JP2007043927A - 容器入りオムレツ様食品 - Google Patents

容器入りオムレツ様食品 Download PDF

Info

Publication number
JP2007043927A
JP2007043927A JP2005230117A JP2005230117A JP2007043927A JP 2007043927 A JP2007043927 A JP 2007043927A JP 2005230117 A JP2005230117 A JP 2005230117A JP 2005230117 A JP2005230117 A JP 2005230117A JP 2007043927 A JP2007043927 A JP 2007043927A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
omelet
food
egg
sheet
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2005230117A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4457997B2 (ja
Inventor
Mitsuko Shimazaki
充子 島▲崎▼
Masaki Watanabe
正記 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kewpie Egg Corp
Original Assignee
Kanae Foods Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kanae Foods Co Ltd filed Critical Kanae Foods Co Ltd
Priority to JP2005230117A priority Critical patent/JP4457997B2/ja
Publication of JP2007043927A publication Critical patent/JP2007043927A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4457997B2 publication Critical patent/JP4457997B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)

Abstract

【課題】 本発明の目的は、工業的に製造できるオムレツ様食品であって、熟練したコックが調製するようなオムレツと同等のオムレツ様食品及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 容器入りオムレツ様食品は、オムレツ用具材とそれを包んでいる卵シートとを含むオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器と、該オムレツ用トレー容器を密封包装している密封部材とを含む。オムレツ用具材は流動性を示すものであり、卵シートは1〜4mmの厚さと50〜250gの破断応力とを示すものである。このオムレツ様食品は、オムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部が密封部材で押圧されるように減圧包装されており、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分が結着されている。
【選択図】 図2

