JP2007052266A - 液晶表示パネル及びその製造方法 - Google Patents

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Norihiro Yoshida
典弘 吉田
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剛史 山口
Yasushi Kawada
靖 川田
Yuzo Hisatake
雄三 久武
Akio Murayama
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Abstract

【課題】 液晶分子の配向均一性を向上させ、明るく良好な表示品位、広い視野角、高速応答特性を有する液晶表示パネルを安価に提供する。
【解決手段】 アレイ基板101及び対向基板102と、負の誘電異方性を有する液晶組成物を含みアレイ基板101及び対向基板102に挟持される液晶層190と、を備え、アレイ基板101は、液晶層190に電界を印加する画素電極151と、画素電極151をスイッチングするTFT121と、を備え、液晶層190に印加される電界の傾きを制御する畝状突起9が、少なくともアレイ基板101に備えられた液晶表示パネル100の製造方法であって、アレイ基板101上にTFT121の一部となる層15を形成する工程と、層15をパターンニングして畝状突起9とTFT121の一部とを形成する工程と、を有する液晶表示パネル100の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、マルチドメイン型VANモードに関するもので、特にTFTなどの能動素子により駆動される液晶表示パネル及びその製造方法に関する。
液晶素子を用いた表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を有するために、OA機器、情報端末、時計、テレビ等さまざまな分野に応用されている。特に薄膜トランジスタ(以下、TFT)を用いた液晶素子は、その応答性から携帯テレビやコンピュータなど多くの情報を含むデータの表示用モニターに用いられている。
近年、情報量の増加に伴い表示装置の高精細化や高速応答性が要求され始めており、高精細化にはTFTアレイ構造の微細化により対応がなされている。一方、高速応答性ではネマチック液晶を用いたOCB方式、VAN方式、HAN方式、π配列方式、スメクチック液晶を用いた界面安定型強誘電性液晶(SSFLC)方式、反強誘電性液晶(AFLC)方式が検討されている。
特に、VAN型配向モードは、従来のツイストネマチック型(TN)モードより速い応答速度が得られることや、垂直配向処理の採用により従来静電気破壊など不良原因の発生が危惧されていたラビング配向処理工程を削除可能なことから近年注目されている液晶表示モードである。さらに、VAN型モードでは視野角の補償設計が比較的容易なことから、マルチドメイン型VANモード(以下、MVAモードと略称する)として広い視野角を実現することが可能である。
ここで、MVAモードの液晶表示パネルの断面の一例を概略的に図12に示す。一般に、MVAモードにおける配向分割のための手段としては、液晶層を挟持する一方あるいは両方の基板上に畝状の突起、又はITO電極の欠落部(スリット)などを形成する方法がある(特許文献1参照)。
図12に示す例では、アレイ基板101上の画素電極151にはスリットSL1が、また対向基板102上の共通電極22表面には対向突起30がそれぞれ形成されている。
ここで負の誘電異方性を示すネマチック液晶材料を用いた場合、画素電極151のスリットSL1では電界離散効果により電界がスリット外側に傾斜し、液晶分子190AはスリットSL1の内側に傾斜する。
一方で、対向基板102側では対向突起30の形状効果により液晶分子190Aは対向突起30の外側に傾斜する。そこで、液晶分子190Aの傾斜方向が揃うようにアレイ基板101と対向基板102とを組み合せることで良好に配向分割を行うことができる。
また、近年ではTFTアレイ上に着色層を直接作り込む技術の開発により対向基板とアレイ基板との位置合わせを必要としないプロセスが実用化され始めている。
