JP2007050644A - 立体加飾品 - Google Patents

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Takahiko Sato
貴彦 佐藤
Shigeru Yabutani
茂 薮谷
Akiyoshi Nagano
昭義 永野
Hiroshi Iwata
弘 岩田
Masanobu Muto
雅信 武藤
Etsuo Ozawa
悦雄 小澤
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Abstract

【課題】 天然の木材の風合いを有する意匠性の高い立体加飾品を提供する。
【解決手段】 立体加飾品11bは、木材の表面を立体的に象った凹凸22を表面に備えた基材12と、基材12の表面を覆うフィルム13bとを備える。凹凸22は30〜200μmの最大高さHmを有し、フィルム13bには木材の表面を平面的に象った杢目柄21bが印刷されている。フィルム13bは、杢目柄21bを凹凸22に対応させるようにして、基材12の表面に沿って配置されている。さらに、杢目柄21bは、木材の年輪を平面的に象った複数の年輪線31と、木材の導管部を平面的に象った複数の導管線32とを備える。各年輪線31は、凹凸22の尾根部26及び長溝部27に沿って配置され、各導管線32は、隣接する年輪線31の間で該年輪線31に沿って延びるように配置されている。各導管線32は、微小凹凸28に対応するように配置されている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、木材の風合いを有する意匠面を備え、車両の内装部品を始めとして、家具や建築材等に使用される立体加飾品に関する。
従来、木目調に加飾された加飾品としては、例えば、特許文献1,2に開示されている木目調部材が知られている。これらの木目調部材は、ウレタン系基材の表面に形成された凹部と、該凹部に埋め込まれた目止め剤と、該目止め剤が埋め込まれたウレタン系基材の表面を覆うカラークリアー層、中塗りクリアー層及び上塗りクリアー層とを備えている。これらの木目調部材では、木目模様が形成された金型内にインモールドコーティング層を形成した後、該金型内にウレタン系組成物を注入して硬化させることにより、木目模様が形成される。ちなみに、前記凹部は20〜100μmの深さに形成されている。
また、特許文献3には、転写印刷技術を応用して、樹脂層の表面又は裏面に、ベースフィルム、着色層及び接着層からなる転写箔をインモールド転写により一体成形することにより、樹脂層の表面又は裏面に図柄を転写絵付けした車両内装用樹脂製疑似木目パネルが開示されている。なお、この疑似木目パネルにおいて、前記ベースフィルムは、インモールド成形加工後に取り除かれている。
一方、特許文献4には、成形型のキャビティ面に凹凸の模様を形成し、そのキャビティ面に対して傾斜方向ないし水平方向から塗料を吹き付けて塗膜を形成し、次いでキャビティ内に前記塗料と異なる色の樹脂材料を導入して成形した塗膜を一体に備えた成形品が開示されている。また、特許文献5には、インモールド転写法によって成形と同時に印刷を施された面と同一面に微細な凹凸模様を賦形するようになした遊技機用合成樹脂製部品が開示されている。
国際公開第99/28116号パンフレット 特開2001−18808号公報 特開平9−240386号公報 特開平9−277304号公報 特開2003−111904号公報
特許文献1,2の木目調部材では、カラークリアー層に接する目止め剤の平面的な配置や該目止め剤を凹部に埋め込む深さによって、木目調に見えるようにしている。しかしながら、カラークリアー層に接する目止め剤の表面はいずれも、該カラークリアー層、中塗りクリアー層及び上塗りクリアー層と平行な面に沿うように平坦に形成されているうえ、上塗りクリアー層の表面が平坦であるため、それらのクリアー層を通して観察される木目調では十分な立体感を感じさせることができなかった。さらに、これらの木目調部材では、目止め剤の表面に厚いクリアー層が形成されているため、光沢感を際だって強く感じさせるようになってしまい、天然の木材の風合いを相対的に減弱させてしまっていた。特許文献3の疑似木目パネルについても同様に、立体感を十分に感じさせることができなかった。
本発明らは、近年高まりつつある天然の木材の風合いを求めるニーズに対応すべく、鋭意研究を行った。その結果、上述したような従来技術とは異なる構造を有する立体加飾品を製造することに成功した。そして、これらの知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
