EL材料を塗布する。すなわち、有機EL材料は基板6の表面に塗布されるので、除去領域6bには保護膜の表面に重ねて塗布される。なお、X軸方向に延びる帯状の領域を除去領域とする場合には、ステージのY軸方向のピッチ送りの長さを調整することによって、当該領域に有機EL材料を塗布しないようにすることができる。
また、保護膜形成装置10と同様に、ステージの内部にはヒーターを備えるので、ヒーターによって基板が予備加熱することにより基板に塗布された有機EL材料は乾燥する。以上により、有機EL材料が塗布された基板は、ロボットアームによってステージから搬出され、続いて除去装置30に搬入される。
次に、本実施の形態に係る基板処理装置に含まれる除去装置について説明する。図6は、除去装置30の構成を示す図である。図6において、除去装置30は、除去処理部31、ステージ32、XY駆動部33、および制御部34を備える。本除去装置は、レーザ吸収率の高い前処理材と有機EL表示装置の有機EL材料(発光層)または正孔輸送層の材料とが塗布された基板6に対して処理を行うものである。すなわち、有機EL材料等の除去を行うべき領域(除去領域)にあらかじめ前処理材が施されているので、レーザアブレーションによる有機EL材料等の除去は容易となる。図6においては、除去処理部31からは、塗布物の除去を行うべき領域(除去領域)に対してレーザ光が照射される。これによって、レーザ光が照射された部分の前処理材が基板6から除去されるとともに、前処理材の表面に塗布された有機EL材料も除去される。さらに前処理材と有機EL材料とが基板6から除去される際、これらは気化して周囲に飛散するので、除去処理部31は、吸引部35によって飛散した気化物を吸引する。以上によって、除去装置は、有機EL材料等を本来塗布する必要がない領域(除去領域)から確実に除去することができる。
ステージ32は、XY平面にほぼ平行な載置面を有する。ステージ32には、上記基板6が載置される。XY駆動部33は、ステージ32に結合されており、ステージ32を水平なX−Y平面内で移動させる。ステージ32の載置面に基板6を載置した状態でXY駆動部33を動作させることによって、載置面上に載置された基板をステージ32ごとX−Y軸方向に移動させることができる。基板6をX−Y軸方向に移動させることによって、除去処理部31からのレーザ光が基板6の上面に照射する位置を変化させることができる。
除去処理部31は、ステージ32に載置された基板6にレーザ光を照射する。図7は、図6に示す除去処理部31の詳細な構成を示す図である。図7に示すように、除去処理部31は、塗布物を除去するためのレーザ光を照射する照射部300と、除去された塗布物が気体化した気体物を吸引する吸引部35とを備える。また、照射部300は、パルスレーザ光を発振するレーザ発振器321と、レーザ光を拡大する拡大光学系322と、拡大光学系322で拡大されたレーザ光の断面形状をスリット形状(幅狭な長方形状)に整形するマスク323と、このマスク323で整形されたスリット形状のレーザ光を集光して、ステージ32上の基板6の表面に導くための縮小光学系324とを含む。なお、図7に示す点線矢印は、レーザ光の光路を示している。
レーザ発振器321は、レーザ光(例えば、エキシマレーザ光、YAGレーザ光など)をパルス発振する。レーザ発振器321からのパルスレーザ光は、例えばほぼ鉛直上方に向けて進み、反射ミラー325で光路がほぼ水平方向に曲げられた後、拡大光学系322に入射する。入射したレーザ光は、拡大光学系322によって予め定められた拡大倍率で拡大される。拡大光学系322で拡大されたレーザ光は、ほぼ水平方向に進み、反射ミラー326で光路がほぼ鉛直下向きに曲げられて、ステージ32上の基板6とほぼ平行に配置されたマスク323の上面に照射される。マスク323には、レーザ光が照射される位置(レーザ光の光路上)にスリット231が形成されている。したがって、マスク323の上面に照射されたレーザ光の一部がスリット231を通過することによって、レーザ光は、その断面形状がスリット231に対応した形状(スリット形状)に整形される。マスク323でスリット形状に整形されたレーザ光は、縮小光学系324によって予め定められた縮小倍率で集光される。縮小光学系324によって集光されたレーザ光は、ステージ32上に載置された基板6の上面に入射する。その結果、基板6上のスリット形状をした領域にレーザ光が照射される。言い換えれば、基板6の上面に、スリット形状の光像(レーザ像)が形成される。
