JP2007050852A - 車両用乗員保護システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 悪路上を走行中の的確な乗員保護を図りながら、所望の運転操作を可能とする。
【解決手段】 シートベルト装置60は、ショルダベルト66とラップベルト68によって、座席62に着座した乗員64の拘束が可能となっている。また、シートベルト装置は、プリテンショナ80、82が作動することにより乗員の下半身及び上半身の緊密な拘束が可能となっている。ECUは、アンチロックブレーキシステム及びトラクションコントロールを行うときにプリテンショナ80、82を作動させるが、4Loモードでエンジンの出力制御を行うときには、プリテンショナ80の作動を制限し、プリテンショナ82のみを作動させることにより、乗員の下半身を緊密に拘束しながら、上半身を緊密に拘束するのを抑え、任意の運転操作が可能となるようにしている。
【選択図】 図1
【解決手段】 シートベルト装置60は、ショルダベルト66とラップベルト68によって、座席62に着座した乗員64の拘束が可能となっている。また、シートベルト装置は、プリテンショナ80、82が作動することにより乗員の下半身及び上半身の緊密な拘束が可能となっている。ECUは、アンチロックブレーキシステム及びトラクションコントロールを行うときにプリテンショナ80、82を作動させるが、4Loモードでエンジンの出力制御を行うときには、プリテンショナ80の作動を制限し、プリテンショナ82のみを作動させることにより、乗員の下半身を緊密に拘束しながら、上半身を緊密に拘束するのを抑え、任意の運転操作が可能となるようにしている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、車両に設けられて、乗員が装着しているシートベルト装置によって乗員保護を図る車両用乗員保護システムに関する。
自動車等の車両には、急減速時などの車両緊急時に乗員保護を図るシートベルト装置が設けられている。例えば、三点式のシートベルト装置では、ウエビングの一端がリトラクタに設けられている巻取り軸に係止され、中間部がセンターピラーに固定されたスリップジョイントを通され、他端がアンカープレートに固定されている。また、ウエビングには、スリップジョイントをアンカープレートの間に、タングプレートが配設されており、ウエビングをリトラクタから引き出して、座席の側方に配設されているバックルにタングプレートを係止させることより装着状態となる。
これにより、車両の座席に着座している乗員は、バックルに係止されたタングプレートとスリップジョイントの間のウエビング(ショルダベルト部)によって上半身が拘束され、タングプレートとアンカープレートの間のウエビング(ラップベルト部)によって要部が拘束されるようになっている。
また、シートベルト装置には、車両の急減速を検出すると、リトラクタから引き出しているウエビングを巻き取るなどのプリテンション機構が設けられ、このプリテンション機構によってウエビングの張力を高めて、乗員の拘束性の向上を図るようにしたものがある。
一方、車両には、各種の走行安定装置によって、走行時の操舵安定性の確保がなされている。このような走行安全装置には、低μ路などでのコーナリングの安定性を図るLSD(limited slip differential)、車両制動時にブレーキ圧を制御することによりタイヤのロックを防止するABS(antilock brake system)、走行時の駆動輪のホイールスピンを防止するTRC(traction control system)などがあり、これらの走行安全装置を用いた各種の走行制御の提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
特許文献1では、四輪駆動車において、前後輪の車輪速度からスリップ状態が検出されると、前後輪のホイールシリンダへのブレーキ液圧の制御を行い、前輪と後輪の車輪速度差を演算し、速度差が所定値を越えているときには、差動制御装置を介して連結されている駆動輪側のホイールシリンダに対して、所定時間増圧制御の差動を制限するように提案している。
また、特許文献2では、四輪駆動車において、4輪の全てがスリップ状態であるか否かを判定し、4輪の全てがスリップ状態でないときには、各車輪ごとにスリップ状態に応じたブレーキ液圧の制御を行い、4輪の全てがスリップ状態であると判定されたときには、後輪に対するブレーキ液圧のみを調整するように提案している。
