JP2007045197A - 車両のロール剛性配分制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 車両搭載性の悪化、コスト高を伴うことなく、自由度の高いロール剛性配分制御を実現する車両のロール剛性配分制御装置を提供する。
【解決手段】 前輪側スタビライザー1,2と後輪側スタビライザー3とを備えた車両において、前輪側スタビライザーのロール剛性を3段階に変更する前輪側ロール剛性変更装置4,5と、後輪側スタビライザー3のロール剛性を2段階に変更する後輪側ロール剛性変更装置6と、車速および路面状態に応じて前輪側ロール剛性変更装置4,5と後輪側ロール剛性変更装置6の設定で決まるロール剛性配分を制御するコントロールユニット10と、を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 前輪側スタビライザー1,2と後輪側スタビライザー3とを備えた車両において、前輪側スタビライザーのロール剛性を3段階に変更する前輪側ロール剛性変更装置4,5と、後輪側スタビライザー3のロール剛性を2段階に変更する後輪側ロール剛性変更装置6と、車速および路面状態に応じて前輪側ロール剛性変更装置4,5と後輪側ロール剛性変更装置6の設定で決まるロール剛性配分を制御するコントロールユニット10と、を備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、走行状態に応じてロール剛性配分を制御する車両のロール剛性配分制御装置の技術分野に属する。
従来、車速と車両の横加速度に応じてエアスプリングのばね定数とショックアブソーバの減衰力を多段階に切り替えることで、ロールの低減とヨー特性との向上を図る車両の電子制御サスペンションが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平8−183317号公報
しかしながら、上記従来技術にあっては、エアサスペンションを用いてサスペンションのばね定数を切り替えているため、車両搭載性の低下、重量増、コスト高を招くという問題があった。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、車両搭載性の悪化、コスト高を伴うことなく、自由度の高いロール剛性配分制御を実現する車両のロール剛性配分制御装置を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明では、
前輪側スタビライザーと後輪側スタビライザーとを備えた車両において、
前記前輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更する前輪側ロール剛性変更手段と、
前記後輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更する後輪側ロール剛性変更手段と、
走行状態に応じて前記前輪側ロール剛性変更手段と前記後輪側ロール剛性変更手段の設定で決まるロール剛性配分を制御するロール剛性配分制御手段と、
を備えることを特徴とする。
前輪側スタビライザーと後輪側スタビライザーとを備えた車両において、
前記前輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更する前輪側ロール剛性変更手段と、
前記後輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更する後輪側ロール剛性変更手段と、
走行状態に応じて前記前輪側ロール剛性変更手段と前記後輪側ロール剛性変更手段の設定で決まるロール剛性配分を制御するロール剛性配分制御手段と、
を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、走行状態に応じて少なくとも4つのパターンのロール剛性配分を選択でき、しかもロール剛性を切り替えつつ、ロール剛性配分を一定とすることも可能であるため、自由度の高い制御を実現できる。また、エアサスペンションが不要であるため、車両搭載性の低下、重量増、コスト高を招くことが無い。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施例1の車両のロール剛性配分制御装置を適用した車両を示す全体構成図である。実施例1のロール剛性制御装置は、前輪側第1スタビライザー1と、前輪側第2スタビライザー2と、後輪側スタビライザー3と、前輪側第1ロール剛性変更装置4と、前輪側第2ロール剛性変更装置5と、後輪側ロール剛性変更装置(後輪側ロール剛性変更手段)6と、車速センサ(車速検出手段)7と、切り替えスイッチ8と、コントロールユニット(ロール剛性配分制御手段)10と、を備えている。
