JP2005017886A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶分子の配向リバースを軽減する。
【解決手段】液晶表示装置はアレイ基板と、対向基板と、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含みアレイ基板および対向基板間に挟持される液晶層とを備える。特に、アレイ基板は液晶層の画素領域に電界を印加する画素電極PE、画素領域が配向分割されるように画素電極PEから印加される電界の傾きを制御する畝状構造体TL、および画素電極PEの外縁を隆起させる下地として形成される傾き補正用突起CLを含む。
【選択図】 図1
【解決手段】液晶表示装置はアレイ基板と、対向基板と、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含みアレイ基板および対向基板間に挟持される液晶層とを備える。特に、アレイ基板は液晶層の画素領域に電界を印加する画素電極PE、画素領域が配向分割されるように画素電極PEから印加される電界の傾きを制御する畝状構造体TL、および画素電極PEの外縁を隆起させる下地として形成される傾き補正用突起CLを含む。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶層が一対の電極基板間に挟持される構造の液晶表示装置に関し、特にこの液晶層の画素領域が複数のドメインに配向分割される液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力という特性からOA機器、情報端末、時計、テレビのような様々な分野で応用されている。特にアクティブマトリクス型液晶表示パネルは、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いて画素のスイッチングを行うことにより優れた応答性を得ることができるため、多くの画像情報を表示しなくてはならない携帯テレビあるいはコンピュータの表示モニタとして利用されている。
【0003】
近年では、液晶表示装置の精細度および表示速度の向上が情報量の増大に伴って要求され始めている。精細度の向上はTFTアレイ構造を微細化して画素数を増大することにより行われる。この場合、画素数の増大に伴って液晶分子の配列をより短い時間内に遷移させるために、現在の2倍から数十倍という液晶分子の応答速度を得られるような液晶表示モードが必要となる。この液晶表示モードとしては、例えばネマチック液晶を用いたOCB(Optically Compensated Birefringence)モード、VAN(Vertically Aligned Nematic)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード、およびπ配列モード、並びにスメクチック液晶を用いた界面安定型強誘電性液晶(SSFLC: Surface−Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)モードおよび反強誘電性液晶(AFLC: Anti−Ferroelectric Liquid Crystal)モードが検討されている。
【0004】
特にVANモードは、従来のツイストネマチック(TN)モードよりも速い応答速度が得られることや、静電気破壊のような不良発生の原因となる従来のラビング工程を垂直配向処理の採用により不要にできることから近年注目されている。また、VANモードは視野角の補償設計を容易にすることができ、さらに一対の電極基板であるアレイ基板および対向基板間に挟持される液晶層の画素領域を複数のドメインに配向分割するマルチドメイン構造により視野角を広げることもできる。
【0005】
マルチドメイン構造を得る方式としては、アレイ基板上の画素電極および対向基板上の対向電極に配向分割用の絶縁構造物や電極スリットを設け、これらによって画素電極および対向電極から画素領域に印加される電界の傾きを制御することが一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。また、近年では、画素電極に対向させて対向基板側に配置することが一般的であったカラーフィルタ層をアレイ基板側に配置することによりアレイ基板と対向基板との位置合せを不要にするようなプロセスも実用化されている。しかし、上述した方式でマルチドメイン構造を得る場合には、アレイ基板側の絶縁構造物や電極スリットの配置と対向基板側の絶縁構造物や電極スリットの配置とを適切な関係に設定することが必要であるため、上記メリットを活かすことができないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特許第2565639号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような理由から、現在ではアレイ基板側からの制御だけで画素領域を配向分割することが考えられている。その一例としては、所定の間隔で隔てられる複数の画素電極の各々に起伏、すなわち凸凹を設ける方法がある。画素電極1の起伏は、例えば図14および図15に示すように絶縁性の樹脂レジストからなる線状突起2を覆ってITOのような光透過性の電極材料を堆積することにより得られる。ここで、負の誘電率異方性を示すネマチック液晶材料を液晶層の液晶組成物として用いて画素電極1および対向電極3に電圧を印加すると、液晶分子4は線状突起2付近において線状突起2に対して平行な方向TD1にディレクタを揃えて配向する。従って、2方向以上の異方性を持たせるように複数の線状突起2を配置したような構造体により画素領域を配向分割することができる。
【0008】
しかしながら、画素電極1の外縁付近では、液晶分子4が漏れ電界効果のためにこの外縁に対して直交する方向TD2に傾倒する。このため、画素電極1の外縁付近にある液晶分子4と画素電極1の外縁付近よりも内側にある液晶分子4が配向リバースを発生させる結果になる。この配向リバースは光透過率を低下させる要因であり、特に画素電極1の外縁が構造体に平行する部分付近で顕著に発生する。例えば図16はブリッジ接続された3個の副画素電極1Sからなる画素電極1において配向リバースを回避した例を示す。この例では、構造体5が画素電極1、すなわち全副画素電極1Sの下地としてこれらの外縁に対して直交するように配置されている。しかし、この配置は配向分割パターンを著しく制約し、用途に応じた画素設計を困難にしてしまう。
【0009】
本発明は上述のような問題に鑑みてなされたもので、液晶分子の配向リバースを軽減することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第1および第2電極基板と、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含み第1および第2電極基板間に挟持される液晶層とを備え、第1電極基板は液晶層の画素領域に電界を印加する画素電極、画素領域が配向分割されるように画素電極から印加される電界の傾きを制御する構造体、および画素電極の外縁を隆起させる下地として形成される傾き補正用突起を含む液晶表示装置が提供される。
【0011】
この液晶表示装置では、傾き補正用突起が画素電極の外縁を隆起させる下地として形成される。画素電極の外縁がこの突起により隆起すると、この外縁での漏れ電界効果を抑制するような電界の集中が生じる。これにより、液晶分子の配向方向が構造体付近だけでなく画素電極の外縁付近においてもこの構造体に依存して決定され易くなり、従来において画素電極の外縁付近の液晶分子とこの外縁付近よりも内側の液晶分子とによって発生していた配向リバースをなくすことができる。従って、畝状構造体を用いて第1電極基板側だけで配向分割を行うマルチドメイン構造のVANモードによって広い視野角を得た場合でも高い光透過率を確保することが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置はマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。
【0013】
図1はこの液晶表示パネルTMDの平面構造を部分的に示し、図2は図1に示す液晶表示パネルTMDの外観を示し、図3は図2に示す液晶表示パネルTMDの回路構造を概略的に示し、図4は図1に示すIV−IV線に沿って液晶表示パネルTMDの断面構造を示す。
【0014】
