JP2007051182A - 末端にアセタール基とp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体 - Google Patents

末端にアセタール基とp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体 Download PDF

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Abstract

【課題】基板表面や高分子化合物、生体関連物質などに親水性・生体親和性を付与でき、一級アミノ基に選択的かつ定量的に反応し、反応率をモニタリングできる末端反応性ポリエチレンオキシド鎖を有する高分子修飾剤を提供する。
【解決手段】一方の末端にアルデヒド基に官能基変換可能なアセタール基と他末端に一級アミノ基と選択的に反応可能なp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体。
【選択図】なし

Description

本発明は、末端に異なる反応性基を有するポリエチレンオキシド誘導体の製造方法に関する。
ポリエチレンオキシドは、水溶性、非免疫原生といった特性を持ち、タンパク質や薬物等の生理活性物質の修飾剤としての利用をはじめ、様々な基板表面の機能化のための修飾剤としての利用など、生物学、医用工学分野への応用が注目されている。
一般に、タンパク質の表面にはカルボキシル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基など、さまざまな官能基が存在する。このようなタンパク質分子とポリエチレンオキシドとを化学的に結合させる際には、どのような官能基を選ぶか、どの程度結合させるかなどが、合成されるポリエチレンオキシド−タンパク質結合体の性質に大きな影響を及ぼす。このため、修飾しようとするタンパク質の表面に存在する官能基に応じて、ポリエチレンオキシド側の官能基を選択する必要がある。また、タンパク質などの生理活性物質に限らず、高分子化合物や材料表面へポリエチレンオキシドを化学的に結合させる際にも同様に、どのような官能基を選ぶか、どの程度結合させるかなどが、合成されるポリエチレンオキシド−タンパク質結合体の性質に大きな影響を及ぼす。
工業的に合成されているポリエチレンオキシド誘導体は、一方の末端にメトキシ基などの非反応性の基、他方の末端に水酸基を有するもの、あるいは両末端に水酸基を有するものが殆どである。水酸基はアルデヒド基やアミノ基等に比べると反応性が小さいので、上記のようなタンパク質の修飾剤として利用するために、ポリエチレンオキシドの片末端(一方の末端)の水酸基をより反応性の高い他の官能基に変換する試みが行われている(例えば、非特許文献1参照)。
また、両末端に水酸基を有するポリエチレンオキシドを反応性の高い官能基に変換する試みも行われている(例えば、非特許文献2参照)。
ポリエチレンオキシド誘導体の両端に種類の異なるタンパク質等の物質を選択的に結合させる場合には、両末端に相異なる官能基を有するポリエチレンオキシド誘導体が必要となる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、上記のような両末端に水酸基を有するポリエチレンオキシド誘導体を修飾する方法では、未反応の水酸基末端が残る可能性があり、また反応生成物は、両末端に同一の官能基を有するものと、両末端に相異なる官能基を有するものとの混合物として得られるため、カラムクロマトグラフィーなどの方法により精製する必要があり、収率や純度の面で問題がある。
一方、重合開始剤としてトリメチルシリル基で保護されたアミノ基のカリウム塩を用いて、エチレンオキシドの重合を行った例がある(例えば、非特許文献3参照)。
この方法では、α−アミノ−ω−ヒドロキシポリエチレンオキシドが選択的に得られている。
他の重合開始剤を用いた例では、アルデヒド基に変換可能なアセタール基と様々な官能基を有するポリエチレンオキシド誘導体(例えば、特許文献2参照)や、一級アミノ基に変換可能なシアノ基を有するポリエチレンオキシド誘導体(例えば、特許文献3参照)またポリエチレンオキシド鎖を有するグラフト共重合体製造のためのアセタール基と重合性反応基を有するポリオキシエチレン誘導体(例えば、特許文献4参照)などが開発されており、様々な応用分野への展開が期待されている。