新たに開発が進められているのが、対向基板上に配向分割用の構造体を形成することなく、アレイ基板上の要素によってのみ液晶配向制御を行う方式である。この片側基板のみによる配向制御モードを、以下の文中ではAVANモード(Advanced Vertical Alinement mode)と略称する。
ここで、AVANモードの液晶表示素子の一例を図13に示す。この例では、アレイ基板101上の画素電極151下層に畝状突起9が形成され、対向基板102上には共通電極22のみが設けられている。ここで負の誘電異方性を示すネマチック液晶材料を用いた場合、画素電極エッジ部では電界離散効果により電界がスリット外側に傾斜し、液晶分子190Aはスリットの内側に傾斜する。
また、突起部周辺の液晶分子190Aは、画素電極151表面の凹凸形状効果により畝状突起9と平行な方向にダイレクタを揃えて配向する。この2つの効果の組み合せにより、液晶の配向方向を制御する。
特開2003−107508号公報
しかし、上述したMVAモード及びAVANモードの液晶表示方式は、アレイ基板又は対向基板上に配向分割用の畝状突起を形成する必要があるため、製造コストが上昇する恐れがあった。
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、製造コストを低減し、広い視野角と良好な表示品位を有する液晶表示素子を安価に提供するものである。
本発明の第1の態様による液晶表示パネルの製造方法は、第1及び第2基板と、負の誘電異方性を有する液晶組成物を含み前記第1及び第2基板に挟持される液晶層と、を備え、前記第1基板は、前記液晶層に電界を印加する画素電極と、前記画素電極をスイッチングする薄膜トランジスタと、を備え、前記液晶層に印加される電界の傾きを制御する畝状突起が、少なくとも前記第1基板に備えられた液晶表示パネルの製造方法であって、前記第1基板上に前記薄膜トランジスタの一部となる層を形成する工程と、前記層をパターンニングして前記畝状突起と前記薄膜トランジスタの一部とを形成する工程と、を有する。
また、本発明の第2の態様による液晶表示パネルは、第1及び第2基板と、負の誘電異方性を有する液晶組成物を含み前記第1及び第2基板間に挟持される液晶層と、を備え、前記第1基板は、前記液晶層の電界を印加する画素電極と、前記画素電極をスイッチングする薄膜トランジスタと、を備え、前記液晶層に印加される電界の傾きを制御する畝状突起が、少なくとも前記第1基板に備えられ、前記畝状突起は、前記薄膜トランジスタの一部と同一材料で形成される。
本発明によれば、製造コストを低減し、広い視野角と良好な表示品位を有する液晶表示素子を安価に提供することができる。
以下、本発明の第1実施形態に係る液晶表示パネルについて図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液晶表示パネル、例えば、アクティブマトリクス型液晶表示パネルは、MVAモードで表示を行う液晶表示パネル100である。液晶表示パネル100は、図1に示すように、アレイ基板101と、このアレイ基板101に対向配置された対向基板102と、アレイ基板101と対向基板102との間に配置された液晶層190とを備えている。
上記の液晶表示パネル100において、画像を表示する表示領域103は、アレイ基板101と対向基板102とを貼り合わせる外縁シール部材106によって囲まれた領域内に形成されている。外縁シール部材106の外側の領域には、表示領域103の外周に沿って配置された周辺領域104が形成されている。また、液晶層190は、負の誘電異方性を有する液晶組成物を含んでいる。
図2に示すように、アレイ基板101は、表示領域103においてマトリクス状に配置されたm×n個の画素電極151、これら画素電極151の行方向に沿って形成されたm本の走査線Y(Y1〜Ym)、これら画素電極151の列方向に沿って形成されたn本の信号線X(X1〜Xn)を有している。さらに、アレイ基板101は、画素電極151の行に沿って配置されるm本の補助容量線154を有している。
走査線Y1〜Ymは信号線X1〜Xnと略直交し、補助容量線154と略平行に配置される。各補助容量線154は対向電極駆動回路等から対向電位VCOMとして得られる所定電位に設定され、対応行の画素電極151と容量結合してそれぞれ補助容量Csを構成する。
また、各画素電極151に対応して、走査線Y及び信号線Xの交差位置近傍にスイッチング素子として配置された薄膜トランジスタ(以下、TFT)121が備えられている。TFT121は、対応走査線Yおよび対応信号線Xに接続され、この走査線Yからの駆動電圧により導通し、信号線Xからの信号電圧を対応する画素電極151に印加する。