図2に示すように、液晶表示パネルTMDは第1電極基板となるアレイ基板ARと、第1電極基板に対向する第2電極基板となる対向基板CTと、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含みアレイ基板ARおよび対向基板CT間に挟持される液晶層LQとを備える。アレイ基板ARと対向基板CTとは液晶層LQを取り囲むように配置される外縁シール部材11により貼り合わされる。液晶表示パネルTMDでは、画像を表示するための表示領域DAが外縁シール部材11の内側に配置され、駆動回路を配置するための周辺領域EAがこの表示領域DAの周囲に配置される。液晶組成物はアレイ基板ARと対向基板CTとの貼合わせ後に液晶注入口12から注入され、この注入後に封止部材13により封止される。
【0015】
アレイ基板ARは、表示領域DAにおいて、図3に示すように、マトリクス状に配置されたm×n個の画素電極PE、これら画素電極PEの行に沿って配置されたm本の走査線Y(Y1〜Ym)、これら画素電極PEの列方向に沿って配置されたn本の信号線X(X1〜Xn)、m×n個の画素電極PEに対応して走査線Y1〜Ymおよび信号線X1〜Xnの交差位置近傍に配置されたm×n個の画素スイッチ15を有し、さらに画素電極PEの行に沿って配置されるm本の補助容量線16を有する。走査線Y1〜Ymは信号線X1〜Xnと略直交し、補助容量線16と略平行に配置される。各補助容量線16は対向電極駆動回路等から対向電位VCOMとして得られる所定電位に設定され、対応行の画素電極PEと容量結合してそれぞれ補助容量Csを構成する。
【0016】
また、アレイ基板ARは、周辺領域EAにおいて、走査線Y1〜Ymを駆動する走査線駆動回路YD、信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路XDを有する。各画素スイッチ15は例えばポリシリコン薄膜トランジスタからなり、対応走査線Yおよび対応信号線Xに接続され、この走査線Yからの駆動電圧により導通し、信号線Xからの信号電圧を対応画素電極PEに印加する。
【0017】
図1に示すように、画素電極PEは金属等の遮光性導電部材からなる信号線Xおよび走査線Yによって区画され、電気的に絶縁された状態でこれら信号線Xおよび走査線Yに僅かに重なる。画素電極PEはガラス基板などの光透過性絶縁基板GL2上に形成されるITO等の透明導電部材からなり、その平面的な広がりによって液晶層LQの画素領域に電界を印加する。また、この画素電極PEは、画素電極PEの下地となる構造体TLおよび傾き補正用突起CLに対応した起伏を有する。図1では、ハッチングが構造体TLの範囲を示し、クロスハッチングが傾き補正用突起CLの範囲を示す。構造体TLは液晶層LQの画素領域が複数のドメインに配向分割されるように画素電極PEから印加される電界を制御する。また、傾き補正用突起CLは画素電極PEの外縁を隆起させ、これにより構造体TLに依存して画素電極PEの外縁付近に得られた電界の傾きを補正する。
【0018】
図4に示すように、アレイ基板ARでは、それぞれの画素スイッチ15がガラス基板などの光透過性絶縁基板GL1上に形成され、カラーフィルタCFにより覆われる。カラーフィルタCFは、複数の画素電極PEの行および列方向に繰り返し並べられ各々複数の画素電極PEの1つに対向する赤カラーフィルタ層R、緑カラーフィルタ層G、青カラーフィルタ層Bにより構成される。また、複数の柱状スペーサ17がこれら画素電極PE相互間においてカラーフィルタCF上に形成される。カラーフィルタCF、画素電極PE、および柱状スペーサ17は配向膜18により全体的に覆われる。配向膜18は、電圧無印加状態において液晶層LQの液晶組成物に含まれる液晶分子20をアレイ基板ARに対して略垂直な方向に配向させる。
【0019】
画素スイッチ15は絶縁基板GL1上のポリシリコン半導体層21にゲート絶縁膜22を介して重なるゲート電極15G、半導体層21においてゲート電極15Gの下方に配置されるチャネル領域21C、不純物のドープにより半導体層21においてチャネル領域21Cの両側に配置されるドレイン領域21Dおよびソース領域21S、ドレイン領域21Dに接続されるドレイン電極15D、並びにソース領域21Sに接続されるソース電極15Sを有する。信号線X、走査線Y、および補助容量線16等の配線部、画素スイッチ15のゲート電極15G、ドレイン電極15D、およびソース電極15Sは、アルミニウムやモリブデンなどの遮光性導電部材を用いて形成される。具体的には、走査線Y、補助容量線16、およびゲート電極15Gは、ゲート絶縁膜22を覆う導電層をパターニングすることによりそれぞれ形成される。本実施形態において、ゲート電極15Gは走査線Yの一部となっている。
【0020】
信号線X、ドレイン電極15D、およびソース電極15Sは、走査線Y、補助容量線16、ゲート電極15G、およびゲート絶縁膜22を覆う層間絶縁膜23上に形成される導電層をパターニングすることによりそれぞれ形成される。ここで、ドレイン電極15Dはゲート絶縁膜22および層間絶縁膜23を貫通するコンタクトホール内でドレイン領域21Dにコンタクトして信号線Xと一体的に形成され、ソース電極15Sはゲート絶縁膜22および層間絶縁膜23を貫通するコンタクトホール内でソース領域21Sにコンタクトして形成される。ソース領域21Sはゲート絶縁膜22を介して補助容量線16と対向する。カラーフィルタCFは信号線X、ドレイン電極15D、およびソース電極15Sを覆って形成される。画素電極PEは、カラーフィルタCFを貫通するコンタクトホール24内で画素スイッチ15のソース電極15Sにコンタクトするように形成される。ソース領域21Sおよび画素電極PEは補助容量線16と容量結合して補助容量Csを構成する。このようなアレイ基板ARでは、偏光板PL1が液晶層LQとは反対側となる絶縁基板GL1の表面に貼り付けられる。
【0021】
他方、対向基板CTでは、対向電極CEがガラス基板などの光透過性絶縁基板GL2上に形成されるITO等の透明導電部材からなり、配向膜19がこの対向電極CEを覆って形成される。対向電極CEは、アレイ基板AR側に配置された複数の画素電極PE全体に対向するように配置される。配向膜19は、液晶層LQの液晶組成物に含まれる液晶分子20を対向基板CTに対して略垂直な方向に配向する。このような対向基板CTでは、偏光板PL2が液晶層LQとは反対側となる絶縁基板GL2の表面に貼り付けられる。
【0022】
ちなみに、液晶表示パネルTMDは、カラーフィルタCFが画素スイッチ15および画素電極PEのアレイと共にアレイ基板AR上に形成されるCOA(Color filter On Array)構造である。このCOA構造は、カラーフィルタCFを対向基板CT上に配置する場合に基板相互をずれなく貼り合わせるために必要とされる高精度な位置合わせを不要にでき、この結果として製造処理を容易にし材料コストを低減することが可能である。液晶表示パネルTMDが上述のように透過型である場合には、カラーフィルタCFの材料がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂などの透明樹脂であることが透過率、色合いの観点から好ましい。
【0023】
アレイ基板ARの製造工程では、最初に画素スイッチ15用のポリシリコン半導体層21が絶縁基板GL1上に形成され、TEOSを原料とした二酸化珪素からなるゲート絶縁膜22がポリシリコン半導体層21を覆って0.15μmの厚さに形成される。走査線Y、ゲート電極15G、および補助容量線16は例えばモリブデンタングステン合金の導電層を約0.3μmの厚さでこのゲート絶縁膜22上に形成し、これをフォトリソグラフィにより所定形状にパターニングすることにより得られる。続いて層間絶縁膜23が走査線Y、ゲート電極15G、および補助容量線16を覆って形成され、コンタクトホールがこの層間絶縁膜23に形成される。この層間絶縁膜23は0.3μmの厚さを持ち、この上に例えばアルミニウムからなる導電層のドレイン電極15D、信号線Y、およびソース電極15Sが形成される。ドレイン電極15Dおよびソース電極15Sはそれぞれ層間絶縁膜23に形成されたコンタクトホールを介してポリシリコン半導体層21のドレイン領域及びソース領域に接続される。
【0024】
続いて、赤色の顔料を分散させた感光性レジストがスピンナーで全面塗布され、90°Cの温度で10分間乾燥される。この後、紫外線が、赤カラーフィルタ層Rのための領域を露光するために照射される。ここでは、赤カラーフィルタ層Rをストライプ状とし、かつ赤カラーフィルタ層R内にTFT15と画素電極PEとをつなぐコンタクトホール24が形成されるようなフォトマスクを用いて露光を行う。紫外線の露光量は200mJ/cm2に設定される。次に、この感光性レジストは水酸化カリウムを1重量パーセント含む水溶液を用いて20秒間現像処理され、さらに200°Cの温度で、60分間焼成される。これにより、コンタクトホール24を有する赤カラーフィルタ層Rが形成される。緑カラーフィルタ層Gおよび青カラーフィルタ層Bについても、対応色の顔料を分散させた感光性レジストを用いた赤カラーフィルタ層Rと同様の処理を繰り返すことにより形成される。これにより、各々厚さ1.5μmの赤カラーフィルタ層R、緑カラーフィルタ層G、および青カラーフィルタ層BがカラーフィルタCFとして得られる。このカラーフィルタCFにおいて、コンタクトホール24は補助容量線16の上方領域で画素スイッチ15のソース電極15Sを露出するように配置される。
