JP2007047250A - 配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法、投射型表示装置 - Google Patents

配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法、投射型表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 転写技術を用い、耐光性及び耐熱性に優れた無機系配向膜を簡便且つ高効率に製造する方法を提供する。
【解決手段】 本発明の配向膜の製造方法は、所定角度で傾斜してなる複数の柱状物31を具備した型基板30を作成する第1工程と、前記柱状物31の形状を透光性の無機誘電体材料からなる膜41にナノインプリント法を用いて転写し、当該透光性の無機誘電体材料からなる配向膜を得る第2工程と、を備えることを特徴とする。
【選択図】 図4

Description

本発明は、配向膜の製造方法、液晶装置の製造方法、投射型表示装置に関する。
プロジェクタ等の投射型表示装置における光変調装置として、液晶装置が用いられている。このような液晶装置としては、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された構成のものが知られており、この一対の基板の内側には、液晶層に電圧を印加するための電極が形成されている。また、この電極の内側には、電圧無印加時において液晶分子の配列を制御する配向膜が形成され、配向膜の形成方法として例えば特許文献1のようなものがある。
特開2001−235753号公報
上記特許文献1では、液晶装置用基板の表面に未硬化の樹脂層を形成し、前記樹脂層の表面に対して型材に形成した所定の凹凸を転写し、然る後に前記樹脂層を硬化させることにより、前記型材の凹凸が転写された前記樹脂層を配向膜とするものである。しかしながら、特許文献1では、ポリイミド等の有機系の配向膜形成方法が開示されているが、プロジェクタ用ランプのように高輝度化やパネルの小型化を考えた場合、有機系配向膜は耐光性や耐熱性に劣る問題がある。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、転写技術を用い、耐光性及び耐熱性に優れた無機系配向膜を簡便且つ高効率に製造する方法を提供することを目的としている。また、本発明はプロジェクタ用の光変調装置として好適に用いられる液晶装置の製造方法、さらにはそのような方法によって得られた液晶装置を備える投射型表示装置を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の配向膜の製造方法は、所定角度で傾斜してなる複数の柱状物を具備した型基板を作成する第1工程と、前記柱状物の形状を透光性の無機誘電体材料からなる膜にナノインプリント法を用いて転写し、当該透光性の無機誘電体材料からなる配向膜を得る第2工程と、を備えることを特徴とする。
このような製造方法によると、無機系の配向膜を提供することができ、例えばプロジェクタ等の投射型表示装置に具備される光変調装置としての液晶装置に当該配向膜を用いた場合にも、当該配向膜は光劣化や熱劣化等が生じ難いものとなる。
また、上記製造方法では、ナノインプリント法を用いた転写技術により配向膜を製造するものとしているため、非常に簡便で、製造コスト削減に寄与することも可能となる。つまり、例えば所定角度で傾斜してなる複数の柱状物を具備した配向膜を斜方蒸着法やイオンビームスパッタ法等により形成する場合に比して、本発明では一度型基板をこれら斜方蒸着法やイオンビームスパッタ法等により製造すれば、後はナノインプリント法により当該柱状物と同形状の配向膜を高効率で再現できるため、製造効率が大幅に向上するのである。
また、上記製造方法では、ナノインプリント法を用いているため、ナノレベルで柱状物の形状を容易に制御できるようになり、例えば転写時の押し付け力を制御することにより当該柱状物の高さを容易に制御することができるようになる。また、斜方蒸着法やイオンビームスパッタ法等により柱状物を基板上に形成してこれを直接配向膜とする場合に比して、ナノインプリント法を用いた本発明では、基板全面に緻密な配向膜を形成することができる。したがって、当該配向膜を液晶装置に用いた場合には、液晶装置のパネル際からの水分のパスを防止することができるようになる。