Description

本発明は、オムレツ様トレー容器にオムレツ様食品が密封包装された容器入りオムレツ様食品に関する。
熟練したコックが作るプレーンオムレツは、加熱凝固した卵の薄皮の内部に、凝固するまでには至っていない流動性を示す半熟卵が包まれている滑らかな外観を有する略楕円形のものであり、卵の薄皮にナイフで切れ目を入れると流動性のある半熟卵が流れ出すものである。また、プレーンオムレツの他にも、流動性を有するオムレツ用具材(トマトソース、クリームソース等)を包み込んだオムレツも、卵の薄皮にナイフで切れ目を入れると流動性のあるオムレツ用具材と半熟卵とが流れ出すものである。そのようなオムレツは、皿に盛りつけられた際に、流動性半熟卵等が流れ出さないように、オムレツ表面全面に卵の薄皮を均一に形成させることが必要となる。このようにオムレツ表面全面に卵の薄皮を均一に形成させるためには、フライパンの鍋底の曲面で形を整えながら焼成するという熟練した技術が必要となる。
このような熟練したコックが作るオムレツと同様なオムレツを工業的に製造する試みが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1(例えば、実施例1参照)では、全卵液を主体として含有する皮原料を焼成中に、食用油を10乃至20重量%含む柔らかい具材を載せ、加熱凝固した卵の皮を2つ折りにして具材を包んだオムレツ様食品が提案されている。また、特許文献2(実施例参照)では、卵黄液と卵白液とを主成分とする皮原料を加熱焼成して扁平状の皮を作り、その上に、湯中で加熱凝固させた含水凝固卵を含有する具材を載せ、2つ折りにして具を包んだオムレツ様食品が提案されている。
しかし、特許文献1及び2のオムレツ様食品の場合、いずれも卵の皮を2つ折りにして製造しているため、卵の皮の周縁の重なった部分が不自然な外観となり、熟練したコックが製造するオムレツとは形状の点で大きく相違するという問題を有する。また、卵の皮に包まれている具材は流動性を示さず、卵の皮に切れ目を入れても、流れ出さないという問題を有する。更に、卵の皮に包み込む具材として流動性のあるものを使用した場合には、卵の皮の縁の重なった部分の結着性が十分ではないため、その部分から具材が流れ出てしまうという問題がある。
特許文献3では、小量の増粘多糖類等を配合した、水分含量が約30%で全卵分64%の卵シート用卵液からシート状卵を調製し、そのシート状卵で、半熟卵様層を包んだオムレツ様の卵加工品が提案されている。
しかし、特許文献3のオムレツ様の卵加工品のオムレツの具材に相当する半熟卵様層は、未加熱の生卵液と加熱凝固卵の混合品から形成されており、いったん冷凍した後に電子レンジで加熱解凍する際に、生卵液を加熱変性して半熟様食感とすることが予定されているが、加熱解凍後の半熟卵様層は柔らかいものの加熱変性によって流動性が乏しい状態となっており、それを包んでいるシート状卵に切れ目を入れても流れ出さないという問題がある。また、シート状卵で単に半熟卵様層を包んでいるに過ぎず、シート状卵の折り畳まれた部分や重なりあった部分が結着していないという問題を有する。従って、シート状卵に包み込む具材として流動性のある具材を使用した場合には、シート状卵の折り畳まれた部分や重なりあった部分から具材が流れ出てしまうという問題がある。
このように、熟練したコックが作るような、卵の皮が薄く、流動性のある具材(例えば、半熟卵)の割合が多いオムレツを工業的に製造することは依然として困難であった。
特開平4−281766号公報 特開平6−327437号公報 特開2001−178419号公報
本発明の目的は、上述の問題を解決しようとするものであり、工業的に製造できるオムレツ様食品であって、熟練したコックが調製するようなオムレツと同等のオムレツ様食品及びその製造方法を提供することである。
ところで、従来の二つ折りにして具材を包んだオムレツ様食品について、シート状卵(卵の皮)を二つ折りではなく略楕円状に折り畳んで具材を包めばよいが、このように曲面的にシート状卵で包むとシート状卵の周縁部に複雑なしわが不可避的に生じてしまい、外観上好ましくない。また、重なり部分が結着していないため、流動性を示す具材を安定して包み込んで置くことができない。
そこで、本発明者らは、シート状卵(卵の皮)の重なり部分の複雑なしわを目立たなくして、更に、流動性のある具が流れださない程度にしっかりと且つ工業的に結着するためには、シート状卵(卵の皮)の重なり部分のシートとシートとの間隙に存在する空気を除いてシート状卵同士を密着させればよいと仮定し、実際に重なり部分を指やへらで押圧したところ、重なり部分から流動性のある具材が流れ出るだけで、結着することはなく、更に強く押圧するとオムレツ様食品が潰れてしまうことを確認した。また、オムレツ様食品を樹脂性の袋に入れ、オムレツ様食品をその全面から押圧するために減圧包装したところ、オムレツ様食品が潰れ、流動性のある具材が流れ出してしまうことも確認した。
本発明者らは、以上の確認した事項を考慮に入れ、更に研究を続け、流動性を有するオムレツ用具材を、特定の厚さと特定の破断応力とを示す比較的薄く且つ柔らかい卵シートで包んでオムレツ様食品を作製し、それをオムレツ用トレー容器に入れ、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分(特に、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分)の少なくとも一部が押圧されるように減圧包装することにより、重なり部分の卵シートと卵シートとの間隙の空気を除去し、表面に凹凸を形成することなく結着し、滑らかな外観となることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、オムレツ用具材とそれを包んでいる卵シートとを含むオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器と、該オムレツ用トレー容器を密封包装している密封部材とを含む、容器入りオムレツ様食品であって、該オムレツ用具材が流動性を示すものであり、該卵シートが1〜4mmの厚さと50〜250gの破断応力を有するものであり、該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部が該密封部材で押圧されるように減圧包装されており、オムレツ用具材を卵シートで包むことにより生じた卵シートの重なり部分が結着していることを特徴とする容器入りオムレツ様食品を提供する。特に、該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分が、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分である態様が好ましい。
また、本発明は、オムレツ用具材を卵シートで包んでいるオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器を、密封部材で密封包装することを含む、容器入りオムレツ様食品の製造方法であって、該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部を、該密封部材で押圧するように減圧包装し、それにより卵シートでオムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分を結着することを特徴とする容器入りオムレツ様食品の製造方法を提供する。特に、密封部材で押圧する対象である、該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分が、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分である態様が好ましい。