【0025】
続いて、感光性透明樹脂レジストがスピンナーで全面塗布され、90°Cの温度で10分間乾燥される。この後、構造体ELおよび傾き補正用突起CLのパターンを規定するフォトマスクを用いて紫外線の露光を行う。ここで、紫外線の露光量は200mJ/cm2に設定される。次に、この感光性透明樹脂レジストは水酸化カリウムを1重量パーセント含む水溶液を用いて20秒間現像処理され、さらに200°Cの温度で、60分間焼成される。これにより、図5に示すように一体化された構造体TLおよび傾き補正用突起CLからなる透明樹脂レジストパターンが得られる。
【0026】
その後、画素電極PEが、厚さ約0.1μmのITOをスパッタリングしてこれをフォトリソグラフィでパターニングすることにより形成される。従って、画素電極PEは下地となる透明樹脂レジストパターンに対応した凸凹構造を持つことになる。
【0027】
その後、感光性の黒色樹脂がスピンナーで塗布され、90°Cの温度で、10分間乾燥され、さらに紫外線が柱状スペーサ17のための領域および図2に示す外縁シール部材106の内側において表示領域DAを取り囲む額縁状の遮光領域(幅3mm)を露光させるフォトマスクを介して照射される。紫外線の露光量は300mJ/cm2に設定される。その後、黒色樹脂がpH=11.5のアルカリ性水溶液を用いた現像処理により選択的に除去され、200°Cの温度で、60分間焼成され、これにより柱状スペーサ17が遮光層(図示せず)と一緒に形成される。
【0028】
この後、配向膜18が画素電極PE、カラーフィルタCF、柱状スペーサ17を覆って70nmの厚さで塗布される。
【0029】
対向基板CTについては、対向電極CEが絶縁基板GL2上に形成され、配向膜19がこの対向電極CEを覆って70nmの厚さで塗布される。
【0030】
このようにして得られたアレイ基板ARおよび対向基板CTは、それぞれの端面を治具で合わせ、さらにエポキシ系熱硬化樹脂の接着剤をアレイ基板ARの外縁に沿って配置される外縁シール部材11として用いて貼合わされる。続いて、負の誘電率異方性を持つネマチック液晶材料が液晶層LQの液晶組成物として液晶注入口12からアレイ基板ARおよび対向基板CT間で外縁シール部材11で囲まれた空間に注入され、液晶注入口12がこの注入後に紫外線硬化樹脂からなる封止部材13により封止される。
【0031】
図5に示す透明樹脂レジストパターンは、液晶層LQの画素領域に電界を印加する画素電極PEを起伏させることによりこの電界の傾きを制御する。ここで、透明樹脂レジストパターンは、略90°ずつ異なる4方向に5μmの間隔で並び5μmの幅に形成される複数の線状突起からなる畝状構造体TLを含む。畝状構造体TLは画素電極PEから液晶層LQに印加される電界の傾きを制御することにより画素領域を図5において破線で示す4つのドメインD1D2,D3,D4に配向分割する。構造体TLの異方性は、液晶分子20の配向方向を画素領域において隣接するドメインD1,D2,D3,D4に間で互いに異ならせる結果となる。ドメインD1は画素電極PEの左上部分に対向して信号線Xに平行する3本の線状突起に対応して生成され、ドメインD2は画素電極PEの右上部分に対向して走査線Yに平行する9本の線状突起により生成され、ドメインD3は画素電極PEの右下部分に対向して信号線Xに平行する3本の線状突起により生成され、ドメインD4は画素電極PEの左下部分に対向して走査線Yに平行する9本の線状突起により生成される。画素電極PEからの電界が負の誘電異方性を示すネマチック液晶材料からなる液晶組成物に印加されると、液晶分子20はそれぞれのドメインD1,D2,D3,D4の各々において対応線状突起に平行な方向にダイレクタを揃えて配向する。
【0032】
透明樹脂レジストパターンは、さらに4本の線状突起からなる傾き補正用突起CLを含む。これら4本の線状突起は構造体TLに依存して画素電極PEの外縁付近に得られた電界の傾きを補正するために画素電極PEの外縁を隆起させる下地として形成される。これら4本の線状突起は、画素電極PEの外縁のうちで、ドメインD1を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第1辺の一部、ドメインD2を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第2辺の一部、ドメインD3を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第3辺の一部、およびドメインD4を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第4辺の一部にそれぞれ沿って配置され、少なくとも構造体TLの線状突起と同等の長さおよび幅に設定される。画素電極PEはその外縁を隆起させる下地となる傾き補正用突起CLに重ねて形成されるが、この画素電極PEの外縁は傾き補正用突起CLである4本の線状突起よりも外側にはみ出さないように設定されている。
【0033】
図6は図5に示す傾き補正用突起CLによって得られる液晶配向状態を画素電極PEの平面に対して示し、図7はこの液晶配向状態を図6に示すVII−VII線に沿った画素電極PEの断面に対して示す。傾き補正用突起CLは図6に示すように構造体TLに平行し、図7に示すように画素電極PEの外縁を隆起させる。画素電極PEの外縁が傾き補正用突起CLに少なくとも部分的に重なって隆起すると、この外縁での漏れ電界効果を抑制するような電界の集中が生じる。これにより、液晶分子20の配向方向が構造体TL付近だけでなく画素電極PEの外縁付近においてもこの構造体TLに依存して決定され易くなる。より正確には、液晶分子20の配向方向が画素電極PEの外縁付近で構造体TLの電界制御効果および傾き補正用突起CLに重ならずに隣接する画素電極PEの部分の漏れ電界効果により決定される。
【0034】
本実施形態では、画素電極PEの外縁が構造体TL上と同様に隆起したことに伴う電界の集中によりこの外縁での漏れ電界効果を相殺できるため、従来において画素電極PEの外縁付近の液晶分子20とこの外縁付近よりも内側の液晶分子20とによって発生していた配向リバースをなくすことができる。従って、構造体TLを用いてアレイ基板AR側だけで配向分割を行うマルチドメイン構造のVANモードによって広い視野角を得た場合でも高い光透過率を確保することが可能になる。また、傾き補正用突起CLと構造体TLとは同一材料からなり、透明樹脂レジストパターンとして一体的に形成される。この場合には、傾き補正用突起CLを形成する独立なプロセスが不要であり、製造コストを増大させることがない。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置は第1実施形態と同様にマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。この液晶表示パネルは、透明樹脂レジストパターンが図8に示すような構造を有すること除いて第1実施形態と同様に構成される。このため、第1実施形態と同様部分については、同一参照符号を用いて説明する。
【0036】
図8に示す透明樹脂レジストパターンでは、傾き補正用突起CLが第1実施形態で用いられた5μmもよりも広い10μmの幅で図8に示すように構造体TLの線状突起に平行に形成される。ここで、透明樹脂レジストのパターニングに用いられるフォトマスクは変更されるが、それ以外のプロセスおよび材料は変更されない。上述のようなサイズ変更により、傾き補正用突起CLは図9に示すように画素電極PEの外縁よりもさらに5μmだけ外側にはみ出すことになる。すなわち、画素電極PEが画素電極PEの下地となる補正用突起CL全体に重ならなくとも、画素電極PEの外縁はこの補正用突起CLによって隆起することになる。従って、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置は第1実施形態と同様にマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。この液晶表示パネルは、透明樹脂レジストパターンが図10に示すように区分されることを除いて第1実施形態と同様に構成される。このため、第1実施形態と同様部分については、同一参照符号を用いて説明する。
【0038】