さらに、上記製造方法では、斜方蒸着法やイオンビームスパッタ法により配向膜を形成する場合には、基板に対して斜め方向から材料を付着させているため、基板上において不均一な形状の柱状物(例えば不均一な高さの柱状物)ができ易いが、本発明では斜方蒸着法等により基板に付着させた柱状物のうち形状が均一なもの(例えば高さが均一な部分)を用いて当該型基板を作成すれば、これを転写して形成する配向膜は均一な形状、高さの柱状物を具備することとなる。
また、上記製造方法では、形成する配向膜の上面を面一とすることができる。つまり、斜方蒸着等により高さの不揃いな柱状物を形成した型基板であっても、転写後には、転写対象の膜がその不揃いを吸収するため、形成される配向膜の上面は面一となるのである。
前記第1工程において、前記柱状物は、斜方蒸着法やイオンビームスパッタ法により形成することができる。斜方蒸着法やイオンビームスパッタ法によれば、所定角度の柱状物を具備する型基板を好適に作成することができる。
また、前記第1工程において、前記柱状物として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、銀、金、銅、パラジウム、白金、アルミニウム、ロジウム、シリコン、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、チタン、ルテニウム、二オブ、ネオジウム、イッテルビウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、ビスマス、若しくはこれら金属の合金のいずれかからなるものを用いることができる。このような材料によると、斜方蒸着法等により好適に柱状物を形成することができる。なお、イオンビームスパッタ法によると、無機材料と有機材料のハイブリッドからなる柱状物を形成することもできる。
前記転写工程は、基板上に形成した透光性の無機誘電体材料からなる膜上にレジストを形成する工程と、形成したレジストに前記柱状物の形状をナノインプリント法により転写する工程と、該レジストに転写した柱状物の形状をドライエッチングにより当該レジストの下層に配設された前記透光性の無機誘電体材料からなる膜に転写する工程と、を含むものとすることができる。
或いは、前記転写工程は、基板上に加熱によりセラミックス化するゲル状物を形成する工程と、該ゲル状物に対して前記柱状物の形状をナノインプリント法により転写する工程と、該転写した後のゲル状物に対して加熱を行い、透光性の無機誘電体材料であるセラミックスの膜を形成する工程と、を含むものとすることもできる。
このような転写工程により、透光性の無機誘電体材料からなる配向膜を好適に製造することができるようになる。
次に、上記課題を解決するために、本発明の液晶装置の製造方法は、一対の基板間に液晶層を具備してなる液晶装置の製造方法であって、基板上に電極を形成する工程と、前記電極上に配向膜を形成する工程とを含み、前記配向膜を形成する工程は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配向膜の製造方法を用いることを特徴とする。このような製造方法により、耐光性及び耐熱性に優れた配向膜を具備した液晶装置を提供することができるようになる。
また、上記課題を解決するために、本発明の投射型表示装置は、光源装置と、該光源装置から射出された光を変調する光変調装置と、該光変調装置により変調された光を投射する投射装置とを備える投射型表示装置であって、前記光変調装置は液晶装置からなり、当該液晶装置が上述した製造方法により得られたものであることを特徴とする。
このような投射型表示装置は信頼性が非常に高いものとなる。つまり、上述した方法により製造された配向膜は有機材料を含まない構成であるため、当該配向膜を含む液晶装置により光変調装置を構成すれば、当該光変調装置の耐光性や耐熱性が非常に高いものとなるのである。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
[プロジェクタ]
図1は、本発明の投射型表示装置の一実施形態として、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。本実施形態のプロジェクタは、光変調装置として液晶装置を用いた液晶プロジェクタである。
図1において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶装置からなる光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズ、831、832、833は入射側の偏光板、834、835、836は出射側の偏光板である。
