JP2007044958A - 成形体の製造方法 - Google Patents

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恭夫 高須
Toshiko Takahashi
勤子 高橋
Yasuhito Kondo
泰人 近藤
Haruhisa Tominaga
晴久 富永
Masami Mitani
昌巳 三谷
Yoji Kikata
洋二 木方
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Abstract

【課題】 木質系材料からなる成形体を製造するに際して、ニスなどの保護塗料を塗布することなく、簡単な工程で、成形体の表面に対して落ちにくい状態で装飾を施すことのできる技術を提供する。
【解決手段】 木質系材料を水蒸気に接触させた後に、その木質系材料を仮成形して仮成形体を作成し、得られた仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する工程を備える、成形体の製造方法であって、前記仮成形体を圧縮成形する前に、当該仮成形体の表面に対して、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施すことを特徴とする、成形体の製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、木質系材料を水蒸気に接触させた後に、その木質系材料を圧縮成形して得られる成形体の製造方法に関するものである。更に詳しくは、表面に対して着色、文字、図柄、模様等からなる装飾が施された成形体の製造方法に関するものである。
プラスチックや金属などの代替材料として、木材を利用する試みがこれまでになされている。例えば、特許文献1には、リグニン、ヘミセルロース、及びセルロースを含む木質系材料を水蒸気処理した後に加熱しながら加圧することによって成形される成形体の製造方法が開示されている。この成形体によれば、従来は金属やプラスチック等により成形されていた各種の製品を、木質系材料に代替させることができる。具体的には、例えば、食器やアクセサリー、家具、建材、電化製品、などの各種の製品を、プラスチックを用いることなく、天然由来の木質系材料によって製造することが可能になる。この技術を用いることによって、地球環境にとってより優しい製品を造り出すことが可能となる。
特開2004−261967号公報
ところで、木質系材料からなる成形体の表面に対しては、着色、模様、文字、図柄等の装飾を施したいという強い要望がある。また、製造メーカー名の表示、原材料の表示、広告表示、安全警告表示などの各種の表示を施したいという要望もある。
そのために、従来は、成形体の表面に塗料を塗布したり、あるいはインクを転写するなどによって、着色、模様、文字、図柄等の装飾を施していた。そして、これらの装飾を施した後は、塗料やインクが摩耗や水濡れ等によって剥がれてしまわないように、ニスなどの保護塗料を塗布するのが一般的であった。
しかしながら、ニスなどの保護塗料は、合成樹脂や有機溶剤などの化学成分を主成分として製造されている。したがって、地球環境にとってより優しい製品を実現するためには、使用を避けなければならない材料である。また、ニスを塗布する場合には、製品の製造工程数がその分だけ増えてしまうという不都合もある。このような理由から、ニスを塗布することなく、成形体の表面に対して落ちにくい状態で装飾を施すことのできる技術の登場が強く望まれていた。
また、特に、特許文献1に記載されている木質系材料からなる成形体は、成形体の表面に塗料をのせにくい(塗料が付着しにくい)、あるいは、塗装をした場合でもすぐに剥がれてしまうという実用上の課題を抱えるものであった。
そこで本発明は、木質系材料からなる成形体を製造するに際して、ニスなどの保護塗料を塗布することなく、簡単な工程で、成形体の表面に対して落ちにくい状態で装飾を施すことのできる技術を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段は、以下の発明である。