該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分、特にオムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分の少なくとも一部を、該密封部材で押圧するように減圧包装する好ましい手法としては、オムレツ用トレー容器を密封部材で密封包装する際に、(a)該密封部材として可撓性樹脂材料を含む袋を使用し、オムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器を該袋に入れた後に、減圧下で密封する方法、(b)該密封部材としてヒートシール性樹脂材料を含むシート材を使用し、減圧下で、オムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器の開口部の縁に該シート材をヒートシールする方法、(c)該密封部材としてヒートシール性樹脂材料からなるシート材を使用し、加熱されたオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器の開口部の周縁に該シート材をヒートシールし、加熱されたオムレツ様食品の品温が低下することにより、減圧包装する方法が挙げられる。なお、これらの手法においては、オムレツ様食品の潰れ防止のため、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触している部分については、密封部材で直接押圧しないようにすることが好ましい。また、オムレツ様食品を押圧する密封部材については、その少なくとも一部が押圧するようになっていればよい。
本発明によれば、オムレツ用トレー容器にオムレツ様食品を入れ、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分(好ましくはオムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分)の少なくとも一部を密封部材で押圧するように減圧包装しているので、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触している部分を押圧せずにオムレツ様食品を潰すことなく、卵シートの重なり部分を、そこから空気を除いて密着させることができる。また、このように減圧包装する手法としては、工業的に実施可能な前述の(a)〜(c)の方法を採用することが可能である。従って、卵シートの重なり部分を、流動性のある具材が流れださない程度にしっかりと結着することができる。更に、本発明においては、卵シートとして特定の厚さと特定の破断応力を有する比較的薄く且つ柔らかいものを使用するので、卵シートの重なり部分を、流動性を有する具材が流れ出さない程度にしっかりと結着させることができる。このようにして得られたオムレツ様食品は、卵シートの重なる部分が目立たず、全体として滑らかな外観を有し、熟練したコックが製造するオムレツと同様の外観(即ち、表面が滑らかで具材が流動性を示すオムレツ)となる。また、本願発明で使用するオムレツ様食品においては、自重がかかっても重なり部分から流動性のある具が流れ出ることはないが、皮に相当する卵シートが薄いので、それに切れ目を入れると流動性のある具材を流れ出させることができる。この点においても、熟練したコックの製造するオムレツと同様のオムレツ様食品を提供できる。
以下、本発明をより具体的に説明する。
本発明の容器入りオムレツ様食品は、オムレツ用具材とそれを包んでいる卵シートとを含むオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器と、そのオムレツ用トレー容器を密封包装している密封部材とを含むものである。本発明においては、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分、特に、卵シートでオムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分を密封部材の少なくとも一部で押圧するように減圧包装する。それにより、卵シートの重なり部分が結着されていることを特徴とする。
本発明の容器入りオムレツ様食品を構成するオムレツ様食品は、卵シートがオムレツ用具材を包んでいるものである。
本発明で使用する卵シートとしては、その厚みの観点から考察すると、その厚さが1〜4mm、好ましくは1〜3mmのものを使用する。卵シートの厚さをこのような比較的薄い範囲に設定することにより、卵シートの重なり部分のシート同士が結着し易くなり、オムレツ様食品の卵シートの重なり部分も目立たなくなり、全体として滑らかな外観となるだけでなく、卵シートに必要な強度も確保することが可能となるので好ましい。特に、その厚さが5mmを超えると、卵シートの重なり部分のシート同士が結着し難くなるので好ましくない。
また、本発明で使用する卵シートとしては、その破断応力の観点から考察すると、破断応力が50〜250g、好ましくは50〜200gであるものを使用する。卵シートの破断応力をこのような比較的柔らかい範囲に設定することにより、卵シートの重なり部分のシート同士が結着し易くなり、オムレツ様食品の卵シートの重なり部分も目立たなくなり、全体として滑らかな外観となる。特に、その破断応力が300gを超えると、卵シートの重なり部分のシート同士が結着し難くなるので好ましくない。
なお、破断応力の測定用のサンプルとしては、厚さが約2cmとなるように卵シートを重ね、得られた卵シートの積層体を使用できる。具体的には、卵シートを1枚ずつ、積層厚が2cmを超えるまで、積層し、2cmを超えた時に積層を止め、測定サンプルとすることができる。破断応力の測定は、破断応力試験器((株)レオテツクレオメーターRT−3002D)を使用し、測定用サンプルの品温20℃、直径8mmの球形プランジャーで、速度5cm/分の条件で測定できる。
卵シートの大きさは、製造するオムレツ様食品の大きさや形状、包むべき具材の量などに応じて決められるが、通常は、熟練したコックの作る長さ12〜18cm程度の大きさの略楕円形状のオムレツと同程度の大きさのオムレツ様食品の製造を意図した場合には、直径16〜22cm程度の略円形のものが好ましい。なお、卵シートは四角形であってもよい。
上述した破断応力を示す比較的柔らかい卵シートは、卵の配合量を減らし、その分を清水や牛乳等に置き換えた卵液組成物を焼成することにより製造することができる。このような卵液組成物は、卵液(即ち、液全卵、及び/又は液卵黄及び液卵白の混合液)を好ましくは50〜80質量%、より好ましくは50〜70質量%で含有し、清水及び/又は牛乳を好ましくは10〜50質量%、より好ましくは10〜40質量%で含有する。必要に応じて、植物油脂を3〜20質量%含有させてもよい。更に、このように卵液の含有量が低いと焼成時に卵シートが破れ易くなるため、これを防止するために、卵液組成物に澱粉を0.5〜10質量%含有させてもよい。また、卵液組成物の焼成は、焼型やフライパン等を用いて100〜180℃の温度に1〜15分間ほど加熱することにより行う。これにより卵液組成物を加熱凝固させて卵シートを得ることができる。なお、焼成に際に、加熱温度や加熱時間を調節することにより、焼成後の卵シートの質量を、原料の卵液組成物の80〜98質量%になるようにすることが好ましい。これにより、上述した破断応力を有する比較的柔らかい卵シートを得ることができる。
本発明で使用するオムレツ用具材としては、少なくとも食するに適した温度、好ましくは45〜75℃、より好ましくは55〜65℃において流動性を示すものを使用することが好ましい。このような流動性があるオムレツ用具材を使用することにより、熟練したコックが作る手作りのオムレツと同じように、卵シートに切れ目を入れた際に半熟様卵等の具材が流れ出す美味しいオムレツ様食品を得ることができる。
ここで、オムレツ用具材の“流動性”は、KO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)による製品の粘度の測定値として評価することができる。具体的には、KO式ボストウィック粘度計(深谷精機社製)の試料投入部に、食する温度、具体的には品温60℃で流動性を有する試料を満杯量充填し、仕切り板をはね上げてから、30秒後の試料流出先端までの距離を測定した値として評価できる。数値が大きい程、流動性があることを意味する。本発明においては、オムレツ用具材の流動性は、好ましくは3cm以上、より好ましくは5cm以上、更に好ましくは7cm以上である。流動性が3cmを下回ると、オムレツ様食品にナイフで切れ目を入れても具材が流れ出難い。なお、流動性が過度にある場合には、オムレツ様食品らしからぬものとなるので、好ましくは30cm以下が好ましい。
具体的な具材としては、特許2946503号公報に記載された半熟様卵加工品、トマトソース、デミグラスソース等の調理ソース等が挙げられる。