光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。なお、光源810としては、メタルハライド以外にも超高圧水銀ランプ、フラッシュ水銀ランプ、高圧水銀ランプ、Deep UVランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ等を用いることも可能である。
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、偏光板831を介して赤色光用液晶光変調装置822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、偏光板832を介して緑色光用液晶光変調装置823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が偏光板833を介して青色光用液晶光変調装置824に入射される。
各光変調装置822〜824により変調された3つの色光は、各色偏光板834〜836を介してクロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
[光変調装置]
図2は、図1に示したプロジェクタに搭載された光変調装置(液晶装置)822〜824の構成を示す断面模式図である。
液晶装置822〜824は、ガラスやプラスチック等の透明基板で構成される2枚の基板(素子基板10,対向基板20)を含んで構成され、該一対の基板10,20間に液晶層50が挟持されている。素子基板10の液晶層50側にはITO等で構成された透明電極9がマトリクス状に形成されており、透明電極9のさらに液晶層50側には、液晶分子の配向規制を行う配向膜11が基板全面に形成されている。
一方、対向基板20の液晶層50側には、基板全面にベタ状の透明電極23が形成されており、透明電極23のさらに液晶層50側には、液晶分子の配向規制を行う配向膜21が基板全面にベタ状に形成されている。
図2の構成においては、一対の基板10,20が、シール材(図示略)を介して貼り合わせられ、その内部に液晶が封入されている。この場合、液晶層50の液晶モードとしてTN(Twisted Nematic)モードが採用されているが、その他にもSTN(Super Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード等を採用することができる。
素子基板10は、ガラスや石英等の透光性の基板であって、画素電極9に対する電圧印加をスイッチング駆動するTFT素子(図示略)を備えている。画素電極9はITO(インジウム錫酸化物)等の透光性且つ導電性の材料にて構成されており、膜厚が50nm〜100nm程度(例えば85nm)とされている。また、配向膜11は、Alからなる柱状物が所定角度で傾斜してなる構成とされており、該柱状物により液晶分子の配向を規制している。なお、配向膜11の膜厚は10nm〜100nm程度(例えば25nm)とされている。
一方、対向基板20は、素子基板10と同様、ガラスや石英等の透光性の基板から構成されており、その液晶層側にITO(インジウム錫酸化物)等の透光性且つ導電性の材料にて構成された共通電極23が、膜厚50nm〜150nm程度(例えば140nm)に形成されている。また、共通電極23のさらに液晶層側には配向膜21が形成されており、該配向膜21は、上記配向膜11と同様、Alからなる柱状物が所定角度で傾斜してなる構成とされ、該柱状物により液晶分子の配向を規制している。なお、配向膜11の膜厚は10nm〜100nm程度(例えば25nm)とされている。
このような液晶装置822〜824では、図1に示した偏光板831,832,833を介して入射する直線偏光の位相制御が行われる。つまり、電極9,23に対する印加電圧により液晶層50の駆動制御を行い、当該入射光の位相を制御するものとしている。位相制御された光は、光射出側に配設された偏光板834,835,836に入射して変調される。
ところで、上記本実施形態の液晶装置822〜824に具備された配向膜11,21は、ともに透光性の無機誘電体材料であるAlから構成されている。具体的には、基板面に対して所定角度で傾斜した柱状物41aにより構成され(図6参照)、該柱状物41aがAlからなるものとされている。なお、図6においては、基板10,20と、基板10,20上に形成された電極11,21とを総称して基板40としており、電極11,21の図示は省略している。