ところで、シートベルト装置のプリテンショナ機能を、走行安全装置の動作に基づいて作動させることにより、より的確な乗員保護を図るようにした提案がなされている(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。
特許文献3では、各車輪の車輪速センサや、車体の横滑り検出センサなどを用いて、車体の横滑りを検出しているときには、乗員を拘束しているシートベルト装置のウエビングを所定量だけ引き込むことにより、車体の横滑りなどによって乗車姿勢が崩れてしまうのを確実に防止するように提案している。
また、特許文献4では、ABSの作動状態に応じてシートベルト装置のウエビングの引き込み量を変更することにより、シートベルト装置による的確な乗員保護を図るように提案している。
一方、プリテンショナ機能が作動したときには、シートベルト装置によって乗員の下半身のみならず、上半身も座席にきつく拘束されてしまう。このために、乗員のステアリング操作などを妨げてしまうことがある。すなわち、乗員が意図するステアリング操作を困難としてしまうことがある。
四輪駆動車による運転の楽しみとしては、平坦路のみでなく、砂地や急坂、凹凸の大きな路面(地面)上などの所謂悪路上の走行があるが、このような路面状態では、車輪のスリップが生じやすい。特に、四輪駆動車では、悪路上の走行を可能とするためのモード(例えば、四輪駆動でさらにギヤ比を高くした4Lモードなど)が設定されており、このモードに切り替えることにより、悪路上での走行を容易となるようにしている。
特開平8−34333号公報
特開平10−59157号公報
特開2001−122081号公報
特開2004−322691号公報
しかしながら、このような路面状態では、車輪にスリップが生じやすく、車輪のスリップによってシートベルト装置のプリテンション機能が作動してしまうと、乗員の体が拘束されて、意図するステアリング操作などの運転操作が難しくなってしまうという問題が生じる。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、悪路上を走行しているときにも、乗員の的確な保護と、的確な運転操作を可能とする車両用乗員保護システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、車輪のスリップを検出して車両制動時のブレーキの液圧ないし駆動トルクを制限する駆動制御手段と、第一のリトラクタに巻き取られる前記ウエビングによって形成されるショルダベルト及び、第二のリトラクタに巻き取られるウエビングによって形成されるラップベルトと共に、車両緊急時に前記ショルダベルトを前記第一のリトラクタ側へ所定量引き込む第一のプリテンショナ手段及び、前記ラップベルトを前記第二のリトラクタ側へ所定量引き込む第二のプリテンショナ手段を備えたシートベルト装置と、前記駆動制御手段が動作したときに前記第二のプリテンショナ手段を作動させると共に、駆動制御手段の動作状態に応じて前記第一のプリテンショナ手段の作動を制限するプリテンショナ制御手段と、を含むことを特徴とする。
この発明によれば、アンチロックブレーキシステムやトラクションコントロールが動作したときに、少なくとも第二のプリテンショナ手段を作動させることにより、乗員の下半身をラップベルトによって緊密に拘束して、乗員の乗車姿勢の安定化及び保護を図る。
また、第一のプリテンショナ手段は、アンチロックブレーキシステムやトラクションコントロールの動作状況に応じて作動させる。
これにより、乗員の上半身を緊密に拘束してしまうことにより、運転操作などの自由が妨げられてしまうのを抑えることができるようにしている。
また、本発明では、前記車両が四輪駆動時でかつ、高ギヤ比での走行中であるときに、前記プリテンショナ制御手段が、前記第一のプリテンショナ手段を制限することを特徴とし、前記駆動制御手段が、前記車両のエンジン出力制御が可能であり、前記プリテンショナ制御手段が、前記駆動制御手段の前記エンジン出力制御を実行しているときに、前記第一のプリテンショナ手段の作動を解除することを特徴とする。
この発明によれば、四輪駆動(4WD)車で、悪路走破を目的として設定されている低速走行モードが選択されているときに、第一のプリテンショナの作動を制限する。