図1は、実施例1の車両のロール剛性配分制御装置を適用した車両を示す全体構成図である。実施例1のロール剛性制御装置は、前輪側第1スタビライザー1と、前輪側第2スタビライザー2と、後輪側スタビライザー3と、前輪側第1ロール剛性変更装置4と、前輪側第2ロール剛性変更装置5と、後輪側ロール剛性変更装置(後輪側ロール剛性変更手段)6と、車速センサ(車速検出手段)7と、切り替えスイッチ8と、コントロールユニット(ロール剛性配分制御手段)10と、を備えている。
前輪側第1スタビライザー1と前輪側第2スタビライザー2により、前輪側スタビライザーが構成される。また、前輪側第1ロール剛性変更装置4と前輪側第2ロール剛性変更装置5により、前輪側ロール剛性変更手段が構成される。
前輪側第1スタビライザー1および前輪側第2スタビライザー2は、左右前輪11,11の間に並列に配置されている。後輪側スタビライザー3は、後輪12,12の間に配置されている。
前輪側第1ロール剛性変更装置4は、前輪側第1スタビライザー1のロール剛性を2段階に切り替えるもので、前輪側第1スタビライザー1を軸方向に2分割した間に介装され、図2に示すように、スプライン部4a,4bと、カップリングスリーブ4cと、アーム部4dと、を備えている。
スプライン部4a,4bは、前輪側第1スタビライザー1の右側部1aと左側部1bの先端部にそれぞれ形成された同型のスプラインである。カップリングスリーブ4cは、内周に両スプライン部4a,4bと噛み合うスプライン溝が形成され、前輪側第1スタビライザー1に対し軸方向移動可能に設けられている。アーム部4dは、カップリングスリーブ4cの外周に形成された被ガイド部4eと係合しており、車体側に支持された図外のアクチュエータの駆動により、前輪側第1スタビライザー1の軸方向を所定範囲内で移動する。
前輪側第1ロール剛性変更装置4の作動(ON)時には、アーム部4dが図2の位置となり、カップリングスリーブ4cがスプライン部4a,4bと係合することで、前輪側第1スタビライザー1の右側部1aと左側部1bとが連結される。一方、前輪側第1ロール剛性変更装置5の非作動(OFF)時には、アーム部4dが図2の矢印の方向に移動してカップリングスリーブ4cとスプライン部4aとの係合が解除されることで、前輪側第1スタビライザー1の右側部1aと左側部1bとが切り離される。これにより、前輪側第1スタビライザー1のロール剛性が変更される。
前輪側第2ロール剛性変更装置5は、前輪側第2スタビライザー2を軸方向に2分割した間に介装され、前輪側第2スタビライザー2のロール剛性を2段階に切り替える。前輪側第2ロール剛性変更装置5の構造は、図2に示した前輪側第1ロール剛性変更装置4と同様である。
後輪側ロール剛性変更装置6は、後輪側スタビライザー3を軸方向に2分割した間に介装され、後輪側スタビライザー3のロール剛性を2段階に切り替える。後輪側第2ロール剛性変更装置6の構成は、図2に示した前輪側第1ロール剛性変更装置4と同様である。
車速センサ7は、各車輪の車輪速に基づいて、車両の車速(車体速)を検出し、コントロールユニット10へ逐次送信する。切り替えスイッチ8は、オンロード(良路)とオフロード(悪路)とでドライバがロール剛性のハード/ソフトを切り替えるためのスイッチであり、例えば、車室内のインストルメントパネルに配置されている。切り替えスイッチ8の信号は、コントロールユニット10へ逐次される。
図3は、実施例1の制御ブロック図である。
コントロールユニット10は、車速センサ7により検出された車速と、切り替えスイッチ8の信号とに基づいて、前後輪のロール剛性配分が走行シーンに適した値となるように、各ロール剛性変更装置4,5,6のON/OFF状態を選択し、前輪11,11と後輪12,12のロール剛性を変更する。
コントロールユニット10は、車速センサ7により検出された車速と、切り替えスイッチ8の信号とに基づいて、前後輪のロール剛性配分が走行シーンに適した値となるように、各ロール剛性変更装置4,5,6のON/OFF状態を選択し、前輪11,11と後輪12,12のロール剛性を変更する。