一般に画素電極PEが全体として長方形である場合、液晶配向が略90°ずつ異なる4方向に設定された4つのドメインに画素領域を配向しても、これらドメイン間に良好な対称性を得ることが難しい。しかし、例えば図11に示すように画素電極PEを長手方向、すなわち信号線Xに沿った方向において3個の副画素電極SPに区分し、これらをブリッジ配線BRにより電気的に接続する場合には、図10に示すような透明樹脂レジストパターンを用いることができる。この透明樹脂レジストパターンは、いずれも略正方形となるように等分されてそれぞれ3個の副画素電極SPに対向するよう第1〜第3パターン部からなる。各パターン部では、構造体TLの異方性が1個の副画素電極SPに対応する画素領域の部分を180°異なる2つのドメインに配向分割するように決定される。ここで、透明樹脂レジストのパターニングに用いられるフォトマスクは変更されるが、それ以外のプロセスおよび材料は変更されない。
【0039】
第1パターン部では、構造体TLが信号線Xに平行なドメイン境界となる第1線状突起、この第1線状突起の一方側において走査線Yに平行する6本の第2線状突起、およびこの第1線状突起の他方側において走査線Yに平行する6本の第3線状突起からなる。第2線状突起および第3線状突起は同一の長さ、幅、および間隔で信号線X方向に並ぶ。さらに傾き補正用突起CLは信号線X方向において一方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行する線状突起および信号線X方向において他方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行して配置される線状突起からなる。傾き補正用突起CLの線状突起はいずれもこれら最外郭の第2および第3線状突起にこれらと同じ幅および間隔で隣接して配置される。構造体TLおよび傾き補正用突起CLはこの第1パターン部において一体的に形成されている。
【0040】
第2パターン部では、構造体TLが走査線Yに平行なドメイン境界となる第1線状突起、この第1線状突起の一方側において信号線Xに平行する6本の第2線状突起、およびこの第1線状突起の他方側において信号線Xに平行する6本の第3線状突起からなる。第2線状突起および第3線状突起は同一の長さ、幅、および間隔で走査線Y方向に並ぶ。さらに傾き補正用突起CLは走査線Y方向において一方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行する線状突起および走査線Y方向において他方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行する線状突起からなる。傾き補正用突起CLの線状突起はいずれもこれら最外郭の第2および第3線状突起にこれらと同じ幅および間隔で隣接して配置される。畝状構造体TLおよび傾き補正用突起CLはこの第2パターン部において一体的に形成されている。
【0041】
第3パターン部は上述の第1パターン部と同様に構成されている。
【0042】
本実施形態では、画素電極PEが全体として長方形であっても、これを副画素電極SPに区分して各副画素電極SPの外縁での漏れ電界効果をこの副画素電極SPの下地となる傾き補正用突起CLにより選択的に副画素電極SPの外縁を隆起させて液晶配向を設定できる。これにより、第1実施形態と同様に配向リバースをなくすことができる。また、各副画素電極SP当たりのドメイン数を2分割に減らした結果として、ドメイン境界に発生するシュリーレンテクスチャの影響が低減し、第1実施形態よりも透過率を向上させることができる。さらに、画素電極PEを3個の副画素電極SPに分割した結果としてドメイン面積が低減されることから液晶の応答性を向上させることもできる。視野角特性については、画素電極PE全体で4方向の配向分割となるため、第1実施形態と同等の特性を得ることができる。傾き補正用突起CLは、上述したようにドメインの分割数や分割方向を決定することを可能にするため、用途に応じた画素設計の自由度が格段に向上する。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置は第1実施形態と同様にマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。この液晶表示パネルは、図12および図13に示すように傾き補正用突起CLが構造体TLから独立した構造であることを除いて第1実施形態と同様に構成される。このため、第1実施形態と同様部分については、同一参照符号を用いて説明する。
【0044】
図12はこの液晶表示パネルTMDの平面構造を部分的に示し、図13は図12に示すXIII−XIII線に沿った液晶表示パネルTMDの断面構造を示す。この液晶表示パネルTMDでは、傾き補正用突起CLがアレイ基板AR上に形成されたカラーフィルタ層R,G,Bの重なりを含み、構造体TLが透明樹脂レジストで画素電極PE上に形成される。例えば図13に示す断面では、傾き補正用突起CLがカラーフィルタ層R,Gの重なりからなる線状突起およびカラーフィルタ層G,Bの重なりからなる線状突起を含む。これら線状突起は画素領域の境界に沿うように信号線X上に配置されている。ここで、カラーフィルタ層R,G,B用の感光性樹脂レジストおよび構造体TL用の感光性樹脂レジストのパターニングで用いられるフォトマスクはそれぞれ変更されるが、それ以外のプロセスおよび材料は変更されない。
【0045】
本実施形態では、傾き補正用突起CLがカラーフィルタ層R,G,B用に着色された樹脂レジストを材料としている。このため、この傾き補正用突起CLでの透過率は透明樹脂レジストを材料とする構造体TLでの透過率より若干低下するが、第1実施形態と同様に配向リバースをなくすことができる。また、この場合にも、傾き補正用突起CLを形成する独立なプロセスが不要であるため、製造コストを増大させることがない。
【0046】
ここで、図1に示す補正用突起CLが省略される構造で製造した液晶表示パネルを比較例とし、この比較例および第1〜第4実施形態の液晶表示パネルTMDの光透過率、配向分割均一性、および応答時間について測定した結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲でさらに様々に変形可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、液晶分子の配向リバースを軽減することができる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示パネルの平面構造を部分的に示す図である。
【図2】図1に示す液晶表示パネルの外観を示す図である。
【図3】図2に示す液晶表示パネルの回路構造を概略的に示す図である。
【図4】図1に示すIV−IV線に沿って液晶表示パネルの断面構造を示す図である。
【図5】図4に示す画素電極の下地となる透明樹脂パターンを示す図である。
【図6】図5に示す傾き補正用突起によって得られる液晶配向状態を画素電極の平面に対して示す図である。
【図7】この液晶配向状態を図6に示すVII−VII線に沿った画素電極の断面に対して示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液晶表示パネルに適用される透明樹脂レジストパターンを示す図である。
【図9】図8に示す透明樹脂レジストパターンが画素電極から外側にはみ出した状態を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る液晶表示パネルに適用される透明樹脂レジストパターンを示す図である。
【図11】図10に示す透明樹脂レジストパターンに重ねられる3個の副画素電極に区分された画素電極を示す図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る液晶表示パネルの平面構造を部分的に示す図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線に沿った液晶表示パネルの断面構造を示す図である。
【図14】従来の液晶表示装置において得られる液晶配向状態を画素電極の平面に対して示す図である。
【図15】液晶配向状態を図14に示すXV−XV線に沿った画素電極の断面に対して示す図である。
【図16】ブリッジ接続された3個の副画素電極からなる画素電極において配向リバースを回避した例を示す図である。
【符号の説明】