また、トラクションコントロールを行うときに、エンジンの出力制御機能を備えているときには、エンジンの出力制御が実行されていれば、第一のプリテンショナ手段の作動を解除する。
これにより、運転者の上半身の動きが拘束されてしまうのを抑えることができるため、悪路走破を楽しむことが可能となる。
また、本発明では、助手席及び後席にリトラクタから引き出されたウエビングによって乗員を拘束可能とすると共に、ウエビングをリトラクタ側に所定量引き込み可能とするプリテンショナ手段を含むシートベルト装置が設けられているときに、前記プリテンショナ制御手段が、前記駆動制御手段の動作時に、前記プリテンショナ手段を作動させることを特徴とする。
この発明によれば、運転者以外の乗員(同乗者)に対しては、プリテンショナ手段を作動させて、緊密な拘束を行うことにより、同乗者の乗車姿勢の安定化と確実な保護を図る。
以上説明したように本発明によれば、第二のプリテンショナ手段を作動することにより乗員の下半身を安定させながら、制動制御及びトルク制御の制御状態に応じて、第一のプリテンショナ手段の作動を制限することにより、乗員の上半身の動きを拘束してしまうのを抑える。
これにより、悪路走破などの運転を行うときに、乗員の上半身を拘束してしまうのを抑えて所望の運転操作を可能とすることができるという優れた効果が得られる。
特に、四輪駆動車で、悪路走破を目的として低速走行を行っているときや、エンジンの出力制御を行っているときに、第一のプリテンショナ手段の作動を制限することにより、乗員が悪路走破の運転操作を楽しむことができる。
また、運転者以外の乗員に対しては、プリテンション手段による確実な拘束を行うことにより、乗車姿勢の安定化と確実な保護が可能となる。
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図2には、本実施の形態に適用した走行制御システム10の概略構成を示している。この走行制御システム10は、アンチロックブレーキシステム(ABS)、トラクションコントロール(TRC)の機能を備え、さらに、ABS、TRCを用いて車両の旋回安定性を含めた車両の走行安定性を確保する車両安定制御(VSC:Vehicle Stability Control)を行う。
図3には、走行制御システム10が設けられる車両12の概略構成を示している。この車両12は、左右の前輪14FR、14FLと共に、図示しないセンターデフェンシャル及びリアデフェンシャルを介して、左右の後輪14RR、14RL(以下、総称するときは車輪14とする)に駆動力が伝達されて回転駆動可能な所謂四輪駆動車(4WD車)となっている。
図2に示すように、走行制御システム10には、ABS、TRC及びVSCを制御するコントロールユニット(以下、ECU16とする)が設けられている。また、車両12には、エンジン18(図3参照)及びオートマチックトランスミッションを制御するエンジンECU20が備えられており、ECU16は、エンジンECU20と協調して制御を行う。なお、車両12に、サスペンションを制御するサスペンション(SUS)ECU22、4輪操舵を行うための4WSECU24などの各種の制御コントローラ(コントロールコンピュータ)が備えられているときには、ECU16がこれらと協調して制御を行う。
図3に示すように、車両12には、各車輪14に車速センサ26(車速センサ26FR、26FL、26RR、26RL)が設けられている。また、車両12には、鉛直方向の回転各速度を検出するヨーレートセンサ28、前後方向及び左右方向(車幅方向)の加速度を検出する加速度センサ30、ステアリングホイールの操舵量を検出する舵角センサ32等の各種のセンサが設けられている。
図2に示すように、ECU16には、各車速センサ26、ヨーレートセンサ28、加速度センサ30及び舵角センサ32などの各種のセンサが接続しており、これらのセンサの検出結果に基づいて車両12の挙動の検出が可能となっている。
また、ECU16には、車両12に設けられているハイドロブースターアクチュエータ34、マスタシリンダ油圧センサ36、ストップランプスイッチ38などが接続されている。ハイドロブースターアクチュエータ34としては、圧力センサ、圧力スイッチ、差圧スイッチ、切換ソレノイドバルブ、制御ソレノイドバルブ、ポンプモータ等を備えており、ECU16は、ハイドロブースターアクチュエータ34を制御することにより、ブレーキペダルが踏み込まれたときの踏力の助勢を行うと共に、各車輪14に設けられているブレーキを、車輪14ごとに独立して制御する。