本発明の目的とするところは、天然の木材の風合いを有する意匠性の高い立体加飾品を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、木材の風合いを有する意匠面を備えた立体加飾品であって、該立体加飾品は、前記木材の表面を立体的に象った凹凸を表面に備えた基材と、該基材の表面を覆うフィルムとを備え、前記凹凸は、30〜200μmの最大高さを有し、前記フィルムには、前記木材の表面を平面的に象った杢目柄が印刷され、前記フィルムは、前記杢目柄を前記凹凸に対応させるようにして、前記基材の表面に沿って配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、立体加飾品の意匠面は、30〜200μmの最大高さを有する凹凸形状を備えているため、実際に立体的な構造を有している。その結果、視覚的及び触覚的な立体感を与えることが可能である。さらに、立体加飾品の意匠面では、杢目柄が凹凸に対応するように配置されているため、視覚的な立体感がより一層高められている。よって、この立体加飾品は、視覚的及び触覚的に天然の木材の風合いを強く感じさせることができる。
請求項2に記載の立体加飾品は、請求項1に記載の発明において、前記杢目柄は、前記木材の年輪を平面的に象った複数の年輪線を備え、該各年輪線は、前記凹凸の尾根部及び長溝部に沿って配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、立体加飾品の意匠面では、凹凸の尾根部及び長溝部に沿って年輪線が配置されている。このため、年輪線が凹凸によって際立って見えるようになるため、立体加飾品の意匠面では、視覚的な立体感がより一層高められている。
請求項3に記載の立体加飾品は、請求項2に記載の発明において、前記杢目柄は、前記木材の導管部を平面的に象った複数の導管線を備え、該各導管線は、隣接する前記年輪線の間で該年輪線に沿って延びるように配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、立体加飾品の意匠面には、年輪線に沿って延びる導管線が設けられている。このため、立体加飾品の意匠面は、木材の導管部を象った導管線を備えることにより、天然の木材の風合いを視覚的に感じさせる効果をより一層高める。
請求項4に記載の立体加飾品は、請求項3に記載の発明において、前記基材の表面には、前記木材の導管部を立体的に象った複数の微小凹凸が設けられ、前記各導管線は、前記微小凹凸に対応するように配置されていることを要旨とする。
この構成によれば、基材の表面は、木材の年輪を立体的に象った形状に加えて、該木材の導管部を立体的に象った複数の微小凹凸を備えている。微小凹凸は、フィルムを介して立体加飾品の意匠面に、ざらついた木材のような触感を付与する。さらに、導管線は、微小凹凸に対応するように配置されているため、立体加飾品の意匠面では、導管線が際立って見えるようになり、視覚的な立体感がより一層高められている。よって、視覚的及び触覚的に天然の木材により近い風合いを感じさせることが可能となる。
本発明によれば、天然の木材の風合いを有する意匠性の高い立体加飾品を提供することができる。
以下、本発明の立体加飾品を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)〜(c)及び図2(a)〜(c)に示すように、本実施形態の第一の立体加飾品11aは、樹脂製の基材12と、該基材12の表面を覆う第一のフィルム13aとを備えている。一方、図3(a)〜(c)に示すように、本実施形態の第二の立体加飾品11bは、前記第一の立体加飾品11aにおいて、図1(a)に示す第一のフィルム13aを図3(a)に示す第二のフィルム13bに変更したものである。即ち、第二の立体加飾品11bは、樹脂製の基材12と、該基材12の表面を覆う第二のフィルム13bとを備えている。
これら第一及び第二の立体加飾品11a,11bはいずれも、例えば、インストルメントパネルの本体、グラブボックスのドア、コンソールボックスの蓋部、ステアリングホイールのリム部、アームレストの上面のような自動車の内装材に用いられる。これらの立体加飾品11a,11bでは、立体的な杢目模様に加飾されたフィルム13a,13b側の面(以下、立体加飾品11a,11bの意匠面と記載する)が乗員の視覚に触れる意匠面として機能するように、自動車の車室内に配置される。
次に、第一の立体加飾品11aについて説明する。
図1(a)に示すように、第一の立体加飾品11aの意匠面は、複数の節部16を取り巻くように配置された多数の木目17を備えた立体的な杢目模様に加飾されている。立体加飾品11aの意匠面において、節部16を除いた部分は、一般部18となっている。節部16は木材の節を象ったものであり、木目17は木材の正目や板目等を象ったものである。木目17は、各節部16の周縁部では、該節部16を中心にして渦を巻くようなバーズアイ模様を形成し、節部16から離間した位置では、正目や板目のような木目模様を形成している。即ち、本実施形態において、杢目模様は、バーズアイ模様と、木目模様とによって構成されている。ちなみに、一般部18には、木材の夏目や冬目に相当する夏目部や冬目部が存在している。