(1)木質系材料を水蒸気に接触させた後に、その木質系材料を仮成形して仮成形体を作成し、得られた仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する工程を備える、成形体の製造方法であって、前記仮成形体を圧縮成形する前に、当該仮成形体の表面に対して、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施すことを特徴とする、成形体の製造方法。
(2)前記仮成形体を圧縮成形する際の圧力が、5.0MPa以上40.0MPa以下である、上記(1)に記載の成形体の製造方法。
(3)前記仮成形体を圧縮成形する際に、当該仮成形体を加熱しながら圧縮成形する、上記(1)または(2)に記載の成形体の製造方法。
(4)前記仮成形体を圧縮成形する際の加熱温度が、100℃以上230℃以下である、上記(3)に記載の成形体の製造方法。
本発明によれば、木質系材料からなる成形体を製造するに際して、ニスなどの保護塗料を塗布することなく、簡単な工程で、成形体の表面に対して落ちにくい状態で装飾を施すことのできる技術を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、木質系材料を水蒸気に接触させた後に、その木質系材料を仮成形して仮成形体を作成し、得られた仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する工程を備える、成形体の製造方法であって、前記仮成形体を圧縮成形する前に、当該仮成形体の表面に対して、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施すことを特徴とする、成形体の製造方法である。
[木質系材料について]
本発明における「木質系材料」とは、植物を由来とする材料全般のことであり、例えば、リグニンとヘミセルロースとセルロースとを含有するリグノセルロース系材料のことである。この木質系材料は、「木質」という単語がその名称に付されているが、木材に限らず、草本類からも採取することが可能である。このような木質系材料は、例えば、スギ、ヒノキ、ブナなどの各種の樹木から採取することが可能である。また、ケナフ、トウモロコシ、サトウキビ、麻、イグサ、イネなどの草本類から採取することが可能である。あるいは、家屋解体物、家具解体物、木屑、間伐材、籾殻、木粉、古紙、剪定枝、刈り草、落ち葉、サトウキビの圧搾滓(バガス)などの産業廃棄物から採取することも可能である。さらに、木質系材料は、殆どリグニンを含まない上質紙の古紙と、パルピングの工程で廃棄物として排出されるリグニンとを混合することによって得ることも可能である。これらの木質系材料のうち2種以上を組み合わせて用いることも可能である。
本発明において、原料として使用する木質系材料は、水蒸気と均一に接触させることができるように細分化されているものを使用するのが好ましい。木質系材料が細分化されていると、水蒸気と均一に接触させることができるのみならず、木質系材料を水蒸気に接触させる工程で必要とされる時間を短縮することが可能になる。したがって、木質系材料としては、フレーク状あるいは微粉状に加工されている木材などを使用するのが好ましい。木材の切断加工の際に生ずる鋸くずやプレーナ屑等をそのまま使用することも可能である。
本発明において、原料として使用する木質系材料の含水率(乾量基準)は、120%(以下、含水率においては重量%を意味する)以下であることが好ましい。含水率が120%を超えると、水蒸気処理によって木質系材料中に生成する分解成分が流出しやすくなり、可塑化及び流動化に必要な成分が木質系材料中に保持されにくくなるからである。木質系材料の含水率は、より好ましくは、8%以上100%以下であり、さらに好ましくは、30%以上100%以下である。
木質系材料は、水蒸気と接触させた後に圧縮成形することによって、所定の形状に成形することができる。また、木質系材料は、水蒸気と接触させた後に加熱しながら圧縮することによって、可塑性及び流動性を発現することが本発明者らによって見出されている。その理論的な根拠は必ずしも明らかではないが、木質系材料に含まれているリグニン、ヘミセルロース、セルロースなどの成分が、水蒸気処理により分解して、その分解後の成分が、加熱により溶融して組織中において流動化することが原因であると考えられている。木質系材料を可塑化・流動化させることによって、この木質系材料をプラスチックのように射出成形等によって自由な形状に成形することが可能になる。しかも、可塑化・流動化した木質系材料は、一旦固化した場合でも、再び加熱することによって、可塑性・流動性を発現するという特質を持っている。