図1に示したプロジェクタが具備するメタルハライドランプ811からなる光源810は、高エネルギーの発光が行われるものであるため、有機材料では当該高エネルギーの光により分解ないし変形が生じる惧れがある。しかしながら、上述のように本実施形態では、耐光性及び耐熱性の高い無機材料で配向膜11,21を構成しているため、そのような高エネルギーの光による分解や変形は極めて生じ難いものとなっている。また、当該配向膜11,21は、以下に示すような方法により製造しているため、製造コストも安価で、非常に信頼性の高いものとなっている。
[配向膜の製造方法]
以下、配向膜11,21の製造方法の一例について説明する。図3は、型基板の製造工程を示す断面模式図、図4は当該型基板を用いた転写工程を示す断面模式図、図5は転写後であってドライエッチングを行う前の形状を示す断面模式図、図6はドライエッチング後の形状を示す断面模式図である。
図3に示すように、ガラス等からなる型形成基板30に対してSiOからなる蒸着材料32を斜方蒸着することにより、SiOの柱状物31からなる蒸着膜33を備える型基板30を作成する。ここで、斜方蒸着は例えば図9に示すような装置を用いて行う。
図9は、蒸着膜形成に用いる斜方蒸着装置300の外観を模式的に示す説明図である。この蒸着装置300は、酸化珪素の蒸気を生じさせる蒸着源302と、酸化珪素の蒸気が流通可能な開口部303aを備える蒸気流通部303と、上記凸状部207を備えた基板Sを蒸着源302に対して所定角度傾斜させて配設する基板配設部307とを具備する蒸着室308、蒸着室308を真空にするための真空ポンプ310を備えている。
この場合の蒸着方法は以下の通りである。まず、真空ポンプ310を作動させると、蒸着室308が真空化し、さらに加熱装置(図示略)により蒸着源302を加熱すると蒸着源302から酸化珪素の蒸気が発生する。そして、蒸着源302から発生した酸化珪素の蒸気流は、開口部303aを通過し、所定の角度(蒸着角:本実施の形態では80°(基板法線を0°とする))で基板Sの表面に蒸着されるものとされている。
以上のような装置300を用いた方法により、図3に示すような蒸着膜33を備える型基板30を得ることができる。なお、ここでは柱状物31としてSiOからなるものを採用しているが、SiO以外にも、例えば酸化アルミニウム、酸化亜鉛、銀、金、銅、パラジウム、白金、アルミニウム、ロジウム、シリコン、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、チタン、ルテニウム、二オブ、ネオジウム、イッテルビウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、ビスマス、若しくはこれら金属の合金、或いは無機材料と有機材料とのハイブリッド材料のいずれかを用いることができる。また、柱状物31の形成方法としては、斜方蒸着法以外にも例えばイオンビームスパッタ法(IBS法)等を採用することも可能である。
このような型基板30を作成した後、図4に示すように型基板30が備える柱状物31の形状を転写部材45に転写させる。本実施形態の転写部材45は、ガラスからなる基板40上に形成された透光性の無機誘電体材料である酸化アルミニウム(Al)層41と、該酸化アルミニウム層41上に形成された樹脂からなるレジスト層42とを備えたものである。ここでは、ナノインプリント法により、型基板30の柱状物31の形状をレジスト層42に転写するものとしている(図5参照)。
なお、転写部材45の基板40上に形成する透光性の無機誘電体材料としては、酸化アルミニウム以外にも例えば酸化珪素を用いることも可能である。また、レジスト層42を構成する樹脂としては光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を採用することができる。
次に、柱状物31の形状が転写されたレジスト層42をドライエッチングすることで、当該レジスト層42が有する柱状物31の転写形状を、その下層の酸化アルミニウム層41に転写する。具体的には、エッチャントとして例えば(SF、CF、C、CHF、Cl、BCl、Ar、Nおよびこれらの混合ガスを用いることができ、このようなエッチングにより、図6に示すように酸化アルミニウムからなる柱状物41aを基板40上に形成することができる。なお、基板40は図2に示した電極11,21が形成されているが、ここでは省略している。