杢目模様は、図1(b)に示すように、第一の立体加飾品11aの意匠面に立体的に形成された凹凸形状により構成されるとともに、図2(a)に示すように、第一のフィルム13aに平面的に印刷された第一の杢目柄21aにより構成されている。図1(b)に示すように、凹凸形状は、基材12の表面に立体的に形成された凹凸22に沿って、第一のフィルム13aを密着させるように配置することにより形成されている。
凹凸22は、木材の表面を立体的に象った形状に形成されている。ここで、木材の表面を立体的に象るとは、角材のような木材を長期間風雨に晒した場合に形成される立体構造を3次元的に転写することを意味し、例えば、木材の節や年輪が盛り上がったり、導管に相当する部位が凹んだりするような3次元的な形状を転写することが挙げられる。なお、木材の表面を立体的に象る場合には、必要に応じて、節や年輪等の立体構造をデフォルメした形状を転写することも可能である。本実施形態において、凹凸22は、尾根状をなす多数の尾根部26と、長溝状をなす多数の長溝部27とを備えている。さらに、図1(c)に模式的に示すように、凹凸22は、隣接する尾根部26と長溝部27との間に、微小な凹部及び微小な凸部から選ばれる少なくとも一方よりなる多数の微小凹凸28を備えている。
各微小凹凸28は、基材12の表面側から見た場合に、長四角形状や楕円形状のような短い線状に形成されているうえ、隣接する尾根部26と長溝部27との中間部において、該尾根部26又は長溝部27に沿って延びるように形成されている。各微小凹凸28の長手方向の長さは、幅方向の長さ(幅)よりも長く、好ましくは、より天然の木材に存在する導管部の形状に近づけるために、幅方向の長さの1〜10倍に形成されている。これに対し、尾根部26及び長溝部27はいずれも、微小凹凸28の長手方向の長さよりも長い距離に亘って連続して延びる線状に形成されている。
本実施形態において、凹凸22の最大高さHmは30〜200μmに形成されている。なお、図1(c)に示されている凹凸22の最大高さHmは、節部16の上端と、一般部18の下端との間の高さの差である200μmとなっている。ちなみに、図1(c)において、バーズアイ模様を形成する節部16の高さ(上端と下端との間の高さの差)Hbは10〜30μm、一般部18のうちで比較的平坦な部位の高さHiは20〜100μm、一般部18のうちで冬目部に相当する部位の高さHfは15〜40μmに形成されている。また、微小凹凸28の高さは、天然の木材に存在する導管部の立体形状に近づけるために、20〜100μmであることが好ましい。
図2(a)に示すように、第一のフィルム13aの表面には、多数の年輪線31を備えた第一の杢目柄21aが印刷されている。年輪線31は、木材の年輪を平面的に象った曲線よりなる。ここで、木材の年輪を平面的に象るとは、角材のような木材の表面の平面構造を2次元的に転写することを意味し、例えば、角材の表面を写真撮影した場合に得られるような2次元的な形状を転写することが挙げられる。なお、木材の年輪を平面的に象る場合には、必要に応じて、年輪の平面構造をデフォルメした形状を転写することも可能である。但し、第一の杢目柄21aは、基材12の凹凸22と同じ木材の表面を印刷した柄である。
図2(b)、(c)に示すように、第一のフィルム13aは、第一の杢目柄21aを凹凸22に対応させるようにして、基材12の表面に沿って立体的に配置されている。その結果、第一のフィルム13aに印刷された第一の杢目柄21aは、各年輪線31を基材12の尾根部26及び長溝部27に対してそれぞれ上下に一致させるようにして配置されている。
次に、第二の立体加飾品11bについて、第一の立体加飾品11aと異なる点を中心に説明する。
図3(b)、(c)に示すように、第二の立体加飾品11bの意匠面には、第一の立体加飾品11aの杢目模様に加えて、さらに木材の導管部を立体的に象った模様が加飾されている。導管部は、木材の表面に露出する木の導管の一部であり、特にラワン材に特徴的に見られる線状の構造物である。この第二の立体加飾品11bの杢目模様は、第二の立体加飾品11bの意匠面に立体的に形成された凹凸形状により構成されるとともに、第二のフィルム13bに平面的に印刷された第二の杢目柄21bにより構成されている。凹凸形状は、基材12の表面に立体的に形成された上記凹凸22に沿って、第二のフィルム13bを密着させるように配置することにより形成されている。
図3(a)に示すように、第二のフィルム13bの表面には、多数の年輪線31と、隣接する年輪線31の中間部において、該年輪線31に沿って延びるように配置された多数の導管線32とを備えた第二の杢目柄21bが印刷されている。導管線32は、上記導管部を平面的に象った線状の構造物よりなり、具体的には上記微小凹凸28を平面的に象った線状の構造物よりなる。よって、各導管線32の長手方向の長さは、幅方向の長さ(幅)よりも長く、好ましくは幅方向の長さの1〜10倍に形成されている。