制御状態表示部9は、コントロールユニット10から各ロール剛性変更装置4,5,6へ出力されたON/OFF指令を受信して現在のロール剛性およびロール剛性配分の状態をドライバへ表示するモニタであり、例えば、インストルメントパネルに配置されている。
次に、作用を説明する。
[ロール剛性変更方法]
(車速に応じた前輪のロール剛性変更)
コントロールユニット10は、車速センサ7により検出された車速に応じて、前輪側第1ロール剛性変更装置4と前輪側第2ロール剛性変更装置5のON/OFF状態を以下のように切り替えることで、前輪のロール剛性を、低剛性、中間剛性、高剛性の3段階に変更する。
[ロール剛性変更方法]
(車速に応じた前輪のロール剛性変更)
コントロールユニット10は、車速センサ7により検出された車速に応じて、前輪側第1ロール剛性変更装置4と前輪側第2ロール剛性変更装置5のON/OFF状態を以下のように切り替えることで、前輪のロール剛性を、低剛性、中間剛性、高剛性の3段階に変更する。
低車速域では、前輪側第1ロール剛性変更装置4をOFF、前輪側第2ロール剛性変更装置5をOFFとし、前輪11,11のロール剛性を、前輪11,11のサスペンションスプリング(ばね定数)分のみの低剛性とする。
中車速域では、前輪側第1ロール剛性変更装置4をON、前輪側第2ロール剛性変更装置5をOFFとし、前輪11,11のロール剛性を、サスペンションスプリング分と前輪側第1スタビライザー1分とを合わせた中間剛性とする。
高車速域では、前輪側第1ロール剛性変更装置4をON、前輪側第2ロール剛性変更装置5をOFFとし、前輪11,11のロール剛性を、前輪11,11のサスペンションスプリング分と前輪側第1スタビライザー1分と前輪側第2スタビライザー2分とを合わせた高剛性とする。
中車速域では、前輪側第1ロール剛性変更装置4をON、前輪側第2ロール剛性変更装置5をOFFとし、前輪11,11のロール剛性を、サスペンションスプリング分と前輪側第1スタビライザー1分とを合わせた中間剛性とする。
高車速域では、前輪側第1ロール剛性変更装置4をON、前輪側第2ロール剛性変更装置5をOFFとし、前輪11,11のロール剛性を、前輪11,11のサスペンションスプリング分と前輪側第1スタビライザー1分と前輪側第2スタビライザー2分とを合わせた高剛性とする。
(路面状態に応じた後輪のロール剛性変更)
コントロールユニット10は、切り替えスイッチ8のON/OFF切り替えに応じて、後輪側ロール剛性変更装置6のON/OFFし、低剛性と高剛性の2段階に切り替える(路面状態検出手段に相当)。
切り替えスイッチ8がOFFの場合には、オンロード走行中と判断し、後輪側ロール剛性変更装置6をONとし、後輪12,12のロール剛性を、後輪12,12のサスペンションスプリング分と後輪側スタビライザー2分とを合わせた高剛性とする。
コントロールユニット10は、切り替えスイッチ8のON/OFF切り替えに応じて、後輪側ロール剛性変更装置6のON/OFFし、低剛性と高剛性の2段階に切り替える(路面状態検出手段に相当)。
切り替えスイッチ8がOFFの場合には、オンロード走行中と判断し、後輪側ロール剛性変更装置6をONとし、後輪12,12のロール剛性を、後輪12,12のサスペンションスプリング分と後輪側スタビライザー2分とを合わせた高剛性とする。
切り替えスイッチ8がONの場合には、オフロード走行中と判断し、後輪側ロール剛性変更装置6をOFFとし、後輪12,12のロール剛性を、後輪12,12のサスペンションスプリング分のみの低剛性とする。
[ロール剛性配分変更作用]
図4は前後輪のロール剛性と前後輪のロール剛性配分との関係を示す図、図5は実施例1の走行シーンに応じたロール剛性配分制御効果の一例を示す図である。
図4は前後輪のロール剛性と前後輪のロール剛性配分との関係を示す図、図5は実施例1の走行シーンに応じたロール剛性配分制御効果の一例を示す図である。
前輪のロール剛性の成分は、図4の横軸に示すように、前輪のサスペンションスプリング分(FrSPRG分)と、前輪側第1,第2スタビライザー1,2分(FrSTAB分=FrSTAB1分+FrSTAB2分)とから構成される。また、後輪のロール剛性の成分は、図4の縦軸に示すように、後輪のサスペンションスプリング分(RrSPRG分)と、後輪側スタビライザー3分(RrSTAB分)とから構成される。