[水蒸気処理について]
本発明において、木質系材料からなる成形体を製造するためには、まず、原料となる木質系材料を水蒸気に接触させる。この「木質系材料を水蒸気に接触させる処理」のことを、本明細書では「水蒸気処理」と呼ぶことがある。
水蒸気処理では、木質系材料を、飽和蒸気あるいは過熱蒸気等に接触させる。具体的には、耐圧容器内に木質系材料を投入して、この耐圧容器内に例えばボイラー等の供給源から水蒸気を供給する。この水蒸気処理においては、60℃以上250℃以下の水蒸気を木質系材料に接触させるのが好ましい。木質系材料をこのような温度範囲の水蒸気に接触させることによって、その木質系材料に含まれるヘミセルロース、リグニン等の分解を行うことができる。水蒸気処理は、木質系材料を110℃以上230℃以下の水蒸気に接触させて実施するのがより好ましい。更に好ましくは、150℃以上230℃以下である。
水蒸気処理は、水蒸気を木質系材料に適当な時間(例えば数十秒から数十分間程度)接触させることによって完了することができる。水蒸気の圧力や温度が低い場合には、水蒸気と木質系材料との接触時間をより長くすることが好ましい。また、木質系材料が細分化されていない場合には、木質系材料の内部に水蒸気を十分に浸透させるために、木質系材料と水蒸気との接触時間をより長くすることが好ましい。
水蒸気の温度が200℃以上230℃以下の場合、水蒸気を木質系材料に数十秒から60分間程度接触させることで水蒸気処理を完了することができる。例えば、一般的に入手しやすいプレーナ屑(厚さ0.5mm以下で寸法2cm×2cm以下程度の細片)の場合、木質系材料に対して200℃以上230℃以下の水蒸気を2分間から5分間程度接触させることによって、成形体の原料として使用することが可能になる。
水蒸気処理を終了するときには、木質系材料が収容されている耐圧容器等を解放して大気圧に戻せばよい。大気圧以上の高圧の水蒸気の場合には、徐々に圧力を下げることもできるし、一気に大気圧まで解放することもできる。大気圧まで一気に開放する場合には、木質系材料の組織内部で水蒸気の体積が一気に膨張するので、木質系材料を繊維状あるいは粉末状等に粉砕することができる(以下、高圧状態から一挙に圧力開放して木質系材料を粉砕することを、爆砕という)。爆砕によれば、木質系材料を水蒸気処理するのと同時に細分化することができる。木質系材料を爆砕によって細分化することによって、木質系材料をその後の工程において効率的に乾燥させることができる。なお、爆砕を実施する場合には、水蒸気処理における水蒸気の温度は、180℃以上260℃以下であることが好ましく、200℃以上230℃以下であることがより好ましい。
[乾燥工程]
木質系材料を水蒸気に接触させる処理(水蒸気処理)を完了した後は、その木質系材料を乾燥させる工程(乾燥工程)を実施するのが好ましい。木質系材料中に水分が多量に存在すると、木質系材料を圧縮成形する際に、木質系材料の内部から水分が気化して成形性あるいは流動性が損なわれる恐れがあるからである。また、水蒸気処理の後に速やかに水分を蒸発させることによって、水分とともに木質系材料に含まれる水溶性の成分が溶出してしまうことを防止することができるからである。
乾燥工程は、木質系材料の含水率(乾量基準)が28%以下となるまで実施することが好ましい。乾燥工程は、常温下でも高温下でも実施し得るが、好ましくは、水蒸気処理の後、木質系材料に対して温風を吹き付ける等により高温下にて乾燥する。
[粉砕工程]
水蒸気処理を完了した木質系材料を乾燥させた後は、必要に応じてさらに微細状に粉砕する工程(粉砕工程)を実施するのが好ましい。木質系材料を粉砕してさらに微細化することによって、この木質系材料を加熱しながら加圧したときに流動性及び可塑性が発現しやすくなる。粉砕した後の木質系材料の粒径は、押出し成形や射出成形のためのメルトフローを考慮すれば、好ましくは800μm以下であり、さらに好ましくは200μm以下である。水蒸気処理した木質系材料を粉砕するためには、例えば、ウィレーミル、ボールミル、かいらい機、ミキサー等の粉砕手段を用いることができる。