特許2946503号明細書に記載の半熟様スクランブルエッグ卵加工品は、“凝固卵加工品”と“卵蛋白変性温度に加熱しても凝固しない半熟様卵加工品”とを含有するものである。“凝固卵加工品”とは、生液卵あるいは乾燥卵を水戻しした卵液を加熱凝固させたものであり、その例として、例えば、卵液を凝固温度(通常60℃以上、好ましくは約90〜95℃)の湯中等で薄膜状に凝固させたもの等が挙げられる。“卵蛋白変性温度に加熱しても凝固しない半熟様卵加工品”とは、加熱凝固温度(通常60℃以上、好ましくは約90〜95℃)以上に加熱しても凝固しない半熟様卵加工品であり、その例として、例えば、ラムダカラギーナンを含有させた卵液を卵蛋白の熱変性温度以上に加熱して得た半熟様卵加工品や、清水と油脂と酵素処理卵黄を含有する乳化物を加熱変性させた乳化油脂含有半熟様卵加工品等が挙げられる。このような半熟様スクランブルエッグ卵加工品は、処方によっては、KO式ボストウィック粘度計により得られる数値が3cmに満たないものもあるが、その場合には、“卵蛋白変性温度に加熱しても凝固しない半熟様卵加工品”中の卵の配合量を減らし、その減少分を清水や牛乳等に置換してその半熟様卵加工品の粘度を低下させることにより、半熟様スクランブルエッグ卵加工品の粘度を低下させればよい。具体的には、“卵蛋白変性温度に加熱しても凝固しない半熟様卵加工品”の製造原料中の卵液(即ち、液全卵、及び/又は液卵黄及び液卵白の混合液)の配合量を好ましくは10%以下、より好ましくは7%以下とすればよい。更に、半熟様スクランブルエッグ卵加工品中の“卵蛋白変性温度に加熱しても凝固しない半熟様卵加工品”の好ましい含有量を、10〜40質量%(特許第2946503号明細書の段落0014参照)から、好ましくは50〜90質量%、より好ましくは60〜90質量%に増加させ、半熟様スクランブルエッグ卵加工品の粘度を低下させてもよい。
卵シートに包み込む具材の量は、製造するオムレツ様食品の大きさや形状、使用する卵シートの形状や大きさ等に応じて決められるが、通常は、オムレツ様食品の少なくとも50質量%、好ましくは55質量%以上である。これにより、コックが作る手作り半熟オムレツと同じように半熟様卵が流れ出す美味しいオムレツとすることができる。なお、具の量が多すぎても包み難いことから、製品に対して好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。
上述した卵シートでオムレツ用具材を包む方法としては、特に制限はないが、流動し得る具材が露出せずに、しかも卵シートの縁部がなるべく広い面積で重なり合うように包むことが好ましい。これによりオムレツ様食品が得られる。重なり合いの巾としては、製造するオムレツ様食品の大きさや形状、使用する卵シートの形状や大きさ等に応じて決められるが、卵シートを好ましくは0.5〜10cm巾、より好ましくは1〜7cm巾で重なり合うようにすることが好ましい。具体的な包み方の例としては、卵シートの中央部に具材を載せ、所期のオムレツ形状となるように、卵シートの縁部を持ち上げて具材に被せて集合させて包むことが挙げられる。このように包む際には、後述のオムレツ用トレー容器に卵シートを載せ、これにオムレツ用具材を載せて、オムレツ用トレー容器内に収容した状態で包むと包み易い。
本発明においては、上述したようなオムレツ様食品をオムレツ用トレー容器に収容するが、オムレツ用トレー容器としては、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分、特に、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分が密封部材の少なくとも一部で押圧されるように減圧包装できるものであれば、特に制限はないが、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触している部分が密封部材で押圧されないように減圧包装できるものが好ましい。このようなトレー容器の形状や大きさは、製造するオムレツ様食品の大きさや形状、使用する卵シートの形状や大きさ等に応じて決められる。例えば、図1A(平面図)、図1B(図1Aのx−x断面図)に示すようにフランジ部1で囲まれたボート底型の凹部2を有する容器10を使用することができる。
なお、図1Cに示すように、オムレツ様食品をオムレツ用トレー容器10のボート底型の凹部2に収容する場合、オムレツ用具材3を包むことにより生じた卵シート4の重なり部分5が、オムレツ用トレー容器10のボート底型の凹部2に接触するように収容してもよいが、オムレツ用トレー容器10のボート底型の凹部2の開口部側に位置するようにすることが好ましい。これにより、卵シートの重なり部分を、密封部材で接触しつつ押圧することができ、より確実に結着させることができる。
なお、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触している部分が密封部材で押圧されないようにするためには、オムレツ用トレー容器が、減圧包装した時に収容しているオムレツ様食品を損傷させない程度の保型性を有していることが好ましい。このような特性を示す容器材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)等の樹脂材料や、アルミ等の金属材料等が挙げられる。特に、オムレツ用トレー容器10としては、そのフランジ部1が、ヒートシール性樹脂によりシール可能な材料を用いることが好ましい。
また、オムレツ用トレー容器を密封包装する密封部材としては、減圧包装した際に、変形してオムレツ用トレー容器に収容されたオムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部を押圧できるものである。このような密封部材の具体例としては、可撓性樹脂材料製の袋やシートを使用することができる。このような可撓性樹脂材料としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、これらとポリエチレンテレフタレート(PET)やナイロン(NY)との積層材料を挙げることができる。これらの材料の厚みとしては、材質にもよるが、好ましくは0.001〜0.2mm、より好ましくは0.01〜0.15mmである。
本発明の好ましい態様である、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触している部分を密封部材で押圧せずに、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分を密封部材の少なくとも一部で押圧するように減圧包装した場合の具体的な作用を、以下に説明する。
(a) 図2に示すように、密封部材として可撓性樹脂材料からなる袋21を使用した場合には、オムレツ用具材22bが卵シート22aで包まれたオムレツ様食品22が収容されたオムレツ用トレー容器23を、この袋21に入れた後に、減圧下で密封することにより減圧包装することになる。これにより、オムレツ用トレー容器に接触しているオムレツ様食品22は容器壁のために袋で押圧されないが、オムレツ用トレー容器23の開口部側のオムレツ様食品(即ち、オムレツ用トレー容器に接触していない側のオムレツ様食品)の卵シートの重なり部分22cは、袋で押圧される。このため、オムレツ様食品を潰すことなく、卵シートの重なり部分を、それから空気を除いて密着させて結着させることができる。
(b) 図3に示すように、密封部材としてヒートシール性樹脂材料からなるシート材31を使用した場合には、減圧下で、オムレツ用具材32bが卵シート32aで包まれたオムレツ様食品32が収容されたオムレツ用トレー容器33の開口部の周縁(フランジ)33aにシート材をヒートシールすることにより減圧包装することになる。これにより、オムレツ用トレー容器に接触しているオムレツ様食品32は容器壁で守られているためシート材で押圧されないが、オムレツ用トレー容器33の開口部側のオムレツ様食品(即ち、オムレツ用トレー容器に接触していない側のオムレツ様食品)の卵シートの重なり部分32cは、シート材で押圧される。このため、オムレツ様食品を潰すことなく、卵シートの重なり部分を、それから空気を除いて密着させて結着させることができる。
(c) また、密封部材としてヒートシール性樹脂材料からなるシート材を使用した場合、加熱したオムレツ様食品を収容したオムレツ用トレー容器の開口部の周縁にシート材をヒートシールし、加熱したオムレツ様食品の品温が低下することにより減圧包装することになる。これは、暖められた気体が冷却すると体積収縮することを利用するものであり、結果的に図3に示した状態と同じ状態になる。