ところで、高反応性の官能基の中で、アルデヒド基は温和な条件下でタンパク質のアミノ酸と選択的に反応するため、可溶性または不溶性ポリマー表面へのポリエチレングリコール修飾(例えば、非特許文献4参照)や、タンパク質へのポリエチレングリコール修飾(例えば、非特許文献5参照)に用いられている。アルデヒド基と1級アミノ基との反応では2級アミンが形成されるため、溶液中においてタンパク質の荷電があまり変わらず、このためタンパク質の活性が低下したり、あるいはコンフォメーションが変化するなどの問題が生じにくいという利点がある。しかし、反応性の高い官能基としてアルデヒド基のみを有するポリエチレンオキシド誘導体の製造方法は知られているが、アルデヒド基とアルデヒド基以外の官能基とを有するポリエチレンオキシド誘導体の製造方法は、数例の報告以外は知られていない(例えば、特許文献5、6参照)。
このように有効なアルデヒド基を有するポリエチレンオキシド鎖の生体関連物質や基板表面および高分子化合物への導入方法としては、温和な条件での反応を目指して、アルデヒド基と他の官能基を有するポリエチレンオキシド(例えば、特許文献7参照)のアルデヒド基と目的物質の一級アミノ基を反応させる場合が多く、固定化したポリエチレンオキシドのアルデヒド基を次の機能化のために残存させることは困難である。また、ポリエチレンオキシドのアルデヒド基を残存させるために、他端の反応性基(水酸基、カルボキシル基、アミノ基など)と目的物質のアミノ基やカルボキシル基と反応させる例もあるが、多段の反応を必要とし定量的反応は困難である。
他の例では、アセタール基と重合性反応生基を有するポリエチレンオキシド鎖(例えば、特許文献8参照)を用いて、重合反応を利用して目的物質の表面へ導入することは可能であるが定量的な導入及び導入率のモニタリングは困難である。
独国特許発明第4004296号明細書 特開平7−316285号公報 特開平8−92366号公報 特開平9−302048号公報 特開平7−316285号公報 特開平9−302048号公報 特開平7−316285号公報 特開平9−302048号公報 Synth. Commun., 22(16), 2417−2424(1992) J. Bioact. Compat. Polym., 5(2), 227−231(1990) Bioconjugate Chem., 3(5), 275−276(1992) J. Polym. Sci. Polym. Chem. Ed., 22, 341(1984) Bioorg. Chem., 19, 133(1991)
一方の末端にアルデヒド基に官能基変換可能なアセタール基と他末端に一級アミノ基と選択的に反応可能なp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体を提案することである。また、片末端にアセタール基と他末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体を用いて、基板表面や高分子化合物、生体関連物質などの一級アミノ基にポリエチレンオキシド鎖を簡便かつ定量的に導入でき、副生するp−ニトロフェノールにより反応率算出が可能な方法を提案することである。
本発明は次のポリエチレンオキシド誘導体の提案である。
(1)一般式
Figure 2007051182
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、Y1は炭素数1〜6のアルキレン基、Mはアルカリ金属を示す。〕で表される重合開始剤の存在下にエチレンオキシド重合し、一般式(2)
Figure 2007051182
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、nは5〜10000の数を示す。Y1は炭素数1〜6のアルキレン基、Mはアルカリ金属を示す。〕で表される重合体を得、この重合体を化学修飾して一般式(3)
Figure 2007051182
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、nは5〜10000の数を示す。Y1は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。R2はp−ニトロフェニルカルボネート基(一般式(4))を示す〕で表されるポリエチレンオキシド誘導体を得る。
Figure 2007051182
(2)前記一般式(3)で表されるポリエチレンオキシド誘導体を目的物質(基板表面、生体関連物質、高分子化合物など)に存在する1級アミノ基と反応させ一般式(5)
Figure 2007051182
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、nは5〜10000の数を示す。Y1は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。Yは目的物質(基板表面、生体関連物質、高分子化合物など)を示す〕で表されるポリエチレンオキシド修飾物質を得る。このポリエチレンオキシド修飾物質を酸の存在下において加水分解することを特徴とする一般式(6)