また、エンジンECU20には、エンジンのスロットル開度を検出するスロットルポジションセンサ40及びサブスロットルポジションセンサ42が接続されており、これらの信号をECU16へ出力する。
また、エンジンECU20には、エンジン回転数を検出する回転数検出センサ44、冷却水の温度を検出する水温センサ46、アクセル開度を検出するアクセル開度検出センサ48、エンジン18に吸入される吸入空気の温度を検出する吸気温センサ50、エンジン排気を浄化する触媒の温度を検出する触媒温度センサ52などのエンジン18の状態を監視する各種のセンサが接続されている。
また、エンジンECU20には、ATトランスミッションの状態を監視する各種のセンサ類(トランスミッションセンサ類)54が接続されている。このトランスミッションセンサ類54しては、例えば、ATトランスミッションのシフトポジションを検出するシフトポジションセンサ、ATトランスミッションのトルクコンバータに設けられたタービンの回転数を検出するタービン回転数センサ、ATトランスミッションの油温を検出するAT油温センサやATパターンスイッチ等がある。
また、車両12では、4輪駆動モード(4WDモード)で駆動するときに、ギヤ比を高くしてエンジン回転数に対する車輪14の回転数を落としたLoモード(4Loモード)と、通常走行用のHiモード(4Hiモード)の切換が可能となっており、トランスミッションセンサ類54によって、Hiモード/Loモードの切換が検出されるようになっている。
なお、ECU16とエンジンECU20とは、ECU16に入力される各種信号及びエンジンECU20に入力される各種信号の授受を相互に行うことが可能なように接続されている。
エンジン18のスロットルバルブ(図示省略)は、エンジンECU20によって制御されるが、ECU16は、スロットルバルブモータ56を駆動して、サブスロットルバルブの開閉を行う。走行制御システム10では、サブスロットルバルブを制御することによりトラクションコントロールを行う。
なお、車両12には、4WSウォーニングランプ、ABSウォーニングランプ、ブレーキウォーニング、スリップインジケータランプ、VSCウォーニングランプ等と共にダイアグノーシス端子が接続されており、異常発生時の表示等が可能となっており、ECU16は、これらの点灯を制御することにより、異常発生の表示等を行うようになっている。
このようなECU16を備えた走行制御システム10では、車速センサ26FR、26FL、26RR、26RL、ヨーレートセンサ28、加速度センサ30及び舵角センサ32からの信号に基づいて車両12の走行状態を判定し、車輪14のスリップ発生時は勿論、車両12がオーバーステア傾向又はアンダーステア傾向になっていると判定すると、各車輪12のブレーキ油圧の制御を行うと共にサブスロットルバルブの開度を制御することにより各車輪14のトルク制御を行う。
例えば、車両12のスリップ角及びスリップ角速度が大きくなっているときにはオーバーステア傾向となっていると判断し、舵角センサ32によって検出するステアリングホイールの操舵角と車速センサ26等弐よって検出される車速から目標ヨーレートを設定し、設定した目標ヨーレートに対して、ヨーレートセンサ28によって検出される実際のヨーレートが少なくなっているときにはアンダーステア傾向にあると判断する。
ECU16は、車両12の走行状態がオーバーステア傾向やアンダーステア傾向となったと判断すると、オーバーステア傾向やアンダーステア傾向を解消するように作動する(トラクションコントロールオン)。すなわち、ECU16は、ハイドロブースターアクチュエータ34及びスロットルバルブモータ56を制御することにより、各車輪14の制動力及びエンジン18の出力(各車輪14の駆動トルク)を制御して、車輪14のオーバーステア傾向やアンダーステア傾向を抑え、車両12を安定した走行状態に保つようにしている。
なお、このようなABS、TRC、VSCの各制御は、公知の制御方法を適用でき、ここでは詳細な説明を省略する。
ところで、図1に示されるように、車両12には、乗員保護装置としてシートベルト装置60が設けられており、走行制御システム10とシートベルト装置60とによって、本発明の車両用乗員保護システムが構成されている。
なお、図2に示されるように、車両12には、運転席用のシートベルト装置60と共に、助手席用のシートベルト装置60A及び後席用のシートベルト装置60Bが設けられているが、ここでは、主として運転席に設けているシートベルト装置60を例に説明する。