以上説明した本発明の容器入りオムレツ様食品は以下に説明するように製造することができる。
本発明の容器入りオムレツ様食品を製造する際、まず、オムレツ用具材を卵シートで包んでいるオムレツ様食品をオムレツ用トレー容器に収容する。次に、オムレツ様食品を収容しているオムレツ用トレー容器を、密封部材を用いて、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分(好ましくはオムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分)の少なくとも一部を、密封部材で押圧するように減圧包装し、それによりオムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分を結着することにより本発明の容器入りオムレツ様食品が得られる。減圧包装の際に、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触している部分を密封部材で押圧しないようにすることが好ましい。
減圧包装の具体的な工程は、オムレツ用トレー容器を密封部材で密封包装する際に、密封部材として可撓性樹脂材料を含む袋を使用し、オムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器を該袋に入れた後に、例えば、いわゆる真空包装機を用いて減圧下で密封して減圧包装するものである。あるいは、オムレツ用トレー容器を密封部材で密封包装する際に、密封部材としてヒートシール性樹脂材料を含むシート材を使用し、真空包装機を用いて減圧下で、オムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器の開口部の周縁にシート材をヒートシールして減圧包装するものである。減圧の程度(真空度)としては、好ましくは40〜70mmHg、より好ましくは45〜65mmHgである。これは、真空度が高すぎると、押圧力が強すぎて具材が卵シートの重なり部分等から外部へ飛び出してしまう場合があり、真空度が低すぎると、押圧が不十分となり、卵シートの重なり部分の結着が不十分となる。
別の減圧包装の具体的な工程は、オムレツ用トレー容器を密封部材で密封包装する際に、密封部材としてヒートシール性樹脂材料を含むシート材を使用し、加熱されたオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器の開口部の周縁に該シート材をヒートシールし、加熱されたオムレツ様食品の品温が低下することにより減圧包装するものである。ここで、オムレツ用トレー容器に、オムレツ様食品を収容する場合、その中心品温が70℃以上、好ましくは75℃以上の状態で収容し、その後好ましくは20℃以下に冷却することにより、減圧包装する。ここで、冷却する方法に制限はなく、自然冷却あるいは冷却機による強制冷却により行えばよい。
以上説明したように減圧包装した場合、密封部材(袋等)が、オムレツ用トレー容器のボート底型の凹部の内方へ外気圧により押し込まれる。この押し込まれた部分の容積としては、ボート底型の凹部の容積の好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜30%である。このように減圧包装してボート底型の凹部に収容されたオムレツ様食品の卵シートの重なり部分を押圧するためには、オムレツ様食品の大きさとオムレツ用トレー容器の容積とを調節すればよい。なお、この押し込まれた部分の容積が前記範囲よりも少ない場合、即ち、オムレツ用トレー容器の容積に対してオムレツ様食品の大きさが比較的大きい場合は、減圧包装したときにオムレツ用トレー容器の凹部の内部からオムレツ様食品の卵シートやオムレツ用具材の一部がはみ出すおぞれがある。また、この押し込まれた部分の容積が前記範囲よりも多い場合は、即ち、オムレツ用トレー容器の容積に対してオムレツ様食品の大きさが比較的小さい場合は、減圧包装してもトレー容器内部に大きなヘッドスペースが生じ、密封部材でオムレツ様食品を十分に押圧できない。
なお、密封部材がオムレツ用トレー容器のボート底型の凹部内方に押し込まれた部分の容積の測定は、当該押し込まれた部分に満注量の水を注ぎ入れた水の体積と、ボート底型の凹部の容積から求めた値である。
なお、オムレツ様食品の表面積の9割以上が、オムレツ用トレー容器のボート底型の凹部の内壁と密封部材とに接触していることが好ましい。これによりオムレツ様食品の卵シートの重なり部分をオムレツ用トレー容器に保持された状態で密封部材に押圧することができる。また、減圧包装状態の保持時間としては、好ましくは少なくとも1分以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは1日以上とすることが、結着した卵シートの重なり部分が剥がれ難くなることから好ましい。
以上説明した、本発明の容器入りオムレツ様食品は、減圧包装された状態で常法により冷却または急速凍結し、チルド品(10℃以下)や冷凍品(−18℃以下)として流通させることができる。
実施例1(真空包装機を用いたもの)
(1)卵シートの製造
液全卵65質量部、植物油脂5質量部、澱粉4質量部、食塩0.5質量部及び清水25.5質量部(合計100質量部)を、ミキサーで泡立てないように混合して卵シート形成用組成物を調製した。この組成物をフライパン上においた直径22cmのリングの中に50g流し入れて、125℃で4分間焼成し、直径22cm、厚さ2mm、45gの円形の卵シートを製造した。得られた卵シートの破断応力は135gであった。なお、製品において、具材と分離した卵シートの破断応力を同様に測定したところ、製造直後の卵シートと同じ破断応力を示した。
(2-1)薄膜状凝固卵加工品の製造
液全卵82質量部、澱粉3質量部、キサンタンガム0.2質量部及び菜種油14.8質量部(合計100質量部)を、ミキサーで泡立てないように混合して薄膜状凝固卵加工品形成用組成物を調製した。次に、水槽に95℃の清水を流速2m/分程度で流動させながら、この水槽中に薄膜状凝固卵加工品形成用組成物を、1kg/分の速さで滴下し、約3分間経過させて凝固させ、金網にとり、水切りすることにより手作り感に富んだ薄膜状含水凝固卵加工品を得た。得られた薄膜状含水凝固卵の大きさは、1〜5cm程度であり、この範囲で比較的大きなサイズのものはクルクルとまるまっていた。また、厚さは、0.3mm〜1cm程度であった。
(2-2)半熟様卵加工品の製造
卵黄液20質量部、ラムダカラギーナン0.3質量部及び清水79.7質量部(合計100質量部)を混合し、得られた混合物をナイロン製の耐熱性パウチに1kgずつ充填密封し、沸騰水中に10分間浸潰して加工卵液を調製した。次に、得られた加工卵液30.0質量部、牛乳20質量部、清水49.2質量部及び食塩0.8質量部(合計100質量部)を混合し、得られた混合組成物を蒸気式二重釜に投入し、撹搾しながら90℃に達するまで加熱した。これにより、流動牲のある半熟様卵加工品を製造した。
(2-3)具材の製造
(2-1)で製造した凝固卵加工品30質量部と、(2-2)で製した半熟様卵加工品70質量部とを混合して具材を調製した。得られた具材の粘度は、品温60℃でKO式ボストウイック粘度計による粘度の測定値として、10cmであった。なお、製品において、卵シートと分離した具材の粘度を同様に測定したところ、製造直後の具材と同じ粘度を示した。
(3)オムレツ様食品の製造
ボート底型の凹部を有する成型トレー容器(容積150ml、開口部の長径15cm、開口部の短径7cm、深さ2cm、材質ポリプロピレン、厚さ0.4mm)を用意した。この成型トレーに円形の卵の皮(45g、20℃、直径22cm)を載せ、この中心部に具材(75g、20℃)を載せた。そして、卵シートの縁部を持ち上げて、中心に集めて具が見えないように包み、成形トレー容器の凹部に収容された状態のオムレツ様食品を得た。次に、このオムレツ様食品を収容した成型トレーを、ナイロン製の耐熱性パウチ(NY25μm厚/PE15μm厚/LLDPE50μm厚、13cm×24cm)に入れ、真空包装機((株)古川製作所、FVH−C)を用い、真空度55mmHgの条件で減圧包装した。このとき、オムレツ様食品の表面積のほぼ全面が、オムレツ用の成形トレー容器のボート底型の凹部の内壁と密着部材とに接触していた。また、包装後に成型トレー容器の凹部に内方に押し込まれた耐熱性パウチの凹部の体積は30mlであった。従って、成形トレー容器の凹部の容積は150mlであるので、成形トレー容器に対して80%の容積となるように減圧包装されたことになる。