吸引部35は、レーザ光が照射された領域の上方の空間から気体を吸引する。吸引部35は、吸引ヘッドを有しており、照射部300によるレーザ像が形成される基板6の領域の近傍に吸引ヘッドの吸引口が位置するように配置される。吸引部35の吸引動作は制御部34によって制御され、制御部34の指示に従って吸引部35は吸引動作を開始する。なお、吸引部35の構造はどのようなものであってもよいが、典型的には、吸引ヘッドから気体を吸引するためのポンプや、吸引した気体を排気するための排気口等を有している。
図6の説明に戻り、制御部34は、除去処理部31の照射部300および吸引部35、ならびに、XY駆動部33の動作を制御する。制御部34は、XY駆動部33を制御して、基板6をステージ32ごとX軸方向またはY軸方向に移動させる。また、照射部300のレーザ発振器321を制御して、照射部300からのレーザ光を基板6の上面に照射させる。さらに、吸引部35を制御して、レーザ光が照射した基板領域の上方の空間の気体を吸引させる。
次に、除去装置の動作について説明する。保護膜形成処理および有機EL材料塗布処理が施された基板6は、第2搬送ロボット55によって除去装置30に搬入される。除去装置に搬入された基板6は、発光層が形成された面を上に向けてステージ32の載置面上に載置される。基板6が載置されると、まず、制御部34によってXY駆動部33が制御されて、照射部300からのレーザ光が基板の除去領域の所定位置に照射されるように、基板6の位置が調整される。
基板6の位置調整後、制御部34によって吸引部35が制御されて、吸引部35による吸引が開始される。続いて、制御部34によってレーザ発振器321が制御されて、照射部300から基板6の表面へのパルスレーザ光の照射が開始される。パルスレーザ光は、レーザ発振器321から一定の周波数f(例えば、50Hz)で繰り返し発振される。これにより、上記所定位置にパルスレーザ光が繰り返し照射される。図8は、除去処理が行われている基板近傍の様子を示す図である。図8においては、照射部300の一部である照射ヘッド36aと、吸引部35の一部である筒状の吸引ヘッド35aとを示している。パルスレーザ光が照射される領域では、照射ヘッド36aからパルスレーザ光が照射される度にレーザアブレーション現象が生じる。このレーザアブレーション現象によって前処理材は気化し、基板6上から除去されていく。その際、前処理材上に塗布されている有機EL材料100は、前処理材とともに除去される。基板6上から除去された前処理材および有機EL材料100は、パルスレーザ光が照射される領域の周囲に飛散するが、吸引ヘッド35aによって吸引される。これによって、塗布物が基板6や基板処理装置に再付着することを防止することができる。このように、基板と有機EL材料との間に、レーザの使用波長において容易にレーザアブレーション現象が生じるような前処理材を形成することにより、有機EL材料を容易に除去することができる。
ある程度のパルスレーザ光が基板6の上記所定位置に照射されると、レーザ光が照射された領域の前処理材および有機EL材料は除去される。したがって、制御部34は、所定数(所定のパルス数)のパルスレーザ光が基板6の表面に照射されると、パルスレーザ光が基板6に照射される位置を移動させる。すなわち、XY駆動部33を制御することによって基板6の位置を移動させる。このとき、制御部34は、パルスレーザ光が基板6に照射される新たな領域が、それまで照射されていた領域に隣接するように(または、若干重複するように)移動させる。以降、同様にして、所定数のパルスレーザ光が基板6の表面に照射される度に、パルスレーザ光の照射領域が隣接する領域に移動されていく。図8では、Y軸の正方向に基板6が移動している様子を示している。制御部34は、上記除去領域の全てに対して所定数のパルスレーザ光を照射するように基板6を移動させる。除去領域の全てに対して所定数のパルスレーザ光が照射されたことによって、基板6の除去領域から塗布物が除去されたこととなるので、制御部34は、除去処理を終了する。すなわち、照射部300によるレーザ光の照射を停止するとともに、吸引部35による吸引を停止させる。除去領域における塗布物が除去された基板6は、基板処理装置の各部の動作が停止した後、ロボットアームによってステージ32から搬出される。そして除去処理が行われた基板は、ベーク装置によってベーク処理が施される。