図4中の直線は、ロール剛性配分一定を示している。実施例1では、ロール剛性配分が一定のときのステア特性がニュートラルステアとなるよう、サスペンションスプリングと各スタビライザー1,2,3の特性があらかじめ設定されている。
よって、図4において、ロール剛性配分がロール剛性配分一定を示す直線よりも上方に位置する場合には、直線から離れるほどオーバーステアがより強くなり、ロール剛性配分がロール剛性配分一定を示す直線よりも下方に位置する場合には、直線から離れるほどアンダーステアがより強くなる。
実施例1では、以下に示すように、走行シーンに応じてロール剛性配分を変更する。
実施例1では、以下に示すように、走行シーンに応じてロール剛性配分を変更する。
オンロード走行時のロール剛性配分
低車速域では、前輪のロール剛性は低剛性、後輪のロール剛性は高剛性あるため、ロール剛性配分は、図4の(5)となる。よって、ステア特性は強いオーバーステアとなり、旋回時の回頭性を向上させることができる。
中車速域では、前輪のロール剛性は中間剛性、後輪のロール剛性は高剛性であるため、ロール剛性配分は、4の(4)となる。よって、ステア特性は弱いオーバーテアとなり、操縦安定性の確保と車両の回頭性向上とを両立することができる。
高車速域では、前輪のロール剛性は高剛性、後輪のロール剛性は高剛性であるため、ロール剛性配分は、図4の(1)となる。よって、ステア特性はニュートラルステアとなり、操縦安定性の確保を図ることができる。
低車速域では、前輪のロール剛性は低剛性、後輪のロール剛性は高剛性あるため、ロール剛性配分は、図4の(5)となる。よって、ステア特性は強いオーバーステアとなり、旋回時の回頭性を向上させることができる。
中車速域では、前輪のロール剛性は中間剛性、後輪のロール剛性は高剛性であるため、ロール剛性配分は、4の(4)となる。よって、ステア特性は弱いオーバーテアとなり、操縦安定性の確保と車両の回頭性向上とを両立することができる。
高車速域では、前輪のロール剛性は高剛性、後輪のロール剛性は高剛性であるため、ロール剛性配分は、図4の(1)となる。よって、ステア特性はニュートラルステアとなり、操縦安定性の確保を図ることができる。
オフロード走行時のロール剛性配分
低車速域では、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性は共に低剛性であるため、ロール剛性配分は、図4の(3)となる。よって、ステア特性を弱いオーバーステアとなり、悪路走行性の向上と、悪路乗り心地の向上とを両立することができる。
中車速域では、前輪のロール剛性は中間剛性、後輪のロール剛性は低剛性であるため、ロール剛性配分は、図4の(2)となる。よって、前輪のロール剛性を中間値、後輪のロール剛性を低くすることで、ステア特性はニュートラルステアとなり、走破性/乗り心地の向上と操縦安定性の確保とを両立することができる。
高車速域では、前輪のロール剛性は高剛性、後輪のロール剛性は低剛性であるため、ロール剛性配分は、オンロード時と同様、図4の(1)となる。よって、操縦安定性の確保を図ることができる。
低車速域では、前輪のロール剛性と後輪のロール剛性は共に低剛性であるため、ロール剛性配分は、図4の(3)となる。よって、ステア特性を弱いオーバーステアとなり、悪路走行性の向上と、悪路乗り心地の向上とを両立することができる。
中車速域では、前輪のロール剛性は中間剛性、後輪のロール剛性は低剛性であるため、ロール剛性配分は、図4の(2)となる。よって、前輪のロール剛性を中間値、後輪のロール剛性を低くすることで、ステア特性はニュートラルステアとなり、走破性/乗り心地の向上と操縦安定性の確保とを両立することができる。
高車速域では、前輪のロール剛性は高剛性、後輪のロール剛性は低剛性であるため、ロール剛性配分は、オンロード時と同様、図4の(1)となる。よって、操縦安定性の確保を図ることができる。
[従来技術の問題点]
特開平8−183317号公報には、横加速度が所定値を超える低速操舵時は後輪側のロール剛性をソフトからハードに切り替え、横加速度が所定値を超える高速操舵時は前輪側のロール剛性をソフトからハードに切り替えることで、旋回時におけるロールの低減とヨー特性の向上との両立を図る車両の電子制御サスペンションが開示されている。