Figure 2007051182
〔式中、R1は炭素数1〜8のアルキル基、nは5〜10000の数を示す。Y1は炭素数1〜6のアルキレン基を示す。Yは目的物質(基板表面、生体関連物質、高分子化合物など)を示す〕で表されるポリエチレンオキシド修飾物質を得る。
(3)前記一般式(5)の ポリエチレンオキシド修飾物質を製造する際に生成するp−ニトロフェノールを紫外線分光光度計等を用いて定量することにより反応率を求めることができる。
本発明のポリエチレンオキシド誘導体は、一般式(1)で表される化合物を出発原料にして、中間体(2)を経由して、一般式(3)で表される最終目的物を製造する。
本発明のポリオキシエチレン誘導体の一般式(3)によれば、簡易的かつ定量的に一級アミノ基を有する基板表面や高分子化合物、生体関連物質などに親水性・非免疫原性などを付与でき、かつ、反応率をモニタリングしながら、末端に反応性アルデヒド基を有するポリエチレンオキシド鎖を有する高分子修飾剤を提供する。
一般式(1)、(2)、(3)、(4)および(5)においてR1で示される炭素数1〜8のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、アリル基などがあげられる。Rがメチル基、エチル基またはプロピル基である場合、酸の存在下に加水分解した際、(R−O−)CH末端がアルデヒド基に変換されやすいので、これらの基が好ましい。
一般式(1)〜(6)においてY1で示される炭素数1〜6のアルキレン基としては、それぞれメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、メチルエチレン基、ジメチルエチレン基などがあげられる。最終目的物のポリエチレンオキシド誘導体を生理活性物質の修飾剤として利用する場合は、Y1がエチレン基、トリメチレン基、特にエチレン基であるのが好ましい。一般式(1)または(2)においてMで示されるアルカリ金属としては、カリウムまたはナトリウムなどがあげられる。
一般式(2)〜(6)においてnは5〜10000であり、最終目的物のポリエチレンオキシド誘導体を生理活性物質の修飾剤として利用する場合は、好ましくは5〜2000、さらに好ましくは5〜1000である。
一般式(3)におけるR2は、一般式(4)で示すp−ニトロフェニルカルボネート基である。p−ニトロフェニルカルボネートの導入方法としては、エチレンオキシド重合後に、クロロぎ酸p−クロロフェニル等を用いて導入する方法が好ましい。反応終了後には、ジエチルエーテル、イソプロパノール、ヘキサン等のポリエチレンオキシド誘導体を溶解しない液中に反応液を投入することにより、沈殿物として目的とするポリエチレンオキシド誘導体を単離することができる。また、カラムクロマトグラムによる方法、透析、限外濾過、吸着剤処理などの方法によっても単離精製することができる。
一般式(5)、(6)におけるY2は、一級アミノ基を有する基板表面、生体関連物質、高分子化合物などを示す。基板表面としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系樹脂等のプラスチック表面やガラス表面などがあげられる。また、高分子化合物としては、一級アミノ基を有する高分子化合物なら何でも良く、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等の合成高分子及びポリオルニチン、ポリリジン等のポリアミノ酸などがあげられる。生体関連物質としては、酵素、タンパク質、抗体などがあげられる。
まず、一般式(3)で表される最終目的物の製造方法について説明する。一般式(2)で表される中間体は、一般式(1)で表されるアルコキシ基を有するアルコールのアルカリ金属塩を重合開始剤として用いて、この重合開始剤の存在下にエチレンオキシドを重合することにより製造することができる。
一般式(1)で表される重合開始剤の具体的なものとしては、2,2−ジメトキシ−1−エタノ−ル、2,2−ジエトキシ−1−エタノ−ル、3,3−ジメトキシ−1−プロパノール、3,3−ジエトキシ−1−プロパノール、4,4−ジメトキシ−1−ブタノール、4,4−ジエトキシ−1−ブタノール、3,3−ジメトキシ−sec−ブタノール、3,3−ジエトキシ−sec−ブタノールなどのアルコキシ基を有するアルコールのカリウムまたはナトリウム塩などのアルカリ金属塩があげられる。これらの化合物は金属塩の形態で使用するほかにも、前記アルコールと水素化アルカリ金属とを別々に反応液に添加する形態で使用することもできる。これらの化合物は重合開始剤として作用するため、すべてのポリマー末端に存在することとなる。
重合開始剤はそのまま反応系に添加することもできるが、有機溶媒に溶解させた溶液状態で添加するのが好ましい。このような有機溶媒としては溶液として活性水素基を有しない有機溶媒であれば特に制限されず、例えばベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどがあげられる。重合開始剤溶液の濃度としては、0.1〜90重量%、好ましくは1.0〜50重量%とするのが望ましい。