以上のように、本実施形態によれば、基板表面の有機EL材料を本来塗布する必要がない領域にあらかじめレーザの使用波長に対してエネルギ吸収率の高い前処理材を塗布するので、レーザアブレーションによって前処理材を除去することで、容易にかつ確実に有機EL材料を除去することができる。
また、本実施の形態によれば、レーザの使用波長に対してエネルギ吸収効率の高い前処理材を除去すると同時に有機EL材料を除去することができるので、レーザ光が基板表面に到達することがなく、基板表面の損傷を防止することができる。したがって、良好な有機EL表示装置を提供することができる。
なお、本実施の形態において、ステージをX軸あるいはY軸方向に移動させることによって、基板に対する塗布物の塗布位置あるいはレーザ光の照射位置を変化させたが、これに限られない。塗布ノズルあるいは除去処理部をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、基板に対する塗布位置あるいはレーザ光の照射位置を変化させてもよい。
また、上記実施の形態の基板処理装置1において有機EL材料塗布装置20に替えて正孔輸送材料塗布装置としてもよい。この場合の塗布処理は、図5の有機EL材料塗布装置20と等しい構成を有する塗布装置により行われ、ノズルユニット21から吐出される材料がPEDOT(ポリエチレンオキシチオフェン)等の正孔輸送材料である。この場合も、正孔輸送材料が塗布される前に前処理材を塗布し、次に正孔輸送材料を塗布してからレーザアブレーションによって前処理材を除去することで、容易にかつ確実に正孔輸送材料を塗布することができる。その後、基板をベーク装置に搬送して加熱・乾燥することで正孔輸送層が形成される。その正孔輸送層が形成された基板を有機EL材料塗布装置20を有する基板処理装置1にて有機EL発光層を形成する。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置について説明する。この基板処理装置は、塗布装置と一体的に構成された点で上記第1の実施形態と相違する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態においても第1の実施形態と同様、有機EL材料の除去処理を容易とするために、あらかじめ基板の除去領域には前処理が施される。
図9は、第2の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。図9(a)は、基板処理装置を上側から見た図であり、図9(b)は、基板処理装置を側面からY軸正方向の向きに見た図である。図9において、基板処理装置は、除去処理部151、ガイド部材152、ノズルユニット153、液受け部154、ステージ155、および保護膜形成ノズル160を備えている。除去処理部151は、上述の第1の実施形態における除去処理部31と同様の構成である。ノズルユニット153は、X軸方向に移動しながら有機EL材料を基板56に塗布する塗布手段であり、赤色の有機EL材料を吐出するノズル531と、緑色の有機EL材料を吐出するノズル532と、青色の有機EL材料を吐出するノズル533とを有する。保護膜形成ノズル160は、Z軸方向に移動可能であり、前処理材を基板56に塗布する塗布手段である。また、図9には示していないが、基板処理装置は、除去処理部151、ノズルユニット153、保護膜形成ノズル160、およびステージ155の動作を制御する制御部を備えている。また、ステージ155の内部には図示しないヒーターが設けられる。ヒーターは、ステージ155上に載置される基板を加熱する加熱手段として用いられる。本実施形態においては、このヒーターで基板を加熱することによって、基板に塗布される前処理材および有機EL材料の塗布液を流動しない程度に硬化させ、溶剤の乾燥、蒸発を促進する。したがって本実施の形態においては、前処理材の乾燥後に有機EL材料が塗布される。また、有機EL材料の乾燥後に除去処理が行われる。なお、発光層を形成させるためには別途、熱処理工程がベーク装置により行われる。