また、周辺領域104において、アレイ基板101は、走査線Yを駆動する走査線駆動回路118、信号線Xを駆動する信号線駆動回路119などを有している。
図4に示すように、画素電極151は金属等の遮光性導電部材からなる信号線Xおよび走査線Yによって区画され、電気的に絶縁された状態でこれら信号線Xおよび走査線Yに僅かに重なっている。画素電極151はガラス基板などの光透過性絶縁基板GL2上に形成されるITO等の透明導電部材からなり、その平面的な広がりによって液晶層190の画素領域に電界を印加する。
また、この画素電極151は、画素電極151の下地となる畝状突起9に対応した起伏を有する。図4では、ハッチングが畝状突起9の範囲を示している。畝状突起9は液晶層190の画素領域が複数のドメインに配向分割されるように画素電極151から印加される電界を制御し、また外縁を隆起させることより畝状突起9に依存して画素電極151の外縁付近に得られた電界の傾きを補正する。本実施形態では、畝状突起9幅、及び畝状突起9の間の距離は5μmで設計した。
本実施形態では、画素電極151は、スリットSL2を形成することによって3つのサブピクセルに分割している。各サブピクセルには、略90°で交差する畝状突起9が繰り返し配列され、各サブピクセルは4つのドメインに分割されている。
なお、本発明では畝状突起9の配置によって容易に配向分割パターンを変更することができるため、用途に応じた画素設計が可能である。例として、配向分割パターンを図5(a)、図5(b)、及び図5(c)に示す。
図3に示すように、アレイ基板101では、それぞれのTFT121がガラス基板などの光透過性絶縁基板GL1上に形成され、カラーフィルタCFにより覆われる。カラーフィルタCFは、複数の画素電極151の行および列方向に繰り返し並べられ各々複数の画素電極151の1つに対向する赤カラーフィルタ層R、緑カラーフィルタ層G、青カラーフィルタ層Bにより構成される。また、複数の柱状スペーサ20がこれら画素電極151相互間においてカラーフィルタCF上に形成される。
TFT121は、アレイ基板101上に形成されたゲート電極11、ゲート絶縁膜層12を介してゲート電極11上に重なる半導体層13、及び、コンタクト層としての低抵抗半導体層14を有している。さらに、TFT121は、低抵抗半導体層14及び半導体層13に接触するとともに、ゲート電極11と対向した透明絶縁性膜層から成るエッチング保護膜層15を有している。
エッチング保護膜層15及び低抵抗半導体層14上には、ソース電極16とドレイン電極17とが形成されている。ソース電極16は、コンタクトホール18が形成される位置で画素電極151と接触している。
他方、対向基板102では、共通電極22がガラス基板などの光透過性絶縁基板GL2上に形成されている。共通電極22は、ITO等の透明導電部材からなり、配向膜19がこの共通電極22を覆って形成される。
共通電極22は、アレイ基板101側に配置された複数の画素電極151全体に対向するように配置される。配向膜19は、液晶層190の液晶組成物に含まれる液晶分子190Aを対向基板102に対して略垂直な方向に配向する。このような対向基板102では、偏光板PL2が液晶層190とは反対側となる絶縁基板GL2の表面に貼り付けられる。
なお、上記の液晶表示パネル100は、カラーフィルタCFがTFT121及び画素電極151のアレイと共にアレイ基板101上に形成されるCOA(Color filter ON Array)構造である。このCOA構造は、カラーフィルタCFを対向基板102上に配置する場合に基板相互をずれなく貼り合わせるために必要とされる高精度な位置合わせを不要にでき、この結果として製造処理を容易にし材料コストを低減することが可能である。
また、液晶表示パネル100が上述のように透過型である場合には、カラーフィルタCFの材料がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂などの透明樹脂であることが透過率、色合いの観点から好ましい。