一方、配向膜11,21の製造方法として、例えばゾルゲル法を応用した手法を採用することもできる。ゾルゲル法は、セラミックスを作製する比較的新しい方法である。ゾルゲル法では、ゾルと呼ばれる溶液から出発し、加水分解・縮重合を経てゼリー状の固体であるゲルを作製する。そして、熱処理を行うことによって、内部に残された溶媒を取り除き、更に緻密化を促進させることによってセラミックスを得るものである。このため、原料を溶融し、再固化させるような方法に比べて、プロセス温度を低く抑えることができ、また、斜方蒸着法等の気相法を用いる場合に比べて、製造装置の小型化及びプロセスの簡略化を図ることができる。また、ゾルゲル法は、液相からの作製法であることから、原子を分子レベルで均質に混合することが可能であり、組成の制御も容易である。また、化学反応を利用して低温で作製することができることから、有機材料と無機材料との複合化が可能になる。有機・無機複合材料は、有機材料と無機材料の双方の特性を併せ持つ新規な材料であり、有機材料の特性である良好な配向性と、無機材料の特性である高い信頼性を併せ持つ新規な配向膜の形成が容易に可能となる。
具体的には、図7に示すように、転写部材45としてガラス基板50上にゲル状物51を形成したものを用意する。このゲル状物51は、ゾル状の金属アルコキシドをガラス基板50上に塗布した後、これを加水分解することで得ることができる。そして、ゲル状物51に対して、図3に示した型基板30の柱状物31の形状をナノインプリント法により転写し、転写形状をゲル状物51に付与するとともに、当該ゲル状物51を加熱処理することで硬化させ、図8に示すような無機質の配向膜51aを形成する。この場合の配向膜51aも、柱状物が所定角度で傾斜してなるもので、図1に示したプロジェクタに搭載する光変調装置としての液晶装置に配向膜として好適に用いられるものとなる。
以上のような図3〜図6に示した製造方法、或いは図7〜図8に示した製造方法によると、無機系の配向膜を提供することができるため、上述の通り高エネルギーの光を用いるプロジェクタに、当該配向膜を用いた液晶装置を搭載した場合にも、該配向膜は光劣化や熱劣化等が生じ難いものとなる。
また、上記製造方法では、ナノインプリント法を用いた転写技術により配向膜を製造するものとしているため、その方法は非常に簡便で、製造コスト削減に寄与することも可能となる。つまり、例えば所定角度で傾斜してなる複数の柱状物を具備した配向膜を斜方蒸着法により形成する場合に比して、上記実施形態では一旦型基板をこれら斜方蒸着法等により製造すれば、後はナノインプリント法により当該柱状物と同形状の配向膜を高効率で再現できるため、製造効率が大幅に向上することとなる。
また、上記製造方法では、ナノインプリント法を用いているため、ナノレベルで柱状物の形状を容易に制御できるようになり、例えば転写時の押し付け力を制御することにより当該柱状物の高さを容易に制御することができるようになる。また、斜方蒸着法等により柱状物を基板上に形成してこれを直接配向膜とする場合に比して、ナノインプリント法を用いた場合は、基板全面に緻密な配向膜を形成することができる。したがって、当該配向膜を液晶装置に用いた場合には、液晶装置のパネル際からの水分のパスを防止することができるようになる。
また、上記製造方法では、斜方蒸着法等により配向膜を形成する場合には、基板に対して斜め方向から材料を付着させているため、基板上において不均一な形状の柱状物(例えば不均一な高さの柱状物)ができ易いが、上記実施形態では斜方蒸着法等により基板に付着させた柱状物のうち形状が均一なもの(例えば高さが均一な部分)を用いて当該型基板を作成すれば、これを転写して形成する配向膜は均一な形状、高さの柱状物を具備することとなる。
また、上記製造方法では、形成する配向膜の上面を面一とすることができる。つまり、斜方蒸着等により高さの不揃いな柱状物を形成した型基板であっても、転写後には、転写対象の膜がその不揃いを吸収するため、形成される配向膜の上面は面一となるのである。
なお、図2に示した液晶装置822〜824を製造するには、以下のような工程を経る。まず、素子基板10に対して、真空蒸着或いはスパッタリングによりITO(インジウム錫酸化物)を全面塗布した後、フォトリソグラフィ法により画素毎にパターニングして、画素電極9を形成する。そして、該画素電極9を含む素子基板10上に上述したナノインプリント法を用いた手法により配向膜11を形成する。一方、対向基板20に対しても、真空蒸着或いはスパッタリングによりITO(インジウム錫酸化物)を全面塗布して対向電極23を形成する。そして、該対向電極23を含む対向基板20上に上述したナノインプリント法を用いた手法により配向膜21を形成する。
その後、これら配向膜11,21を形成した各基板10,20間に液晶層50を介在させつつ、両基板10,20をシール材(図示略)により貼り合わせることで、図2に示した液晶装置822〜824を得ることができる。