図9に示すように、ステージ155には塗布処理および除去処理の対象となる基板56が載置される。基板56は、X軸方向およびY軸方向に関してステージ155よりもやや大きいサイズである。本実施形態では、ステージ155はY軸方向に移動可能であるとする。ステージ155の上方には保護膜形成ノズル160が配置される。保護膜形成ノズル160は、前処理材を吐出する向きが鉛直下向きとなるように配置される。保護膜形成ノズル60は、塗布位置まで下降し、後述するノズルユニット153による有機EL材料の処理液吐出と同時に前処理材の塗布が可能である。したがって、保護膜形成ノズル160は、ステージ155がY軸方向に移動することにより、X軸方向に関して基板56の両端領域56bに前処理材を形成することができる。なお、保護膜形成ノズル160の種類、数あるいは位置を変更することにより前処理材の形成パターンを自由に変更することができる。
また図9に示すように、ステージ155の上方にはガイド部材152が配置される。ガイド部材152はX軸方向に延びるレール521を有し、レール521に沿って移動可能なようにノズルユニット153がガイド部材152に接続される。ノズルユニット153の各ノズル531〜533は、処理液を吐出する向きが鉛直下向きとなるようにノズルユニット153の下側に配置される。なお、各ノズル531〜533は、Y軸方向に関して少しずれた位置に配置される。ここで、ガイド部材152は、X軸方向に関して基板56よりも長く構成され、ノズルユニット153は、X軸方向に関して基板56の幅よりも広い範囲を移動することが可能である。したがって、ノズルユニット153がレール521の一端から他端まで移動することによって、X軸方向に関して基板56の一端から他端まで有機EL材料を塗布することができる。ただし、ノズルユニット153がレール521の一端から他端まで移動する間に各ノズル531〜533から有機EL材料が吐出されると、基板56に有機EL材料が塗布されるだけでなく、基板56の外側においても有機EL材料が吐出されることとなる。そこで、基板56の外側で吐出された有機EL材料を受ける目的で液受け部154が設置されている。なお、液受け部154で受けた有機EL材料は、液受け部154の排出口(図示していない)から排出される。
また、ガイド部材152には2つの除去処理部151が固定される。各除去処理部151に含まれる照射部111および吸引部112は、照射ヘッドおよび吸引ヘッドが下向きになるように配置される。各除去処理部151の上下方向に関する位置は、照射ヘッドおよび吸引ヘッドの先端の位置が基板56の上面よりもやや上側になる。したがって、ステージ155が移動して除去処理部151の下方に基板56が位置する場合には、除去処理部151からのレーザ光が基板56に照射される結果、基板56に形成された前処理材とともに発光層を除去することができる。また、2つの除去処理部151は、X軸方向に関して基板56の両端となる位置に1つずつ配置される。具体的には、各除去処理部151は、レーザ光の照射位置がX軸方向に関して基板56の端になるように配置される。したがって、ステージ155が移動した結果、基板56が除去処理部151の下方に位置する場合には、基板56のX軸方向に関する両端の領域、すなわち前処理材が形成された領域が除去処理の対象となる。なお、図9では、基板56のX軸方向に関する両端の領域を対象として除去処理を行う目的で、各除去処理部151は、X軸方向に関して基板56の両端となる位置に1つずつ配置される。除去処理部151の配置位置および個数は、除去領域の位置および個数に応じて適宜変更されればよく、例えば、X軸方向に関して基板56の中央の領域を対象として除去処理を行う場合は、X軸方向に関して基板56の中央となる位置に除去処理部151を配置すればよい。
次に、第2の実施形態に係る基板処理装置の動作を説明する。なお、以下では、基板56にはX軸に平行なストライプ状に有機EL材料が塗布され、基板56のX軸方向に関する両端について有機EL材料が除去される場合を説明する。図10は、第2の実施形態における除去処理の対象となる基板56を示す図である。図10(a)は、有機EL材料が塗布される領域(除去される領域も含む)を示す図である。本実施形態においては、図10(a)に示すように、Y軸方向に関して基板56の両端から所定長さdyまでの領域56cには有機EL材料および前処理材が塗布されない。また、図10(a)においては、点線で示される領域56aの外側の領域、すなわち、領域56bおよび56cが除去領域とする。したがって、基板処理装置は、X軸方向に関して基板56の両端から所定長さdxまでの領域56bに前処理材を塗布して有機EL材料の除去処理を行う。なお、図10(b)は、基板処理装置による除去処理が行われた後の基板56を示す図である。