図3(b)、(c)に示すように、第二のフィルム13bは、第二の杢目柄21bを凹凸22に対応させるようにして、基材12の表面に沿って立体的に配置されている。その結果、第二のフィルム13bに印刷された第二の杢目柄21bは、各年輪線31を基材12の尾根部26及び長溝部27に対してそれぞれ上下に一致させるとともに、各導管線32を基材12の微小凹凸28に対してそれぞれ上下に一致させるようにして配置されている。
次に、上記第一及び第二の立体加飾品11a,11bの作用について説明する。
上記立体加飾品11a,11bは、例えば、フィルム13a,13bを金型内にインサートしてインモールド成形することにより、基材12の表面に平坦なフィルム13a,13bを備えた成形品を作製した後、凹凸22に対応する凹凸形状が彫刻された治具をフィルム13a,13b側に熱プレスすることにより製造される。なお、熱プレスする際には、治具に彫刻された凹凸形状と、フィルム13a,13bに印刷された杢目柄21a,21bとが上下に一致するように位置合わせされる必要がある。ちなみに、治具を用いた熱プレスで200μmを超える最大高さHmを有する凹凸形状を形成する場合、意匠性の高い意匠面を形成させることが難しくなる傾向がある。
さて、第一の立体加飾品11aは、意匠面に30〜200μmの最大高さHmを有する凹凸形状を備えているため、実際に立体的な構造を有している。その結果、視覚的及び触覚的な立体感を与える。さらに、立体加飾品11aの意匠面には、印刷された杢目柄21aが凹凸22に対応するように配置されているため、視覚的な立体感がより一層高められている。よって、この立体加飾品11aは、視覚的及び触覚的に天然の木材の風合いを感じさせる。さらに、第一の立体加飾品11aの意匠面には、凹凸22の尾根部26及び長溝部27に沿って年輪線31が配置されている。このため、年輪線31が凹凸22によって際立って見えるようになるため、立体加飾品11aの意匠面では、視覚的な立体感がより一層高められている。
一方、第二の立体加飾品11bの意匠面は、上述した第一の立体加飾品11aと同様に、視覚的及び触覚的に天然の木材の風合いを感じさせるとともに、年輪線31に沿って延びる多数の導管線32を備えているため、ラワン目調となり、天然のラワン材の風合いを視覚的に感じさせる。さらに、この立体加飾品11bの基材12の表面は、木材の年輪を立体的に象った形状に加えて、木材の導管部を立体的に象った多数の微小凹凸28を備えている。微小凹凸28は、フィルム13bを介して立体加飾品11bの意匠面にざらついた木材のような触感を付与する。さらに、導管線32は、微小凹凸28に対応するように配置されているため、立体加飾品11bの意匠面では、導管線32が際立って見えるようになり、視覚的な立体感がより一層高められている。よって、視覚的及び触覚的に天然の木材により近い風合いを感じさせる。
実際に、本発明者らは、下記表1に示すように凹凸22の最大高さHmがそれぞれ異なる複数の第一の立体加飾品11aを製造し、触感についての官能評価を試みた。各立体加飾品11aの意匠面は、最大高さHmの相違に比例するように、高さ方向にほぼ相似となる凹凸形状に形成されている。製造された各立体加飾品11aの意匠面における触感について、5名のパネラーによる官能評価を行った。結果を下記表1に示す。
Figure 2007050644
その結果、最大高さHmが30μm以上(表1では、30〜140μmの範囲内)であれば、十分な触感を与え得ることが判明した。
次に、本発明者らは、図2(b)及び図2(c)に示す第一の立体加飾品11a、並びに、図3(b)及び図3(c)に示す第二の立体加飾品11bをそれぞれ製造した。製造された4種類の立体加飾品11a,11bの意匠面における触感、凹凸感及び光沢感について、官能評価を行った。
その結果、微小凹凸28を設けることにより、触感が飛躍的に向上することが判明し、さらに各微小凹凸28と導管線32とを対応させることにより、視覚的な立体感が飛躍的に向上することが判明した。また、これらの立体加飾品11a,11bでは、光沢感を際立って強く感じさせることもないため、天然の木材の風合いをより強く感じさせることが可能になっている。
上記実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 本実施形態の第一の立体加飾品11aは、意匠面に30〜200μmの最大高さHmを有する凹凸形状を備えているため、実際に立体的な構造を有している。その結果、視覚的及び触覚的な立体感を与えることができる。さらに、立体加飾品11aの意匠面には、印刷された杢目柄21aが凹凸22に対応するように配置されているため、視覚的な立体感がより一層高められている。よって、この立体加飾品11aは、視覚的及び触覚的に天然の木材の風合いを感じさせることができる。