次に、図3を用いて上記の液晶表示パネル100の製造方法について説明する。まず、アレイ基板101にモリブデンを膜厚0.3μmでスパッタリングにより成膜し、フォトリソグラフィにより走査線Y、走査線Yから延出して形成されたゲート電極11、及び補助容量線154を所定の形状にパターン形成した。
その上に、膜厚0.15μmの酸化シリコン等から成るゲート絶縁膜層12、a−Si(アモルファスシリコン)のような半導体層13、及び、コンタクト層としての低抵抗半導体層14を形成した。さらに、それらの上にチッ化ケイ素等からなる透明絶縁膜層を形成し、その透明絶縁膜をパターンニングしてエッチング保護膜層15と配向制御用の畝状突起9を同時に形成した。なお、本実施形態では、畝状突起9の幅、及び畝状突起9間の距離は5μmで設計した。
その後、ITOを膜厚約0.1μmスパッタリングしてフォトリソグラフィにより画素電極151を所定のパターンに形成した。さらに上層にAlを膜厚0.3μmでスパッタリング成膜し、フォトリソグラフィにより、信号線X、低抵抗半導体層14上に信号線Xから延出して形成されたドレイン電極17、及び島状のソース電極16を同時に形成し、チャネル保護型のTFT121を形成した。
続いて、赤色の顔料を分散させた感光性レジストを塗布し、フォトリソグラフィにより赤色の赤カラーフィルタ層R、及びコンタクトホール18を形成した。同様にして緑色の緑カラーフィルタ層G、及び青色の青カラーフィルタ層Bを形成し、膜厚約1.5μmのカラーフィルタCFがアレイ基板101上に得られた。
その後、ITOを膜厚約0.1μmスパッタリングしてフォトリソグラフィにより画素電極パターンを形成し、前述のカラーフィルタCFに形成されたコンタクトホール18を介してソース電極16と電気的に導通させた。さらに、感光性の黒色樹脂Bkのフォトリソグラフィ加工によりスペーサ20、及び額縁21を所定の位置にパターン形成した。
このようにして出来上がったアレイ基板101と、共通電極22を形成した対向基板102に、それぞれ垂直性を示す配向膜19を70nm厚さで塗布した後、アレイ基板端面と対向基板端面を治具で合わせ、エポキシ系の熱硬化樹脂から成る接着剤25を用いて貼合わせた。続いて、誘電率異方性が負の液晶材料をセルに充填し液晶表示素子を形成し、注入口を紫外線硬化樹脂で封止して液晶表示パネル100を作製した。
上記の第1実施形態によれば、畝状突起9をTFT121の一部と同時に形成することによって、液晶表示パネル100を製造するために必要な工程数を削減し、製造コストを大幅に低減することができる。
また、TFT121は複数の層から形成されているが、上記の第1実施形態では、畝状突起9は、チッ化ケイ素等から成るエッチング保護膜層15と同時に形成されているため、透過率の高い液晶表示パネルを提供することができる。
従来、畝状突起9の材料として用いていた樹脂レジスト等に比較するとチッ化ケイ素膜の加工性は高く、微細なパターンで形成することができ、配向分割設計の自由度を大幅に向上させることができる。その結果、広い視野角と良好な表示品位を有する液晶表示パネルを安価に提供することが可能となる。
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶表示パネル100について説明する。本実施形態は、本発明を対向カラーフィルタ構造の液晶表示パネルに適用した場合である。
図6に示すように、アレイ基板101には、それぞれのTFT121がガラス基板などの光透過性絶縁基板GL1上に形成され、対向基板102に、カラーフィルタCFが形成されている。カラーフィルタCFは、複数の画素電極151の行および列方向に繰り返し並べられ各々複数の画素電極151の1つに対向する赤カラーフィルタ層R、緑カラーフィルタ層G、青カラーフィルタ層Bにより構成される。
上記の構成以外の構成は、第1実施形態で説明した液晶表示パネル100と略同一であるため、図面に同一の符号を付してここでは説明を省略する。
次に、上記の液晶表示パネル100に製造方法について説明する。まず、第1実施形態と同様にアレイ基板101上にモリブデンを膜厚0.3μmでスパッタリングにより成膜し、フォトリソグラフィにより走査線Y、走査線Yから延出して形成されたゲート電極11、及び補助容量線154を所定の形状にパターン形成した。