エチレンオキシドと一般式(1)で表される重合開始剤との使用割合は、エチレンオキシド:重合開始剤のモル比で通常1:0.00001〜1:0.5、好ましくは1:0.0001〜1:0.2とするのが望ましい。
重合反応は、エチレンオキシドと一般式(1)の重合開始剤または重合開始剤溶液とを、非溶媒中または有機溶媒中で混合して行われる。有機溶媒は重合反応を妨害しないものであれば特に限定されず、例えばテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどがあげられる。重合反応は、封管ガラス管中またはオートクレーブ中で、不活性ガス雰囲気下に行うのが好ましい。反応溶液の濃度としては、0.1〜90重量%、好ましくは1.0〜50重量%とするのが望ましい。反応条件は、温度が0〜180℃、好ましくは10〜150℃、圧力が通常0.78〜1MPa、時間が通常0.5〜120時間とするのが望ましい。
次に、このようにして得られた一般式(2)で表される重合体を、クロロぎ酸p−クロロフェニルにより化学修飾を行うことにより、一般式(3)で表される最終目的物を得ることができる。
次に、このようにして得られた一般式(3)で表される最終目的物を一級アミノ基を有する基板表面、生体関連物質、高分子化合物などと反応させることにより、高選択的に一級アミノ基に反応し、一般式(5)の生成物を得る。
一般式(5)の生成物を得る際に、反応とともに生じるp−ニトロフェノールの吸光度変化を紫外線分光光度計で定量することにより反応の進行をモニタリングすることができる。
一般式(5)の化合物を酸の存在下に加水分解することにより、一般式(6)で表されるポリエチレンオキシド誘導体を製造することができる。加水分解に使用する酸の試薬としては塩酸、硫酸、蟻酸、トリフルオロ酢酸またはフッ化水素などがあげられるが、塩酸が好ましい。
加水分解の方法としては、一般式(5)で表される中間体を、上記の酸を含む水溶液または水系溶液中で撹拌するなどの方法が採用できる。このときの反応系の酸濃度は0.5〜10M、好ましくは0.5〜5Mとするのが望ましい。反応温度は0〜100℃、好ましくは20〜80℃、反応時間は10分間〜200時間、好ましくは30分間〜100時間とするのが望ましい。
このようにして加水分解することにより、一般式(6)のポリエチレンオキシド末端にアルデヒド基を有する化合物が選択的に得られる。
このようにして得られた一般式(3)で表される最終目的物のポリエチレンオキシド誘導体はタンパク質や薬物などの生理活性物質の修飾剤として利用でき、修飾した生理活性物質に水溶性や非免疫原性などの特性を付与することができる。また、残存するアルデヒド基を次段階の反応に利用することにより、特定物質の固定化など更なる機能性を付与することができる。
本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの実施例により本発明が限定されるものではない。
[実施例1]
末端にアセタール基とp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体の合成
アルゴン雰囲気下ナスフラスコ中において、テトラヒドロフラン60mLに 3,3−ジエトキシ−1−プロパノール0.47mLを加えた後、カリウム下ナフタレンのテトラヒドロフラン溶液を10mL加えた。エチレンオキサイド15mLを加え、室温、水浴中で2日間撹拌した。その後、蒸留水を1mL加え、クロロホルム150mLで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、100mLまで減圧留去し、ジエチルエーテル2.5Lに沈殿した。上澄みをデカンテーションした後吸引ろ過した後、ベンゼン100mLに溶解し凍結乾燥することによって片末端にアセタール基、もう一方の末端に水酸基を有するポリエチレンオキシドを白色粉末として得た。得られた化合物のH NMRスペクトルを図1に示す。次に、得られた化合物2.5gと取りエチルアミン340μLをテトラヒドロフラン9.9mLに溶解し、4−ニトロフェニルクロロフォルメート328.6mgのテトラヒドロフラン溶液11.6mLを1時間かけて滴下した。さらに氷冷下で2時間撹拌した後、室温で21時間撹拌した。得られた溶液をろ過により沈殿を除去した後、飽和食塩水400mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、ジエチルエーテル400mLに再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過した後、ベンゼン50mLに溶解し凍結乾燥することによって、片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシドを白色粉末として得た。得られた化合物のH NMRスペクトルを図2に示す。図1と比較して、図2においては、水酸基に由来するピーク(2.8ppm)が消失し、新たにp−ニトロフェニルカルボネート基に由来するピーク(7.4, 8.3ppm)が現れたことから、片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシドの合成が確認された。