減圧包装後5分間たった後、耐熱性パウチを開封し、オムレツ様食品を取り出したところ、卵シートの重なり部分の縁は、ほとんど認識できず、滑らかな外観を有していた。また、このオムレツ様食品を60℃に加温し、卵シートの重なり部分を下面にして皿に置いたところ、卵シートの重なり部分が結着しており、重なり部分から流動性のある半熟様卵は流れ出なかった。更に、このオムレツ様食品をナイフでカットしたところ、流動性のある半熟卵が薄い卵の皮に包まれた状態となっており、この洗動性のある半熟卵が流れ出し、熟練したコックが作る手作り半熟オムレツと見分けのつかないものであった。なお、製品の卵シートの破断応力は135gであり、具材の粘度は、品温60℃においてKO式ボストウィック粘度計により測定値として10cmであった。
実施例2(ホットパックして減圧包装したもの)
ボート底型の凹部を有する成型トレー容器(容積150m1、開口部の長径15cm、開口部の短径7cm、深さ2cm、材質ポリプロピレン、厚さ0.4mm)に、実施例1と同様にオムレツ様食品を収納した。その際、品温60℃の卵シートと品温が85℃の具材を用いた。そして、収納時のオムレツ様食品の中心品温が80℃の状態で、成型トレー容器のフランジ部に蓋材(PET12μm厚/PP50μm厚)を熱溶着してシールした。次に、これを4℃の冷却水でオムレツ様食品の中心品温が20℃になるまで冷却したところ、ヘッドスペースがなくなり、蓋材がオムレツ様食品に接触状態となり減圧包装された。このとき、オムレツ様食品の表面積のほぼ全面が、オムレツ用トレー容器のボート底型の凹部の内壁と密着部材とに接触していた。また、包装後に成型トレー容器の凹部に内方に押し込まれた蓋材の凹部の体積は28mlであった。即ち、成型トレー容器の凹部の容積は150mlであるので、成型トレー容器に対して、81%の容積になるように減圧包装されたことになる。
減圧包装後5分間たった後、蓋材を引きはがし、オムレツ様食品を取り出したところ、卵シートの重なり部分の縁は、ほとんど認識できず、滑らかな外観を有していた。また、このオムレツ様食品を60℃に加温し、卵シートの重なり部分を下面にして皿に置いたところ、卵シートの重なり部分が結着しており、重なり部分から流動性のある半熟様卵は流れ出なかった。更に、このオムレツ様食品をナイフでカットしたところ、流動性のある半熟卵が薄い卵の皮に包まれた状態となっており、この流動性のある半熟卵が流れ出し、熟練したコックが作る手作り半熟オムレツと見分けのつかないものであった。なお、製品の卵シートの破断応力は135g、具材の粘度は、品温60℃におけるKO式ボストウィック粘度計による測定値として10cmであった。
実施例3(冷凍品の実施例)
実施例1で製した減圧包装状態のオムレツ様食品を、耐熱パウチごと急速凍結した。このオムレツ様食品を−20℃で1週間保存した後、パウチから取り出し、電子レンジで加熱解凍して品温60℃とした。得られたオムレツ様食品は、卵シートの重なり部分の縁は、ほとんど認識できず、滑らかな外観を有していた。また、このオムレツ様食品を60℃に加温し、卵シートの重なり部分を下面にして皿に置いたところ、卵シートの重なり部分が結着しており、重なり部分から流動性のある半熟様卵は流れ出なかった。更に、このオムレツ様食品をナイフでカットしたところ、流動性のある半熟卵が薄い卵の皮に包まれた状態となっており、この流動性のある半熟卵が流れ出し、熟練したコックが作る手作り半熟オムレツと見分けのつかないものであった。なお、製品の卵シートの破断応力は135g、具材の粘度は、品温60℃におけるKO式ボストウィック粘度計による測定値として10cmであった。
比較例1
実施例1(1)において調製した卵シート形成用組成物125gを、フライパン上においた直径22cmのリングに流し入れて卵シートを製した。この卵シートは、直径22cm、厚さ5mm、110gであった。次に、実施例1(3)において、ボート底型の凹部を有する成型トレー容器に、この円形の卵シート(110g、20℃)を載せ、この中心部に具材(10g、20℃)を載せた他は、実施例1(3)と同じ配合と製法で容器入りオムレツ様食品を製造した。得られたオムレツ様食品は、卵シートの重なり部分の縁部が目立ち、不自然な外観であり、剥がれ易いものであった。
比較例2
実施例1(1)において、卵シート形成用組成物の配合を、液全卵90質量部、植物油脂5質量部、澱粉4質量部、食塩0.5質量部及び清水0.5質量部(合計100質量部)としたこと以外は、実施例1(1)と同じ配合と製法で卵シートを製した。得られた卵シートは、直径22cm、厚さ2mm、45gの円形の卵シートであり、その破断応力は300gであった。
次に、実施例1(3)において、卵シートとして本比較例で調製したものを用いた他は、実施例1(3)と同じ配合と製法で容器入りオムレツ様食品を製造した。得られたオムレツ様食品は、卵シートの重なり部分の縁部が目立ち、不自然な外観であった。また、このオムレツ様食品を60℃に加温し、卵シートの重なり部分を下面にして皿に置いたところ、卵シートの重なり部分が全く結着しておらず、重なり部分から流動性のある半熟様卵が流れ出た。
比較例3
実施例1において、成形トレー容器を用いずに耐熱パウチで減圧包装した。即ち、具材を卵シートの縁部を持ち上げて、中心に集めて具が見えないように包んだものをナイロン製の耐熱性パウチ(NY25μm厚/PE15μm厚/LLDPE50μm厚、13cm×24cm)に入れ、真空包装機((株)古川製作所、FVH−C)を用い、真空度55mmHgの条件で減圧包装した。その結果、オムレツ様食品が潰れ、卵シートから流動性のある具が流れ出てしまった。
実施例4
実施例1において、成形トレー容器に、具材を卵シートの縁部を持ち上げて、中心に集めて具が見えないように包んだオムレツ様食品を収納する際に、卵シートの重なり部分を成形トレー容器の凹部側に配した他は、実施例1と同じ配合と製法で容器入りオムレツ様食品を製造した。
減圧包装後5分間たった後、耐熱性パウチを開封し、オムレツ様食品を取り出したところ、卵シートの重なり部分の縁は、実施例1の場合と異なり卵シートの重なり部分を成形トレー容器の凹部側に配したので、実施例1のオムレツ様食品に比べ、卵シートの重なり部分の外観、剥がれ具合の点で若干劣っていたが、実用上問題の無いレベルであった。また、このオムレツ様食品を60℃に加温し、卵シートの重なり部分を下面にして皿に置いたところ、重なり部分から流動性のある半熟様卵がやや流れ出たが、実用上問題の無いレベルであった。更に、このオムレツ様食品をナイフでカットしたところ、流動性のある半熟卵が薄い卵の皮に包まれた状態となっており、この洗動性のある半熟卵が流れ出し、熟練したコックが作る手作り半熟オムレツと見分けのつかないものであった。なお、製品の卵シートの破断応力は135g、具材の粘度は、品温60℃におけるKO式ボストウィック粘度計による測定値として10cmであった。
比較例4
実施例1(3)と同様に、成形トレー容器に、具材を卵シートの縁部を持ち上げて、中心に集めて具が見えないように包んだオムレツ様食品を収納した。このオムレツ様食品をトレー開口部と同じ大きさとした板状のプラスチックで、流動性のある具が飛び出さない程度にゆっくりと押して、押した状態で5分間保持した。得られたオムレツ様食品は、卵シートの重なり部分の緑部が目立ち不自然な外観であった。また、このオムレツ様食品を60℃に加温し、卵シートの重なり部分を下面にして皿に置いたところ、卵シートの重なり部分が全く結着しておらず、重なり部分から流動性のある半熟様卵が流れ出た。
実施例5
凹部内方へ耐熱パウチの押し込まれた容積の影響を調べるために、成形トレー容器の凹部の深さを変えることにより、凹部内方へ耐熱パウチの押し込まれた容積を変えた5種類のトレー容器を用意した(表1参照)。実施例1(3)において、この5種類のトレーを用いた他は、実施例1と同じ配合と製法で5種類のオムレツ様食品の製造試験を行った。これによりボート底型の凹部に収容されたオムレツ様食品の卵シートの重なり部分を押圧することができた。その結果、表1から分かるように、耐熱パウチが成形トレー凹部内方に押し込まれている部分の容積は、ボート底型の凹部の容積の好ましくは5〜30%、より好ましくは10〜30%であることがわかる。