[難燃剤について]
木質系材料を仮成形して仮成形体を作成する前に、木質系材料に対して難燃剤を添加することもできる。これにより、木質系材料からなる成形体の難燃性を高めることができる。難燃剤としては、プラスチックや木材の燃焼を抑制するために一般的に添加される難燃剤を使用することができる。例えば、臭素系難燃剤、塩素系難燃剤、リン系難燃剤、無機系難燃剤等を使用することができる。また、ホウ素系難燃剤を使用することもできる。これらのうち2種以上の難燃剤を組み合わせて使用することもできる。
木質系材料に対する難燃剤の好ましい添加量は、難燃剤の種類により異なってくるが、例えば、難燃剤としてリン系難燃剤を使用する場合には、木質系材料(乾燥基準)に対して1wt%以上30wt%以下の割合で添加するのが好ましい。より好ましくは、3wt%以上20wt%以下であり、更に好ましくは、5wt%以上15wt%以下である。難燃剤をこのような割合で添加することによって、木質系材料からなる成形体の難燃性を高めるのと同時に、木質系材料からなる成形体の物理的強度(アイゾット衝撃値、引っ張り強さ、曲げ強さ等)が低下するのを回避することができる(難燃剤がこの範囲よりも多すぎると成形体の物理的強度が低下してしまい、難燃剤がこの範囲よりも少なすぎると難燃効果が十分でなくなる傾向がある)。
木質系材料を仮成形する前に、必要に応じて、この木質系材料に少量の合成樹脂を添加することも可能である。添加する合成樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、生分解性樹脂等を挙げることができる。熱可塑性樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、塩化ビニル等を挙げることができる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等をを挙げることができる。生分解性樹脂としては、ポリ乳酸、ポリ−β−ヒドロキシ酪酸、ポリコハク酸ブチレン等を挙げることができる。
本発明に係る成形体の製造方法では、木質系材料を水蒸気処理した後に(水蒸気処理工程)、この木質系材料を仮成形して仮成形体を作成し(仮成形工程)、この仮成形の表面に装飾を施した後(装飾工程)、この仮成形体をさらに高圧で圧縮成形して本成形体を作成する(本成形工程)。図1は、これら一連の工程を示すフローチャートである。図2は、仮成形体及び本成形体を示す斜視図である。
[仮成形工程]
図1に示すように、本発明に係る成形体の製造方法では、木質系材料を水蒸気処理した後に(水蒸気処理工程)、この木質系材料を仮成形して仮成形体を作成する(仮成形工程)。これにより、水蒸気処理した木質系材料を、所定の形状を保持しうる程度に、かつ、その表面に対して着色等を施すことができる程度に平滑に成形することができる。木質系材料を「仮成形」するためには、木質系材料をプレス機等によって圧縮成形すればよい。例えば、水蒸気処理した木質系材料を金型等によって圧縮成形することもできる。この圧縮成形時には、必要に応じて、木質系材料を加熱しながら圧縮成形してもよい。木質系材料を圧縮成形するためには、一般的な圧縮成形機(プレス機)などを使用することができる。
仮成形工程における圧力条件は、好ましくは1.0MPa以上50.0MPa以下であり、より好ましくは10.0MPa以上30.0MPa以下である。木質系材料をこの範囲の圧力で圧縮成形することによって、所定の形状を保持しうる程度に相互に結合させることができる。また、木質系材料を、その表面に対して着色等を施すことができる程度に平滑に成形することができる。
木質系材料を仮成形して仮成形体を作成する際には、木質系材料を加熱する必要はない。しかし、もし加熱するのであれば、室温以上、100℃以下の範囲が好ましい。
[装飾工程]