15…画素スイッチ、20…液晶分子、TMD…液晶表示パネル、AR…アレイ基板、CT…対向基板、LQ…液晶層、PE…画素電極、CE…対向電極、CL…傾き補正用突起、TL…畝状構造体、CF…カラーフィルタ、R,G,B…カラーフィルタ層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶層が一対の電極基板間に挟持される構造の液晶表示装置に関し、特にこの液晶層の画素領域が複数のドメインに配向分割される液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力という特性からOA機器、情報端末、時計、テレビのような様々な分野で応用されている。特にアクティブマトリクス型液晶表示パネルは、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor)を用いて画素のスイッチングを行うことにより優れた応答性を得ることができるため、多くの画像情報を表示しなくてはならない携帯テレビあるいはコンピュータの表示モニタとして利用されている。
【0003】
近年では、液晶表示装置の精細度および表示速度の向上が情報量の増大に伴って要求され始めている。精細度の向上はTFTアレイ構造を微細化して画素数を増大することにより行われる。この場合、画素数の増大に伴って液晶分子の配列をより短い時間内に遷移させるために、現在の2倍から数十倍という液晶分子の応答速度を得られるような液晶表示モードが必要となる。この液晶表示モードとしては、例えばネマチック液晶を用いたOCB(Optically Compensated Birefringence)モード、VAN(Vertically Aligned Nematic)モード、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モード、およびπ配列モード、並びにスメクチック液晶を用いた界面安定型強誘電性液晶(SSFLC: Surface−Stabilized Ferroelectric Liquid Crystal)モードおよび反強誘電性液晶(AFLC: Anti−Ferroelectric Liquid Crystal)モードが検討されている。
【0004】
特にVANモードは、従来のツイストネマチック(TN)モードよりも速い応答速度が得られることや、静電気破壊のような不良発生の原因となる従来のラビング工程を垂直配向処理の採用により不要にできることから近年注目されている。また、VANモードは視野角の補償設計を容易にすることができ、さらに一対の電極基板であるアレイ基板および対向基板間に挟持される液晶層の画素領域を複数のドメインに配向分割するマルチドメイン構造により視野角を広げることもできる。
【0005】
マルチドメイン構造を得る方式としては、アレイ基板上の画素電極および対向基板上の対向電極に配向分割用の絶縁構造物や電極スリットを設け、これらによって画素電極および対向電極から画素領域に印加される電界の傾きを制御することが一般的に行われている(例えば特許文献1参照)。また、近年では、画素電極に対向させて対向基板側に配置することが一般的であったカラーフィルタ層をアレイ基板側に配置することによりアレイ基板と対向基板との位置合せを不要にするようなプロセスも実用化されている。しかし、上述した方式でマルチドメイン構造を得る場合には、アレイ基板側の絶縁構造物や電極スリットの配置と対向基板側の絶縁構造物や電極スリットの配置とを適切な関係に設定することが必要であるため、上記メリットを活かすことができないという問題がある。
【0006】
【特許文献1】
特許第2565639号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような理由から、現在ではアレイ基板側からの制御だけで画素領域を配向分割することが考えられている。その一例としては、所定の間隔で隔てられる複数の画素電極の各々に起伏、すなわち凸凹を設ける方法がある。画素電極1の起伏は、例えば図14および図15に示すように絶縁性の樹脂レジストからなる線状突起2を覆ってITOのような光透過性の電極材料を堆積することにより得られる。ここで、負の誘電率異方性を示すネマチック液晶材料を液晶層の液晶組成物として用いて画素電極1および対向電極3に電圧を印加すると、液晶分子4は線状突起2付近において線状突起2に対して平行な方向TD1にディレクタを揃えて配向する。従って、2方向以上の異方性を持たせるように複数の線状突起2を配置したような構造体により画素領域を配向分割することができる。
【0008】
しかしながら、画素電極1の外縁付近では、液晶分子4が漏れ電界効果のためにこの外縁に対して直交する方向TD2に傾倒する。このため、画素電極1の外縁付近にある液晶分子4と画素電極1の外縁付近よりも内側にある液晶分子4が配向リバースを発生させる結果になる。この配向リバースは光透過率を低下させる要因であり、特に画素電極1の外縁が構造体に平行する部分付近で顕著に発生する。例えば図16はブリッジ接続された3個の副画素電極1Sからなる画素電極1において配向リバースを回避した例を示す。この例では、構造体5が画素電極1、すなわち全副画素電極1Sの下地としてこれらの外縁に対して直交するように配置されている。しかし、この配置は配向分割パターンを著しく制約し、用途に応じた画素設計を困難にしてしまう。
【0009】
本発明は上述のような問題に鑑みてなされたもので、液晶分子の配向リバースを軽減することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第1および第2電極基板と、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含み第1および第2電極基板間に挟持される液晶層とを備え、第1電極基板は液晶層の画素領域に電界を印加する画素電極、画素領域が配向分割されるように画素電極から印加される電界の傾きを制御する構造体、および画素電極の外縁を隆起させる下地として形成される傾き補正用突起を含む液晶表示装置が提供される。
【0011】
この液晶表示装置では、傾き補正用突起が画素電極の外縁を隆起させる下地として形成される。画素電極の外縁がこの突起により隆起すると、この外縁での漏れ電界効果を抑制するような電界の集中が生じる。これにより、液晶分子の配向方向が構造体付近だけでなく画素電極の外縁付近においてもこの構造体に依存して決定され易くなり、従来において画素電極の外縁付近の液晶分子とこの外縁付近よりも内側の液晶分子とによって発生していた配向リバースをなくすことができる。従って、畝状構造体を用いて第1電極基板側だけで配向分割を行うマルチドメイン構造のVANモードによって広い視野角を得た場合でも高い光透過率を確保することが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置はマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。
【0013】
図1はこの液晶表示パネルTMDの平面構造を部分的に示し、図2は図1に示す液晶表示パネルTMDの外観を示し、図3は図2に示す液晶表示パネルTMDの回路構造を概略的に示し、図4は図1に示すIV−IV線に沿って液晶表示パネルTMDの断面構造を示す。
【0014】
図2に示すように、液晶表示パネルTMDは第1電極基板となるアレイ基板ARと、第1電極基板に対向する第2電極基板となる対向基板CTと、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含みアレイ基板ARおよび対向基板CT間に挟持される液晶層LQとを備える。アレイ基板ARと対向基板CTとは液晶層LQを取り囲むように配置される外縁シール部材11により貼り合わされる。液晶表示パネルTMDでは、画像を表示するための表示領域DAが外縁シール部材11の内側に配置され、駆動回路を配置するための周辺領域EAがこの表示領域DAの周囲に配置される。液晶組成物はアレイ基板ARと対向基板CTとの貼合わせ後に液晶注入口12から注入され、この注入後に封止部材13により封止される。
【0015】
アレイ基板ARは、表示領域DAにおいて、図3に示すように、マトリクス状に配置されたm×n個の画素電極PE、これら画素電極PEの行に沿って配置されたm本の走査線Y(Y1〜Ym)、これら画素電極PEの列方向に沿って配置されたn本の信号線X(X1〜Xn)、m×n個の画素電極PEに対応して走査線Y1〜Ymおよび信号線X1〜Xnの交差位置近傍に配置されたm×n個の画素スイッチ15を有し、さらに画素電極PEの行に沿って配置されるm本の補助容量線16を有する。走査線Y1〜Ymは信号線X1〜Xnと略直交し、補助容量線16と略平行に配置される。各補助容量線16は対向電極駆動回路等から対向電位VCOMとして得られる所定電位に設定され、対応行の画素電極PEと容量結合してそれぞれ補助容量Csを構成する。
【0016】
また、アレイ基板ARは、周辺領域EAにおいて、走査線Y1〜Ymを駆動する走査線駆動回路YD、信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路XDを有する。各画素スイッチ15は例えばポリシリコン薄膜トランジスタからなり、対応走査線Yおよび対応信号線Xに接続され、この走査線Yからの駆動電圧により導通し、信号線Xからの信号電圧を対応画素電極PEに印加する。