特開平8−183317号公報には、横加速度が所定値を超える低速操舵時は後輪側のロール剛性をソフトからハードに切り替え、横加速度が所定値を超える高速操舵時は前輪側のロール剛性をソフトからハードに切り替えることで、旋回時におけるロールの低減とヨー特性の向上との両立を図る車両の電子制御サスペンションが開示されている。
ところが、この従来技術では、エアサスペンションを用いてばね定数を切り替える構成であるため、車両搭載性の低下、重量増、コスト高を招くという問題があった。
また、減衰力切り替え装置として可変減衰ショックアブソーバを選択した場合、例えば定常的に旋回を行っている際のロール低減やヨー特性向上は見込めない、という問題があった。
また、減衰力切り替え装置として可変減衰ショックアブソーバを選択した場合、例えば定常的に旋回を行っている際のロール低減やヨー特性向上は見込めない、という問題があった。
さらに、サスペンションのばね定数を調節して車両のロールを抑制する場合、ステア特性等が変化するため、ロール運動のみならずヨー運動やピッチ運動にも影響を及ぼし、旋回性能の悪化やノーズダイブ等を伴うおそれがある。
[ロール剛性配分変更作用]
これに対し、実施例1の車両のロール剛性配分制御装置では、前輪11,11のロール剛性を3段階に切り替え可能とし、後輪12,12のロール剛性を2段階に切り替え可能とし、ロール剛性と同時にロール剛性配分を制御するため、走行シーンに応じた5つのロール剛性配分を選択でき、自由度の高い制御を実現できる。
これに対し、実施例1の車両のロール剛性配分制御装置では、前輪11,11のロール剛性を3段階に切り替え可能とし、後輪12,12のロール剛性を2段階に切り替え可能とし、ロール剛性と同時にロール剛性配分を制御するため、走行シーンに応じた5つのロール剛性配分を選択でき、自由度の高い制御を実現できる。
また、実施例1では、カップリングスリーブ4cを用いてスタビライザーを断接することで、ロール剛性のみを変更する構成であり、サスペンションスプリングのばね定数を変更しない。よって、エアサスペンションを採用した従来技術と比較して、構成が単純であり、車両搭載性の向上、重量減、低コストを実現できる。また、車両のヨー運動やピッチ運動等、ロール運動以外の車両の運動に影響を及ぼすことが無い。
[ロール剛性切り替え時のヨー特性不変作用]
実施例1では、スタビライザー機能の切り替えによってロール剛性を走行シーンに合わせて選択でき、かつ、以下の理由に基づき、車両のヨー特性(スタビリティファクタ)をほぼ一体に保つことができる。
実施例1では、スタビライザー機能の切り替えによってロール剛性を走行シーンに合わせて選択でき、かつ、以下の理由に基づき、車両のヨー特性(スタビリティファクタ)をほぼ一体に保つことができる。
(a) ロール剛性配分を一定に保つ
→(b) 旋回時の左右輪荷重移動量がロール剛性切り替えによらず前後輪共に不変
→(c) 旋回時の前後コーナリングパワーが共に不変
→(d) スタビリティファクタAも不変であり、車両ヨー特性が変化しない。
→(b) 旋回時の左右輪荷重移動量がロール剛性切り替えによらず前後輪共に不変
→(c) 旋回時の前後コーナリングパワーが共に不変
→(d) スタビリティファクタAも不変であり、車両ヨー特性が変化しない。
なお、スタビリティファクタAは、以下の式(1)で表すことができる。
A=−m×(Lf×Kf−Lr×Kr)/(2×L2×Kf×Kr) …式(1)
m:車両重量
Lf,lr:前後軸〜重心間距離
L:ホイールベース
Kf,Kr:タイヤの前後コーナリングパワー
A=−m×(Lf×Kf−Lr×Kr)/(2×L2×Kf×Kr) …式(1)
m:車両重量
Lf,lr:前後軸〜重心間距離
L:ホイールベース
Kf,Kr:タイヤの前後コーナリングパワー
例えば、緩やかなカーブを高車速で定常旋回しているとき、路面状態が良路→悪路→良路のように切り替わる場合について説明する。通常、良路から悪路へ進入したとき、ドライバはブレーキ操作を行うため、このときのロール剛性配分は、図4の(1)から(2)へと切り替わる。逆に、悪路から良路へ戻った場合、ドライバはアクセル操作により元の車速まで戻そうとするため、ロール剛性配分は、図4の(2)から(1)へと切り替わる。