Figure 2007043927
本発明の容器入りオムレツ様食品は、オムレツ用トレー容器に、流動性を有するオムレツ用具材を、特定の厚さと特定の破断応力とを示す比較的薄く且つ柔らかい卵シートで包んで製造したオムレツ様食品を収容し、オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部を密封部材で押圧するように減圧包装されているので、オムレツ様食品を潰すことなく、卵シートの重なり部分を、それから空気を除いて密着させ、流動性のある具材が流れださない程度にしっかりと結着することができる。また、このように減圧包装する手法としては、工業的に実施可能な方法を採用することが可能である。従って、熟練したコックが製造するオムレツと同様の外観のオムレツ様食品が工業的に得られる。
オムレツ用トレー容器の平面図である。 オムレツ用トレー容器の断面図である。 オムレツ様食品を収容したオムレツ用トレー容器の断面図である。 減圧包装された状態の容器入りオムレツ様食品の断面図である。 減圧包装された状態の容器入りオムレツ様食品の断面図である。
符号の説明
1 オムレツ用トレー容器のフランジ
2 オムレツ用トレー容器の凹部
3 流動性を有する具材
4 卵シート
5 卵シートの重なり部分
10 オムレツ用トレー容器

Claims (8)

  1. オムレツ用具材とそれを包んでいる卵シートとを含むオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器と、該オムレツ用トレー容器を密封包装している密封部材とを含む、容器入りオムレツ様食品であって、該オムレツ用具材が流動性を示すものであり、該卵シートが1〜4mmの厚さと50〜250gの破断応力を有するものであり、該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部が該密封部材で押圧されるように減圧包装されており、オムレツ用具材を卵シートで包むことにより生じた卵シートの重なり部分が結着していることを特徴とする容器入りオムレツ様食品。
  2. 該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分が、オムレツ用具材を包むことにより生じた卵シートの重なり部分である請求項1記載の容器入りオムレツ様食品。
  3. 該オムレツ用トレー容器が、オムレツ様食品を収容するためのボート底型の凹部を有する請求項1又は2記載の容器入りオムレツ様食品。
  4. 該オムレツ用具材の品温60℃における粘度が、KOボストウィック粘度計による測定値として3〜30cmである請求項1〜3のいずれかに記載の容器入りオムレツ様食品。
  5. オムレツ用具材を卵シートで包んでいるオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器を、密封部材で密封包装することを含む、容器入りオムレツ様食品の製造方法であって、該オムレツ様食品のオムレツ用トレー容器に接触していない部分の少なくとも一部を、該密封部材で押圧するように減圧包装し、それによりオムレツ用具材を卵シートで包むことにより生じた卵シートの重なり部分を結着することを特徴とする容器入りオムレツ様食品の製造方法。
  6. 該密封部材が可撓性樹脂材料を含む袋であり、オムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器を該袋に入れた後に、減圧下で密封することにより減圧包装する請求項5記載の製造方法。
  7. 該密封部材がヒートシール性樹脂材料を含むシート材であり、オムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器の開口部の周縁に該シート材を、減圧下でヒートシールすることにより減圧包装する請求項5記載の製造方法。
  8. 該密封部材がヒートシール性樹脂材料を含むシート材であり、加熱されたオムレツ様食品が収容されたオムレツ用トレー容器の開口部の周縁に該シート材をヒートシールし、加熱されたオムレツ様食品の品温が低下することにより減圧包装する請求項5記載の容器入りオムレツ様食品の製造方法。
JP2005230117A 2005-08-08 2005-08-08 容器入りオムレツ様食品 Active JP4457997B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005230117A JP4457997B2 (ja) 2005-08-08 2005-08-08 容器入りオムレツ様食品