【0017】
図1に示すように、画素電極PEは金属等の遮光性導電部材からなる信号線Xおよび走査線Yによって区画され、電気的に絶縁された状態でこれら信号線Xおよび走査線Yに僅かに重なる。画素電極PEはガラス基板などの光透過性絶縁基板GL2上に形成されるITO等の透明導電部材からなり、その平面的な広がりによって液晶層LQの画素領域に電界を印加する。また、この画素電極PEは、画素電極PEの下地となる構造体TLおよび傾き補正用突起CLに対応した起伏を有する。図1では、ハッチングが構造体TLの範囲を示し、クロスハッチングが傾き補正用突起CLの範囲を示す。構造体TLは液晶層LQの画素領域が複数のドメインに配向分割されるように画素電極PEから印加される電界を制御する。また、傾き補正用突起CLは画素電極PEの外縁を隆起させ、これにより構造体TLに依存して画素電極PEの外縁付近に得られた電界の傾きを補正する。
【0018】
図4に示すように、アレイ基板ARでは、それぞれの画素スイッチ15がガラス基板などの光透過性絶縁基板GL1上に形成され、カラーフィルタCFにより覆われる。カラーフィルタCFは、複数の画素電極PEの行および列方向に繰り返し並べられ各々複数の画素電極PEの1つに対向する赤カラーフィルタ層R、緑カラーフィルタ層G、青カラーフィルタ層Bにより構成される。また、複数の柱状スペーサ17がこれら画素電極PE相互間においてカラーフィルタCF上に形成される。カラーフィルタCF、画素電極PE、および柱状スペーサ17は配向膜18により全体的に覆われる。配向膜18は、電圧無印加状態において液晶層LQの液晶組成物に含まれる液晶分子20をアレイ基板ARに対して略垂直な方向に配向させる。
【0019】
画素スイッチ15は絶縁基板GL1上のポリシリコン半導体層21にゲート絶縁膜22を介して重なるゲート電極15G、半導体層21においてゲート電極15Gの下方に配置されるチャネル領域21C、不純物のドープにより半導体層21においてチャネル領域21Cの両側に配置されるドレイン領域21Dおよびソース領域21S、ドレイン領域21Dに接続されるドレイン電極15D、並びにソース領域21Sに接続されるソース電極15Sを有する。信号線X、走査線Y、および補助容量線16等の配線部、画素スイッチ15のゲート電極15G、ドレイン電極15D、およびソース電極15Sは、アルミニウムやモリブデンなどの遮光性導電部材を用いて形成される。具体的には、走査線Y、補助容量線16、およびゲート電極15Gは、ゲート絶縁膜22を覆う導電層をパターニングすることによりそれぞれ形成される。本実施形態において、ゲート電極15Gは走査線Yの一部となっている。
【0020】
信号線X、ドレイン電極15D、およびソース電極15Sは、走査線Y、補助容量線16、ゲート電極15G、およびゲート絶縁膜22を覆う層間絶縁膜23上に形成される導電層をパターニングすることによりそれぞれ形成される。ここで、ドレイン電極15Dはゲート絶縁膜22および層間絶縁膜23を貫通するコンタクトホール内でドレイン領域21Dにコンタクトして信号線Xと一体的に形成され、ソース電極15Sはゲート絶縁膜22および層間絶縁膜23を貫通するコンタクトホール内でソース領域21Sにコンタクトして形成される。ソース領域21Sはゲート絶縁膜22を介して補助容量線16と対向する。カラーフィルタCFは信号線X、ドレイン電極15D、およびソース電極15Sを覆って形成される。画素電極PEは、カラーフィルタCFを貫通するコンタクトホール24内で画素スイッチ15のソース電極15Sにコンタクトするように形成される。ソース領域21Sおよび画素電極PEは補助容量線16と容量結合して補助容量Csを構成する。このようなアレイ基板ARでは、偏光板PL1が液晶層LQとは反対側となる絶縁基板GL1の表面に貼り付けられる。
【0021】
他方、対向基板CTでは、対向電極CEがガラス基板などの光透過性絶縁基板GL2上に形成されるITO等の透明導電部材からなり、配向膜19がこの対向電極CEを覆って形成される。対向電極CEは、アレイ基板AR側に配置された複数の画素電極PE全体に対向するように配置される。配向膜19は、液晶層LQの液晶組成物に含まれる液晶分子20を対向基板CTに対して略垂直な方向に配向する。このような対向基板CTでは、偏光板PL2が液晶層LQとは反対側となる絶縁基板GL2の表面に貼り付けられる。
【0022】
ちなみに、液晶表示パネルTMDは、カラーフィルタCFが画素スイッチ15および画素電極PEのアレイと共にアレイ基板AR上に形成されるCOA(Color filter On Array)構造である。このCOA構造は、カラーフィルタCFを対向基板CT上に配置する場合に基板相互をずれなく貼り合わせるために必要とされる高精度な位置合わせを不要にでき、この結果として製造処理を容易にし材料コストを低減することが可能である。液晶表示パネルTMDが上述のように透過型である場合には、カラーフィルタCFの材料がアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ノボラック系樹脂などの透明樹脂であることが透過率、色合いの観点から好ましい。
【0023】
アレイ基板ARの製造工程では、最初に画素スイッチ15用のポリシリコン半導体層21が絶縁基板GL1上に形成され、TEOSを原料とした二酸化珪素からなるゲート絶縁膜22がポリシリコン半導体層21を覆って0.15μmの厚さに形成される。走査線Y、ゲート電極15G、および補助容量線16は例えばモリブデンタングステン合金の導電層を約0.3μmの厚さでこのゲート絶縁膜22上に形成し、これをフォトリソグラフィにより所定形状にパターニングすることにより得られる。続いて層間絶縁膜23が走査線Y、ゲート電極15G、および補助容量線16を覆って形成され、コンタクトホールがこの層間絶縁膜23に形成される。この層間絶縁膜23は0.3μmの厚さを持ち、この上に例えばアルミニウムからなる導電層のドレイン電極15D、信号線Y、およびソース電極15Sが形成される。ドレイン電極15Dおよびソース電極15Sはそれぞれ層間絶縁膜23に形成されたコンタクトホールを介してポリシリコン半導体層21のドレイン領域及びソース領域に接続される。
【0024】
続いて、赤色の顔料を分散させた感光性レジストがスピンナーで全面塗布され、90°Cの温度で10分間乾燥される。この後、紫外線が、赤カラーフィルタ層Rのための領域を露光するために照射される。ここでは、赤カラーフィルタ層Rをストライプ状とし、かつ赤カラーフィルタ層R内にTFT15と画素電極PEとをつなぐコンタクトホール24が形成されるようなフォトマスクを用いて露光を行う。紫外線の露光量は200mJ/cm2に設定される。次に、この感光性レジストは水酸化カリウムを1重量パーセント含む水溶液を用いて20秒間現像処理され、さらに200°Cの温度で、60分間焼成される。これにより、コンタクトホール24を有する赤カラーフィルタ層Rが形成される。緑カラーフィルタ層Gおよび青カラーフィルタ層Bについても、対応色の顔料を分散させた感光性レジストを用いた赤カラーフィルタ層Rと同様の処理を繰り返すことにより形成される。これにより、各々厚さ1.5μmの赤カラーフィルタ層R、緑カラーフィルタ層G、および青カラーフィルタ層BがカラーフィルタCFとして得られる。このカラーフィルタCFにおいて、コンタクトホール24は補助容量線16の上方領域で画素スイッチ15のソース電極15Sを露出するように配置される。
【0025】
続いて、感光性透明樹脂レジストがスピンナーで全面塗布され、90°Cの温度で10分間乾燥される。この後、構造体ELおよび傾き補正用突起CLのパターンを規定するフォトマスクを用いて紫外線の露光を行う。ここで、紫外線の露光量は200mJ/cm2に設定される。次に、この感光性透明樹脂レジストは水酸化カリウムを1重量パーセント含む水溶液を用いて20秒間現像処理され、さらに200°Cの温度で、60分間焼成される。これにより、図5に示すように一体化された構造体TLおよび傾き補正用突起CLからなる透明樹脂レジストパターンが得られる。
【0026】
その後、画素電極PEが、厚さ約0.1μmのITOをスパッタリングしてこれをフォトリソグラフィでパターニングすることにより形成される。従って、画素電極PEは下地となる透明樹脂レジストパターンに対応した凸凹構造を持つことになる。
【0027】
その後、感光性の黒色樹脂がスピンナーで塗布され、90°Cの温度で、10分間乾燥され、さらに紫外線が柱状スペーサ17のための領域および図2に示す外縁シール部材106の内側において表示領域DAを取り囲む額縁状の遮光領域(幅3mm)を露光させるフォトマスクを介して照射される。紫外線の露光量は300mJ/cm2に設定される。その後、黒色樹脂がpH=11.5のアルカリ性水溶液を用いた現像処理により選択的に除去され、200°Cの温度で、60分間焼成され、これにより柱状スペーサ17が遮光層(図示せず)と一緒に形成される。