上記走行シーンにおいて、ロール剛性配分を考慮せず、前後輪または前輪のロール剛性を変化させた場合、ロール剛性の変化に伴いステア特性も変化するため、車両のトレース性が悪化するおそれがあるが、実施例1では、ヨー特性が一定に保持されるため、乗り心地の維持と、車両のトレース性悪化の防止とを両立できる。
次に、効果を説明する。
実施例1の車両のロール剛性配分制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
実施例1の車両のロール剛性配分制御装置にあっては、以下に列挙する効果が得られる。
(1) 前輪側スタビライザー1,2と後輪側スタビライザー3とを備えた車両において、前輪側スタビライザーのロール剛性を3段階に変更する前輪側ロール剛性変更装置4,5と、後輪側スタビライザー3のロール剛性を2段階に変更する後輪側ロール剛性変更装置6と、走行状態(車速および路面状態)に応じて前輪側ロール剛性変更装置4,5と後輪側ロール剛性変更装置6の設定で決まるロール剛性配分を制御するコントロールユニット10と、を備える。よって、走行状態に応じて5つのパターンのロール剛性配分を選択でき、しかもロール剛性を切り替えつつ、ロール剛性配分を一定とすることが可能であるため、自由度の高い制御を実現できる。また、エアサスペンションが不要であるため、車両搭載性の低下、重量増、コスト高を招くことがない。
(2) 前輪側ロール剛性変更手段は、前輪側ロール剛性を、車両のステア特性がオーバーステアとなる低剛性と、ニュートラルステアとなる中間剛性と、アンダーステアとなる高剛性と、の3段階に変更し、後輪側ロール剛性変更装置6は、後輪側ロール剛性を2段階に変更する。よって、乗り心地の維持と、車両のトレース性悪化の防止とを両立できる。
(3) 車速を検出する車速センサ7を備え、コントロールユニット10は、前輪側スタビライザー1,2のロール剛性を、低車速域のとき低剛性、中車速域のとき中間剛性、高車速域のとき高剛性とする。よって、車速に応じて最適な前輪のロール剛性が得られる。
(4) 路面状態を検出する路面状態検出手段を備え、コントロールユニット10、後輪側スタビライザー3のロール剛性を、良路のとき高剛性、悪路のとき低剛性とするため、路面状態に応じて最適な後輪のロール剛性が得られる。
まず、構成を説明する。
図6は、実施例2の車両のロール剛性配分制御装置を適用した車両を示す全体構成図であり、実施例2は、実施例1の切り替えスイッチ8に代えて、路面状態を検出する路面状態検出センサ(路面状態検出手段)13を備えている。
図6は、実施例2の車両のロール剛性配分制御装置を適用した車両を示す全体構成図であり、実施例2は、実施例1の切り替えスイッチ8に代えて、路面状態を検出する路面状態検出センサ(路面状態検出手段)13を備えている。
路面状態検出センサ13は、路面反射光を検出する光学センサや、車輪速センサ等から路面状態を検出する。コントロールユニット10、車速センサ7により検出された車速と、路面状態検出センサ13により検出された路面状態に基づいて、ロール剛性配分を切り替える。
図7は、実施例2の前輪側第1ロール剛性変更装置14の構成を示す図であり、実施例2の第1ロール剛性変更装置14は、乾式多板クラッチ14aと、直流モータ14bと、コイルスプリング14cとを備えている。乾式多板クラッチ14aは、直流モータ14bが駆動していないとき、プリロード機構であるコイルスプリング14の付勢力により締結し、直流モータ14bの駆動により、締結を解除するように構成されている。
なお、前輪側第2ロール剛性変更装置15および後輪側ロール剛性変更装置16も、図7に示した構成と同様であるため、説明を省略する。
なお、前輪側第2ロール剛性変更装置15および後輪側ロール剛性変更装置16も、図7に示した構成と同様であるため、説明を省略する。
次に、作用を説明する。
[フェール時のロール剛性固定作用]
実施例2では、システム失陥時、乾式多板クラッチ14aに内蔵されたプリロード機構(コイルスプリング14c)の作用により、乾式多板クラッチ14aは締結状態であるため、前輪および後輪のロール剛性がハード(高い状態)となる。
[フェール時のロール剛性固定作用]
実施例2では、システム失陥時、乾式多板クラッチ14aに内蔵されたプリロード機構(コイルスプリング14c)の作用により、乾式多板クラッチ14aは締結状態であるため、前輪および後輪のロール剛性がハード(高い状態)となる。