その上に、膜厚0.15μmの酸化シリコン等から成るゲート絶縁膜層12、アモルファスシリコン(a−Si)のような半導体層13、コンタクト層としての低抵抗半導体層14を設けた。さらに、これらの上にチッ化ケイ素等から成る透明絶縁膜層を形成し、この透明絶縁膜層をパターンニングしてエッチング保護膜層15と配向制御用の畝状突起9を同時に形成した。このとき、畝状突起9は、図7に示すように第1実施形態と同じパターンに配置した。
その後、ITOを膜厚約0.1μmスパッタリングしてフォトリソグラフィにより画素電極151を所定のパターンに形成し、さらにAlを膜厚0.3μmでスパッタリング成膜しフォトリソグラフィにより、信号線X、低抵抗半導体層14上に信号線Xから延出して形成されたドレイン電極17、及び島状のソース電極16を同時に形成し、チャネル保護型のTFT121を形成した。さらに、その上層にチッ化ケイ素等からなる絶縁性の保護膜23を設けた。
対向基板102上には、赤色の顔料を分散させた感光性レジストを塗布し、フォトリソグラフィにより赤色の赤カラーフィルタ層Rと、積層スペーサの一層目となる33×33μmのサイズのスペーサ20(R)を同時に形成した。
同様にして緑色の緑カラーフィルタ層G、及び青色の青カラーフィルタ層Bと、積層スペーサの2層目20(G)(サイズ:26×26μm)、及び3層目20(B)(サイズ:22×22μm)をそれぞれ形成し、膜厚約1.5μmのカラーフィルタ層と、積層スペーサ20を形成した。その後、ITOを膜厚約0.1μmでスパッタリングして共通電極22を形成し、さらにクロム金属等により額縁21を所定の位置にパターン形成した。
上記のようにして出来上がったアレイ基板101と対向基板102に、それぞれ垂直性を示す配向膜19を70nm厚さで塗布した。その後、エポキシ系の熱硬化樹脂から成る接着剤25を用いて所定の位置で貼合わせた。続いて、誘電率異方性が負の液晶材料をセルに充填して液晶表示素子を形成し、注入口を紫外線硬化樹脂で封止して液晶表示パネル100を作製した。
上記の第2実施形態によれば、第1実施形態と同様に、畝状突起9をTFT121の一部と同時に形成することによって、液晶表示パネル100を製造するために必要な工程数を削減し、製造コストを大幅に低減することができる。
また、畝状突起9が、チッ化ケイ素等から成るエッチング保護膜層15と同時に形成されているため、透過率の高い液晶表示パネル100を提供することができる。さらに、従来と比較して配向分割設計の自由度を大幅に向上させることができる。
その結果、広い視野角と良好な表示品位を有する液晶表示パネルを安価に提供することが可能となる。
以下に、比較例1乃至比較例3の液晶表示パネルを用いて、上記の第1実施形態、及び第2実施形態に係る液晶表示パネル100について評価した結果について説明する。
比較例1として、一般的な構造のAVANモード液晶表示素子の一例を示す。本比較例では、第1実施形態と同様に、TFT121がカラーフィルタCFで覆われている構成となっている。
この液晶表示素子の製造方法は、まず、第1実施形態と同様に、アレイ基板101上に走査線Y、走査線Yから延出して形成されたゲート電極11、及び補助容量線154を所定の形状にパターン形成し、その上に、酸化シリコン等から成るゲート絶縁膜層12、アモルファスシリコン(a−Si)のような半導体層13、コンタクト層としての低抵抗半導体層14、およびチッ化ケイ素等からなるエッチング保護膜層15を設けた。さらに、その上層に信号線X、低抵抗半導体層14上に信号線Xから延出して形成されたドレイン電極17、及び島状のソース電極16を同時に形成して、チャネル保護型のTFT121を形成した。
この後で、本比較例では新たに透明樹脂レジストを塗布し、フォトリソグラフィにより配向制御用の畝状突起9を形成した。なお、畝状突起9のパターンは第1実施形態と同じ配置になっている。
上記の点を除き、この後は第1実施形態と同様にして、カラーフィルタCF、画素電極151、スペーサ20、及び額縁21をアレイ基板101上に形成した。対向基板102には共通電極22を形成し、アレイ基板101と対向基板102とを貼合わせた後、液晶表示パネルを作製した。すなわち、本比較例はTFT121を形成した後に別の工程によって畝状突起9が形成されている場合である。
比較例2として、一般的なMVAモードの液晶表示素子の一例を図11に示す。本比較例では、画素電極151が、基板端辺に対し略45度の角度を成して形成されたスリットSL1及び対向突起30有している。このことによって、各画素は、互いに略90度異なる4方向への異方性を有すドメインを有している。