【0028】
この後、配向膜18が画素電極PE、カラーフィルタCF、柱状スペーサ17を覆って70nmの厚さで塗布される。
【0029】
対向基板CTについては、対向電極CEが絶縁基板GL2上に形成され、配向膜19がこの対向電極CEを覆って70nmの厚さで塗布される。
【0030】
このようにして得られたアレイ基板ARおよび対向基板CTは、それぞれの端面を治具で合わせ、さらにエポキシ系熱硬化樹脂の接着剤をアレイ基板ARの外縁に沿って配置される外縁シール部材11として用いて貼合わされる。続いて、負の誘電率異方性を持つネマチック液晶材料が液晶層LQの液晶組成物として液晶注入口12からアレイ基板ARおよび対向基板CT間で外縁シール部材11で囲まれた空間に注入され、液晶注入口12がこの注入後に紫外線硬化樹脂からなる封止部材13により封止される。
【0031】
図5に示す透明樹脂レジストパターンは、液晶層LQの画素領域に電界を印加する画素電極PEを起伏させることによりこの電界の傾きを制御する。ここで、透明樹脂レジストパターンは、略90°ずつ異なる4方向に5μmの間隔で並び5μmの幅に形成される複数の線状突起からなる畝状構造体TLを含む。畝状構造体TLは画素電極PEから液晶層LQに印加される電界の傾きを制御することにより画素領域を図5において破線で示す4つのドメインD1D2,D3,D4に配向分割する。構造体TLの異方性は、液晶分子20の配向方向を画素領域において隣接するドメインD1,D2,D3,D4に間で互いに異ならせる結果となる。ドメインD1は画素電極PEの左上部分に対向して信号線Xに平行する3本の線状突起に対応して生成され、ドメインD2は画素電極PEの右上部分に対向して走査線Yに平行する9本の線状突起により生成され、ドメインD3は画素電極PEの右下部分に対向して信号線Xに平行する3本の線状突起により生成され、ドメインD4は画素電極PEの左下部分に対向して走査線Yに平行する9本の線状突起により生成される。画素電極PEからの電界が負の誘電異方性を示すネマチック液晶材料からなる液晶組成物に印加されると、液晶分子20はそれぞれのドメインD1,D2,D3,D4の各々において対応線状突起に平行な方向にダイレクタを揃えて配向する。
【0032】
透明樹脂レジストパターンは、さらに4本の線状突起からなる傾き補正用突起CLを含む。これら4本の線状突起は構造体TLに依存して画素電極PEの外縁付近に得られた電界の傾きを補正するために画素電極PEの外縁を隆起させる下地として形成される。これら4本の線状突起は、画素電極PEの外縁のうちで、ドメインD1を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第1辺の一部、ドメインD2を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第2辺の一部、ドメインD3を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第3辺の一部、およびドメインD4を生成する構造体TLの線状突起に略平行な第4辺の一部にそれぞれ沿って配置され、少なくとも構造体TLの線状突起と同等の長さおよび幅に設定される。画素電極PEはその外縁を隆起させる下地となる傾き補正用突起CLに重ねて形成されるが、この画素電極PEの外縁は傾き補正用突起CLである4本の線状突起よりも外側にはみ出さないように設定されている。
【0033】
図6は図5に示す傾き補正用突起CLによって得られる液晶配向状態を画素電極PEの平面に対して示し、図7はこの液晶配向状態を図6に示すVII−VII線に沿った画素電極PEの断面に対して示す。傾き補正用突起CLは図6に示すように構造体TLに平行し、図7に示すように画素電極PEの外縁を隆起させる。画素電極PEの外縁が傾き補正用突起CLに少なくとも部分的に重なって隆起すると、この外縁での漏れ電界効果を抑制するような電界の集中が生じる。これにより、液晶分子20の配向方向が構造体TL付近だけでなく画素電極PEの外縁付近においてもこの構造体TLに依存して決定され易くなる。より正確には、液晶分子20の配向方向が画素電極PEの外縁付近で構造体TLの電界制御効果および傾き補正用突起CLに重ならずに隣接する画素電極PEの部分の漏れ電界効果により決定される。
【0034】
本実施形態では、画素電極PEの外縁が構造体TL上と同様に隆起したことに伴う電界の集中によりこの外縁での漏れ電界効果を相殺できるため、従来において画素電極PEの外縁付近の液晶分子20とこの外縁付近よりも内側の液晶分子20とによって発生していた配向リバースをなくすことができる。従って、構造体TLを用いてアレイ基板AR側だけで配向分割を行うマルチドメイン構造のVANモードによって広い視野角を得た場合でも高い光透過率を確保することが可能になる。また、傾き補正用突起CLと構造体TLとは同一材料からなり、透明樹脂レジストパターンとして一体的に形成される。この場合には、傾き補正用突起CLを形成する独立なプロセスが不要であり、製造コストを増大させることがない。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置は第1実施形態と同様にマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。この液晶表示パネルは、透明樹脂レジストパターンが図8に示すような構造を有すること除いて第1実施形態と同様に構成される。このため、第1実施形態と同様部分については、同一参照符号を用いて説明する。
【0036】
図8に示す透明樹脂レジストパターンでは、傾き補正用突起CLが第1実施形態で用いられた5μmもよりも広い10μmの幅で図8に示すように構造体TLの線状突起に平行に形成される。ここで、透明樹脂レジストのパターニングに用いられるフォトマスクは変更されるが、それ以外のプロセスおよび材料は変更されない。上述のようなサイズ変更により、傾き補正用突起CLは図9に示すように画素電極PEの外縁よりもさらに5μmだけ外側にはみ出すことになる。すなわち、画素電極PEが画素電極PEの下地となる補正用突起CL全体に重ならなくとも、画素電極PEの外縁はこの補正用突起CLによって隆起することになる。従って、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置は第1実施形態と同様にマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。この液晶表示パネルは、透明樹脂レジストパターンが図10に示すように区分されることを除いて第1実施形態と同様に構成される。このため、第1実施形態と同様部分については、同一参照符号を用いて説明する。
【0038】
一般に画素電極PEが全体として長方形である場合、液晶配向が略90°ずつ異なる4方向に設定された4つのドメインに画素領域を配向しても、これらドメイン間に良好な対称性を得ることが難しい。しかし、例えば図11に示すように画素電極PEを長手方向、すなわち信号線Xに沿った方向において3個の副画素電極SPに区分し、これらをブリッジ配線BRにより電気的に接続する場合には、図10に示すような透明樹脂レジストパターンを用いることができる。この透明樹脂レジストパターンは、いずれも略正方形となるように等分されてそれぞれ3個の副画素電極SPに対向するよう第1〜第3パターン部からなる。各パターン部では、構造体TLの異方性が1個の副画素電極SPに対応する画素領域の部分を180°異なる2つのドメインに配向分割するように決定される。ここで、透明樹脂レジストのパターニングに用いられるフォトマスクは変更されるが、それ以外のプロセスおよび材料は変更されない。
【0039】
第1パターン部では、構造体TLが信号線Xに平行なドメイン境界となる第1線状突起、この第1線状突起の一方側において走査線Yに平行する6本の第2線状突起、およびこの第1線状突起の他方側において走査線Yに平行する6本の第3線状突起からなる。第2線状突起および第3線状突起は同一の長さ、幅、および間隔で信号線X方向に並ぶ。さらに傾き補正用突起CLは信号線X方向において一方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行する線状突起および信号線X方向において他方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行して配置される線状突起からなる。傾き補正用突起CLの線状突起はいずれもこれら最外郭の第2および第3線状突起にこれらと同じ幅および間隔で隣接して配置される。構造体TLおよび傾き補正用突起CLはこの第1パターン部において一体的に形成されている。