第2の実施形態においては、まず、陽極および正孔輸送層が予め形成された基板56がステージ155に載置される。基板56がステージ155に載置されると、制御部は、予め定められた前処理材の塗布開始位置にステージ155を移動させるとともに、保護膜形成ノズル160を塗布位置まで下降させる。そして、図10(a)に示す領域56aの上端の位置が保護膜形成ノズル160の吐出位置となるようにステージ155が移動された後、前処理材の塗布処理が開始される。そして、ステージ155がY軸の正方向に移動される結果、図10(a)に示す領域56bには前処理材が塗布される。そして、ヒーターによって基板56が加熱されることにより前処理材の溶液は蒸発するので、後述する有機EL材料の塗布開始前までには基板に塗布された前処理材は硬化する。
前処理材の塗布処理が実行されていくと、ステージ155がY軸の正方向に移動される結果、前処理材が塗布された図10(a)に示す領域56aの上端の位置がノズルユニット153の吐出位置に達する。ノズルユニット153の吐出位置が、この領域56aに達すると、有機EL材料の塗布処理が開始される。有機EL材料の塗布処理においては、ノズルユニット153のX軸方向の移動動作(第1動作)と、ステージ155のY軸方向の移動動作(第2動作)とが繰り返される。具体的には、まず、第1動作として、ノズルユニット153の各ノズル531〜533から有機EL材料が吐出されるとともにノズルユニット153がガイド部材152の一端から他端へ移動する。これによって、基板56への3列分の有機EL材料の塗布が完了する。次に、第2動作として、塗布された3列分の長さだけY軸の正方向にステージ155がピッチ送りされる。以降、第1動作と第2動作とを繰り返すことによって、基板56への塗布が3列分ずつ行われる。これによって、基板56に有機EL材料がストライプ状に塗布されていく。そして、ヒーターによって基板56が加熱されることにより有機EL材料の溶剤は蒸発するので、後述するレーザアブレーションによる除去処理開始前までには基板に塗布された有機EL材料は硬化する。
さらに有機EL材料の塗布処理が実行されていくと、ステージ155がY軸の正方向に移動される結果、除去処理部151からのレーザ光の照射位置は、前処理材および有機EL材料が塗布された領域(図10に示す領域56b)に達する。レーザ光の照射位置がこの領域56bに達すると、除去処理部151によるレーザ光の照射および吸引が開始される。これによって、レーザ光が照射された基板の領域に塗布された前処理材が除去される。また、前処理材の除去と同時に、前処理材上に重ねて塗布された有機EL材料も除去される。さらに、上記第2動作が行われることによって、レーザ光が基板56に照射される位置が移動するので、新たな領域にレーザ光が照射され、当該新たな領域に塗布された前処理材および有機EL材料が除去される。さらに第2動作が繰り返されることによって、レーザ光の照射領域がY軸方向に移動して、移動後の照射領域に塗布された前処理材および有機EL材料が除去されていく。なお、制御部は、基板56のY軸負方向側の辺から所定長さdyだけ内側の領域(領域56aおよび56b)からノズルの吐出位置が外れると、ノズルユニット153に上記第1動作を停止させるが、第1動作を停止した後もステージ155に第2動作を継続させる。第2動作は、レーザ光の照射位置が領域56bから外れるまで継続される。これによって、基板56のX軸方向に関して両側の領域について、基板56に塗布された前処理材および有機EL材料が除去される(図10(b)参照)。
なお、除去処理部151によるレーザ光が照射される領域、すなわち、除去が行われる領域のY軸方向の長さは、有機EL材料が一度に塗布される3列分の長さ以上であることが好ましい。すなわち、除去処理部151から照射されるレーザ光のY軸方向に関する幅が当該3列分の長さ以上となるように、マスク123のスリット231の形状を設定することが好ましい。
また、第2動作が行われてから次に第2動作が行われるまでの時間間隔は、基板56に塗布された有機EL材料がレーザ光によって十分に除去される時間よりも長く設定されることが好ましい。つまり、レーザ光によって有機EL材料が完全に除去された後でレーザ光の照射位置が次の位置に移動するように、第2動作が行われる時間間隔を設定することが好ましい。