図1に示されるように、シートベルト装置60は、連続するウエビングによって座席(運転席)62に着座した乗員64が装着することによりシートバック62Aとの間で乗員64の上半身を拘束可能とするショルダベルト66と、シートクッション62Bとの間で乗員64の腰部を拘束可能とするラップベルト68と、を備えた三点式シートベルト装置となっている。
ショルダベルト66は、一端がリトラクタ70の図示しない巻取り軸に係止されている。このリトラクタ70は、車両12のセンターピラー12Cの下端部近傍に固定され、巻取り軸が、図示しない付勢手段の付勢力によって、常時ショルダベルト66の巻取り方向へ付勢されている。
また、リトラクタ70から引き出されたショルダベルト66は、中間部が、センターピラー12Cの上部に配設されたスリップジョイント72に挿通されて折り返され、他端部がタングプレート74に係止されている。
ラップベルト68は、一端がリトラクタ76の図示しない巻取り軸に係止されており、この巻取り軸が、図示しない付勢手段の付勢力によって常時ラップベルト68の巻取り方向へ付勢されている。
このリトラクタ76は、シートクッション62Bの下方の所定位置に固定されており、リトラクタ76から引き出されたラップベルト68は、車両幅方向の外方側(センターピラー12C側)からシートクッション62Bの上方へ引き上げられて、他端がショルダベルト66と共にタングプレート74に係止されている。
また、車両12には、座席62よりも車幅方向の内方側にバックル装置78が配置されている。バックル装置78は、タングプレート74の係止及び係止解除が可能となっており、乗員64が座席62に着座した状態でタングプレート74をバックス装置78に係止することにより、シートベルト(ショルダベルト66及びラップベルト68)によって乗員64を拘束する。
一方、リトラクタ70、76のそれぞれの近傍には、引き込み手段とされるプリテンショナ80、82が設けられている。プリテンショナ80、82は、通常、ショルダベルト66及びラップベルト68が自在にリトラクタ70、76からの引き出し方向及び巻取り方向へ移動可能となっているが、図示しないアクチュエータが作動することにより、ショルダベルト66、ラップベルト68を、所定量だけリトラクタ70、76への引き込み方向(巻取り方向)へ引き込む。
これにより、ショルダベルト66、ラップベルト68の張力が高められて、ショルダベルト66、ラップベルト68による乗員64の拘束力が強められる。
図2に示されるように、ECU16には、シートベルト装置60のプリテンショナ80、82が接続されており、シートベルト装置60のプリテンショナ80、82の作動をECU14が制御するようになっている。
なお、バックル装置78には、タングプレート74が係止されたことを検出する図示しないシートベルト装着センサが設けられており、ECU16は、このシートベルト装着センサによってシートベルトが装着されていると検出されたときに、プリテンショナ80、82の作動を制御する。
また、助手席のシートベルト装置60Aは、シートベルト装置60等同様の三点式としており、後席用のシートベルト装置60Bとして、ラップベルトのみを用いた二点式として示しているが、後席用のシートベルト装置60Bをシートベルト装置60と同等の三点式としても良い。
ECU16では、アンチロックブレーキシステムないしトラクションコントロールの制御を実行することにより、プリテンショナ80,82を作動させ、車両12の挙動が不安定となっているときに、乗員64を座席62に確実に拘束するようにしている。このとき、シートベルト装置60A、60Bに対しても、プリテンショナ80、82を作動させることにより、同乗者の確実な拘束が可能となるようにしている。
また、ECU16では、トラクションコントロール制御を行っているときに、スロットルバルブモータ56を作動させてスロットルバルブの開度の制御を開始すると、ショルダベルト66に対応するプリテンショナ80の作動を停止する。
これにより、シートベルト装置60は、ショルダベルト66の緊張が抑えられ、ラップベルト68のみを緊張させて乗員64を拘束し、乗員64の上半身の動作の自由を拘束してしまうのを抑えるようにしている。なお、シートベルト装置60A、60Bに対しては、プリテンショナ80と共にプリテンショナ82(ここでは、シートベルト装置60Aに使用)を作動させることにより、同乗者の確実な拘束と保護が可能となるようにしている。