(2) 本実施形態の第一の立体加飾品11aの意匠面には、凹凸22の尾根部26及び長溝部27に沿って年輪線31が配置されている。このため、年輪線31が凹凸22によって際立って見えるようになるため、立体加飾品11aの意匠面では、視覚的な立体感がより一層高められている。
(3) 本実施形態の第二の立体加飾品11bの意匠面は、前記(1)及び(2)と同様に、視覚的及び触覚的に天然の木材の風合いを感じさせることができる。さらに、この第二の立体加飾品11bの意匠面は、年輪線31に沿って延びる多数の導管線32を備えているため、ラワン目調となり、天然のラワン材の風合いを視覚的に感じさせることも可能にする。特に、ラワン材は、代表的な木材としてなじみの深いものであるうえ、金属や樹脂等との比較において、導管部を中心として視覚的に木材独特の特徴を有しているため、天然の木材の風合いを感じさせるのに非常に適している。
(4) 本実施形態の第二の立体加飾品11bの基材12の表面は、木材の年輪を立体的に象った形状に加えて、木材の導管部を立体的に象った多数の微小凹凸28を備えている。微小凹凸28は、フィルム13bを介して立体加飾品11bの意匠面にざらついた木材のような触感を付与することを可能にする。さらに、導管線32は、微小凹凸28に対応するように配置されているため、立体加飾品11bの意匠面では、導管線32が際立って見えるようになり、視覚的な立体感がより一層高められている。よって、視覚的及び触覚的に天然の木材により近い風合いを感じさせることを可能にする。
(変更例)
なお、上記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 杢目柄21a,21bは、フィルム13a,13bの裏面に印刷されていてもよい。また、フィルム13a,13bを多層構造に形成し、杢目柄21a,21bをフィルム13a,13bの表面及び裏面に露出しない位置に印刷してもよい。
・ 第二の立体加飾品11bにおいて、微小凹凸28を省略してもよい。但しこの場合、第二のフィルム13bには、導管線32が印刷されている。また、第一の立体加飾品11aにおいて、微小凹凸28を省略してもよい。
・ 年輪線31は、基材12の凹凸22の尾根部26のみに沿って配置されていてもよい。逆に、年輪線31は、基材12の凹凸22の長溝部27のみに沿って配置されていてもよい。
さらに、上記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記意匠面はラワン目調に形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の立体加飾品。
・ 自動車の内装部品に用いられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の立体加飾品。
(a)は第一の立体加飾品を示す平面図、(b)は図1(a)の1b−1b線に沿った断面図、(c)は図1(a)の1c−1c線に沿った断面図。 (a)は第一のフィルムの一部を拡大した平面図、(b)及び(c)はいずれも、第一の立体加飾品の一部を拡大した斜視図。 (a)は第二のフィルムの一部を拡大した平面図、(b)及び(c)はいずれも、第二の立体加飾品の一部を拡大した斜視図。
符号の説明
11a,11b…立体加飾品、12…基材、13a,13b…フィルム、21a,21b…杢目柄、22…凹凸、26…尾根部、27…長溝部、28…微小凹凸、31…年輪線、32…導管線、Hm…最大高さ。

Claims (4)

  1. 木材の風合いを有する意匠面を備えた立体加飾品であって、
    該立体加飾品は、前記木材の表面を立体的に象った凹凸を表面に備えた基材と、該基材の表面を覆うフィルムとを備え、
    前記凹凸は、30〜200μmの最大高さを有し、
    前記フィルムには、前記木材の表面を平面的に象った杢目柄が印刷され、
    前記フィルムは、前記杢目柄を前記凹凸に対応させるようにして、前記基材の表面に沿って配置されていることを特徴とする立体加飾品。
  2. 前記杢目柄は、前記木材の年輪を平面的に象った複数の年輪線を備え、
    該各年輪線は、前記凹凸の尾根部及び長溝部に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の立体加飾品。
  3. 前記杢目柄は、前記木材の導管部を平面的に象った複数の導管線を備え、
    該各導管線は、隣接する前記年輪線の間で該年輪線に沿って延びるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の立体加飾品。
  4. 前記基材の表面には、前記木材の導管部を立体的に象った複数の微小凹凸が設けられ、
    前記各導管線は、前記微小凹凸に対応するように配置されていることを特徴とする請求項3に記載の立体加飾品。
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