また、X軸方向に関して、除去領域の幅がレーザ光の照射領域よりも広い場合には、レーザ光の照射位置をX軸方向に移動させることが可能な機構を除去処理部151に設けるようにしてもよい。この場合、第2動作が行われてから次に第2動作が行われるまでの間にレーザ光の照射領域をX軸方向にスキャンさせることによって、X軸方向に関する幅がレーザ光の照射領域よりも広い除去領域についても上記基板処理装置を適用することができる。
以上のように、第2の実施形態によれば、基板処理装置を塗布装置と一体化して構成することができるので、製造システムを全体として小型化することができる。また、塗布した材料にベーク処理を行う前に除去処理を行うことができるので、ベーク処理後に除去処理を行う場合に比べて除去が容易になる。
なお、第2の実施形態においては、ステージ155をY軸方向に移動させることによって、Y軸方向に延びる帯状の除去領域について塗布物の除去を行った。なお、X軸方向に延びる帯状の除去領域について塗布物の除去を行う場合は、基板56への塗布処理が完了した後に、除去処理部151からレーザ光を照射しつつステージ155をX軸方向に移動させるようにしてもよい。また、X軸方向に延びる帯状の領域を除去領域とする場合には、ステージ155のY軸方向のピッチ送りの長さを調整することによって、当該領域に有機EL材料を塗布しないようにしてもよい。
なお、第2の実施形態においては、前処理材・有機EL材料の塗布処理およびレーザアブレーションによる除去処理は同時に行われたが、これに限られない。前処理材・有機EL材料の塗布処理が終了した後に除去処理を行ってもよく、各処理の組み合わせはこれに限られない。
なお、第1および第2の実施形態において、前処理材はノズルによって塗布されたが、これに限られない。基板表面にレーザに対して吸収率の高い樹脂を被膜として形成されればよく、例えば、ローラーやディスペンサにより前処理材を塗布してもよい。また例えば、フィルムを介して膜転写を行ったり、気相法により膜堆積させる方法を用いてもよい。
なお、第1および第2の実施形態において、前処理材を効果的に基板に塗布するために、あらかじめ基板の表面洗浄・改質をおこなってもよい。例えば、UVランプや常圧プラズマ等の光源を用いてもよい。かかる表面洗浄・改質機構は、第2の実施形態に示した基板処理装置と一体して構成することができる。具体的には、図11(a)に示すように、UVランプ170をステージ上方に備え、基板上の除去領域に紫外線を照射することにより、基板に付着した有機物を取り除くことができる。これにより、図11(b)に示すように、保護膜形成ノズル160によって前処理材を塗布する際、効果的に保護膜を形成することができる。また、図11(c)に示すように、前処理材の塗布後、さらにUVランプ170により紫外線を照射することにより前処理材を硬化させることも可能である。
なお、上記第2の実施形態においても、ノズルユニット153の各ノズル531〜533から有機EL材料を吐出しているが、有機EL材料にかえて正孔輸送材料を吐出するようにしてもよい。
なお、第1および第2の実施形態においては、レーザアブレーションにより前処理材を除去することにより、前処理材上に形成された有機EL材料を除去するものである。したがって、有機EL材料を除去することができれば前処理材が一部残存していてもよい。これにより、システム全体のコストを下げることができる。
また、上記第1および第2の実施形態において、ノズルユニット153の各ノズル531〜533から赤色と緑色と青色の有機EL材料を同時に吐出しているが、各ノズル531〜533から同じ色の有機EL材料を吐出するようにしてもよい。この場合、保護膜形成から除去処理後のベーク装置による加熱処理までを繰り返すことによって3色の発光層を形成してもよいし、保護膜形成から除去処理までを3色の発光材料で繰り返した後にベーク装置による加熱処理を行うようにしてもよい。
なお、第1および第2の実施形態において、ベーク処理に耐えうる前処理材であれば、有機EL材料塗布後にベーク処理を行い、その後除去処理を行ってもよい。
本発明は、有機EL表示装置を製造する製造装置に好適である。