よって、セダン等の主にオンロードを走行する車両において、直流モータ14bの故障等が発生し、システムが正常に作動しない場合でも、オンロード走行時のロールを低減しつつ、適切なヨー特性を確保できる。
[路面状態検出センサによるロール剛性配分変更作用]
実施例2では、路面状態検出センサ13により検出された路面状態に基づいてロール剛性配分を変更する構成であるため、路面状態の変化に応じて、最適なロール剛性およびロール剛性配分を選択できる。また、実施例1と比較して、ドライバのスイッチ操作が不要となり、ドライバの操舵負担を軽減できる。
実施例2では、路面状態検出センサ13により検出された路面状態に基づいてロール剛性配分を変更する構成であるため、路面状態の変化に応じて、最適なロール剛性およびロール剛性配分を選択できる。また、実施例1と比較して、ドライバのスイッチ操作が不要となり、ドライバの操舵負担を軽減できる。
次に、効果を説明する。
実施例2の車両のロール剛性配分制御装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果が得られる。
実施例2の車両のロール剛性配分制御装置にあっては、実施例1の効果(1)〜(4)に加え、以下の効果が得られる。
(5) 前輪側ロール剛性変更装置14,15および前記後輪側ロール剛性変更装置16は、コントロールユニット10による制御が不能のとき、前後輪のロール剛性をハード側に保持するため、セダン等の主にオンロードを走行する車両において、直流モータ14bの故障等、システムが正常に作動しない場合でも、車両のロールを低減しつつ、適切なヨー特性を確保できる。
(他の実施例)
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1,2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明したが、本発明の具体的な構成は、実施例1,2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
実施例1,2では、前輪のロール剛性を3段階に切り替え、後輪のロール剛性を2段階に切り替える例を示したが、本発明は、前輪のロール剛性を少なくとも2段階以上、後輪のロール剛性を少なくとも2段階以上に変更可能なロール剛性変更手段を備えていれば良く、例えば、特許第2585380号公報に記載された車両用スタビライザーの剛性可変装置等を用いても良い。
実施例1,2では、スタビライザーを締結または締結を解除することにより、ロール剛性を2段階に切り替える例を示したが、図8に示すように、乾式多板クラッチ14dの締結容量を多段階または無段階に変化させる構成としても良い。
また、実施例2では、フェール時にロール剛性をハード側に固定する例を示したが、ロール剛性をハード、ソフトのどちらに固定するかについては、車両毎の設計思想に基づいて選択する。例えば、オフロード車両の場合には、フェール時にソフト側に固定することで、サスペンションの路面追従性と適切なヨー特性との両方を確保でき、フェール時においても高いオフロード走破性を実現できる。
1 前輪側第1スタビライザー
2 前輪側第2スタビライザー
3 後輪側スタビライザー
4 前輪側第1ロール剛性変更装置
5 前輪側第2ロール剛性変更装置
6 後輪側ロール剛性変更装置
7 車速センサ
8 切り替えスイッチ
9 制御状態表示部
10 コントロールユニット
11 前輪
12 後輪
2 前輪側第2スタビライザー
3 後輪側スタビライザー
4 前輪側第1ロール剛性変更装置
5 前輪側第2ロール剛性変更装置
6 後輪側ロール剛性変更装置
7 車速センサ
8 切り替えスイッチ
9 制御状態表示部
10 コントロールユニット
11 前輪
12 後輪
Claims (6)
- 前輪側スタビライザーと後輪側スタビライザーとを備えた車両において、
前記前輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更する前輪側ロール剛性変更手段と、
前記後輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更する後輪側ロール剛性変更手段と、
走行状態に応じて前記前輪側ロール剛性変更手段と前記後輪側ロール剛性変更手段の設定で決まるロール剛性配分を制御するロール剛性配分制御手段と、
を備えることを特徴とする車両のロール剛性配分制御手段。 - 請求項1に記載の車両のロール剛性配分制御手段において、