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005230117A JP4457997B2 (ja) 2005-08-08 2005-08-08 容器入りオムレツ様食品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007043927A true JP2007043927A (ja) 2007-02-22
JP4457997B2 JP4457997B2 (ja) 2010-04-28

Family

ID=37847336

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005230117A Active JP4457997B2 (ja) 2005-08-08 2005-08-08 容器入りオムレツ様食品

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4457997B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018117526A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 日本水産株式会社 流動性のある内容物を包んだオムレツ及びオムライスの製造方法
JP2020507523A (ja) * 2017-02-14 2020-03-12 クラフト・フーズ・グループ・ブランズ・エルエルシー 野菜成分入りパッケージ食料製品
JP2021087458A (ja) * 2021-03-11 2021-06-10 日本水産株式会社 流動性のある内容物を包んだオムレツ及びオムライスの製造方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018117526A (ja) * 2017-01-23 2018-08-02 日本水産株式会社 流動性のある内容物を包んだオムレツ及びオムライスの製造方法
JP2020507523A (ja) * 2017-02-14 2020-03-12 クラフト・フーズ・グループ・ブランズ・エルエルシー 野菜成分入りパッケージ食料製品
JP2021087458A (ja) * 2021-03-11 2021-06-10 日本水産株式会社 流動性のある内容物を包んだオムレツ及びオムライスの製造方法
JP7059416B2 (ja) 2021-03-11 2022-04-25 日本水産株式会社 流動性のある内容物を包んだオムレツ及びオムライスの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4457997B2 (ja) 2010-04-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US11634262B2 (en) Cooking method and apparatus
US20190283952A1 (en) Cooking method and apparatus
WO2014175339A1 (ja) 電子レンジ用樹脂製包装袋、その加熱方法、電子レンジ用樹脂製包装袋への充填方法および包装体
WO2013146592A1 (ja) 容器入り即席食品、容器入り即席食品の調理方法、及び即席食品用容器
JP2013202003A (ja) 冷凍米飯食品及びその製造方法
JP4457997B2 (ja) 容器入りオムレツ様食品
JP4197671B2 (ja) 冷凍調味液塊並びに調味液付き冷凍食品及びその製造方法
US20230159258A1 (en) Cooking method and apparatus
US20100028500A1 (en) Article of manufacture for packaging edible liquid and solid components together and process for making same
CN211418143U (zh) 重组鱼
WO2020174873A1 (ja) スープ入り焼き点心用包装済冷凍食材
JP4904118B2 (ja) 包装即席麺、並びに包装即席麺とカップ状容器からなる即席麺セット、及びその調理方法
JP6997136B2 (ja) 玉子焼の製造方法
JPH0787919A (ja) 即席汁食品用具材の製造方法
JP3238743U (ja) 食用具材最中
JPH08187054A (ja) 四面体型個包装米飯の製造方法
JP2017127282A (ja) 調理飯セットおよびその調理方法
JP3160167U (ja) 小分け冷凍麺類
JP6860570B2 (ja) 容器入り冷凍食品
JPS60145065A (ja) じやがいもを主材とする食品の製法
JP2008167661A (ja) 卵加工食品
JP2003252371A (ja) 食品収納容器
KR101691862B1 (ko) 슬라이스 쨈 제조방법
JP2006345735A (ja) マグロ肉の刺身用結着食品、マグロ肉の刺身用結着製品及びマグロ肉の刺身用結着食品の製造方法
JP2005304382A (ja) 包装食品と食品の包装調理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20080402

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091117

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091228

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100119

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4457997

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130219

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160219

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250