上記の液晶表示素子の製造方法は、まず、第1実施形態と同様に、アレイ基板101上に走査線Y、走査線Yから延出して形成されたゲート電極11、及び補助容量線154を所定の形状にパターン形成し、その上に、酸化シリコン等から成るゲート絶縁膜層12、アモルファスシリコン(a−Si)のような半導体層13、コンタクト層としての低抵抗半導体層14、およびチッ化ケイ素等からなるエッチング保護膜層15を設けた。
さらに、その上層に信号線X、低抵抗半導体層14上に信号線から延出して形成されたドレイン電極17、及び島状のソース電極16を同時に形成して、チャネル保護型のTFT121を形成し、続けてカラーフィルタCFを形成した。
その後、本比較例では、ITOを膜厚約0.1μmでスパッタリングし、フォトリソグラフィにより画素電極151に配向制御用のスリットSL1を形成した。一方で、対向基板102上にも黒色樹脂レジストを用いて畝状の対向突起30を形成した。このときのスリットSL1のパターン形状、対向突起30のパターン形状、及び液晶分子190Aの配向状態を図10に合わせて示す。
上記の点を除いては、また第1実施形態と同様にして、スペーサ20、及び額縁21をアレイ基板101上に形成し、共通電極22を形成した対向基板102と貼合わせた後、液晶セルを作製した。
第1実施形態、第2実施形態、比較例1、及び比較例2に係る液晶表示パネルについて、試作セルの評価結果を図8に示す。
第1実施形態の液晶表示パネル100を、比較例1及び比較例2に示した液晶表示パネル100と比較すると、配向制御用の畝状突起9を形成する工程が不要であるため、試作に要する部材や時間が削減されてコストが大幅に低減した。
また、液晶分子190Aの配向状態を観察したところ、液晶分子190Aは畝状突起9と平行な方向に良好に配向分割されており、広い視野角と良好な表示品位を確認できた。さらに、アレイ基板101上の要素によってのみ液晶配向制御を行うため対向基板102との位置合わせを必要とせず、意図的に2枚の基板を±5μmの範囲でずらして基板貼り合わせを行った液晶表示パネル100についても、良好な表示品位を確認した。
第2実施形態の液晶表示パネル100についても、第1実施形態と同様に良好な表示品位が得られ、且つ配向制御用の畝状突起9を形成する工程が不要であるため、比較例1及び比較例2の液晶表示パネル100に比べてコストを大幅に低減することができた。
また、意図的に2枚の基板を±5μmの範囲でずらして基板貼り合わせを行った液晶表示パネル100についても、表示品位は良好であった。第2実施形態における液晶表示パネル100は、対向カラーフィルタ構造であるため基板間の位置合わせは必要であるが、液晶配向制御をアレイ基板101上の要素によってのみ行っており、位置ずれに対するマージンを比較例2に比べ拡大することが可能である。
なお、比較例1の液晶表示パネル100について、液晶分子190Aの配向状態を観察したところ、貼合わせ時のずらしの有無によらず、液晶分子190Aは畝状突起9と平行な方向に良好に配向分割されており、広い視野角と良好な表示品位を確認できた。
また、比較例2の液晶表示パネル100について、液晶分子190Aの配向状態は、正常な位置合わせにより基板貼合わせを行った液晶表示パネル100では良好に配向分割されており、広い視野角と良好な表示品位を確認できた。
上述したように、本発明の液晶表示パネル100では、アレイ基板101上に畝状突起をTFT121の一部と同時に形成し、畝状突起と画素電極エッジを利用して液晶の配向制御を行っている。そのため、従来のMVAモード或いはAVANモードに比較すると、配向制御用の畝状突起9を形成する工程が不要であり製造コストを大幅に削減することができる。
また、本発明では、アレイ基板101上の要素のみで配向分割を行うため、アレイ基板101と対向基板102とを貼り合わせる工程での位置合わせも不要である。したがって、位置ずれによる表示品位や透過率の低下も生じない。その結果、広い視野角と良好な表示品位を有する液晶表示パネルを安価に提供することができる。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば、上記の実施形態では畝状突起9は、TFT121のエッチング保護膜層15と同時に形成しているが、TFT121の他の層と同時に形成されていてもよい。このとき、畝状突起9が透過性の高いものによって形成されると効果的である。