以上、本発明の実施の形態を示したが、本発明は上記実施の形態に限られるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、且つ当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、本実施の形態では、上記実施の形態で示したナノインプリント法を用いた手法により製造した配向膜は、反射型の液晶装置に採用することも可能で、また当該配向膜を用いた液晶装置は、投射型のプロジェクタに限らず、直視型のプロジェクタにも光変調装置として採用することができる。
本実施形態のプロジェクタの概略構成を示す模式図。 光変調装置として用いた液晶装置の一実施形態を模式的に示す断面図。 配向膜の製造に用いる型基板の一実施形態を模式的に示す断面図。 配向膜の一製造工程を模式的に示す断面図。 図4に続いて配向膜の一製造工程を模式的に示す断面図。 図5に続いて配向膜の一製造工程を模式的に示す断面図。 配向膜の異なる製造方法について、その一製造工程を模式的に示す断面図。 図7に続いて配向膜の一製造工程を模式的に示す断面図。 蒸着装置の一実施形態を模式的に示す説明図。
符号の説明
30…型基板、31…柱状物、41…酸化アルミニウム層(透光性無機誘電体材料膜)

Claims (8)

  1. 所定角度で傾斜してなる複数の柱状物を具備した型基板を作成する第1工程と、
    前記柱状物の形状を透光性の無機誘電体材料からなる膜にナノインプリント法を用いて転写し、該透光性の無機誘電体材料からなる配向膜を得る第2工程と、を備えることを特徴とする配向膜の製造方法。
  2. 前記第1工程において、前記柱状物は、斜方蒸着法により形成することを特徴とする請求項1に記載の配向膜の製造方法。
  3. 前記第1工程において、前記柱状物は、イオンビームスパッタ法により形成することを特徴とする請求項1に記載の配向膜の製造方法。
  4. 前記第1工程において、前記柱状物として、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、銀、金、銅、パラジウム、白金、アルミニウム、ロジウム、シリコン、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、チタン、ルテニウム、二オブ、ネオジウム、イッテルビウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、ビスマス、若しくはこれら金属の合金のいずれかからなるものを用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配向膜の製造方法。
  5. 前記転写工程は、基板上に形成した透光性の無機誘電体材料からなる膜上にレジストを形成する工程と、形成したレジストに前記柱状物の形状をナノインプリント法により転写する工程と、該レジストに転写した柱状物の形状をドライエッチングにより当該レジストの下層に配設された前記透光性の無機誘電体材料からなる膜に転写する工程と、を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配向膜の製造方法。
  6. 前記転写工程は、基板上に加熱によりセラミックス化するゲル状物を形成する工程と、該ゲル状物に対して前記柱状物の形状をナノインプリント法により転写する工程と、該転写した後のゲル状物に対して加熱を行い、透光性の無機誘電体材料であるセラミックスの膜を形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配向膜の製造方法。
  7. 一対の基板間に液晶層を具備してなる液晶装置の製造方法であって、
    基板上に電極を形成する工程と、前記電極上に配向膜を形成する工程とを含み、
    前記配向膜を形成する工程は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の配向膜の製造方法を用いることを特徴とする液晶装置の製造方法。
  8. 光源装置と、該光源装置から射出された光を変調する光変調装置と、該光変調装置により変調された光を投射する投射装置とを備える投射型表示装置であって、
    前記光変調装置は液晶装置からなり、当該液晶装置が請求項7に記載の製造方法により得られたものであることを特徴とする投射型表示装置。
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