[実施例2]
一級アミノ基を合成及び天然化合物への固定化及びその反応率モニタリング
一級アミノ基を有する合成ポリマーであるポリ(アリルアミン)2mg/mLのメタノール溶液500μLと片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド6mg/mLのメタノール溶液500μLを混合し、400nmの吸収の経時変化を測定した。その結果を図3(a)に示す。一級アミノ基を天然化合物である鶏卵白リゾチーム20mg/mLのホウ酸緩衝溶液(pH9.0,10mM)500μLと片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド6mg/mLのホウ酸緩衝溶液500μLを混合し、400nmの吸収の経時変化を測定した。結果を図3(b)に示す。これらの反応では、1級アミノ基とp−ニトロフェニルカルボネート基が反応し、ウレタン結合を形成し、その副生成物としてp−ニトロフェノールが生じる。この生成物(p−ニトロフェノール)が400nmに吸収をもつことから、その変化を観測することによって、反応のモニタリングが可能となる。図3(a),(b)ともに、混合直後から反応が進行し、400nmの吸収の増加が確認された。
[実施例3]
アセタール基のアルデヒド基への変換
鶏卵白リゾチーム30mgをホウ酸緩衝液(pH9.0,10mM)1.5mLに溶解した。また、片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド9mgのホウ酸緩衝溶液1.5mLに溶解した後、鶏卵白リゾチーム溶液に混合し、4℃で一晩静置した。その後、ジエチルエーテル150mLに再沈殿し、沈殿を吸引ろ過し真空乾燥しすることによって、p−ニトロフェニルカルボネート基と鶏卵白リゾチームの1級アミノ基の間の反応によってポリエチレンオキシドによって化学修飾された鶏卵白リゾチーム27.35mgを得た。得られた粉末3mgをリン酸緩衝液(pH7.4,10mM)1mLに溶解し、6MHCl水溶液5μlを加えることによりpHを2.0にし、2時間静置することによって、鶏卵白リゾチームに導入されたポリエチレングリコールの先端部に存在するアセタール基をアルデヒド基へ変換した。アルデヒド基への変換の確認として、試料溶液50μlを用いて、3−メチル−2−ベンゾチアゾロンヒドラゾン法によりアルデヒド基の検出を行った。その結果、アルデヒド基が存在するときに検出される636,662nmの吸光度がそれぞれ、0.324,0.349であった(図4)。また、アセタール基を持たないポリエチレンオキシドを用いた場合には、明らかな吸収が認められないことから、ポリエチレンオキシド先端部のアセタール基のアルデヒド基への変換が確認された。
片末端にアセタール基、もう一方の末端に水酸基を有するポリエチレンオキシドのH NMRスペクトルである。 片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシドのH NMRスペクトルである。 片末端にアセタール基、もう一方の末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシドと一級アミノ基を有する合成(a)及び天然化合物(b)との反応モニタリングの様子である。 酵素に導入されたポリエチレンオキシド先端部のアセタール基のアルデヒド基への変換の確認である。

Claims (3)

  1. 片末端にアセタール基と他末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体。
  2. 片末端にアセタール基と他末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体を用いて、基板表面や高分子化合物、生体関連物質などに、ポリエチレンオキシド鎖を導入する方法。
  3. 片末端にアセタール基と他末端にp−ニトロフェニルカルボネート基を有するポリエチレンオキシド誘導体を用いて、基板表面や高分子化合物、生体関連物質などの一級アミノ基にポリエチレンオキシド鎖を導入する際に、副生するp−ニトロフェノールにより反応率を算出する方法。






















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