また、上記の実施形態では、AVANモードの液晶表示パネルについて本発明を適用させているが、MVAモードの液晶表示パネルに適用してもよい。その場合にも、畝状突起9をTFT121の一部と同時に形成することによって、液晶表示パネル100の製造工程を増やすことが無いため、製造コストを削減することができる。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
本発明の第1実施形態に係る液晶表示パネルを概略的に示す図。 図1に示す液晶表示パネルの表示領域の一構成例を示す平面図。 図4に示す画素部をA―Bで切断した断面の一例を示す図。 図1に示す液晶表示パネルの画素部の一構成例を示す図。 本発明の第1実施形態に係る液晶表示パネルの配向分割パターンを示す図。 図7に示す画素部をA−Bで切断した断面の一例を示す図。 図1に示す液晶表示パネルの画素部の他の構成例を示す図。 本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る液晶表示パネルの評価結果を示す図。 比較例1に係る液晶表示パネルの画素部の一例を示す断面図。 比較例2に係る液晶表示パネルの画素部の一構成例を示す。 図10に示す液晶表示パネルの断面の一例を示す図。 MVAモードの液晶表示パネルの一例を概略的に示す断面図。 AVANモードの液晶表示パネルの一例を概略的に示す図。
符号の説明
100…液晶表示パネル、101…アレイ基板、102…対向基板、103…表示領域、151…画素電極、154…補助容量線、190…液晶層、190A…液晶分子、X(X1〜Xn)…信号線、Y(Y1〜Ym)…走査線、121…TFT、11…ゲート電極、15…エッチング保護膜層、9…畝状突起、16…ソース電極、17…ドレイン電極、22…共通電極、SL1、SL2…スリット

Claims (9)

  1. 第1及び第2基板と、
    負の誘電異方性を有する液晶組成物を含み前記第1及び第2基板に挟持される液晶層と、を備え、
    前記第1基板は、前記液晶層に電界を印加する画素電極と、前記画素電極をスイッチングする薄膜トランジスタと、を備え、
    前記液晶層に印加される電界の傾きを制御する畝状突起が、少なくとも前記第1基板に備えられた液晶表示パネルの製造方法であって、
    前記第1基板上に前記薄膜トランジスタの一部となる層を形成する工程と、
    前記層をパターンニングして前記畝状突起と前記薄膜トランジスタの一部とを形成する工程と、
    を有する液晶表示パネルの製造方法。
  2. 前記薄膜トランジスタの一部となる層は透明絶縁性膜層である請求項1記載の液晶表示パネルの製造方法。
  3. 前記薄膜トランジスタ上に、顔料を含む着色層を形成し、フォトリソグラフィによりカラーフィルタ層を形成する工程をさらに備えた請求項1記載の液晶表示パネルの製造方法。
  4. 前記畝状構造体上にITO層を形成する工程と、
    前記ITO層をパターンニングしてスリットで分割された2以上の領域から成る前記画素電極を形成する工程と、
    をさらに有する請求項1記載の液晶表示パネルの製造方法。
  5. 第1及び第2基板と、
    負の誘電異方性を有する液晶組成物を含み前記第1及び第2基板間に挟持される液晶層と、を備え、
    前記第1基板は、前記液晶層の電界を印加する画素電極と、前記画素電極をスイッチングする薄膜トランジスタと、を備え、
    前記液晶層に印加される電界の傾きを制御する畝状突起が、少なくとも前記第1基板に備えられ、
    前記畝状突起は、前記薄膜トランジスタの一部と同一材料で形成された液晶表示パネル。
  6. 前記薄膜トランジスタの一部は、透明絶縁性膜から成る層である請求項5記載の液晶表示パネル。
  7. 前記第1基板は、顔料を含む着色層によって形成されたカラーフィルタ層をさらに有する請求項5記載の液晶表示パネル。
  8. 前記画素電極はスリットによって分割された2以上の領域から成る請求項5記載の液晶表示パネル。
  9. 前記畝状突起は、前記画素電極のスリットによって分割された各領域において、略直交するように繰り返し配列されている請求項5記載の液晶表示パネル。
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