第1の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図 第1の実施形態における除去処理の対象となる基板を示す図 第1の実施形態における保護膜形成装置の構成を示す図 第1の実施形態における前処理材の塗布処理が行われている基板近傍の様子を示す図 第1の実施形態における発光層の塗布処理が行われている基板近傍の様子を示す図 第1の実施形態における除去装置の構成を示す図 第1の実施形態における除去装置の除去処理部の詳細な構成を示す図 第1の実施形態における除去処理が行われている基板近傍の様子を示す図 第2の実施形態に係る基板処理装置の構成を示す図 第2の実施形態における除去処理の対象となる基板を示す図 表面洗浄・改質処理が行われている基板近傍の様子を示す図
符号の説明
1 基板処理装置
6、56 基板
10 保護膜形成装置
11 保護膜形成ノズル
12 ステージ
13 XY駆動部
14 制御部
15 ヒーター
20 有機EL材料塗布装置
21 ノズルユニット
30 除去装置
31 除去処理部
32 ステージ
33 XY駆動部
34 制御部
35 吸引部
40 ベーク装置
51 インデクサ
52 第1搬送路
53 第2搬送路
54 第1搬送ロボット
55 第2搬送ロボット
100 有機EL材料
110 保護膜
111 照射部
112 吸引部
113 保護膜形成ノズル
114 ノズルユニット
151 除去処理部
152 ガイド部材
153 ノズルユニット
154 液受け部
155 ステージ
160 保護膜形成ノズル
170 UVランプ

Claims (6)

  1. 有機EL材料または正孔輸送材料を基板に塗布するための基板処理方法であって、
    前記基板上における所定領域に保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    前記保護膜形成工程が行われた前記基板に対して有機EL材料または正孔輸送材料からなる塗布物を塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程が行われた前記基板の前記所定領域に対してレーザ光を照射し、前記所定領域上の前記保護膜および塗布物を除去する除去工程と、
    前記レーザ光が照射されたと同時に前記所定領域上の空間から、前記除去工程によって除去された前記保護膜および前記塗布物を吸引する吸引工程とを備える、基板処理方法。
  2. 前記塗布工程の前に、前記保護膜形成工程によって形成された前記保護膜を乾燥させる第1乾燥工程をさらに備える、請求項1に記載の基板処理方法。
  3. 前記除去工程の前に、前記有機EL材料または正孔輸送材料の塗布後の基板を乾燥させる第2乾燥工程をさらに備える、請求項1に記載の基板処理方法。
  4. 使用波長のレーザ光に対する前記保護膜のエネルギ吸収率は、前記塗布物のエネルギ吸収率と比べて高いことを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
  5. 前記基板の前記所定領域に照射される前記レーザ光は、前記保護膜をレーザアブレーションさせるしきい値よりも高く、前記塗布物をレーザアブレーションさせるしきい値よりも低いエネルギ密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の基板処理方法。
  6. 有機EL材料または正孔輸送材料を基板に塗布するための基板処理装置であって、
    前記基板を載置する載置面を有するステージと、
    前記基板上に保護膜を塗布する保護膜形成ノズルを有し、前記ステージまたは前記保護膜形成ノズルの少なくとも一方を前記載置面に平行な第1方向へ相対的に移動させることにより、前記基板上における所定領域に保護膜を形成する保護膜形成手段と、
    前記基板上に前記有機EL材料または正孔輸送材料からなる塗布物を塗布する塗布ノズルを有し、前記ステージまたは前記塗布ノズルの少なくとも一方を前記第1方向と垂直であり、かつ前記載置面に平行な第2方向へ相対的に移動させることにより、前記基板に対して前記塗布物を塗布する塗布手段と、
    前記基板上にレーザ光を照射するレーザ照射ヘッドを有し、前記ステージまたは前記レーザ照射ヘッドの少なくとも一方を前記載置面に平行な第1方向へ相対的に移動させることにより、前記基板の前記所定領域に対して前記レーザ光を照射し、前記所定領域上の前記保護膜および前記塗布物を除去する除去手段と、
    前記レーザ光が照射されたと同時に当該除去領域上の空間から、前記除去手段により除去された前記保護膜および前記塗布物を吸引する吸引手段とを備える、基板処理装置。
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