このように構成されている走行制御システム10では、ECU16が各種のセンサによって車両12の走行状態を検出し、検出した走行状態に基づいて、各車輪14ごとのブレーキ制御を行うことにより、車両12の走行安定性を確保する。すなわち、ECU16は、車両12が走行中にブレーキペダルが踏み込まれたことを検出すると、ブレーキペダルの踏み込みに応じて、各車輪14のブレーキ液圧を制御すると共に、各センサの検出信号に基づいた各車輪14の制動制御を行う。
一方、ECU16では、各種のセンサによって検出する車両12の走行状態に基づいて、スロットルバルブモータ56の駆動を制御するようにしており、これにより、ブレーキ制動のみでなく、エンジン18の出力を制御したトラクションコントロールが可能となっている。
ところで、ECU16では、各車輪14の制動制御、トルク制御に合わせて、シートベルト装置60のプリテンショナ機能の制御を行うようになっている。
ここで、図4を参照しながら、ECU16でのプリテンション制御の概略を説明する。なお、ECU16では、加速度検出センサ30によって大きな加速度(車両緊急状態)を検出すると、シートベルト装置60(シートベルト装置60、60A、60B)のプリテンショナ80、82を作動させて、乗員64の確実な拘束を図るようにしている。
このフローチャートは、図示しないイグニッションスイッチがオンされて、車両12が走行を開始することにより実行され、イグニッションスイッチがオフされるなどして、車両12の走行が停止することにより終了する。
このフローチャートでは、最初のステップ100で、図示しないシートベルト装着センサの検知信号から、シートベルトが装着されている座席、すなわち、乗員が使用しているシートベルト装置(シートベルト装置60、60A、60Bの使用状態)を判定する。
ここで、座席62に着座している乗員64がシートベルトを装着しているときには、ステップ100で肯定判定してステップ102へ移行する。このステップ102では、制御対象とするシートベルト装置60を設定する。すなわち、車両12に乗車している乗員64を含む乗員が装着しているシートベルト装置を、制御対象として設定する。
なお、車両12が走行するときには、少なくても運転席のシートベルト装置60が使用されることから、シートベルト60が使用されているときに、他のシートベルト装置60A、60Bが使用されているか否かを確認して、使用されているシートベルト装置を制御対象に設定するものであっても良い。
このようにして、シートベルト装置60を含む制御対象のシートベルト装置を設定すると、ステップ104では、アンチロックブレーキシステム(ABS)又は、トラクションコントロール(TRC)の制御が実行されたか否かを確認する。
ここで、アンチロックブレーキシステムによる制動制御ないしトラクションコントロールによるトルク制御が実行されると、ステップ104で肯定判定してステップ106へ移行する。
このステップ106では、走行モードがLoモード(4Loモード)か否かを確認する。すなわち、トランスミッションセンサ類54によって検出されるシフトポジションがLoモード(4Loモード)となっているか否かを確認する。
ここで、Hiモード(4Hiモード)などの通常の走行モードであるときには、ステップ106で否定判定してステップ108へ移行し、制御対象に設定されているシートベルト装置60のプリテンショナ80、82を作動させる。
これにより、車両12の走行状態が不安定となっているか不安定となる可能性があるために、アンチロックブレーキシステムによるブレーキ制御や、トラクションコントロールによるトルク制御が実行されたときに、乗員64をショルダベルト66及びラップベルと68によって緊密に拘束して確実に保護することができる。
また、このステップ108では、シートベルト装置60A、60Bが制御対象となっているときには、シートベルト装置60A、60Bのプリテンショナ80,82も作動させ、同乗者を緊密に拘束して確実な保護を図る。
プリテンショナ80、82を作動させると、ステップ104へ戻り、ブレーキ制御、トルク制御が実行されているか否かを確認し、ブレーキ制御及びトルク制御が終了するとステップ104で否定判定してステップ100へ移行する。なお、このときに、プリテンショナ82又はプリテンショナ80、82が作動しているときには、作動が解除される(乗員64の拘束解除)。