次に、仮成形工程において作成された仮成形体の表面に対して、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施す工程を実施する(装飾工程)。ここでいう「着色」とは、仮成形体の表面に付される彩色のことである。「文字」とは、メーカー名や原材料表示、広告表示、安全警告表示などの各種表示のための文字だけでなく、デザイン的に附される文字も含む(もちろん数字も含む)。「図柄」とは、例えばキャラクターなどの図柄のことであり、「模様」とは、例えば水玉模様やストライプ模様などのことである。要するに、仮成形体の表面に附されることで何らかの視覚的作用を生じさせるものであれば、本発明にいう「装飾」に含まれ得る。
仮成形体の表面に「装飾」を施すためには、塗料を塗布したり、染料を浸漬させたり、インクを転写したり、あるいは、シールやステッカーを貼付するなどの手法を用いることができる。この中では、塗料を塗布する方法が最も簡便であり好ましい。
仮成形体の表面に塗布する塗料は、水性塗料を用いても良いし、油性塗料を用いてもよい。地球環境保全の観点からは、シンナーなどの有機溶剤を使用する必要のない水性塗料を使用するのが好ましい。水性塗料としては、例えば、水性エマルション塗料や、水性アクリル塗料を使用することができる。この中で特に好ましいのは、水性アクリル塗料である。また、天然由来の樹液を主成分とする「うるし」などを使用することもできる。仮成形体を加熱しながら圧縮成形する場合には、耐熱性の塗料を使用するのが好ましい。
仮成形体の表面に着色を施す場合には、各種の着色顔料、例えば、酸化チタン、ベンガラ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。これ以外にも、無機系、有機系を問わず、他の種類の着色顔料を使用することも可能である。また、着色顔料と体質顔料を配合して用いることも可能であり、さらに、溶剤、分散剤、増粘剤等の各種の添加剤を用いることも可能である。
仮成形体の表面に「装飾」を施すためには、仮成形体の表面に対して、アルミ箔、金箔、あるいは金属の薄片などを貼り付けてもよい。この仮成形体を圧縮成形することによって、本成形体の表面に対してアルミ箔等を強固に一体化させることができる。なお、仮成形体の表面に対してアルミ箔等を貼り付ける際には、エポキシ系やウレタン系の接着剤を使用するのが好ましいが、木質系材料にはリグニン等の接着成分が含まれているので、接着剤を用いなくともこれらを本成形体の表面に一体化させることは可能である。
[本成形工程]
仮成形体の表面に対して装飾を施した後に、この仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する(本成形工程)。これにより、仮成形体をほぼ最終製品に近い形状に成形することができる。
仮成形体を「本成形」するためには、仮成形体をプレス機等によって圧縮成形すればよい。例えば、仮成形体を金型の内部にセットして、この仮成形体を高圧でプレスして本成形体を作成することができる。この本成形時には、必要に応じて、仮成形体を加熱しながら圧縮成形することもできる。仮成形体を加熱することによって、この仮成形体を一旦可塑化することができる。これにより、本成形体に対して文字や模様を刻印するなど、より精密な形状を加えることが可能である。
仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成するためには、一般的な圧縮成形機(プレス機)などを用いることができる。
仮成形体を圧縮成形する際の圧力条件は、好ましくは5.0MPa以上40.0MPa以下であり、より好ましくは10.0MPa以上30.0MPa以下である。また、仮成形体を加熱しながら圧縮成形する場合の加熱条件は、好ましくは100℃以上230℃以下であり、より好ましくは120℃以上200℃以下である。つまり、仮成形体をこのような条件で圧縮成形することによって、表面がプラスチックのように滑らかであり、しかも、表面にニスを塗ったかのように光沢のある本成形体を作成することが可能である。
本発明によれば、木質系材料からなる成形体の表面に対して、落ちにくい状態で、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施すことが可能である。装飾が落ちにくくなる1つ目の理由としては、木質系材料に含まれているリグニンなどの成分が、塗料に含まれる顔料などを接合する接着剤として機能していることが考えられる。装飾が落ちにくくなる2つ目の理由としては、本成形体の表面に施されている装飾が、圧縮成形時の圧力によって本成形体の表面に対して一体化するためであると考えられる。なお、以上に挙げた2つの理由は、現時点で考えられる理由を例示したものであって、本発明を何ら限定するものではない。