【0040】
第2パターン部では、構造体TLが走査線Yに平行なドメイン境界となる第1線状突起、この第1線状突起の一方側において信号線Xに平行する6本の第2線状突起、およびこの第1線状突起の他方側において信号線Xに平行する6本の第3線状突起からなる。第2線状突起および第3線状突起は同一の長さ、幅、および間隔で走査線Y方向に並ぶ。さらに傾き補正用突起CLは走査線Y方向において一方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行する線状突起および走査線Y方向において他方の最外郭に位置した第2および第3線状突起に平行する線状突起からなる。傾き補正用突起CLの線状突起はいずれもこれら最外郭の第2および第3線状突起にこれらと同じ幅および間隔で隣接して配置される。畝状構造体TLおよび傾き補正用突起CLはこの第2パターン部において一体的に形成されている。
【0041】
第3パターン部は上述の第1パターン部と同様に構成されている。
【0042】
本実施形態では、画素電極PEが全体として長方形であっても、これを副画素電極SPに区分して各副画素電極SPの外縁での漏れ電界効果をこの副画素電極SPの下地となる傾き補正用突起CLにより選択的に副画素電極SPの外縁を隆起させて液晶配向を設定できる。これにより、第1実施形態と同様に配向リバースをなくすことができる。また、各副画素電極SP当たりのドメイン数を2分割に減らした結果として、ドメイン境界に発生するシュリーレンテクスチャの影響が低減し、第1実施形態よりも透過率を向上させることができる。さらに、画素電極PEを3個の副画素電極SPに分割した結果としてドメイン面積が低減されることから液晶の応答性を向上させることもできる。視野角特性については、画素電極PE全体で4方向の配向分割となるため、第1実施形態と同等の特性を得ることができる。傾き補正用突起CLは、上述したようにドメインの分割数や分割方向を決定することを可能にするため、用途に応じた画素設計の自由度が格段に向上する。
【0043】
次に、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。この液晶表示装置は第1実施形態と同様にマルチドメイン構造のVANモードで表示を行う透過型液晶表示パネルである。この液晶表示パネルは、図12および図13に示すように傾き補正用突起CLが構造体TLから独立した構造であることを除いて第1実施形態と同様に構成される。このため、第1実施形態と同様部分については、同一参照符号を用いて説明する。
【0044】
図12はこの液晶表示パネルTMDの平面構造を部分的に示し、図13は図12に示すXIII−XIII線に沿った液晶表示パネルTMDの断面構造を示す。この液晶表示パネルTMDでは、傾き補正用突起CLがアレイ基板AR上に形成されたカラーフィルタ層R,G,Bの重なりを含み、構造体TLが透明樹脂レジストで画素電極PE上に形成される。例えば図13に示す断面では、傾き補正用突起CLがカラーフィルタ層R,Gの重なりからなる線状突起およびカラーフィルタ層G,Bの重なりからなる線状突起を含む。これら線状突起は画素領域の境界に沿うように信号線X上に配置されている。ここで、カラーフィルタ層R,G,B用の感光性樹脂レジストおよび構造体TL用の感光性樹脂レジストのパターニングで用いられるフォトマスクはそれぞれ変更されるが、それ以外のプロセスおよび材料は変更されない。
【0045】
本実施形態では、傾き補正用突起CLがカラーフィルタ層R,G,B用に着色された樹脂レジストを材料としている。このため、この傾き補正用突起CLでの透過率は透明樹脂レジストを材料とする構造体TLでの透過率より若干低下するが、第1実施形態と同様に配向リバースをなくすことができる。また、この場合にも、傾き補正用突起CLを形成する独立なプロセスが不要であるため、製造コストを増大させることがない。
【0046】
ここで、図1に示す補正用突起CLが省略される構造で製造した液晶表示パネルを比較例とし、この比較例および第1〜第4実施形態の液晶表示パネルTMDの光透過率、配向分割均一性、および応答時間について測定した結果を示す。
【0047】
【表1】
【0048】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲でさらに様々に変形可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、液晶分子の配向リバースを軽減することができる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示パネルの平面構造を部分的に示す図である。
【図2】図1に示す液晶表示パネルの外観を示す図である。
【図3】図2に示す液晶表示パネルの回路構造を概略的に示す図である。
【図4】図1に示すIV−IV線に沿って液晶表示パネルの断面構造を示す図である。
【図5】図4に示す画素電極の下地となる透明樹脂パターンを示す図である。
【図6】図5に示す傾き補正用突起によって得られる液晶配向状態を画素電極の平面に対して示す図である。
【図7】この液晶配向状態を図6に示すVII−VII線に沿った画素電極の断面に対して示す図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液晶表示パネルに適用される透明樹脂レジストパターンを示す図である。
【図9】図8に示す透明樹脂レジストパターンが画素電極から外側にはみ出した状態を示す図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る液晶表示パネルに適用される透明樹脂レジストパターンを示す図である。
【図11】図10に示す透明樹脂レジストパターンに重ねられる3個の副画素電極に区分された画素電極を示す図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る液晶表示パネルの平面構造を部分的に示す図である。
【図13】図12に示すXIII−XIII線に沿った液晶表示パネルの断面構造を示す図である。
【図14】従来の液晶表示装置において得られる液晶配向状態を画素電極の平面に対して示す図である。
【図15】液晶配向状態を図14に示すXV−XV線に沿った画素電極の断面に対して示す図である。
【図16】ブリッジ接続された3個の副画素電極からなる画素電極において配向リバースを回避した例を示す図である。
【符号の説明】
15…画素スイッチ、20…液晶分子、TMD…液晶表示パネル、AR…アレイ基板、CT…対向基板、LQ…液晶層、PE…画素電極、CE…対向電極、CL…傾き補正用突起、TL…畝状構造体、CF…カラーフィルタ、R,G,B…カラーフィルタ層。
Claims (4)
- 第1および第2電極基板と、負の誘電率異方性を有する液晶組成物を含み前記第1および第2電極基板間に挟持される液晶層とを備え、前記第1電極基板は前記液晶層の画素領域に電界を印加する画素電極、前記画素領域が配向分割されるように前記画素電極から印加される電界の傾きを制御する構造体、および前記画素電極の外縁を隆起させる下地として形成される傾き補正用突起を含むことを特徴とする液晶表示装置。
- 前記傾き補正用突起は前記画素電極の外縁のうちで少なくとも前記構造体に対して略平行な部分に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記傾き補正用突起は前記構造体と同一材料からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記傾き補正用突起は前記第1電極基板上に形成されるカラーフィルタ層の重なりを含むことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
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WO2012162990A1 (zh) * | 2011-06-03 | 2012-12-06 | 深圳市华星光电技术有限公司 | 像素电极和液晶显示阵列基板 |
US20150198828A1 (en) * | 2011-01-17 | 2015-07-16 | Samsung Display Co., Ltd. | Liquid crystal display |
-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003185056A patent/JP2005017886A/ja active Pending
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