一方、ECU16では、ABS、RTCを作動させたときに、走行モードがLoモード(4Loモード)となっていると、ステップ106で肯定判定してステップ114へ移行する。このステップ114では、トラクションコントロールを実行しているときに、スロットルバルブモータ56を駆動して、エンジン18の出力制御を行っているか否かを確認する。
このときに、エンジン18の出力制御が実行されていなければ、ステップ114で否定判定してステップ108へ移行し、プリテンショナ80、82のそれぞれを作動させる。
これに対して、エンジン18の出力制御を合わせたトラクションコントロールが実行されていると、ステップ114で肯定判定してステップ116へ移行する。
このステップ116では、プリテンショナ82のみを作動させて乗員64の保護を図る。すなわち、乗員64は、ラップベルト68によって下半身が緊密に拘束され、車両12の挙動によって移動するのが防止されるが、ショルダベルト66による上半身の緊密な拘束は解除又は実行されなくなる。
これにより、乗員64は、上半身の動きの自由が確保されるので、任意のステアリング操作などの運転操作を行うことが可能となる。
なお、このステップ116では、シートベルト装置60A、60Bが制御対象となっていると、シートベルト装置60A、60Bに対しては、プリテンショナ80、82を作動させ、同乗者の乗車姿勢の安定化と共に確実な保護が可能となるようにしている。
このように、走行制御システム10では、車両12の走行状態を制御するときに、乗員64の着座姿勢に影響を及ぼす走行状態に至るか、そのような走行状態が推定されると、シートベルト装置60のプリテンショナ80、82を作動させて、乗員64の的確な拘束が可能となるようにしている。
また、走行制御システム10では、エンジン出力を制御するトラクションコントロールが実行されたときには、シートベルト装置60のプリテンショナ82を作動させると共に、プリテンショナ80の作動を解除するようにしている。
これにより、運転者である乗員64の下半身を的確に拘束して、乗員64の保護を図りながら、上半身を拘束してしまうことによる乗員64の自由な運転操作を妨げてしまうのを防止するようにしている。
また、ECU16では、車両12の走行モードとしてLoモード(4Loモード)が選択されているときに、プリテンショナ80の作動を解除することにより、運転者が、所謂悪路の走行を楽しむことができるようにしている。
このとき、乗員64は、ラップベルト68によって下半身が緊密に拘束されるので、運転操作が不安定となってしまうことがなく、所望の運転操作を行うことが可能となる。
なお、以上説明した本実施の形態では、4輪駆動の車両12において、Loモードでエンジン18の出力制御を実行しているときに、プリテンショナ80の作動を禁止するようにしたが、これに限らず、4輪駆動車で、Loモードのときに制動制御ないしトルク制御を行うときに、プリテンショナ80の作動を禁止するようにしても良く、また、Loモードに限らず、エンジン18の出力制御を実行しているときに、プリテンショナ80の作動を制限するようにしても良い。
すなわち、図4のステップ114を省略し、ステップ106で肯定判定されることによりステップ116へ移行するようにしてもよく、また、ステップ106を省略して、ステップ104で肯定判定したときにステップ114へ移行するようにしても良い。
また、本実施の形態では、制動制御を又はトルク制御を行ったときに、プリテンショナ80の作動を制限して、プリテンショナ82のみによって乗員64の緊密な拘束を行うようにしてもよく、また、制動制御を行うときには、プリテンショナ80、82を作動するが、トルク制御を行うときには、プリテンショナ82のみを作動するようにしても良い。
さらに、本実施の形態では、4輪駆動の車両12を例に説明したが、本発明は、前輪又は後輪を駆動する2輪駆動の車両に適用することもできる。このときには、例えば、エンジン18の出力制御を行っているときに、プリテンショナ80の作動を制限するようにしてもよく、また、トルク制御を行っているときに、プリテンショナ80の作動を制限するようにしても良い。
また、本実施の形態では、車両12に限らず、アンチロックブレーキシステム及びトラクションコントロールにより走行安定性を確保する車両であれば、任意の構成の車両に適用することができる。
10 走行制御システム
12 車両
14(14FR、14FL、14RR、14RL) 車輪