仮成形体を圧縮成形して得られた本成形体は、そのまま最終的な製品にすることができる。あるいは、本成形体の表面にさらに着色や絵柄等を施してから、最終的な製品とすることもできる。
本発明によれば、いろいろな形状の成形品を作成することができる。例えば、カップ、皿などの食器類、コースターなどの日用品類を作ることが可能である。また、キーホルダー、ネームプレート、フォトフレーム、アクセサリーなどを作成することが可能である。また、建材パネルやボードなどを作成することが可能である。また、テーブルや書棚など、家具類を作成することが可能である。さらに、自動車の内装部品、家電器機の部品、OA機器の部品など、各種製品の部品を作ることが可能である。歯車やカムなどの機械要素を作ることも可能である。
本発明によれば、従来は金属やエンジニアリングプラスチック等によって形成されていた部品を、木質系材料からなる成形体によって代替させることができる。したがって、従来は廃棄処分されていた廃材や間伐材などの有効利用を促進することが可能であるとともに、木質系材料は土壌中で生分解するので、焼却処分が不要となり、CO排出量削減の効果も期待できる。
本発明によれば、木質系材料からなる成形体の表面に対して、落ちにくい状態で、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施すことが可能である。装飾は落ちにくい状態であるので、ニスなどの保護塗料を塗布する必要がなく、地球環境にとってより優しい製品を作り出すことが可能である。また、ニスなどの保護塗料を塗布する工程が不要となるので、より少ない工程で各種の製品を製造することが可能である。
本発明をさらに具体化した実施例について、以下詳細に説明する。
実施例1では、まず、成形体の原料となる木質系材料として、ブナの木粉を準備した。この木質系材料を、200℃で20分間水蒸気処理した後に、型内の寸法が10cm×10cmの成形用金型内に充填し、室温にて、30MPaの圧力で3分間圧縮成形して仮成形体を得た。得られた仮成形体の表面に対して、酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤を用いてアルミ箔及び紙片を仮接合した。この仮成形体を、再び10cm×10cmの成形容器内にセットして、180℃、30MPaの条件で、10分間圧縮成形を行った。これにより、アルミ箔及び紙片からなる装飾が施された成形体(本成形体)を得ることができた。得られた成形体は、アルミ箔及び紙片が表面に埋め込まれた状態でほとんど盛り上がりが無く、表面が平滑であり、表面はニスを塗布したように光沢を帯びた状態であった。アルミ箔及び紙片は、カッター等の先端が鋭利な器具を用いても、容易に剥がれない状態であった。
実施例2では、成形体の原料となる木質系材料として、ブナの木粉を準備した。この木質系材料を、200℃で20分間水蒸気処理した後に、直径3.55cmの円筒形の成形用金型内に充填し、室温にて、15MPaの圧力で3分間圧縮成形して仮成形体を得た。得られた仮成形体の表面に対して、水性アクリル系顔料インクで彩色を施した後に、この仮成形体を直径3.6cmの円筒形の成形用金型内にセットして、140℃、10MPaの条件で、4分間圧縮成形を行った。これにより、表面に彩色が施された成形体(本成形体)を得ることができた。得られた成形体は、表面が平滑でニスを塗布したかのような光沢があった。また、成形体の表面に施された彩色は、カッター等の先端が鋭利な器具を用いた場合であっても容易には削れない状態であった。また、得られた成形体を、24時間、20℃の水の中に浸漬させた後、水から取り出してペーパータオルによって表面をふき取ったところ、色落ちはしなかった。