前記前輪側ロール剛性変更手段は、前輪側ロール剛性を、車両のステア特性がオーバーステアとなる低剛性と、ニュートラルステアとなる中間剛性と、アンダーステアとなる高剛性と、の3段階に変更し、
前記後輪側ロール剛性変更手段は、後輪側ロール剛性を2段階に変更することを特徴とする車両のロール剛性配分制御装置。 - 請求項2に記載の車両のロール剛性配分制御装置において、
車速を検出する車速検出手段を備え、
前記ロール剛性配分制御手段は、前輪側スタビライザーのロール剛性を、低車速域のとき低剛性、中車速域のとき中間剛性、高車速域のとき高剛性とすることを特徴とする車両のロール剛性配分制御装置。 - 請求項2または請求項3に記載の車両のロール剛性配分制御装置において、
路面状態を検出する路面状態検出手段を備え、
前記ロール剛性配分制御手段、後輪側スタビライザーのロール剛性を、良路のとき高剛性、悪路のとき低剛性とすることを特徴とする車両のロール剛性配分制御装置。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の車両のロール剛性配分制御装置において、
前記前輪側ロール剛性変更手段および前記後輪側ロール剛性変更手段は、前記ロール剛性配分制御手段による制御が不能のとき、一定のロール剛性を保持することを特徴とする車両のロール剛性配分制御装置。 - 前輪側スタビライザーと後輪側スタビライザーとを備えた車両において、
走行状態に応じて、前記前輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更すると共に、前記後輪側スタビライザーのロール剛性を少なくとも2段階以上に変更し、ロール剛性配分を制御することを特徴とする車両のロール剛性配分制御手段。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005229027A JP2007045197A (ja) | 2005-08-08 | 2005-08-08 | 車両のロール剛性配分制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007045197A true JP2007045197A (ja) | 2007-02-22 |
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ID=37848413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005229027A Pending JP2007045197A (ja) | 2005-08-08 | 2005-08-08 | 車両のロール剛性配分制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007045197A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010105436A (ja) * | 2008-10-28 | 2010-05-13 | Aisin Seiki Co Ltd | ロール剛性制御装置 |
CN103402794A (zh) * | 2010-09-30 | 2013-11-20 | 谢夫勒科技股份两合公司 | 分开的摆动稳定器 |
US9873304B2 (en) | 2015-01-13 | 2018-01-23 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Stabilizer |
-
2005
- 2005-08-08 JP JP2005229027A patent/JP2007045197A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010105436A (ja) * | 2008-10-28 | 2010-05-13 | Aisin Seiki Co Ltd | ロール剛性制御装置 |
CN103402794A (zh) * | 2010-09-30 | 2013-11-20 | 谢夫勒科技股份两合公司 | 分开的摆动稳定器 |
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