16 ECU(駆動制御手段、プリテンショナ制御手段)
18 エンジン
20 エンジンECU
26(26FR、26FL、26RR、26RL) 車速センサ
28 ヨーレートセンサ
30 加速度センサ
32 舵角センサ
34 ハイドロブースターアクチュエータ
54 トランスミッションセンサ類
56 スロットルバルブモータ
60 シートベルト装置
60A、60B シートベルト装置
62 座席
64 乗員
66 ショルダベルト
68 ラップベルト
70 リトラクタ(第一のリトラクタ)
76 リトラクタ(第二のリトラクタ)
80 プリテンショナ(第一のプリテンショナ手段、プリテンショナ手段)
82 プリテンショナ(第二のプリテンショナ手段、プリテンショナ手段)
12 車両
14(14FR、14FL、14RR、14RL) 車輪
16 ECU(駆動制御手段、プリテンショナ制御手段)
18 エンジン
20 エンジンECU
26(26FR、26FL、26RR、26RL) 車速センサ
28 ヨーレートセンサ
30 加速度センサ
32 舵角センサ
34 ハイドロブースターアクチュエータ
54 トランスミッションセンサ類
56 スロットルバルブモータ
60 シートベルト装置
60A、60B シートベルト装置
62 座席
64 乗員
66 ショルダベルト
68 ラップベルト
70 リトラクタ(第一のリトラクタ)
76 リトラクタ(第二のリトラクタ)
80 プリテンショナ(第一のプリテンショナ手段、プリテンショナ手段)
82 プリテンショナ(第二のプリテンショナ手段、プリテンショナ手段)
Claims (4)
- 車輪のスリップを検出して車両制動時のブレーキの液圧ないし駆動トルクを制限する駆動制御手段と、
第一のリトラクタに巻き取られる前記ウエビングによって形成されるショルダベルト及び、第二のリトラクタに巻き取られるウエビングによって形成されるラップベルトと共に、車両緊急時に前記ショルダベルトを前記第一のリトラクタ側へ所定量引き込む第一のプリテンショナ手段及び、前記ラップベルトを前記第二のリトラクタ側へ所定量引き込む第二のプリテンショナ手段を備えたシートベルト装置と、
前記駆動制御手段が動作したときに前記第二のプリテンショナ手段を作動させると共に、駆動制御手段の動作状態に応じて前記第一のプリテンショナ手段の作動を制限するプリテンショナ制御手段と、
を含むことを特徴とする車両用乗員保護システム。 - 前記車両が四輪駆動時でかつ、高ギヤ比での走行中であるときに、前記プリテンショナ制御手段が、前記第一のプリテンショナ手段を制限することを特徴とする請求項1に記載の車両用乗員保護システム。
- 前記駆動制御手段が、前記車両のエンジン出力制御が可能であるときに、前記プリテンショナ制御手段が、前記駆動制御手段の前記エンジン出力制御を実行しているときに、前記第一のプリテンショナ手段の作動を解除することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用乗員保護システム。
- 助手席及び後席にリトラクタから引き出されたウエビングによって乗員を拘束可能とすると共に、ウエビングをリトラクタ側に所定量引き込み可能とするプリテンショナ手段を含むシートベルト装置が設けられているときに、前記プリテンショナ制御手段が、前記駆動制御手段の動作時に、前記プリテンショナ手段を作動させることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用乗員保護システム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005238942A JP2007050852A (ja) | 2005-08-19 | 2005-08-19 | 車両用乗員保護システム |
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JP2005238942A JP2007050852A (ja) | 2005-08-19 | 2005-08-19 | 車両用乗員保護システム |
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- 2005-08-19 JP JP2005238942A patent/JP2007050852A/ja active Pending
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