比較例として、200℃で20分間水蒸気処理したブナの木粉を、直径3.55cmの円筒形の成形用金型内に充填し、室温にて、15MPaの圧力で、3分間圧縮成形して仮成形体を作成した。この仮成形体を直径3.6cmの円筒形の成形用金型内にセットして、140℃、10MPaの条件で、4分間圧縮成形を行った。これにより、表面に彩色等が施されていない成形体を作成した。その後、この成形体の表面に対して、水性アクリル系顔料インクで彩色を施した後に乾燥させた。得られた成形体は、表面にインクが乾燥した後の凹凸が残存しており、平滑ではなく、光沢のない状態であった。また、成形体の表面に施された彩色は、カッター等の先端が鋭利な器具を用いて容易に削ることのできる状態であった。また、得られた成形体を、24時間、20℃の水の中に浸漬させた後、水から取り出してペーパータオルによって表面をふき取ったところ、色落ちが確認された。
実施例2の試験結果をまとめたものを以下の表1に示す。
Figure 2007044958
表1を見ればわかるように、本成形体を作成した後に彩色を施す場合よりも、仮成形体に彩色を施した後にこの仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する場合の方が、より美しく、しかも耐久性に優れた彩色を施すことが可能であることが実証された。
実施例3では、まず、成形体の原料となる木質系材料として、ブナの木粉を準備した。この木質系材料を、200℃で20分間水蒸気処理した後に、型内の寸法が10cm×10cmの成形用金型内に充填し、室温にて、30MPaの圧力で3分間圧縮成形して仮成形体を作成した。得られた仮成形体の表面に対して、水性アクリル系顔料インクで彩色を施した。この仮成形体を、再び10cm×10cmの成形容器内にセットして、180℃、30MPaの条件で、10分間圧縮成形を行った。これにより、表面に水性アクリル系顔料インクによる彩色が施された成形体(本成形体)を得ることができた。
比較例として、200℃で20分間水蒸気処理したブナの木粉を、型内の寸法が10cm×10cmの成形用金型内に充填し、室温にて、15MPaの圧力で、3分間圧縮成形して仮成形体を作成した。この仮成形体を、型内の寸法が10cm×10cmの成形用金型内に再びセットして、180℃、30MPaの条件で、10分間圧縮成形を行った。これにより、表面に彩色等が施されていない成形体(本成形体)を作成した。その後、この成形体の表面に対して、水性アクリル系顔料インクで彩色を施した後に乾燥させた。
上記の実施例3及びその比較例で得られたそれぞれの成形体について、表面に施した彩色の耐摩耗性能を評価した。具体的には、「JIS K 5600-5-10:塗料一般試験方法:塗膜の機械的性質:耐摩耗性(試験片往復法)」に規定されている摩耗試験を行い、彩色が摩耗により消失して素地が現れる往復数を比較した。研磨紙は、#320を用い、試験片に与えられる荷重は、5.2Nとした。試験結果をまとめたものを表2に示す。
Figure 2007044958
表2を見ればわかるように、本成形体を作成した後に彩色を施す場合よりも、仮成形体に彩色を施した後にこの仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する場合の方が、より耐摩耗性に優れた彩色を施すことが可能であることが実証された。
成形体の製造方法のフローチャートである。 仮成形体及び本成形体を示す斜視図である。

Claims (4)

  1. 木質系材料を水蒸気に接触させた後に、その木質系材料を仮成形して仮成形体を作成し、得られた仮成形体を圧縮成形して本成形体を作成する工程を備える、成形体の製造方法であって、
    前記仮成形体を圧縮成形する前に、当該仮成形体の表面に対して、着色、文字、図柄、模様等からなる装飾を施すことを特徴とする、成形体の製造方法。
  2. 前記仮成形体を圧縮成形する際の圧力が、5.0MPa以上40.0MPa以下である、請求項1に記載の成形体の製造方法。
  3. 前記仮成形体を圧縮成形する際に、当該仮成形体を加熱しながら圧縮成形する、請求項1または請求項2に記載の成形体の製造方法。
  4. 前記仮成形体を圧縮成形する際の加熱温度が、100℃以上230℃以下である、請求項3に記載の成形体の製造方法。
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